トリプルP!~Produce"Poppin'Party"~   作:Lycka

64 / 66

1周年記念(もう3ヶ月程前ですが)として何か出来ないか考えた結果、エイプリルフールネタとして投稿するつもりだったものを投下致します。
ですのでこれから数話程続くと思われますのでご了承下さい。

では、1周年記念特別編第一話ご覧下さい。


1周年記念特別編
Special Produce 1#異世界への迷い人


 

 

 

 

 

 

 

 

チュンチュン

 

 

 

 

「んぁ......」

 

 

 

 

 

微かに耳に聞こえる鳥の囀り、春の様な暖かい陽気に当てられて意識は覚醒し始める。ここ最近は特に香澄のおはようダイブが続いていたので、ここまで安心安全に起きられたのはラッキーだろう。

 

 

 

 

「それにしても風が強い気が......」

 

 

 

 

心なしかベッドがいつもより固めに感じる。父さんが腰痛を訴えてきた時に家族全員分を一新して買った"今日から寝心地ワンランクアップ!"が謳い文句の最新式ベッド。流石に違和感を感じてゆっくりと目を開ける。

 

 

 

 

「......外?というかここどこなんだよ」

 

 

 

 

 

 

見渡す限りの草原が広がっている。そこまで気温は高くないものの、やはり太陽の光が照りつけているので少し眩しい。近くの大きな木が風に揺られて、なんとも言い難い自然な匂いが鼻の奥をくすぐってくる。

 

 

 

 

ここで俺はふと考える。何故起きたらこんなにも意味が分からない現象が起きているのだろうか。そして、その答えには容易に辿り着くことが出来る。

 

 

 

 

「まぁこんなの夢以外有り得ないか」

 

 

 

 

妙にリアルに感じられたが流石に夢だろう。偶にはこうやって外で自然を感じながら寝るのも悪くないと思いつつ、再び草原のベッドに横たわり静かに睡魔に身を任せる事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

「.....きて!......きてよ!」

 

「......あと10分

 

 

 

 

いきなり身体を揺さぶられて、起きてるか起きてないか分からない中途半端な状態へと連れ戻される。取り敢えずまだ学校へ行くには早い時間だろうと勝手に決め付けて、2度寝する準備に取り掛かる。

 

 

 

「この人どうしよっか?」

 

「......燃やしてしまいましょうか」

 

「それは駄目だよお姉ちゃん!」

 

 

「なら水でもかけて起こしましょう」

「おぉ!ナイスアイディアお姉ちゃん!」

「それではいきますよ」

 

 

 

 

しかし、一向に寝かせてくれる雰囲気では無かったので泣く泣く起きることにする。

 

 

 

「ふわぁ......香澄今何─」

 

 

『ウォーターボール』

 

「あべしっ!」

 

 

 

起きようと身体を起こした途端、俺の顔面目掛けて水の球みたいなものが豪速球でぶつかってきた。お陰様で顔も服もビショ濡れだし反動でちょっと頭打ったしで最悪の寝起きだ。何も起きてこないからって水かける事もないだろうに。

 

 

 

 

「いきなり何すんだよ香澄......って紗夜さん!?」

 

「何故貴方が私の名前を知っているのかしら」

 

「いやいやいや、紗夜さん悪い冗談は無しですよ。日菜も何か言ってやってくれ」

 

「私の名前も知ってるんだ!何で私達の名前知ってるの?」

 

 

 

 

何故か紗夜さんと日菜が居た。というか夢から醒めたはずなのに何でまだ草原にいるんだよ。さっきから紗夜さんも日菜も変な事言ってるし。

 

 

 

「あのー、もしかしてですけど......俺達初対面だったりします?」

 

「もしかしても何も無いわよ」

 

「偶然通りかかったらこんなところで寝てるからビックリしたよ!」

 

 

 

 

偶然だな、俺も起きたらこんなところで寝ててビックリしたからな。というかマジでどうなってるんだこの状況。悪い悪戯って線は流石に無さそうだしな。取り敢えず情報集めが先決だ。ここで役立て俺のNFOの知識よ!

 

 

 

 

「天気が良かったから一眠りしようと思ってな」

 

「能天気な人ですね」

 

「私達が通らなかったら危なかったよ!」

 

「何で?」

 

「だってここら辺普通にモンスターでるし」

 

 

 

 

危うくモンスターに狩られるところだったぜ。俺が1回目に起きた時は見渡す限り草原が続いてたし、モンスターの一匹も居なかったから完全に油断してたな。

 

 

 

 

「す、すまん今度から気を付ける」

 

「では私達はこれで」

 

「ちょ、ちょっと待って!」ガシッ

 

「何ですか?」

 

「もし良かったら街とかまで一緒に行きません?」

 

 

 

このままのRPGゲーム初期装備すらない状態で放っておかれたら即モンスターにやられかねない。今のこの状況がよく分からないままで一人になるのは危険だと判断する。ここは紗夜さんと日菜に安全なところまで連れて行ってもらうのが吉と見た。

 

 

 

「却下です」

 

「そんな無慈悲な!?」

 

「貴方の素性も知らないのに街まで警護しろという事でしょう?勿論そんな事却下しますよ」

 

「お姉ちゃん、やっぱりこの人連れて行こうよ」

 

「ほら!日菜もこう言ってる事だしさ!」

 

 

 

 

日菜の言葉を聞いて頭を悩ませる紗夜さん。まぁ俺が逆の立場だとしても、確かに連れて行く義理は無い。知ってる顔だったりすれば話は別なんだけどな。いや、一方的ではあるけど知ってる顔だし何なら色々とお世話になったりお世話したりしてた間柄のはずなんだけど。

 

 

 

 

「......まぁ日菜がそう言うのであれば」

 

「よろしくお願いしまーす!」

 

「でもいきなり何故?」

 

「ん?それは勿論るんっ♪ときたからだよ!」

 

「はぁ......貴女も昔から変わらないわね」

 

 

 

 

 

 

 

どうやらこの世界、俺の知ってる世界では無いが決して関わりの無い世界って訳でも無いらしいな。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

"城砦都市サークル"

 

 

 

 

 

俺が紗夜さんと日菜に連れられて来たのは、この世界でいう中心都市として古来から繁栄と発展を遂げて来た城砦都市。これまた名前に覚えがあるがそこはもうスルーでいこう。

 

 

 

しかしながら、都市へ入る前に城門の入門証の確認やボディチェック。都市へ入ってからの中の様子などを見てきて、やはりRPGゲームさながらの雰囲気を感じる。俺は入門証なんて持ってないから他の場所から来た旅人って紗夜さんが説明してくれた。

 

 

 

 

「どうかしたんですか?」

 

「初めて来たので少しビックリしてます」

 

「そういえば服装もあんまり見た事ないよねー」

 

 

 

紗夜さんはRPGゲーでいうところの戦士っぽい感じの鎧を装着。日菜は見たところ魔法使いっぽい感じのローブを着ている。それに対して俺はというと何故か制服。しかも花咲川ではなく羽丘のブレザー。こういうところが微妙にズレてるのも気になるんだけどなぁ。

 

 

 

「あれ、というか紗夜さん戦士なのに魔法使えるんですね」

 

「魔法に適性が無いのには間違いありませんが、人を起こすだけの水魔法なら使えます。それと私の職業はタンクです」

 

「因みに私は魔法使いだよー」

 

「それは見た感じで分かる」

 

 

 

NFOと変わらずタンクなんですね、と言いそうになったのをどうにかして抑える。あまり怪しい言動をすると紗夜さんに真っ二つにされそうで怖い。

 

 

 

 

「取り敢えずギルドに行きましょうか」

 

「ギルド?」

 

「この街で一番人が集まるところだよー。それに冒険者登録とか身分証発行するにはギルドが一番手っ取り早いからね」

 

 

 

ギルド、と聞いて少しテンションが上がるのは俺だけだろうか。皮肉にも現実世界では一時期とはいえ寝る時間も惜しんでNFOやってたからな。そういうファンタジーな世界に行ってみたいと一度や二度は願ったものだ。

 

 

 

「それと貴方お金は持ってるの?」

 

「......一文無しですスミマセン」

 

「んー、どうしよっかお姉ちゃん」

 

「仕方ないですね」

 

 

 

モゾモゾと懐から何から金属音がする小袋を取り出す紗夜さん。渡されて中を確認してみるとこの世界のお金であろうものが少量ではあるが詰め込まれていた。

 

 

 

「貰っても良いんですか?」

 

「色々と登録するのにもお金が掛かりますから」

 

「遠慮せず貰って!なんか君にはるんっ♪とするし!」

 

 

 

 

最初に出会ったのがこの二人で良かった。紗夜さんも日菜も服装やら俺を知らない事を除けば普通にあの二人だし。これが香澄とかおたえとかはぐみとかだったらどうなっていたことやら。

 

 

 

それからは紗夜さんと日菜は宿屋に帰るといってギルド前でお別れとなった。正直まだ不安が残るのでもう少し一緒に行動したかった感は否めないが、そこまでお世話になることもないだろう。最後に日菜が何かあったらまた言ってねって言ってたし。それに、紗夜さんや日菜がいるってことは他の奴らも多分いるだろうし。

 

 

 

 

「当面は人探しって方向で行くか」ギュルルルル

 

 

 

 

漫画やアニメだとこれからって重要なシーン。なのに俺の腹の虫には関係の無いことらしく、図々しく食べ物を寄越せと言わんばかりに音を鳴らす。まぁ確かに何も食べてないけど。

 

 

 

 

 

「あの二人に何処かオススメ聞いとけば良かったな」

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

この城砦都市サークルを食べ物屋探しと称して軽く散策し始めてから数十分。食べ物屋はあるにはあるのだが、中々食べたいものが見当たらず難儀していたところに街のマップの様なものを発見。

 

 

 

「どれどれ......獣人専門店に魚人専門店っと、この近くロクな店がねぇな」

 

 

 

マップに記してある通り、どうやらこの世界には異種族というものが存在するらしい。それは獣人しかり魚人しかり、果てにはケンタウロスやら鳥人なんていうのもいるらしいし。つまり、ケモ耳っ子が拝めるチャンスって事だ。

 

 

 

 

閑話休題(まぁそんな冗談は置いといて)

 

 

 

 

 

マジでこの近辺に人間が食事出来る店はないのか。いっそのこと専門店にちょっと顔だけでも出してみようか迷ってたところに小さい文字で記してあるのを偶然見つける。

 

 

 

 

「秘密のパン工房......るんっと来たぜッ!!」

 

 

 

 

 

一人寂しく独り言を呟く。周りに人が居なくてよかった。危うくこっちでも黒歴史を作ってしまいかねないからな。慎重に行動するに越したことはないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

~秘密のパン工房~

 

 

 

 

 

カランコロン

 

 

 

 

「いらっしゃーい!」

 

「お邪魔しまーす」

 

 

 

マップに書いてある通りに道を進んでいくと、小さくて見え辛いが看板があり"秘密のパン工房"と記されていた。ドアを開けて恐る恐る中へと入っていくと、やはりというべきか聞き覚えのある声で迎えられる。

 

 

 

「秘密のパン工房へようこそ!」

 

「やっぱり沙綾か......」

 

「ん?お客さん何で私の名前知ってるの?」

 

「ちょっと噂でここのパンが美味しいって聞いて来てみたんだ」

 

「へぇー、そんな噂が流れてるんだね」

 

 

 

 

ごめんなさい嘘です。現実世界に戻ったら沙綾に嘘ついてごめんってちゃんと謝っとこう。じゃないと俺が俺自身を許せない気がする。何言ってんだ俺。

 

 

 

「オススメとかある?」

 

「ウチのオススメはやっぱりチョココロネとメロンパンかなー」

 

「ならその二つを」

 

「毎度あり!持ってくるからそこの椅子に座ってて」

 

 

 

暖簾を潜り、店の奥にパンを取りに行く沙綾。どうやら焼き立てを持ってきてくれるらしく、ちょうど先程出来上がった様子なので遠慮なく頂く。なんせこっちきてから何も食べてないからな。

 

 

 

「はい、チョココロネとメロンパンね」

 

「いただきまーす」

 

 

 

目の前の机に置かれたチョココロネとメロンパン。その瞬間からほのかに香るパン特有の焼き立てで香ばしい匂い。すぐに耐えきれなくなりチョココロネから一気にかじりつく。

 

 

 

「ん〜!!やっぱ何回食べても美味い!」モグモグ

 

「お客さん初めてじゃなかったっけ?」

 

「あぁ、チョココロネ大好きなんだよ。でも今まで他の店で食べたものより格別に美味しいぞ」

 

 

 

 

思った通りというか何というか、忠実にやまぶきベーカリーの味が再現されている。これだけ味の再現がされてるならモカとかりみりんがこの店贔屓にしててもおかしくないけどなぁ。

 

 

 

「ふふっ、そんなこと言われたの初めてだよ」

 

「いやマジで美味しいから。10個くらいはぺろっといけちゃうから」

 

「はいはいありがとね。そんなことより君ここの出身じゃなさそうだけど、どこから来たの?」

 

「......やっぱ分かりますかね?」

 

「まぁあんまり見ない服装だしね」

 

 

 

これは早いところ羽丘のブレザーからお着替えする必要がありそうな予感がする。このままじゃ街を歩いてるだけで怪しまれかねない。実際紗夜さんと日菜にも怪しまれたし。

 

 

 

「もしかして魔法皇国出身?」

 

「魔法皇国?残念ながらそんなところじゃないな」

 

「服装見た感じだとあそこら辺かなって思ったんだけどな」

 

「そんなに似てるのか?」

 

「私も見たのは一度きりだから良く覚えてないんだけどね」

 

 

 

 

 

それからはお客さんも来ることが無く、沙綾と世間話を交えながらこの世界の情報を聞き出していた。先程出てきた魔法皇国という言葉。話を聞いていくとこの城砦都市サークルと古くから領土争いを繰り広げてきた魔法大国らしく、正式な名前が"魔法皇国ギャラクシー"というこれまた聞き覚えのある名前だ。

 

 

 

 

しかし、沙綾からこれ以上の有力な情報は聞くことが出来ずに店じまいとなってしまった。まだ夕方の時間帯なのに早く閉めるんだなとか思ったが、現実の世界での常識はこちらでは通用しない。あまり変につっかかるのも危険だろう。

 

 

 

「あ、最後に良い事教えてあげるよ」

 

「ん?」

 

「ここから東に向かって行くと大衆酒場があるんだけど、そこに色んな情報を集めて売り捌いてる情報屋さんがいるらしいから行ってみると良いかもね」

 

 

 

 

どこまでいっても沙綾は沙綾で優しいままらしい。

 

 

 

 

「ありがとな沙綾!また今度パン買いに来るよ!」

 

「気を付けてねー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てな感じで酒場にやって来たわけだが.....」

 

 

 

ワイワイ

 

 

 

 

ちっとばかしうるさすぎやしませんかねこれ。いや大人だし酒飲んでワイワイしたいっていうのは分かるけどさ。実際ウチの親父も仕事で嫌な事あった時は酒飲んで気を紛らわせてるって母さん言ってたし。

 

 

 

「その前に未成年の俺が入っても良いのか?」

 

 

 

あっちじゃお酒とタバコは20歳からっていうのが基本だしな。俺はまだ高校を卒業すらしてないお子ちゃまだから入ったところで何も出来ない可能性もあるわけだし。まぁ取り敢えず入ってみるとしますか。

 

 

 

カランコロン

 

 

 

「いらっしゃーい!空いてるところに適当にお願いねー!」

 

「はーい......店員さんは普通の人だな」

 

 

 

見る限りじゃ店員さんは普通の人だが、集まってワイワイやってるお客の中には獣人族や魚人族、中には上位種族らしい龍人族もチラホラ見かける。まぁみんな入ってきた俺には目もくれずに楽しくやってて何よりだ。

 

 

 

「ご注文は?」

 

「まずはお冷を貰おうかな」

 

「はいはーい」

 

 

 

他の人の注文も受けつつ俺のお冷を持ってきて颯爽と次の注文に向かう店員さん。中々頑張り屋さんだなぁ。なんかつぐみを思い出してきた。つぐみも一人で羽沢珈琲店を切り盛りしてる時はあんな感じだしな。

 

 

 

「......お兄さんあんまり見ない顔だね」

 

「はぇ?ま、まぁここに来るのは初めてっすね」

 

 

 

 

周りを観察がてら見回していると、どうやら知らぬ間に俺の隣に新しいお客さんが来ていたらしく話しかけられる。残念ながらローブを深く被っており顔は良く見えない状態だ。

 

 

 

「もしかして......魔法皇国側のスパイとか?」

 

「ぶっ!!」

 

「ちょっとやめてよ汚いなぁ」

 

「いや急に変なこと言うからでしょ......」

 

 

 

 

流石に変化球過ぎてお冷を吐き出してしまった。店員さんに気付かれまいと急いで近くにあった布巾で拭いておく。というかこの人会っていきなりなんて事言い出すんだよ全く。まだブレザーのままだからそう思われても仕方ないけどさ。

 

 

 

「というか誰なんですか」

 

「ん〜、秘密の情報屋とでも言っておこうかな〜?」

 

 

 

ん?秘密の情報屋さん?なーんか沙綾がそれっぽい事言ってた気がする。もしかしてこの人がビンゴなのか?てっきりもっと時間が掛かるかと思ったが案外ご都合主義で助かる。

 

 

 

「丁度良かった、教えて欲しい事が沢山あるんですよね俺」

 

「知ってる事なら教えてあげても良いよ☆」

 

 

 

"お金を払ってくれればね♪"と続ける秘密の情報屋さん。紗夜さんと日菜からもらったお金ほとんど登録料とかで使ったんだけど大丈夫かな?

 

 

 

「ここじゃやり辛いから移動しよっか」

 

「了解」

 

 

 

 

 

 

~Rose castle~

 

 

 

 

 

 

「かんぱ〜い!」

 

「待てぃ、何故にこんな裏路地のちっさいバーに連れて来られたんだ」

 

「あそこじゃ他の人に聞かれるかもだからさ」

 

 

 

 

 

大衆酒場から移動すること数分の裏路地にある小さなバーに入った俺達。情報屋さんが言うには息のかかったお店らしく、常連客しか立ち入る事がないそうな。確かにそれなら安心だろうけどな。

 

 

 

「顔も名前も知らないのにお金の取引なんか出来ないぞ?」

 

「はい、じゃあまずは自己紹介から始めよっか」ヒラ

 

 

 

 

秘密の情報屋さんは被っていたローブをひらりと取り払い、やっと素顔が見られる状態になった。

 

 

 

 

まぁしかし、ここでも俺の知り合いに会うわけで。ずっと人間かと思ってたがどうやら違ったらしく、ローブで隠れていたが猫耳が付いている。この世界で言う"猫耳族"だろうと推測できる。やっとケモ耳っ子に出会えたかと思えば顔見知りのコスプレだ。少し残念な気持ちがなくはないな。

 

 

 

 

 

「私の名前は─」

 

「今度はお前の番かリサ......」ハァ

 

「ちょっと何で私の名前知ってるの!?」バタッ

 

 

 

何でも何も向こうじゃ顔見知りですしおすし。というか姉さん近い近い可愛い良い匂いがするぅ......じゃなくてマジで近いから一旦離れて欲しい。近付かれて初めて分かるが、猫耳だからといって獣臭がするわけではなくお風呂に入れてあげた直後の石鹸の香りが何とも.......。

 

 

 

「ちょ、近い近い離れろリサ」

 

「あーっとごめんごめん、でも何で私の名前を?」

 

「まぁそれは秘密だな」

 

「秘密の情報屋としては身バレは勘弁なんだけどなぁ」

 

 

 

 

待てよ?こっちの世界では秘密の情報屋として活躍中のリサ。そのリサの情報を握っている俺はリサに対して大幅に有利に動けるのでは?やだ、あたしって天才?

 

 

 

「じゃあ取引といこうか♪」

 

「な、何の情報が知りたいのさ」

 

「取り敢えず世界情勢を詳しく。それと周辺国家についても教えてもらおうか」

 

「あれ?そんなことでいいの?」

 

「まだまだ教えてもらうつもりだから覚悟しておくように」

 

 

 

 

そして、バーテンダーさんに適当に渡された飲み物を都度はさみながらも猫耳リサの話を聞いていく。何故か話が盛り上がるのを感じるが如く猫耳がピクピク動くのは疑問だ。途中で触ってもいいか聞いたら"猫耳族にとって猫耳を触るのを許すって事は......け、結婚と一緒の事だからね!"って凄い照れながら拒否られた。まぁ流石にそれは俺も気軽には出来ないな。

 

 

 

 

リサから話を聞く限り、重要な点がいくつか見つかったのでリサがお花を摘みに行っている間に整理しておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

まず一つ目に気になったのは、やはりこの城塞都市サークルと魔法皇国ギャラクシーとの関係だろう。関係、とはいったものの簡潔に言えば領土争いによる小競り合いが長年続いているらしく、近頃大きな戦いが始まるとか街では噂にもなっているという情報もあるみたいだ。

 

 

 

「ごめんお待たせ〜」

 

「ん?随分とお花摘むのが早かったんだな」

 

「お花?何の事?」

 

 

 

 

そして二つ目に、最近"ダブ"という西の都で何やら人攫いが多発しているらしいとの事だ。その人攫いに関係しているかは不明だが、魔法皇国ギャラクシーで不審な人身売買が行われているとの噂も。やっぱファンタジー世界なだけあってこういうのも多いんだろうか。その他にも沢山の有益な情報を聞き出せたので満足だ。

 

 

 

 

「いんや何でもない。それじゃあ俺はそろそろ帰るわ」

 

「約束、忘れないでよ?」

 

「大丈夫だよ。お洒落好きでお菓子作りも好きで世話焼きなリサの事なんか誰にも言わねーよ」

 

「ちょ!?だから何でそんな事まで知ってるの!」

 

 

 

 

ぷんすか怒るリサだが、またしても猫耳がピクピク動いていて逆に可愛らしい。やはり猫という観点から見れば友希那の影響なのだろうか。だとすればこの世界線の友希那は一体どんな存在なのだろうか。

 

 

 

「まぁ落ち着けよリサ。また会いたくなったらここに来るから」ナデナデ

 

「んにゃぁ!?」///

 

 

 

宥める意味も込めて頭を撫でてやろう。猫耳触っちゃったけどノーカンって事で勘弁な。

 

 

 

 

 

「......最後に一つ良い事教えてあげる」

 

「ん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"この世界に災悪起こる時、迷い人と星の巫女来たれり"

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この世界に古くから伝わる昔話みたいなものだよ」

 

「.......また変なのに巻き込まれるのか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな状況だとまだまだこの世界から帰れそうにないか。

 

 

 

 

 

 

~To Be Continued~

 

 

 

 

 

 





気軽にバンドリの異世界編くらいに考えて頂ければ笑

一応RAS&モニカ以外全員出ますのでご安心を。
どのキャラがどんな設定で出てくるのかは主次第です。

評価、感想等頂ければ幸いでございます(๑˃̵ᴗ˂̵)テヘペロゴッツンコ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。