トリプルP!~Produce"Poppin'Party"~ 作:Lycka
皆さんお久しぶりです。
この作品の投稿は実に1ヶ月振りくらいです。
久しぶり過ぎて、書く前に3話分読み返しました...w
タイトル見て頂ければ分かりますが、我らがパン屋の娘、沙綾回となっております。
兎にも角にも第4話、ご覧下さい。
(少しキンクリしてますごめんなさい)
「もうすぐ、文化祭だねむーくん!!」
「おう、そうだな」
元気よく俺に話しかけてくる香澄を適当にあしらう。
あのクライブの時の涙の理由は分からずじまいで時は過ぎていった。香澄の言う通り、ここ花咲川学園ではもうじき文化祭が開催される。各クラスで様々な催しがされる中、香澄達はクラスとは別でバンドをする予定なのだ。当然、それに付き合わされる形で俺も参加している。
「すっごいドキドキする!」
「今からそんなんで大丈夫かよ」
「んー、大丈夫だよ!きっと!」
香澄も相変わらずこの調子である。まぁ、最近は練習も頑張ってるしな。しかし、バンドをする上で必要不可欠な要素が一つ。それは、ドラムがいない事である。
やまぶきベーカリーでのバイト中に俺からもプッシュしているが、沙綾は首を縦に振ろうとせず誤魔化すように話をすり替える。沙綾が昔バンドをやってたのを知ってるのは俺だけだ。そのことが関係しているのかバンドの話になると顔が暗くなる時がある。
「どーしたのむーくん?さっきから難しい顔してるよ?」
考え込んでいたのが顔に出ていたらしく香澄が覗き込むようにして聞いてくる。昔からの付き合いのせいか、香澄にはすぐ分かってしまうらしい。どうやら、俺は顔に出やすいタイプらしい。
「ん、ちょっと考え事。俺やまぶきベーカリーの手伝いあるから。じゃあな」
「わかった!ばいばーい!」
香澄と別れの挨拶を済ませて、目的地のやまぶきベーカリーへと足を進める。
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カランカラン♪
「いらっしゃいませ〜!......って、宗君か。今日はちょっと遅かったね」
やまぶきベーカリーへ着き、開けると鈴の音が鳴るドアを開けると既に沙綾が作業を開始していた。
「ごめんごめん。香澄と話しながら歩いてたら遅くなった」
「全然気にしてないよ。ほら、奥に行って着替えてきて」
「りょーかい」
沙綾に言われた通り奥へ向かい服を着替える。って言っても、学生服の上にエプロン着るだけなんだけどな。すぐに着替え終わり手伝いに戻ろうとした時に、不意に両手を掴まれる。
「お兄ちゃんみーっけ!」 「あそぼうぜ〜」
両手を掴んだ正体は純と紗南だった。手伝いに来る度に遊んでやってたら凄い懐かれました。子どもには好かれるらしい。純と紗南に手伝いがあるからと言って手を離そうとするが、当の本人達には離す意思がないらしくがっちり掴まれていた。
「まいったな、どうするべきか.....」
そうして俺が悩んでいると千紘さんがやってきた。
「純、紗南、宗輝君はお店のお手伝いしなきゃいけないから離しなさい」
「お兄ちゃん頑張ってね!」 「ちぇ、つまんないの〜」
「ありがと紗南。純はそんなこと言ってると遊んでやらないぞ」
千紘さんが注意するとすぐに手を離してくれた。流石はお母さんといったところか。慌ててお礼を言う。
「千紘さん、ありがとうございます」
「これくらいどうってことないわよ。それより、早く沙綾のところにいってあげて」
俺は再度千紘さんにお礼を言って沙綾の手伝いに向かう。
「沙綾、お待たせ。ちょっと純達に捕まってた」
「知ってる、聞こえてたよ」
そんな会話をしつつ沙綾は手を動かしている。その様子を見て急いで手伝いに入る。
「沙綾、もうちょっとでメロンパン焼けるってさ」
「うん、ならいってくるね。その間、お客さんの対応よろしく」
「おう、任された」
こんな感じで今日もやまぶきベーカリーはお客さんに沢山来てもらって大繁盛でございました。
そして、お店も閉店した後。
「沙綾、お疲れさん。今日も大変だったなぁ」
「うん、お疲れ様。お客さんも満足してて良かったよ」
沙綾と他愛の無い話をしていたら千紘さんがやってきた。両手に純と紗南を抱えて。
「宗輝君、良かったらご飯食べてかない?」
「でも、お邪魔じゃないですか?」
「そんなことないわよ。ねぇ、純、紗南、それに沙綾」
「お兄ちゃんも一緒〜!」 「一緒に食べてやるよ〜!」
「別にいいんじゃない?」
凄く魅力的な提案である。俺自身、大勢で食卓を囲むのは好きだ。しかし、千紘さんの負担を増やすわけにはいかない。
「実はまだ作れてないの。だから、手伝ってくれたら嬉しいな」
ともなれば即決である。
「ならokです。千紘さんは休んでいて下さいね」
食材は事前に用意していたようで沙綾が冷蔵庫から取り出してくれていた。どうやら、今日はハンバーグらしい。子供は好きだから純と紗南ははしゃいでいる。
「沙綾、そこの塩コショウ取ってくれ」
「はい、それと卵とパン粉も忘れずにね」
「ん、ありがと」
「こうして見てると夫婦みたいね」
『ブッ!!!』
沙綾とハンバーグを作っているところを千紘さんが見ていたようで、いきなりそんなことを口にする。側から見ればそんな風に見えるのか?確かに、家に上がり込んで一緒にご飯作って食べて......あれ?そんな風に見えなくもねぇな。
「何言ってるんですか千紘さん」
「そ、そーよお母さん!夫婦だなんて.....///」
おやおや?沙綾さんや、顔を赤くして俯いてどうしたんですかい?
ハッ!!もしかして、そんなに嫌だったのか⁉︎
「す、すまん沙綾。嫌だったら嫌って言ってくれても良いんだぞ」
「別に嫌って訳じゃ.....むしろ...///」
良かった、それほど嫌われているわけでは無さそうだ。最後の方は声が小さくて聞こえなかったけどな。
すると、突然千紘さんが忍び足で近付いてくる。そして、俺にしか聞こえないような声で話しかけてくる。
「宗輝君、沙綾可愛いでしょ」コソコソ
確かに今の沙綾は、顔を赤らめながら俯いてモジモジしている。その姿は可愛いと言えるだろう。俺は少しニヤッとしながら千紘さんに倣い小さな声で答える。
「ええ、この上なく」ヒソヒソ
「もー!何話してるの⁉︎」
『それは内緒だ(よ)♪』
見事に千紘さんと同じタイミングで同じような台詞を言う。
「宗君!母さんも!もう知らない!」
ぷんすか怒り気味の沙綾も可愛らしい。しかし、いじりすぎてしまい沙綾は自分の部屋に篭ってしまった。まぁ、ほとんどできてるし後は一人でやるか。
***
千紘さん、亘史さん、沙綾、紗南、純、俺の総勢6人で食卓を囲んだ。あの後、少し工夫を凝らしてチーズを入れてみたりしたのが好評だった。夕飯を食べ終わるや否や紗南と沙綾はお風呂、純は既に入っていたようで亘史さんと一緒に宿題をしている。
そして、俺はと言うと......
「別にお皿洗いくらい一人で出来るのに」
「いえいえ、最後まで手伝わせて下さい」
千紘さんと一緒にお皿洗いをしていた。千紘さんは一人で出来ると言うが、万が一のことを考えて手伝う。沙綾との約束でもあるからな。
「何から何までありがとね、宗輝君」
千紘さんからそんな言葉が発せられる。
「俺がしたくてやってることですからね」
「それに、沙綾は自分より他人を優先してしまう癖がありますからね。せめて俺と居るときくらいは楽させてあげたいんですよ」
「外でもあの子、いつもあんな感じなの?」
千紘さんが少し心配そうに尋ねてくる。
「ええ、なんか無理してるっていうか。だから、支えてあげたくなるのかもしれませんね」
俺の言葉を聞いて、千紘さんがうーんうーんと悩んでいるフリをしている。
「本当に宗輝君は良い子ね。いっそのこと沙綾を貰ってくれないかしら」
悩んだ結果出てきた言葉がそれですか千紘さん。
「俺なんかよりも、沙綾にはもっと良いやつが居ますよ」
「あら、お店の手伝いから夕飯の支度、片付け、それにお風呂まで。こんなことする人宗輝君しか居ないわよ」
確かに痛いところを突かれる。
自分でも、最近は沙綾ん家に入り浸っているのは分かっていたが......。俺はお皿を洗う手を止めて少し考えていた。もし、沙綾と結婚したらどうなるだろう。楽しい生活が送れることは間違いないだろう。面倒見も良いし家事もこなせるし可愛いし。少し妄想気味に考えているところを、千紘さんの言葉によって現実へと帰還する。
「なら、もし他に良い人が現れなかったら沙綾を貰ってくれる?」
ほほう、千紘さんグイグイ押してきましたね。しかし、これに対しての答えはすんなり出てきた。
「その時は、こちらから土下座でお願いしますよ」
「ッ‼︎.....///」ガタッ
「これからも沙綾と仲良くしてやってね」
「こちらこそよろしくお願いします」
千紘さんとそんな会話をしていたのを沙綾が聞いていたことを、俺はその時はまだ知らなかった。
~side change~
私は夕飯を食べ終わった後、紗南と一緒にお風呂に入っていた。純はもう済ませていたみたいで母さんは後から入るとのことだったので先に頂いた。
「紗南〜、どこか痒いところはない?」
「だいじょうぶだよ〜」
実は、こうして紗南と二人でお風呂に入るのは久しぶりだったりする。最近は宗君がお店の手伝いをしてくれてるから少し楽になったけど、前までは紗南達がお風呂はいってる時に夕飯を食べてたりしていたからだ。
「お姉ちゃんはお兄ちゃんの事好き?」
「へ!何言ってんの紗南!」
いきなり紗南がそんな質問をぶつけてくる。
「じゃあ嫌いなの〜?」
「そんなことはないけど.....」
さっきだって母さんに夫婦みたいって言われた時は嬉しかった。これが好きって気持ちなのかな?私は今までそういう経験がないから分からない。逆に宗君はどう思ってるんだろう......。
そこで私は考える事を止め、浴槽から立ち上がる。
「紗南、そろそろ出ようか」
***
場所は変わってリビングの前。お風呂から出た後は紗南を部屋へ連れて行き寝るように伝えた。そして、私は今リビングの扉の前に立っている。それは何故か。
「何から何までありがとね、宗輝君」
「俺がしたくてやってることですから」
そう、二人の会話が聞こえてくるのだ。別にこのまま入っても良いんだけど、会話の邪魔になってしまいそうで気が引ける。なので、少し待ってみることにした。
「それに沙綾は自分より他人を優先してしまう癖がありますからね。せめて俺と居るときくらいは楽させてあげたいんですよ」
宗君が母さんに向かってそんなことを言う。自分ではあまり意識してないんだけどなぁ。
「外でもあの子、いつもあんな感じなの?」
次は母さんが宗君に問いかける。心配かけてないつもりだったのに、いつのまにか心配かけちゃってたのかな。少し複雑な気持ちになる。
「ええ、なんか無理してるっていうか。だから、支えてあげたくなるのかもしれませんね」
そんなこと言われたのは初めてだった。今までは、私が家族を支えていかないといけないとばかり思ってた。それは今も変わらず私の行動の核となっている。でも"支えてあげたい"なんて母さんにも父さんにも言われてない。宗君の言葉を聞いて少し胸の中が温かくなるのが分かる。
そして、少し時間が空き母さんが口を開く。
「なら、もし他に良い人が現れなかったら沙綾を貰ってくれる?」
少し耳を疑う。自分の母さんながら何を言っているんだろうと呆れていた。
確かに宗君と結婚できたら、幸せな生活が送れるのは間違いないんだと思う。純や沙南の面倒見も良いし、料理だって出来る。それとカッコいいし。
でも、そんな問いかけに宗君が真面目に答えるわけ.....
「その時は、こちらから土下座でお願いしますよ」
「ッ!!......///」ガタッ
驚きの返事が宗君から返ってきた。途端に身体中が熱くなってきて、少し離れようとして近くの壁に足をぶつけてしまう。
今のこの気持ちは何なのか。思い返せば、入学式の時の出会いからどんどん惹かれていっていたのかもしれない。そう思い始めるともう止まらなくなっていた。
「......責任、とってよね///」ボソッ
私は一人、その場で呟いた。
沙綾可愛いですよね。
主は、ポヒパだと沙綾と有咲推しです。まぁ他三人も好きなんですけどね。
それが作品に影響されてます.....すみません。
次回からすぐ出せるようにしますので。