厄祭の英雄 -The Legend of the Calamity War-《完結》 作:アグニ会幹部
読まなくても問題はございませんが、解説や設定、作者なりの解釈や想いなどを書き連ねますので、よろしければ。
※完全に本編のネタバレとなりますので、本編読了後にお読み頂くコトを強くオススメ致します。
後書き Ⅰ(経緯〜第五章)
バエル!(挨拶)
――改めまして、おはこんばんちは(死語)
本作ページを開いて頂きまして、ありがとうございます。更に後書きにまで辿り着いて下さった読者の皆様がたには、感謝の念に絶えません。
名前が読み辛くて呼び辛いコトに定評のある(かもしれない)、作者のNTozと申します。アグニ会幹部も務めております。
まあ私などの自己紹介はその辺の道端に生えてる苔以上にどうでも良いと思うので、早速「後書き」の内容に入って行こうと思います。大事なのは作者じゃなくて作品なのだからネ。
ただ、ご存知の通り凄まじく本編が長くなってしまっており、私の二次創作人生最長の作品になりましたので、後書きに書くべきコト、書きたいコトも山ほど存在しております。
よって、後書きも章立てでやっていこうと思います。具体的には以下のような流れで。
・作品を書くに至るまでの経緯とあらまし
・内容の振り返りと解説(序章〜終章)
・「断章 支配 -The Will to be Suppressed-」
・内容の振り返りと解説(断章)
・総括
多分、これで全部書ききれる……ハズ。
マジで書くコトが多すぎるので、早速GOGO。
なお、各話の前書きや後書き、感想返信などと一部内容が被って来る場合がございますが、あしからずご了承下さいませ。
◇
まず初めに、作品を書くに至る経緯について。
大前提として、本作はTVアニメ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」の二次創作作品です。
そして、本作「厄祭の英雄 -The Legend of the Calamity War-」は、同じ鉄血二次創作で、私が昔に連載していた作品「鉄華団のメンバーが1人増えました」内における「過去編(厄祭戦編)」を単品の作品として再構成し、全編を新たに書き直したモノとなります。
どれくらい書き直したかというと、一言一句に至るまで全てです。機体やキャラクターの設定には多少の共通点が見られますが、ありとあらゆる部分を見直し、再構成してゼロから書き直しています。なので、リメイクと書いてこそいますが、ちょっと共通点が有るだけで実質的にはほぼほぼ別物、と言っても良いかも知れません。
前作がどんなのだったかと言うと、まあタイトルを読んでの通り。ざっくり言うと、鉄華団に何故か三百年後も生きてたアグニカ・カイエルがメンバーとして加わったコトで、原作から色々変わっていく――という、いわゆる原作改変系の二次創作です。
途中までは正体を隠していましたが、まあ連載時もアニメ放送直後だったからか、かなりの最初期からアグニカだと勘付かれてたので、ここではぶっちゃけて書いておきますね☆ みんな気づくの早すぎるよ!
これから読むというありがたい方には、大変申し訳ございませんでした。
本作の(一応)原型となる「過去編(厄祭戦編)」は、主人公がアグニカだとバレた後、本物だと証明する為にアグニカが三百年前のコトを語る――という形で連載されました。
この厄祭戦編、読者の皆様がどのようにお感じになられたかは分かりませんが、作者的にはぶっちゃけ色々と納得行かないモノになってしまいまして。
加えて、原作沿いでやってきた作品なのにいつまでも完全オリジナル展開をやってる訳にはいかねぇだろ――という事情も有り、超巻き気味ハイペースで進めていたコトと、当時の技量の問題もあって、やりたかったコトの三分の一も出来たか怪しかったモノなのです。
前作はマジにプロットも何も無くその場のノリで書いてたというコトもあり、今から作者目線で見返すと色々粗が目立つ訳ですが、厄祭戦編以降は特にそれが顕著に現れてしまっていると感じます。
作者が自分の作品に関して、ネガティブなコトを言うのは良くない、とは分かっています。私とて、自分の見ている(見ていた)作品を作者自身がこき下ろしていたら、少なからずショックを受けますし萎えもします。何を思っていようと、自分の作品だけは何としても肯定し続けるコトが、作者として最大の責任、義務だと理解しているつもりです。
作者視点からすると色々と思うところは有りますが、鉄メンに関してはそうした粗も含めて、良い作品になったと断言出来ます。
だって、今から見返しても普通に面白いんだもん(自画自賛)
ただ、ここでは敢えて、私の無念について書かせて頂きました。連載終了から二年以上、連載開始から約四年も経つコトを踏まえるとともに、今作を書くに至る経緯を説明するにあたって、どうしても必要と判断した為です。
ご気分を害された方がいらっしゃるなら、慎んでお詫び申し上げますとともに、ご理解ご了承のほどをお願い致します。
とにかく、作者にはそういう想いが有りまして。
厄祭戦編は鉄メン連載当時から「これだけでも単品の二次創作作品として成立する」と感じていたコト、原作のTVアニメ放送終了から時間が経ったコトと内容の賛否両論から、鉄血二次創作の新作も数が減り続ける現状に少しでも楔を打ちたいと思ったコトから、厄祭戦編を完全新作としてリメイクし、連載しようという決意を固めるに至りました。
本作を書く経緯としては、以上こんな感じです。
まあ、私と私の作品が世界に及ぼす影響なんて、ほんのちっぽけなモノだというコトは理解していましたが、理想と旗は掲げてこそ意味が有るのでね。マンウィズもそう言ってる。ライズユァフラーッグ!!
続きまして、本作のタイトルについて。
本作には「厄祭の英雄 -The Legend of the Calamity War-」という、クソ長くてご立派ァ! なタイトルが付いております。
実はこのタイトル、割と決めるのに時間がかかりました。そもそもの付け方、どんなモノにするかが問題になりましたので、その辺りも含めてこのタイトルに落ち着くまでのコトを以下に書き連ねます。
ちょっと脱線するので、アレな場合は読み飛ばし推奨。というか、後書き全体を通して話が脱線する時が時々有りますが、ノリで書いてるんでゆるしてクレメンス。
なろうとかここハーメルンも含め、いわゆるWeb小説という媒体においては、一文で作品の概要を表すタイトルにした方が、UA(PV)を稼ぎやすいという傾向が有ります。昨今のなろう発小説のタイトルが説明臭くて無駄に長いのはそういう事情のせいでありまして、書籍やアニメになると無駄に感じる長さですが、Web小説である内は必要だから長いだけなんですねコレが。
タイトルで作品の概要を読者に懇切丁寧ご説明遊ばさなければならないのは、読者心理的に「時間を無駄にしたくない」からでしょう。わざわざ忙しい日々の合間を縫って素人の小説を読みに来てる訳なので、読んでみて初めて内容が分かるってタイプの小説は嫌われます。いざ読んでみてつまらなかったら、それは時間の無駄ですからね。
作品タイトルからどんな内容なのか、地雷じゃないのか、好みに合うかをある程度読み取るコトが出来て、読む価値が有りそうと判断されてようやく本文を読んでもらえる――現在のWeb小説という文化は、そういうモノです。誰でも作品を投稿出来る反面、その第一関門を突破しなければ、作品を読んですらもらえない。作品は山ほど転がってる訳ですから、全部を読んではいられません。一瞬でもつまらないと感じられたら即切りして、すぐに忘れて他の作品に移るのは当然の心理でしょう。
昔は個人がサイトを立てて小説を掲載していたのに、いつしか共通の大規模小説投稿サイトに統合され、誰もが作品を全世界に公開出来る時代になりました。
Web小説発の作家も増え、誰もが夢を見られる時代ですが、まあ現実には相当厳しい上にラノベ業界自体が落ち目で、ラノベ作家もライト文芸作家へと転向しつつあり――と、ここまで行ってしまうと話の脱線もいいところなので、そろそろ戻します。
鉄メンから引き続きハーメルンに掲載する以上、本作も二次創作とは言えWeb小説に該当する訳で、タイトルの付け方の問題というのはこれです。
タイトルをカッコよくそれっぽいのにするか、それとも説明っぽいモノにするか。
正直に申し上げますと、私はなろう系小説の長ったらしいタイトルが大嫌いです。新作アニメ情報とかで「転生」「異世界」「魔術」「魔法」などが入った長ったらしいタイトルを見ると、速攻で地雷判定して0話切りするくらいには大ッ嫌いです。具体的にはスマホ太郎やデスマ次郎、百錬三郎――いや待て、こうして並べるともうむしろ一周回って好きかもしれない。いやもうむしろ好きだな(ザックレー総統並感)
まあでも、なろう系にも面白いのはたくさん有ると理解していますし、私もそう思います。このすばは原作買い揃えてるしリゼロはWeb原作全話読みしてるし、転スラや無職転生、幼女戦記はアニメ追ってて面白いし、魔王学院はチート極まりすぎて清々しかったし。結局はやりようなんだなぁコレが!
……とまあそれはともかく、ある程度タイトルから分かるようにしないと、Web小説はそもそも読んですらもらえないのです。どんなに面白いのを書いて掲載したとしても、見てもらえなければ意味が無いと理解しているので、付け方で迷った訳ですが。
しかし、私はひねくれているので「どんな作品か分かるカッコいいタイトル」を付ければ良いとの結論に達し、今のタイトルに行き着いたのサ!
終わり!! 閉廷ッ!!!
……ここまで長々と書いた意味ありましたかねぇこれ。この一文だけ書いときゃ良くね?(後書きはその場のノリだけで書いてる人)
ちなみに「厄祭の英雄」はバシッと最初からシンプル・イズ・ザ・ベストで決定してたんですが、後ろに付ける英語の方は二つ候補が有りました。
一つは決定案となった「The Legend of the Calamity War」、もう一つは「厄祭の英雄」を直訳(?)した「The Hero of the Calamity War」。
最終的に「日本語の後ろに直訳そのまま載せるのはどうなん?」と思い、Legendの方を採用。ボツ案になった方も、第八章の九十二話でサブタイとして
なお、この「The Legend of the Calamity War」は、横山克氏による「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」オリジナルサウンドトラックに収録された楽曲「Hashmal -The Legend of the Calamity War-」から取っています。
その名の通り、原作だとモビルアーマー起動シーンに使用された曲です。この他にも、サントラの曲名から取ったサブタイは幾つか有りますが、それは今後の振り返りと合わせて見ていくコトとします。
続きまして、小説情報(作品解説)について。
まあ作品の概要を分かりやすくバーッと書いたモノですが、思ったコトは「1000字以内とか無理だろコレ」の一言に尽きる。
まあ上記のWeb小説読者の心境とかを踏まえて考えると、あらすじ1000字は制限として相当緩いコトは確かなんですが、下書きで1200字行った時は「ここから削れと!? 無理だな(確信)」と軽い絶望を覚えました。
物書きが本当に絶望する時とは、字数が足りない時ではなく、超過した字数を規定まで削らなきゃならない時なのだよ。何故なら、その字数は必要だったからそうなってしまっている訳で、減らそうと思ったら必要な文を削るコトになるからさ! 削って良いところなんてどこにも無いんだ!!
――それはそれとして、とりあえず削りに削って800字ちょいに収めて、今の形に至っております。特にこだわったのはこの三文。
「天使が齎した、人類史上最悪の災厄。
悪魔による、天使を狩る大いなる祭。
人が記憶から忘れ去った、世界大戦。」
最後の一文字を縦読みすると「厄祭戦」になるように調整し、一文目と二文目の冒頭で「天使」と「悪魔」を並べているのがポイントです。
直後の「人間達の物語」というのも重要ですね。
争いは同じレベルの者同士の間でしか発生しませんので、冬月先生の言う通り、結局「人間の敵は人間」だと。この辺りの理論は第八章の振り返りや総括でも触れますので、詳しくは後述というコトで。
また、本作は「英雄」とタイトルに冠しているのに、ここでは「英雄達の物語」とは書いていないコトもポイントだゾ☆
なお、ここにも作品を作る動機がちょっと書いてあり、原作でのバエルの活躍の無さに憤慨して「だったら厄祭戦を舞台にして、アグニカ乗せて活躍させるしかねぇ!」という考えが作品の根底に有る――と記述しました。
「オイオイ、さっきまでの説明と違うやん」と思われるかもしれませんが、これは正確には本作を書くに至る経緯というよりも「私がバエルやアグニカが出る二次創作をする理由」です。前作や他の拙作にも共通する理由なので、別に本作に限った話ではございません。
要するに「バエルとアグニカが好きだから二次創作をしている。ずっとバエルとアグニカを讃え続けたいし、お前にも讃え続けてほしいと思った。後、鉄血が好きだ」ってコトを言っているだけです。
当たり前かつ大前提過ぎるので、先ほどまでの説明には加えなかったコトです。というか、ここで説明するからさっきやらなかっただけである。
そんな感じなので、そこんとこヨロシク!
それと、ここの小説情報には「予告編」と「予告編・裏」が掲載されております。
これが出来るまでの経緯としては、前作(鉄メン)に番外編を掲載するついでに「厄祭戦編リメイクの新作書くよ!」とダイマしたところ、何故か「予告編作りました」と個人メッセージで送られて来たのが始まりです。厚かましくも「新作の小説情報欄に載せて良いですか」と聞いたら快諾して頂き、そこから「せっかくだから本編の内容に絡む奴にしたいんで、台詞とかそれっぽい単語とか無いですか」とか仰って頂きつつ、協議を重ねて何度かのバージョンアップを経るとともに、いつの間にやら裏Ver.が作られ、完成に致りました。
製作して下さった真改零式さんには、感謝してもしきれません。色々と厚かましいお願いもしてしまいましたが、カッコいい予告編を作って頂き、ありがとうございました。
予告編の台詞は私から送らせて頂いたモノとなっており、大半は当時完成していた序章〜第二章のモノですが、当時既に決まっていた第六章や第八章の台詞も混ぜておいたので、今から見ると「あっ、これここのじゃん!」と気付けるモノになっていますので、久しく見てない方は今すぐ見て来るんだ!
台詞や単語の使い方、演出の良さは完全に真改零式さんのセンスが素晴らしいが故。あまりにも素晴らし過ぎるので二万回見ました。皆様にも是非、何度でも味わって見て行って頂きたい。見ろ(豹変)
一方の裏Ver.はいつの間にか出来てて、私はほぼほぼ関与していない(表用に送った台詞や単語がこちらに使われているところも有りますが)ので、真改零式さんの色がより濃く出ていると思います。
曰く「表は人類側、裏はMA側重視で作った」とのコト。おどろおどろしさがクセになったので、私は既に二万回見ました。
裏に登場する「
なお、ヘイムダルのマークと、メインビジュアルにも使われている本作のタイトルロゴも、この流れの中で生まれたモノです。ヘイムダルマークは真改零式さんの提案を受けて私が完成させ、タイトルロゴは完全に真改零式さん側から頂きました。
鉄血フォントは真改零式さんのご友人の友の神さんがお持ちだったとのコトで、直接のやり取りは致しませんでしたが、友の神さんにも御礼申し上げます。また、予告編・裏の製作に協力されたというF・Bさんにも感謝を。
そして、鉄メン→本作になるにあたり、大きく変わった点として「前提」が挙げられます。
前作は原作改変系の二次創作であり、書くにあたって原作に見られる設定や描写の矛盾をオリジナル設定の制作により解消していました。その為、原作設定をやりやすいように変更しまくっており、厄祭戦編も同じように設定のでっち上げや設定変更を行いながら書いていた訳です。
しかし、本作を書くにあたっては、絶対的に原作設定に準拠すると決定しました。例え矛盾していても原作設定を最大限尊重し、バラバラに存在している厄祭戦関連の設定を全て踏まえた上でストーリーを展開し、書ききるという決意を以て挑みました。
「新しく設定を追加するコトは有っても、既存の設定を変更するコトは無い」――これが本作の「前提」です。
ただ、原作設定の解釈に関しては割と自由にやってるので、もしかしたら皆様方との解釈違いが起こってしまっているかもしれませんが、そこは悪しからずご了承下さい。ご了承出来ないならお前も厄祭戦を書け(暴言)
そんな訳で、本作は一ファンである私が把握しきれる限りの原作設定と、齟齬を起こさないように組み立てられています。それこそこのままスピンオフ作品としてお出し出来るくらいには、ちゃんと全て合うようになっています。……なってるハズです。なってるんだよ!(声高な主張)
なお、公式が外に出していない設定は知ったこっちゃねぇと言うコトともしかしたら見落としてる設定が有るかもしれないコト、今後の公式展開次第では矛盾が生まれる可能性が有るというコトはどうしようもないので、そこのところはご了承下さい。
とまあ、そんな感じに作った設定を設定集としてまとめて置くにあたり、字数が膨大な量になるコトは連載開始前から目に見えていた――というか、連載開始前の時点でとんでもねぇコトになっていたので、分類別にご紹介する形になりました。
作者端末内の下書きだと、更に細かく分けていましたね。字数が増えすぎると重くなるんだ(白目)
一番エグいのはモビルスーツ、次いでモビルアーマーかキャラクター――という感じですね。ガンダム・フレームは全機がワンオフ物なので、他の量産機と違って数個作ればオッケーとはならない点がヤバい。こんなんアニメ化どころかデザイン揃えるコトすら一苦労だよ! メカは描けないので、私は途中で力尽きたぜ! 本当はセブンスターズのガンダム・フレームの最終決戦仕様もデザイン起こしてみたかったけど、流石に気力と時間と引き出しが無かったぜ!
公式は今後アプリゲームを展開する際、ガチャ要員として大量のガンダム・フレームを新たに設定するコトになるんでしょうけど、もう御愁傷様としか言いようがない。どうせなら大河原大先生とかカトキさんとか、現状鉄血に携わってない方々のデザインしたガンダム・フレームの機体を出してくれ。個人的にはI-Ⅳさんのガンダム・フレームが見たい。
一応MS、MA、キャラクターはほぼ全て本編に登場したり絡んだりしてるので、振り返りついでに解説するとしますが、戦艦と用語には幾つか本編に登場してない設定だけのモノが有ります。
なので、そうした戦艦と用語には今この場で言及しときます。作っといて使わない設定が有ると思えば、本編書きながら新しく作る設定が出て来たり、不思議なモンですわ。いやホントに。
まず「ビスコー級クルーザー」。
これは原作に登場し、マクギリスとガエリオの監査部隊やモンターク商会など、様々なところで使われていた小型のクルーザーですね。残念ながら本作では出番無し。
MSの艦載可能数が原作設定で明言されてたかはちょっと記憶に自信が無いのですが、五十メートルというサイズ(これは公式設定)や原作での描写を加味し、本作では二機としています。
以降はMS開発前、モビルプレーンやモビルワーカーを積載する為に造られた――という設定の戦艦。
「ヨークタウン級大型空母」と「エセックス級陸上戦艦」の二つが、本編未登場のまま終わってしまいました。ヨークタウン級はそれこそ現実にあるような空母、エセックス級は名前も似てるので「機動戦士ガンダムSEED」のレセップスみたいな戦艦を想像して頂ければ。
MS用戦艦に空母と地上戦艦を設定したので、MP、MW用も用意したのですが、本作の戦闘シーンはほぼ全てがMS絡みのモノ(ガンダムなんだから当然ではありますが)で、そもそもMP、MWの出番が無かったとさ。原作でもMWはともかく、飛行機はエイハブ・ウェーブのせいでレア物扱いなので、しょうがなかったんや。仕方ないよなぁ(エレンポイントが失われる音)
用語の設定は、本編でここまで詳しく書いてないよなぁって奴も有るので、見てない方は見てみると面白いかも知れません。ただ、原作設定とオリジナル設定がごっちゃになって説明されてるので、ここの説明が全て原作にも当てはまる訳ではないというコトだけ注意して下さい。
一つ、ここに書いてあるけど本編では出してない設定として、「ティウダンス・フレーム」が有ります。
これは原作に登場する「テイワズ・フレーム」(百里、百錬、漏影、辟邪、トリアイナ、カッリストに使われているフレーム)に関する公式設定に「厄祭戦時に設計段階で開発が中断されたMS用インナー・フレームのデータをテイワズが発見し、それを元に開発した」というモノが有りまして、そちらを反映した設定になります。当然、設定的に厄祭戦時に現物は造られてない上、言及する機会も特に無かったので、あくまでも設定を作るだけに留まりました。
本編では木星圏は舞台にならず、原作で存在感の有ったテイワズも厄祭戦時には影も形も無いので、原作のテイワズに繋がる貴重な(というかほぼ唯一の)設定と言えるかもしれませんね。
もう既に結構な字数に到達していますが、本番はここからです。
ここからは全十章の本編を序章から章ごと、一話ごとに振り返っていき、解説や作者なりの解釈、感想などを述べ立てて参ります。――と、やるコトを文章にしてしまえば一言ですが、実際とんでもなく途方もない感が凄いぜ。
では早速――と言う前に、一つだけ注意点をば。
作品に対して作者なりの解釈を語ると書きましたが、私個人としては「作者の解釈=正解、という訳ではない」と考えています。シーンや台詞の解釈は人によって異なり、数学の解答と違って明確な正解が有るモノではありません。作品を作るのは作者ではなく、それを受け取って自分の中で咀嚼する読者の方であると、私は思っています。
これから私が語る作品の解釈と、読者の皆様一人一人の解釈が食い違っている可能性は有ると思いますが、その時は「こういう解釈が正しいんだな」とするのではなく、どうか「なるほど、こういう解釈も有るのか」程度に受け止めて頂きたいです。
ご自身のファーストインプレッションを大切にして頂き、もしよろしければ「俺はこのシーンはこうだと思う!」というコトを、感想欄などでお聞かせ下さると嬉しいです。
まあ私の技量やボヤかして書いてる部分も有るコトが原因で「解釈違いというより、意味を正しく伝えられてねぇじゃん!」となる可能性も、ある程度考えられてしまうのがアレですが。その場合は鱗滝左近次と冨岡義勇が腹を切ってお詫び致します。
――とまあ、身の程知らずのご講説を並び立てて死に腐ったところで、本題に行こうと思います。
私は現在、ごちうさの曲を聞きながら割と軽いノリでこの後書きを書いてるので、皆様にも同じくらい軽いノリで読んで頂ければと。本編が割と重くなってしまったので、後書きくらいは軽いノリでサラッと読める感じにしていきたい所存。
◇
序章 戦闘 -Fight of the Hero-
まずは序章、全ての導入部分――起承転結で言うところの「起」にあたる部分です。
そしてこの章タイトル、考えるのに結構苦労しました。何故かというと、全一話しかなく中身も深く踏み込んで行くところじゃないので、元にするネタが無かったからです。
章タイトルは、その章を象徴するような熟語と英文を付けるのですが、件の章が短すぎて困ってしまったという……最終的には、何とも無難な感じに落ち着かせる他に無かったのだ。第一章以降は中身の方に深く入っていくのて、そんなに苦戦しなかったんだけどね。
序章は第0話の全一話のみとなっていて、TVアニメで言うとオープニング前のアバンタイトルみたいな感じ。厄祭戦開始前から時系列順に物語を進めて行く前に、まずあらすじに書いた通りバエルとアグニカの活躍を書くとともに、厄祭戦とは一体どういう戦いなのかをバーンと見せたいと思って、こういう構成になりました。この話数が一話ではなく0話なのも、この為です。
当然というか必然というか、一話目は最も多くの人に読んで頂けます。つまり、わざわざ作品ページを開いて読みに来て下さった読者の皆様の心をここで掴み取れなければ、次に繋がりませんからね! まあ実際に掴めたかは知りませんが!
以上のコトから、第0話「厄祭戦」は、「この一話でバエルとアグニカのカッコ良さ、厄祭戦とは何なのか全て分かる!」というのを目指しています。
ただそれだけを伝えるべく、余分な描写はほぼ全て排除し、アグニカとバエルに注力してもらえるよう全力を尽くしました。
この第0話で描かれる戦闘は、後の第63話(第六章)での戦闘を先取りし、一部を切り取ってお見せしている形になっています。しかし、第63話ではセブンスターズのガンダム・フレームが全機出ているのに対し、第0話に登場するセブンスターズの機体は「ガンダム・キマリス」のみ。原作に登場したキマリスとボードウィン、後はバエルとアグニカ、そして、 本作においてアグニカに最も大きな影響を与える人物、スヴァハ・リンレスとその乗機「ガンダム・アガレス」――ここまで登場人物と機体を絞るコトにより、要点を押さえつつ情報の渋滞を避け、読みやすさを第一条件として構成しています。
バエルとキマリス、ドルトは原作に出ているので読者様に安心感を与える効果を生み、ガンダム・フレームとMAの戦闘を見せるコトで作品の空気感を伝え、アグニカと共にスヴァハを出すコトによって「ああ、この子がヒロインなんだな」と一目で分かって頂けるようにしたつもりです。
我ながら完成度の高い、導入としてはこれ以上無い一話目が出来上がったと自負しております。
てか「頑張れ、アグニカ」の一言でヒロインレースをブッちぎるスヴァハちゃん、凄まじい……凄まじくない?
このヒロイン力の高さ。スヴァハちゃんのヒロイン力無くしてこの第0話は無かった。ありがとうスヴァハちゃん、かわいいよスヴァハちゃん。
あまりにヒロイン力が高すぎた結果、感想欄で「実はこの直後に死ぬんじゃね?」と夢も希望も無い予想をされていたのは草バエル案件でしたが、流石にそこまで残酷な世界じゃなかったよ。安心してくれ(?)我が同志。
しかし、情報を減らしたとはいうものの、新規設定は割と出たっていう。特にMA側は、バリエーションの豊富さを早くも発揮していた。
そんな訳で、第0話の新規機体やキャラクター、戦艦についても振り返って書いておこうと思います。
まず「ガンダム・バエル」。
説 明 不 要 。主人公機、御神体です。
原作ではマクギリス・ファリドことアグニ会会長が搭乗し、革命の切り札としていた訳ですが、特に目立った活躍も無く影響力も発揮出来ずにマッキーは無様に滑り落ちて逝ったよ……バエル使っといて負けるとか、どういう了見だワレェ!(マッキーの胸ぐらを掴みながら)
まあ既存の体制を破壊して新しい体制作ろうって言いながら、既存の体制を象徴するバエルに頼ったって時点で、マッキーの計画は杜撰この上無い。良かったねぇバエルに乗れて。お前、絶対バエルに乗ってアグニカごっこしたかっただけやろ(白目)
そんな訳で「三百年前の主人公機」だの「頭マクギリス」だの「草バエル」だの「DXアグニカなりきりセット」だの「オイオイ正気かよ、棒切れ二本で革命なんてさァ!」だの「弱い」だの、マッキーともども散々な言われようですし、実際装備的には貧弱と言わざるを得ないバエルくん。
しかし、逆に考えるんだ(by ジョースターさん)
バエルの装備が貧弱であったにも関わらず、何故バエルは英雄の魂が宿る機体として神格化されたか――そう。
バエルが強かったから、アグニカは英雄になったのではなく――アグニカが強かったから、バエルは英雄の魂が宿る機体とされたのさ!!!
てな訳で、本作だとバエルは最強です。
ちなみに「覚醒」した際の戦闘力的には、バエルが全ガンダム・フレームの中で最強――という設定も、本作には存在していたりしますが、詳しくは第三章振り返りの際に書くとします。
続いて「ガンダム・アガレス」。
バエルとデザイン的にはほぼ同じですが、武装はライフル二本持ちになっており、バエルと対になるような感じで設定されております。
色はピンク系。実際に似合ってしまう辺りから、バエルのデザインの完成度の高さが伺い知れるというもの。鷲尾さんすげぇぜ。
ライフルは鉄血世界だと剣より攻撃力が低く、決定打になりにくいという設定が原作から存在していますが、そこはスヴァハちゃんの変態射撃能力でカバーされています。スヴァハちゃんは本編中の描写でも、何気無く変態的な腕を見せていますので、流石はアグニカに次ぐパイロットと言ったところ。
ちなみに前作(鉄メン)だとピストル二丁持ちって設定だったのですが、流石に火力が心許なさ過ぎたので、本作に移るにあたってライフルに変更されました。それ以外には、特に前作からの変更点は無い機体だったり。
「ガンダム・キマリス」――こちらは原作一期に登場し、ガリガリ君ことガエリオ・ボードウィンが乗り回していましたね。
原作をご覧の方はそこまで強い機体というイメージを持たれていないかも知れませんが(実際、地球衛星軌道上の戦闘では特殊装備のバルバトスに完封されているので)、このキマリスもバエルと同じで、中の人がヤバかったから戦果を上げたタイプだと睨んでおります。
槍を構えて相手に突撃するというコトはつまり、やってるコトはダインスレイヴの弾頭と同じな訳です。要するにキマリスは「曲がるダインスレイヴ」で、初代ボードウィン卿(本作だとクリウスって名前を付けていますが、原作設定では名前は不明)は自らダインスレイヴになった猛者なのではないかと。
ちょっと何を言っているのか分からないと思いますが、本作でのキマリスはそんな感じです。ガエリオは突撃の気合と速度が足りなかったのさ……肉薄して使える武器が少ないんやから、止まったら終わりやぞキマリスは――って、こう書くとマグロか何かかな? 止まるんじゃねぇぞ……。
個人的にHGが欲しい機体。売ってねぇ! 転売ヤーは全員●ね!(直球)
MA側には「ザドキエル」と「ザフキエル」が登場しています。
ザドキエルは原作に登場した「ハシュマル」と同等の機体という設定ですが、見た目はハシュマルを上下反転させたかのように、翼の上に腕が飛び出しています。見た目的にはこっちの方が禍々しい。武装をハシュマルと同じにしたのは、原作を知っている読者を想定し、強さを分かりやすくする為です。
ハシュマルともども「天使長」という位階に属してきますが、この「位階」自体が本作オリジナル設定ですので、第0話では説明まではしていません。ややこしくなるからね!
一方のザフキエルは、前作連載時に読者の方から設定案を頂いて作った機体です。長距離ビームランチャー持ちとかいうロマン機体。多分、初期型としては火力トップクラスと思われる。
それでいうと、本作の「天使」達には「初期型」「中期型」「後期型」「直属機」がいますが、まあこの辺りも後述します。
キャラクターは三人のみ。
まず出るのが、クリウス・ボードウィン。
原作キャラのガエリオ、アルミリア、ガルス(パパリオ)のご先祖様にして、後のセブンスターズ第三席「ボードウィン家」初代当主。本作初セリフを取っていきやがりました。
キャラ設定時のモチーフは「一期ガエリオ」。原作リスペクトも兼ね、性格や口調はほぼガエリオまんまです。作者脳内ボイスの声優も松風雅也氏。ただ、原作のガエリオが無意識に持っていた差別意識や青臭さが抜けている上、操縦技術も圧倒的に高いので、完全にガエリオの上位互換とも言える。
彼の出自については本編中だと言及していませんが、設定集の方には記載してまして、彼もまた「
次にアグニカ・カイエル。主人公です。
原作には名前だけしか登場していないので、性格や口調は完全オリジナルになります。一応、原作の長井監督が「熱血漢」との設定を語っていますが、フワッとし過ぎてる上に時代背景、展開的に無理が有るのと、インタビューでちょっと言ってたくらいなので信憑性にも少し問題が有ると判断した為、本作では考慮していません。ガロードみたいなキャラなのかな?
なので、敢えて普通な感じにしました。超越した英雄ぜんとした人物ではなく、アグニカ自身は他とそんなに変わらない、普通の感性を持った人間であるというコトが、後々の展開に響いていくので。
また、初代セブンスターズや原作の鉄華団と違って、アグニカは孤児ではありません。しかし、孤児ではなく学や選択肢を与えられてしまったが故に、生きる為に戦うしかなかった鉄華団と違い、アグニカは自ら戦いに突っ込んで行くコトになりました。
そんなアグニカは英雄となり、鉄華団は逆賊として時代の流れに葬られた――アグニカは原作主人公である三日月・オーガスと、一つの対比になっている(している)訳です。真逆の境遇に在って、同じようにガンダム・フレームに乗って戦い、同じ結末を迎えながら、アグニカと三日月は全く違うと。
とまあ、このように原作を意識した描写は割と随所に有るので、本作と原作と比較しながら見てみると、色々発見が有るかもしれない……?
そして、スヴァハ・リンレス。
本作のヒロイン。分類は幼馴染系。
かわいい。とにかくかわいい。愛着を抱いてもらえると良いなって思いながら、キャラ設定を作りました。スヴァハには一応、薄っすらとモチーフとなった他作品キャラがいまして、「マギ」のシバがそうです。作品自体はともかく、このキャラ自体はアニメ化の範囲に含まれておらず、原作漫画でしか見れないキャラなので、知名度はそんなに無さそう。
彼女が明るいキャラなのは、後々の展開の為。曇らせ絶望前提の明るく笑顔なキャラとかいう、作者の人格が疑われる案件。冷静かつ客観的に見ると、アグニカと同じくらい酷い目に遭ってる気がする。
それと、スヴァハもアグニカと同じく、割と普通な人物になってます。ただただ女神なだけサ。
ちなみに前作だと名字が「クニギン」だったんですが、ちょっとモヤっとしてたので、本作では「リンレス」に変更。リンレスにしたらしっくり来た。
名前の字数はアグニカに合わせ、縦に並べて書くとピッタリ揃うようにしています。名前の由来もアグニカ絡みで付けました。名前からして夫婦だというのに、実際にはなれなかったよ……誰だ、こんな酷いコトした奴は! 俺が逆さに吊るしてやる! うわ何をする離s――これからは一切の食事を「下」から摂取していただくコトになっております。
戦艦もオリジナルのが一隻、ラファイエット級汎用戦艦一番艦「ゲーティア」が登場。
原作だと汎用戦艦は一隻も登場していませんが、ホワイトベースやアーガマ、ラー・カイラム、アークエンジェル、プトレマイオス2など、やはり主人公の乗る戦艦は汎用戦艦なのがド定番なので、新たに設定しました。「カラドボルグ」に「クラウ・ソラス」と、これまたハイパーメガ粒子砲やローエングリン、波動砲などに通ずるド定番な大型火砲も用意されております。主人公の乗る戦艦が戦略兵器を積んでるのは基本。基本中の基本。
そして、重力下で飛ばすべく、この艦は「エイハブ・クラフト」なるモノを積んでおります。宇宙世紀で言うミノフスキークラフト。宇宙世紀がミノフスキー物理学でゴリ押してるので、本作はエイハ物理学でゴリ押しを敢行しております。ミノフスキー粒子が全てを解決するように、エイハブ粒子は全てを解決するのだ。
戦艦名「ゲーティア」は、ガンダム・フレーム(ソロモン七十二柱)が乗るというコトで、そちら絡み。カラドボルグとクラウ・ソラスは、ダインスレイヴ絡みで神話の聖剣/魔剣から取っています。
◇
第一章 開戦 -Open the Certains-
そんな訳でアバンタイトルとなる序章を経て、第一章からいよいよ本題に入って行く訳です。
内容は章タイトルの通り、戦争が始まります。章タイトルは二文字の熟語縛りでやっていたり。副題の「Open the Certains」は、劇場アニメ「Fate/stay night [Heaven's Feel] Ⅰ.presage flower」のオリジナルサウンドトラックに収録された一曲「Open the Certains」から拝借しています。
ちなみに、このHFサントラは割と高頻度で、執筆作業用BGMとして活躍してくれました。やはり梶浦音楽は神。まあ完全生産限定版BD特典なので、入手し辛いのがネックなんですが……。
第一話「エイハブ・リアクター」
開幕はエイハブ・バーラエナ氏による独白。彼がエイハブ・リアクターを造るに至るまでの心中を描いています。「何故人間は戦い続けるのか」「何故人間は戦いをやめられないのか」「何故戦いが発生するのか」――古代より使い古されたベッタベタなネタですが、結局「戦争」の物語を描こうと思うなら、避けては通れぬ場所だとも感じます。
ここで言及される「世界大戦」は、厄祭戦の更に前の話ですね。第八章でのエイハブの独白、その他十国会議などで度々言及されていく謎のヤツ。不謹慎と理解しているものの、現実で言うと「第三次世界大戦」のような感じの戦争です。この直前に戦争の無人化が(エイハブの研究によって)成され、ちょっとした小競り合いがエスカレートしまくった挙げ句、核ミサイルの応酬になったという救いようの無い戦争――という背景設定になっています。
戦争の原因はエネルギー資源。石油を始め、様々な地下資源が枯渇した挙げ句、掘りきって備蓄された資源を奪い合って起きました。太陽光発電も万全ではない、とエイハブさんも語っていますが、これは「機動戦士ガンダム00」世界のように、軌道エレベーターで地上に電力を供給するような仕組みが構築されていない為。コロニーは太陽光発電で何とでもなりますが、地上はカッツカツだった訳です。
なお、エネルギー問題を解決する方式が一つだけ有りまして、原子力がそれです。ただ、大戦が核戦争に発展したので、戦後は条約で核エネルギーの使用が全面的に禁止されていて、そのせいで使えないんですが。加えて、そもそもウランなどの核燃料も枯渇してるという問題が有ったりもしますし。
改元後のエネルギーは元々在った備蓄分の資源に加え、月や火星などからも資源を持って来て賄っていましたが、やがては枯渇して戦争になっていたと思います。エイハブ・リアクターにより、この世界は生き長らえた訳ですな。
ともかく、この改元前の世界大戦によって世界(地球)は百以上の国と地域から十ヶ国にまで統合され、「Mensis.Universitas.」への改元とともに永久不可侵条約の策定による戦争の停止、十国会議の開催による足並み合わせと、決闘なるルールの作成で戦争への発展の阻止を図った訳です。割と真面目に全世界が反省している上、現実のThe United Nationsよりかは、公正公平な仕組みになってると思います。個人的に、あの組織の名を国際連合って訳すのは適切じゃないと思う次第。
なお、M.U.になる前の紀年法については設定していません。設定すると面倒かつややこしくなるのが分かりきってますし、そもそも必要性が無いので。
ちなみに「Mensis」はラテン語で「暦(月)」、「Universitas」もラテン語で「宇宙」。なので「宇宙暦」となります。
また、改元前から月面都市やスペースコロニーの建設を始め、人類は宇宙への進出を進めています。大戦で大分人口が減ったので、宇宙世紀のように人口が増えすぎたから移民政策を推し進めたって訳では有りませんが、資源を手に入れる為には宇宙進出が必須だったと言えます。
改元後には火星テラフォーミング。
異常進化したゴキブリとかはいなかったものの、重力の問題を解決出来ず難航。地球と同じ大気組成を実現するには、地球と同じ重力(1G)にしなければなりませんが、火星は質量的に三分の一程度の重力しか無い訳で。
原作設定だと、火星テラフォーミングがどうやって行われたかは明らかになっていません。しかし、原作での描写を見る限り、火星環境は地球と同じ重力、同じ大気組成に仕上げられています。でないと人間が過ごせませんからね。まあ、実際には太陽との距離も違うので、重力問題以外にも問題は山積みでしょうけど。
「じゃあどうするんや」と色々探りましたが、現実的にどうするかはちょっと分かりませんでした。荒唐無稽な案しか出て来なかったぜ。英語の研究論文とかをあたれば、もうちょいマシなコトが書いてあるのかもしれませんが、流石にそこまでは出来ませんでしたね……英語は苦手ですし。
そこで登場するのが「エイハブ粒子」。
重力因子を持ち、原作では宇宙戦艦やコロニーの重力制御に利用されているこの粒子。おかげで重力問題は全部解決したよ。やはりエイハブ粒子、エイハブ粒子は全てを解決する……!
なお、原作設定をよくお知りな方は「エイハブ粒子はエイハブ・リアクターから生み出されるのに、リアクター開発前に見つかって使われてるのは矛盾してね?」と思われるかもしれませんが、エイハブ粒子はエイハブさん的にはエイハブ・リアクター開発の副産物のようなモノでした。半永久的エネルギー機関の理論を組んでたら、理論上存在が予測されて、実際ちょっとだけ試してみたら見つかったってレベル。偶然でこんなやべー粒子見つけるんじゃないよ!
エイハブ粒子には百万分の一秒で崩壊し、別の素粒子に変わるという原作設定が有り、おかげで扱いが難しいんですか、まあそこは何か上手くやってテラフォーミングも成功したというコトで。
そんな世界に技術革命をもたらしまくってるエイハブさんが、「世界最先端技術研究発表学会」でエイハブ・リアクターについて発表する――というのが、第一話の内容。
この学会は十国が合同で開いているモノで、技術の共有により戦争を防ぐコトと、各国の権威の主張の場という政治的意味も含んでいます。発表する研究者達からすれば、そんな下らねぇコトは知ったこっちゃねぇんですけれども。エイハブさんが月に住む無国籍者なのは、この辺りの事情から自分が十国衝突の火種とならないようにする為です。
そして、登場するは二人の父親。
アグニカの父ディヤウス・カイエルと、スヴァハの父マヴァット・リンレスです。この二人も名前の字数を合わせています。
ディヤウスは第一章〜第二章において、実質的な主人公と言えるでしょう。アグニカのように自ら武器を取って戦ったりはしませんが、巻き込まれて迷って、己が成すべきコトを見出して前に進む人物。
なお、キャラ付けは「年取って落ち着いたアグニカ」。専門分野は人工知能及び兵器開発で、この分野においてディヤウス以上の研究者は存在していません。前作だと「スリーヤ」という名前でしたが、本作では「ディヤウス」に変更。
マヴァットのキャラ付けはまさしく「マッドサイエンティスト」。具体的なモチーフを挙げるなら「灼眼のシャナ」のダンタリオン教授。口調とかまさにそれ。でも、あの教授よりよっぽど性格が良い――というか、口調がおかしいだけで、性格的にはかなりの人格者と言えよう。ディヤウス共々、マトモな父親です。珍しい……珍しくない?
何気に左目は義眼(ビームも出る)、右腕は義手。流石にペンチ型ではないのでご安心下さい。専門分野は「
前作は「ヴィヴァト」でしたが、本作で「マヴァット」になりました。スヴァハ絡みの名前です。
そして、この二人の前に現れたのが、散々名前が挙がっているエイハブ・バーラエナ。+助手のトリテミウス・カルネシエル。
エイハブさんの物語上の立ち位置については第八章の振り返りで語った方が良いと思うので、ここでは外見設定にだけ触れます。左足が義足になっているのは、メタ的には名前の由来(「白鯨」のエイハブ船長)意識、作中設定的には改元前の戦争で失ったからです。腰が曲がらずピンと立っているのは、彼の意志の強さを表しています。後、この世界だと医療が発展してるからでもある。
原作設定ではリアクターの開発者として名前しか語られていないので、キャラ付けは作者の仕事でした。性格的にはただの優しいおじいちゃん。アグニカやスヴァハと同じく、浮世離れしている方ではなく、普通の感性を持っている人間であるというのがポイント。
後、この会話シーンでエイハブさんはアグニカとスヴァハのコトを聞いていて、これも後の展開に関わってきますね。アグニカは子どもだったから覚えていないだけで、アグニカとエイハブさんは時系列的には本編開始前から、面識自体は有るのだ。
トリテミウスは後に記憶を失い、ソロモン・カルネシエルとなる訳ですが、この流れについては連載前から決定していました。実際のところ、割と重要キャラだったというね。
なお、彼もアグニカとスヴァハには、子どもの頃から面識が有ります。共に戦うコトになるとは、この時は微塵も思ってなかったでしょうけど。
助手をやっていますが、彼自身も相当優秀な研究者です。エイハブさんは「そろそろ独立した方が」と思いつつ、優秀な助手にいなくなられると困る(そうそう代わりが見つかる訳でもない)ので、結局言い出せずにいました。エイハブさんをサポート出来る人間なんて、世界に百人いるか怪しいのよ。
そんな二人と入れ替わる形で、ディヤウスとマヴァットの助手二人も登場。
ヨウィス・ピトリとクマーラ・シャクティダラ、二人とも超が付く常識人である。この作品、マトモな大人ばっかだな……どいつもこいつも人格者過ぎない?
仕事を共にしてる分、ヨウィスはディヤウスの、クマーラはマヴァットの最大の理解者です。ある意味では、それぞれの妻(アグニカ、スヴァハの母)以上とさえ言える。不器用な父親達に代わり、アグニカとスヴァハに父親の想いを明確な言葉で客観的に伝えられる、かなり希少で重要な人材ですね。
そして学会でエイハブさんが語るは、エイハブ・リアクターについて。
理論は設定集の方で詳しく語っていて、本編内にはかいつまんでしか書いていませんが、とにかくやべー発明です。一言で言って「絶対に壊れない半永久的エネルギー源」。現実でエイハブ・リアクターを造ったら、速攻で全世界ニュースになってノーベル賞入り出来るでしょう。ノーベル賞を取りたい人は是非造ってみて下さい。理論上、失敗したら宇宙滅びかねませんけど。
というか、原作設定を見ていても、エイハブ・リアクターだけオーパーツ過ぎる。相転移炉って縮退炉(ターンタイプの動力源)一歩手前だぜ……?
リアクターの設定は原作設定からかなり盛っているんですが、一番大変だったのは「とにかく硬くて壊れない」という原作設定の理由をでっち上げるところですね。原作設定がそうなってるのは、「壊れるとヤバいから、壊れないって設定にした」からでしょうが、流石に「壊れないって設定だから壊れねぇんだよ!」と主張するだけなのはどうなん……?
おかげで本作では「リアクター内は全く違う別の宇宙だから、既存の物理攻撃では壊せない」という謎理論を展開する羽目になりました。壊したい場合は月光蝶か乖離剣エア(対界宝具)を使おう。また、この設定を反映し、戦闘シーンでは随所に「リアクターだけ残して」といったような描写が有ります。
そんでもって、オーパーツ過ぎて製造法を理解して造れる者もごくわずか、という設定になっています。エイハブさんはこの学会で製造方法を世界に公開しましたが、あまりにもレベルが違いすぎ、ディヤウスやマヴァットなど、限られた人間しか造れませんでした。何故なら、製造方法を言われても理解出来ないから。一体どうやって造ってるんや……?
地の文で「
第二話「独立の号砲」
一話に引き続き出だしは幕間(interlude)、レヒニータ・悠那・バーンスタインによる火星の現状説明です。要約すると、まあ非常に酷い状態になっていて、元凶は地球にある。だから、地球にとって不可欠な火星資源をカードにして交渉してみよう――という段階。それを主導するのがレヒニータ。
せっかくなのでレヒニータについて書くと、この子は原作で言うクーデリア・藍那・バーンスタイン枠です。まあ、それ自体はわざわざ書かずとも、名前からお察しして頂けると思いますが。名前はバッチリ、クーデリアさんに合わせています。
キャラのコンセプトは「失敗させられるクーデリア」。原作でクーデリアさんがフミタンと共に見た「本の少女」のモチーフはレヒニータである、という設定にしていますが、本編でその話は出なかったので、あくまでも裏設定というコトになるでしょうか。
性格的には、クーデリアさんにお転婆娘要素とイタズラ娘要素を追加した感じ。なお、クーデリアさんとは違い、彼女はバーンスタインの血を継いでいない養子であり、孤児です(レヒニータの出自とバーンスタイン関連の設定は、断章でも少し取り扱いますが)。なので、初期のクーデリアさんが持っていた箱入り娘要素は取り除かれており、クーデリアさんがドルトコロニーで見たモノを、孤児時代に間近で見てきています。第一章時点では中学生くらいの年齢ですが、経験値的には既にクーデリアさんを上回っていると言える。ただ、若さ故に知識や造詣、教養や思慮など足りていない部分がどうしてもあり、そのせいで色々苦労するコトになってしまうという訳です。
後、クーデリアさんと比べると、世界情勢が安定していないコトも原因と言えましょう。まあ、レヒニータは周辺環境に責任転嫁したりしませんが。――さてはこの子、エレンポイントが高いな?
それはそうと、前話から年が明け、地球では十国会議のお時間。
物語の要所要所で定期的に開かれる十国会議、人類の方針をこれだけで分かりやすく示せるので、ホント便利だと思う。書くのはかなり面倒で、頭を使わされるんですけれども。
それから、地の文で改めて、世界体制についての説明をしています。永久不可侵条約(改元条約)の締結により十国体制が完成したコト、決闘のシステム周りの紹介や十国会議の概要説明と、重要な情報がズラズラと並べられています。
「決闘」については、原作からの設定ですね。厄祭戦以前はこれで物事を決めてた、との設定が有って、公式はガンダムファイトみたいなモンを想定してたんだろうなと推測されます。
ただ、本作では表向きのモノという扱いが強いです。地の文に有る通り、個人の戦い一つで国家の行く末を左右するなど、国民が納得する訳も無い――と、作者は判断したので。表向きこれと条約、十国会議で平和ですよ仲良しアピールをかまし、笑顔で握手しつつ裏では殴り合ってるってコトにしてみました。その方がワクワクしなぁい?
というか、そっちの方が現実的ではなかろうか。政治ってのはそういうモンだからね!
そんな訳で幕開けした十国会議。
現実で言うとG7、国連の常任理事会みたいなモンですね。現実のそれよりかは、もう少し踏み込んだ現実的な議論や駆け引きを交わす場ですが。
会議の開催国は各国の持ち回り制。これもG7っぽい?
内容はエイハブさんとエイハブ・リアクターの処遇から、火星について話題が転換して行きます。リアクターが凄すぎて扱いに困ってるの草。あの十国首脳ですら手をこまねいている……(戦慄)
とりあえずリアクター技術は十国共同管理、エイハブさん自身も無国籍のままでいてもらおう――と決定されましたが、火星が独立戦争を吹っかけてなかったら、各国とも我こそがとエイハブさんを攫いに行ったに違いない。それで結局、戦争が起きてたであろうコトは想像に難くないでしょう。そうなったらエイハブさんは自殺するでしょうが、どう足掻こうとリアクター絡みで戦争が起こるコトだけは確実というね。
ちなみに、このルートだと地球側が勝手に自滅するので、門外漢の火星は一人勝ちになります。独立したいなら、ここで戦争を吹っかけて、十国共通の敵となるべきではなかったのだよ。てか、レヒニータが火星の主導権を握ったままだったなら、多分そうなってた(そうしてた)かと。
また、火星に独立の動きが有るコトは、この時点で十国首脳陣も把握済み。幕間でレヒニータが想定してた流れまで全て予測し、レヒニータの素性や経歴まで全員がバッチリ調べ上げている辺り、十国首脳陣の有能ぶりがヤバい。遠い植民地の活動家一人について、超大国のトップがここまで把握してるのは、最早恐ろしいとさえ言えよう。実際、首脳陣の「人間の感情を上から抑えつけるには、
そんな中、裁かれる覚悟で火星の声明を報告すべく、一般兵士が議場に突入。この兵士、デキる……デキるぞ……!
声明の場に現れたのは全ての元凶、セレドニオ・ピリー。
読者の皆様は「誰だテメェ!」となったに違いないとお察ししますが、私も「誰だテメェ!」ってなった。何故なら、セレドニオは初期構想におらず、名前すらこの第二話執筆と同時に決定されたキャラクターだからです。何か流れで出て来た。
てか、パッと顔を見て「セレドニオじゃん」ってなる十国首脳陣、どんだけ有能なんだ……調べ上げていたのはレヒニータだけではなかったというね。
そうして高々と行われるは、火星の独立宣言。事実上、火星独立軍による十国への宣戦布告です。火星独立軍の動きに気づかなかったのは地球の怠慢としか言いようが有りませんが、地の文で言われている通り、距離があり過ぎるから仕方ないんや。
この独立宣言と同時に、いつの間にか地球圏に来ていた艦隊が動き、待ったなしで戦争開始。相手に考える時間すら与えない、まさしくお手本のような先制攻撃&奇襲。シビレるぜ。
なお、厄祭戦の勃発を地球と火星の惑星間戦争としたのは、原作設定に則っての展開です。
厄祭戦は人類の生存をかけたMAとの戦いだとされていますが、惑星間戦争だったという設定も有ります。具体的にどの星とどの星の間で起きた惑星間戦争かまでは明言されていませんが、まあ間違い無く地球と火星だろうなと私は睨んでいます。
第三話「襲い来る戦禍」
第一話の平和な感じはどこへやら、とタイトルからして感じざるを得ない。
前回の独立宣言の後、レヒニータがセレドニオの元にやって来ます。レヒニータ自身はここが初登場になりますね。火星独立運動の象徴たる「革命の乙女」――と書くと、完全にクーデリアさんと立ち位置が同じキャラだと分かって頂けるでしょう。
鷹のように鋭い目をした男、セレドニオとレヒニータの会話ですが、実際に双方が平行線を辿っているコトがお分かり頂けると思います。レヒニータは穏健派なのでまず交渉や話し合いを考えますが、セレドニオは復讐を動機とし、地球に住む人々を「地球種」と蔑む過激派なので、話が通じる訳が無い。地球は愚か、同じ火星の人間とすら話し合いが通じないコトから、レヒニータの穏健路線が如何に無謀で頭お花畑な理論か分かりますね。でも、作者はそういう理想論、嫌いじゃないよ。嗚呼、それで済むならどれほど良かっただろうか。
そんなセレドニオが勝手に宣戦布告に踏み切ったのは、リアクター関連が原因。セレドニオは元々、資源採掘場でこき使われていた労働者階級の人間なので、その現場が如何に過酷で救いが無く、人権の「じ」の字も無い場所であるかを身を持って知っています。なので、リアクターの発明により火星の負担が増えるコトを見過ごせなかったと。
しかし、セレドニオの本質は「自分から何もかもを奪った地球への復讐」です。私怨マシマシ、というか完全に私怨で戦争を起こしました。
この辺りは第五章でも語られますし、狂気とも言える彼の憎悪と憤怒は物語の各所で描写されます。セレドニオの最終目標は地球に住む人類を皆殺しにするコトであって、火星の独立ではありません。
彼は妻と娘を奪われ、自らも虐げられた結果、本編開始時点で既に心が壊れてしまっています。ここまで来ると、もう死によって終わらせるしかないレベル。復讐のみを生の動機としています。
そんなセレドニオを否定するレヒニータは、セレドニオに踏みつけられてボコボコにされます。(年齢的には)中学生に大人が暴力を振るうんじゃねぇ!
完璧な八つ当たりの上、ここでセレドニオがレヒニータにしているコトは、まんまセレドニオがやられてきたコトです。セレドニオはこの瞬間、被害者から加害者になったと言える。
レヒニータを踏みつけながらのセレドニオの叫びですが、個人的にはかなり気に入っています。この全てがレヒニータのこれまでと今後、あらゆる所に突き刺さる。特に「小娘が粋がって綺麗事を語った所で、このクソみてぇな火星の現状は何も変わらねぇ!!! 世界の残酷さを、俺達の怨念のデカさも知らずに人の苦しみを語ってんじゃねぇぞクソガキがァァ!!!!」という箇所は、この後の断章にまで響いてくる。とても好き。
しかし、蹴られながらもちゃんと話は聞いているレヒニータ、良い子すぎる。年端も行かぬ少女が理不尽にも打ちのめされてボコボコにされるの、可哀想だけど興奮するよね……え? しない?
って待って、通報しないで! 当たり前の話だけど、現実でやったりしないから! 創作と現実の区別は完全に分けてるから、そこは安心してくれ!
一方、奇襲により火星独立軍第二艦隊はエイハブの住む月面都市「ヴェルンヘル」を制圧。
ちなみに「ヴェルンヘル」という名は、宇宙世紀の「フォン・ブラウン」絡みで付けました。もう一つの月面都市「ナスル」も宇宙世紀の「グラナダ」絡みでやってますし、何なら両方とも場所が同じ。
拘束されたディヤウス、エイハブさん、トリテミウスの前に現れたのは第二艦隊司令、デイミアン・リスター。
感想欄で愛称が「エイリアン」にされてたのは、流石に草バエました。確かに地球からすれば
コイツは一言で言うとクズです(断言)。愉悦部。ついでに言っておくと、コイツに関しては、特に同情に値する過去とかは設定されていません。セレドニオと違い、デイミアンは「理解出来ない狂人」として描いています。過去の設定が存在してないのはその為で、同情に値するバックボーンなんて、コイツには必要有りません。実際聞かれても困る。何も考えてないから。
デイミアンは「新兵器の開発」をディヤウスとエイハブに要求しますが、二人は当然それを拒否。
「
では、どうするか――となって、デイミアンがやったコトは「エイハブ・バーラエナの否定」です。
戦争を無くしたいと願ってリアクターを造ったエイハブに、お前のせいで戦争しなきゃいけなくなったと突きつける。お前のせいでコロニー落としが行われて、数十億の人命が奪われるのだと。それで心をブッ壊して、一種ヤケを起こさせようとしたんですね。
無論、デイミアンはエイハブの動機が戦争根絶であるとまでは知りませんでしたが、でなくとも「お前のせいで戦争が起きて、数十億の人間が死ぬ」と言われて、ケロッとしてられる人間なんていませんから。いや、実感が湧かなくて逆にケロッとしてられるのかな?
ちなみに、この時のエイハブの顔を見て、デイミアンは軽く絶頂しています。そういう趣味(性癖)の持ち主なので。大丈夫かコイツの性癖。
まあ、この人生全否定がデイミアンの予想以上にエイハブさんに突き刺さってしまったのと、最後の余計な一言のせいで、エイハブさんは道を踏み外すコトになります。
つまり、セレドニオと並ぶ全ての元凶の一人。本当にロクなコトをしていないキャラです。作者としては、いやもうむしろ好きだなって感じ(ザックレー再び)
それから場面が移り変わり、実働部隊となる第三艦隊へ。
エメリコ・ポスルスウェイト司令は、火星独立軍の三人の艦隊司令の中で唯一マトモな方で、本当に火星の未来を想っている人です。この人がいなかったら、人類は終わっていたかもしれない。物語が進むごとに株が上がって行くというね。
ただ、仕事人なので非人道的作戦も確実に実行してみせます。精神的には傭兵に近いでしょうか。
そんな感じで、火星独立軍の切り札はコロニー落とし作戦。ある意味、ガンダムシリーズにおける伝統芸。まあでも、独立戦争と言うからにはコロニー落としの一つもやってみせねば……無作法というもの……。
第四話「
まずは地球に戻ったマヴァット。
彼を出迎えたリシャール・ワグネは、後にヘイムダル技術班リーダーを務め、ヴァルキュリア・フレームを開発する男です。厄祭戦後も生き残り、ギャラルホルンでモビルスーツやモビルワーカーの開発を主導しています。趣味は音楽鑑賞。
ヴァルキュリア・フレーム機体の名前の元ネタが「ニーベルングの指環」という歌劇に登場する九柱の
ちなみに、SEEDシリーズで陽電子砲の名前になっている「ローエングリン」や「タンホイザー」も、ワーグナーの歌劇が元ネタですね。他にも「トリスタンとイゾルデ」が有名。
そして、アグニカとスヴァハが(時系列的には)初登場。まだ無垢なショタ&ロリ。かわいい。そのままの君たちでいてね(届かぬ願い)
ここでスヴァハにマヴァットがかける「大ー丈夫だ。スヴァハが心ー配するーコトなんーて何ーも無い」というセリフが割とお気に入り。なんて真っ当な親なんだ……感動……致し、ました……!
一方、十国会議の方は地獄のような雰囲気。
ここで迷いなく「核兵器」の投入を視野に入れる辺りも有能ポイント。いざって時に躊躇わず、適切な対応策を瞬時に練られるの、民主的に選ばれたくせして優秀すぎるぞ十国首脳陣……まあ、ここまで国がデカくなると、ただ持ち上げられるだけの人間じゃ、トップなんてやってらんないんで。利用されてるのも分かった上で、逆に利用してやるくらいの気概で生きてる方々です。
もう一つ、極秘裏に各国が持っているトンデモ兵器にまでメスを入れ、戦線投入の可能性を考える。これ切り出して許されるの、多分この場ではベンディル・マンディラ大統領だけ。彼はそれを分かっていて切り出しましたし、彼が曲者であるというコトは、第四章と第七章からもお分かり頂けるかと。
そして、コロニー落としを巡り、地球連合軍と火星独立軍による戦闘が始まります。
ここは本作最初でほぼ最後の、MSもMAも関わらない純粋な「前時代の戦争」の様子。主力はビーム兵器(MAが持つビームとは原理が違うので、レーザーと呼んでいた方が分かりやすかったかも)、モビルワーカーとモビルプレーン。
MWは原作にも登場していましたが、この時点だと無人。MPに関しては、本作で設定された呼び方です。原作だと二期で飛行機が一瞬出ていますが、MPなどという呼び方はされません。MWに合わせて呼べるよう、MPって設定を定めています。
登場する戦艦はジェラルドフォード級宇宙戦艦とエンタープライズ級宇宙戦艦。火星側は作戦の都合上、人員を配置して動かしているんですが、地球側にも人員がいるのは万一に備えて責任者を配置する必要が有るのと、前大戦の反省故です。機械に丸投げすると退かず戦闘がエスカレートして大惨事になるコトが分かったので、万一に備えて人間を配置してコントロールを狙っている訳ですね。
戦闘はまさにMP、MWを駒としてしか見ていない、現実では出来ないであろう指示ばかり。無人だから躊躇いなく使い捨てられるのは、良いのか悪いのか……核をMPに積んで特攻させるとかいう暴挙も、無人だからこそ成せる作戦。
なお、コロニー落としに使われているドルトコロニーの中には、住民がそのまま残っています。わざわざ避難させる時間とか無かったんで。火星独立軍は悪魔か何かか?
そこに核をぶっ放すのが地球軍。コロニー内にも万単位の人間がいるのですが、コロニーが落ちれば数十億の人命が失われるので、必要な犠牲としか言いようが無い。
どっちも同じく人の命、コロニーに住む人は何も悪いコトをしていないのに、犠牲になるしかない。命の優先順位が生まれてしまっているのが哀しいところですが、これ戦争なのよね……。
しかし、基本的に戦争は物量で決まります。
コロニーの人々を犠牲にしつつ、地球軍は優位に戦闘を進めていたんですが、その頃エメリコはデイミアンとの通信を繋げていた。「モニター一面のデイミアンの顔面とかグロ画像やん」とか言われてて笑った。いやもう、全く以て仰る通りです。多分エメリコも内心げんなりしてる。
第五話「墜ちし空」
早くも第一章最終話。全五話とかコンパクトすぎる……ずっとこのくらいで行けば良かった……。
サブタイはシンプルだけど気に入ってます。コロニー落としを「空が落ちて来る」と、最初に表現したのは誰なんだろうか。間違い無くセンスの塊。
開幕はレヒニータと、作中屈指の聖人にしてスペックバグキャラのナーサティヤ・アシュヴィンさんの会話シーン。
ナーサティヤさんは性格完璧、志も聖人、医療の腕も超一流と欠点が無さすぎて怖い。一応専門は外科ですが、内科から歯科、耳鼻科、精神科に至るまで、その他の専門治療も全部出来ます。専門機器の修理から義体の製作までもやってのける。一人大病院と言っても過言ではないどころか不足する。コイツ、本当に人間なんだろうか……?
ここのナーサティヤさんの言葉は、全て真理を突いたモノだと思います。年取って人生で色んな人を診てきて、もう悟りに達してるレベル。というか、割とってかダイレクトに作品の主題とすら言える。
レヒニータの出番はこのシーン以降、第五章まで有りませんが、彼女が長い逆風の中で活動を続けていたのは、ここで聞いたナーサティヤさんの言葉のおかげです。第六章ではアグニカとスヴァハにも面識が有るので、重要キャラすぎる。
一方、防衛ラインでは地獄が顕現。
第二艦隊が持ってきたエイハブ・リアクターの「エイハブ・ウェーブ」により、地球軍の優位は還付無きまでにひっくり返されました。
これの何が酷いって、火星独立軍がやったコトと言うのは、ただ戦場に稼働状態のリアクターを持ち込んだだけなんですよね。ただそれだけで、既存の兵器全てが無効化された――人類が数千年かけて積み上げてきた発明の成果、最新鋭の兵器が、リアクターの周囲ではただの鉄クズに成り果てる訳です。
如何にエイハブ・リアクターという物が革新的でヤバすぎるオーパーツ発明であるかが、このシーン一つで視覚的に理解して頂けると思います。あらゆる常識を覆す、まさに神の発明――それこそが、エイハブ・リアクターであると。
ここで表されるのは、これから先の戦争とは、全く新しい時代の全く新しい戦争であるというコトの示唆。その変化はあまりにも理不尽で、唐突で、受け入れ難いモノですが――受け入れて利用して行かなければ、その先には衰退あるのみで、進歩など存在しません。
ついでに一つ裏話(?)をすると、このエイハブ・ウェーブは原作から登場する単語ですが、設定集にあるその原理については、オリジナル設定が多いです。原作設定だと、固有周波数の違いが何に由来するかが決定されていなかったので、その辺りは作者がでっち上げています。
それ以外、エイハブ・ウェーブ関連に関しては設定の追加はしていない……ハズ。多分(オイ
そんな訳で、阻止すべきコロニーに衝突され、地球軍の艦隊は壊滅。四基のコロニーがなおも地球に向かう中、十国会議はお通夜モード。そりゃそうだよ。
しかし、次善策は有ります。十国はアメリアの超遠距離星間狙撃用大型荷電粒子砲「イガルク・アリグナク」と、オセアニアの対宇宙居住地用特殊調整分子破壊砲「マサライ・ペレアイホヌア」の使用を決断します。
実のところ、この二つの兵器は初期構想に無かったので、書いてるその場で設定を作りました。漢字を並び立てて、それっぽいコードネームを付けるのは特殊兵器としてのお約束。イガルク・アリグナクの方はスッと決まったんですが、マサライ・ペレアイホヌアの方はちょっと苦戦しました。
しかし、後者の存在は後々まで尾を引くコトになりましたね。執筆当時は後に活かす予定は全く無かったので、ちょっと意外だったぜ。連載開始前から大体のプロットは決めてましたが、こういう細かいところはその場のノリでやってたりする。
この二つの兵器により、二基のコロニーは破壊されましたが、残り二基は大気圏を突破。どちらも直撃は免れたものの、早くも地上への被害が拡大するコトとなりました。
火星独立軍は勢いづき、一方で十国は信用を損ねた――と、あたかも火星優位かのように地の文では書いてますが、実はこれミスマッチでして。実際、地球は戦力をまだまだ残しているのに対し、火星独立軍は速攻が失敗した時点でちょっとヤバいです。二回目のコロニー落とし作戦実行は、地球が全力で阻止して来るので、不可能に近いと言える。
とまあ、第一章はここで幕引きになっています。
地球と火星の関係やリアクター関連など、開戦の様子とともに、後を見据えた伏線や描写、設定をある程度揃えました。MS、MA登場前、アグニカの参戦もまだなので、テンポ良く進めていますね。
第一章のテーマは章タイトル通り「開戦」や「開幕」――仮初めの平和の「崩壊」も言えるでしょうか。人間のそれぞれの想いや思惑、感情も交錯し、物語が動き出すという実感を与えてくれる章になったと思います。
◇
第二章 誕生 -Broken Pointer-
戦禍の渦中で終わった第一章に次ぐ第二章、章タイトルの「誕生」は勿論モビルアーマーのコト。副題の「Broken Pointer」は序章や第一章と違ってストレートな表現では有りませんが、感覚的には「そうだな」と頷いて頂けるでしょう。
なお、当時の前書きでは「壊れた針」との訳を出していますし、実際それが正しい和訳なんですが――「Point」を「地点」と訳してみると、また感覚的に違って来ると思います。
それはそうと、この「針」が何を表しているかも重要なんですが、その辺りの話は第十話の振り返りの後まで取っておくコトにしますね。私、メインディッシュは最後に食う主義の人間なので。
第六話「天使の生誕」
タイトルからして「あっ……」ってなる。
冒頭はナレーションっぽく、コロニー落とし以降の世界の動きがダイジェストで描かれます。この辺りをご丁寧に書いたら、第二章時点で相当話数が膨れ上がってしまい、ちっとも原作で言われる厄祭戦らしくない時期が続いてしまうので、二年間ほどスッ飛ばさせて頂いております。『キング・クリムゾン』ッ!!!
二年間持ちこたえるとか何気に火星独立軍、アウェーの圧倒的戦力差にも屈しずよくやってます。ジオン公国軍より持ちこたえてる、って書くと途端にすごく見える。エメリコくん優秀すぎへん?
しかし、それでも火星独立軍は追い詰められ、前線はヴェルンヘルまで下がっています。コロニー落としの際には地球衛星軌道上まで攻め込んだコトを考えると、かなり押し返されてしまいました。
そんな中、ヴェルンヘルではディヤウス・カイエルとエイハブ・バーラエナの手で、モビルアーマーが完成させられようとしていました。
ここで入るディヤウスの独白では、エイハブへの憧れが語られます。エイハブのコトを「優しい人」と称し、憧れを抱いている――よく「憧れは理解から最も遠い感情」と言われますが、まさにその典型例です。「エイハブさんが間違える訳が無い」「火星独立軍の言う通りにMAを造ろうとしているのにも、きっと俺なんかでは想像出来ないような深い理由と大義がある」と思ってしまっているので、第一章でナーサティヤさんが言っていたような「人間は間違える」「間違いは他の人が正さねばならない」といった視点が、エイハブ相手のディヤウスにはすっぽり抜け落ちてしまっている訳ですね。
この点に関しては、トリテミウスも同じです。憧れて盲信するあまり、彼を理解しようとすらしていない。エイハブという人間を理解するコトを、ディヤウスとトリテミウスは諦めてしまっている。
この時、エイハブはディヤウスに、新兵器を開発する理由は「贖罪」だと語っています。
ディヤウスはこれを全く理解出来ていませんが、要するに「MAを人類共通の敵として仕立て上げて人類の団結を促し、進化を行う。それが今まで失われた命を、犠牲を無駄にしないコトに繋がる。死んでいった者たちへの贖罪になる」という理論です。
――こうして書いても「は? 何言ってんだ?」となるかもしれませんが、エイハブはそれで納得して動いています。もう既に何かが壊れているので。
かくして完成したモビルアーマー「ガブリエル」――デイミアンのリアクションが、完全に芸術作品を目の当たりにした時のザックレー総統である。「……美しい」ならぬ「素晴らしい」頂きました。
なお、この時のガブリエルは後の「四大天使」に比べると、まだ性能は控えめです。とはいえ、この頃の戦場は飛行機や戦車がビュンビュンしてただけなので、そこにビーム兵器の効かないこんな化け物放り込んだらどうなるか、なんて言うまでもない。更に言うとこの後もチューンされて、アグニカと相対する時には、性能が一段階アップした状態になってたとさ。
デイミアンがエイハブに会いに行った時、エイハブはキーボードを打っています。地の文で「プログラムを組み上げているようだ」と書いていますが、この時やってたのが、ディヤウスの作った基幹プログラムの書き換えですね。第八章で言っていたのはまさにこれ。
予告でも印象的に使われていた「―――三十分。それだけで、世界は変わる」というセリフはここのモノですが、言葉通りの意味なのが恐ろしい。
この後に描かれるのは、エイハブとディヤウスの意味深なやり取り。ここでディヤウスに「戦争は無くなるか」「ガブリエルを止められるか」を問い、「MAを止める兵器に悪魔の名を付けよう」と言ったのは、自分の目的を成し遂げる為の布石です。ディヤウスを誘導しているとも言える。
ディヤウス自身はエイハブを雲の上の存在と思っていましたが、エイハブからすればディヤウスは「数少ない自分と並べるであろう逸材」です。だからこそ、エイハブはディヤウスに人類を託したと。
この辺りも、ディヤウスとエイハブには「ズレ」が有るんですよね。この二人、実は全然噛み合っていないという。
第七話「厄祭戦、開幕」
「アレ? もうとっくにしてるだろ?」って思われるかもしれないサブタイですが、これまでは前哨戦みたいなモノですからね。個人的には、ここが「厄祭戦」の始まりだと思っています。
厄祭戦の開始時期を火星独立宣言からとするか、このMA起動からとするかは、作中世界でも歴史家達の議論の対象になっているでしょう。読者の皆様がどう思われるかは分かりませんが、どっちもアリですよねこれ。
描かれるはガブリエル起動の瞬間。
起動した瞬間に「殺戮開始」なのが怖すぎるぜ。
このシーン、デイミアンはエイハブがプログラムしてたコトを思い出して「まさか」と悟ってるんですよね。察しが良いし頭の回転も早いデイミアンくんですが、圧倒的な暴力の前では無力なのサ。
ガブリエルのビームの前にエイハブは散り、工場施設が溶断されます。
最期の(?)セリフとなる「
ビームはそのまま、工場の真上にいたデイミアンの乗る戦艦に迫る。この時、速やかにエメリコへの情報共有を指示しているのが、デイミアンの有能ポイント。数少ない評価ポイントとも言えよう。伊達に艦隊一つ任されている訳ではないのだ。
しかし、絶対的な死を眼前とし、デイミアンは何と笑いだしております。そりゃもう笑うしかないよね。自分が造らせた兵器に殺される、まさに因果応報と言える死。人間を散々弄び続けた男が、最後は人外の機械に消されると。まあでも、幸せそうだから良いんじゃないですかね(適当)
最新鋭の戦艦をいとも容易く撃沈させるの、怖すぎるぜガブリエル。しかも、工場ブッ壊すついでにと来た。イカれてやがる……!
それと、ガブリエルはこの後に「認識」を二回繰り返しているんですが、これは一回目がエイハブを「認識」、二回目はヴェルンヘルを「認識」したという意味です。なので、ここは意図した第八章の伏線。絶対、誰も気づいてないでしょうけどね!
そんな訳で報告を受けたエメリコは頭を抱え、デイミアンに悪態をつく。重い責任を全部押し付けられたんですから、そりゃ恨み節の一つも言いたくなりますわ。デイミアンの性格上、頭を抱える自分のコトを笑って見てるだろう、とエメリコは分かっているので、そういうのも含めてのため息。
ここでエメリコが迫られるは、命の取捨選択。コロニー落としの際、火星独立軍が地球軍に強いた人命への優先順位付けを、この時にはエメリコ自身がやらなければならなくなっています。相手にやったコトが、回り回って自分に帰って来てる訳ですね。進撃風に言うなら「順番が回って来た」ってヤツ。
結果的にエメリコはヴェルンヘル住人の約五百万人を見捨て、ディヤウスとトリテミウスの二人のみを助ける決断に至ります。たった二人の為に五百万人を犠牲にするのはどうかと思われるかもしれませんが、長期的に見ればディヤウスが生き残らないと人類はモビルスーツもガンダム・フレームも阿頼耶識も開発出来ずに詰んで絶滅するので、マジで英断としか言えない。
そもそも、五百万人を避難させる時間なんて無い訳ですし、欲張って誰も助けられないよりかは確実に二人助けよう、というのはこの場での最善の判断でしょう。エメリコはセレドニオと違い、地球圏に住む人々への差別意識は持ち合わせていないので、まさに苦渋の決断だった訳ですが。
ヴェルンヘルでエイハブの死を知らされたディヤウスとトリテミウスは、無念に身を焦がしますが、哀しみに暮れる時間は与えられません。MAのヤバさを、開発したディヤウスと携わったトリテミウスは理解していますから。
なお、デイミアンについては何とも思われなかったという。うーん草バエル。かわいそー(棒読み) 日頃の行い……ですかねぇ?
とりあえず、エイハブさんの自宅からリアクター関連の研究成果だけ持って逃げるコトを決断する二人ですが、きっとこれもエイハブさんは織り込み済みの上、自宅にまで二人を行かせたんでしょう。
リアクターの同調(原作設定では「並列稼働」と表現されていますが)、というのは00でいうツインドライヴのようなモノで、リアクター一基の出力を10とすると、単なる二個積みは10+10で20ですが、同調させると10×10で100になります。同調させるだけで出力が何倍にもなり、リアクターの数を増やせばそれこそエグいコトになるんですが、技術的にはただリアクターを造るよりも、難易度が跳ね上がります。リアクターにはただでさえ分からないコトが多いので、資料の一つも持ち帰っておかないと同調なんてさせられないんですね。
そう考えると、「四大天使」のフィフス・リアクターシステムが如何に壊れてるかがお分かり頂けるコトでしょう。変態技術なんてレベルじゃねぇぞ!
第八話「殺戮の大天使」
サブタイが怖すぎる。厄祭戦っぽいぜ。
ちなみに、この回の前書きに貼ってある「前作キャラの落書き」は、前作でちょっとだけ出したアグニカとスヴァハの息子、スカンダ・カイエルくんのモノです。二人が生き残っていれば本作にも登場出来たかもしれませんが、ダメだったよ……。
今話は、ガブリエルのビームがヴェルンヘルの外壁を破壊するシーンからスタート。コロニーの外壁くらいの硬さは有るハズなんですけどねぇ(白目)
早速空気漏れで、都市内は阿鼻叫喚の地獄に。それに加えてプルーマも投入されるので、マジで処刑場と化しております。何だこの惨劇は……たまげたなぁ……(ドン引き)
作者的には、プルーマの本当の使い方はまさにこれだと思います。対人戦。プルーマ、実はMSには到底効かないであろう口径のレールガンを持っている(Gジェネが一番分かりやすい)んですが、じゃあ何に使うかというと、そりゃ勿論人間でしょう。
ディヤウスとトリテミウスを乗せた車は宇宙港に辿り着くも、宇宙港は助けを求める人々が集まって地獄に。そこに撃ち込まれるガブリエルのビーム、吹き飛ばされる二人を乗せた車――絶望感しかねぇぞオイ! 開幕早々地獄とか、やっぱ厄祭戦ロクでもねぇな!?
一方、宇宙のエメリコ側もてんやわんや。下手に手を出しても反撃を食らうだけなので、目の前で街が蹂躙され、虐殺が行われるのを、ただ指を咥えて見ているしかないのは、相当クるモノが有るでしょうな。
眼前で繰り広げられる理不尽。自分たちは火星に強いられた理不尽をひっくり返す為に戦っていたハズなのに、理不尽を自ら生み出して何の罪もない人々に押し付け、それを止めるコトも出来ない。自分たちは一体何をやってるんだ、と思ったに違いない。
そして、タイミング良く(悪く)、ヴェルンヘルに地球軍が攻めて来ます。地球軍を率いるジェフ・オールドマン特務少将、ヴェルンヘルの惨劇を一目見ただけで「デカ物(MA)が起こした事故」という答えに辿り着ける辺り、この人も相当な有能である。
ただ、あまりにも相手が悪すぎたので、ビーム一発で戦艦ごと蒸発。こう書くと鉄血世界感が全然無いですが、この頃の戦艦にはナノラミネートアーマーが無いので、鉄血特有のアホみたいな硬さは持ち合わせていないのであった。
なお、この時ヴェルンヘル外壁の穴を塞ぐのに使われたトリモチですが、それこそ宇宙世紀やGレコであったような奴ですね。個人的にはZガンダムの冒頭、グリーンノアⅠでのシーンと、Gレコのビーナス・グロゥブが印象深い。
第九話「月面都市、壊滅」
サブタイが不穏なモンしかねぇ!
やべぇよやべぇよ……(作者の感想
あ、この回の前書きに有った「Fate/SN×鉄血のクロスオーバー」は、ハーメルンの方で二次小説作品として完結させたので、良ければ見に行ってやって下さい。本作の息抜きで書いたので、本作よりは気楽に読んでいい奴だと思います、ハイ。
とまあダイマはさておき、今回の開幕はディヤウスから。トリテミウスが記憶を失ってソロモンになるのは、この時の大怪我が原因です。頭を打って死ななかっただけマシよ……。
それと、ディヤウスは足が千切れ飛んでるんですが、傷口がビームで熱された瓦礫に当たったおかげで止血されてるので、とりあえず失血死は免れました。激痛が走ってるハズなのにいたく冷静なのは、逆にヤバい気がする。ここまで来たら逆に痛まないのかもしれませんが、作者は幸いにも足が千切れたコトなんてないので、詳しくは分かりません。
火星独立軍士官が迎えに来たコトで、何とか死を免れたディヤウスとトリテミウス。意識を失う寸前までエイハブの研究成果を持ち帰ろうとしてる辺りから、如何にそれが重要なのかが分かるというモノです。
二人の無事を確認し、エメリコは二人を地球に引き渡す決断をします。火星のコトを考えるなら適切とは言えませんが、人類というレベルで考えれば、エメリコの判断はあまりにも正しい。正しすぎる。
エメリコは既に、火星ではなく人類全体のコトを見据えています。認識力と判断力がヤバすぎる。
常に最悪を想定して動いている、有能すぎて恐ろしいわよエメリコさん……。その上で責任の全てを取ると断言するコトで、部下の迷いをひとまず取り除く徹底ぶり。彼は責任を放棄しないタイプの人間で、その辺りは第八章での特攻にも現れています。エレンポイント高そう。
かくして、ディヤウスとトリテミウスを引き渡す算段をつけ、火星独立軍は地球圏から撤退。この時点で、地球と火星の戦争は、事実上の休戦状態になったと言えます。どちらもMAの攻撃を受け、それどころではなくなりますからね。
なお、正式な終戦は、終章でのヴィーンゴールヴ宣言まで持ち越されるコトになります。
一方、無事に地球側に保護され、ディヤウスは研究所への帰途に着きます。
護衛はアメリアのサイラス・セクストン。後に「ガンダム・サブナック」のパイロットとなりますが、ガンダム・フレームの開発者になるディヤウスとの面識はこの時だけ。
現状を認識したディヤウスは、持ち帰るコトに成功したリアクター関連資料を見ながら、決意を固めます。どんな決意かというと、「あらゆる犠牲と手段を許容してでも、ガブリエルを破壊する」――何としてでも責任を取る、という決意です。技術を持つ者として、自分のやったコトの尻拭いは必ずするという覚悟。うーん、エレンポイントが高い!
この覚悟はかなり強固なモノで、ある意味では狂気とさえ言えるかもしれません。しかし、彼の覚悟が無ければ、人類は生存出来なかった可能性が高いので、必要不可欠な覚悟です。その為に自分の息子と多くの人々の命、最後には己が命すら犠牲にするコトになりますが。
第十話「ヘイムダル」
開幕では、カイエル家の研究所の概要が語られています。この頃のヴィーンゴールヴは、原作にギャラルホルン本部基地として登場したヴィーンゴールヴほど巨大では有りませんが、メガフロートを個人所有出来るカイエル家が、相当な金持ちであるコトに間違いは無い。
また、各国に技術を売っている点、ある意味では武器商人的な立ち位置とも言えます。宇宙世紀で言うアナハイムみたいなモンでしょうか。
世界中の孤児たちを保護したりと、慈善活動もやってるので、かなりマトモな組織である。そうしてかき集めた孤児たちを戦争の為の兵士に育てねばならなかったのは、まあ……時代のせいとしか……。
だから、マトモ「だった」組織と言った方が良いかもしれませんね。結局、どうあっても大人の事情に振り回されるのは子ども達。
ヴェルンヘルの壊滅で、世界は大混乱。十国がディヤウスに「世界にヴェルンヘル壊滅の原因が露見するより前に、MAに対抗する兵器を造れ」と迫ったのは当然ですし、ディヤウスとしても十国からの支援を確約したコトになるので、請け負います。
常に情報統制の具合が完璧な十国、本当に有能すぎる。まあ、あまりにも完璧過ぎたコトが、第七章以降に響く訳なんですけれども。
ディヤウスは職員全員を集め、MAに対抗する為に共犯者になってほしい、と告げます。選択肢を与えられたものの、職員は全員ディヤウスと共に戦う決意をしました。
地の文やセリフにも有りますが、この研究所にいる研究者たちはどいつもこいつもトチ狂ってる連中なので、出て行ったところで行き場が無い。問題はコイツらの持つ知識や技術は、文字通り世界最高峰ってところですね……「質ー実ー剛健ーなりーし人道ー的極まりーない研ー究」とか、(後の)阿頼耶識開発者の分際でどの口が抜かしているのやら。
かくして、ディヤウスを中心に「ヘイムダル」が結成されます。
原作で劇中にも言及が有る「ギャラルホルンの前身組織」が、本作ではヘイムダルにあたります。北欧神話における角笛「ギャラルホルン」の持ち主たる光の神こそが「ヘイムダル」なので、組織名からも繋がりがお分かり頂けるかと。なお、原作設定では「ギャラルホルンの前身組織」の具体的な組織名までは明言されていないので、その点ご注意をば。
また、この「ギャラルホルンの前身組織」がアグニカ・カイエルによって結成されたかどうかは原作設定の解釈次第(ギャラルホルンの創設者=アグニカというコトは間違いありませんが、ギャラルホルンの前身組織の創設者がアグニカであるかは議論の余地有り)なのですが、本作では前身組織の結成自体はアグニカの仕事ではない、という扱いにしました。
まあ、後に指導者がアグニカに代わったので、「アグニカ主導の下、ギャラルホルンの前身組織は厄祭戦を終結に導いた」という原作設定は守られている……ハズ。「ギャラルホルンの前身組織がガンダム・フレームを開発した」「ガンダム・フレームの開発者はアグニカ父」という設定も、本作では遵守しました。なのでセーフ。
そして、早くも「モビルスーツ」という案が登場しました。
こういうのが人型である必要性については様々なロボットアニメで議論となりますが、鉄血においては「阿頼耶識」という制御方法の関係上、人型でないと逆に支障を来します。なので、人型の巨大ロボットを造る理由付けについては、鉄血のそれは割りかし最適解に近いのかなーとか思ったり。
一方、殺戮の天使は待ったなしで動き出す。
序章にも登場したザフキエルにより、月周辺のアバランチコロニー群が壊滅。他のコロニー群や月面都市も制圧され、あっという間に制宙権を奪われるという絶望的状況に、人類は叩き落とされ――「ガンダム・フレーム」という希望の名をチラつかせたところで、第二章は閉幕となります。
第一章、第二章はディヤウスが実質的に主人公だと前述しましたが、第二章を振り返ると、「なるほど確かに」と納得出来る点も多いのではないでしょうか。最終話のヘイムダル結成でディヤウスは迷いを断ち切り、やるべきコトをやるだけという状況になっているので、以降はひたすら主人公であるアグニカの背を押し支える立場となります。ディヤウスは選ぶべきモノを全て選んだ――だから次はアグニカの番、というコトで。
様々な伏線も撒いている第二章ですが、ここで描かれるは人間の過ちと絶望。世界情勢の大きな移り変わり、厄祭戦の対立構造の完成も有り、まさにターニング「ポイント」と言える章でしょう。
「起承転結」で言うと、ここで「起」は終了。第三章以降は「承」に移っていきます。
最後に、先ほど敢えてここで書くコトにした「針(Pointer)」が何を表しているか、という話を。
ズバリ言うと「エイハブ・バーラエナ」を表しています。彼は様々な発明により、時代の針を進めてきました。その「針」が壊れた――第八章をご覧になられた後なら、この意味が分かって頂けるのではと思います。
壊れた針が、時代を狂わせてしまったのです。
◇
第三章 反撃 -Stand up to Despair-
何だか希望に満ちた章タイトル。
タイトル回収は第三章最終話まで待つコトになりますが、ザ・ストレートなモノになっています。
第十一話「もつれる想い」
開幕はアメリアでの初のMS対MA戦の模様。
参戦するは「アルカナ・フレーム」――こちらは案を頂いて設定したのですが、案の時点で「安い代わりに弱い初期型」って感じだったので、その辺りもバッチリ反映しました。弱いのは作者のせいじゃないヨ。特にこの時登場する「フール」は徹底しており、色まで安い白っていうね。
これは原作設定として「ナノラミネート塗料は視認性によって価格が変わる。最安価は白、高価なのは紫(色による性能差は無い)」というモノが有りまして、それを反映しています。これを踏まえると、一般的なグレイズ宇宙型が紫のギャラルホルンは、どんだけ金持ちなんや……と思ったりするよ。まあテイワズの百錬も紫や藍色が基本のようなので、白と紫でもそう価格差は無いのだろうと思いますが。
話を戻してアルカナ・フレームについて話すと、案としては全二十一種分を頂いたんですが、全部出すのは無理だと分かりきっていたので、複数機の案を折衷して一部を採用させて頂きました。
機体名はその名の通りタロットカードから来てますが、トート式タロットなのはこだわりポイントと察されます。敢えてメジャーじゃない方を使うスタイル、尊敬に値するね。
そして、登場するはパール・マコーマック。
第八章まで時々登場します、色んなルビが付いてるおかげで大勢の中で喋らせても分かりやすい人。小説という媒体的には大変素晴らしい。
「
サイラス・セクストンも再登場。
パールとはこの頃からの付き合いです。第八章くらいまで行くと生き残りも少なくなってるので、まさに戦友と言えますね。パールとの息もピッタリ。
なお、パールとサイラスの関係は一部の読者様から言われたコトも有りますが、戦後まで生き残ってたら結婚しただろうって感じ。第四章でもそれっぽい描写が有るので、
まあ無理でしたが。……本作、主人公含め引き裂かれるCP多すぎない? 作者の人格が疑われるね。おちおち推しCPとか作れねぇぞ(by アグスヴァ派)
そんな訳で戦闘が始まりますが、「天使」であるカシエルのビーム砲一撃で戦闘不能に追い込まれるフールくん……うーん、弱い(断言)
まあ他のシリーズだとビーム砲の直撃食らったMSは問答無用で爆散するので、原型留めてかつパイロット生存を成し遂げているだけ優秀。こうして考えると他作品のMS、大丈夫かってレベルだな……硬い硬いって言われてる鉄血MSですが、実際乗るならこれくらい硬くないと安心出来ないよね。
見事に連携してカシエルを撃破したMS隊でしたが、水爆を「天使」アラエルが戦場に投下し、部隊は壊滅に追い込まれてしまいました。
「やった! MSがMA倒したぞ!」と思った次の瞬間に空から核が降って来るの、ちょっと酷すぎないですかね……?
なお、核は環境への影響がデカすぎるので、これ以降はMA側も使用を自重しています。MAの目的は人類殺戮であって、環境破壊ではありませんから。明らかに過剰で無駄な破壊なので、効率を追い求めるMA側としては最適な手とは判断していません。
てか、水爆一発が初期とはいえMS隊を壊滅させたコトを踏まえると、三発も受けて無傷だった「四大天使」ミカエルのヤバさが際立つというモノ。マジでどうなってんだアイツ、ナノラミネートコートって言えば赦されるとか思ってない?
サイラスはビームで行動不能になっていたからこそ助かったんですが、運が良いのか悪いのか。
この戦闘だけで、既存のMSの課題が完璧に洗い出されています。そして、この全てを解決するMSこそがガンダム・フレームであると。
そんな頃、ヴィーンゴールヴではパイロット訓練の様子が描かれます。シミュレーターによる対戦、やってる子ども達からすればゲーム感覚ですが、実際にはMS操縦を想定している。AGEで言うと、フリットがキオにやらせてたゲーム(という名目のシミュレーター)。……冷静に考えると幼少期の孫に何やらせてんだよ、あのヴェイガン殲滅おじさん。
なお、本文中では明言されていませんが、この時アグニカに負けて捨て台詞を吐いてるのは、後の「ガンダム・フォカロル」パイロットにしてアグニカチームの一員となるアマディス・クアークです。察してた前作からの読者様がいてビックリ。
ここでアグニカを労うスヴァハ、あまりにもヒロイン力が高すぎる。こんな幼馴染が欲しかったよねぇ(遠い目) てか、本格的にアグニカとスヴァハが喋るのって、時系列的にはここが最初……十一話までロクにセリフが無い主人公とヒロインとは。
この年にして熟年夫婦かって二人の下に現れたマッドサイエンティストですが、軽くあしらわれて膝から崩れ落ちた挙げ句、色々と発想を飛躍させている……ここだけ見ると普通の父親なんだけどなぁ。普通の父親で在り続けられたなら、どれほど良かっただろうか。
着いて来いと言うマヴァットに、アグニカは冗談で「人体実験か?」と言いますが、実際その通りだったのでマヴァットは無言を貫く。アグニカとスヴァハを自身の研究室に招いたディヤウスも、これまた茶を出させたりと様子がおかしい。つくづく不器用な父親×2であったとさ。
当然アグニカとスヴァハも察するので、ディヤウスは世界の状況を語り、ヘイムダルのやってるコトを語ります。年齢的には十二歳やそこらの子どもにする話じゃねぇ……実際、原作の鉄華団の子どもたちが聞いても「は?」ってなるでしょうが、アグニカとスヴァハは充分以上の教育を受けてるので、この話もちゃんと理解しています。理解
鉄華団は学が無かった為に色々問題になりましたが、アグニカ達には逆に学が有るからこそ分かってしまうコト、知れてしまうコトが有る。さて、どちらの方が良いのだろうか……?
「MSがMA倒しました!(ただしMS側は全滅しました)」という報道。一部を切り取って報道する、現実でもよくあるパターンですね。良い点や悪い点だけを報道して、片方にはフタをする。不謹慎な例えですが、「ワクチンを打った五人に副作用が出ました!(母数は百万単位)」ってのと同じです。
この戦闘で分かったのは、MSと共にパイロットの「性能」も上げねばならないというコト。当然、反応速度など速度に関しては、人間よりも人工知能の方が遥かに勝っているので、その穴埋めを図らねばならないという。
それを可能とする「阿頼耶識」システム。
阿頼耶識については原作からかなり細かく設定されているので、ほぼ原作通りの設定を使用しています。「人を機体の一部品とする」というのは、作者が阿頼耶識の設定から受けたイメージですが、あながち間違いでもない――というか、まさしくその通りのシステムと言っても過言ではないでしょう。
人道性を完全にかなぐり捨てていますが、阿頼耶識の良い所は単に操縦能力や反応速度の飛躍的向上というだけでなく、操縦に専門知識が一切必要無いというのが一番デカいと思います。自分の身体を動かせるならMSも動かせる訳ですからね。長い戦争でパイロットの育成に金と時間をかける余裕が無いからこそ、この特性が最大限生かされる。
原作設定だと阿頼耶識が作られた時期が微妙に分からないんですが、本作ではガンダム・フレームと併せて開発されたコトにしています。ガンダム・フレームより早く理論が出来たので、阿頼耶識だけ先出ししたという感じ。
なお、阿頼耶識の元ネタについては作者が調べ上げた上で、原作設定に書き足しています。
とまあ、かくして現在の戦況と阿頼耶識の説明をしたディヤウスは、アグニカとスヴァハに「世界初の阿頼耶識被験者になってほしい」と頼みます。
こんな非人道的なシステムは簡単には受け入れられないので、受け入れさせる為には前例を作って安全性と有効性を示す必要が有り、それが開発者の実の子であれば説得力も生まれると。ただ、流石に有無を言わさず強制するほどディヤウス達も鬼ではなく、父親としての自分自身もそんなやり方は到底納得出来ない。だから、充分な情報を与えた上で、選択を委ねたという訳です。
ただ、これが本人たちにとって良いコトだったとは、必ずしも言えないんですよね。
何も分からず身体を弄くり回されるコトは当然良くないですが、その場合は全ての責任をクソ親父どもに押し付けて、自分を慰めるコトは出来たかもしれない。ところが、選択肢を与えられたコトによって、手術を受け入れたならそれは自分の意志であって、誰のせいにするコトも出来ない。その先、どれだけ辛い目にあってどれだけ打ちのめされたとしても逃げるコトは出来ず、自分で全てを背負い続けて行くしかなくなる。
何も知らされず選ばさせられないか、全てを知らされて自分で選ぶか――どちらに転ぼうと、その先に良いコトは有りません。
ここでアグニカがディヤウスに掴みかかるのは、自分は愚かスヴァハまでも巻き込もうとしている父親に怒りを覚えていると同時に、そんなクソ野郎になってしまったコト、ならざるを得なかったコトに哀しみを覚えているからでしょう。
自分のコトが一切勘定に入っていないのは、アグニカが自分より他人の方を気にしてしまう、「優しい」人間だから、としか言えませんが――だからこそ、この先のアグニカは苦しみ続けるコトになります。人の優しさを踏みにじる世界、戦争の時代とはそういう時代なのです。
スヴァハとしては、アグニカが自分のコトを想ってくれているのは嬉しくとも、その為に自分の親を殴ってほしくないと思うから、アグニカを止めに入りました。話を聞いて、スヴァハも「自分は良いけどアグニカはやめて」と思っていますが、大人でいるしかないディヤウスの気持ちも察しているので、ディヤウスやマヴァットを責めるコトはしません。
子ども達が退室した後、大人たちの会話は個人的にはとっても地味だけどお気に入りです。
子ども達を犠牲にするコトに何とも思っていない訳が無い、むしろ忌避感すら抱いているにも関わらず、自らの目的の為に、責任を果たす為にはやるしかない。そういう覚悟を、決意を決めたが故に。
選択肢を用意したのは二人に「自分達と同じ(大人)になれ」というコトですが、同時に「選んだのは子ども達だ」と、真っ当な自分の良心を騙す為の方便でもあると。
そしてもう一つ、話を聞いた後のアグニカとスヴァハのやり取り。かわいいけど切なさすら感じる。
この時のスヴァハの笑顔は、本当に心から浮かべた笑顔です。戦いが進むに連れて失っていってしまうモノですが、アグニカはこの本心からの笑顔を、心の底から愛しています。スヴァハのこの笑顔を守る為に、アグニカは戦うと言っても過言ではない。
「笑顔」がアグニカとスヴァハの二人の描写ではかなり重要な要素で、永遠の離別のその瞬間まで響いていきますね。あまりにも切なすぎる……。
第十二話「選択」
まさしくタイトル通りの回。
まずはアグニカ側、冷静になってから「何が親父をあそこまでさせるのか」と言う疑問が浮かんだところに「責務」という答えを返したのは、ディヤウスの助手であるヨウィス・ピトリ。
ヨウィスの言葉はディヤウスの代弁として完璧な答えですが、「貴方の人生は貴方のモノ」「貴方は貴方の意志で、貴方がしたいようにするべき」と迷いなく言える辺り、理想的な大人です。こういう考え方、すごく大事だと個人的にも思いますね。
無論、その後にある通り、そうするだけの選択肢を与えられ、そうするだけの自由をアグニカが持っているからこその言葉ですが。原作での鉄華団、特にヒューマンデブリの子には、絶対に与えられなかったモノでもある。
なお、ここでヨウィスは「ディヤウスはアグニカに『英雄』になってほしい」なる発言をしていますが、これがまさにその通りだったコトは最早言うまでもない。そして「ロクでもない」モノだったところまで、まさに仰る通りでした。
これを聞いてなお、アグニカは全てを犠牲にして背負い込み、ロクでもない「英雄」になるしかなかったのは――うん……。
一方、スヴァハはマヴァットの助手であるクマーラ・シャクティダラに、話を聞きに行く。
開幕から父親二人への評価が「とんでもないロクでなし」「イカれてる」と散々ですが、まあそりゃそうだよね。もう頷くしかねぇぜ。
んでもって自分達の子どもと自分達の技術を無限に信頼しているから、二つ合わせて最強! っていう理論ですね。アホかな?(褒め言葉)
いっそマトモな良心が無い本当のマッドサイエンティストであれば、父親二人は苦悩せずに済んだんでしょうが、そこから逃げ出さないのはちゃんと責任を取るべき大人だからです。本作の大人達はちゃんと責任を背負ってるからマトモなんだと思うの。俺だったら秒で放り出すね(最低)
クマーラも後半はヨウィスと同じように、自分で決めろと言い残します。「誰かに恋して、愛し合うなんてコトも出来なくなるかも知れない」という忠告は女性ならではのモノですが、実際スヴァハは添い遂げるコトは叶わなかったのが哀しいなぁ……何かを犠牲にしないと、何かを成し遂げるコトは出来ないのさ……。
この時、スヴァハがアグニカのコトを気にしてるのは、無意識の内に好きだったからですが、まだ自覚無し。年齢的には中学生になるかならないかくらいだから、仕方ないね。
かくして訪れた、決断の時。
アグニカは「自分は勝手にしろ。その代わり、スヴァハは戦わせるな」と結論を口にします。この時期はアグニカにも恋の自覚は無いので、天然で言っているという……恐ろしい子ッ! おかげでスヴァハちゃんの頭はクエスチョンマークでいっぱいよ!
それはそうと、外野でマヴァットとクマーラとヨウィス、ソロモンがバカやってるのが個人的には面白いなと思います。全員世界最高峰の頭脳を持ってるのに、やってるコトが高校生のノリなのが草ポイント。ついでに言うと、この為に研究の手を一旦止めている辺りも微笑ましい。
スヴァハが「何でそんなコト言った?」と問い詰め、アグニカが「危険な目に遭ってほしくない」と答える辺り、初心な感じがイイよね!(アグスヴァ推しの意見)
でも、この後にスヴァハが「私も戦う」と言う辺りが、またアグスヴァの良いところ。アグニカ、ちゃんと守ってやるんやで? ……こういうコト書くと、作者の人間性が疑われそう。
ともかく、アグニカとスヴァハの二人は相棒でもあるのです。ただどちらかが守り守られるだけでなく、互いに支え合って共に進んでいく。その先に、どんな地獄が待っていたとしても――という二人の在り方、関係性が大好きですね。末長く爆発しろ。
こうして、二人は戦うという選択をします。
自ら自分の背を押して地獄へ突っ込んで行くようなモノですが、二人一緒なら乗り越えられない困難なんて無いんや。うん。そうに違いない。
第十三話「天使長」
前話から数年が経ち、最初はダイジェスト風にMSの開発模様や世界情勢について書いています。こういう感じの時はたまにありますが、扱う時間の範囲が広すぎるから仕方ないんや。
ここで登場する(言及される?)「オーガ・フレーム」は、ハーメルン内のとある二次小説から作者様の許可を得て、借り受けてきたモノです。オーガ・フレームで言うと、実はこのフレームだけダインスレイヴ装備型の設定を作っていないというコトに、割と最近気付きました。マジで忘れてましたわ……もしかしたら今後暇な時に作って、しれっと設定集に追加したりされるかもしれない。
その後に原作にも登場した「ロディ・フレーム」と「ヘキサ・フレーム」について書かれますが、開発国とかは本作だけの設定なのでご注意下さい。
そして行われるは、対面最後の十国会議。
この後はオンラインリモート会議になりますからねぇ。この辺りはコロナ禍前に書いて投稿してるんですが、まさか現実もリモートばっかになるとはこのリハクの目を持ってしてm(ry
なお、十国会議のメンツは時々入れ替わっているんですが、まあそんなに重要では有りません。どう替わったか探ってみるのも面白……いかもしれないとか書こうと思いましたが、多分そうでもない上に面倒なだけですね。
発電施設が全部壊されて電力供給方法がリアクターに変わり、都市シェルターにナノラミネート塗料が塗られたってのが、数年の大きな変化ですかね。
なお、都市シェルターは戦後に核を禁止兵器としてギャラルホルンが管理するコトになった時点で、随時解体されていくコトになります。この辺りの戦後の話は、ちょっとだけ断章で取り扱いますが。
しかし、十国会議の帰り道――サハラ艦隊で、事件が起きた! MAの襲撃、それも「天使長」たるザドキエルとハシュマルの投入であるッ!
大統領の護衛艦隊ですから、当然国の威信をかけて精鋭を揃えに揃えてる訳ですが、「天使長」のワイヤーブレードの前にはなす術など無いのさ! ってな訳で一方的な蹂躙、殺戮と化している。相変わらず最前線は地獄だぜ。
ちなみに、ワイヤーブレード装備を許されるのは「天使長」以上、ダインスレイヴ装備は「四大天使」のみ――という縛りが有ります。直属機すらワイヤーブレードは持ってませんから、割とその辺りは徹底して設定を作り上げていたり。
旗艦に飛びかかるハシュマルくんが恐ろし過ぎるんですが、それくらいの機動性を有しているコトは原作での描写から明らかになっております。
あの図体で飛び上がったり出来るのに加えて機動性も高いのが、MAの恐ろしい所ですわ……原作でも色んなMA見たかったなぁ。本作だと多すぎて超絶カオスなコトになってますがね!
そして、わざわざ大統領を照準して頭部ビーム砲を撃ち放つハシュマル……悪魔かな? いや、コイツ天使でしたわ。大統領自身が悪いコトをした訳ではないんですが、MAはそんなコト考慮しません。マジで理不尽に殺されたパターンです。怖っ。
さり気なく書いてますが、大統領死亡後の「多くのパイロットが(中略)戦死するに至った」ってのがかなりヤバい状況でして、極論選び直せば済む大統領より、こっちの方が損害としてはデカい。
グリプス戦役時、シャアのメガ・バズーカ・ランチャーにハマーン直属の精鋭が乗るガザCを撃墜されまくったせいで、後々ネオ・ジオンが人材不足に陥ったのと同じ状況です。人材は簡単に代わりを容易出来ませんからね。だからこそ「阿頼耶識」の重要性と価値が高まる訳ですが。
ついでに新規登場機体に関してをば。
「スピナ・ロディ」と「ガルム・ロディ」、「ジルダ」は原作にも登場したMSですね。全機、厄祭戦時から存在していた装備なのかは定かではありませんが、出てないって設定も無いので「まあ、いいか」ってノリで出しています。
一方「マン・ロディ」と「ランドマン・ロディ」は、ブルワーズ(と鉄華団)によるカスタム機という設定の為、本作には登場させていません。月鋼の「ハクリ・ロディ」「ラブルス」も設定的に厄祭戦時に存在したとは考えられない為、登場しません。
ヘキサ・フレームはウルズハントの「エンゾ」も出そうかと思ったんですが、現状不明な点が多いので見送っています。早くリリースしろ。
MA側は初期型が数種と「天使長」二種が登場。
「シャティエル」は通信妨害機。戦闘は行いませんが、アリアドネ完成まではコイツが一番厄介だったと言えよう。00二期でアロウズが各地に設置していた擬似GNドライヴと、似たような役割です。
「サキエル」は水中用。名前的にはエヴァの第3使徒(第4の使徒)ですが、見た目は00のトリロバイトが近い。ステージの都合もあって、初期型としては割と強いのではないだろうか。
「ガギエル」、コイツも水中用。サキエルが格闘戦なのに対し、こちらは砲撃戦。名前がエヴァの第6使徒で水中用、案をくれた方は狙ってる(確信)
サキエルとガギエルに限らず、エヴァの使徒名と被る名前の機体案を送って下さった方は割と多かった印象。エヴァの影響力の大きさを実感したぜ。
「ラグエル」は水陸両用。亀型でホバー移動し、装甲もまあまあの硬さを誇ります。かわいい。
「ラメエル」、ラグエルと一字違いで大変ややこしいですが、こちらは三翼を持ち拡散ビーム砲を持つという、都市の中に放り込んだらいけないタイプです(MAは全部そうだよ) かわいいと言うよりカッコ良い、ですかねこちらは。
「マルティエル」も拡散ビーム砲持ち。ラメエルと若干被っていますが、ラメエルは拡散ビーム一本一本の威力が高めで、マルティエルは一本一本の威力が低い代わりに攻撃範囲が広い――という形で差別化が図られております。
「ザドキエル」は序章で出たので省略しますが、「ハシュマル」は本作だとここで初登場。原作で出た唯一のMAになりますね。
原作設定(というか監督の言)には「上から四番目くらい」と有りましたが、これが性能のコトなのか格のコトなのか分からない上、「くらい」とかなり曖昧なので、本作ではそれほど考慮していません。
一応、本作設定の「位階」で上から並べると「四大天使」「天使長」「天使」で二番目、強さ(性能)的には上から「四大天使」「天使(直属機)」「天使(後期型)」「天使長」「天使(初期型〜中期型)」って感じです。性能順に並べれば、ちゃんと「上から四番目くらい」を守った形にはなります。
位階の設定と「天使長」にハシュマルを据えたのは本作オリジナルなので、原作には当てはまりません。ザドキエルとハシュマルが「天使長」なのは、伝承(逸話?)に沿っての設定です。
戦艦としてはマンリー級強襲揚陸艦が登場。この艦隊にも後に登場するナーワル級もいますが、単純に設定出すのを忘れていましたね……(ごめんよナーワル級)
こちらの強襲揚陸艦は、原作で地球外縁軌道統制統合艦隊が運用し、コーリス・ステンジャが指揮していた強襲揚陸艦と同じ艦種――という設定になっています。原作では「強襲揚陸艦」としか言われていないので、艦級名その他の設定は作者が勝手に付け足したモノになりますが。
第十四話「ガンダム・フレーム」
また数年飛んで、早くもM.U.0049年。
終戦がM.U.0053年、厄祭戦が全十三年と考えると、こっから百話(最終話)までの四年間があまりにも濃すぎる。十三年、という期間を長いと思うか短いと思うかは人それぞれだと思いますが、休みなくフルで戦い続けて十三年は相当長い、と作者は判断しています。
参考までに言うと、現実の第二次世界大戦が1939年九月から1945年九月までの六年間。しかも、最初から最後まで戦い続けた国は有りません(日中戦争を含めるなら日本は戦い続けてますが)。全ての国が部隊をフルで展開し続けていたコトを考えると、厄祭戦の十三年間は途方も無い長さではないかと。
なお、厄祭戦の期間については原作設定に明言は無いので、あくまで作者が勝手に設定しています。
それはともかく、今話はアグニカとスヴァハが阿頼耶識を施術され、医務室にいるところから。
「まさか同じベッドか!?」と感想で疑われましたが、流石に違うベッドです。カーテン一枚で仕切られただけの同じ部屋なのは問題だと思うがね!
施術担当のダスラ・アシュヴィンさんは、ナーサティヤさんの双子の兄ですが――性格がゲスい。とにかく下世話すぎる。完全無欠の聖人である弟を見習ってほしいぜ。
なお、ダスラさんとナーサティヤさんで医療技術を比較すると、常に最新技術を研究してる分、ダスラさんの方が上です。兄より優れた弟なぞ存在しねぇ! そうだよね黒死牟殿!(童磨的な笑顔)
医療自体の発達の為に研究者の道を進んだ兄と、満足な治療を受けられない貧しい人々を一人でも救おうとした弟。方向性は違いますが、どちらも立派で偉大な医師と言えよう。ちなみに数十年間会ってないけど、兄弟仲は良いのでご安心下さい。再会したら、周囲が全く理解出来ないくらい凄まじく高度な医療トークを繰り広げるに違いない。
鉄血世界で他の技術と違って医療技術が退化しなかったのは、この二人が戦後も生き残ったから――と、本作では勝手に位置付けております。
そんな訳で(?)退院したアグニカとスヴァハは、ヘイムダルの制服に身を包みます。デザインは大体ギャラルホルンの軍服と同じです。二人の奴はギャラルホルンで言うと、相当階級の高いモノですが。
ズボンとミニスカからミニスカを選ぶスヴァハ、非常にあざとい。しかしアグニカのオカンムーブにより、最終的にはズボンになります。ギャラルホルンの軍服が男女問わずズボンなのは、この時のアグニカの選択のおかげ(せい)かもしれない?
まあ、無重力下で着る可能性有るから、ズボンなのが当然である。ミニスカ履くほうがおかしい。無重力でミニスカとか、ただの露出狂やん? と、ルナマリアから目を背けつつ思うのであった。そんなんだから同人誌クィーンとか言われるんやで
スヴァハがズボンに履き替えた後、二人はヴィーンゴールヴのMSデッキへ。広そう(原作のイメージ的に) てか多分クソ広い。
二人を迎えるのはソロモン・カルネシエル。ソロモン七十二柱の悪魔の名を持つ機体を、ソロモンの名を持つ男が紹介するという構図です。こういうの良いよね。
ついでにソロモンについて書いておくと、このキャラもオーガ・フレームと同じ感じで、地獄こと某ゼロズから借り受けてきたキャラクターです。元作品ではアグニ会初代会長を名乗り、アグニカの復活を信じて自らコールドスリープして復活バッチリのタイミングで目覚め、すぐに服が弾け飛んで全裸になってご立派ァ! な股間から黄金の光を放つコトから「全裸王」と呼ばれ、マクギリスが霞むレベルのアグニカバエル馬鹿な一人称「余」の尊大キャラとかいう属性過多が過ぎるネタキャラ(?)なんですが、本作のシリアスフィルターにかけられた結果、立派な大人として仕上がりました。ここまで来るともうほぼ原型がねぇ……でも最期も含め、良いキャラになったと思うのでゆるして(懇願)
なお、彼がエイハブの助手であったコト、ソロモンと名乗る理由は共通しています。共通してるというか、コッソリ教えて頂いた設定をそのまま持って来ただけと言うか。記憶喪失は本作特有のモノだった――と思います。確か。すまん、記憶力の低さには定評が有るんや。
ソロモンに促され、アグニカとスヴァハは遂にガンダム・フレーム、その一番機となる「ガンダム・バエル」と対面します。
ようやく完成したとあって、バエルがどんな見た目をしているかを表す地の文がノリにノリまくっている。楽しそうだな
あ、その中に「スラスターウィングはアグニカの希望」とありますが、これは原作設定通りです。ノリノリで書いてたとはいえ、この辺りはちゃんと忘れていなかったね。エラいエラい。
この機に書いておきますが、本作ではガンダム・フレームにガチで悪魔が宿ってるという設定になっております。その悪魔に自分の身体を阿頼耶識越しに生贄として捧げ、力を引き出して機体のリミッターを解除する行為こそが「覚醒」だと。これの是非は判断が分かれるかと思いますし、作者自身他にもやり方が有ったとは思いますが、まあカッコ良いしヨシ! って思っています。
また、「覚醒」の代償も悪魔ごとに特性が異なるという感じにしましたが、これも悪魔ごとに個性が出て面白い要素になったかなと。考えるのは面倒なんですが(オイ)
そもそも「覚醒」って言い方も本作オリジナルですが、原作通りの「リミッター解除」は頻繁に使うにはちょっと長いので、分かりやすい呼び方を用意しようと思って使いました。
それと、本作では所々で悪魔との適合が云々と語っていますが、これは悪魔と適合しないと「覚醒」を使えなくて乗る意味が無い、という意味です。なので、別に適合してなくても操縦するコトは出来ますが、目が赤くなるコトは有りません。
なお、原作だとリミッター解除に関して、出力を解放したい機体側とパイロットへの負担を軽減したいシステムが衝突して、ガンダム・フレームが動かなくなる――という事態が発生していましたが、本作でのガンダム・フレームにはそもそもパイロット保護のシステムが無いので、そんな問題は起きません。普通に敵の前で動けなくなったら欠陥品だし。
原作で動けなくなったバルバトスとグシオンは、どちらもコクピットブロックを他所から持って来ているので、そういう問題が発生したのでは、と作者は推測しております。
もう一つ、ここで言及されるのは「ヴァルキュリア・フレーム」。
原作設定では開発組織や開発者は不明で、建造数は十機未満とされています。テキストの書き方からヘイムダル以外の組織が開発した可能性が高そうなんですが、面倒だったので本作ではヘイムダル製ってコトにしてしまいました。個人的にヴァルキュリア・フレームが好きなので、ちゃんと活躍の場を与えてやりたかったんです。ゆるして。
それはそうと、告げられる「ガンダム」の名。やっぱりゾクゾクしますよね、この四文字。「キターッ!!」て感じがすごくする。
ソロモンの「彼方の昔、歴史の節目には『ガンダム』の名を持つ兵器が必ず現れ、運命を覆して来たと言われている」というセリフは、原作でのマクギリスの同じようなセリフから取っています。このマクギリスの発言が厄祭戦後の三百年の間に現れたガンダム・フレームのコトを言っているのか、はたまたそれ以前のガンダム・フレームでないガンダムのコトを言っているのかまでは分かりませんが、ここでは後者の解釈を使っています。
そもそもオーストラリアに宇宙世紀のコロニー落としの穴が空いてるんですよね、鉄血世界の世界地図って。公式はファンサービスくらいのノリでやってるとは思うので、本作でも「あの穴が空いてるなら、厄祭戦以前もガンダムがいてもいいかな」というノリで「ガンダム」の名を出しました。
実を言うと、本作の初期構想時は「本編中でオーストラリアに空いた穴の理由付けをしようかな」と思っていたんですが、最終的には「野暮だな」という結論に達し、見送っています。作中での言及も、敢えてしていません。
続いての話題はエイハブ・ウェーブについて。
この時点でガンダム・フレーム全七十二機分、百四十四基のエイハブ・リアクターが完成してるのすごい……すごくない?
それはともかく、ここで言われるのはMAの探知システムですね。この時点だと全世界で通信妨害撹乱用MA「シャティエル」が猛威を振るっていまして、エイハブ・ウェーブにより国を越えた通信などは途絶状態。ヘイムダルが完成したリアクターをスリープモードにしておくのは、この中でシャティエルにMA側に登録が無いリアクターの固有周波数を拾われて、位置を特定されるコトを避ける為の措置――という話です。
なお、後にヘイムダルがアリアドネを完成させると、シャティエルは用済みと判断されて全機が月まで引き上げさせられ、解体されて別のMAへと造り変えられるコトになります(LCS通信網を作られた時点で、エイハブ・ウェーブをバラまいても妨害にはならないので)。リアクターはMA側の技術を以てしても建造に手間がかかるので、再利用出来るモノは再利用しています。整備さえすれば時間経過で性能が下がるコトも有りませんし、耐用年数は事実上無限なので。
もう二つほど裏設定(というか本編に入れ損ねた設定)を言うと、人類側は撃破したMAからリアクターを回収し、MSのリアクターに使うって芸当を割と頻繁にやっています。MA側と違って、人類側はリアクターをバカスカ建造出来ないので、可能な限り再利用してるって感じです。
もう一つ、ヘイムダルはツインリアクターシステムとしての同調に失敗したリアクターを、各国に売却しています(同調出来なかっただけで単品のリアクターとしては問題無く使えるので)。各国からの依頼を受けてリアクターを建造するコトも有ります。各国にもリアクター建造技術を理解している技術者はいるんですが、人数が少なすぎて時間がかかる上に安定してないので、生産ラインを持っているヘイムダルに頼む方が早いんですね。ただ、全部ヘイムダルに頼んでたら金がバカにならないので、ある程度MSを造ったらMAを倒して、そこからリアクターを回収するコトでリーズナブルに済ませています。
少し脱線しましたが、三人の話は武装の方に移ります。元々バエルとアガレスに一本ずつ用意されてたライフルとソードを、バエルが二刀流でアガレスが二丁流に――というところ。
ここでアグニカは格闘得意で射撃苦手、スヴァハは射撃得意というのが語られます。まあ、スヴァハに関しては格闘戦もある程度出来るんですが。
アグニカが射撃苦手、ってのは本作オンリーの設定なのでお気をつけ下さい。ホラ、少しくらい不得手なところが有った方が良いよね?(ただ剣を投げるコトは出来る)
それと、原作設定だと「阿頼耶識により機体との一体化を成し遂げたアグニカにとって、折れない剣以上の武装は存在し得なかった」となってるので、最初から用意されてたちょっとおかしくね? と思いますが、まあ第八章のアグニカ最期の一撃はバエル・ソードによるモノなので、原作設定通りなのだようん。問題無い。きっと。マジレスは一切受け付けません。
しかし、ここでヴィーンゴールヴに敵襲。現れるは「天使長」ハシュマル――なんて良いタイミングなんだ! すげー(棒読み)
これまで敵襲が全く無かったという訳ではないんですが、ザコばっかだったので問題無く迎撃出来てました。ただ、流石に「天使長」はヤバい――ってコトで、ソロモンは二人に出撃するよう言うと。
二人をロッカールームに向かわせた後、ソロモンは「エイハブさんを止められなかった。その心中を全く理解していなかった」と言っています。
「記憶喪失じゃなかったっけ?」と思われてしまうので、もっと別の表現すれば良かったかなと思いますが、ソロモンが「トリテミウスがエイハブを理解していなかった」と分かっているのは、持つ知識の中に「エイハブという人間についてのコト」が何一つ無かったからですね。ソロモンが無くしたのは「エピソード記憶」だけで、知識や技術までは無くしていないので。エイハブ個人についての知識がソロモンには全く無かった、つまりトリテミウスはエイハブの人間性について何も分かっていなかった――そう判断出来たと。
第十五話「悪魔の初陣」
危機的状況で幕引きした前話に引き続き、開幕は施設外での防衛戦から。ヴィーンゴールヴ防衛部隊の皆様は、数年間に渡って防衛し続けてきた精鋭。非常に優秀なのですが、「天使長」の指揮の下、トリッキーな作戦を繰り出すMAに翻弄され、ハシュマルの上陸を許してしまいます。
そして、ワイヤーブレードの射程内に入ってしまった時点で、もう勝ち目は有りません。隊長機が撃破され、ハシュマルは戦意を喪失した他の機体を捨て置き、MSデッキに侵入すると。
ちなみに、生き残ったヴィーンゴールヴ防衛部隊の一部は、後にカロム・イシューのチームに参加します。そのままヴィーンゴールヴ防衛にあたった者もいますが。
MSデッキに残ったソロモンは、ハシュマルと対面。ソロモンがビームに焼かれる、その直前でバエルがハシュマルの懐に飛び込み、蹴り飛ばします。
この時、バエルはソロモンの後方から頭上を飛び越えて、ハシュマルの前に立ちはだかっています。ここは原作第一話でのバルバトス出撃と対比になっており、バルバトスがオルガの目の前の地面から現れたのに対して、バエルはソロモンの背後から飛行して現れている訳ですね。バルバトスはボロボロ、バエルは新品ピカピカという違いも。
また、ソロモンはこの瞬間にバエルに見惚れたコトから、パイロットとしてアグニカのチームで戦う決意を固めました。オリジナル阿頼耶識が年齢不問で良かった(?)
それから少し時間が戻り、アグニカとスヴァハがガンダムに乗るまでが描かれます。ここはアグニカの一人称視点で書いてますが、普段三人称視点だからか違和感がすごい。
なお、この戦闘シーンをアグニカの一人称視点から書いたのは、戦闘の緊迫感を伝えたいと思ったからです。視点を最前線のキャラ一人に固定すると、戦場全体の描写がし辛くなる都合上、規模が大きいこれ以降の戦闘では使っていませんが。
起動準備をし、子ども達を待っていた父親二人は立派。こういうところが有るので、彼らは単なるクソ親父ではないのさ。「
かくしてアグニカはバエルを起動。初出撃なのに原作でのミカや昭弘と違って鼻血を出したりしないのは、阿頼耶識がオリジナルであるが故。マッキーもバエル初起動で鼻血出さなかったし。
剣でハシュマルの頭を弾いてビームを反らすのはともかく、二手目で蹴りを入れる辺り、アグニカは割と足癖が悪い。最終決戦仕様への改修の際、足にブレード付けられたのは絶対このせい。なんて的確な改修……ディヤウス、この辺りアグニカのコトよく分かってるんですよねぇ。
スピーディーな戦闘の果てに、バエルとアガレス――アグニカとスヴァハは、ハシュマルの撃退に成功します。ここの戦闘はufotable産アニメ並みにグルグル回ってるので、映像映えしそうである。誰かアニメ化して♡(無茶苦茶言うな)
最後はガンダム・フレームが各国にも分配されたコト、阿頼耶識がMS操縦インターフェースのデフォになったコトを記し、第十五話は閉幕。
既存のMSではまるで歯が立っていなかった「天使長」に一矢報いた、これこそが人類反撃の狼煙。アグニカ・カイエルの英雄譚の始まりです。
まさに章タイトル通り「反撃」開始、絶望に立ち向かう
でも、こっから更なる絶望が押し寄せて来るというね。一体どうなってんだオイ。おのれ「四大天使」、何としてでもアグニカが滅ぼす。……本当に「何としてでも」だから笑えねぇぜ。
◇
第四章 十国 -Secret Maneuvers-
第三章までで全てが整ったので、本格的に人類とMAの戦いの様子を描いていくコトになるのが、この第四章。章タイトル通り、第四章は地球側、十国の関連するMAとの戦いです。副題の「暗躍」も、第四章を読了した後なら頷けるモノと思います。
しかし、少々長くなりすぎたな……というのが、作者的には気になるところ。あんまり長いと最初から読む気しなくなるタイプの人間としては、第四章で尺を使い過ぎてしまったと思わざるを得ない。
読者様方への配慮を欠いてしまい、大変申し訳ございませんでした。
ちなみにアメリア→ユーラシア→イングランド→オセアニア→サハラ→アラビア→中連→サンスクリット→アフリカン→ラテンアメリアという十国の順番ですが、この順番付けに深い意味は特に無く、単に設定を作った順番がこうだったというだけです。言ってしまえば「何となく」の順番。
なお、どの国に誰のチームが行って、どの「中期型」のMAが出るかは、プロットを立てる段階で一覧表を作って割り振っています。どの国にどれくらい、何機のガンダム・フレームを出すか、とかも同時にやりました。どこで戦うか、は何となくの時もあれば、意図的に決めてる時も有ります。
第十六話「ミーティング」
まずはアメリア合衆国での戦い、開幕はアグニカチームのミーティングシーン。
ラファイエット級が時系列的には初登場。艦長とオペレーターは名有りキャラになってます。本作は名前が出たり出なかったりの基準は割とガバガバなんですが、まあ流石に主人公の乗る艦の艦長くらいは、ちゃんと設定しておかないとね?
ここは本作に珍しく、日常ほほえまシーンでもあります。ギャグっぽいのはソロモンのせいですが、このシーンのソロモンは前述の元ネタ作品にちょっと引っ張られたノリをしています。あ、元はこの十倍くらいイカれてるのでご安心を(?)
物語が進むに連れてシリアスが作品を支配するようになると、こういうノリは問答無用で現れなくなりますが……それは良いのか悪いのか。ところで、ナチュラルに距離が近いアグニカとスヴァハ、良いよね。自覚はないよ。
真面目な話題に戻ると、作戦の舞台をロサンゼルスにしたのは、ロサンゼルスは英語で書くと「Los Angeles」、直訳で「天使たちの街」という意味を持っているからですね。本作で(鉄血で)いう天使と言えば、勿論モビルアーマー。MAに蹂躙される街として、これ以上相応しい街が有るだろうか?(ロサンゼルス市民の皆様ごめんなさい)
キャリフォルニア・ベースは宇宙世紀ネタで、一緒に名前が出ているアーティ・ジブラルタル、キリマンジャロ・ベースも同様です。ジブラルタルを軍事基地としてるのは、SEEDネタでもありますね。
もう一つ、話題となっているのは「ガンダム・グラシャラボラス」と「ガンダム・アンドラス」について。この後のロサンゼルスでパイロットは見つかりますが、拾った二人がバッチリ適合したのは……運命とでも言っておこうか(冷や汗ダラダラ)
この点に関しては「素性も知れない子どもにガンダム・フレームを預けるのは無理が有る」と厳しい意見を頂きまして、その辺りに関してはアメリア編終了直後の第二十三話で言及されております。
なお、ここでスヴァハが言っているグラシャラボラスの「殺戮」を司るという特性は、名前の元ネタとなる悪魔が有するモノです。伝承ネタ、と言えば良いのでしょうか。
一方のアメリア側は、第三章にも出たパール・マコーマックとサイラス・セクストンの会話。
口に指詰めるイタリアのギャングはガンダムですらない他作品ネタなので触れずにおきますが(前のシーンのアグニカ射撃下手過ぎ問題関連のセリフも同様)、この二人仲良し過ぎではなかろうか。まあくぐり抜けてきた修羅場の数と付き合いの長さ的には、これくらいの軽口を叩き合ってほしいなと。アメリアンジョークですね。
パール「女っ気無い」→サイラス「直属の部下二人は女だが(天然発言なので事実を述べてるだけ)」→パール「この朴念仁」の流れは、この時点でその直属の部下であるマリベルにフラグが立ってるからです(アメリア編の中にそういう示唆が有ります)。ただ、サイラス自身は気付いてないと。
サイラスとパールは言い合ってるのかイチャついてるだけなのか分からないやり取りをしてますが、周囲はこの辺りから「他所でやれ」と思っているに違いない。なお、サイラスが冗談を言うのはパールくらいなんですが、パールはそのコトに気付いてません。朴念仁は果たしてどちらなのやら。
とまあ、この辺りは割と関係性が複雑なコトになってるんですが、再登場まで間が空いてしまったコトと、その頃には深刻なシリアスが作品を支配していたコトから、満足に扱いきれなかったのが少し心残りではあります。第八章の決戦の中で、さり気なく描写されていたりはするんですが。
スピンオフやるなら、この人たち主役が良いと思うねぼかァ。結末が決まってる分、描写を盛るだけ辛くなる気はしますが。
第十七話「アメリア合衆国」
国名サブタイトルは十国全てでやったんですが、おかげで少しサブタイの自由度が狭まってしまったコトだけは「しくったか?」と思うポイント。反省や後悔をするほどではないですが。
キャリフォルニア・ベースに到着したアグニカ達を迎えたのは、前話で名字だけ出たファビアン・モンターク。グリムゲルデのパイロットを務める、銀髪で黄金の仮面を着けた女性士官です。
言うまでもなく、原作キャラのモンターク(正体は何とマクギリス。全く気付かなかったZE☆)意識で作ったキャラクター。原作設定に有るモンターク商会創設者クライゼン・モンタークの先祖、という立ち位置です。厄祭戦を生き延びた数少ないキャラの一人でもありますね。個人的にはフェンリス・ファリドと絡ませたかったキャラなんですが、機会が無かったよ……哀しみ。
なお、モンターク商会関連の原作設定は特にガバガバなモノとなっておりまして、一期での情報と二期終了後の監督の発言、二期で語られるマクギリスの過去に関する設定や描写など、全てが噛み合っていません。ハッキリ申し上げて、矛盾の塊です。設定考証は仕事してくれ、いやマジで。
鉄血の企画自体はAGE放送前から持ち上がってたって話なのに、そんなに時間かけといて逆に何がどうなったらここまでガバれるんだよ。もうむしろ凄いわ。尊敬に値するね。
話を戻すと、ファビアンの仮面の理由は顔に負った傷です。彼女自身はその傷をとても醜いモノと思っており、自分は傷を負った瞬間、女として死んだと判断しています。
戦後に彼女を口説き落とした奴は、傷を見た瞬間「醜くない。それは誇り高く戦った証だろ」みたいなコトを断言出来る奴だったに違いない。やだ、とっても素敵……私が言われたら女の子になってしまうわ!
そんなファビアンに連れられ、アグニカ達はパール(とサイラス)にご対面。作戦内容について説明を受けます。
今更ながら言うと、パールのセリフのルビは必ずしも下の漢字の直訳、という訳ではありません。文脈優先でルビ振りをやってるので、和製英語やそれが省略されたカタカナとかも含まれます。くれぐれも、英語の勉強の参考資料にはしないで下さい。良いんだよ大体でよ(適当)
ラスベガスはこの時点で陥落済み。一夜の夢溢れるカジノの街を何やと思っとるんやMAどもは。やはり所詮は機械、人間のロマンは解せないか……。
落ちた理由は後のロサンゼルスと同じですが、まあそれについては後述。アメリア編には、まさに落とされる瞬間の描写が有りますから。
作戦まで時間が有るので、アグニカとスヴァハはロサンゼルスへとデートに繰り出します。ンなコトしてる場合か、と思われる方もいるでしょうが、こういうご時世だからこそ、リフレッシュを忘れてはいけない。
ウィキペディア並みに詳しく街の描写をしてますが、これは後の展開の前フリ。平穏や日常を克明に描写するコトで、奪われる重みが変わってくると。
しかしデートイベント、あまりにも平和すぎて、第七章を経た後だと凄まじく複雑な気持ち。後に街は蹂躙され、二人も死により引き裂かれる(引き裂く)と分かっていながらこれを書いていた作者、その人格が疑われる。我ながら疑わざるを得ない。鬼か畜生の類か?
第十八話「使命の仮面」
前回の最後にアグニカが財布をスられたコトにより、二人は犯人を追って暗い路地裏に飛び込む。輝かしい世界から一点、人間の世界の闇を垣間見る訳ですね。
何気に資本主義社会が云々と地の文に書いてますが、この辺りの仕組みは現実とほぼ同じと思って頂ければ。基本は資本主義(市場主義経済)により資本が回っていますが、共産主義的な考えが残ってる国も有るには有ります。
考え方の発生源はどこだ、とかまで考えてはいけない。この世界にマルクスとかいたんですかn(それ以上言うな!) でも神話とかはそのままっぽいs(やめろー!)
そんな訳で色々有って、アグニカ達はトビー・メイと出会う。戦闘センスが高いからと言ってガンダム・フレームに適合出来る訳ではありませんが、ここでアグニカがトビーを誘ったのは「この子なら出来る」という確信が有ったから。要は直感ですが、見事に当たっていたというね。
裏設定(というか敢えて明らかにしなかった点)として、アグニカは勘が良いってのが有ります。これは第八章で機体に実装される「エレジファ・システム」の適性と関係が有り、エイハブの目指した「人類の進化」にも関わって来る点です。なので、この辺りはひっくるめて第八章で語るとしましょう。
しかし、トビーはまだ子ども。戦わせるコトに関してアグニカには色々思う所が有りますが、スヴァハにそれを言われた時は、組織の使命を振りかざすコトで自分に言い聞かせています。スヴァハへの答えと言うより、自分自身の良心を騙す言葉。第三章でアグニカ達に選択を迫ったディヤウスと同じ。
スヴァハはそれを踏まえて「大丈夫?」と聞けるので、非常に大切な存在。そんなスヴァハがいなくなってから、自分を殺して使命を振りかざし続けた結果が、第八章の「英雄」になります。スヴァハがいるからこそ、アグニカは人間で在れた訳です。
第十九話「天使侵攻」
前書きでウリエルについて言及してるのは、実のところロサンゼルス(とラスベガス)にダインスレイヴを撃ち込んでシェルターを破壊したのは「四大天使」ウリエルだからです。
なので、「本編の展開には全く関係有りません。マジで」という注は、正真正銘真っ赤な嘘。大変申し訳ございませんでした。――客観的に見て性格が悪すぎるぞ、作者。
開幕の幕間は都市内での人間爆弾事件。
このMA(アルメルス)の原案は作者じゃないんですが、正直に申し上げて案を頂いた時はドン引きしました。そのままこうして使う方もイカれてますが。
その報告を受けたパールとサイラスは、ラスベガス陥落の最大の違和感――「生存者がいた」という事実に気付き、戦慄する。生存者がいたら助けなければならない上、基地内で閉じ込めるのも人権的に問題が有るので、救助の際に気付いていたとしても阻止は難しかったでしょう。そもそも、既存の爆発物探知機に引っかからない爆弾ですし。
かくして基地の外にもMAの大群が迫り、アメリア軍とヘイムダルは迎撃部隊を展開。戦闘が開始されます。
ちなみに、MAは「軍」ではないので、地の文での表現には「群」を使っています。人類側は基本的に「軍」ですが、ヘイムダルは軍隊じゃないコトから、書き方を変えています。
アメリアのガンダム・フレームの勇姿、的確に展開される熟練の部隊の動きに注目だゾ☆
ここからは新規登場機体について。
詳しい解説は設定集、作者の印象などはその時々の後書きに書いてるのでそっちで確認頂ければと思うんですが(丸投げ)、序章振り返りで機体について書いたので多少はここにも書いときます。
「ガンダム・フォカロル」、水中戦用ガンダム・フレーム。原作には水中戦が一度も無かったので、案を頂いた時は「おっ」となった機体です。武器のトライデントや装備と言い、ポセイドン感が凄い。
「ガンダム・オセ」は四脚への変形持ち、SEED DESTINYのガイアガンダムみたいな感じですね。武器は双剣ですが、バエル・ソードと違って片刃。
黄金の機体に片刃の双剣とか、人によっては「Fate/Prototype」のギルガメッシュを思い浮かべるのかもしれない。未だにFGOに出ない謎。
「ガンダム・サブナック」、火力型なのは間違い無く、SEEDに出て来るあのキャラクターの機体をイメージされてる。案を出した方も、絶対意識してると思います。少なくとも私は意識した。
1/100発売決定おめでとう。レイダーとフォビドゥンも速やかに出せ。三馬鹿愛してるぜ。
「グリムゲルデ」は原作からの機体。原作の姿と厄祭戦時の姿が違うという説も有りますが、新しく設定するのは面倒な上に、個人的に好きな機体なので原作通りの姿で登場です。出番は少なかったものの、この頃のマッキーは頭キレッキレだったし、本当にカッコよかったよ……。
戦後の処遇については本編中で描かれませんでしたが、二つの可能性が考えられるので、両方書いておきます。モンターク商会関連の原作設定がガバガバなので、矛盾した設定に合わせる為の措置です。
アメリア軍がギャラルホルンに統合される際、ファビアンは軍を辞めたので、本機はギャラルホルンで管理されるコトになる。管理を請け負ったのがファリド家で、三百年の間に忘れ去られて倉庫の肥やしになってたところを、マクギリスが持ち出した――というのが一つ目。二期後の監督の発言「モンターク商会はマクギリスが私財で設立した」に合わせるなら、こちらの設定。
もう一つは、ファビアンが辞めて乗り手がいなくなった為に裏市場に流れ、後にモンターク商会が買い取った――という流れです。一期で言われていた「モンターク商会は百年の老舗企業」という設定に合わせるなら、こっちが妥当かと。
とまあ、二つのパターンを明記したので、最終的な解釈は読者様方一人一人に委ねるコトとさせて頂きます。前者の流れでも老舗企業設定には矛盾しないので、個人的には前者が有力かなと。ただ、ボードウィン家のガンダム・フレームをファリド家所有のMSが撃破したとなると、調べられ方によっては問題になりそうなので、そういうのも考慮すると後者の方が良い気もする。
「ガンダム・ボティス」は十七番機の割にテイルブレードを装備していて、殺意が高い。まあガブリエルに付けたんで、技術的には可能なんですけど。
後書きにある「エピタフ使える?」ってのは、「覚醒」時に悪魔の能力で数秒先の未来が見れる(代償は高くつきますが)という設定が有る為。活かせなかったのが残念でなりません……うう、哀しみ。
「ユーゴー」も原作からの機体。夜明けの地平線団でしか使われてないので、もしかしたらあの組織特有の装備なのかもしれませんが、その辺り明確な設定は見つからなかったので、そのまま登場させました。
作者はユーゴーのプラモを持ってないので、もしかしたら説明書に何か書いてあるのかもしれませんが、そんなコトは知らん。もう手遅れだ(オイ)
「デビル」、こちらはアルカナ・フレーム。フールからの純粋な性能強化型、バランス重視の機体ですね。ザ・シンプル。ただし、まだ性能は足りてないよ……(原案通り)
「ユニヴァース」は最終番機で、遂にマシな性能を獲得したんですが、アルカナ・フレームの特性であるコストの低さを完全にかなぐり捨ててるんで、完全に失敗作です。哀しいなぁ。もうフレームの基礎設計段階に問題が有るのでは……?
ここからはMA、まずは「ザフィエル」。
超高高度からの爆撃型ですが、装甲が紙。エイハブ・クラフトを積まないからこうなる。初期型だから仕方ないね。
「サリエル」も空から攻める。ただし降らせるのはビーム。案の定、装甲が紙。エイハブ・クラフトを積m(ry
「サハクィエル」も飛行型ですが、輸送特化。言うまでもなく装甲は紙だが、戦闘空域には基本的に現れないのでセーフ。宇宙でも活躍します。
名前的にエヴァの第10使徒(もしくは第8の使徒)を思い浮かべる人もいると思いますが、大体それであってる。自爆攻撃はして来ないですが。
陸戦型の「スイエル」は八脚の蜘蛛型です。ビジュアルのイメージはエヴァの第9使徒マトリエル、もしくは「86 -エイティシックス-」のフェルドレスでしょうか。「86」は良いぞ。
「イスラフィル」は超音波で人を殺す、それ科学的に出来るのか? とちょっと疑問も有る機体。詳しい方がいらっしゃったら御一報下さい(勿論、悪用はしないので)
この中で一番エグい「イゼゼエル」、汚物は消毒だ〜! 系MAですね。都市の中に放り込んだら地獄。マジで地獄。絶対ミカエルの配下だよコイツ。
「アルミサエル」はプルーマ生産型、としか言われてない辺り可哀想なのかもしれない子。同名の使徒がエヴァに出ますが、機能的にビジュアルは全く違うと思います。サハクィエルは似たようなモンって言われてたのにどうして……。
「カマエル」、ここから下は中期型。
初期型と中期型の違いは、対MS戦を想定してるかどうかです。カマエルはパイルバンカーにミサイルポッドと、対ナノラミネートアーマーの格闘戦を視野に入れているようですね。
「アズライル」は後の後期型「バラキエル」にも繫がる電撃装備、プラズマ・リーダーを有しています。割と厄介ではないでしょうか。アッザムとか言っちゃいましたけど。名前も似てるな……。
「ゼルエル」は単純な火力強化なので、正当に強いです。ビジュアルはそれこそエヴァの第14使徒みたいな感じでオッケーかと。アイツ強かったなぁ。
「アルメルス」、コイツがロサンゼルス人間爆弾事件の犯人。格闘武装で対MS戦もこなせる辺り、後期型に近い中期型と言えましょう。チェーンソー四本とか普通に死ねるぜ。
以降は戦艦、マッケレル級地上戦艦が登場。
実は水上もホバーで進めるので、ちょっとした川くらいなら横断出来る優秀な戦艦だったりします。そんな裏設定が活かされる所は無かったですけど。もっと設定を活かせ。
とまあこんな感じで、最後はMA側の幕間。MA側でフレームがなんて呼ばれてるか見えるので、ちょっと面白いと思います。
ここで言われる「
第二十話「放たれし天杖」
この時の前書きでも「ウルズハントの配信はいつだよ」って言ってて草バエル。いや本当にいつなんだよ……まさか発表から二年、五周年記念特番を経てロクな続報が無いとは恐れ入った。SEED劇場版みたく、お蔵入りする匂いがプンプンするぜ。
開幕は幕間、アメリア首都ニューヤークにて大統領が映ります。ホワイトハウス、現実ではワシントンD.C.に在るのは言うまでもないですが、本作だとニューヤーク。本作はフィクションです。
ニューヤーク、という言い方はファーストガンダム履修済みの方なら違和感無いだろうと思いますねぇ! ジオン公国に栄光あれ!!!
人間爆弾の話を受け、速やかに情報統制を指示して十国に話を通す大統領は有能です。こんなのバレたら、疑心暗鬼から社会崩壊が起きますからね。
ここで開かれる秘匿通信回線は、有事に備えて整備された地下有線回線なので、エイハブ・ウェーブの影響は受けません。十国体制成立当初から有りましたが、これを使わなければならないほどの緊急事態はそうそう起こらない……ハズなんですが。
ロサンゼルス近辺での戦闘はMS側の有利で進んでいますが、ウリエルによる攻撃でロサンゼルスの都市シェルターが破られ、全てがひっくり返されました。
ダインスレイヴ、という兵器が本作に登場するのは、これが初めてですね。原作で散々猛威を振るった、振るい過ぎて戦闘をつまらなくした元凶なんですが、モノは使いようですよ使いよう(偉そうに言える立場ではない)
本編中で言われてたと思いますし、描写からも察して頂けると思いますが、「四大天使」のダインスレイヴは人類が持つダインスレイヴ(原作に登場したモノ)よりも遥かに凶悪です。専用の特殊KEP弾頭からして太さと長さが段違い、射出器の加速力と回転力、射程と弾速も比になりません。
威力的にもラファイエット級の「カラドボルグ」と同等以上なので、最早「ダインスレイヴ」という名の別の兵器レベルのイカれ具合。第六章から第八章にかけてバカスカ撃ち、ドカドカと戦艦やコロニーを沈めてガンダム・フレームを吹っ飛ばしてますが、まあそりゃそうなるわな。
そしてこのシーン、使い方も凶悪。
衛星軌道上から地表に向けて撃ち込む、原作でも最終話でやってましたが、ダインスレイヴの本領はこれだと作者は思います。現実でも金属棒を投下して人工衛星から地表へ攻撃する兵器が話題となってましたが(現実的ではないにせよ)、このダインスレイヴの使い方は、まさにそれを実現するモノと言えましょう。
なお、現実で騒がれている衛星兵器は「神の杖」などと呼ばれていまして、これが「天杖」という表現の元ネタになっています。神の御使いたる天使、だから「神の杖」ではなく「天の杖」という。
第二十一話「ロス・ナイトメア」
この事件名の意味は「ロサンゼルスの悪夢」ですが、ロスは「loss」にもかかっています。即興で名付けた割には良く出来たと思うの。
ロサンゼルスのシェルターが崩壊したコトで、戦況が一気に変わり、まさに悪夢と呼ぶべき光景が具現化しております。
懸命にアグニカ達は戦いますが、物量で押し切られているという状況。そもそもダインスレイヴで相当な数の民間人が犠牲になっていて、残りも侵入したMAに殺されていく――これが惨劇か(白目)
戦闘シーンはもう見たままなので解説はしませんが、新規機体が出てるのでそれだけ。
「アート」、こちらはアルカナ・フレームのダインスレイヴ装備機。やられたらやり返すのは当然の行いです。まあ脆弱なアルカナ・フレームなので、数発撃つと反動で分解するという哀しすぎる性を背負った機体でもあります。どうしてアルカナ・フレームはこんなにいじめられるんや……?(原案通りなので、こればかりは作者のせいではない)
もう一機、早くもトビーが「ガンダム・アンドラス」で参戦。訓練は? ←阿頼耶識、が出来るのでマジで阿頼耶識が便利すぎる。
アンドラス、六十番台にしては良くも悪くもマトモで個性がちょい薄なので、もう少しイカれ武装を盛っても良かったかなと思っています。ダインスレイヴとかダインスレイヴとかダインスレイヴとか。
幕間はロサンゼルスでの被害者、後に「ガンダム・グラシャラボラス」のパイロットとなる大駕・コリンズのモノです。家族を殺され、理不尽に憤怒し、復讐に取り憑かれてしまう瞬間を描きました。
彼については、次話解説で書きましょう。
第二十二話「悪夢に沈む空の下で」
個人的にはお気に入りな詩的タイトル。珍しくセンスが良いと思うね(センスの無さには自信が有る)
そんでもって、アメリア編最終話です。長いよ。
天気の描写は曇天。本作、これ以降から天気に関する描写が時おり有りまして、それにより雰囲気を表しております。大体曇りか雨なんですけど。
サイラスとパールの会話も、章の初めに比べるとかなり重々しい。人類はMAについてあまりにも無知なままで、払われた犠牲はあまりにも重い。まさに鈍い曇り空のように。
今話は全体的に反省会やってる感が。事後処理、と呼ぶべきでしょうか。??「正直、事後処理がめんどくさい」
都市の中では、アグニカが大駕と邂逅。
アグニカに八つ当たりして泣き崩れる大駕を前にし、アグニカは自らの無力を実感するとともに、「彼ならグラシャラボラスを使えるかも」と思い至って、大駕を勧誘すると。これも勘に近いですが、見事に当たってる。
自分(達)の目的を果たす為、誰かの人生を歪め、犠牲にする――ここでアグニカが大駕にやっているコトは、ディヤウスがアグニカにやったコトと同じです。アグニカは「戦う」選択をし、ディヤウスと同じ使命を背負った訳です。この辺り、アグニカはかなり冷酷な面も持っている。それしかなくなるのは、スヴァハを失った第八章からになりますが。
トビーに大駕と、このアメリア編は第八章以降のアグニカの姿が示唆されるような構成になっています。もう「子ども」ではいられなくなっている。
この次は再びサイラスとパールのシーンですが、こちらは先ほどと違い、もう少し感情的です。弱気なところを見せたパールを、サイラスが慰めるという形。アグニカとスヴァハとは逆ですね。
サイパー(字面がワイパーに似てる)キテる……キテない? キテるんだよ!
やはりもうちょっと、描写を増やせるだけ増やしておくべきだったか。……それにしては結末が容赦なさ過ぎる、とかは言わないお約束。
二人のイチャつきを目撃したマリベルとファビアンの女子トーク(?)は、分かりやすい形で後に回収出来なかったので反省ポイント。第八章でどさくさに紛れてチラッと回収してるんですが、もうちょっとじっくりやってみたかった。
ここだけでなく第四章全体に言えるコトなんですが、流石に好きなように動くキャラをそのまま書きすぎたかな、という反省が有ります。基本、私めは脳内でキャラが勝手に動いて喋るのを文字として出力してるんですけど、余計な描写は削ぎ落として読みやすく体裁を整え、第三者に伝えるという作者としての仕事が、第四章では満足にこなせなかった――というより、ちょっと失念していたなと。
序章から休まず書き進めて来て、第四章はちょっと作者に気が抜けてしまったところが有ったかもしれません。第四章でどういう戦いを描くか、連載開始前から具体的に設定しきれていなかったのも、原因として考えられます(第五章以降は初期から詳細まで決まってたので、迷いなく行けたんですが)
本作を連載する裏で別作を一瞬書いたのも、客観的に作品を見直して、気を引き締め直すべく行った措置だったりします。おかげで第四章後半は感覚的にキレが戻り、それからはずっと調子が良かったので、やはり定期的な整備は必要。
まあ、シーン自体は好きですし文句は無いんで、後悔と言うほどではないんですけど。こういうシーンが有るコトで、一人一人に物語が有るというコトが伝わり、死者が多いが故に軽くなりがちな「死」の持つ意味が変わってくると思いますし。
なので作品の反省、というよりかは作者の姿勢の反省ですね。戦闘や描写のクオリティは落としてないと自負しているので、愚痴に近いです。ハイ、そんな訳で話を戻します。
臨時十国首脳会談によるガチ反省会を経て、視点はアグニカチームの面々に移ります。最終話を見た後だと「誰一人として生き残ってねぇ!」ってなるが哀しいところですが、彼らは彼らで思うところが有りながらも、アグニカと共に戦っている。
ソロモンのアグニカに関する言葉は、まさに的を得ているモノです。本当によく見てるなアンタ、そしてメッチャシリアス出来るやん。多分、ソロモンが作品後半でただのシリアスキャラになるのは、この辺りのシリアスムーブが残って余計なのが削ぎ落とされたが故。
トビーと大駕は「戦いを選んだのは自分だから、アグニカが気に病む必要性が無い」と言いますが、例えそれを直接言われたとしても、子どもにそんな選択を与えた自分を赦せないのがアグニカという人間です。基本的に良い奴すぎるので、人望は有るけど組織のリーダーには向かないタイプ。スヴァハが死んだ後の覚悟ガンギマリ状態なら向いてるでしょうが。
一方、スヴァハはアグニカのもとへ。ドアの前に立つスヴァハの迷いと葛藤からは、スヴァハがアグニカのコトを本当によく理解しているコトが分かるかと。
自分の想いと背負う使命、矛盾の中で苦しんでいるアグニカ。「ヘイムダルとしてのアグニカ・カイエル」との表現を「英雄アグニカ・カイエル」に言い換えると、終章でのセブンスターズ達、残された仲間達に迫られた選択にも繫がる部分です。
この時のスヴァハは「同じ苦しみを背負い、支え合う」という答えを出し、アグニカの負担を軽減しました。後半のイチャつきには「爆発しろ」の一言なので特に書きませんが、スヴァハはこれを言える立ち位置のキャラなので、ヒロインであると同時に相棒でもある。
翌日、仲間達も同意を示してくれたので、アグニカは一人で背負い込むのをやめ、本当の意味で仲間と共に戦う姿勢を固めた訳です。ここからがアグニカチームとしての本当のスタート。
もっとも、これは第七章での喪失で覆されるコトになりますが。こう書くとマジで第七章と、スヴァハの存在は重要なんですよねぇ……と、しみじみ感じる次第。
第二十三話「失われた悪魔」
当時の前書きにも有りますが、この回は急遽入れるコトにした回です。
どれくらい急遽だったかと言うと、ユーラシア編を五話分くらい書き、第二十二話を投稿した後でこの回を書きました。私は実のところ、見直しや辻褄合わせ、伏線張りなどの修正をかけられるよう、ある程度のストックは持っておくタイプです(完璧に完成したモノを皆様にお出しする為の措置)。ただ、この時は用意していたストックの原稿に書かれた話数を全部一話ずつ後ろにズラさなければならなくなった、というくらいには急遽入れました。
こういうコトも有るので、ストックは不可欠。読者的には「有るならさっさと出してくれよ!」と思われるかもしれませんが、作者的には持っておいた方が安心出来る上、結果的により良いモノを最初から見せるコトが出来るので、何と言われようとストックはし続けるでしょう。
まあ、本作以降に創作をやるかは分かりませんけどね。多分やらない、というか今は全く予定が無い上に、ボンヤリ書きたいなーとか思ってるモノも無いので、やるとしても相当の間は空くでしょうな。
さて、話を作品の内容に戻しまして。
言ってしまえば、ここはラスボスの為の前フリ。実のところ、「ガンダム・アンドロマリウス」については「さり気なくロストさせよう」と当初は考えていたんですが、ヘイムダルが十国と全機建造、完成させるという契約をしている以上、ガンダム・フレームの一機を未完成状態で失うという事実がそう軽く描写されてはまずいよね――と思い至り、大々的にやるコトになりました。
とはいえ、急遽書いたというコトも有り、字数ボリューム的にはそうでもないんですが。
急遽書いた理由としては、ユーラシア編に「ガンダム・デカラビア」が登場するから。
デカラビアは第六十九番機、最終番機たるアンドロマリウスは第七十二番機なので、番数的にかなり近い。なので、デカラビアが完成し、チームに編入されて実戦で運用されている頃には、アンドロマリウスも既に完成している可能性が高い。
元々、アンドロマリウスの喪失は第四章中盤、オセアニア編かサハラ編辺りでやろうと考えていたんですが、アンドロマリウスを未完成状態(フレーム剥き出し)でロストする展開の為には、時系列的にここがギリギリだと結論されたので、急遽書く羽目になりました。この辺りは作者的には一人でバタバタしてたので、やはりプロットをキッチリ作り込むのは重要。
内容的にはヴィーンゴールヴが敵襲を受け、「ガンダム・ダンタリオン」が出て迎撃するも、アンドロマリウスが海底に沈む――というモノ。
この時にヴィーンゴールヴをダインスレイヴで攻撃したのは、「四大天使」ミカエル。ロサンゼルスとは違います。ちなみに、ミカエルは爆撃の後、地球に降下して長らく潜伏するコトになります。潜伏場所は京都の地下で、ガブリエルの命令を地球上のMAに伝える役割を担いますが、自分で動くのはそれこそ第七章に入ってから。
また、戦場に「天使長」たるハシュマルが現れたのは、海底に沈んだアンドロマリウスを水中型に回収させる為。本作では「天使長」が現れる時、MAは重要な作戦を実行している――なんてコトが劇中で示唆されていますが、事実その通りです。
ダンタリオンは月鋼に登場した機体で、そちらではギャラルホルンの名家「ザルムフォート家」で運用されていました。装備については厄祭戦時のモノを残していたので、原作の姿のまま登場。
ただ、パイロットのシプリアノ・フォッシルに関しては、投稿当時は設定確認漏れの為、名字が「ザルムフォート」と表記されていました。「『ザルムフォート』の名は火星戦線での活躍により与えられた」という原作設定が存在している為、この時にザルムフォートと名乗っているのはおかしい(原作設定との矛盾になります)ので、投稿からしばらく後に、本文を修正致しました。現在は直っております。
こちらの不注意が有りましたコト、謹んでお詫び申し上げます。
なお、第五章で「
第二十四話「ユーラシア連邦」
ここからはユーラシア編。
開幕で「ヴォルゴグラード、かつてはスターリングラード」みたいなのが書かれますが、この世界にヨシフ・スターリンがいたのかと聞かれると何も答えられないので、まあ軽く流して下さい。
ホラでも、このスターリンがヨシフおじさんのコトとは限らないですし? スターリンって名前の人がいただけかもしれませんし?
語られるオデッサ中心の「
三国を同時に攻めるコトで三国の結束を促し、ひいては睨み合ってばかりの十国の連携までを誘導する、エイハブの目的を達する為の作戦の一つ。実際に三国は共同戦線を組むコトになったので、MA側としてはまさしくシナリオ通り、と言ったところ。
ここはフェンリス・ファリド率いるチームが担当です。
フェンリスは初登場になりますね。セブンスターズ第二席「ファリド家」初代当主で、原作に登場するイズナリオ・ファリドの先祖にあたります。
せっかくなのでフェンリスに関して書きますが、フェンリスのキャラコンセプトは「野心の無い一期マクギリス」です。口調はほぼ同じですが、原作のマクギリスは力に執着し、怒りを原動力に生きていたのに対して、フェンリスはそうではありません。マクギリスが見えていながらも目を逸らしていた友情や愛情や信頼を備え、力に対する執着も無い為、冷静で思慮深く人情味が有って腕も立つ、凄まじく頼もしいキャラになっています。ロリコンでもないので犯罪者にもならない。
マクギリスは養子なので血の繋がりは有りませんが、作者の脳内ではフェンリスの声は櫻井孝宏ボイスだった。フェンリスなら「無駄に声が良い」とか言われずに済むね(確信)
機体は「ガンダム・アスモデウス」。
アスモデウスはソロモン七十二柱の中でも実力者で、ソロモン王に楯突いたほどです。槍を装備するのは元ネタの悪魔の伝承に則っており、尻尾やデザインも同様。激怒の悪魔らしいので、フェンリスというよりマクギリスに合うのかも……?
なお、伝承的にはラファエルと因縁が有り、元は智天使だったとする逸話も相まって、何かと縁が有りそうな感じが。第八章でもうちょっとラファエルと何か有っても良かったかな、と思わなくもない。
クリウスは序章以来の登場ですが、機体は「ガンダム・キマリストルーパー」に。
キマリストルーパーは原作からの登場です。新造したとの原作設定は存在しないので、恐らく厄祭戦時の装備の一つと思われる。増幅したエイハブ・ウェーブを放射する「スティング」は、原作設定では「マルチスロットアクセラレーター」と呼ばれる未知の武装とされ、詳細は明かされていません。
かと言って全くのオリジナルかと言えばそうでもなく、デザイナーの刑部一平氏がキマリストルーパーのデザイン時に想定した設定案が元になっています。人間の脳を破壊する為の武装という案だったのですが、本作ではMAのコンピューター部にも有効という設定に変更しています。
やってるのは雪原での戦闘。
ユーラシア側は「ガンダム・ヴァレファール」と「ガンダム・オロバス」が登場し、それぞれの特性を活かした戦闘を展開しています。
ガンダム・フレームの「覚醒」が描かれるのもここが初めて、まさかの最初はオロバスである。作者的にも意外だったんですが、オロバスは対価無しの「覚醒」が出来るという設定上、出しやすかったってのがありますね。他の機体には気軽にやらせられるコトじゃないので……。
「ガンダム・ヴァレファール」は、六番機の分際で(言い方ァ)特殊なシステムを持ってて面白い。十番機の「ガンダム・ブエル」も電子戦的特殊システムを持っているので、きっとあの頃は警戒したんでしょう。
一方で、武装は六番機らしくシンプル。最初の方のガンダム・フレームは、シンプルな分パイロットの腕が問われる機体――というイメージがありますね。あくまで個人的に、ですけれども。
「ガンダム・オロバス」は重装甲高機動なタイプですね。結局これがシンプルで強いんだよなぁ。それでいてヒート・ショーテルを持っていたりするので、見た目もきっとエレガントに違いない。
第二十五話「三国共同戦線」
開幕はフェンリスチームの会話から、オデッサ奪還作戦の為の会議ですね。
フェンリスとクリウス以外の三人は、前回は名前がちょっと出たくらいだったので、本格的な登場は実質的にこの回からと言えますか。
レタ・クィルターちゃんは丁寧な口調の合法ロリ系、恋に焦がれる女の子。かわいい。後にフェンリスとフラグを建てるコトになりますし、このユーラシア編でも最後に絡みが有ります。
キャラコンセプトは「他人行儀なアルミリア」みたいなのをイメージしました。この一言が全てではないんですが、等身大の女の子にしたつもり。
グラツィア・アンヴィル、高飛車お嬢様キャラだけど境遇は真逆な子。去勢を張って、でも弱気なところがちょっと見えるのが良いと思います。クリウスとフラグが建ってたんですが、ミカエルとかいう奴に引き裂かれました。ミカエルを赦すな。
「高飛車強気お嬢様」という点では、カルタ様に通ずるところがあるかもしれません。強気、という点と境遇的にはジュリエッタかも? ……まあ、そこまで意識してはいませんが。
クジナ・ウーリーさんはレタとグラツィアとは違い、そういうのは乗り越えた大人な女性です。レタとグラツィアにとっては姉のような存在。未亡人。
彼女には「昔ライフルで世界大会出た」という謎設定が有りますが、平和な頃はそういうスポーツ大会も行われていました。今は無い(そりゃそうだ)
ユーラシア側は非常にうるさい。きっともう酒入ってる、というかロシアの人は常に酒入ってるから(偏見)
その中でも特にうるさいアーイスト・スヴィエートさん、個人的には書いてて楽しい好きなキャラ。時々、鴻上会長なのか煉獄さんなのかが分かんなくなるんですけどね。
語られる三国共同戦線、狙うはオデッサ。
オデッサは言うまでもなくファーストガンダムネタ。この他、ガンダム作品ネタは主に地理関連で宇宙世紀アナザー問わず、隙あらばねじ込んで行くスタイルでやっております。でも宇宙世紀の方が大半を占めている気がする。
また、この時点で地球圏のアリアドネは、ほぼ完成しております。アリアドネのコクーンは基本的に無人運用されているので、MAに襲われる心配も無しという。
第四章の中で破壊される描写も有りますが、それがどういうコトかは、またその時に。――こうして見ると、MA側については本編内で説明が無いコトも多いですね。基本的に視点が人類側に寄ってるので、やむを得ないコトではあるんですが。
そのおかげで集うは三国の軍司令官。ユーラシアだけでなく、イングランド、アラビアとスケールがデカくなって参りました。ここまで来るとユーラシア編と言えるのか大変怪しいですが、イングランドのヴィンス王子とアラビアのラティーフ王子は顔出しなのでセーフ(?)
ちなみにこの二人の王子、割と相性が良くて仲も良いです。親の言うコト聞かずに前線で戦ってる者同士、話が合うんですねぇ。立派なのかそうでもないのかどっちなんだろうか、この人たちは。多分見方によります。
会議後、フェンリスはディヤウスに直談判しますが、これ性格的にはかなり珍しい。「何でアグニカじゃないんだ」は、一応後の展開の前フリ――と言っていいのやら。
おかげでディヤウスが別チームも派遣する気になったので、ここでディヤウスに報告するのはかなりナイスだぞフェンリス。やはり報連相は大事。やらないとエヴァQみたいになるからね。
第二十六話「オデッサ奪還作戦」
この回の最初は、レタとクジナの会話。
クジナが語る過去(というか動機)はアッサリ言ってますが、かなり重いモノ。彼女は夫を失ったコトで、夫を奪ったMAに復讐するという目的の為だけに生きるようになった――そうとでも考えておかなければ、生きていけなくなってしまったんですね。
彼女の最期はミカエル戦になりますが、例え厄祭戦を生き延びていたとしても、彼女に幸せは無かったのではないかと。きっと死ぬコト、死んで夫の下へ行くコトが彼女にとっての唯一の救いで、彼女は死ぬ為に戦っていたのだと思います。
そしてこの会話、何気なくグラツィアも聞いていましたね。レタとグラツィアは、クジナの話を聞いて何を思ったのやら。
野郎ども(フェンリスとクリウス)の会話は、まさに相棒という感じ。フェンリスとクリウスの関係性は、初期のマクギリスとガエリオを意識していますが、二人とも裏が無いので理想的である。
前夜を経て、いよいよ決戦開始。
特殊タグくんが仕事をしすぎている。太字に大文字化で、作者の投稿画面は相当なカオスになっていました。特殊タグは自分で全部入力するタイプなので、ミスが無いかを血眼になってチェックしたよ。
「進撃せよ」というセリフは、進撃の巨人を見た後だと全然違う意味に見えてきますが、辞書通りの意味なので勘違いしないでね!
幕間はディヤウスに派兵要請を受けたアグニカチーム。アマディスと大駕が、オデッサに向かうコトになります。
この時のアグニカは真面目ながら、どこかリラックスしているような、余裕の有る感じなのが良い。ここから絶望と地獄が待ってるのホンマ……。
仲間を信じて託す、アメリア編の最後がここに繋がっていますね。これぞ仲間よ。
なお、フォカロルとグラシャラボラスはインド洋のド真ん中から黒海までとなかなかの距離を補給無しで移動していますが、こんな荒業が可能なのはフォカロルの装備「ネプチューン」のおかげです。この装備は水中であれば理論上、無制限に活動出来るという代物なので。
設定作ってた時は「この設定使わねぇだろうな」と思ってましたが、そんなコトは無かったよ。
第二十七話「精鋭部隊」
一方、オデッサ奪還作戦は開始済み。
宇宙からのダインスレイヴ攻撃の使い方がイカれてますが、結果的に突破出来てるからオッケーなのがスヴィエート部隊のイカれてるところ。
ロサンゼルスでやられたコトをやり返す、まさに意趣返し。ここのダインスレイヴの威力に関する描写は、ロサンゼルスの時の描写に比べると抑えめです。見比べると、改めて「四大天使」の恐ろしさが分かりやすく伝わると思います。
新規機体は、フェンリスチームのガンダム・フレームを紹介。
「ガンダム・デカラビア」は、前作(鉄メン)のグレモリーとデカラビアを統合したような機体設定にされています。前作は連載中に月鋼でグレモリーが登場するという異常事態が起きてドタバタしたんですが、今作は冷静に対処されています。
六十番台機らしく、拡散型ダインスレイヴこと「レーヴァテイン」なるチート武装を装備しております。六十番台機はやべー武器載せなきゃいけない気がする……しない?
「ガンダム・ベレト」、コイツは十三番機の割に盛り過ぎな機体ですが、悪魔の伝承的にベレトはソロモン七十二柱の中でも首魁級なので、ちょっと盛り過ぎなくらいがちょうど良いかと。ただいっぱい武器を持ってるだけでなく、一つ一つも相当凝っててオサレな感じになっており、原案の方のこだわりが伺えます。
また、00のヴァーチェのイメージで装甲パージ能力を持っています。回収がとても大変そうだ……。背部のビッグアーム・ユニットは、Gレコのジャイオーンをイメージしています。みんなジャイオーンをすころうぜ?
「ガンダム・ボルフリ」、こちらは盾装備が多い防御力に優れた機体。防御は最大の攻撃かもしれない。原案者曰く、イメージはFGOの後輩ことマシュだそうな。
コイツが肩に装備する盾は、後に「ガンダム・キマリスデストラクション」(原作名ではガンダム・キマリスヴィダール)に引き継がれます。その際にダインスレイヴ射出器を追加されてますが、グラツィアが死んだ後も盾は残ったんですねぇ。
最後の幕間は、ミカエルとガブリエルの通信になっております。
ここでミカエルは「俺、出て良い?」って聞いてますが、ガブリエルは「まだ早い」と一蹴しています。正確には、ガブリエルの上のエイハブがNOを突きつけました。正しいよ、ホントに時期尚早だよ。
ミカエルはそれを受けて作戦続行を(予定通り)断念しますが、せっかくだから中期型を出しておこうというノリ。ミカエルくんロクなコトしねぇな。
第二十八話「降臨」
ここから2020年更新エリア。
当時の前書きで「今年中に五章まで辿り着けるのだろうか」とか抜かしてますが、とりあえず辿り着けてよかったね。しかも七月には達成したよ。
遂にオデッサに到達したスヴィエート部隊&ヘイムダルを迎えるは、シェルター外壁に吊るし上げられた人間の死体。映像化出来ねぇ!(確信)
あ、これをやらせたのは「四大天使」ミカエルです。アーラ以前からやってたんですね。ここで人間の感情を観察した結果、アーラに行き着きます。ミカエルを赦すな。
登場するは中期型、名を「シマピシエル」。
頭がハサミになってるとか、ビジュアルが想像出来ないんですよねぇ。機能停止時にスティングしてこっちの脳を壊しに来るオマケ付き。早めに分かってなかったら、ガンダム・フレームのパイロットも何人かやられていたでしょう。
戦闘が続き、中期型も倒れる中、最後は「ガンダム・カイム」が降臨。
当時の後書きで書いてる通り、イメージはオーズのタジャドルコンボである。タジャドルの真骨彫、買えなかったんだよなぁ……転売ヤーを赦すな。
五十番台ながら、シンプルでカッコいいなと思う次第。武装だけ一桁台に戻ってる気がするけど、気にしてはいけない。イカれ具合足りなくない?
第二十九話「乱戦と援軍」
前回から引き続いての戦闘回。
戦闘回は振り返りが短くなりがちですが、しょうがないね。これに関してはそこにあるモノが全てであって、わざわざ解釈説明とか解説とか付ける必要無いからね。
乱戦の中で続々と援軍が集い、状況が非常にカオスなコトに。これ、アニメなら見て把握出来るから良いけど、小説だとマジで無理っすね……(オイ)
ともあれ、ベレトと参戦したグラシャラボラスの「覚醒」で物量差が覆され、人類側の有利で進む戦い。大駕が子どもだと悟ってから、彼を戦いに引き入れたアグニカにまで思考が行くフェンリスとクリウス、さてはお前らアグニカに詳しいな?
最後はカロム・イシューが華麗に登場。
セブンスターズ第一席「イシュー家」初代当主にして、原作に登場したカルタ・イシューの先祖ですね。カルタ様と同じく、刀を提げています。一応あの刀は菊一文字のレプリカ、っていう設定が有りますが、まあ重要では全くない。
カロムのキャラコンセプトは「女らしさの無いカルタ様」で、作中では誰ともフラグが建ちませんでした。だから生存出来たのかもしれない……?
彼女はメインとなる中連編で過去が語られてまして、セブンスターズでは唯一、本編で過去が語られたキャラ……というコトになるんでしょうか。女らしさが無いのは、そんなコトにうつつを抜かしている暇は無い、と自らを律しているからであります。
しかし、カルタ様がいる以上、カロムもいずれはその人と巡り合うハズで……うーん、誰なんだろうか。その辺りの想像は、皆様方にお任せします。
フェンリスとクリウスの二人は、カロムと仲良いようでそうでもないようで仲が良いです。歯に絹着せぬ、気の置けない関係ですね。恋愛感情は一ミリも無いし、芽生えるコトは天地がひっくり返っても有り得ないと思いますが。
なお、この時はナトリアとエドゥアルダが登場していませんが、あの姉妹はカロム達が本来向かうハズだった所に先行して向かっています。カロムチームは近くにいたので、オデッサの方に来てくれたという感じ。
新規機体は四機。少ないな!(感覚麻痺)
「ガンダム・ゼパル」、騎士っぽい機体。イングランド(ヨーロッパ)らしいのではないだろうか。
私に具象化するコトは出来ませんが、きっとクッソスタイリッシュなカッコいい機体に違いない。カイトシールドとか、私じゃ絶対出て来ないね……案を頂くと、自分から生まれないモノが出てきたりするので、そういう意味でも非常にありがたい。あ、デザインは海老川さんか寺岡さんでオナシャス。
「ガンダム・ストラス」は、繋げると弓型ダインスレイヴになるオサレ曲刀の使い手。弓型ダインスレイヴってどういうメカニズムなん? 案を貰った機体なので、作者には分からんのだ。
まあきっとデザイナーの人が何とかしてくれる。そんな日は多分来ないけどね。
「ゲルヒルデ」、こちらはヴァルキュリア・フレーム。ヴァルキュリア・フレームに長槍とか、カッコ良くならない理由が無い。ヴァルキュリア・フレームは優雅でスタイリッシュなので、非常に素晴らしいと私は思います。グリムゲルデとかまさに芸術的な美しさだよね。芸術……? ダハハハハッ(ry
「ガンダム・パイモン」の方は武者頑駄無のような感じになってまして、武装はまさかの刀一本のみという、バエル以上にエレガントなコトに。前作ではフライトユニット装備だったのに、何と本作で外された。可哀想だるォォ!?
しかし、この装備でセブンスターズ内MA最多討伐数を達成しているカロム様、化け物すぎる。中の人が強ければ問題無いというコトを、バエルとパイモンは教えてくれるのです。
――パイモン、カルタ様が乗ってもバルバトス第5.5形態に勝てなさそう。最終決戦仕様も武装増えただけなんで、扱えなきゃダメだからカルタ様はそっちでも無理よなぁ(カルタ様も充分強いハズなんですけどね)。カロムって、さては何かおかしいな?
第三十話「赤き世界」
サブタイは夕焼けと血に染まってる、という情景描写から想像されております。
エヴァ世界みたく、インパクトによる浄化のせいでL結界が張られて赤くなってる訳ではないから、そこはご安心あれ。あの世界、運命が残酷よねぇ。
開幕は作戦を展開した三国首脳による反省会。
イングランドのデイビス首相が「MAに利害を一致させられたのでは」と発言していますが、これが図星だった訳です。勘付いてしまった結果が、今話最後の幕間と。
戦場ではまず、アマディスと大駕の会話シーンが描かれます。大駕の「覚醒」の反動は、身体の一部が炭化するというモノ。悪魔の伝承的に「身体が透明になる」って代償も考えたんですが、もうちょっと痛々しくしようと思って炭化になりました。この炭化は、彼自身が殺戮衝動に支配され、心が崩れていくというのも表しています。
本作だと「覚醒」で失くなった部分は、義手などで速やかに埋め合わせされていくコトになってるので、戦うほどにどんどん身体が機械になっていく訳です。厄祭戦後、人体の機械化はギャラルホルンによって禁じられるコトになるので、こういう芸当は厄祭戦時にしか出来ませんが。
……しかし、阿頼耶識含む人体の機械化を禁止しておきながら、それを決めたギャラルホルンのトップたる初代セブンスターズは阿頼耶識と義手義足付けまくってるの、体制の矛盾って感じがしますね。皮肉とも言える。ご本人達は、阿頼耶識の力で逆らわれるコト、自分達と同じように人であるコトを失う者が現れないようにする為に、そう決めたんですけれども。
カロムはそんな大駕を見て、子どもをすら戦場に駆り立て、駆り出さねばならない状況を憂います。ここで割り切れる辺りがカロムの強さであり、ある種の冷徹な面なんですけども。カロムはその点、戦士としての適性が有る。
視点はフェンリスチームのレタに移ります。
ベレトの「覚醒」の代償は、身体が真っ白になる――しかも、周辺の影響を受けない。夕日に照らされようが影も出来ない、不気味な雰囲気です。世界という絵画に、上からベタ塗りしたような感じ。動かせなくなるというコトはなく、ベレトと阿頼耶識で繋がっている時だけ、元の色に戻ります。
彼女に課す代償をこういうのにしたのは、動かすのに支障が無いからこそ同情を誘わず、でも忌避されるモノを目指したからです。このシーンで語られる恋をしてみたいという彼女の願望を「こんな身体じゃ気味悪がられるから無理」と陰らせるに足る、良い塩梅になったと思います。
フェンリスが彼女に話しかけたのはリーダーとして仲間を気遣ってのコトですが、落ち込むレタに「綺麗な手」と断言出来るのはイケメンである。櫻井孝宏ボイスに本心から裏表無くこんなコト言われたら、そりゃ落ちるで?
レタがフェンリスにキュンと来たのはここです。本心から言ってくれた、例え本心でなくても嬉しかったと。「結婚しろ(要約)」は三割冗談、七割本気くらい。レタが生き残っていれば、フェンリスの婚期は早まったであろう。
ユーラシア軍は勝利の美酒を味わっていて、クリウスとクジナは呆れ半分感心半分で見ています。オデッサの住民は全員死んで吊るしあげられたので、不謹慎と言えばそうなんですが、これくらいのノリでなきゃやってられない(バカ騒ぎして忘れよう、逃避しようとしている)とも言えるかと。
陰に身を潜めるグラツィアを発見し、クリウスが様子を見に行くと、グラツィアは泣き崩れていた。クリウスはそんなグラツィアを励まします。
ハイ、ここフラグ建築ポイント。フェンリスとはまた違うイケメンぶり。優しげな松風雅也ボイスで寄り添われたらそりゃ落ちるで。
強気な女の子が時おり見せる弱み、良いよね。こういうギャップが作者は好きなので、無意識の内に作品のあちこちに出ている気がする。明るい子は曇らされるし、強気な子は弱気を晒すんですねぇ。
一晩明け、フェンリスチームはレキシントン級大型輸送機で新たな任務に旅立ちます。
レキシントン級は設定こそしたけど、あまり出番が無かった。一チームで運用するには、キャパが有りすぎて無駄が多いんですよね。なお、エイハブ・クラフトを利用して飛んでるので、翼をもがれたとしても割と飛べます。強い。
幕間はイングランド側の描写。この次がイングランド編なので、前フリと言えるでしょう。
ヴィンス王子と通信中だったデイビス首相が爆殺され、ヴィンスは「ミカエル」という熾天使の名に行き着く。なお、この時に人間爆弾として現れてデイビスを爆殺した人は軍人でしたが、捕らえられた後に脳をコンピューターに置き換えられ、アルメルスにより爆弾を仕込まれて、ロンドンに潜伏していました。時期としてはロサンゼルス壊滅の前になりますが、こういう人間は各地の都市にいます。
爆殺をやらせたのは「四大天使」ミカエル。人間爆弾を各地に潜伏させていたのもミカエル。ミカエルを赦すな。
ここでミカエルが自らの名を人類側に明かしたのは、ミカエルの独断になります。オデッサ本来の目的に気付いた人類への報酬、と言える。ヴィンスに伝わり、把握されるのも許容範囲内。
ミカエルは「自己進化」の都合上、中枢コンピューター部も進化を繰り返しており、ガブリエルの命令が無くとも独自の判断で動くコトが有ります。厄祭戦がもっと長引き、ミカエルが残っていたなら、ガブリエルの指揮系統から外れて完全に独立し、行動していたでしょう。そういう意味でも、ミカエルは特殊で最も危険な機体と言えるのです。
最終的にはガブリエルを従わせ、エイハブをすら利用していたかもしれない。まかり間違えば、本作のラスボスはエイハブではなく、ミカエルになっていたかも?
第三十一話「イングランド統合連合国」
首相暗殺によって阿鼻叫喚状態の連合議会から、イングランド編は始まります。ブリカスの議会なんて普段からこんなモンよ(偏見)
しかし、見かねた女王陛下の一喝で、議会は静粛を取り戻す。政治権力は持たない女王ですが、首相が爆散したので、首相の代わりに臨時十国会議の場を用意しています。第二王子のヴィンスが軍にいて指揮権を握っている(実際は参謀本部の方が力は強い)ので、現実のイギリス王室よりかは若干、政治的影響力が強い感じです。
「ミカエル」の名を聞き、有識者ディヤウスは「四大天使」のMAについて、説明を開始します。ガブリエル、ウリエル、ラファエル、ミカエル――色んなとこで聞く有名な名前ですね。
ついでに、この四機の指揮系統に関して言うと、基本的にガブリエルが指示を出しますが、他の三機は拒否したり物申したりするコトも出来るという感じ。対等の立場だと思って頂いて問題有りません。
なお、ここでディヤウスの語るガブリエルへの「制約」は、裏にエイハブがいる以上、機能していないモノです。それでも制約を守って順当に「四大天使」を建造していたのは、エイハブが目的の為にそうさせていたから。
第八章でアグニカの語る「ガブリエルがガブリエルを造る」というのも、エイハブがやらせない(許さない)限りは有り得ません。エイハブの目的は人類滅亡ではないので、実はかなりのナメプ状態なんですよね。MAが本気だったら、ガンダム・フレーム出る前に人類は滅んでいます。
会議が終わった後、すぐ戦場に戻るヴィンスを、女王は見届ける。母親としては複雑な心境が有るコトでしょうが、その辺りは娘のグウィネスが察していますね。
イングランド王家、もうちょっと出番をあげたかったんてすが――イングランド編でしか出ない、ってのもらしくて良いかなと思います。
そして、初登場のヘイムダルチームのリーダーとサブリーダーが登場。
ディアス・バクラザン、後にセブンスターズ第六席「バクラザン家」の初代当主となります。原作のネモ・バクラザンの先祖ですね。
彼に関しては、キャラ付けで子孫を考慮していません。口調が荒いけど良い奴、くらいのノリで書きました。もうちょっとキャラを濃くしても良かったかもしれない。
ミズガルズ・ファルクは、セブンスターズ第七席「ファルク家」初代当主。原作のエレク・ファルクの先祖にあたるキャラ。
こちらもキャラ付けのイメージは特に無し。堅物かつ真面目で冷静な人物、といった具合。ディアスと同じく、もう少し濃いキャラ付けにしても怒られなかった気がします。ぐぬぬ。
第三十二話「暗躍せし者達」
ベルファストでディアスチームとイングランド軍が合流し、作戦会議――というシーンから。
ヴィンス・ウォーロック王子は、本来ここで初登場予定だったんですが、ユーラシア編がああなったせいで騎士の遼真・ウェルティ共々、相当登場が早まりました。ユーラシア編でまさか、戦闘シーンまで出来るとは思わなかった……。
モチーフとなった(口調など意識した)キャラは「86」のヴィークトル・イディナローク(通称:ヴィーカ)殿下です。多分知名度は低いので、86二期アニメ化早くして♡(まだ一期である)
また、イングランドの追加キャラとしてサミュエル・メイザース。名前がとても強そう、かつ中二心をくすぐられるね。
ディアスチームは今回で全員が揃い踏み。
バリシア・オリファント、レスリー・ホルブルック、ウィルフレッド・ランドルの三名。ウィルフレッドは戦後も生き残りましたが、組織内の立ち位置としては少し特殊です。後にアグニカの英雄譚を編纂する人物、という設定が有ったりも。
作戦の舞台はダブリン。ベルファストと言いダブリンと言い、宇宙世紀ネタをこれでもかとぶっ込んでおります。
規模が小さい作戦と感じるかもしれませんが、普通はこれくらいです。むしろ、ロサンゼルスとオデッサの方がおかしい。
戦闘の中で、ディアスは不審な影を見ます。
これは後に明らかとなる「フヴェズルング」のモノですね。謎のセリフはロブ・ダリモアのモノ。口調の特徴となる「ン」がいい感じに出てないなぁ。
新規機体はまず、ヘイムダルの五機。
「ガンダム・ヴィネ」は大鎖鎌とかいうイカれ武装が何よりの特徴。るろうに剣心の「十本刀」の一人、本条鎌足さんみたいな戦闘スタイルです。
絶対使いこなせないと思うんですけど、使いこなしてるからまあいいか。戦闘のイメージがしづら過ぎるので、絵コンテ担当と演出家のセンスが問われるに違いない。
「ガンダム・アモン」、スナイパーライフルとハンマーなんて両極端な装備を備えています。遠近両方出来るのは単純に強いと思いますねぇ!
ただ、後半機と違って照準用の装備を有していないので、狙撃を当ててるのはミズガルズの腕によるモノが大きい。最後とは言え初代セブンスターズ、やっぱり何かがおかしい。
「ガンダム・ガミジン」はプロトダインスレイヴ(正確にはダインスレイヴのサイズダウンを図る為の実験的な装備)を持つ、四番機にしては武装が凝っている機体。
思考を加速させる「MUSTERシステム」とかいう変わった装備も有りますが、使いすぎると廃人になるので欠陥装備と言えなくもない。戦後は間違い無くアウトですね……。
「ガンダム・ナベリウス」、両肩が頭のようなデザインになっている機体。何故かと言うと、ナベリウスの別名は「ケルベロス」であるから。流石に頭部三つはゲテモノ過ぎるので、ガンダムとして原型を留める程度になっております。
ライフルと三本持ちで、元ネタの悪魔の姿がかなり意識されています。
「ガンダム・バティン」は、オロバスと同じような重装甲高機動の機体。ただ、トールギスみたく推力でカッ飛んでるだけなので、パイロットへのGがヤバい上に速すぎるせいで制御が難しい為、慣れると対応されてしまうリスクが有ります。「ワールドトリガー」で双葉ちゃんが使っている「韋駄天」のような感じ。
ウィルフレッドもこの時は制御しきれていないものの、最終決戦の頃には出来るようになっている。生き残れたのはそれが大きかったかも?
MAとしては、人型の「アサエル」が登場。
サイコガンダムくらいのデカさで、ビーム・サーベルを振り回します。後期型の「マスティマ」とアンドロマリウスの実験機的な立ち位置でもある。
第三十三話「不可解な謎」
陸上での奇襲に対して「ガンダム・アムドゥスキアス」が「覚醒」を使ったりもしつつ、戦闘が終了します。
アムドゥスキアスがそんなに強くない感じがするかもしれませんが、実際「覚醒」したガンダム・フレームの中では弱い方です。理由は後のシーンに有る通り、悪魔に「与え甲斐がない」と思われてしまっているから。その原因は実のところあんまり相性が良くないからでして、「覚醒」が使える程度の適合性が有っても、悪魔に気に入られるかは別問題なんですね。
そんな「ガンダム・アムドゥスキアス」は、戦車形態への変形機構を備えた機体。ガンダムというよりはガンタンクR44、顔もガンダムフェイスではないという設定です。まあ、鉄血世界はガンダム・フレームを使ってさえいればガンダムだからね。
変形機構のせいで装甲が薄くなってしまった、ちょっと悲しい機体ですが、代わりに機動力は高い感じ。
この回の最後は幕間、フヴェズルングのロブとボス(コーネリアス・エイヴリング)です。
フヴェズルングとの対決は第四章の最後までもつれ込むコトになり、人間の不和を象徴するようになっていますが、この辺りから伏線をバラまき始めていると。色んな人がいるから、共通の敵を前にしてもそう簡単にはまとまらないよね、という。
第三十四話「
オセアニア編に入りますが、宇宙でのMSとMAの戦いが初めて描かれるところになっています。
冒頭ではコロニー群の状況についてが語られており、コロニーのほぼ全てが破壊されたコトが分かります。コロニーもナノラミネートアーマーにしないと生き残れない世界……うーん乱世乱世。
ここはドワームチーム担当。
ドワーム・エリオンはセブンスターズ第四席「エリオン家」初代当主となる人物で、原作キャラのラスタル・エリオンの先祖。キャラコンセプトは「正義感溢れるラスタル様」でして、もうコイツ主人公で良くね? くらいのスペックを有しています。
パイロットも出来るので、もしかしてラスタル様の上位互換なのでは……?
この時にやってるのは、ダインスレイヴによる殲滅戦。エリオンにやらせるのは、勿論原作リスペクト有っての所業。味方がやる分には問題無いよね!
オセアニアのアイトル・ウォーレンは、後にギャラルホルンの名家「ウォーレン家」初代当主となります。
名家は月鋼で登場するんですが、どれくらい有ってどういう立ち位置なのか、原作設定では一切分かりません。なので、本作では「ヘイムダルじゃなかったけど、ギャラルホルンの設立に貢献したガンダム・フレーム使い」という扱いにしました。セブンスターズが譜代大名、名家が外様大名みたいな?
副官のフィファ・ヴォイットは厄祭戦を生き残って、アイトル共々ギャラルホルン設立に協力するコトになります。最終的にはアイトルとゴールインしますが。
ともあれ、この時の殲滅戦は非常に鮮やかな、ダインスレイヴ運用としては割と理想的――と思っています。流石はエリオン、と言ったところ。
戦艦としてはラファイエット級二番艦「サロモニス」と、原作でよく見るハーフビーク級宇宙戦艦が登場。
サロモニスはゲーティアの色違い、名前の元ネタもゲーティアと同じです。なお、ラファイエット級に関しては前作(鉄メン)だと「バージニア級」とされていましたが、00に同名の艦級が有ると気付いて「やべっ」となったので、本作で艦級名が変わりました。
ハーフビーク級は原作通りなので言うコト無し。設定集の艦載可能数はオリジナルなので、そこのところはご注意をば。
第三十五話「オセアニア連邦国」
前話から少し時間が戻り、ドワームチームがオセアニアの部隊と共に宇宙のアルミニウス暗礁宙域に行くコトになった理由が描かれます。
ドワームチームの勢揃いはここ。リーダーだけ先出しして、チームメンバーは一話後に紹介というパターンが多いですね。
オーウェン・フレッチャーはヒゲのおじさま枠。原作のガラン・モッサを若干意識してますが、あの人から外道さを抜いて、マトモさを与えた感じ。普通に頼りになる、というかメッチャ頼りになる。
本編中では何だかんだ言ってない気もしますが、ドワームチームのサブリーダーは彼です。
カサンドラ・ミラージ、性格や口調的には月鋼主人公のアルジ・ミラージを意識していますが、女性好きという設定が真逆です。アルジと同じく、家族を殺されたから戦っています。
なお、そんなアルジとは名字が同じですが、だからといって先祖だとか前世だとかいう明確な設定はございません。皆様のご想像にお任せします。
バリー・モンクトンは実のところヤバい奴で、マッドサイエンティスト枠だったりします。脳と脊髄以外を初めから機械にしておりまして、そのせいで「覚醒」の代償を最後の最後まで取られずに済んだりもする。
ただ、代償の進行度が分からないので、いつ全身取られて全く動かなくなるのかも分からない。良いのか悪いのかは微妙なところですね……。
派遣の目的は「マサライ・ペレアイホヌア」の破壊。第一章で出したこの兵器の再登場を決定したのは、このオセアニア編の構想を立てた時になるんですが、上手いコト使えた気がしてたりしてなかったりする。
しかし、そうやすやすとは行かない上に、宇宙はMAの勢力圏。ステルス型の強襲を受け、戦闘開始となります。
第三十六話「暗礁に蠢く」
一話丸々戦闘シーンなので、新規機体だけ。
「ガンダム・ウヴァル」は月鋼に登場した機体ですが、厄祭戦時の姿は不明の為、ほぼオリジナルとなっています。ただ、月鋼登場時は「ガンダム・アスタロトオリジン」の装甲を纏っていたので、アスタロトを意識して設定しました。
その結果が赤いアスタロトに対して白、アスタロトと同じウィングユニット、特殊な剣「σエイハブビームソード」。割と謎兵器なんですが、細かいコトを気にしてはいけない。
ウォーレンがウヴァルに乗るのは小ネタと言うか皮肉と言うか、何と言うか――って感じです。
「ジークルーネ」はヴァルキュリア・フレーム七番機にして、本作で私が設定を作った機体の中でもかなりのお気に入りだったりします。ヴァルキュリア・フレームらしい、カッコいい機体です。
左右非対称にシャープでスタイリッシュな装甲、マントのようなシールドに片手持ちスナイパーライフルに剣――完璧だね(確信)。デザインもやってみたら全く迷わずやれたんですが、おかげで他のヴァルキュリア・フレームも考えるコトになってしまったよ。後悔はしていない。
「ガンダム・ベリアル」は六十八番機のくせに捻りがなさ過ぎる、あまりにもシンプルな機体。大剣一本で無双するな――と言いたいが、やはり初代セブンスターズはイカれている。
逆に「ガンダム・ブエル」は、十番機なのにコンピューターウィルスをバラ撒ける上にサブアーム五本を振り回すという、初期にあるまじき装備。ウィルスは「天使長」以上には効かない(直属機にも)んですが、それでも相当優秀な機体ではなかろうか。
バエルと名前が似てる上に、ボルフリみたく別の表記も使えなかったので、アグニカチームにだけは置けなかった機体だったりする。
「ガンダム・アスタロト」、こちらは月鋼絡みで登場した「ガンダム・アスタロトオリジン」が厄祭戦時の装備なので、そのまま使っています。
なお、月鋼ではギャラルホルンの名家「ウォーレン家」のガンダム・フレームでしたが、厄祭戦後に当時の当主が月面に放逐されていたアスタロトを見つけたので回収し、家の象徴とした――という経緯(設定)が有ります。ウォーレンじゃない人間が使っているのはその為。
本作だとアスタロトは第八章の最終決戦で行方不明になっていて、厄祭戦後に月の調査をしていたアイトルが発見し、回収するコトになります。アイトルはウヴァルを失っており、他の名家がガンダム・フレームを持ってるのにウォーレン家だけ持ってないのはどうか、というコトで象徴として使わせてもらうコトにしました。回収の時、パイロットには出会っていませんので、勝手にパクった形にはなりますが――まあ、カサンドラは全く気にしないでしょう。
「ガンダム・ヴァプラ」、四肢が大剣になるとかいうイカした機体。ガンダムシリーズでこういう機体が有るかと考えてみると、パッとは思いつきませんね。コイツもスタイリッシュな見た目してるだろうな、と思います。
当時の後書きにも有りますが、イメージは「黒の王」ブラック・ロータス。そう考えると、パイロットがジジイなのがいただけない。流石に三澤紗千香ボイスではないだろうし……(そりゃそうだ)
MAは宇宙防衛型「マルキダエル」。当初は「
もう一機の「レリエル」は新しい隠密型。
ステルス能力の高さと機動性から、マーキングでもしない限りどこから現れるか分からないので、ガンダム・フレームでもワンチャン対応し損ねてしまうくらいの機体。ブエルとの相性が悪かった。
名前的にはエヴァの第12使徒ですが、類似点は全く無い。ところでエヴァでのレリエル、漫画版でも新劇でもハブられててかわいそうじゃない? あのシンジくんを最も(精神的に)追い詰めた使徒やぞ?
第三十七話「マサライ・ペレアイホヌア」
更に前回に引き続いての戦闘シーン。
ヴァプラの「覚醒」を使ったバリーの口調がおかしなコトになっています。影響が出てる訳ですね。
レリエルのイヤらしい攻撃に苦しみつつ、最後には「天使長」ザドキエルを撃破し、ダインスレイヴによりマサライ・ペレアイホヌアの破壊も完了。ドワームチームは無事、任務を遂行しました。
この回でディヤウスも言っていますが、何の目的も無く「天使長」ザドキエルが現れる訳も無く、実際この時のザドキエルは役目を果たした後です。
MA側がマサライ・ペレアイホヌアの在る宙域にいたのは、分子破壊構造を解析する為。後に「四大天使」ウリエルが分子破壊構造を持つ武装を持って登場しますが、その技術元はここ。
ミカエル以外のMAに「自己進化」は有りませんが、ガブリエルなどの手助けによって、武装が強化されたり追加されたりするコトは有ります。マサライ・ペレアイホヌアを造った(手掛けた)のはディヤウスなので、ウリエル戦での報告とマサライ・ペレアイホヌア破壊作戦の報告から、技術がパクられたと察するコトは容易だったでしょう。
つまり、このオセアニア編でヘイムダルとオセアニアは「管理不行き届きにより、ウリエルの強化を招いた」という他国に知られるとマズい秘密を共有するコトになり、終章(MA戦後)の展開に尾を引くコトになります。
オセアニア編自体が、終章の伏線(前フリ)となるモノであったと言えましょう。なので、実は結構重要なところだったりするのです。
第三十八話「サハラ連邦共和国」
続いてサハラ編、担当はディアスチーム。
冒頭では第三章で大損害を被ったサハラの窮状が描かれ、阿頼耶識の有用性が分かるようになっています。まさに救いとなった訳ですね。
わざわざディアス達を出迎えてくれたラシッド・スミス大統領は、理想を持った政治家です。ここで言っているコトは全て本心、かつ他国を蹴落とそうとかは考えていません。
実際には自国が他国より損害が大きく、そんなコトやってる暇が有るなら良い子にして同情の一つも誘い、支援の一つもしてもらった方が良い――という事情が有りますが。
敵襲が来た、というところで幕引き。
どんだけ敵来るんだよ(仕方ないね)
第三十九話「謎の正体」
開始早々、サハラ軍の新規機体が登場。
「ガンダム・シトリー」は大鉈を主武装とするシンプルな機体ですが、試作型ダインスレイヴだけ何か訳が分からない。大弓と書いてますが、形状的にはクロスボウに近いと思われます。
また、「ガントレット」は原作でバルバトス(第一形態〜第二形態)が左腕に装備していたモノと同じ奴です。結局バルバトスのガントレットは何で付いてたか謎(厄祭戦時の姿は第四形態)なので、その辺りは作中でほぼ何も出来なかったんですが、他のガンダム・フレームが付けてれば何とかなる……かな、とか思ったんですよ。うん。
「ロスヴァイセ」、こちらはヴァルキュリア・フレーム。武装的にはキマリストルーパーに近いですが、コイツの槍は中に細身の剣が仕込まれている。柄ごと引き抜いて使うコトで、対人戦でも不意をつけるコト間違い無しの、面白い武装を持ってると思います。武器の中に剣を仕込むのは、一応「とある魔術の
ベリアルの大剣もそうですが、中にもう一本仕込むタイプの武器は一回使ってみたい。ただ、実際の問題は強度ですかね……どうなんだろ。
MAからは中期型「バタルヤル」。
腐蝕剤により、敵機の装甲を破壊するコトも可能なので、割とエグい機体かもしれない……?
なお、この腐蝕剤は後にフヴェズルングのボスが乗った「酒呑」で参考にされるコトになります。人間とMAで、技術のパクり合いをやってますね。
今話はアグニカチームの参戦によって、フヴェズルングの存在が明かされます。
彼らの使うグレイバック級ステルス潜水艦は、コストが高い上に積載量が少ないので正規軍だと隠密部隊くらいにしか使い道が有りません。SEEDだと潜水艦はザフトが使ってましたが、他シリーズ作品だとあんまり見ない気がする……?
「ヨッド・ハーミット」「ダアト」も隠密機。
ハーミットに関しては、オリジナルが出てないのに派生機だけ出る異常事態である。多分、ステルス装備とドローンを外せばオリジナルに近くなる。
そしてもう一機、「マドナッグ・フレーム」から「ベルゼビュート」が登場。
マドナッグ、は元々量産機案の一つとして頂いたモノで、前作でもそのように登場したんですが、本作では思い切ってインナー・フレームにしました。ガンダム・フレームに似せられたパチモン(性能は普通に、というかかなり高い)というね。
ベルゼビュートは相当気合いを入れて設定した機体でありまして、特に武装名からそれが伺える。MSでありながら武装は「四大天使」と対応する名を持っている、人類の裏切り者のような印象が有ればと。モチーフは「新約 とある魔術の
また、パイロットのロブ・ダリモアは、アグニカとは在り方が全く異なります。他人の為に戦うアグニカと、自分の為に戦うロブ。仲間を想うアグニカと、仲間を道具としか見ていないロブ――など、相入れる要素は有りません。同じ人間なのに分かり合えない、なので戦うしかない二人です。
第四十話「フヴェズルング」
前回引っ捕らえた捕虜の尋問から、アグニカ達と交戦した謎の組織が「フヴェズルング」なる傭兵組織であるコト、その目的がMAの誘導により他国に被害を生じさせ、力を削ぐコトであるコトが発覚します。
「そんなコトしてる場合じゃねぇだろ」と思うかもしれませんがしかし、冷静に考えてみてくれ。例えば現実のコロナ禍における国際情勢を、改めて見据えてみて頂きたい。人類は共通の脅威を前にし、一致団結して全面協力していると言えるかを判断してみてほしい。
――私は「否」である、と言わせて頂こう。
人類は協力などしていません。そればかりか他国を出し抜こうとし、他国から奪い、虐げ、苛烈な睨み合いを続けている。表向きは笑顔で握手を交わしながら、裏ではライフルを突きつけ合うのが政治というモノ。人類は内ゲバをやめられません。
これから先、第四章のクライマックスにかけて重要なポジションとなってくるフヴェズルングは、そうした人類の一面を、分かりやすくした存在。第四章は人類の醜いところ、どうしようもないところに焦点を当てている章でもあります。
そういうところを描き、一方で第八章での地球軍と火星軍のように協力して戦うところも描いて、その上でエイハブとアグニカの対峙が待っている――この辺りは狙って構成しています。
とまあ、十国中五ヶ国目まで来たところで、第四章のポイント、ひいては作品全体のポイントが見えて来ると。
第四十一話「アラビア王国」
開幕はアラビア王国ムスタファ王と、ユーラシア編以降久々の登場となるラティーフ王子の謁見。
フヴェズルングの存在が(十国会議で)公になったものの、当然全員シラを切った、という話。そりゃそうだよね。ただ、活動規模的に十国のどこかが絡んでいる可能性が高いので、十国間の疑心暗鬼が強まっています。まだまだ戦争の終わりが見通せない中、ここで問題が増えるのはマズいと言える。
なお、展開と構成、分かりやすさの問題でフヴェズルングの裏にいるのは一国だけとしていますが、やろうと思えば複数の国を絡めていたかと。流石にそこまでゴチャゴチャするのは、読者様方は愚か作者が混乱しそうなので避けましたが。
また、面倒な上にガバりそうだったので、経済絡みのあれこれはやっていません。そこまで行くと、何が何だか分からなくなるからね……。
そして、ムスタファ王は最後に一言。
大戦終結時、アラビアや十国が今のままでいられるか分からない。大戦の終結とは、現体制の崩壊である――などと予測していますが、まさしくその通りになりました。
というか、ムスタファ王自身が終章では立場を維持出来ず、極左に暗殺される事態になりました。ムスタファ王、死に際に「やれやれ、やはりこうなったか」とか思ってたんでしょうなぁ。
一方、新たに登場したヘイムダルチームを率いるのは、ケニング・クジャン。
セブンスターズ第五席「クジャン家」初代当主、原作キャラのイオク・クジャンの先祖です。キャラのコンセプトは「有能なイオク様」なので、バカっぽいですがアホではないです。相当頭が切れ、腕もメチャクチャ立つ。作者脳内ボイスは島崎信長であった。声を使いこなしてそう。
サブリーダーとして色々言っているミランダ・アリンガムは、口調的には対イオク様時の初期ジュリエッタを意識しています。原作だと完全にお守りでしたが、ケニングは有能な分、ミランダとしてはフザケてるだけなのか本気なのか分からなくて、若干困惑していたりする。
ただ、ケニングへの好感度は割と高いので、生き残っていたらゴールインしていた可能性も微レ存。――関係無いですけど、微レ存って死語だったりしない?
アラビアとの合流――と思ったら、唐突に戦闘開始。艦底の装甲が外される謎攻撃で、母艦が爆散。ヘイムダルチームの母艦が撃沈させられるのは、第四章だとここだけな気がする。
新規機体はまず「ガンダム・プルソン」。ハンマーとナックルのみを装備し、とりあえず敵陣に突入してブン殴りまくるというだけの機体。下手にやったらすぐ死にそうですが、それで強いんだからやっぱりおかしいよね初代セブンスターズ。
「ガンダム・マルバス」はシンプルな射撃系なので、そんなプルソンを後ろから援護するのが役割。しかし、ダインスレイヴに加速器を増設した「ケーニヒス・ティーゲル」は、一撃逆転も狙える強力な武装。ロールアウト時には無く、後から追加された武装ではあるんですが。
「ガンダム・ヴァッサゴ」は名前がガンダムXに出て来る凶暴な私の愛馬と被ってるので、開き直って武装が寄せられています。アスタロトはアシュタロンに似てないのにね
ただ、頭部はレドームになっていて(ボリノーク・サマーンみたいな)、特殊兵装を備えているので、この辺りで一応の差別化が図られております。
「ガンダム・イポス」は全体的に武装のサイズが大きく、シンプルな殺意に満ちています。原作の「ガンダム・バルバトスルプスレクス」が持つ超大型メイスばりの殺意。それでいてダインスレイヴも持つという、遠近対応可能な機体ですが、サイズがデカくて大雑把な分、寄れば案外隙も有る。
仮にアグニカのバエルとやり合ったら一方的にやられると思うので、相性ゲー的な要素が大きい。
第四十二話「天使の爪」
ヘイムダル艦が爆散する一方、アラビアも「ガンダム・ストラス」と「ゲルヒルデ」を出し、迎撃態勢を整えます。
イポスを駆るレオナルド・マクティアは、イポスの機体案とセットで「パイロットは変人にしろ」と言われてしまった結果、グラハムの魂を宿してしまいました。大変申し訳ございませんでした、ハイ。ただ、変人にしろと言われなければもっとシリアスキャラにしてたと思うので、文句はイポスの機体案出して下さった人に言ってね――とか言うと、責任転嫁でエレンポイントを失うので、エレンポイントがカンストするライナー流の謝罪をば(もっと心を込めて謝罪しろ)
「違う……! 違うんだエレン!
俺はあの日、レオナルドを変人にしろと言われて……アニとベルトルトは『強制じゃないんだから無理にやらなくても』って言ったのに、俺が二人を無理矢理説得して、変人化を続行させたんだ……!
時代や環境のせいじゃなくて、俺が悪いんだよ……! レオナルドがグラハムになったのは、俺のせいだ!
もう嫌なんだ……『変人』と条件付けられて、安易にグラハムにするしかなかった自分が……頼む、俺を殺してくれ……もう、消えたい……」
んんんんん!!!
みんな、進撃の巨人は良いぞ! とダイマをかましつつ、本編の振り返りに戻ります。
正体不明の攻撃を艦隊にし、ケニングチームの母艦を沈めたのは「シャクジエル」。MSのセンサーをすり抜けるほどに小さな子機「ウーニャ」により様々な攻撃を行う、非常に姑息で鬱陶しい機体ですね。都市に放つと、ウーニャは人間の体内に侵入して、直接蹂躙します。コイツにだけは殺されたくないよなぁ……。
一方、突出したイポス、プルソン、マルバスはサハラ編で発覚した「フヴェズルング」の「ベルゼビュート」と出会い、戦闘に突入。
ロブは阿頼耶識を施術していませんが、プルソンと互角に渡り合っている辺り、かなりの実力者であるというコトが分かります。サハラ編でもアグニカと斬り結んでいましたしね。カンと経験で阿頼耶識持ちのチート連中とやり合うの怖い。
引き際も見事なモンです。強者感がエグい。まあボスと合わせて中ボス(第四章オンリーならラスボス)だから、多少はね?
戦闘終了後、母艦を失ったケニングチームの回収に来たのはアグニカチーム。
スヴァハに一目惚れしてしまったレオナルドが開幕から告白をかます、本作では珍しいギャグパートとなります。ずっとこうやってバカ出来てりゃ、どれだけ良かったか……と思ったりもする。
グラハムの語録は使い勝手が良すぎるんでこのように会話が成立してしまうんですが、相手が普通の女の子なので、まだ変態度はオリジナルより低いと言えよう。無機物(とそれに乗ってる刹那)に変態行為と変態発言を働き続けて来たグラハム、本当に気持ち悪いよ……とか言ってたら、気持ち悪すぎて生き返っちゃったよ。まあグラハムファンは昔から、監督の「アレで生きてたら気持ち悪い」発言を受けて「グラハムは気持ち悪いから生きてる」と主張し続けてたからね。つまり、誰から見てもグラハムは気持ち悪いんだよ。もはや褒め言葉である。
てな訳で変態の脅威から逃れたスヴァハとアグニカでしたが、スヴァハちゃんが気になる発言してますね。かわいい。あざとい。
真面目に説明すると、スヴァハちゃんはこの頃には恋心自覚済みですが、アグニカはまだです。スヴァハはそれも分かってるので、どう落としてやろう(気づかせてやろう)かと企み中。
第四十三話「
ユーラシア編でちょっと出たカロム・イシューが本格登場し、カロムチームが出揃います。
カロムチームは他のチームよりもチーム戦に特化していて、姉妹のガンダム・フレーム二機とヴァルキュリア・フレーム二機が突っ込み、オーガ・フレームが崩し、カロムが狩り取るってのが基本の陣形です。最悪、カロムの指示が無くとも陣形を組み上げ、連携して戦える力が有る。カロムの撃破数が多かったのは、陣形を組んでの戦いをやったからというのもあるでしょう。
こういう感じにしたのは原作のカルタ親衛隊を意識してのコトですが、機体性能を除けば、完全にこっちが上位互換である。尖った性能を持っているガンダム・フレームとヴァルキュリア・フレームをチームに組み込んだ上で完璧な連携を実現するの、練度が高いなんてレベルじゃねぇぜ。
実際、この回の戦闘ではカロムチームの特色がよく現れていると思います。
新規機体はまず「ガンダム・フェニクス」。
元ネタ的には「フェニックスガンダム」や「フェネクス」と同じなので、フェニックスと同じ変形機であり、ユニコーンタイプ繋がりでアームドアーマーっぽいのを持って来られています。ハーメルンには、コイツをメイン機にした素晴らしい二次が有ったりもしますね。全く意識してませんけれども。
「ガンダム・ハルファス」、こちらもGジェネの「ハルファスガンダム」と元ネタが同じ。フェニクスとのセット運用想定で、変形機構の都合上装甲薄めなフェニクスを高い防御力でカバーします。
テイルブレード四本なので、使いこなせば相当に強い。四本、なコトからハルファスガンダムを意識したのがちょっと見えるような……?
「ブリュンヒルデ」はヴァルキュリア・フレーム一番機。武装は大剣一本とシンプルですが、武装名の凝り具合がすごい。まあ、他のと違ってブリュンヒルデは「ニーベルングの指環」オリジナルの戦乙女じゃないので、その分だけ伝承が多いから――という理由なんですが。
パイロットの名前も、機体名に合わせています。シグルズがブリュンヒルデを駆る、なかなかエモい感じが有りますね。
「ヴァルトラウテ」もヴァルキュリア・フレームです。武装はレールガンにアックスと、後世の「グレイズ」や「レギンレイズ」に近しいですが、あちらよりもスタイリッシュでスマートな中世の感じ。
デザイン画見ないと分かりませんが、足のつま先の形状は月鋼の「グレイズシュタッヘル」を若干意識しています。このヴァルトラウテの他にも、ヴァルキュリア・フレームはグレイズやレギンレイズを各所で意識しているのだ。時系列的にはヴァルキュリア・フレーム→グレイズ、レギンレイズとなるんですけれども。
「トロール」はオーガ・フレーム、そのカスタム機です。オーガ・フレームは初期型な分、ロディ・フレームやヘキサ・フレームより若干性能が低いんですが、ヘイムダル式カスタムでかなり強化されています。脇役ながら気に入ってる機体。
第四十四話「中華連盟共和国」
開幕は案の定、作戦会議から。
中連の
幕間はミカエルとガブリエルの通信です。この頃はガンダム・フレームの登場を受け、MA側も様子見の段階なので、小出しにしてる感じ。
「階段」は「
また、戦闘に際しては中連側の新規機体が登場。
「小鬼」「虎熊」「星熊」――いずれもオーガ・フレームの量産機。装甲がしっかりしてる短足の背が低いフレームなので、意外とずんぐりむっくりしています。原作に登場する機体だと、フォルムはマン・ロディに近しいであろうというくらいには。
「ガンダム・フォルネウス」、アグニカチームのフォカロルと同じく水中戦対応の機体です。ここではその特性は活かされませんでしたが、第八章では如何なく発揮してくれました。
パイモンに負けたって? アレはカロムがおかしいだけだよ……ちょっと相手が悪すぎた、というよりパイモンの距離に入った時点で敗色濃厚。ホラ、パイモンの距離で相打ちに持ち込める可能性の有る奴の方が少ないから……。
「ガンダム・レラージェ」はブースター三基装備と、どっちかと言えば宇宙戦向きでしょうが、地上だとバカげた推力で無理矢理超ジャンプ出来たりもする。腕にワイヤーブレードを装備している、個人的にはかなりデザインを見てみたい機体。ゴツくもカッコよくなりそう。
「ガンダム・ムルムクス」、設定上見た目がかなり中華な機体。ラメラーアーマーとなってるのは、案を頂いた時にそう書かれていたからですが、ナノラミネートアーマーで作れるんだろうか……? 整備がメッチャ大変そう。頑張れ中連軍の整備班。
MA側の「ラムエル」は曲がるビームを撃てるんですが、ナノラミネートアーマーにそもそもビームが効かないので、本編中で「そんな強くない」と言われてしまった可哀想な機体。対MSを想定してるハズの中期型で、どうしてビーム主体の機体を作ろうと思ったんだ……?(オイ)
戦闘はまあほぼ問題無く終わり、最後の幕間もミカエルとガブリエルの通信です。
ここでミカエルが「覚醒」したガンダム・フレームのデータを取ったコトにより、ミカエル自身は第七章の戦闘で「覚醒」に対応出来ました。また、この時のデータはウリエルにも共有されてサンスクリット編に繋がる他、後にアンドロマリウスが搭載する「Slaughter System」開発の参考にもなります。
中連編は新登場の中期型が大したコト無く、イージーモードだったように見えて、「『MA側(よりにもよってミカエル)が〈覚醒〉の詳細なデータを得た」という点で、人類にとっては後顧の憂いとなる――というか、なった瞬間だった訳ですね。
第四十五話「サンスクリット連邦共和国」
八ヶ国目はユーラシア編と同じく、フェンリスチームが担当。
登場する「グラズヘイム」及び、語られる「ユトランド」は原作から。グラズヘイムはギャラルホルンのサテライトベース、ユトランドは共同宇宙港として原作には登場していましたが、本作ではどちらも十国共同の軍事基地として運用されています。
また、「アリアドネ」も原作通りの設定。アリアドネに関しては、マジで原作から設定を何一つとして変えていなかったと記憶しています。文章は変えていますが、内容は同じ。何なら公式設定集と見比べてくれ。
サンスクリットの将官として登場したイシュメル・ナディラは、後にギャラルホルンの名家「ナディラ家」初代当主となります。
口調は月鋼に出て来る子孫デイラ・ナディラに寄せていますが、デイラは女性でイシュメルは男性という違いが有る為、その点ちょっと口調が変わってるところも。性別により口調を変化させるのが、果たして現代において適切な表現であるのか――とかいう問題はさておき。
もう一人はセグラ・ジジン、月鋼に登場するジジル・ジジンの先祖です。月鋼ではデイラとジジルの共闘シーンが残念ながら無かったですが、本作ではバリバリ共闘してる――というか、イシュメル在る所にセグラ在りなレベル。
公の場では「ナディラ中将」、素だと「イシュメル様」呼び。ナディラ家とジジン家はかねてより懇意にしており、セグラは半分イシュメルの養育係のようなモノでした……という設定は、本編中に出せなかった(出す必要が無かった)んですけれども。
ここで「アリアドネのコクーンが破壊された」と話されますが、地の文に有る通り、コクーンは無人なのでMAには襲われません。コクーンを破壊したのは「四大天使」ウリエルで、このサンスクリット編では裏で動いています。
そんな感じでイシュメルから作戦内容を聞き、出発前のフェンリスチームの様子が描写されます。
フェンリスとレタの掛け合いが中心ですが、フェンリスがレタの額にキッスをかましてますね。前髪をかき上げて口づけする、イケメンにしか赦されないムーブ。しかもフェンリスの背が高いのに対し、レタは背が低いので、フェンリスはこれを軽くしゃがんでやってる。何だこのイケメン。
また、クリウスとグラツィアも何気に良い感じのノリで、クジナさんのニヤニヤが加速する。洗って返してあげるグラツィアのムーブが嫁のそれ。
描写をこうして盛っていくと、この作品って後が辛くなってくんですよねぇ。作者の人格が疑われる構成してる。コイツいつも人格疑われてんな。
そして、フェンリスチーム+サンスクリット艦隊は目的地のグレイシャー暗礁宙域に到着。
「バラクーダ級汎用戦艦」は原作に登場し、ブルワーズを始めとして様々な組織で使われており、イサリビもこの戦艦のカスタム艦となります。ただ、原作設定では艦級名が無く、単に「汎用戦艦」としか呼ばれていない為、艦級名のみ私が勝手に付けました。ギャラルホルンの強襲揚陸艦といい、公式は割と戦艦の設定が適当なところが有ると思います。そういうところが良くないので反省して、どうぞ。
敵襲を受け、新規機体として「ガンダム・グレモリー」と「オルトリンデ」がお披露目。
両機とも月鋼に登場したMSで、グレモリーは本作で割と多くの機体が装備している「ナノラミネートコート」を公式で唯一身に着けています。今のところ、公式だとグレモリーしかナノラミネートコートを装着していないのは、何か理由が有るのだろうか……? HGグレモリーの説明書で、その辺りが分かると良いんですけど。なお、ナノラミネートコートの原理に関しては作者が勝手にでっち上げた設定ですので、ご注意下さい。
錨型の鎌「バトルアンカー」は厄祭戦時に片刃が折れた、という設定が有るので、この時点だとまだ両刃が付いています。最終決戦時のダインスレイヴにしっかりボキッとやられるコトで、原作設定を守っておりますね。
オルトリンデはヴァルキュリア・フレームで、グレモリーのキット化が確定した今、個人的に最もキット化してほしい機体。
武装の「ヴァルキュリア・ダブルブレード」は、厄祭戦後の条約によるダインスレイヴ禁止で射出器を改装して作ったと原作設定ではされていますが、武器がダインスレイヴだけだと戦闘シーンが書き辛いコトこの上無いという理由も有り、本作だと「ブレードにもなるしダインスレイヴにもなる」という設定でやらせて頂いております。設定を守れてるかはかなりグレーゾーンですが、ダブルブレードを持つオルトリンデはカッコいいので赦して。あのカッコよささえなければ、多分ブレてなかった。
第四十六話「戦いの果てに」
フェンリスチームのガンダム・フレームの特性を活かし辛い暗礁宙域ド真ん中での戦闘ですが、二種の中期型MA「サマエル」と「オファニエル」に対しても、優位に戦いを繰り広げます。
新規機体としては「グレイブ・ロディ」、量産機となるロディ・フレームのバリエーション機が一種登場。量産機の割には武装が豊富で重装甲、刑部さんのデザインが本領発揮しそうな感じがします。
サマエルは六枚の翼に武装を仕込むスマートな機体ですが、マトモな対MS武器をレールガン二基しか持たないので、ガンダム・フレームに対応しきれていません。
オファニエルの方も全方位ビームとかいう他ガンダムシリーズで猛威を振るった武装を持っていますが、ナノラミネートアーマーがね……ホント、ナノラミネート装甲の有無で難易度がガラッと変わるなオイ。
MAの更なる増援に対し、ユーラシア編時と同じく、ベレトが「覚醒」して立ち向かう。レタはこういう役回りを率先して受け持つ(買って出る)ので、代償の進行も早い。死ななかったら、最終決戦前にドクターストップがかかっていたかもしれません。
ベレトは伝承的に相当強い悪魔でして、実際設定的にも「覚醒」時の戦闘能力は「覚醒」時最強とされているバエルに迫ります。ガンダム・フレームの中では間違い無く、五指に含まれる戦闘能力。もしミカエル戦や最終決戦に参加していたら、どうなっていたコトやら(まあガンダム一機増えたところで、誤差の範囲内なんですが)
そんなベレトが、何と一撃で粉砕されます。
下手人はこの時点だと明かされていませんが、第六章にて立ちはだかる「四大天使」ウリエル。幕間も、ウリエルの動向を表しています。ミカエルから「覚醒」関連のデータを受け取っていたとはいえ、数千から数万キロ離れた地点からの狙撃を完璧に当てるウリエルのスペック、かなりヤバい。ダインスレイヴの性質上可能とはいえ、遥か彼方の「覚醒」中ベレトの動きを完璧に予測し、発射から着弾までのラグや重力の影響も計算して撃ち、見事に直撃させているワケですからね……。
なお、ここでウリエルに攻撃命令が下ったのは、内ゲバし始めてる人類への牽制、警告のような意味が有ります。そんなコトの為に仲間を殺される側はたまったモンじゃないですが、MA側(というかエイハブ)はそんな些事を歯牙にもかけていません。
少女には最期の言葉すら赦されず、残された仲間は喪失感に打ちひしがれますが、レタ一人が死に、ベレト一機が失われたところで、戦況全体が大きく変わる訳ではありません。
如何なる犠牲を払おうと、ヘイムダルたる者、それを踏み越えて戦い続け、天使を殲滅するしかないのです。こうしたヘイムダルが背負う業は、これから先も度々描写されますね。
そして、最終的にその全てを背負い、英雄となるのがアグニカ・カイエルという男なのです。
第四十七話「戦いの意味」
九ヶ国目、アフリカン共和国はアグニカチームの担当回になります。ベレト撃墜の報を受け止めつつ、アグニカ達はアフリカンの「キリマンジャロ・ベース」へ。
そこでアグニカを出迎えたのは、サンディ・ローという男です。彼は乗機「ガンダム・シャックス」と一緒に「こんなパイロットにしてくれ」的なのを貰い、それが元になっている為、純度百パーセント私産のキャラではありません。
この場で終章の展開を言い当てている人物――彼の
ゲーティア待機組のソロモンとトビー、大駕、アマディスのシーンは、数少ない日常シーンです。大駕も馴染んで来て、アマディスとつるむコトも多くなりました。
ソロモンは年齢的に一歩引いて見ていますが、彼自身はエイハブのコトを懸想しています。こうした彼の内面描写は、第八章での選択に繋がりますね。
また、アグニカとスヴァハの会話では、サブタイ通り「戦う意味」を問うていますが、ヘイムダルとしてやるべきコトが揺らぐコトは有りません。
アグニカは「誰も犠牲にしてたまるか」と述べ、これは紛れもなく彼の本心です。ただ、犠牲無くして何かを成し遂げられるほど、この世界は甘くなかった――というだけのコトで。
第四十八話「マリオネット」
戦闘回。舞台は「ザンジバル島」、実在します。
ここを舞台としたのは、名前が宇宙世紀のジオン軍戦艦みたいだったから。マジで。後、場所的にも普通にちょうど良かった。
新規機体は「ガンダム・アンドレアルフス」、大太刀にバズーカと極端な武器を持つゴッツい機体です。大太刀がどれくらい長いかと言うと、比率的にはモンハンの太刀くらい。バズーカは核弾頭運用可能なくせに、分類的にはステルス機なんですよね。殺意をひしひしと感じる。
「シュヴェルトライテ」、ヴァルキュリア・フレーム五番機。「剣の支配」の名の通り、全身にブレードを用意し、繋げて大剣にも出来るというロマン機体となっています。作者お気に入りの一つ。
「ガンダム・シャックス」は「ジャック・システム」なる外道な武装を有していますね……これでMSやMA(「天使」限定)をジャックし、操り人形にするコトで戦う。まさに外道。
ヘイムダルに使ったのは完全に嫌がらせですが、おかげでアグニカをキレさせてしまいました。アグニカは敵が無人機なコトもあって、ほぼほぼ人を殺していないんですが、対人戦は多い気がしないでもない。目的を果たす為なら、人殺しも躊躇いはしないタイプなんで、ホント英雄向きだよアグニカ。
MA側の「ペネプエ」は街に放り込んだら地獄になる初期型ですが、出し忘れの為にようやく登場。アメリア編かユーラシア編の辺りで、出しておけば良かったぜ……(忘れてたから仕方ない)
中期型「イロウエル」は実弾火力特化で、初期のMSなら問題にならないくらいの強さが有ります。ガンダム・フレームには厳しいですけど……結局、ガンダム・フレーム相手に真っ向から勝負出来る「天使」は後期型の登場を待つコトになるんですよね、MA。
第四十九話「アフリカン共和国」
前書きが最早現代語じゃねぇ件。
要らないと思いますが、以下に書き下し文と現代語訳を置いておきますね。なんで漢文使ったんや。
《書き下し文》
我思ふ、前書き
是れを以て我前書きにて遊ぶ。是れに於いて今回の前書き、漢文「風」なり。
読み辛い事この上無し。而して本文是れ即ち真面目重要今後の伏線と為す。
《現代語訳》
私は思う、前書きとは遊び場であると。
しかし最近、私は前書きで遊んでいない。これは懸案事項だ。
だからこそ、私は前書きで遊ぶ。故に、今回の前書きは漢文「風」である。
読み辛い事この上無い。しかし、本文は真面目で重要な今後の伏線となっている。
なので、今回もお楽しみ下さいませ。
とまあ、こんなしょうもねえのはさておき、本文の内容的には第四章のクライマックスとその後の展開に関わる重要な回という。
開幕はトビーと大駕の会話シーン、誰かを想うトビーの言葉から大駕は自分の為に戦っているコトを気にかけますが、グラシャラボラスの影響(精神汚染と言うべきか?)が出ていますね。グラシャラボラスに乗り続けると、復讐と破壊、殺戮のコトしか考えられなくなっていきます。これは「覚醒」の代償の一つですが、恐ろしいコトこの上ないね。
アフリカン首都「ヨハネスブルグ」で、大統領府に呼び出されたアグニカとスヴァハは、アフリカン大統領ベンディル・マンディラと顔を合わせます。
ヘイムダルにとってはアウェーな大統領府に呼び出して、開幕謝罪により混乱を誘って話のペースを完全に掌握する――ベンディルさん恐ろしいよね。自分からヘイムダルに会いに行ったサハラのラッセル大統領とはまた違う、超曲者の政治家です。それでいて、誰よりも国と人類の未来を憂いているという御方。敵じゃなくて良かった。
また、この時にベンディルは「サンディには
改めてアグニカに(ヘイムダルに、ではなく)「戦う意味」を問うベンディル。サンスクリット編においてレタが死に、アフリカン編ではサンディの難癖つけとジャック・システムによる人間との不和、フヴェズルングとの対立――と、第四章は特に後半から「何故、何の為に戦うのか」を問い、再確認する構成になっています。ここでヘイムダルの、そしてアグニカの戦う意味を明確に示しておくコトが、第六章以降の展開に響いていく訳ですね。
アグニカの戦う意味は「スヴァハを守る為」。超絶シンプル、かつ主人公としては完璧な答え。
流石のベンディルも毒気を抜かれつつ、心から共感と納得を覚えるしかない。心では「アグスヴァ尊い……」とか思ってるコトでしょう。
それはともかく、とベンディルが語るはフヴェズルングを生贄として、人類間の疑心暗鬼を取り除く為の策。裏から糸を引くコト無く、今後の展望を予測しきった上で、最後のダメ押しとしてヘイムダルに話を通しています。そして、結局はベンディルの予想通りに事が進んだ。何モンだよこのジーさん。
ベンディルは作品通して、あらゆる人の思想に理解を示し、その上で人類が生存する未来の為、行動してみせた人物です。ある意味、ヘイムダルにとっては思わぬ協力者と言えましょう。
ヘイムダルとフヴェズルングは、それぞれラテンアメリア連邦共和国へ向かう――というコトで、第四章の大詰めが開始されます。
第五十話「ラテンアメリア連邦共和国」
開幕から語られるは、大統領ビセンテ・マラドーナの政策と野心。挿絵として前書きに付けた国家体制図からも分かりますが、やってるコトは完全に独裁国家のお手本である。あまりにも典型的過ぎて、もうちょっと捻れよってレベル。
ただ、戦後のコトを考えているのはビセンテだけではなく、ラテンアメリアが動かずとも戦後を見据えて動く国家は遅かれ早かれ出て来ていたとは思いますが。今回、フヴェズルング関連の騒動をラテンアメリア黒幕としたのは、元々最後の国とする予定だったコトと、作劇的に分かりやすいからです。
そんな訳で、早速クーデター発生。
首謀者はジョルジェ・ベナセラフ軍務大臣、後にラテンアメリアの大統領となる男です。軍部のクーデターなんて歴史的には珍しくもないんですが、ここでの軍部クーデターは独裁政権の構築ではなく、独裁政権の打破という意味合いを持ってるのが変わってるところでしょうか。何気に最低通貨単位「アレル」が出て来たり(その場で設定を作った代物なので、何故アレルなんて名前にしたかは覚えてない)、ラテンアメリアはクーデター描写によって国の内面が最も細かく描かれた国となりました。
なお、厄祭戦後は世界の通貨単位が「ギャラー」に統一され(ギャラーは完全なる原作設定)ます。厄祭戦でガタガタになった世界経済が回復したのは、既存通貨を全てギャラーに交換する過程で、為替レートを上手いコト設定したから――という要因も有ったり。
厄祭戦後に通貨単位の統一がなされたコトは、この後の断章の中でサラッと一文だけ触れたりしますが、詳しい言及はされないので、ここでバッチリ書いておきましたと。
そして、舞台はサンパウロ沖のサントス基地――フヴェズルングの潜む場所へと移ります。この基地は陸軍管理ですが、半分ビセンテにより私有化されてたので、フヴェズルングが潜伏出来ていたと。
ラテンアメリア(マラドーナ政権)とフヴェズルングの癒着が、マドナッグ・フレームのMS「ミシャンドラ」を物的証拠として、クーデターを経て世界に晒される。その事実はクーデター派の大義名分となるとともに、全ての責任をビセンテとフヴェズルングに押し付けるコトで、ラテンアメリアという国自体が責任を負う状況も回避されています。
ビセンテは敗北を受け入れた一方、フヴェズルングは――コーネリアス・エイヴリングは、抵抗を選ぶと。
新規機体は「ヘルムヴィーゲ」。
原作には「グリムゲルデ」のヴァルキュリア・フレームを使って本機を再現した「ヘルムヴィーゲ・リンカー」が登場していますが、ここで出るのがオリジナル。武装と見た目はほぼ原作通りですが、マニピュレーターだけは小型になってます。リンカーのマニピュレーターは、グレイズ・アインと同型の物を使ってるらしいので。
「ミシャンドラ」はマドナッグ・フレームの機体で、このラテンアメリアのクーデター「セテンブロの政変」において重要な役割を果たしました。
元々は撃墜され廃棄されたガンダム・フレームを使った機体、という設定で案を頂きましたが、今回マドナッグ・フレームが設定されたコトで、そちらに移しました。ベルゼビュートとは対を成すように設定しており、武装名はベルゼビュートの天使(
第五十一話「悪戯な神は裁きに堪えず」
ロブもまた、コーネリアスとともに抵抗を選ぶ。
彼らは戦争好きのバトルジャンキーなので、死ぬなら戦場で、と考えます。しかし、最終的には法で裁かれて、戦場とは程遠いところで死ぬコトになるんですが――彼らはMAの誘導で戦場を散々掻き回して、本来出るハズのない犠牲を出したコトも有ったので、望みとは違う結末を迎えさせられたコトこそが、彼らにとっての罰と言えましょう。
なお、彼らがバトルジャンキーになったのは、彼ら自身が孤児であり、戦いの中で現在の立場を築いて来たからです。彼らにとっての戦いとは、自らの存在証明であるとともに立身の手段なので、そりゃもうノリノリで戦うと。
戦いたくて戦ってる訳ではないヘイムダルとは、まさに水と油。エイハブとはまた違った理由で、アグニカとは絶対に相容れないのがフヴェズルング。
コーネリアスが操る「酒呑」は、オーガ・フレーム使用許可を取りに行った際に、「こんなのも有るヨ!」とお出しされた代物。尖り過ぎてて「どこで使えばええんやこれ……」と、貰った当時は軽く絶望を覚えたものの、上手いコト使ってやったという自負が有ります。ちなみに元作品では、未だに登場していない。お先に失礼しましたァ!
太い鞭をブンブン振り回すだけなのに、なんか無駄に強かったの一周回って草がバエル。案を出して下さったご本人曰く、イメージは「最終決戦で駄々っ子みたいに鞭ブンブンしてる無惨様」とのコト。私はこれ言われて「あー(理解)」しました。鬼滅の原作を知ってる方は今「あー(理解)」ってなってると思う。
新規機体は「ガンダム・ガープ」が登場。
コイツも「覚醒」時の戦闘能力は相当高い機体なんですが、あんまり暴れさせてやれなかったのが心残りではあります。一撃でMSのフレームを両断する酒呑の鞭を何度も弾いたり、さり気なくヤバいコトしてるんですけどね。
武装的には三形態を使い分けられる「ツインセイバー・シザース」が面白いと思います。映像映え、というかプラモになったらワクワクしそうだぜ。
アグニカチームの参戦で、酒呑のサンパウロへの侵攻は止まり、バエル対ベルゼビュートが始まったりして、対戦カードが揃いつつあります。
スヴァハのアガレスにはピラールちゃんのダアトが突っかかるものの、機体性能もパイロットの腕も違い過ぎてお話になりませんでした。スヴァハちゃんに関しては、こういうところからもアグニカに次ぐ実力者だと分かって頂けると思います。
なお、ピラールは孤児だったところをフヴェズルングに拾われ、ロブとアマーリアによって育てられました。ピラールには阿頼耶識が着いてるので、ロブからは従順な駒としか思われてなかったものの、ピラールからすれば二人は仲間であり、肉親のようなモノでした。
――この辺り、もうちょい本編で掘り下げても良かったんですが、それはそうと彼らの行いが赦される訳ではないので、同情を誘うようなバックボーンは割と容赦無く省いています。物語をヘイムダル中心に進めて(描いて)いて、フヴェズルングの事情なんてヘイムダル側からは知ったこっちゃないから、という理由も。
第五十二話「光の集いに立つ時は来ない」
前話のラストで空中から殴り込んできたMAに対し、スヴァハはアガレスの「覚醒」を使い、単騎で迎撃に向かいます。ハイここ、スヴァハがメッチャ強いコトが分かるポイント。長い戦闘を経た後に戦うにはシマピシエルくんが強敵だったものの、ほぼ全て殲滅しきってるんですよねぇ……怖っ。
そんな窮地に追い込まれたスヴァハは、ドワームの救援によって九死に一生を得る。既にスヴァハがアグニカに惚れてなかったら、フラグが建っててもおかしくないシーン。初代セブンスターズ、顔面もムーブもイケメンなのズルない? ヤバない?
ドワームチームの参戦で、酒呑は膠着状態を破られて無力化され、コーネリアスもコクピットから引きずり出されて拘束。
ドワームが生身で直接ブン殴りに行ってるのは、映像化されたらシュールな絵面になりそうですが、ヘイムダルのパイロットは数年間訓練を受けてるのでこれくらいやれる(ドワームはガタイが良い、というのも有りますが)
バエル対ベルゼビュートも佳境。アグニカが全力を出していない(事後処理的に生け捕りが望ましいので)とはいえ、一時間も阿頼耶識無しでやり合ったロブは強い。
同じ人間でありながら、言葉を交わしても一切分かり合えない。ならば、暴力でねじ伏せて従わせるしかない――第八章でのアグニカ対エイハブ、その前フリ(予行)とも言える戦いでした。
最後は反応速度の違いが出て、決着を見るコトになります。バエルは当初、素手での格闘戦を想定してデザインされたらしいので、ある意味ではそこに帰った戦いぶりだったと言えよう。
第五十三話「暗躍の終わり」
終章を見ると「暗躍の終わり(大嘘)」ですが、ひとまずフヴェズルングの暗躍、そして「Secret Maneuvers(暗躍)」を副題とした第四章の終わりを表すサブタイとなっています。
メインは開幕から始まる、最早恒例となった十国会議。安心感すら感じるのは私だけだろうか。
政権が代わって民主主義が取り戻されたコト、フヴェズルングのメンバー全てを差し出すコトと引き換えに、今後のラテンアメリア自体には事態の責任を問わない――十国のバランスを保ち、協力体制を維持する為の譲歩です。まあ、クーデターで大国の体制が代わったコトは、終章で各国内で反乱や独立運動が起きまくる原因の一つとなるんですが。
人類が一丸となって戦うコトを(一応)本心から望んでいる辺り、十国会議にはまだ救いが有りますよね。少なくとも、共通の危機を前にして対立を深めてる現実よりは、かなりマシな気がしないでもないという。
なお、ここで火星について言及されたのは、第五章への前フリです。第四章が長くなり過ぎて、忘れられている頃合いだろうなとは思いながら。
そして、アグニカとスヴァハにもちゃんとスポットを当てています。
スヴァハは「覚醒」により右目を失い、ここではアグニカが見えなかったコトで気付いて移動しています。それに気付いたアグニカは第六章以降、スヴァハの左側に立つように動いています。そういう細やかな気遣いが出来るのがアグニカの良い所で、スヴァハもそれを理解していて、好感度が積み上がっていくというね。お前ら早く結婚しろ。
アグニカには「大丈夫」と言うスヴァハですが、自分の部屋に戻ってからのシーンで分かる通り、全く大丈夫ではありません。まあそりゃ、よく分からん何かに自分の身体の機能を奪われていくコトが怖くない訳がない。人によっては穢されたとも思うでしょう。
スヴァハは精神的にはか弱めの女の子なので、第六章でアグニカが思うように、戦いに向いてる人ではありません。しかし、同時にスヴァハは他人を思いやれ、他人の為に自分を犠牲に出来る優しさを持った子でもあるので、戦う力を持っているのに戦わないという選択をするコトは出来ない。責任感の強いタイプでもある訳です。
アグニカはスヴァハが無理をしているとは察していますが、スヴァハの意志を無碍に出来ないのと、スヴァハがこっちを心配させまいとしているのが分かるので、なかなか一歩踏み込めないという。アグニカとスヴァハは、戦いの中で互いに虚勢を張ってしまい、すれ違い合ってしまってるんですね。
とまあ、アグニカとスヴァハの関係にも踏み込んだところで、第四章は終了です。
第四章は一つになれない人類の様子、言葉で解決出来ず分かり合えないから戦うしかない、というままならない部分を描きつつ、各所で後の展開の先取りもかましています。
ただ、反省点としてはただ一つ「長い」の一言に尽きますね。十国を一つずつ押さえていこう、との構成は作品初期プロット時点でのミスというか、書く側と読む側両方に要求される労力の計算をミスってるなぁと。内容的には満足なんですが、作者としては単純に構成の反省点もある章となりました。
◇
第五章 火星 -Maiden of Revolution-
第四章で地球に焦点を当てたので、第五章は火星に焦点を当てる章となります。本来は章タイトルを「圏外」にして、火星編と金星編の二部構成にしようと画策していたんですが、公式が全然「ウルズハント」を配信しやがらないので、金星編はお蔵入り遊ばされたという。
なお、金星編はウルズハントの内容を踏まえた上で、厄祭戦時代の金星を書く予定でした。プロット立てた時点では「まあ第五章に行くまで相当時間かかるし、それまでにはウルズハントも配信されてるやろ」と高をくくっていたんですが、まさか発表から一年半経って、配信されないコトは愚かロクな続報が無いとは、流石に想定出来ませんでしたよ。
というか、この後書きを書いてる時だと二年ちょい経過してて、鉄血五周年特番も経てるのに、第五章書いてた時から状況がほぼ変わってないんですよねぇ……もう既に劇場版SEEDみたいになるのが目に見えてるんで、どうせ企画倒れするならウルズハントのシナリオ集と設定集、出来てるアニメ映像だけでも出してくれ。
第五十四話「第八の悪魔」
開幕に言及されるのはMA出現、火星独立軍の地球圏からの撤退後の火星の様子ですが、こちらサラッと書かれていながら、実はかなりの激戦。地球とは比べ物にならないほどの地獄絵図となり、犠牲者も相当な数になったという、酷い状況でした。アッサリ流されていますが、ここは克明にやったら更に長くなる上、直接ヘイムダルが関わる訳でもないので、あらすじだけでの紹介はご了承あれ。
ヘイムダルからMSが支援物資として届いたとはいえ、火星独立軍が戦力を整えてMAに対処出来るほどになったのは奇跡に近い。火星での戦いをしっかり描写したら、凄惨だけど面白いコトにはなりそう。末期戦的な雰囲気になり、絶望しか無くなりそうでもありますが――いや、絶望という暗闇の中で一本だけある希望の糸を掴んで辿るような、そんな話でしょうか。
攻勢に出るのはヘイムダルからガンダム・フレームを有するチームが二つ到着してからですが、この時にも壮絶な戦いが繰り広げられました。ここは本編でしっかり、回想として数話使ってでもやっておくべきだったかもしれない、と反省していたり。ヱヴァンゲリヲン新劇場版で言うところの、破とQの間みたいなポジションの話なので(断章にもちょっと関わりますし)。やるとしたら、新たなガンダム・フレームの設定を幾つか作る羽目にはなりますが。
結果としては、二チームともが半分壊滅の大被害を受け、パリス・イツカのチーム一つに統合され、シプリアノは火星軍に移籍します。
そんな感じに戦火が拡大する中で、レヒニータの影響力は減りました。レヒニータは基本的に平和主義者、かつ小娘なので、戦うコトでしか生き残れない状況で頼りにされないのは仕方ないね。
侍女のアダリナ・フェリスは原作でいうフミタンポジションですが、こちらはおばあちゃんです。しかし、お嬢様の眼前で潰されるのはかなり酷い死に方ではないだろうか。しかも登場したその回でってお前。レヒニータにとっては軽くトラウマやぞ。
それはそうと、新規機体として「フラム・ロディ」が登場しています。ロディ・フレーム、こちらは地上運用想定の装備となっております。色が赤いのは、火星の赤色イメージです(テラフォーミングで赤ではなくなってるんですが、イメージなんでね)
レヒニータの住むスキャパレリにMAの襲撃があり、街の端っこまで(とても自然な流れで)来ていたレヒニータは「天使長」ハシュマルを眼前として窮地に陥ります。彼女が思い出すのはセレドニオの例のセリフと、死がどういうモノかという実感。一言で言うと、死にかけるコトで初めて分かるコトも有りましたね、という。
しかし、彼女の前に一機のガンダム・フレームが舞い降りたコトで、レヒニータは九死に一生を得るコトとなりました。
第五十五話「レヒニータの決意」
空中から降下し、ハシュマルを退けてみせたのは「ガンダム・バルバトス」――原作の主人公機で、厄祭戦時の姿は第四形態と同じです。
武装に関してはメイスに太刀に、原作では第一形態〜第二形態で装備していたガントレット。これらの武装が厄祭戦時に有ったのかは不明ですが、原作通りの武装はイメージしやすいので、そのまま採用しています。イメージのしやすさ、とっても大切。
空から来たのは、地中から出撃した原作一話との対比で、二期最初のバルバトスルプス登場と同じ構図になっています(ルプスほどのムチャクチャをやらかした訳ではないですが)
そして、レヒニータはバルバトスのパイロット、クレイグ・オーガスに出会う。
クレイグのキャラコンセプトは「初期ミカ」でして、具体的には原作一話〜五話くらいの、まだキャラが固まりきってない雰囲気のある三日月を意識しています。個人的には、あの頃の気さくな感じのミカが一番好きだったりするので。
また、三日月はオルガと共依存というか、オルガの背中を押しつつも思考を預けて、オルガに危険が及ばない限りオルガの命令には絶対遵守――という感じですが、クレイグとパリスはそうではありません。パリスがリーダーなので命令には基本的に従うものの、自分の意見も持っていて、ハッキリとそれを言うのがクレイグです。依存的な関係は無く、パリスとは最高の相棒というだけ。一蓮托生とまでは思っていないので、ミカとオルガほど重くない。
クレイグは三日月と同じく孤児ですが、ヘイムダルで訓練される間に一定以上の学を得ているので、物事の考え方や捉え方、知識や教養などは三日月より遥かにしっかりしています。当然、字も読めるし書けるというね。――何かミカの上位互換な気がしてきたぞコイツ、スペック高すぎない?
なお、外見的には銀髪金目と、オルガカラーになっています。パリスは黒髪蒼目と三日月カラーなので、ここは意図して逆転させました。何となく。
「第五章にはアグニカが出ない」という哀しい確信が初期プロット時点で有ったので、第五章の主人公はクレイグ、ヒロインはレヒニータというつもりで書いています。というか、そうです(断言)
この理論だと主人公機はバルバトスになるんですが、異を唱える人はいないでしょう。何せ、原作と同じだからね。アツいよねこういうの。
アグニカとスヴァハが幼馴染カップルなのに対して、クレイグとレヒニータはまさしくお手本のようなボーイ・ミーツ・ガール。まあ、男の子のところに謎の女の子がやってくる、ってのが王道とするなら、そこからはちょっと外れるんですけれども――何にせよ、ドキドキするねぇ。
やはりボーイ・ミーツ・ガール……ボーイ・ミーツ・ガールは全てを解決する。ボーイ・ミーツ・ガールこそが正義なのだよ。ガンダムXもFate/stay night(セイバールート)もそう言ってる。
クレイグの手を取るレヒニータ、という構図は、原作でのクーデリアの手を握り返した三日月と対比になっています。ここは意識して描きました。
アグスヴァと共にクレイグ×レヒニータも推して行きたいと思う昨今。カップリングタグは何だ、クレヒニで良いのかな?
本当はアトラ的ポジションの子も出したかったんですが、作劇上必要とならなかったので出せませんでした。とても哀しいです。前述のヘイムダル火星到着後の反抗作戦を書いていたら、その時に出ていたと思うんですけどねぇ。
なお、その子は撃墜されるガンダム・フレームのパイロットという……救いは無いんですか!?
マスドライバーの有るクリュセに移動しながら、コクピットの中でクレイグとレヒニータは言葉を交わします。
クレイグはレヒニータに「戦え」と言いますが、それは武器を持って殺し合うコトではなく、レヒニータなりに戦えという意味。原作の鉄華団が武器を持って戦うコトしか出来なかったのに比べ、クレイグはそれ以外の視点を持っているという。ここのアドバイスは、三日月だったら出来なかった(絶対に言えない)コトですね。
それを受け、レヒニータは綺麗事を振りかざし、困難に立ち向かっていくコトを決意しました。
この時代にそれでやってこうというのは相当厳しいモノが有ると思いますが、レヒニータが民衆から望まれるモノがまさにそれなのでね。開き直るのは間違いではないかと。
クリュセに到着したクレイグとレヒニータは、ゴドフレド・タスカーとメイベル・タスカーに合流。この二人は夫婦です。苗字が同じなのは、分かりやすさ重視+考える手間を省く為。多分、鉄血世界は夫婦別姓も同姓も自由だと思います。知らんけど。
この二人のキャラ付けは、ちょっとだけ原作のシノとヤマギを意識していたり。良かったねヤマギ。
原作にも登場した「ガンダム・フラウロス」は、この二人の複座で操られています。複座式だったというのは本作での勝手な設定ですが、一機くらい複座の機体がいても良いよね! 複座式機体はロマンである、ガンダムハルートやガウェインもそう言ってる。月虹影でルルーシュとC.C.の複座式を復活させたコードギアス制作陣の皆様には、心からの称賛を贈ると共に一人一人キスして回りたいね。
なお、フラウロスに関しては原作初登場時はバエルカラーになっていて、放送当時は悪質送料激高限定品販売転売ヤー御用達サイトプレミアムバンダイで厄祭戦時Ver.として販売されました。本作のフラウロスもその色です。
買っときゃよかった、と今軽く後悔していたり。やはり多々買わなければ生き残れない、というコトか……おのれ財団B、何としても滅ぼす。さっさとMETAL ROBOT魂のバエルとHGグレモリー出せ、人間性を捧げてでも買うから。
第五十六話「革命前夜」
今話のサブタイと同名の曲が有りますが、特に意図してはいないです。完全に偶然。ちなみにその曲は良い曲だと思う。
レヒニータはヘイムダルチームの母艦たるバラクーダ級「サタナキア」へと移動し、リーダーのパリス・イツカと対面します。
火星独立軍の動向を気にし、セレドニオの真意を確かめようとするレヒニータ。ヘイムダル的にはMAと戦える戦力を有する独立軍とやり合いたくはないんですが、最終的には開き直るコトに。まあ、独立軍の真意を確かめるコトは、共に戦うヘイムダルにとっても必要なコトでは有りますからね。
「大舟」は本作オリジナルですが、原作に登場した(本作にもちょっと出る)「方舟」を意識して設定しています。火星の衛星は二つ。なので、ダイモスに造られた方舟と、フォボスに造られた大舟――という。
最初は「方舟」を火星軍の本拠地にしようと思って、途中までそれで書いていたんですが、第六章の構想を固めるにあたり、火星軍の本拠地が爆散するコトが確定したので、途中で「大舟」に変更しています。方舟を爆散させたら、原作との齟齬なんてレベルの話じゃないからね。
十回くらい書き換え漏らしが無いかチェックしたけど、もし残ってたら誤字報告お願いします。
そんな訳で、大舟に乗り込むヘイムダル。
断られても強行突破するの好き。パリスチームがこういうメチャクチャやってると、何故か鉄華団感が出るんですよねぇ。
「ガンダム・グシオン」が新規機体として登場。
本作でのグシオンは、原作初登場時のグシオンと「ガンダム・グシオンリベイクフルシティ」を足して二で割ったような感じです。宇宙戦想定で地上運用に難が有るので、地上戦装備も用意されてます。この辺りは、第六章でチラッと言われていたりも。
パイロットの和弘・アルトランドは、キャラ付け的に言うまでもなく昭弘ですが、関係性についてはノーコメントとさせて頂きます。苗字が同じだからって、原作キャラと関係が有るとは限らないのだ。山田さんや佐藤さんが何人いるとお思いか。
「ガンダム・マルコシアス」は本来、金星編の主人公機にするつもりだったんですが、前述通り金星編がお蔵入りになったコトで、火星編に登場するコトとなりました。
設定は公式から出されており、キットもHGが発売されています。TVアニメ完結後にデザインされたからか、バッチリMA戦想定でデザられてるのが良いと思います。コイツの活躍見たいんで早よウルズハントの配信をs(ry
なお、火星独立軍側もセレドニオがガンダム・フレームを出せと命令していますが、有能ことエメリコさんに却下されました。結果、ヘイムダルは着艦を認められるコトに。
今話のセレドニオとエメリコは意見を違えている部分が多く、次回の展開の前フリと言えますね。
第五十七話「争いのあとに残るものは」
サブタイは原作一期ED曲「オルフェンズの涙」から、歌詞の一フレーズを引用しています。何でわざわざそんなコトをしたかは――今話のラストシーンから察して下さい。
「オルフェンズの涙」は神曲である(断言)。流石は鷺巣詩郎さん、流石はMISIAさん。紅白出場曲なの強い……強くない?
セレドニオとレヒニータ、数年ぶりに対面。
パリスとクレイグも一緒ですが、二人は地球から来たので、セレドニオは全く相手にしていません。二人の言葉を聞いてすらおらず、存在を認識してるかすらも怪しいところですね。レイシズムもここまで来るとむしろ清々しいよ(白目)
セレドニオは地球に攻め込む気満々。
独立軍がいなくなった後、火星の人々がどれだけ死のうが知ったこっちゃなし、全ては地球に住む人々を殺し尽くす為に――うーん、狂ってる。
最早、レヒニータとすら会話が成立していませんね。物事の捉え方、考え方があまりにも違い過ぎるので、分かり合うコトは出来ないレベル。ただ地球に復讐するコトを目的とし、火星の独立をそれを正当化する為の手段、大義名分――詭弁としか捉えていないセレドニオと、セレドニオにとっての手段を目的とするレヒニータでは、見ているモノが違い過ぎています。
そんなセレドニオを、レヒニータは数年前と同じく否定します。セレドニオはまたもブチギレてますが、彼は心に余裕が全く無く、地球への復讐という目的が無ければ生きていくコトすら出来なかったので仕方ないね。彼にとって、レヒニータの言葉は自らの生き甲斐、人生を否定されたに等しいので、そりゃキレるよねと。
しかし、銃を前にしてもレヒニータは全く怯みません。そんな
一方、セレドニオの「ロクな解決案も代替案も出さずに『止めなさい』なんてのが通る訳もねェだろうが」は割と真理なのが酷い。セレドニオには、レヒニータの痛いところを突くセリフが多いという。
ただ、キレたノリで「火星のコトなんてどうでもいい、俺は復讐出来れば良いんだよ」とぶっちゃけてしまったせいで、セレドニオはエメリコに見限られ、撃たれるコトとなります。第一章の時点で「ロクな死に方しなさそう」との感想を貰ったりしてましたが、その通りでしたね……。
部下に撃たれて死ぬ、というセレドニオの最期は第一章で登場させた時点から決めていて、その部下がエメリコになるというのは第二章を書いていた時に自然と決定されました。エメリコさんの性格や考え方からして、まあそりゃ撃つよねって。EWのデキム・バートンみたく、モブ兵に撃ち殺されるという案も有りました。
エメリコと協力し、レヒニータは火星独立軍を火星防衛軍として再編する役割を担うコトとなり、今後の火星に影響力を発揮していきます。この辺りは断章にも繋がっていくので、そこよろしく。
――なんか後書きにちょくちょく「断章に繋がってくよ」と書いてるので、もう後書きの前に断章出しといた方が良かったんじゃねぇかと思いますが、それでも断章は終章から連続で読んでほしくない事情が有るので、ゆるしてほしい(カカポ風ねっとり謝罪)
かくして「革命の乙女」として復権するレヒニータ――復権? うおおおおおおおおおおお!!! ハーイ、
……復権派については「ああ……言ったっけ? そんなコト。忘れてくれ」しとくとして、レヒニータは立ち去るクレイグに対し、オールフェーンズナミダーします。これには作者もビックリ。
プロットにはなかった。レヒニータが勝手にクレイグにキスしに行った、としか言いようが無い。まさに「勝手にキャラが動いた」ってヤツで、俺はただMISIAさんの「オルフェンズの涙」再生ボタンをポチるしかなかった……いや、本当に恐れ入った。
原作だと三日月からクーデリアにオールフェーンズナミダーしてたんですが、今回は逆になりました。意図してなかったけど、完全に対比ですねこれ。
クレイグは呆気に取られつつ(これ相当珍しい)、微笑んで頷き、オッケーしちゃいました。良いですねぇ!(声量アップ)
レヒニータ的にクレイグは自分を助けてくれて、励ましてくれて手伝ってくれたイケメンなので、好感度は溜まりきっていると言えよう。第一章で「恋も知らねぇ小娘」とセレドニオに吐き捨てられたレヒニータが、恋を知ったという訳です。
第五十八話「蛇行せし炎聖剣」
開幕ではセレドニオ射殺後の火星独立軍の解体及び火星防衛軍としての再編、レヒニータの宣誓が言及されます。
この宣誓が放たれた場所として「ノアキス」を挙げたのは、原作でクーデリアさんが注目されるキッカケとなった「ノアキスの七月会議」を踏まえてのモノです。ノアキスの七月会議を知ってる人(覚えている人)は、それなりの鉄血ガチ勢と思われる。
ともあれ、今話は厄祭戦の本題に戻ります。五百三機ものMAが火星に襲来し、ヘイムダルと火星防衛軍は対応を迫られる――という、いきなりヤバい状況。
この中期型MA「イオフィエル」は、後書きにもある通りバッチリ「EVA-44A」をパk……意識して設定しています。遂に公開された「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」の冒頭に登場し、見事な単縦陣を構成してたアレ。44A戦時のBGM名が「Paris」になったのは、勝手に「おっ」と思ったりした。
数が「503」なのは、イオフィエルの伝承に「天使の503軍団を指揮した」というのが有るから。多すぎる気もしましたが、まあいいかと思って五百三機投入。加減しろバカ!
ここでは新規機体が一機、「ガンダム・エリゴール」登場。
原作に出た「ガンダム・ヴィダール」ばりのバースト・サーベルを装備している(時系列的にはこっちが元ってコトになりますけど)他、特殊システムを搭載して使用時には薄い放熱板を展開して靡かせるオサレな機体です。羽のような放熱板を翻して高速機動……うーむ、映像映えしそう。
フラウロスが本来の性能を発揮したり、ダンタリオンが大暴れしたりしつつ、五百三機の統率者が「天使長」ザドキエルであると判明した――ところで、次回に続く。
第五十九話「
サブタイは「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」のBGM「Gods Gift」のコーラスをもじっています。イオフィエルといいこれと言い、この頃の執筆作業用BGMがエヴァサントラだったのが丸わかりである。鷺巣さんBGMは神だから仕方ないね。
バルバトスとダンタリオンの奮戦により「天使長」ザドキエルが撃破される(第三章では絶望的な強さを誇った「天使長」ですが、ここまで来るとちょっと強い程度なの
「天使長」二機投入、この戦いはMAにとってどんな重要な意味が有るのか――と思うかもしれませんが、実はこの戦闘に限っては、そんなモノ有りません。MA側は今後「四大天使」の本格的な戦線投入を予定しており、前線での「天使」の指揮は「四大天使」が取る(ウリエルは特殊機能の都合上無理ですけど)ので、指揮者としての「天使長」はもう用済みというコトになります。対ガンダム・フレームを想定した後期型の「天使」と「四大天使」直属機がMA戦力の主力となっていくので、戦闘力的にも役目を終えている。
言ってしまえば、MA側にとってはただの在庫処理な訳です。第六章では一機だけ役割を持った「天使長」が出ますが、それも在庫処理を兼ねていたりする。容赦なく使い捨てられるの可哀想。
地上で侵攻を開始した「天使長」ハシュマルに対し、フラウロスが迎撃に出て、ハシュマル諸共に埋没します。これで原作に繋がると。
フラウロスとハシュマルが埋まるのは、第六章のウリエル戦の際にしようかとも思ったんですが、ウリエル戦と並行してやるのは混乱を招きかねないので、第五章の時点でやってしまおうという結論に達しました。なお、地盤は比較的脆い場所だった、というコトでお願いしたい次第。
第六十話「光は止まれない」
イオフィエルを何とか全機撃墜し、作戦は終了。よく全機撃墜なんて出来たな……(畏怖)
おかげで火星側はリアクター大量入手でホックホクですが、それはMA側も意図してのコトです。ウリエルを火星に向かわせるのはこの時点で決定されていたので、その前に塩を送ったと。これにより、火星でもダインスレイヴ隊の数を揃えるコトが出来たりしたのでね。なお、一部はMA側に月まで持ち帰られたりしたよ。
パリスとクレイグの会話シーンでは、またも「ヘイムダルは止まる訳にはいかない」というのが強調されています。しつこいですが大切なコトなので、何度でも描いてやろうという精神。
火星ヤシは完全に原作を意識してのネタです。火星ヤシ、食ってみたいよな俺もなー。ガリガリ君火星ヤシ味でもいいから食べたい。
地球ではディヤウスが頭を抱えますが、まあ火星編は色々動乱したので仕方ないね。
ここで言及される「現行のガンダム・フレームの強化案」は第八章の最終決戦仕様への伏線、「例のシステム」はエレジファ・システムのコトです。
また、このシーンでも「後戻りは出来ない」と再確認しています。どんだけ念入りに再確認しとるんや。
レヒニータもまた、自分なりのやり方で奮闘を続けて行きます。止まれないのはヘイムダルだけではなく、レヒニータも同じなのだよ。
この後、本から引用してるように書いてるところが有りますが、こういう書き方は全然しないので結構時間がかかった記憶が有ります。「
本を書いたウィルフレッド・ランドルくんはバティンのパイロットで、終章のヘイムダル会議でも出て来ていますね。彼はこのように、戦後は厄祭戦時に関して色んな本を書いたりしました(ギャラルホルンの検閲は入っていますが)。レヒニータについての書もその一つですが、タイトルが「忘れられし革命の乙女」となっているのは、断章を読むと理由が分かって頂けるところです。
断章への伏線、結構あちこちに張ってるんですよねぇ……断章(火星分割編)はオマケみたいなモンなのに、本編内に伏線を張るんじゃないよ!
最後の幕間は、ガブリエルとウリエルの通信。
「MAは漢字縛り」というのが作者的ルールで、そのコトは第六章最終話の後書きにも書いていますが、そうするとこの幕間には一つ、おかしな点が有るコトに気付けると思います。
「―――
『
この一文のみ、漢字オンリーというルールが守られていません。この文はガブリエルが発したモノではなく、エイハブ・バーラエナのモノだからです。
多分誰にも気付かれてませんが、第八章の伏線になってるシーンでもあると。ガブリエル側にMAでない何かがいて、MAに指示を出している――と、ここで示しています。
なお、段階がどうのこうのと言っていますが、MA側(エイハブ)にとっての段階は以下の通り。
第一段階:「四大天使」ガブリエル起動
第二段階:全世界へのMA拡散
第三段階:「天使長」投入
第四段階:人類側の戦力が整う
第五段階:「四大天使」ウリエル投入
第六段階:「四大天使」ミカエル投入
最終段階:月面での決戦(既存兵器全ての破壊)
以降は人類進化を開始すると。どうやってやるのかは本編中で語られませんでしたが、設定は有るには有るので、その辺りは第八章の振り返りで。
第六章への露骨な伏線を張ったところで、第五章こと火星編は終了になりました。
前半はレヒニータ中心で、火星独立軍関連の問題に一つのピリオドが打たれ、後半はクレイグ中心にMA戦を通してヘイムダルの在りようを再確認――という構成で、第六章以降への布石が整えられています。作品全体としても前半戦の終了、第三章から続いて来た起承転結の「承」パートが終わりを迎えて、第六章以降からは「転」に入っていくと。
凄まじい長さ(約11万字)になってしまいましたが、これにて一旦区切り。
次回は引き続き、第六章以降の振り返りをやって行きます。
次回「後書き Ⅱ(第六章〜終章)」
同時更新です。