トリプルP!~Produce"Poppin'Party"~   作:Lycka

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この時期のおでんって最高ですよね、どうも主です。
もうすっかり寒くなってウチでも鍋物が多くなってきました。
コタツに入ってミカン食べながらゆっくりと読める、そんな作品にしていきたいですな。

それでは、47話ご覧下さい。


Produce 47#幼馴染とロックな彼女

 

 

 

 

 

~翌朝~

 

 

 

 

 

「んぅ......むーくんぅ」

 

「......これじゃあ生き地獄だな」

 

 

 

はい、見事なまでの香澄の寝ぼけにより睡眠時間8割カット。残りの2割もほぼ寝ていないようなもんだ。寝る前にあれだけ引っ付いてくんなって言ったのに。眠気覚ましで顔でも洗ってくるか。

 

 

「よいしょっと、まだ朝早いし起こさなくてもいいか」

 

......ぽぴぱ〜

 

「なんだその寝言」

 

 

確かやまぶきベーカリーは開店してちょっと経ってからって言ってたっけ。まぁ何だかんだコイツは朝強いから大丈夫だろ。一応有咲とりみりんと沙綾には連絡しとくかな。今日も一日コイツの相手を頼む。

 

 

「おはよう。今日は朝早いのね」

 

「おはよう母さん。ちょっと用事あるからな」

 

「おにいちゃんおはよ〜」

 

「おう、お前も随分眠たそうだな」

 

 

パジャマ姿でぬいぐるみを抱えながら目を擦りつつ降りてくる令香。おかしい、ウチの妹は寝起きですら絵になっている。香澄見てるとだらしないとしか思えないのに。これは斎藤家の七不思議の一つかもしれない。

 

 

 

そんな絵になる妹と一緒に洗面所へ行きお湯で顔を洗う。寝癖も酷かったのでついでに頭も濡らしておく。寝癖は付くけどすぐに直るタイプで良かった。香澄は元々癖っ毛っぽいところあるからあんまり気にしてないらしい。

 

 

「ほまえもはやくじゅんびしろほ」シャカシャカ

 

「わかっは」シャカシャカ

 

 

お行儀が悪いのを承知で歯磨きしながら会話する。今日は令香も付いて来るらしくお兄ちゃんとして振舞わなければならない。おたえの幼馴染にカッコ悪いところは見せられんな。確か和奏レイって言ってたっけな。俺もなんか昔に聞いたことあるような名前なんだよなぁ。

 

 

「んじゃ準備してくるわ」

 

「いっつもお兄ちゃんの方が遅いんだからね」

 

「断じて違う、お前が早すぎるだけだ」

 

 

そんないつも通りの会話をしながら自室へ戻り準備を始める。いつも通りと言えば最近蘭達に会えてないな。でもなんやかんやで楽しくやってそうなのが想像できる。逆に俺が寂しくなっちゃうかも。

 

 

「ってかまだ寝てんのか」

 

「......すぅ」

 

「警戒してないのかマイペースなのか分からんな」

 

 

どちらにせよ今の体制がちと俺には厳しいので布団をかけ直す。べ、別に幼馴染がパジャマはだけさせてたからとかじゃないんだからね!!

 

 

 

 

という冗談は置いておき準備を進める。9月に入り暑さも和らいできたので少し暑苦しいがパーカーでいいだろう。おいそこ、楽するなとか言うな。実際パーカーって超楽だけど。最強なのはジャージ。正直俺はオシャレには疎いからすぐにジャージ着たがる癖がある。あと大体服とか黒色が多い。前に全身真っ黒コーデであこに会ったら褒められた。"闇の眷属みたいでカッコいい!"だってさ。

 

 

 

「あと財布と携帯っと」

 

「お兄ちゃん終わった?」

 

「今終わった、なら行くか」

 

 

 

父さんと母さんは今日一日ゆっくり過ごすらしく、少し悪いとも思ったが香澄の事をお願いしておいた。そろそろ海外に戻らなきゃいけないから最近では準備し始めたらしい。今度こっちに帰って来られるのはいつになるか分からないとのこと。俺としちゃ向こうに行って何日で父さんの令香成分が切れるか楽しみだ。因みに俺は2日が限界。まぁそれは嘘で本音は3日。あんま変わってないなこれ。

 

 

 

「おたえに電話するかな」

 

「れーか飲み物買ってくるね」

 

「おう......もしもしおたえか?」

 

『......ん、むっくんどしたの〜?』

 

 

 

令香が自販機に行き小銭を入れ何を買うか迷っているのを一人眺めながら電話を待っていると、しばらくしてから超眠たそうな声をしておたえが出る。眠たいのは分かったからオッちゃんと会話しないでくれ。頼むから電話中は相手と会話してくれ。

 

 

「もう家出たからもーすぐ着くぞ」

 

『なんで私の家来るの?』

 

「昨日お前から幼馴染に会ってって言ってきたんだろ」

 

『んー、そうだった気もするね』

 

「心配すんな。気のせいじゃない」

 

 

 

おたえも何かしら準備があるらしくもう少しまってほしいとのこと。それならもっと早く起きろよという意見はごもっともである。しかし今一度考えてみて欲しい。相手はおたえ、天然キャラを地で行く愛されるべき女の子だ。そんな子にド正論かましても意味ないんだよ。ここは素直に可愛いと思っときゃ良い。

 

 

 

「んじゃ近くの公園で時間潰すから」

 

『むっくんありがと。ぽっぴんぱ〜』

 

「じゃ切るぞ。ぽっぴんぱー」

 

 

最後のぽっぴんぱーは俺とおたえなりの特殊な挨拶だから気にすんな。

 

 

 

「令香〜、取り敢えずそこの公園で......って何してんの?」

 

「あ、お兄ちゃん」

 

 

 

 

少し目を離した隙に人数が増えてる。隣にいる人は一体誰なんだよ。ていうか綺麗な人だな。

 

 

 

「ありがとお姉さん!」

 

「良いの良いの、ここの自販機昔から詰まりやすいから」

 

「妹が迷惑かけませんでしたか?」

 

「自販機が詰まってたみたいだから助けただけだよ」

 

「むぅ、お兄ちゃんれーかの事疑い過ぎ」

 

 

 

リスのように頰を膨らませて睨めつけてくる令香。正直そんな事をしても可愛いとしか思わん。残念ながらウチの妹はあざとさなんてものは皆無だからな。狙ってやってんなら小悪魔通り越して閻魔大王様だ。

 

 

「昔からってことは小さい頃からここに?」

 

「まぁ帰ってきたのはついこの間なんだけどね」

 

「はい!これお姉さんの分!」

 

 

少し困惑した表情でこちらを見てくるお姉さん。何故そんなに俺を見てくるのか分からない。さっき会ったばかりの赤の他人に助けを求める程の事では無いと思うんだよね。

 

 

「コイツなりのお返しって事で」

 

「じゃあ貰おうかな」

 

「でも令香も飲み物欲しいんじゃなかったのか?」

 

「違うの買うから大丈夫」

 

「そのお金俺の財布から出てるの忘れないでね?」

 

 

躊躇なく俺の財布から小銭を取り出している妹。俺達のやり取りと令香の傍若無人な振る舞いにお姉さんは少しふふっと笑みをこぼす。その姿が何処と無く悲しげにも思えたのは気のせいだろう。

 

 

「貴方もここの近くに?」

 

「まぁめんどくさい幼馴染も居ますけどね」

 

「お兄ちゃんツンデレ?」

 

「違う、残念ながらこれは本音だ」

 

 

有咲みたいに俺はツンツンしてないしデレデレもしてない。そりゃこのくらい長い間一緒にいればめんどくさいとも思うだろうに。めんどくさいと思っても嫌とは一度も思ってないことが不思議。俺も俺で香澄には甘いからな。

 

 

「というよりお兄ちゃん大丈夫なの?」

 

「おたえがもう少し待てってさ」

 

「......ちょっと待って、今何て言ったの?」

 

「ああ、今日はちょっと友達と会う約束してて」

 

 

 

おたえのやつもう4.5分くらいは経ってるのに連絡も来ないな。俺の裁量で判断しても良いならもう家に行きたいんだけどな。本音を言うとオッちゃんを愛でたい。おたえほどでは無いがウサギは好きだ。あのもふもふした手触りとピョンピョン跳ねる姿が堪らん。

 

 

「ちょっと電話してみるわ......もしもしおたえ?」

 

『どしたのむっくん?』

 

「どうしたもこうしたもマクノシタもねぇよ」

 

『私はコラッタ派だよ?』

 

「ポケモン談義してる場合じゃないだろ、もう準備とやらは出来たのか?」

 

 

案外おたえにもネタが通じて助かる。俺も小さい頃に一度だけ、しかし滅茶苦茶ハマったことがあるのだ。その頃は必死になって個体値やらなんやら追い求めてたなぁ。そのくせ令香は数回でほぼMAXの個体値叩き出すからな。

 

 

 

『今はレイを迎えに行ってるところ』

 

「はぁ......場所言ってくれ、俺達もそこ行くから」

 

『むっくん見っけ』

 

「あん?それ多分似てるだけだろ」

 

 

 

この世にはドッペルゲンガーという存在があってだな。説明すると長くなるがそいつらに会うとどうやらお亡くなりになるらしい。だから俺は絶対にあってはならないわけだ。

 

 

 

『嘘じゃないもん、むっくん後ろ向いてみて』

 

「んなバカなことあるか」

 

 

いつものおたえの天然だろうと思い振り返るといつもの天然おたえが居ました。なんで?幼馴染の子迎えに行ってたんじゃないのかしらこの子。もしかしておたえのドッペルゲンガー説ある?

 

 

『ほら、やっぱりむっくんだ』

 

「この至近距離なのに電話してるとこ見るとおたえで間違いなさそうだな」

 

「そろそろ茶番終わった?」

 

「やめろ令香、茶番とか言うな」

 

 

流石に目の前の手の届く距離まできて電話は無いので通話を切る。

 

 

「あれ?なんでレイと一緒にいるの?」

 

「......はい?」

 

「はぁ......やっぱお兄ちゃん気付いてなかったんだ」

 

 

あからさまにため息をつく令香。レイ?おたえさんの幼馴染の和奏レイさんでいらっしゃいますか?いや、見せてもらった写真と違うから分からんだろ。顔で判断しろ?それが出来たら人間苦労しねぇよ。というより俺は案外人の顔覚えるの下手なの忘れてんのか令香のやつ。

 

 

「はなちゃんごめんね迎えに来てもらって」

 

「ううん、まさかレイがむっくんと先に会ってるとは思わなかったよ」

 

「まぁ偶々出会ったというか」

 

「れーかが困ってるとこ助けてもらったの!」

 

 

さぁ始まりました第一回斎藤宗輝ハブり選手権。これはどれだけシンプル且つ自然に俺の事を話からハブることが出来るのかを競うものだ。現在1位は我が妹斎藤令香。俺が話そうとするタイミングで話を持ち出し俺の前へとポジションを取る。更に小声でおたえの分の飲み物を買ってこいという指示まで頂いた。残念だ令香、最後に"お願いお兄ちゃん(はーと)"があればぶっちぎりの1位だったな。

 

 

 

「はなちゃんが前に言ってたのはあの人のこと?」

 

「そうだよ」

 

「へぇ〜」

 

「おたえさんはお兄ちゃんの事なんて言ったんですか?」

 

 

 

後ろの方で話し声が聞こえるのをBGM代わりにして自販機へ向かう。おたえなら別になんでもいい気がしてきた。まぁ無難にお茶で良いだろう。小銭......が無かったので仕方なく札を入れてお茶を購入。今回は詰まらなくて助かった。

 

 

 

「ほい、お茶で良かったか?」

 

「ありがとむっくん」

 

「はなちゃんこれからどうするの?」

 

「んー、取り敢えず家に戻ろうかな」

 

 

 

おたえ判断で一先ず花園家へお邪魔する事になった。おたえの家なんて久し振りだからちょっと緊張する。おたえの母さんもちょっとばかし俺の母さんと似たところあるからなぁ。

 

 

 

 

 

~花園宅~

 

 

 

「ただいまー」

 

『お邪魔します』

 

「たえちゃんのお母さんで〜す」ヒョイ

 

 

 

玄関のドアを開けるや否やリビングからおたえのママンが顔をヒョイっと出してくる。俺の母さんと違いゆるふわ系なのが原因なのかあまり痛くないのが逆に辛い。やっぱこの親あってこの子ありだな。

 

 

「お久し振りです」

 

「あらあら宗輝君とレイちゃんもいるじゃない」

 

「は、初めまして!」

 

「この子は......ハッ!!もしかしてたえちゃんとの隠し子⁉︎」

 

「うん、そうだよー」

 

「おいバカやめろ、この人なら信じちゃうから」

 

 

その後俺の妹だという事を10分ばかし時間をかけて説得した。というより絶対分かって遊んでただろこの人。おたえは完全に天然だがおたえママはちょっと人工の可能性アリだな。

 

 

 

「まぁ冗談は置いておいて上がって頂戴」

 

「私ちょっと部屋に行ってくるね」

 

 

 

そう言って何食わぬ顔で一人自室へ向かうおたえ。マジでマイペースだなコイツ。まぁそこがおたえの良いところだったりもするし今更でも無いけど。

 

 

「レイちゃんは今何してるの?」

 

「バンドでベースとボーカルやってます」

 

「へぇ、ベース&ボーカルって珍しいですね」

 

 

俺の身近にあるバンドでベース&ボーカルやってるのは見たことがない。ミュージックスクールに通ってたのなら上手なのだろう。それはおたえや有咲を見ていれば分かる。令香はちょっと例外な。この子完全に日菜とかと同じタイプだから。かと言って努力してない訳では無いんだけど。

 

 

「おまたせ〜」

 

「何持ってきたんだ?」

 

「私とレイの昔の写真だよ」

 

 

おたえがアルバムの様なものを机一杯に広げる。そこには小さい頃のおたえ達が写っていた。アルバムにあるほとんどの写真が笑顔で撮られている。先程見た笑顔とは違い、なんだか心の底から笑えている様にも見える。

 

 

「そう言えばはなちゃん」

 

「んー?」

 

「前に言ったの覚えてる?」

 

「......うん」

 

 

急におたえの表情が暗くなり和奏......上かもしれないから和奏さんでいいや、和奏さんも真剣な表情になる。それを感じ取ったのかおたえママはすーっとその場から姿を消す。ついでに令香も連れていかれた。え、これ俺どうすればいいわけ?

 

 

 

「私達とバンド組むって話、答えを聞かせて」

 

「.......ちょっと待ってくれ。バンド?おたえポピパの事は言ってないのか?」

 

「言った、それでもレイはバンドやりたいらしいの」

 

「でもバンドメンバーは足りてるんじゃないのか?」

 

「サポートギターがこの前のライブで終わっちゃったの」

 

 

 

正直話が急展開過ぎて頭が追いついてない。おたえはポピパ、和奏さんは別のバンド。そしてサポートギターが契約切れしたからおたえを誘ったと。でもおたえはポピパがあるから無理だ。他の人じゃダメなのか?

 

 

 

「......分かった。一度私達の音を聴いて、それから判断して欲しい」

 

「聴くって言ってもどうするんだ?」

 

「友達のお父さんがオーナーやってるライブハウスがあるからそこで」

 

「だってさ、おたえどうする?」

 

「取り敢えず聴く」

 

 

 

そして、俺達は演奏を聴く為にライブハウスへと移動した。

 

 

 

 

 

 

~Galaxy~

 

 

 

 

「ライブハウスってGalaxyの事だったのか」

 

「お兄ちゃん来たことあるの?」

 

「そりゃあ六花もいるしな」

 

 

おたえと和奏さんと俺と令香の四人でGalaxyへやってきた。まさかGalaxyのオーナーさんが友達の幼馴染の友達のお父さんだとは思わなんだ。なんか複雑だなこれ。

 

 

「......いきなり電話してきてどうしたんだよ」

 

「ごめんますき、ちょっとライブハウス借りても良い?」

 

「別に良いけど何するんだよ」

 

「実はますきにも手伝ってもらいたいの」

 

 

Galaxyの横にある八百屋から出てきた"ますき"という女性。髪は金髪で物凄い目つきをしているが、何故かうざきの革ジャンを着ている。見たところバンド仲間なのだろうか。

 

 

「演奏するにしても二人じゃ無理だろ」

 

「ちゃんと残りのメンバーも呼んでるよ」

 

「ますきさんにレイヤさんを見つけましたよチュチュ様!」

 

「why?いきなり呼び出しなんて何用?」

 

 

すると何処からともなく現れた二人組。......待てよ、俺片方の子見たことあるな。確か、えっーと、あれだ。この前のパスパレのMV撮影の時にいた子だな。名前は多分パレオって言ってたっけ。

 

 

「レイ、この人達は?」

 

「今の私のバンドメンバーだよ」

 

「あ!貴方はパステルパレットのマネージャーさん!」

 

「しーっ!!あくまでも仮だからお静かに!」

 

 

こんなところで騒ぎを起こしてしまってはプロデューサーの鉄拳制裁を食らってしまうやもしれん。というか、今からライブハウスで演奏するのか。でもギター足りなくね?

 

 

 

「チュチュ、ギターの音は流せる?」

 

「No problemよレイヤ。但し演奏の質は落ちるけど」

 

「今はそれで充分」

 

 

 

ライブハウスへ入りスタジオへ向かう。早くも準備が始められ個人個人で細かな調整を行なっていた。演奏を聴く側の俺達三人は少し手持ち無沙汰になっていたのだが、ここには従業員もいることを忘れてはならない。

 

 

「あのー、もしかして宗輝先輩ですか?」

 

「ん?あれ、六花じゃん。入る時に居なかったからシフト入ってないんだとばかり思ってたわ」

 

「さっきまで休憩だったので......というより、今から何が始まるんですか?」

 

「まぁ六花も聴けば分かると思うぞ」

 

 

六花は首を傾げながらも椅子へ腰掛ける。そのタイミングで丁度準備も終わった様子。

 

 

「はなちゃん、これが今の私の......私達の音楽よ」

 

「......」

 

 

 

『R・I・O・T』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

驚いた。まさかこの前友希那が渡されたUSBに入っていた曲。それをここでもう一度聴くことになるなんて思いもしなかった。という事は友希那をスカウトしたのもこのバンドってことか。

 

 

 

「......どう?」

 

「......痺れた。こんなの初めて聴いた」

 

「当然よ、私達の音楽は常にperfectなのだから!」

 

「流石チュチュ様!」

 

 

 

今回はギター不足で完全では無かったとはいえ、前にUSBで聞いた時と遜色無いレベルだった。友希那をスカウトし、これだけのメンバーを集め、更にはおたえをスカウトする。一体コイツらは何者なのか。

 

 

「私達は"RAISE A SUILEN"、略してRASよ!」

 

「はなちゃん、待ってるから」

 

 

 

そして、演奏が終わったと思えばささっと帰ってしまった。残されたのは俺と令香とおたえ、そして従業員で絶賛バイト中の六花の4人。

 

 

 

「令香はどう思った?」

 

「どうもこうも無いじゃん、聴いたまんまだよ」

 

「六花は?」

 

「えぇ!わ、私は何というか......凄いなぁって思いました」

 

 

 

まぁ普通はそうなんだよな。しかしおたえからしてみれば凄いなぁ、で終わるような問題では無い。確かに技術的にはポピパより遥かに格上だろう。もしかするとRoseliaよりも上かもしれない。けれどポピパがおたえにはある。

 

 

「こればっかりは真剣に考えた方が良いかもな」

 

「どういう事お兄ちゃん?」

 

「ポピパに残るか、それともポピパを抜けてRASに入るか」

 

「......ごめん、今日は帰るね」

 

 

RASのメンバーに続きおたえまでもが帰ってしまった。今は俺達が余計な事を言うよりは一人で考える時間が必要だろう。後々の事を考えるとポピパで話し合う必要もある。

 

 

「......んー、由々しき事態だ」

 

「お兄ちゃんどうするの?」

 

「おたえのことに関してはおたえに任せる」

 

 

この前約束したばっかりだしな。俺の助けが必要ならおたえの方から言ってくるだろ。今は待つしかなさそうだし。それよりは別の案を俺の方で考えるかね。

 

 

「六花、ちょっとギター弾いてみてくれ」

 

「えぇ!!いきなりですか⁉︎」

 

「すまんすまん、ふと思い返したら六花の音聴いたこと無かったなと思って」

 

 

無茶振りして驚いていた六花だが、渋々了承といった顔で準備を始める。奥の方から持ち出してきた六花のギター。確かストランドバーグだっけか。チューニングを終え、眼鏡を外しいつも一つにまとめている髪を解く。

 

 

「それじゃあいきます!」

 

 

 

曲の指定を忘れていたのだが、ここは流石六花と言うべきか。ポピパの曲である"キラキラだとか夢だとか〜Sing Girls〜"を弾いてくれる。一つのミスなく完全に再現されたギター。最後の方に六花自らがアレンジしたものを弾いて終わる。

 

 

 

「ど、どうでしょうか?」

 

 

「やっぱり六花はロックだな」

 

「お兄ちゃん意味分かんないよ」

 

「意味は六花に聞いてくれ」

 

「えぇ⁉︎また無茶振りですか⁉︎」

 

 

 

やっぱりそうだ。六花の音を聞いて確信する。というか六花マジで上手いな。中学時代からバンド組んでただけはあるな。

 

 

「そんでもって一つだけ頼みがある」

 

「私にですか?」

 

「おう、ちょっと負担かけるかもしれんが頼む」

 

「い、いえ!先輩の頼みなら断れませんから!」

 

「六花さん、お兄ちゃんに変な事されたら言って下さいね」

 

 

ちょっと令香ちゃん?実の兄を疑うのやめて?そこは良い後輩を持ったねとかあるじゃないの。何で真っ先に俺を疑うんだ。違う、決して俺は後輩を脅したりなんかしてないから。

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

 

「あら、案外早かったのね」

 

「お母さんお腹減った〜」

 

 

 

六花への頼みごとも伝え、今日のところは解散となった為帰宅。玄関に飾ってある星型の時計を見ると現在13時を過ぎた頃。一日潰れると思っていたが早く終わってしまった。香澄も帰ってないところを見るとまだやまぶきベーカリーで勤務中っぽいな。

 

 

「まだお母さん達もお昼食べてないのよ」

 

「じゃあお昼どーすんの?」

 

「久し振りにやまぶきベーカリーのパン食べたい!」

 

「だったらお金渡すからみんなの分買ってきてくれる?」

 

 

 

そんなこんなで今日のお昼ご飯はやまぶきベーカリー。丁度香澄や有咲達もいるしな。様子見がてらお邪魔してくるかね。

 

 

 

その後は父さんと母さんに欲しいパンを聞きお金を貰う。そしてお着替えして我が家を後にする。だって上はパーカーだけど下がスキニーで堅苦しいんだもん。動きやすいし上下ジャージで充分だ。やまぶきベーカリーだし特に気にする必要ないだろ。沙綾とかには注意されそうだけど。

 

 

 

「ねぇお兄ちゃん」

 

「なんだ我が妹よ」

 

「おたえさん大丈夫だよね?れーかはポピパ抜けて欲しくないな......」

 

「大丈夫だ、ポピパのリーダー誰か忘れたのか?」

 

 

 

こんな風にはぐらかしても不安の色は令香の顔からは消えてはくれなかった。優しいコイツの事だから自分なりにポピパの事を考えているのだろう。香澄が知ったらどうなることやら。

 

 

「それに腹が減っては戦はできぬって言うだろ?」

 

「別にお兄ちゃん戦いに行くわけじゃ無いじゃん」

 

「真面目な返しをありがとう......でもな令香、こればっかりは俺達がどうこうできるもんでも無いんだよ」

 

「じゃあおたえさんがポピパ抜けるって言ったらどうするの?」

 

「そん時はそん時考えれば良い」

 

 

 

先程のおたえの件について話しているとやまぶきベーカリーへ到着。どうやら道中ずっとこの話をしていたらしい。俺も令香もやはり気になるのだろう。また明日からは学校がある。ポピパのみんなとも話すだろう。だけど、今はおたえを待つ。それが俺に出来る事だと思うから。

 

 

「ほら、やまぶきベーカリー着いたぞ」

 

「れーかチョココロネとメロンパンとうさぎのしっぽパンね」

 

「へいへい、何なりと召し上がれ」

 

 

 

『いらっしゃいませ〜!』

 

 

 

 

 

~To Be Continued~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宗輝「お・ま・けのコーナーだよー」

 

 

宗輝「今回のゲストはこころと美咲だ!」

 

 

こころ「ねぇねぇ宗輝!」

 

 

宗輝「なんだ?」

 

 

こころ「何か楽しいことないかしら⁉︎」

 

 

宗輝「だとよ美咲」

 

 

美咲「いや、こころはアンタに聞いたんだよ」

 

 

宗輝「こころ、美咲が良い案があるって」

 

 

こころ「あら、じゃあ美咲教えて頂戴!」

 

 

美咲「へ?ま、まぁ最近寒くなってきたし雪山でも登ったら楽しいんじゃない?」

 

 

宗輝「ばっかお前、これ絶対......」

 

 

こころ「雪山登山ね!確かに楽しそうね!」

 

 

宗輝「俺は知らんぞ美咲」

 

 

美咲「元はと言えば宗輝のせいでしょ」

 

 

こころ「ハロパピのメンバーみんなで行ったらもっと楽しそう!」

 

 

宗輝「ほら言わんこっちゃない」

 

 

美咲「宗輝も行きたいってさ」

 

 

宗輝「なっ⁉︎」

 

 

こころ「大丈夫よ宗輝、一人増えたところで変わりはないわ!」

 

 

宗輝「覚えてろよ美咲......」

 

 

美咲「アンタも道連れだよ......」

 

 

こころ「どんどん楽しくなってきたわ!」

 

 

 

ガルパ☆ピコ Pico14へ続く......?

 

 

 

 

 

-End-

 




最近知ったのですが、チュチュとパレオって同級生なんですね。パレオが大人びて見えるのかチュチュが子供っぽくみえるのか。
どちらにせよ両方可愛いのでokです。

p.s
最近主はポピラジ聴きながら寝るのににハマってます。
ぽっぴんぱ〜♪

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