トリプルP!~Produce"Poppin'Party"~ 作:Lycka
まず、☆9評価頂きました みゃーねこさんありがとうございます!
遂にリゼロコラボ始まりましたな。
主は取り敢えず10連回しましたが案の定の結果でした故、友希那と燐子を追い求めていくつもりでございます。
皆さんの健闘もお祈りしております。
それでは、45話ご覧下さい。
Produce 45#アイドル/アイドル
~翌日~
「......ちゃん!」
「ん、もうちょい......」
「お兄ちゃん起きて!」バサッ
若干覚めつつあった意識が令香のお布団攻撃によって完全に覚醒する。昨日は結局コンビニでアイス買って食って帰って寝た。アイスの三段活用だ覚えとくと良い。買う、食う、帰る。食うと帰るが逆になるパターンもあるから注意。お会計がちょっぴり高かったのだがそこはもう気にしないでおこう。令香のやつやっぱりバーゲンダッツ買いやがって。アイス2個買ってたのお前だけだからな。
「今日は休みなのになんで起こしに来たんだよ」
「何言ってんの、今日は彩さん達のMV撮影の日じゃんか」
「やべ、完全に忘れてた」
「さっき千聖さんからメール届いてたよ」
充電器を抜き俺の携帯を手元に持ってくる。確かにメールが1件、それも令香の言う通り千聖さんから送られてきている。
To:宗輝君
From:お義姉ちゃん
[本文]
今日はパスパレのMV撮影の日です。
事務所へ朝10時集合。
時間厳守でお願いするわね。
千聖さんっぽい事務的なメールだな。ただ一つ気になる点があるとするならば、確実に名前だろう。何でお義姉ちゃんで登録してるんだあの人。いや、めんどくさいから携帯ごと渡したのが原因だと思うけど。前に連絡帳見たときにおかしいとは思ったけどな!!
「今何時だっけ?」
「大丈夫、まだ9時過ぎだよ」
「準備してれば良い時間にはなるか」
「令香は友達と遊びに行くから」
未だに重い腰を上げて準備に取り掛かる。かの有名なゲーテ曰く、"やる気になっただけでは、道半ば"だと言う。俺は現在やる気もそこまで無い為、まだ道が出来たばかりなのかもしれない。というより、薫先輩の影響かスッとゲーテが出てきてしまった。やはりハロパピ勢は侮れない。
「よし、こんなもんかな」
「お兄ちゃんこれ忘れてるよ」ヒョイ
「ん?ああ、さんきゅーな」
いつのまにか机の上に置いているのを忘れていたが、事務所へ入る時に必要なICカードを令香に渡される。まぁ忘れたとしても事務員さんに言えば何とかなるんだけど。こうしてるとなんか新婚の夫婦みたいなやり取りっぽいよな。
「んじゃ行ってくるな」
「いってらっさいな〜」
リビングに降りると母さんも起きていた。あまり時間も無いため、母さんが焼いてくれたパンをかじりながら我が家を出発する。そのパンを食べ終えた丁度良いタイミングで電話が掛かってくる。相手は言わずもがな千聖さん。
「もしもし千聖さん?」
『あら、珍しく寝坊しなかったのね』
「何でいつも寝坊してるみたいな言い方なんですか」
『違うの?』
「朝弱いのは認めますけど、寝坊はそんなにしません」
そんな会話をしながらも目的地である事務所へと歩を進めていく。案外時間には余裕がありそうだったので、途中コンビニに寄りお昼ご飯を購入。今日は残念ながら令香特製弁当では無い。宗輝的にはかなりショックだ。
「もうすぐ着くんで切っても良いですか?」
『ダメよ、このまま事務所まで来なさい』
「コンビニの時と言い頑なに切ろうとしませんね」
『当たり前じゃない、貴方と電話する機会なんてそうそう無いのよ?」
気付けば千聖さんとの電話も30分を超え長電話となっていた。そもそも俺は電話をするタイプじゃないので久し振りにこんなに電話で話した。というか別に会って話すれば良いでしょうに。なんかレアキャラみたいな扱い受けてて困る。
「ほら、話してる間に着きましたよ」
『早く控え室まで来なさい』
「どこの控え室でしたっけ?」
事務所の控え室と一口に言ってもいくつか存在する為、分かりやすく部屋番でも言ってくれなきゃ分からんのです。というか別に集合だけならロビーで良くない?MVはスタジオに行って撮るんだから事務所の中まで入る事はないと思うんですけどね。
『突き当たりを右に曲がってすぐの201号室よ』
「どこの突き当たりですか?」
『貴方ね......そろそろ事務所内の仕組みは......』
「千聖さんみっけ」ピトッ
「ひっ!!む、宗輝君⁉︎」
さっき人数分買ってきた飲み物を一つ取り出して千聖さんの柔肌へと密着させる。ウロウロしてたら千聖さんの方を先に見つけたのでサプライズ。ぷんすか怒ったようににらめつけてくる千聖さん。というか反応可愛いな。
「お待たせしました、これどうぞ」
「ありがとう......ってなんで控え室に行かないのよ」
「先に千聖さん見つけたので少し驚かそうと思って」
「はぁ、そういう子供っぽいことはやめなさい」
千聖さん、男の子はいつまでたっても少年の心を持ち続けることが必要不可欠なんですよ。社畜精神満載な大人にだけはなりたくないものだ。
「それじゃあ行きましょうか」
***
「おはようみんな」
『おはようございます!』
「今日は大事なMV撮影だから気合い入れていくよ!」
場所は変わって現在MVを撮影する為に貸切にしているスタジオ。あの後、他のメンバーとも合流して車一台で移動。何故か突然ジャンケンが始まったのを見てプロデューサーが助手席に座れと言い出したけどなんで?あれか、誰が助手席座るかジャンケンか。すまんな、俺がマネージャー特権で頂きました。
「Pastel*Palettesの皆さん入ります!」
「お、やっぱり新衣装可愛いな」
「君は見るの初めてだったね」
「貴女に言われてお預け食らってましたからね」
今回は"もういちどルミナス"のMV撮影。お披露目は前回のアイドルフェスでのライブだったのだが、発売を予定しているとのことでMV撮影となったらしい。それ故に衣装も一新してパスパレらしさ全開だ。
「ギターどこ置いたっけ?」
「ドラム以外は外に一式置いてるから持ってくる」
「じゃあ私達は最終チェックしようか」
日菜のギター、千聖さんのベースにイヴのキーボード。MV撮影の方に人手を駆り出している為、この楽器出しの作業は俺の担当だ。流石に一人となると重労働過ぎて疲れる。
「これで、最後っと」
「斎藤君ー!ちょっといいかなー⁉︎」
「はーい、今行きます!」
「宗輝忙しそうだね」
「アンタ達はMVに集中しなさいな」
「そうよ、彩ちゃんも大丈夫?」
「うん!精一杯頑張るね!」
楽器出しを終えたところをスタッフさんにお呼ばれしてしまう。これから彩達は最終リハをやるので、少しでも良いから見学したかったのが本音。だが今はパスパレのファンより専属マネージャーとしての役割を果たすべきだろう。
「ごめんね斎藤君、リハ見たかったんじゃない?」
「いえいえ。......アイツらの事信じてますから」
「なら尚更リハは見学してもらわないとね」
「でも、まだ作業は終わってないんじゃ......」
撮影機材の搬入と設置。音響やらの確認と照明器具の設置。数え出したら止まらない程には作業は山積みだ。俺一人の力で何とかなるとは思ってないけど、実際一人抜けられるとキツイ状況なのは肌で感じてる。
「宗輝君、ちょっと良いかしら」
スタッフさんとリハに行くか行かないかで少し話していたところをプロデューサーに見つかってしまった。
「何かありましたか?」
「ええ、貴方にしかこなせない仕事をあげる」
さぁ働け俺の詮索スキルよ!!推測するに、こういう時は大概力仕事を任されてきたケースが多い。機材の搬入もまだ途中ということもあってそれ関係だろう。まぁそれは俺にしかこなせないって訳じゃないけどな。この人は何かと理由を付けて俺に擦り付けてくる癖があるから油断出来ん。
「向こうへ行きなさい」
「あっちに荷物があるんですか?」
「荷物なんてある訳ないでしょうが」
「じゃあ何故?」
「それは行けば分かるから」
そう言って背中を押されて強制的に連行されてしまう。スタッフさん達は笑顔で手を振ってくれてるしどゆこと?
「というかこっちは撮影スタジオ......」
「これはあの子達の総意よ、素直に受け取りなさい」バタン
「ちょ、プロデューサー!!」
挙げ句の果てには扉を閉められてしまった。確かここは撮影するスタジオで彩達がリハをやってるはずなんだけど......
「宗輝君!」
「うわっ!ビックリさせんなよ彩......」
「えへへ、ごめんね?」
「マイクの音量大きかったッスか?」
麻弥が彩の持つマイクを取り音量を調整していく。さっきのは完全に彩の声がデカかっただけだと思うけど。スタジオに入るや否や大声で名前呼ばれたらビックリもするわな。今後気を付けて頂きたい。
「あー、宗輝君音量どう?」
「丁度良い感じだ」
「じゃあ今度はステージの調整しよ!」
それからは彩達と俺が主となって色々と調整していった。ライブの時と同じ要領でステージを調整、他にもCG等の使用も加味していき出来るだけ最高の仕上がりになるように細かいところまで気を回した。
「今更だけど、なんで俺が調整してんだ?」
「ムネキさんに任せておけば大丈夫です!」
「あくまで個人的な意見言ってるだけなんだけど」
「勿論プロの方にも調整はしてもらうわ。でもね、私達が大切にしたいのはファンの方々にどう魅せるかなのよ」
ファンにどう
「よーし、じゃあ最終調整......ん?」
「どうかしたんスか宗輝君?」
「ああ、なんでもないッスよ」
「真似するのは良くないッスよ!」
これややこしくなるだけだな。それにしても、さっきそこに居た子は一体誰なんだ?スタッフさんの中にはあんな子いなかったし、まず歳が俺達とそんなに離れてなさそうだったしな。なんか気になる......。
「そろそろ時間だけど、もう大丈夫かい?」
「プロデューサー居たんですね」
「さっき言ったように、最後にプロの方に見てもらって少し修正はさせてもらうよ」
「それは全然構いませんよ」
「みんなは一度休憩しておいで」
これからプロの方の本当に最終調整が入る。その間パスパレメンバーは控え室で休憩を取ることとなった。俺も見ておこうと思ったのだがプロデューサーにまたしても背中を押され彩達諸共控え室送り。
「はぁ〜、緊張してきたね!」
「"練習は本番のように、本番は練習のように"ってお姉ちゃん言ってたよ」
「それ紗夜さんらしいな」
「彩ちゃんは練習でも十分とちってるから駄目ね」
「相変わらずチサトさんは容赦無いですね!」
部屋は入ると早速だが彩が集中攻撃を食らっていた。千聖さんの彩に対する辛辣な言葉遣いは気を許しているからこそなのだと思いたい。俺だって決して本心から彩の事をバカにしているわけでは無いのだ。本当だもん、宗輝嘘つかないから。
「MV撮影前で悪いんだけど一つ聞いてもいいか?」
「改まってどうしたんスか?」
「さっき明らかにスタッフじゃない女の子が居たんだけど知ってる?」
というのも、先程の最終調整中に気になった子が一人居た。明らかにスタッフではなく、俺達と同い年くらいで明るい髪色をしていた。ロングヘアーでスラッと伸びた脚に華奢な身体付きを見るに女の子だろう。あれで男だったら俺は自分の目を疑うけどな。
「もしかしてファンの方じゃないですか?」
「でもここ関係者以外は入れないだろ」
「そこはブシドーで何とか」
「出来ねぇよ、そこまでブシドーは万能じゃないからな?」
不可視化のブシドーとかやめてね。RPGもビックリの超能力だから。とは言いつつもやはり気になる。
「多分いつもライブに来てくれてるあの子じゃないかしら」
「あの子?千聖さんは知ってるんですか?」
「みんな知ってるわよ」
「ライブによって髪色を変えてきてくれるんですよ!」
え、なにそれ、最近のファンはそこまでしてんのか。しかも明るい髪色にするんだったら髪へのダメージ半端ないぞ。それをライブ毎に変えてくるって凄いな。今日は水色とピンクの明るい髪色だったけど、もういちどルミナスに合わせてきてるのか?
「そのファンの子だとしても、何でスタジオに入れてるんだ?」
「実は今日のMV撮影は抽選で当たった人にのみ限定で公開してるのよ」
「ジブン達も今朝知らされた事なんスけどね」
おいおい、なんなら俺は今初めて知ったぞ。一応専属マネージャーではあるんですけど、そこらへんの情報がイマイチ入ってこないのは気のせいか?大体、あのプロデューサーが胡散臭いんだよなぁ。
「勿論、撮影とか写真の類は一切禁止よ」
「でしょうね」
「千聖ちゃん!」
彩が話を遮る形で千聖さんへ呼びかける。
「急に何かしら彩ちゃん」
「私さっき自撮りしてSNSにアップしちゃったよ!どうしたら良いかな⁉︎」ソワソワ
「はぁ......彩ちゃんや私達は良いに決まってるでしょう」
「やはり彩はポンコツの子だったか」
どうやら勘違いでSNSに写真をアップするのも禁止だと思ったらしい。気になったので一応確認しておこう。携帯を開きほとんど使っていないSNSをタップして最新の情報に切り替える。すると、一番上にやはり彩の写真付きでアップされていた。既にファンのみんなから反応を貰えているみたいだ。
「もう応援メッセージきてるじゃん」
「どれどれ見せて!」
「ちょ、衣装着てんだからあんまり近づくな日菜」
「"もういちどルミナス絶対買います!"だってさー」
他にも撮影頑張って下さいとか抽選当たらなかったとか。ありきたりな応援メッセージだが、やはりその一つ一つに力を貰えるのは応援の凄いところだと思う。というか抽選の話はマジだったんだな。
「なんだかジブンやる気が出てきました!」
「うん、まだ緊張はするけどみんなで頑張ろうね!」
「ブシドー!!」
「イヴ、それ言いたいだけだろ」
こうしてファンから力を貰いやる気に満ち溢れた彩達。その後スタッフに呼び出されいよいよ本番。俺もスタジオへ向かい精一杯俺の出来る事をやる。プロデューサーが言うにMV撮影本番は俺達はあんまりやる事ないらしいけどな。
「本番いきまーす!3.2.1......」
「いよいよ始まりましたね」
「ここからは見守ってやる事しか出来ないけどね」
「ファンの子が来てるって聞きましたけど本当ですか?」
「抽選で選ばれた少数精鋭だけどね」
プロデューサーが言うのだからやはり本当なのだろう。周りを見渡してみると、隅の方で目をキラキラさせて撮影を見ている子がいた。彩達が撮影しているのを横目にファンの子へ近づき、それとなく会話を始める。
「君って抽選で選ばれたファンの子?」
「......はぁ」キラキラ
「おーい、話聞いてる?」
どうやらパスパレの撮影に夢中で俺に気付いてないっぽいな。ここまでフル無視されると流石に自信無くすんだけど。俺ってもしかして影薄かったりする?
「ん?どうかしましたか?」
「いや、さっきからずっと話しかけてたけど」
「あぁ!それはすみませんでした!」
ぺこりと頭を下げ謝る。別にそこまでしなくても良いけど。というか、どっちかと言うとあんまり大きい声は出して欲しくないな。撮影中に話しかけてる俺が言うのもなんだけど。
「さっき彩達に聞いたけど、パスパレのファンなんだよな?」
「はい!今日は運良く抽選に選ばれて良かったです!」
「俺は仮だけどパスパレの専属マネージャーしてるんだ」
「えぇ⁉︎マ、マネージャーさんでしたか⁉︎」
「だからさっきから声が大きいって」
すみません、と再び頭を下げ謝る。さっきから女の子に頭を下げさせてる外道にしか見えないからやめてくれ。声のボリューム下げてくれたら良いから。これ以上俺の評価下げないでくれたまえ。
「紹介が遅れました!私はパレオと言います!」
「パレオ?変わった名前してんな」
「はい.......私の大切な名前です」
「そっか。まぁ今日は楽しんでくれ」
そしてパレオの元を離れプロデューサーがいる場所へ帰還。どうやら少し機材トラブルがあったらしく、せっせこスタッフさん達が働いているのが見て取れる。こういう時には無力だから少し歯痒い思いが募る。ちょっと専門的な機械知識も勉強してみるか。
「こういう時に無力だって思ったかい?」
「......はい。いざという時に力になれなくて情けないです」
「私にもそういう時期はあったよ」
「今は思ってないんですか?」
仮で専属マネージャーなんてのを任されている俺と違い、プロデューサーは本当にプロの世界で活躍している人だ。実際、俺がしているのなんてちょっとしたスケジュール調整や力仕事ばっかり。そんなちょっとした仕事ですら迷惑をかけてばかりで、改めて一人では何も出来ない事に気付かされる。
「何とも思ってない訳では無いよ。考え方を変えた、と言った方が良いかな」
「考え方ですか?」
「勿論、私や君の思った通りに無力だと感じる事はある。そして、そう思う事も悪い事じゃ無いよ。でもね宗輝君、適材適所という言葉があるように、人にはそれぞれの得意分野があってこの世界ではそれを生かして立ち回るのが基本なのさ」
プロデューサーの言葉通り、適材適所で得意分野の人がそれぞれの場で活躍すれば良い。そういう考えが基本なのは薄々気が付いてはいた。だったら、俺にとっての活躍の場って何なんだ。機械関係にも疎く細かい作業でも迷惑をかける。そんな俺が活躍できる場なんてあるのだろうか。
「でも、それはあくまで基本であって全てじゃない」
「......」
「それでも君があの子達の役に立ちたいと思ったのなら、それはきっと君の本物の想いだよ」
「本物の想い、ですか」
「君が望むなら、こちらとしても少しだけど援助はしてあげられるよ」
機械関係の知識や技術についてやその他諸々の必要なスキルに関して、俺の希望が通れば事務所から少しばかりではあるが援助があるらしい。正直前々から迷っていたところでこの話だ。受けない手は無いだろう。
「少しでも彩達の力になれれば良いので是非やらせて下さい」
「オッケー、実はもう私から話は通してあるよ」
「今回もプロデューサーにまんまと乗せられた訳ですね」
「君も案外乗り気で助かったよ」
この人にはいつになっても敵う気がしてこないのは何故だろうな。でも、やはりこの人は頼りになる。いつも俺を弄ってくるし、かと思いきやプロの中でも一つ頭抜けた仕事するし。いまいちよく分からない人だがこれだけはハッキリ言える。
「......何でこんなに良い人なのに結婚出来てねぇんだよ」
「何か言ったかい?」
「プロデューサーに良い出会いがありますようにってお願いしときました」
「さっきの話は無しで」
「わー!!ちょ、マジで勘弁して下さい!」
そうこうしているうちにトラブルも解決した様子。少し機材の調子が悪かったみたいだな。にしても、やっぱりパスパレは機材トラブル多いな。デビューライブの時もやらかしたって聞いたし。プロデューサーの負の念が形になって現れてたりして。
「よし、じゃあラスト撮ろうか!」
「むーねきー!」フリフリ
「日菜さん本番始まりますよ!」
「最後までちゃんと見ててよー!」
その後麻弥が日菜を宥める形でラストスパートの撮影が始まる。少し撮り直す場面もあったが、基本的にはスムーズに撮影が進められていた。俺も流石に立ちっぱなしという訳にはいかず、時々ある休憩の時間にスタッフさんに飲み物を持って行ったりと働きはしていた。
そして......
「......どうですか?」
「うん、完璧だね。取り敢えずこれで撮影は終了だよ」
長かったMV撮影も幕を閉じた。
***
「おつかれさん」
「宗輝君、ありがとね」
場所は変わり事務所。撮影も無事終わり機材の片付けやら何やらはスタッフさんに一任し、俺とパスパレ5人は先に事務所へ戻ってきていた。近くの自販機で買ったお茶を彩へ渡しそのまま横へ座る。
「MV撮影どうだった」
「緊張したけど楽しかったよ」
「何回か噛んでたもんな」
「そ、それはもう良いでしょ!」
MV撮影だろうとライブだろうと関係なくトチるのは流石丸山彩だとしか言いようがない。初っ端の入りで肝心のマイクがOFFになってるし、極め付けは素直に歌詞を噛むという何とも彩らしいトチりかただった。それで全体の雰囲気が和んでスムーズに進んだのかもしれんな。
「あー、彩ちゃんと宗輝みっけ!」
「みんなで今まで探してたのよ」
「アヤさんとムネキさんは隠れ身の術がお上手です!」
「残念ながら俺達は忍びじゃないからな」
控え室から出てきたであろう4人がこちらへ近づき椅子へ座る。今の席順はこうだ。麻弥→イヴ→俺の膝の上に日菜→彩→千聖さんの順番。一人おかしいポジションに座っているのにお気づきだろうか。
「何でお前は俺の上に座ってんだよ......」
「んー、まぁ良いじゃん」
「宗輝君から見て、今日のジブン達は何点ッスか?」
「彩のトチりが無かったら100点だったなぁ」
「むー、まだそれ言うのー?」
それからは、先程のMV撮影の話が案外盛り上がってしまい軽く数十分は話し込んでしまった。そして、それは日菜の一言によって終わりを告げる。
「あれー?そう言えば宗輝今日もお姉ちゃん達に呼ばれてなかったっけ?」
自分の記憶の倉庫の鍵を開け思い当たるものが無いか探していく。昨日の記憶ファイルを開き紗夜さん、というよりRoselia関係について絞っていく。するとやはり見つかる訳で。
「ここからCiRCLEまで何分かかる?」
「詳しくは分からないけど、今すぐ向かった方が良いのは確かね」
「ジブンは幸運を祈ってます」
「ファイトですムネキさん!」
昨日お説教食らったばかりなのに、このままいけば今日もお説教タイムになってしまいかねん。それだけは何がなんでも阻止しなければならない。その為に俺に出来ることは一つ。
「悪い、事務所の自転車借りるってプロデューサーに言っといてくれ」
「あ、お姉ちゃんから連絡きた」
「因みになんて?」
「よく分かんないけどポテトって書いてあるよ」
やっべぇ、これは紗夜さんの冷凍ポテト連続殴打の刑だ。
「3分で行きますって言っといてくれー!!」バタバタ
「宗輝君行っちゃったね......」
「まぁお姉ちゃんのポテトは嘘なんだけどね〜」
「日菜ちゃん......貴女性格悪いわよ」
後ろの方で5人が話しているのを背に、一人寂しくCiRCLEへ激チャで向かう斎藤宗輝であった。
~To Be Continued~
宗輝「さぁおまけのコーナーでござんす」
宗輝「今回はモカとひまりだ」
モカ「しゃーす」
ひまり「モカ適当過ぎだよー」
宗輝「まぁそれくらいが丁度良いだろ」
モカ「むーくん聞いてよ〜」
宗輝「なんだよ、またひまりが太ったとか?」
モカ「なんと、流石むーくんだねぇ〜」
ひまり「太ってないもん!しかもまたってなによ!」
モカ「およよ?じゃあこのお腹はどういう事なのかな〜」
ひまり「ちょ、モカやめて!」
モカ「フムフム、この程よいぷにぷに感が堪りませんな〜」
宗輝「モカ、俺にもやらせてくれ」
モカ「ん〜、ひーちゃんはモカちんのものだからね〜」
宗輝「くっ!ならやまぶき色の褒美を今度奢ってやろう!」
モカ「さぁ存分に楽しむが良い〜」
ひまり「だからぁ!私は太ってないしモカのものでも無いし!」
宗輝「ぷにぷになのは否定しないのな、あ、ホントだぷにぷに」
ひまり「宗輝は何触ってんのさ!」
宗輝「あべしっ!」
モカ「むーくんはまだまだ修行が足りないね〜」
宗輝「む、無念」
-End-
今回から新編スタートとなります。
RAS好きの皆様、長らくお待たせしました。