トリプルP!~Produce"Poppin'Party"~ 作:Lycka
新たに評価頂きました
☆6 タイヨーさん ☆5 MinorNoviceさん ありがとうございます!
再度更新遅れて申し訳ないです。
とうとうアニメ3期も終了してしまいましたな。
3期は個人的にはエモエモのエモで最高でした。
では、62話ご覧下さい。
いきなりで悪いがスポーツが得意な女の子は好みだろうか。
例えば走るのが速かったり持久力がある子だったり。ウチのチーム内で言えばおたえがこれに当てはまるだろう。前にポピパ面子+俺で早朝ランニングをした時は、おたえだけが遅れずについて来れていたからだ。何でもあの時は早朝ランニングを習慣付けていたらしい。そりゃ運動してない男の俺について来るぐらいは簡単かもしれないな。
「おたえ!こっちこっち!」フリフリ
「香澄!」パスッ
次に球技が得意な女の子。チーム内で言うならば、はぐみや香澄なんかが当てはまるのだろう。香澄は俺と小さい頃からボール使って遊んでたりする内に何となく出来る様になってたり、はぐみに関して言えば今も尚ソフトボールのチームでキャプテンを務めている程の実力者だ。
「イヴちゃん!」
「カスミさん、こちらにボールを!」
イヴの様に剣道や武道を得意とする女の子も中には沢山いるだろう。その中でも取り分け剣道を部活動として行うイヴにとって、彼女を構成する大切なピースになっている事は間違いない。まぁイヴに関しては大前提としてブシドー云々があるんだろうけどな。
「こころ狙えるよー」
「任せておいて美咲!」
そして、その誰よりも頂点に限りなく近いのが紛れもなくこころただ一人だろう。運動から勉強何でもござれの無双状態を常に発揮しているこころ。正直俺はこころがこれからどの様に成長していくのかに興味がある。しかしながら、弦巻家の事情にのめり込むのも禁物だ。最悪の場合......なんて事も考えられる訳だからな。
「そう!そうして導き出される答えは一つ!」
「むーくん見て見て!勝ったよ!」
「んーっ!やっぱり身体を動かすと楽しいわね!」
「これ、別に俺要らなくね?」
一連の流れは急遽決まったスポーツ大会の第一項目であるバスケットボールの試合の様子。お察しの通り、俺はベンチで応援隊をしていた。参加メンバーは香澄、おたえ、こころ、はぐみ、イヴの5人。先程香澄の言った通り無事勝利を収める事が出来た。約5分間の試合にも関わらず、30-0という驚異的なスコアを叩き出しているのには目を瞑ってもらいたい。そして、その30点の全てがこころの3Pシュートだという事実にもね。
「流石はこころちゃんだね」
「この調子ならバレーボールも大丈夫そうだね」
「美咲、この試合を見た感想を聞かせてくれ」
「ウチのこころがすみません」
続けて行われるバレーボールの試合もバスケットボールに出場したメンバーとほぼ変わらず構成されている点から、次も同じ様な展開になる事は容易に想像できる。他のチームには申し訳ないが負けてもらうしかないだろう。別にこころとて悪気がある訳ではないのだ。ただ純粋に楽しんだ結果、1点も失わずに終わっただけの事。
「ねぇむーくん勝ったよ!」
「見りゃ分かる」
「褒めて!」
「別にお前だけが頑張ってた訳じゃないだろうに」ナデナデ
「むっくん私も」「はいはい」
「むーくんはぐみもお願い!」「へいよ」
「ムネキさん!」「分かった分かった」
「有咲もほめて!」「だぁー!いちいち引っ付いてくんなー!」
何故か俺に褒められる為に列が出来るという意味不明な事態に陥ってしまった。やめて!みんな優しい目で俺を見つめないで!これは不可抗力、俺がしたくてやってる訳じゃないことを分かって欲しい。
「何やってんのアンタ」
「俺もイマイチ何してんのか分からん」
「美咲!バスケットボールはこんなにも楽しいものなのね!」
「相手チームはそうでもなさそうだったけどね」
そう、例えるなら黒帯の人に手足縛られて戦えって言われてるようなもんだ。......ん?例えが微妙に分かりづらい?俺だってどう例えたら良いか分からないんだよ。
そうしている内に休憩の時間は終わり、俺達チームバンドリvs仲良し8人組のバレーボールの試合が始まる。メンバーはさっきの5人+有咲を加えた計6人での試合。心なしか相手も最初から諦め半分で試合に臨んでいる様にも見える。
「むーくん応援よろしくねー!」
「りょーかい......って、香澄前!サーブくるぞ!」
最初の相手サーブ直前によそ見をかます香澄。相手チームのサーブ担当はどうやら経験者らしく、ボールを正確な位置に飛ばしてきた。俺の一言で辛うじて間に合った香澄はサーブを落とさずにレシーブする事に成功。これ経験者いるんだったらワンチャン負けるんじゃね?
「かーくんナイス!こころんいくよ!」
「ええ!任せて頂戴!」
香澄のレシーブを無駄にしないようにはぐみが落下地点へ移動してこころへトス。準備万端のこころへはぐみの正確なトスが上がり、ここぞとばかりにジャンプして相手の居ないスペースへこころの無慈悲なアタックが叩きつけられる。あ、当然コートを仕切るネットは低く設置してあるので、女の子でもジャンプすればアタックは出来る様になっている。
「はぐ、さっきはごめんね」
「ううん!ナイスレシーブだったよかーくん!」
「香澄もはぐみも凄く上手だったわよ!」
「流れるような連携......これぞまさにブシドーです!」
先程の一連の流れの何処にブシドーを感じたのかは不明だが、確かに綺麗に点を取ることに成功したのには間違いない。はぐみのトスのコントロールしかり、こころの正確なアタックしかり、何故ハロパピ勢は運動神経がここまでカンストしているのだろうか。いや、こころに限って言えばまだまだ成長の余地があるとみて取れる為、カンストなどという表現では足りない可能性がある。恐ろしや弦巻家のお嬢様。
「サーブいくよー」
「おたえちゃん頑張ってー!」
「おたえ怪我だけはしないようにねー」
コートの外からりみりんと沙綾が応援の言葉を投げかける。それが届いて力になったのか、おたえのサーブは綺麗な弧を描き取りづらい微妙な位置へと吸い込まれていく。勿論後の展開はお察しの通り、全員がお見合いして結果誰も取りにいかず続けて2点目を先取。サーブが決まって嬉しかったのだろうか、こっち向いてピースしてるおたえ。可愛い。
「宗輝くーん!」フリフリ
「彩ちゃん、試合の邪魔しちゃ駄目よ」
「あっ、ごめんね千聖ちゃん」
「宗輝君は試合出てないの?」
バレーボールの試合観戦途中、俺達と同じくスポーツ大会を行なっていた彩達が様子を見に来てくれたらしく、ちょっと一息といった感じで俺の周りへ座っていく。三年生は運動場でサッカーとドッジボールをしている筈なのだが、ここに居ても大丈夫なのだろうか。
「俺はこの後のバドミントンに出る予定ですよ」
「頑張ってね宗輝君」
「花音先輩はもう終わったんですか?」
「初戦だったんだけど、彩ちゃんのお陰で勝てたよ」
「えへへ、そうかな〜?」
「彩ちゃんはトチってただけでしょう」
「そんなぁ!?千聖ちゃん酷いよ〜」
花音先輩に話を聞いてみたところ、彩が蹴り損ねたボールが相手ゴールキーパーの両足の間抜けてゴールイン。その場にいた全員が、そのゴールが原因で勝ち負けが決まるとは思ってもいなかっただろう。
因みに、彩が蹴り損ねたボールと言っても殆ど彩は触っていないらしく、同じチームの紗夜さんが彩にパスをした流れでゴールしたっぽい。何とも彩らしいというか。
「そんな事より宗輝君達はどうなのよ」
「試合見てれば聞くまでも無いと思いますよ」
「あら、じゃあ宗輝君は差し詰めベンチ温め隊といったところかしらね」
「おいこら誰がベンチ温め隊じゃ。というか女優兼アイドルがそんな毒吐いたら駄目でしょ」
「事実を言ったまでよ」
「だったら尚更質が悪いですよ」
そこは"冗談よ"とか"嘘よ"って言うところだと思います千聖さん。この人俺を弄ってくる時滅茶苦茶良い笑顔するからなぁ。Sっぽい千聖さんを発揮するのは彩に対してだけにしてもらいたいもんだ。
そうこう話し込んでいる間にも香澄達のバレーボールの試合は難なく進んでいき、あれよこれよと既にマッチポイントとなっていた。途中、有咲が狙われて1点を取られた以外こっちのペースで試合が進み、イヴが手刀みたいな感じでアタックしていたようにも見えたがおそらく幻覚だろう。アタックの瞬間の掛け声が"ブシドーッ!!"だったのでイヴで確定だとは思うけどな。
「ムネキさん!私の
「勿論見てたぞ。あんなに素早い手刀......俺でなきゃ見逃しちゃうね!」
「いや普通アタックの時は手刀じゃないでしょ......」
俺の名付けた素晴らしい忍法をただの手刀呼ばわりしてもらっては困るぞ美咲。あれは若宮家に代々伝わる暗殺忍法で、某流派の様に才が途絶えた時は消えゆくのもまた仕方無しとした忍法なのだ......という設定。あこに言ったら滅茶苦茶喜びそうだから次に会った時に言ってみよう。
「次のサーブはこころが打つみたいだね」
「こころちゃん頑張れー!」
「ありがとうみんな!私に任せて頂戴!」
言うまでもなくそのままサーブが決まり、バレーの試合はバスケット同様相手チームと大きく点差を開けての快勝となった。
「こころちゃん、はぐみちゃん、みんなもお疲れ様」
「ありがとう花音!」
「千聖先輩達も応援してくれてたんですか?」
「勿論よ。彩ちゃんがトチッた結果早く試合が終わったから来てみたの」
「そのイジリ好きですね千聖さん」
バレーボールの試合が一通り終わり、今は休憩の時間となっている。体育館の一角を占拠している状態の俺達だが、いかんせん彩や千聖さんが来たのが原因か周りにも他の生徒が徐々に集まってきていた。確かに、ただの同じ学校の先輩という立場ではなく飽くまで彩はアイドル、千聖さんは女優として現在活躍しているのだ。間違いなくファンや応援してる生徒だっているだろう。
「有咲もお疲れさん」
「ぜってー明日は筋肉痛だ......」
「マッサージでもしてやろうか?」
「却下」
「即答かよ」
肩で息をしながら帰って来た有咲にお水を手渡しすると、一気に半分程飲み干して床へ座り込んでしまった。前におたえも言っていた様な気がするが、バンドをやるのにも体力は必要不可欠。香澄やおたえ、沙綾辺りは何とかなりそうだが有咲とりみりんは比較的体力があまり無いので特訓が必要かもしれない。
「これで二連勝だ」ブイ
「イェーイ!」ブイ
「今度はむーくん達の番だよ!」
「出来るだけ頑張るけど期待すんなよ」
未だ床で休憩してる有咲と違って、おたえと香澄は元気にVサインして喜んでるし。ここまで快勝してこられたのは、間違いなくこころやはぐみ達のポテンシャルあってこその結果だ。その流れで俺に期待されても少し困る。ほら、美咲だってこころに応援されてるけど微妙な顔してるし。
その後もワイワイ雑談も交えながら休憩時間を過ごし、様子を見に来ていた彩達はサッカーの決勝があるため運動場へ移動。体育館では最後の種目であるバドミントンの用意が着々と進んでいき、対戦相手もくじで決まり俺達の試合となった。
「最初は沙綾&りみりんペアでいくか」
「沙綾ちゃん頑張ろうね」
「私達で勝って宗輝達に繋げようね」
「俺達も応援してるからな」
「さーや頑張れー!」
「りみりんファイトー」
「美咲の番はいつかしら?」
「私はもうちょっと後だから、座って応援しなよこころ」
そして一回戦が始まり、沙綾&りみりんペアが先発として出場。バドミントンは2回に分けて試合が行われる仕組みになっており、後発隊として俺と美咲ペアが出場する予定になっていた。
「沙綾ちゃん!」
「任せてりみりん!」
相手のアタックをりみりんが受け止め、相手のミスボールを沙綾が落下地点へ向かいアタックする。
「美咲頼んだ!」
「ちょ!それキツイかも!」
俺の場合は現役テニス部である美咲に頼りっぱなしな点もあったが、その利点を生かしてこちらが有利に立ち回る事が出来たのが良かった。
初戦の相手は運良く二人共初心者だった為、前半後半共に何とか勝ちを得る事が出来た。そして、人数や参加チームも少ない為初戦突破しただけでAブロックの決勝となってしまう。なんで人数少ないのにAとBブロック作ったのか?んなもん運営してる生徒会に聞いてくれ。因みに有咲に聞いても教えてくれませんでした。
「一回勝っただけで決勝に進んでも良いのこれ」
「美咲、ここは素直に喜んでおく場面だぞ」
とは言っても決勝は決勝。体育館で試合が行われるのは2コートという理由もあってか他の生徒全員が注目している。みんなライブで慣れているとはいえ緊張しない理由にはならないだろう。現にりみりんが緊張している様子だったので、香澄やこころ達全員で手のひらに"人"という文字を書いて緊張をほぐしている。
俺も小さい頃に香澄や明日香からしてもらってたなぁ。逆に俺が二人にする時はふざけて"入"って書いてた時もあったし。そして何故か香澄にはバレなかった。何故明日香にはバレバレなのに香澄にはバレないのだろうか。小さかったから?それとも緊張してたから?もしかすると単純に分からなかっただけなのかもしれない。あの頃は漢字なんて習い始めたばかりだったからな。
「沙綾、りみりんファイト!」
「どれどれ、今回の相手は──」
沙綾とりみりんがコートへ向かう最中に俺は相手チームのメンバーを観察しておく。それで何かが変わるわけでは無いのだが、チュチュのプロデューサー修行やパスパレマネージャー(仮)をしていく中で癖付いてしまったので仕方ない。
すると、相手チームには意外な人物を発見する。
「まさか沙綾達と決勝で当たるとはね」
「私もナツ達が相手だとは思わなかったよ」
相手チームには沙綾が中学時代にバンドを組んでいたメンバーである夏希が出場していたのである。学校ではちょくちょく会うし、なんならその度に手を振ったりしてるのだが夏希はイマイチ反応してくれない。もしかして遠回りな友達じゃ無いよアピールなのだろうか。だとすれば俺は今日の夜一人で寂しく枕を濡らす自信がある。
「手加減しないよ」
「こっちこそ」
『それでは試合を開始しまーす』
バドミントン部の部員が審判となり、ホイッスルと同時にAブロックの決勝戦が幕を開ける。
今回も先程と同様にお互い点の取り合いをする展開となり、こちらの得点かと思いきやラインギリギリアウトの時もあれば、相手のネットタッチでこちらに点が入るという事もしばしば。Bブロックは既に後半戦に入っているにも関わらず、こちらはまだ前半戦という中々に白熱した試合運びとなっていた。
ピ-ッ!
「ん?何か反則でもあった?」
「いや、特に何も無かったと思うぞ」
「じゃあ何で審判はホイッスル鳴らしたの」
突然審判がホイッスルを鳴らしたので疑問に思った美咲が俺に問いかけてくる。でも俺に聞かれたって分からん。だってバドミントンの詳しいルールなんて正直一つも知らないしな。しかし、確かに何故ホイッスルを鳴らしたのかは疑問だ。
『えーっと、時間無いのでメンバーチェンジとのことでーす』
「そんな〜。これじゃあ沙綾との決着がつかないじゃんか」
「まぁまぁ、後は宗輝達に任せるよ」
「有咲これってどういうこと?」
「私が知るわけねーだろ」
適当に審判がメンバーチェンジを宣言したのには理由があるらしく、なんでもこのままじゃ終わりそうにないと判断した運営(生徒会)が決定したことらしい。有咲は生徒会だがスポーツ大会の運営には一切関わってないから知らなくて当然だな。
「いきなり俺達の出番らしいぞ美咲」
「でもこれってどうやって勝負終わらせるの」
『ここからは一点先取したチームの勝ちでーす』
「んなアホな」
「まぁ早く終わるし個人的には問題ないけどね」
それで良いのか生徒会。まぁ実質先生達は関わってないから生徒会の独断と偏見で判断したのだろう。そうこうしている間にもBブロックは既に後半戦も終盤になってるし。
「サーブどうする?」
「アンタ打ちなよ」
「ミスっても知らないからな」
「そんなに運動神経悪くないでしょ」
運動神経は悪くないが別にバドミントンは上手くないからな?それに今まではずっと美咲がサーブしてただろう?良いの?フラグ回収しちゃって良いの?
「むーくん頑張れー!」
「美咲も応援してるわよー!」
まぁここまで応援してもらって俺のミスであっけなく終わらせるのも味気ないし頑張りますかね。
『それでは開始してくださーい』
「美咲いくぞー」
「はーい」
出来るだけミスの無いように下からサーブを打ち始める。
「あっ」
後に美咲は言った。
「アンタ逆にバドミントンの才能あるよ」
俺の放ったサーブは綺麗な弧を描き、落下地点のネットに当たり自陣に呆気なく落ちていったのであった。
~To Be Continued~
宗輝「さぁおまけのコーナーだ」
宗輝「今回のゲストは紗夜さんと日菜だ」
日菜「ねぇねぇお姉ちゃん!」
紗夜「日菜、もう少し声のボリュームを下げなさい」
日菜「膝って10回言ってみてよ!」
紗夜「嫌よ」
日菜「えーなんでー?」
紗夜「どうせ膝と膝を間違える様に仕向けてるだけでしょう」
日菜「じゃあフォークって10回言って!」
紗夜「それも知ってるから嫌よ」
日菜「えー!じゃあ暇って10回言って!」
紗夜「暇暇暇......で、これでどうすれば良いの?」
日菜「私の名前は!?」
紗夜「日菜でしょう」
日菜「おー!お姉ちゃんは間違えないんだね!」
紗夜「間違えるわけないでしょう」
日菜「でも彩ちゃんは間違えたよ?」
宗輝「恐るべし丸山彩」
-End-
紗夜日菜はこういう日常会話が最高にエモいんじゃあ〜