トリプルP!~Produce"Poppin'Party"~   作:Lycka

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新たに☆9評価頂きました ELZさん Oriensさん ありがとうございます!少しずつですが評価頂けて嬉しいです!......でももっと欲しい!(欲望まみれ)

バンドリ3期も始まった事ですしドンドン界隈も盛り上がっていきそうで楽しみでございますな。

それでは、54話ご覧下さい。




Produce 54#CiRCLEぱにっく!?

 

 

 

 

 

 

 

 

~CiRCLE~

 

 

 

 

「お邪魔しまーす」

 

 

 

今日は千聖さんと花音先輩に振り回されて心身共に疲れているのだが仕方ない。彩や日菜からの招集となるとパスパレ関連かもしれないしな。こんな時こそガッツよ宗輝!

 

 

 

「宗輝みーっけ!」

 

「日菜みーっけ」

 

「電車なんか乗ってどこ行ってたの?」

 

「千聖さんと花音先輩とデート」

 

「ん?ごめん聞こえなかった!」ゴキッ

 

 

 

思いクソ日菜に関節技極められてるんだけど......。ちょ、どんどん力強くなってるって!!このままだと関節外れるし激痛で昇天しちゃうよぉ!

 

 

 

「ちょ、ギブギブ!!デートは嘘!普通に買い物に付き合わされただけだよ!」

 

「なーんだ、それなら良かった!」

 

「二人の相手で疲れてるんだから勘弁してくれ......」

 

 

 

安心しきった表情で近くのソファへ腰掛ける日菜。こちとら今日はずっと安心出来ない状況だったんだけどな。迷子の達人の花音先輩に乗り換え苦手な千聖さん。しかも、千聖さんに限って言えば何故か花音先輩の迷子能力までコピーしてるし。

 

 

 

「まず日菜達が何でここにいるんだよ」

 

「今度の文化祭ライブのポスターを渡しに来たんだよ」

 

「あぁ、確かにそんなの作ってたな」

 

 

 

俺の記憶が正しければ告知的な感じでポスターを作った気がする。他の資料とかデータ作成に頭回しててほぼ忘れてたわ。

 

 

 

「んで、肝心の彩はどうした」

 

「まりなさんとお話し中だと思うよ」

 

「やっぱ今回の呼び出しはまりなさんが原因か」

 

「残念ながら外れだよ〜」

 

「外れ?それなら何でこの時間にどういう理由で呼び出ししたんだよ」

 

 

 

帰ったらこっそり持ち帰ってる資料を仕上げようと思ったのに。別に絶対に必要な書類では無いから良いけど。ただ俺が勝手にまとめてるってだけの簡易的な資料、というかメモというかやらないといけない事リストみたいな。こうでもしないと何か忘れそうで怖いのです。

 

 

 

「それをこれからお話ししよう!」

 

「......まりなさん何でそんなに元気なんですか」

 

「んー?それは久し振りに出番が......ン-ッ!!」

 

「日菜ちゃんちょっとお口チャックしようか」ガバッ

 

 

 

要するに久し振りの出番だから張り切ってんのか。まりなさんも案外子供っぽいところあるんだな。社会や働く事の裏側について網羅してる何処ぞのプロデューサーとは大違いだ。

 

 

 

「あと何で彩はそんなにやつれてるんだよ」

 

「だってぇ〜......」チラッ

 

「あー、分かった。何も言うな」ナデナデ

 

 

 

俺の想像通りならまりなさんに何か押し付けられたのだろう。優しい彩の事だ、頼まれると断れないから仕方なく了承した感じか。パスパレも文化祭ライブ出ること決まったしその後は主催ライブもある。こんな忙しい時にやめてほしいのだが......。

 

 

 

「それじゃあ本題に移ろうか!」

 

 

 

 

こんなに元気なまりなさんを見るのも久し振りだし許してあげるとするか。

 

 

 

 

「それで、今回は何やらかしたんですか?」

 

「実は明日CiRCLEでライブを開く事になっててね!」

 

「すみません聞こえなかったのでもう一回お願いします」

 

「明日ここでライブをするんだよ!」

 

「......俺初耳なんですけど」

 

 

 

一応俺もCiRCLEにバイトとして働かせてもらってるはずなんだけどな。最近ずっとシフト入って無いから除名されてる感じ?しかし、それなら今日俺を呼び出すのはおかしいというものだ。この人無賃労働させる気なのだろうか。

 

 

 

「宗輝君、他にバイトの子が何人居たか覚えてる?」

 

「確か2人居たような気がしますね」

 

「正解、でもその二人が体調崩しちゃって明日来れなくなったの」

 

「なら明日のライブは中止?」

 

「そういうわけにはいかないわ!だって久しぶりのCiRCLEでのライブなのよ!?これを逃す手は無いわ!」

 

 

 

この流れは完全に手伝わされるな。オフだって言われたのにちっともオフらしい事出来てない。この繁忙期ともいえる直近一ヶ月を乗り越えたらまとめて休みを貰うしかないな。

 

 

「だから宗輝君には手伝ってもらおうと思って」

 

「この際良いですよ。というか俺もバイトですし」

 

「良かった!友達とか連れて来ても良いからね!」

 

 

 

残念、俺には友達と呼べる男性が居ないのです。それ故に呼ぶなら香澄とかそこら辺になる。

 

 

 

「彩は明日何か予定あんの?」

 

「明日は別に何も無いよ」

 

「なら決定、後は適当に香澄でも誘うか......」

 

「何が決定したの?」

 

「ん?彩にも手伝ってもらおうと思って」

 

「私は明日お姉ちゃんと遊ぶから無理だよー」

 

 

日菜は紗夜さんと遊ぶらしいからNGと。まぁ紗夜さんと遊ぶ約束を蹴ってまで手伝ってもらう訳にもいかないしな。その調子でどんどん紗夜日菜していって欲しいものである。

 

 

 

 

「じゃあ明日はよろしくね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

昨日は話がまとまってからは少し世間話をして帰宅。帰ると当たり前の様に香澄が居たので頼んだら二つ返事でok頂きました。令香は駄々こねてたけどお兄ちゃん的にNG出しといた。別に一緒に手伝ってもらっても良いんだけど悪い虫が付くかもしれないからな。

 

 

 

「むーくん起きろー!」

 

「んぁ......」

 

「お手伝いに行くぞー!」

 

 

 

一度目に身体を揺さぶられ、二度目に布団の追い剥ぎを喰らい起きざるを得なくなってしまった。まるで気絶している人を起こすかのように肩に手を置きブンブン揺さぶられると流石に目が覚めるというものだ。

 

 

10月に入っており既に気温も下がってきている。そんな中で俺の友と言える布団と離れ離れになるとかマジやばたん。香澄さん最近卍力アップしてきてね?......昨日テレビでこんな感じの言い回ししてたから試してみたけど頭悪過ぎるからやめよう。

 

 

 

「そろそろ起きなよお兄ちゃん」

 

「起きてるけど香澄がやめないんだよ」

 

「朝ご飯出来てるよ!」

 

「分かったから手を離してくれ」

 

 

 

ふと思い出したように肩から手を離す香澄。大体身体起こしてんのに未だに揺さぶり続けるとかどういう事だよ。軽くなんかのアトラクションに乗ってんのかと錯覚するレベルだったぞ。

 

 

 

「お兄ちゃん寝癖凄いよ」

 

「むーくん髪の毛お星様みたいになってるよ?」

 

「......うわ、マジでお星様じゃん」

 

 

 

前から寝癖は悪かったのだが今日は格別に凄いことになってる気がする。部屋に置いてある鏡で確認すると寝起きの俺でも分かるほどお星様になってるし。というかこれどうなってんだよ......。

 

 

「洗面所行って顔でも洗ってきたら?」

 

「軽く髪も濡らしてくる」

 

「先に食べてても良い?」

 

「俺の分は残しとけよ」

 

「はーい」

 

 

令香と香澄には前科があるので予め釘を刺しておく。アイツら母さんの作った玉子焼きが美味しいからって俺の分まで食べた事があるのだ。しかも口一杯に頬張ったところを目撃したにも関わらず"食べてません"アピールをするから油断も隙も無い。

 

 

 

 

 

 

 

~CiRCLE~

 

 

 

 

 

一通り身支度を済ませて母さんの作った朝食を三人で食べて俺と香澄はCiRCLEへ。今日のライブは一週間程前に急にまりなさんが決めたらしく、出演バンドの欄を見る限り俺の知ってるバンドは出てなかった。まぁそれはそれで手伝いがやり易いから良いんだけどな。

 

 

 

「おはようございまーす」

 

「おはよーございます!」

 

「宗輝君に香澄ちゃん、今日はよろしくね」

 

 

 

CiRCLEに入ると普通のテンションのまりなさんが迎えてくれる。昨日のままだったらめんどくさいと思ったけどそんな事なかったな。大体まりなさんがテンション高い時ってCiRCLEが繁盛してる時くらいだったからなぁ。お金が入ってくるからなのか、それとも普通に繁盛することが嬉しいのかイマイチ分からん。どっちにせよ自分の気持ちに素直なのは良いところだとは思うけど。かと言って昨日みたいな事にはならないで欲しいものである。

 

 

 

「彩はまだ来てないんですか?」

 

「彩ちゃんならもう準備に掛かってるよ」

 

「なら俺達も着替えて準備するか」

 

「うん!」

 

 

 

流石に私服でCiRCLEのお手伝いをする訳にはいかないので一応制服に着替えておく。制服といってもみんなで統一されたTシャツを着るだけなんだけどな。シンプルに"CiRCLE"と描かれた白色の長袖に黒のスキニーを履いて服装は準備完了。

 

 

 

「宗輝君、香澄ちゃんもおはよう」

 

「彩先輩!おはようございます!」

 

「ふむふむ、彩も制服中々似合ってるな」

 

「えへへ、そーかな?」

 

 

 

令香直伝の"これで女の子を一網打尽!"によると、まずは女の子の服装を褒めるべし!だそうです。というか彩とかアイドルしてるんだから似合うに決まってるんだよなぁ。なんなら今すぐ嫁に貰っても文句無いくらいだ。でもこれを口に出すと確実に俺の身に危険が及ぶので心の中だけに留めておく。昨日の日菜の関節技だけでも滅茶苦茶痛かったのにそれ以上なんてまっぴら御免だからな。

 

 

 

「むーくんむーくん!」

 

「はいはいお前も似合ってるよ。これぐらい言わなくても分かるだろ」

 

「ありがとむーくん!」ギュッ

 

「あ、暑苦しいぃ......」

 

「あはは......」

 

 

 

CiRCLE内はエアコンにより快適な温度に保たれているはずなのだが、香澄が引っ付いてくるせいで暑い。さっそく長袖から半袖に変えたくなったぞ。ライブの手伝いしてると自然と汗かくこと多いから一応持ってきているが、こんなにも早く着たくなるとは思わなんだ。

 

 

 

「それじゃあ掃除からお願いしようかな」

 

「ステージの方ですか?」

 

「ステージは昨日しておいたから他をよろしくね」

 

「了解です」

 

 

 

 

ステージをやってくれるのなら他もやっておいて欲しかったのが本音だがこれも留めておこう。なんと言っても酷い時は全部当日だったからな。それに比べればまだマシな方だし香澄や彩もいる事だしそんなに時間はかからないだろう。

 

 

 

「じゃあ香澄は受付周辺の掃除、彩は俺とカフェの方を掃除だな」

 

「らじゃ!」

 

「掃除道具は何処にあるの?」

 

「もうまりなさんが準備してくれてるらしいぞ」

 

 

 

我がCiRCLEにはカフェが併設されており、案外これが人気だったりした時期もあったのだ。俺がバイトとして入った時に丁度カフェが設置、他のバイトの子含めまりなさんに教育受けたのは懐かしい思い出だったりする。それからはメニューにポテトが追加されたり俺の自作であるオリジナルコーヒーが追加されたりと色々とあった思い出深い場所でもある。

 

 

 

「彩はホウキで掃き掃除頼むな」

 

「うん、分かった!」

 

「その後を俺がモップがけしていくから」

 

 

 

掃除と言っても普段から気にかけているせいかそこまで汚れていない様にも見える。掃除にあまり時間をかけるわけにもいかないので早さ重視でちょちょいと掃き掃除を済ませてモップがけをしていく。

 

 

「後は机とか椅子を綺麗にしていってくれ」

 

「これで拭いても良い?」

 

「それで頼む」

 

 

そう言って彩が机や椅子の汚れを拭き取る作業へと移る。手に持っているのは弦巻家作成のミッシェル布巾である。裏表にデカデカとミッシェルが描かれており、性能としても優れている一級品。巷ではこれを求めてミッシェルファンによる争奪戦が行われたとかなんとか。カフェに常備してるんだけど、このまま置いておいても大丈夫なのかしら。

 

 

 

「むーくん終わった!」

 

「俺達もそろそろ終わるからまりなさん呼んできてくれ」

 

「分かった!」

 

「香澄ちゃん早いね」

 

「アイツ片付けとかああ見えて得意なんだよ」

 

 

 

明日香がしっかりしてるからそれに隠れがちだけど香澄も案外出来る子なのだ。本人曰く俺の部屋を勝手に片付けてる間に身に付いたらしい。よって俺があまり掃除が好きじゃないのも香澄に原因があると言える。

 

 

 

その後も彩と話しながらではあるが掃除を進めているうちにまりなさんが到着。これで受付とカフェ共に綺麗に出来た。ぼちぼち出演バンドの人達が最終リハの為に控え室入りしているのが見て取れる。この後最終リハして終わったら開店してライブの流れだな。

 

 

 

「みんなには最終リハも手伝ってもらうね」

 

「本番はどうするんですか?」

 

「本番は私一人でやるから三人は受付とカフェお願いね」

 

「なら早速最終リハやりましょうか」

 

 

 

今回のCiRCLEでのライブに出演するのは4バンド。今や大ガールズバンド時代なんて言われてる中で力強くライブ続けてるみんなには素直に尊敬しかしない。俺だったら一番先に波に飲まれてる自信がある。決して量産型にはならず、しかし基本に忠実にいかに自分たちの味を上手く出せるかが大事になってくる。そういう風に考えるとハロパピとか最強格なんだけどな。

 

 

 

「それじゃあ順番にお願いしまーす!」

 

「彩先輩これどうするんですか?」「えーっと......どうするんだろう?」

 

「もう少し照明暗く出来ますか?」

 

「はーい、香澄照明暗くしてくれ」

 

「照明?えーっと、これかな?」ポチッ

 

 

 

香澄が少し不安げな事を口走りながらもボタンをポチッと押す。するとステージの照明が一気に暗くなり何も見えなくなってしまった。バンドメンバーも少し驚いてしまった様子。

 

 

 

「バカ、それは暗転のボタンだ」

 

「なら......こっち?」ポチッ

 

 

 

暗転のボタンの横にあるボタンを押して今度は明転。普通暗転の横にあるんだから明転って思いませんかね。俺の幼馴染は変なところでポンコツかますから扱いづらいことこの上ないな。

 

 

「その下に調節できるつまみがあるだろ」

 

「おぉ〜、本当だ」

 

 

やっと照明の明暗を調節できるようになったところでバンドメンバーと相談しつつ仕上げにかかる。その後は香澄には待機命令を出して彩と交代。彩も少し機械音痴なところがあったが何とかスムーズに最終リハは終了。

 

 

 

「今日はよろしくお願いしまーす!」

 

『よろしくお願いします!』

 

 

 

 

 

一度メンバーは控え室に戻りライブまで待機。そして俺達はCiRCLEを開店してお客さんに応対していく。まりなさん一人にライブの対応を任せるのは少し不安が残るが今は頼るしかないだろう。こっちも手が足りてる訳ではないからな。唯一の救いは彩のバーガーショップでの経験が最大限に生かされているという事だろうか。

 

 

 

「いらっしゃいませ!」

 

「オリジナルコーヒーを二つお願いします」

 

「本日のライブのチケットはお持ちですか?」

 

 

「えーっと、取り置き取り置き......」

 

 

 

今は香澄に受付を任せて俺と彩の二人でカフェを回している状況。香澄一人にずっと任せる訳にもいかないので俺は両方を行き来するといった形になる。因みに今日のライブのチケットがある人は30%OFFと超お得なのだ。まぁ大体はライブ見に来てる人しかカフェ来ないんだけどな。

 

 

「オリジナルコーヒー二つお持ちしました!」

 

「宗輝君!お会計お願い出来る!?」

 

「了解!彩はドリンク頼む!」

 

 

「取り置きあった!高校生二人ですね!」

 

 

 

注文を受けドリンクを注いで持ってくる。その後に会計をしてやっと一息、と思いきや次の注文を取る。そんな流れでかれこれ数分は動きっぱなしで少し汗をかいてきたところ。やっぱ半袖にしときゃ良かったかも。

 

 

 

「......ちょっとの間だけ頼めるか?」

 

「え?う、うん!」

 

 

注文の波が少し収まってきたところを見計らって香澄の様子を見に受付へと向かう。カフェよりは簡単だから問題起こしてないと良いんだけど。

 

 

「ちゃんと受付出来てるか?」

 

「うん!バッチリだよむーくん!」グッ

 

「そんなポーズ取ってる暇無いだろ」

 

「わぁ!いらっしゃいませ......って日菜先輩に紗夜先輩!?」

 

 

 

俺に向けてグッジョブポーズを取る香澄を宥めて受付に集中させようとしたら、何やら知ってる名前が聞こえたので表へ出て確認する。

 

 

「やっほー!」

 

「何故貴方が居るんですか?」

 

「まぁ色々と......というか紗夜さんこそ何で?」

 

「少し前からここでライブがあることは知っていたので」

 

「お姉ちゃん誘って一緒に来ちゃった!」

 

 

「日菜少し離れなさい」「えー、別にこのくらい良いじゃん!」

 

 

 

昨日日菜が紗夜さんと遊ぶって言ってたのはこの事だったって訳か。紗夜さんと一緒に来れて嬉しいのは日菜の様子を見ればハッキリと分かる。余程紗夜さんの事が好きなのだろう。一線だけは超えないように注意して頂きたい。

 

 

「なら高校生二人で、今日は俺が奢りますよ」

 

「ホント?やったー!」

 

「ならポテ......コホン、コーヒーをお願いするわ」

 

「じゃあ私もお姉ちゃんと一緒の頂戴!」

 

「へいへい、紗夜さんのと一緒に持ってくるから待っててな」

 

 

いい加減紗夜さんもポテト好きなのオープンにすれば良いのに。隠し切れていないのが自分では分かってないのだろうか?それはそれでなんか可愛いから良いんだけどな。

 

 

「すまん彩、もうちょっとだけ頼む」

 

「わ、分かった!」

 

「私も手伝います!」

 

 

 

どうやら受付の方は既に終わったみたいで香澄もカフェの方へ参戦。一人増えるだけで凄く効率上がるから正直滅茶苦茶助かる。二人にカフェは任せて俺は紗夜さんと日菜のコーヒーとポテトを準備する。

 

 

「お待たせっと」

 

「ありがと宗輝!」

 

「......頼んでもいないものを持ってきてもらっても困るわね」パクッ

 

 

 

とか言いつつも既にポテトに手をつける紗夜さん。控えめに言ってぐう可愛い。ぐうの音も出ない程可愛いのでぐう可愛い。ケチャップをほっぺにつけてるところとか狙ってるとしか思えない。しかし、それを取るのは俺の仕事ではなく日菜の仕事だ。きょ、今日のところは譲ってあげるんだからね!?

 

 

 

「それではごゆっくり〜」

 

 

 

俺がカフェへ戻るとカフェの方も一段落着いた様子で彩が疲れた表情でうなだれている。俺や香澄がいたとは言えほとんど彩が対応していたようなものだ。頑張ったご褒美として今度何か欲しいものを一つ奢ってあげるとしよう。

 

 

 

「ライブ始まるみたいだよ!」

 

「俺がカフェ見とくから香澄と彩はライブ見てこいよ」

 

「い、良いの?」

 

「元はと言えば俺が強引に誘ってるからな。ライブ見たいだろうし気にせず行ってこい」

 

 

 

彩と香澄も先程までの応対で少し汗をかいたらしく、着替えてくると言ってバイトのみんなが使用してるロッカーへ向かう。彩に伝えた通り今日は半ば強引に彩を誘ったこともあり最後まで手伝ってもらう訳にもいかないだろう。後は俺一人でも何とかなりそうだし頑張りますかね。

 

 

 

「いらっしゃいませ!」

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「ん〜!お姉ちゃん楽しかったね!」

 

「まぁ勉強にはなったわね」

 

「......それは良かったです」

 

 

 

結論から言おう。一人じゃありゃ無理だ。何故か俺一人になってからも注文が止まる事はなく、結局ライブが終わるまでずっと働き詰めだったのだ。最近は事務所に座って頭動かしてる事が多かったから体力が落ちてきているのかもしれない。

 

 

「やっぱ私もいれば良かったかな?」

 

「いや、彩は良くやってくれたよ......問題はコイツだ」ポン

 

「.......んにゃ」zzz

 

 

カフェの仕事が終わり着替えようと思ってロッカーに来たら香澄が寝ていたのだ。彩も先に行っててくれと言われて気にしていなかったらしい。まぁロッカーで寝てるなんて普通は想像しないわな。

 

 

「今日はありがとね」

 

「まりなさんこそ良く一人でやり切りましたね」

 

「そこは根性と意地で何とかしたよ......」

 

「お互い満身創痍って感じですね......」

 

 

 

まりなさんも疲れているのは一目見て分かる。経験したことあるから分かるけど一人でやり切ったのはマジで凄いと思う。そういう点に関しては尊敬するレベルだな。

 

 

「なら私達は帰るね〜」

 

「明日からの学校に遅刻しないように」

 

「極力頑張ってみます......っしょっと」

 

「香澄ちゃんおんぶしたまま帰るの?」

 

「まぁ寝てるし起こす訳にもいかないからな」

 

「......ぽぴぱぁ」zzz

 

 

 

香澄の母さんや父さんに連絡して迎えに来てもらう訳にもいかないし。香澄の父さんに言えば何を置いても迎えに来ると思うけどな。ウチと変わらず娘大好きな親バカなのは近所の人も公認しつつあるから。

 

 

「じゃあ気を付けて帰ってね」

 

「こっちこそ送れなくてすまんな」

 

「ううん!私は大丈夫だよ!」

 

「......むーくんすきぃ」zzz

 

 

 

 

CiRCLEで紗夜さんと日菜と彩とは別れて戸山家へ向かい香澄を背負ったまま歩き始める。一人夕日が沈みつつある夕焼け空を見上げながらふと頭によぎる幼い頃の思い出。そう言えば小さい頃にも香澄が怪我すると俺がおぶって家まで送ったっけな。

 

 

 

「お前はあの頃と何も変わんないのな......」

 

 

 

いつかは終わるものだとしても、今はこの関係が俺にとって大切な事には変わりない。だからこそ、この一分一秒をいつまでも忘れないように脳裏に焼き付けておこう。それが俺にとって唯一無二の財産になるように。

 

 

 

「......」zzz

 

「気持ちよさそうに寝やがって......」

 

 

 

 

 

 

 

~To Be Continued~

 

 

 

 

 





生きること、それはホシノコドウと見つけたり。

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