トリプルP!~Produce"Poppin'Party"~   作:Lycka

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皆さん如何お過ごしでしょうか。
最近暑くなってきましたね。ここで皆さんに一つ謝罪を。

沙綾の父親の名前をずっと勘違いしておりました.....。本当すみません。以後、気をつけるようにします。


それでは、第6話ご覧下さい。


Produce 6#理由

 

 

 

 

~数日後~

 

 

「むーくんも手伝ってぇ〜」

 

「はぁ。半分ぐらい貸してくれ」

 

「やったー、ありがと!むーくん、大好き!」

 

「はいはい、オレモダイスキダゾー」ボウヨミ

 

 

何をしているかと言うと、香澄達の文化祭ポスターが完成したので校内に貼り付けているところである。因みに、新曲も何とか無事に完成した。今は俺と香澄と沙綾の三人で貼り付けている最中。

 

 

「にしても、間に合って良かったね香澄」

 

「沙綾が手伝ってくれたからだよ!だから、沙綾もありがと」

 

「ん、どういたしまして」

 

 

その後、世間話を挟みつつ三人でポスターを貼る為に校内を回っていた。そして、最後の一枚。

 

 

「やっと終わったー!」

 

「お疲れ様〜」

 

 

なんとかポスターを貼り終えることができた。ふと最後に貼ったポスターを見てみる。

 

 

「それにしても、ポスターに明るい色使い過ぎて見てると目がチカチカしてくるな」

 

「私最後まで見きれてなかったから完成品は今日みたんだよね」

 

「えぇ〜、みんなで作った感じが出てて良いじゃんか!」

 

 

そうは言っても、ベースから考えればかなりの変更点がある。その変更点のほとんどが香澄とおたえなのは言うまでもない。

 

 

「それに、沙綾の名前もあるんだよ!」

 

「......」

 

 

 

それについては薄々俺も沙綾も感づいていた。しかし、沙綾は敢えて言わなかったのだろう。また、()()()()()()()に成りかねないのを危惧しながらも言えなかったのだろう。

 

 

 

「香澄、この後はクラスの手伝いじゃなかったか?」

 

「あ、そーだった!むーくん、先行ってるね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがと、宗君」

 

「なんで香澄達に()()()を言わないんだ?」

 

「......ごめん、私も先行ってるね」バタッ 

 

 

 

 

優しい沙綾にとってこれは苦しい決断なのだろう。俺だって、逆の立場だったら凄く言いづらいと思うし、こっちから積極的には言えない。そのせいで、仲違いしてしまう可能性だってあるわけだ。

 

 

 

「沙綾走っていったけど、何かあったの?」

 

 

そう俺に話しかけてきたのは、()()()を良く知る人物であり、俺に教えてくれた人でもあった。

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「ポスター見てまたバンド始めるのかと思ってたよ」

 

 

彼女の名前は海野夏希。CHiSPAというガールズバンドのギター&ボーカルをしている。そして、中学から沙綾を知る人物でもある。

 

 

「おお、夏希か。なんか久し振り」

 

「時々、廊下ですれ違ったりするからそうでもないでしょ」

 

「あ、確かに」

 

 

夏希と廊下でたまにすれ違う時は手を振ってるんだけど振り返してくれねぇんだよな。なんでだろう?もしかして、無視して軽くいじめられてる?

 

 

「なんで分かってんのに手振ってくれないの?」

 

「は、恥ずかしいからに決まってんじゃん!!」///

 

「てっきり無視されてるのかと思ってたぞ」

 

 

取り敢えず無視されてなくて良かった。無視されてたら死んでたぞ、精神的に。それにしても、恥ずかしいからって振り返してくれてなかったのか。夏希可愛い、口には出さんが。

 

 

「それより、沙綾のことなんだけど.....」

 

「ああ、もう文化祭まで時間がない。香澄達にも話してくれるか?」

 

「分かった。じゃあ、また放課後ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~蔵~

 

 

「お、お邪魔しま〜す」

 

「そんなに緊張しなくても良いぞ」

 

 

そして、放課後になり香澄達が先に集まっている蔵に夏希を連れてきた。夏希は初めて有咲ん家に来るので緊張してるみたいだ。香澄達には、夏希についてあまり詳しくは伝えていない。

 

 

「えーと、初めまして。海野夏希と言います。中学で沙綾とバンド組んでました」

 

 

そして、夏希が()()()について話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「———————————————ということなの」

 

 

夏希が話し終えると、その場が少しの間静まる。真っ先に口を開いたのは香澄であった。

 

 

 

「沙綾、そんなことがあったんだ......」

 

「私達、それを知らずにバンド一緒にやろうなんて言ってたんだな」

 

 

各々思った事を口に出している。でも、沙綾だってバンドはやりたいはず。

 

 

「それでも、俺は沙綾に入って欲しいな」

 

 

俺がそう言うと、全員がこちらを向く。

 

 

「沙綾のことだって考えてあげないといけないけど、まずは香澄達の思いをぶつけてみようぜ」

 

 

 

「そう、だね。ありがとむーくん」

 

「沙綾と5人で新曲もポスターも作ったもんね」

 

「うん、頑張って私達の思い全部伝えようよ」

 

「まぁ、今から他のやつ探すのもな.....」

 

 

決まったみたいだな。きっと、沙綾が入れば最高のバンドになるはず。そう信じている。

 

 

 

「じゃあ、私いまから沙綾ん家行ってくる!」

 

「香澄頼んだ」

 

「他人事でいいのかよ有咲」

 

「私達の想いは一つだろ。だから、香澄に後は任せる」

 

「なら俺もついていくかな」

 

 

流石にいきなりは迷惑なので、俺はスマホで沙綾に"今から行ってもいいか"とメールを送る。数分後にはokの返事が来たので、そこから香澄と一緒に沙綾宅へ向かった。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

『お邪魔しま〜す』

 

俺も香澄も、ドアを開けると同時に迷惑にならない程度の声で挨拶を済ます。最初に出てきたのは純と紗南であった。

 

 

「お兄ちゃん、今日は何する〜?」

 

「悪いな紗南。今日はお姉ちゃんに用事があるんだ。だから、また今度な」

 

「ちぇ、つまんないの」

 

「そんなこと言ってると千紘さんにチクっちまうぞ純」

 

 

そう言って、何とか子供二人を部屋に返した。俺たちがリビングのトビラを開けると沙綾と千紘さんが洗濯物をたたんでいるようだったので、俺も手伝う事にした。

 

「沙綾、俺も手伝うよ」

 

「良いよ、先に部屋上がってて」

 

 

なんか沙綾、少し怒ってる....?

 

 

バサッ

 

「こら、沙綾。悪い癖出てる。なんでも一人で抱え込まないの」

 

「......」

 

千紘さんが沙綾にタオルを被せる。多分、こういうこと多いんだろうな。俺でも少し気付いたぞ。

 

「洗濯物は良いから、お話があるんでしょ?」

 

「すみません千紘さん。少し沙綾借りますね」

 

「貰ってくれても良いのよ?」

 

「あ、あはははは.....」

 

こんな時にも冗談入れてくる千紘さん。空気を読んで言ってくれたのか?そうだとしたらこの人には敵わないな。

そして、俺たち三人は沙綾の部屋は移動した。

 

 

 

 

「さっきはごめんね、ちょっと考え事してて」

 

「全然気にしてないよ」

 

部屋に行くと、いつもの沙綾に戻っていた。否、いつもの沙綾のように振舞っていたというべきか。

 

「それで、話って何?」

 

「あのね沙綾。昔のバンドの事、夏希ちゃんに聞いたんだ」

 

「そっか、ナツに聞いたんだね」

 

「だって、沙綾何も言ってくれないし.....」

 

ここで少しの間、静寂が部屋を支配する。俺も話に加わろうと思ったが、今は香澄に任せようと思い静かに話を聞いていた。

先に口を開いたのは香澄だった。

 

 

「このままじゃ嫌だなって。沙綾がドラム叩いてるとこ見てみたい!」

 

「他の人探してよ」

 

「沙綾がいい!新しい曲だって沙綾と一緒に作ったもん!」」

 

香澄が強めに言い返す。

 

「無理だよ。練習してないし、迷惑かけるよ。それに、家の手伝いだって」

 

「一緒にやろうよ!」

 

沙綾が渋っている中、香澄は変わらず誘い続けている。

 

「もう、バンドやる気はないから」

 

「なんで?」

 

 

「......帰るの遅くなりたくないんだ。純や紗南達寂しがっちゃうし。それに、お母さんも無理しようとするし」

 

 

千紘さんの件については同意できる。身体が弱いにも関わらずあの人無理するからな。純や紗南だってそうだ。まだ小学生で小さい。今が遊び時なのに、家に帰っても二人しかいないのはつまらないだろう。

 

 

「私、あの時まで知らなかったんだ。純達凄い泣いてたし。ナツ達には迷惑かけたけど.....。だから、もう迷惑かけたくないんだ」

 

「私も迷惑かけた!沙綾にいっぱい!」

 

「迷惑だなんて、そんな......」

 

「私も迷惑だなんて思わない!だから、一緒にやろう?」

 

「......」

 

 

沙綾は黙ったまま俯いてしまっている。

 

「家が大変なら手伝うし、純君や紗南ちゃんとも遊ぶ。放課後ダメなら昼休み!」

 

「ダメだよ....」

 

「ダメじゃない!」スッ

 

香澄が沙綾の手を取って顔を伺う。しかし、沙綾の答えは変わらなかった。

 

スッ

 

「....ッ!なんでダメなの?あんなに楽しそうだったのに....。バンド、嫌いになっちゃった..,.?」

 

その香澄の言葉を聞いて、沙綾が声を荒げて立ち上がった。

 

「そんなわけないじゃん!香澄には分かんないよ!ライブ失敗して、みんなに迷惑かけて。自分より私のこと優先して....。そんなので楽しいわけないじゃんか!」

 

「みんな私のこと気遣って大丈夫だよって.....。大丈夫なわけないじゃん!!それでみんなは楽しいの⁉︎楽しいわけないじゃん!.....みんなに迷惑かけるからバンド辞めたのに。今更、出来ないよ.....」グスッ

 

 

俺は、初めて沙綾の心の内を聞くことができて内心嬉しかった。それを聞いてもなお香澄は.....

 

 

「出来るよ....」

 

「無理だよ!!」

 

「出来るよッ!!」ポロポロ

 

そう言い返す香澄の頬に一筋の涙が流れる。

 

「何でも一人で考えちゃうのずるい!!ずるいずるい!!.....一緒に考えさせてよ」

 

『.......』ポロポロ

 

それから、両者押し黙ってしまった。沙綾は、今まで思っていたことを曝け出した。そして香澄は、それでも尚一緒にバンドをしてほしいと伝えた。

 

 

 

「うぇーん!喧嘩しちゃ嫌だよ!!」

 

 

いつから聞いていたのかは定かではないが、このやり取りを紗南も聞いていたらしく、それを喧嘩と思ったのだろうか泣いている。俺は紗南に近寄りそっと頭を撫でてやる。

 

「紗南、喧嘩なんてしてないぞ〜。泣いたフリだ」ナデナデ 

 

 

紗南が泣き止んだのを見計らって下へ降りる。

 

 

 

「あれ、なんで有咲達いんの?」

 

「やっぱり香澄一人には任せられないだろ。それに、下まで声聞こえてたぞ」

 

「純君ビックリしてお店の方に行っちゃった」

 

 

なんだかんだ言って、この三人もやはり気になっていたのだろう。

 

 

「さ〜て、帰るか」ガタッ

 

「え?有咲ちゃん?」

 

「どっちみち、こんな状態じゃ話なんて出来ないだろ」

 

確かに有咲の言うことにも一理ある。一度、お互いに考える時間が欲しいところだ。

 

「私はライブなんてどーでもいいけど。.....知らない人よりは良いかな」

 

「私も沙綾ちゃんと一緒に出来たら嬉しいな!」

 

「新曲のデータ、送った」ポチッ

 

 

「無理だってば....」

 

「待ってる、待ってるから!!」

 

香澄達は帰ってしまった。今は俺と沙綾と紗南の三人である。ようやく出番かな....

 

 

「沙綾、俺も香澄達と同じだ。沙綾にバンドに入ってほしい。もうライブまでに時間が無い.....。アイツらも一生懸命練習してる。それは、沙綾も近くで見て感じてるはずだ」

 

「そんなこと言われたって.....」

 

 

 

「.....待ってる」

 

そう言い残し、俺も帰路へと着いた。

 

 

 

 

 

 





キリ良く終わらせようと思って長くなりました。

最近、お気に入りが少しずつですが増えてきてめちゃ×2嬉しいです。
モチベもぶち上がります。(但し投稿は早くなりません)
アニメに寄せてますが、ここはこれでいかせてくだせぇ。

あと、誤字とかあったらすみません。

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