トリプルP!~Produce"Poppin'Party"~ 作:Lycka
毎週木曜日が楽しみな主です。
案外アニメの放送を待つ一週間は嫌いじゃない派です。
3rd seasonがどうなるのか楽しみですな。
それでは、55話ご覧下さい。
└一応最終章スタートです( ̄∀ ̄)
Produce 55#チョイス
「宗輝ー、そろそろ起きなさーい」
「......分かったー」
この土日の疲れが残ったまま月曜日を迎えてしまった。然程日常生活には支障をきたさないレベルではあるものの、今週末にはRASのライブが開催される予定だ。勿論文化祭ライブやらの準備も並行して行わないといけない為休む訳にはいかない。
「......おはよ」
「おはよーお兄ちゃん」
「珍しく香澄は来てないんだな」
「香澄ちゃんは有咲ちゃんと一緒に登校するらしいわよ」
「ふーん、母さんご飯」
朝起こしに来ないと思ったらそういう事だったのか。今までだったら三人で登校してたのに今日だけ仲間外れを喰らってしまった。有咲はもしかしてあんまり俺とは登校したくないのだろうか。今度遠回しに聞いてみよう。
「父さんと母さんは今週末には向こうに行くからな」
「えらく急に決まったな」
「元々は夏季休暇の予定だったけどその後もまとめて休み取ってたからね」
「父さんも母さんもこんなに休んで大丈夫なのか?」
「あっちではこれが普通なのよ」
これも日本と外国の常識の違いというものなのだろう。日本人は働き過ぎなのだという事が他の国々と対比しても一目瞭然らしい。プロデューサー曰く、やれ有給が全く取れないだの残業手当が付かないだの所謂ブラックな企業があちこちにあるみたいだし。将来そういう会社には絶対に就職したくないものだ。
「そこで提案がある」
「何だよ、また令香だけ連れてくのか?」
「今度またいつ帰ってくるか分からん以上、この際お前達も一緒に来ないか?」
「......それマジで言ってんの?」
「令香もさっき聞いたからホントっぽいよ」
確かにいつ帰ってくるか分からない以上、俺と令香の二人で暮らしていくのには不安も残るだろう。俺に子供が出来たなら絶対に連れていくと思うし。でもそうやって強引に連れて行こうとしないのには理由があるのだと思う。
「でも、こっちに帰ってきた時の話じゃ年末には帰れるって言ってた気がするんだけど」
「最初はそうだったが、来年の1月から新プロジェクトが立ち上がる関係で残らないといけなくなったんだ」
「それで今回のお休みを長くしたのよ」
父さんが会社にとって有益な人材であり、新プロジェクトを立ち上げるにあたっての必要なファクターである事は理解できる。昔からこの人は仕事が出来るみたいだし、母さんもそんな父さんだからこそ好きになったのだろう。だがしかし、いきなり海外へ行こうなんて言われて冷静さを保てる子供が果たしているのだろうか。
「学校とかどーするんだよ」
「向こうに行くのなら編入という形になる」
「そんなこと急に言われても判断出来るわけないだろ」
「私達も宗輝や令香なら難なく過ごせるのは分かってるわ。でもね、やっぱり二人だけっていうのはどうしても不安が残るのよ......」
元々は俺一人だけで過ごしていたのにはちゃんとした理由がある。一つは、まだ令香が幼かったから。今なら俺も家事全般出来るし令香にもこなせるだろう。しかし、父さんと母さんの滞在期間中にも事件やら問題やらは沢山あった。そういう不安要素を母さん達は懸念しているのだと推測できる。
「出来れば今日明日中で考えてくれない?」
「......分かった」
俺と令香に突き付けられた二択。父さんと母さんについて行き、家族全員海外で生活を共にするのか。それとも俺と令香の二人だけでもここに残り、花咲川に通いながら二人暮らししていくのか。
「......所謂究極の二択って訳かよ」
考えがまとまる様子は一切無く、朝ご飯を終え遅刻しないように少し早めに家を出た。
***
「......ます!......聞いてるの!?」
家を出てからもずっと歩きながらこれからの事を考えていた。シミュレーションゲームさながら、もし俺と令香も海外へ行き家族全員で暮らすことになれば......。確かに今までとは違った環境にはなるかもしれないが、それはそれで楽しかったりするのかもしれない。向こうで新たな人間関係を築き上げたり、はたまたバンドを組むのも面白そうだ。
「......したんですか?」
しかし、そうなった場合こちらでの今までの生活はどうなるのだろうか。香澄や明日香は勿論の事、直近ではRASの主催ライブもあるし文化祭ライブだって色々やり始めたばかりだ。友希那と蘭のRoseliaとアフグロの対バンライブだって見たい。こころ達ハロパピも文化祭ライブに誘おうと思ってたし。こうやって考えてみるとまだまだやりたい事、やり残した事が沢山ある事に気が付いた。
「ちょっと貴方!?さっきからちゃんと聞いてるの!?」
「さ、紗夜さん?すみません、ボーッとしてました」
「宗輝君体調悪いの?」
紗夜さんの声で意識は現実世界へと連れ戻される。紗夜さんの隣には生徒会長である燐子先輩や他の生徒会メンバーが並んで挨拶をしている。というよりは、考えに耽っている間に花咲川へ到着していたみたいで少しビックリだ。
「大丈夫ですよ燐子先輩。それより委員会が生徒会の挨拶運動ですか?」
「どうしても生徒会だけでは足りないので......」
「週毎でそれぞれの委員会が一緒にやる事が決まったのよ」
「それで今週は風紀委員の番ってわけですね」
だから昨日は遅刻するなって予め釘を刺されたのか。紗夜さんは俺の事を遅刻常習犯みたいに考えているかもしれないが、俺が遅刻だとみなされているのには原因がある。その大まかな原因となっているのがウチの担任教師だ。運の悪い事にウチの担任は風紀委員の担当の先生でもあるのだ。本当に全く持って運が悪い。
「じゃあ少し質問いいですか?」
「あまり時間も無いから手短にお願い」
「紗夜さんや燐子先輩にとって俺ってどんな存在ですか?」
自分にとって他人がどんな存在なのかを深く考える事はあまりないだろう。例えば、俺にとって令香は可愛い妹であり家族であり大切な存在だ。絶対に離れ離れになる事は無いし、令香を傷付ける物は何であっても許しはしない。こういう風に他人について深く掘り下げて考えた答えを聞きたかったからこの質問をした。
「......少し場所を変えましょうか」
「......?」
その場では何か問題があるのか、紗夜さんは場所を変えると言って俺達三人は校舎裏の気づかれにくい場所へと移動。
「では答える前に逆に貴方に質問しましょう。貴方にとって私や白金さんとはどんな存在なのでしょうか」
「先に答えろって事ですか」
「そう受け取ってもらっても構いません」
確かに紗夜さんや燐子先輩だけに答えてもらってはフェアでは無い。紗夜さんや燐子先輩の心の内を聞いているのだから、俺の心の内を紗夜さん達が聞くのはごく普通の事で筋が通っていると言える。
「......実は未だにハッキリとはしてません。でも、自分でもこれだけは分かってます」
「どういう......ことなの?」
「冷静沈着で臨機応変に対応出来て頼りがある風紀委員長の紗夜さんですけど、実は大のポテト好きで臨機応変に、とは言いましたが時々想定外の事が起きるとあたふたするところとか惚れそうになるくらい可愛いです」
普段は氷川家長女として、また日菜の姉としてや風紀委員長として模範となる様な行動に重きを置く紗夜さん。それでも、ポテトを目にすると欲が抑えきれなかったり我慢出来なかったりして、それをわざとらしく隠してツンツンするところも実に可愛らしい。
「誰よりも優しい燐子先輩は一見大人しそうに見えますが、その心の底には確かな音楽へのこだわりと情熱がある事は見ていて分かりました。ゲームをしている時の燐子先輩も普段のおっとりした燐子先輩も可愛らしいですが、時々大胆になる燐子先輩には少し驚かされます」
自分を変えたいという志を持って生徒会長として行動している燐子先輩。個人的にはRoseliaの中でも1.2位を争うレベルで音楽に関心と情熱を持っていると言える。そんな燐子先輩が居たからこそ、友希那達も支えられながらRoseliaとして日々成長出来たのだろう。俺だって燐子先輩に救われた事は幾度となくある。
「......これはもう隠しきれませんね」
「......氷川さん?」
「私は貴方の事が好き......なんでしょうね」
紗夜さんの口から出た言葉をすぐには理解する事は出来なかった。それもそのはず、あの紗夜さんから好きという単語が出る事さえ珍しいのだ。それを俺に向けてくれているという事実と向き合うのはさぞ難しい事だろう。また勘違いしていないだろうか、また間違えたりしないだろうか.......そんな俺の心の中の疑心暗鬼な部分がどんどん膨れ上がっていくのが直感的に分かる気がする。
「未だに自分の心の中でこの気持ちが決定付けられないの。今まで異性に対して恋愛感情なんて物は欠片も無かった。......いや、多分あってはいけなかったのよ。ギターを弾く上で必要の無い物だったから。だけれど、貴方が日菜に対するコンプレックスに悩む私を......私達姉妹を救ってくれたあの日から変わった」
俺が紗夜さんと日菜を救った。その言葉を聞いて久しく思い出す事が出来る。日菜に対するコンプレックスに悩み、一時期はギターすら辞めてしまおうと考えていた紗夜さん。俺と同じ悩みを抱えつつも、それまではずっとギターを弾き続けていた紗夜さん。そんな紗夜さんだからこそあの時に折れて欲しくなかった。だから、助けになるかは分からなかったが俺の出来る精一杯をした。
「貴方が私に微笑んでくれるだけで嬉しくて、貴方とギターを弾いていると心が落ち着くのが分かる。逆に今井さんや湊さん......それに白金さんに対して親しくしているのを見ると時々胸が締め付けられる様な感覚に陥ってしまう。......教えて宗輝君、これが"好き"っていう事なのかしら」
「......俺には」
分かっている。分かっているにも関わらず、紗夜さんの気持ちから目を背けてしまいそうになる。多分、きっと......そうやってその気持ち自体間違いなのだと押し付けてしまいそうになる。だけど、もう自分自身を騙すのは辞めた。
「......俺は」
「......ごめん.....なさい......ッ!!」
「ちょ、燐子先輩!?」
しかし、いきなり燐子先輩がその場から走り去ってしまったのだ。その理由についても何となく察しは付く。
「......白金さんには悪い事をしたわね」
「自覚はあるんですね」
「さっきの話、まだ答えは聞かないわ。その代わりに、これから私以外にもこういう話をされる時が来るかもしれません。その時は真摯に向き合って考えてあげて下さい」
紗夜さんは敢えて俺の答えを聞かないのだろう。それはきっと俺の答えが分かっているから。分かっていたとしても聞きたく無いから。そこまで分かっている俺も俺で変なのかもしれない。
「白金さんを追って下さい」
「でもSHRもうすぐ始まりますよ?」
「私の方から宗輝君と白金さんの事は伝えておきます」
風紀委員長である紗夜さんがサボりを勧めて良いのだろうか。しかしながら、燐子先輩を放っておくのも気が引ける。ここは紗夜さんに頼るしかなさそうだな。
「......紗夜さんのそういうところは好きですよ」
「馬鹿な事言ってないで早く行ってあげなさい」
「ありがとうございます紗夜さん!」
「......そういうところは直して欲しいわ」
(私の想いは伝えた。そして、きっとあの子も......)
~生徒会室~
ガラガラガラ
「......はぁはぁ」
校舎周りを一度探してみたが燐子先輩の姿は見当たらなかった。もしかしたら教室に戻っているのかと思ったが、既にSHRの開始時間を過ぎている為確認出来ない。かと言ってふらふら探していても先生に見つかってお説教をされるだけだ。一か八か生徒会室にいることに賭けてドアを開ける。
「......やっぱりここに居たんですね」
「......む、宗輝君」
「燐子先輩って隠れんぼ得意だったりしませんかね......」
校舎全体を使っての一対一の隠れんぼとか無理ゲー過ぎる気もする。だが今回に限って言えば場所も限定されていた為なんとか見つけ出せた訳だ。あまり時間も無い為単刀直入に聞こう。
「私に......何か用?」
「さっきの質問の答え、まだ聞いてなかったので」
「......」
先程の紗夜さんの言葉を思い出せ。燐子先輩の話を真摯に受け止めて、正々堂々と向き合うことが今やるべき事だ。もう決して逃げたりなんかしない。それは、自分から目を背けると同時に燐子先輩を侮辱する事にも繋がるから。
「......多分、私も宗輝君の事が好き......なんだと思う」
「......はい」
「でも......この気持ちは伝えちゃダメなんだとも思った。友希那さんや今井さん、氷川さんや他の人達を見ていれば何となく分かった」
「......はい」
「それでも......やっぱり宗輝君の事が好き」
燐子先輩の口から"好き"が出る度に身体が熱くなっていくのが分かる。俺だって今までずっと自分の勘違いだと思って騙し続けていた。それは燐子先輩だけでなく友希那やリサや他の面子にだって言える事だ。
「......男の人と話すなんて無理だと思ってた。それでも......宗輝君は私を拒絶することなく......一人の女の子として接してくれた。困った時は何も言わず助けてくれたり......何気ない事で笑い合ったりしてる君を見てると......なんだか幸せな気持ちになれたの」
「俺はただ燐子先輩の為を思って手を差し伸べただけに過ぎません。それに、その気持ちはもしかすると勘違いなのかもしれません......」
「そんな事ないよ!......この気持ちに、自分のこの想いに嘘なんてない。最初の方は......宗輝君時々怯えた様な顔してるときがあったの。その時に......私と同じなんだって思った」
燐子先輩の言う通り、俺は最初過去のトラウマでどうしても一歩踏み出せなかった時期があった。今はみんなのお陰で克服することが出来てる。燐子先輩の事を何かと気にかけていたのは俺と同じだったからなのかも知れない。
「......私は、貴方の事が好き......です」
「......すみません、今はそれに答える事は出来ません」
「......ッ!!」
今はどうしても駄目なんだ。RASのライブに文化祭での合同ライブや対バンライブ。その後の合同体育祭とイベントが溜まりにたまってる。
「だけど、全部終わったら必ず答えを出します。だから......それまで待っていてもらえませんか?」
「......分かった」
「......ありがとうございます」
だから、全部まとめて片付けた後で答えを出そう。それまでは燐子先輩や紗夜さんには悪いが待ってもらう。それが俺の今出せる最大限の返事だ。
「......じゃあこれは......答えが出るまでの約束」
「えっ、ちょ......」
そう言って頬へ優しくキスをする燐子先輩。
「......じ、じゃあ私戻るから!」
「......不意打ちは卑怯ですよ燐子先輩」
いざという時の行動力は人一倍の燐子先輩。こういうところに友希那達や俺も助けられてばかりだという事を再認識する。そして、その燐子先輩に恥じない様にこれからも頑張ろうと決意した。
~放課後~
「むーくん帰ろ!」
「すまん、先に行っててくれ」
朝の件は教室に戻ると担任からやけに心配された。何故なのかと理由を聞くに紗夜さんが体調不良だと伝えていたらしく有咲や美咲や香澄、果てには違うクラスのこころ達までもが教室へ安否の確認に来たのだという。
「だってさ有咲!みんなのところ寄って行こ!」
「......」
「有咲?」
「あ、あぁ、分かってる」
結局、お昼休みギリギリまで一度頭の中を整理する為に生徒会室に篭ってしまった。途中で先生が入ってきて気付かれそうになったがギリギリセーフ。まぁ途中で寝てしまっていたのは内緒。燐子先輩お得意の隠れ場所のお陰でお説教を回避出来た。早速燐子先輩に助けられた気分だ。
「むーねきー!」ガラガラ
「お、どうしたんだこころ?」
「体調は大丈夫なの?良かったらウチの病院で」
「待て待て、この通り体調はバッチリだから電話をしまえ」
流石は弦巻家のお嬢様。思い立ったら即行動の理念に基づいて早速問題を起こすところだった。こころんちの病院って言ったら国の最先端技術的なところに連れて行かれるに違いない。黒服の人に上手く説明出来れば仮病が通るがその可能性は薄い。出来るだけリスクを負わないのが斎藤流。
「なら良かったわ!」
「......もしかしてそれだけ?」
「宗輝の無事が確認出来れば良かったのよ!」
「この通り元気だから大丈夫だぞ」
「じゃあ私は練習に行ってくるわね!」
嵐の様にやってきて嵐の様に過ぎ去っていくこころ。わざわざ授業が終わって放課後のすぐにやってこなくても良いのに。まぁそれだけ心配してくれてたって思えば嬉しい限りだ。
「......あれでも宗輝が居ない間は静かだったんだよ」
「美咲か、さっきあんなに元気だったのに?」
「こころも内心凄く心配だったって事じゃないの」
「そういう美咲も心配してくれてたって聞いたぞ」
「......私は一応確認しに行っただけだよ」
むず痒い様子で頭をわしゃわしゃとする美咲。美咲のこういう隠しデレの部分を見ると可愛くて仕方が無くなるからやめて欲しい。
「本当は体調不良じゃないんでしょ?」
「......何でそう思うんだ?」
「んー、何となく?」
「なんだそれ」フッ
朝の件といい少し緊張感というか切羽詰まったというか、そういう雰囲気が一切無い美咲と話すのはやはり落ち着く。もしかして美咲は一種の精神安定剤か何かなのかも知れない。
「美咲」
「面倒ごとなら聞かないよ」
「ちょっと相談したいんだけど」
「.......はぁ、場所だけ変えようか」
そうやって渋々付き合ってくれる美咲はやはり面倒見が良いと見て取れる。だからこそ、こころの滅茶苦茶にも付き合えるのだろう。
それからは一度身支度を整えて美咲と共に屋上へと上がった。何故美咲がこのルートを知っているのかは聞かないでおこう。俺も時々屋上上がってたのに会わなかったのは不思議だけど。
「それで、相談って何?」
「......俺今週末に海外に行くかも知れない」
「......やっぱり体調不良なんじゃない?」
「別に頭おかしくなったとかそういうんじゃないからな」
人が真剣に相談してるのにこの切り返し。何とも美咲らしいと言えるが今はそういうのは求めてないので却下。
「じゃあどういう意味なの」
「両親が仕事の都合で海外に戻るから一緒に来ないかって」
「それでこっちに残るか向こうに行くかで迷ってる訳か」
「正解、話が早くて助かる」
正直美咲に話す様な内容でも無いことは自覚してる。というか最初は誰にも相談するつもり無かったのにな。美咲に相談するとヒントくれそうな気がしたのか、誰でもいいから打ち明けたかったのか。それともそのどちらでも無いのか。今もまだ答えが出せていない現状を察するに両方とも正解な気がするけど。
「......ふーん」
「......え?もしかして感想それだけ!?」
「なに、私が行くなって言ったら行かないの?」
「そういう訳じゃ無いけどさ......」
もっとこう、テンプレ的な会話するんじゃないの?例えば......あれ、こういう時のテンプレとかそういえば俺全く知らないな。というか逆の立場になって考えりゃ反応する事すら難しい話題だし。他人の家の事情だし。なにこれ、もしかして俺超重い話してる?
「......でもさ宗輝」
「ん?」
「それ、もう答え出てるんじゃない?」
「どういうこと?」
「そこは自分で考えなよ」
美咲は随分とスパルタな性格してる事が分かった。でも美咲がこう言ってるんだから多分合ってるんだろう。自分じゃなくて美咲を信じるのはおかしいのかも知れない。でも、そうする事で一つ理由を作ろうとしている自分がいることに気付く。俺は結局選べない理由を探してるんだと思う。ここでやるべきは他にあるのにも関わらずに。
「まぁ話聞いてくれただけで少し気が晴れた」
「答えは出たの?」
「いんや、まだまだ全然」
「他の人はなんて言ってたの?」
「ん?これ美咲以外には話してないぞ?」
思い返してみればこんなに重い話軽々と人にするべきじゃ無かったな。最初に話したのが美咲で良かったのかも知れない。というか無意識下で美咲になら話しても良いんだと思っていたのかも。だとしたら俺の無意識さんマジグッジョブ!
「な、なんで他の人には話してないのさ」
「本当何でだろうな。でも、美咲になら気兼ねなく話せると思ったから一番に相談したのかもな」
「......意味わかんないよ」
大丈夫、俺自身もイマイチ意味分かってないから。それでも混乱してないのは美咲だからこそだろう。
「まぁ一人で考えてみるわ」
「......私は」
「ん?」
「......私個人としてはこっちに残って欲しいかな」
美咲の急なシフトチェンジで少し頭が追いつかない。普段あまり自分の意見を表に出さない美咲。その美咲が自ら自分の意見を口に出したのだ。珍しいにも程がある。
「それはどうしてなんだ?」
「まぁ......宗輝が居ないとこころが寂しがるだろうし」
「ということは美咲は寂しがってくれないのか」トホホ
こころの事を想っての発言だった事に少し残念な気持ちがしない事も無い。だがしかし、的を射る発言であった事は確かだろう。こころに知らせずに海外になんて行ったら黒服さん達総出で探し出されそうだし。それはそれで世界を股にかけた鬼ごっこみたいで楽しそうではあるが。
「ま、まぁそういう事だから」
「......ありがとな美咲」
「別にお礼言われる様な事してないけどね」
「そうか?俺は美咲のそういうところは好きだぞ?」
「......はいはい、戸山さん達待たせてるんじゃないの」
そう言えば香澄達に先に帰れって言ってたの忘れてたな。もうほとんど帰ってると思うけど遅くなるといけないから帰りますか。
「また明日なー」
「また明日ね」
「......はぁ、ホント勘違い製造機だねアイツ」
~To Be Continued~
マスキングがお嬢様学校に通っていた事実を知って驚いてます。
お好きなキャラをお選び下さい(ハロパピ)
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こころ
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美咲
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花音
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薫
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はぐみ