厄祭の英雄 -The Legend of the Calamity War-《完結》 作:アグニ会幹部
後半戦、第六章から終章まで。
※「後書き Ⅰ(経緯〜第五章)」との同時更新となっております。
※完全に本編のネタバレとなりますので、本編読了後にお読み頂くコトを強くオススメ致します。
第六章 暴力 -Can Not Coexist-
起承転結の「転」となる、問題の第六章です。
後半戦突入に伴い、サブタイも英語(アルファベット)に変わりますが、第六章からは雰囲気をガラリと変えていこうと思っていたので、その施策の一つ。作品タイトルが「厄祭の英雄 -The Legend of the Calamity War-」と前半日本語、後半英語になってるので、前半戦と後半戦でのサブタイの付け方も、それに倣っています。
新しいキービジュアルを付けたり、章タイトルも穏やかでないモノにしたりして、とにかく空気を変えていこうと強く意識しました。
Episode.61「Four Archangels」
没タイトルは「Four Angels」。意味は同じですが、「Archangels」の方が強そうかつ「大天使」って意味なので、より正確かなーと思い。
なお、後書きでの「ご覧頂きありがとう」挨拶においても、前半戦は「第○○話」表記ですが、後半戦になった後は「Episode.○○」に変更されています。次回タイトル予告の方式は変わってませんが、どうせなら「Next Episode」とかにすれば良かったと反省中。どうしても変えたくなったら、唐突に変えるかもしれない。
開幕は「四大天使」ウリエル無双。
絶望的この上ないんですが、書いてる側としてはもう面白かった。今までコソコソしてたのを堂々と書ける喜びに加えて、「ビームでw鉄血世界の戦艦をww爆散させるなwww」みたいに草を生やしてました。チート過ぎて笑うしかなかったぜ。
反面「これ赦されんのかwww」とも思ってた。「四大天使」戦を書いてると、戦艦とかMSがゴミのように蹂躙されていくので、感覚が麻痺らないようにするのが大変でした。楽しかったですけど。
なお、ウリエルが四大天使に入るかは、解釈や教派、キリスト教とイスラーム教の違いなどによって変わりますが、本作ではミカエル、ラファエル、ガブリエルの三大天使にウリエルを加えて四大天使とする解釈を採用しています。
イスラーム教ではジブリール(ガブリエル)、ミーカーイール(ミカエル)、イスラーフィール(ラファエル)、アズラーイール(アズラエル)が四大天使とされますが、こちらは日本においてそこまで周知されてないと感じるので、本作には採用しませんでした。イスラーム教信者の皆様、どうかお許し下さい。
そんな訳で、ドルトコロニーくん本作二度目の壊滅。第一章と言い、踏んだり蹴ったりすぎる。
特に今回は外壁ナノラミネート加工済みだったのに容易く爆散させられてるので、ウリエルのヤバさが分かるというモノです。これでミカエルよりはマシなのがなぁ……(白目)
この後ウリエルは木星圏に向かい、生き残りの人々を全員虐殺した後、火星を訪れると。
「四大天使」ウリエルの出現を受け、ヘイムダルはアグニカとスヴァハに初代セブンスターズを揃えた特別チームの派遣を決定します。
これは序章の戦闘シーンに繋げるとともに、アグニカと初代セブンスターズの関係性を示して、より深めるというメタ的な目的が二つ有ります。作中的には「ヘイムダル最精鋭部隊」という扱いですが。
リーダーは満場一致でアグニカに決定。
この辺りのやり取りから、初代セブンスターズ、本当に良い奴らだと分かりますね。アグニカへの信頼も厚く、アグニカも彼らを信頼している。
だからこそ、終章の初代セブンスターズの選択が如何に重いモノか、分かって頂けるかと。
Episode.62「Departure to Mars」
ゲーティア、遂に(さっそく?)火星へと出発。
この回はかなりライト回だと思います。まあ、今後のヘビーなドシリアス展開への前フリにもなるんですけど。落とす前に上げるのは作劇の基本。
艦長達スタッフと初代セブンスターズが気を利かせたコトにより、二人きりになったアグニカとスヴァハは、守るべき星を見下ろしながら言葉を交わします。地球を見ながらの会話シーン、ガンダムシリーズあるあるだと思うの。ちくしょう、イチャつきやがってこの野郎ども。
ここでも「笑顔」についての言及が有ります。スヴァハは第四章のラストから時間が経って多少落ち着きましたが、恐怖心は消えていません。ただ、アグニカの前では心から笑っていますとも。
ちなみに、この時の正解は「二人きりで話せて嬉しい」でした。爆発しろリア充め(白目)
出港後は艦内の部屋割り問題で、仲間達の気遣い(お節介)により、アグニカとスヴァハは同じ部屋に押し込められました。普段は世界とか人類とかスケールの大きい話をしてる分、これくらいのスケールの話をしてると、平和なのかと錯覚しますね。
アグニカとスヴァハのやり取りが完全に夫婦のそれ。ああ、なんて尊い世界なんだ(晴れやかな顔)
Episode.63「Reef Airspace」
ウリエルによって壊滅させられた旧ドルト暗礁宙域での戦闘が描かれますが、こちらは序章の振り返りでも語った通り、第0話の完全版です。
「天使長」ザドキエルが登場しますが、ここでの役目はエイハブ・リアクターの回収。在庫処理されるところまでも、MA側は織り込み済みというね。なお、ここで回収されたリアクターは、第八章での月面ダインスレイヴに利用されています。わざわざかき集めるくらいなら、第五章で五百基分も火星に送り込むんじゃねぇよ(ド正論)
まあアグニカとスヴァハ+初代セブンスターズの部隊が「天使長」と初期型相手に手こずる訳も無いので、戦闘は滞りなく終了。
スヴァハと同室になったコトを知ったマヴァットがアグニカを締め上げるも、寝ぼけたスヴァハに一言ズバッと言われて、親子の仲に溝が一本。マヴァットは意外としっかりお父さんやってるので、このスヴァハの一言はクリーンヒットである。
ギャグ展開なものの、この後のマヴァットは嫌われたくない一心でスヴァハとの接触を避けてしまうのに加えて、スヴァハ側も気まずくなってしまい、結局ウリエル戦までに戻りはしませんでした。
話せる時に話しておかないと、思わぬ別れで永遠に機会が失われるコトって有るよね……。
Episode.64「Passing each other」
前回に引き続き、マヴァットとスヴァハの関係がぎこちなくなってしまいました――という回。
マヴァット的にはアグニカを認めてないという訳ではなく、むしろその逆なんですが、父親としては複雑なところが有ります。しかし、わざわざ助手に通信して開口一番スヴァハの話をする辺り、相当ショックを受けているぞこのマッド。
また、マヴァットがわざわざ同行した理由が言及されていますね。本作の「大人」は、自分の行動に責任を持って動いている傾向に有ります。ディヤウスやマヴァットは技術を持つ者として、自らが開発したモノと巻き込んだ人に対して責任を負っている訳です。
ゲーティアが火星圏に到着し、アグニカとパリスが通信して、火星に残るMAに対しての対応を協議します。第四章と第五章で分かれ、本編中で接点が無かった二人がこうして会話するのは、点と点が繋がったって感じがしますね。良い。
火星に在るガンダム・フレーム全機を動員して、五日以内に全てのMAを殲滅して迎撃体制を整える――アグニカは簡単に言っていますが、かなりの無茶なのは言うまでもないです。
しかし、やらなければ火星は危ういので、やるしかない。このコトから、火星が如何に追い詰められているか、お分かり頂けるのではないかと。
Episode.65「Beyond the Friction」
没タイトルは「The Oncoming Destruction(迫り来る破壊)」。当初はこの回でウリエル戦開始ってところまで行く予定でしたが、下準備が思ったより長くなったのでこの回と次の回に分割し、それに伴ってそれぞれサブタイを付け直した結果、没になってしまったという。
この回のように、想定より長くなったコトで分割された箇所は幾つか有ります。字数は増えるモノ、しょうがないね。
エメリコとアグニカの会話シーンは、あらゆる問題や感情論を棚上げして、地球から来たアグニカ達と火星軍が共に戦う為に必要なモノです。互いの聡明さと危機感あったればこその大人の対応。
なお、ここで語られる「戦後、地球が火星をどうするか」は断章をご参照あれ、というコトになります。隙あらば断章を見させようとするくせに、未だに出してないの本当にどうかと思うけど、内容的に仕方ないんや……赦してクレメンス。
そして、ここで「英雄」という言葉が登場。
作品後半に入り、いよいよ作品タイトル回収の布石が打たれているという訳ですな。
地上に降り、ガンダム・フレームはそれぞれ手分けしてMA殲滅作戦を展開します。
その中で、アグニカとスヴァハは本作最大級の良心ことナーサティヤさんに遭遇。再登場するとは多分誰にも思われていなかったし、私も思ってなかったよ。本当にご立派な方ですわ!
「地球という恵まれた星が有るのは、火星という貧しい星が有ったから」はまさに真理。人間社会の本質、というか何というか……現実世界でも同じコトが言えると思いますね。裕福な人がいるのは、貧困に喘ぐ人がいるからである。先進国が先進国足り得るのは後進国が在るからな訳で、そういう格差は無くしようが無いです。残念ながら。――とか偉そうに書いている私も、世界的には日本という比較的恵まれた国にいるからこそ、呑気に二次創作とかしてられるんですけど。
ところでアグニカの「何で、そこまで出来るんだ? 他人の為に」は、完全なるブーメランです。お前もじゃい!
そしてナーサティヤさんの答え「自分の為だよ」は、アグニカ自身も気付いていないアグニカの本質でもあります。スヴァハを守るのは、アグニカ自身がスヴァハを亡くしたくないからとも言える。
ナーサティヤさんは「目の前の人を助けられるなら、それだけで私の活動には意味が有った」とも語りますが、ではスヴァハを守りきれなかったアグニカには……果たして、その戦いに意味は有ったのだろうか? ――というところに関しては、敢えてこの場においてすら、解釈を述べるのは控えておこうかなーと思う次第。
Episode.66「Iron-Blood Cascade」
火星全土のMA、五日で☆殲☆滅☆完☆了☆
ホントにやりやがったよコイツら(畏怖)
レヒニータがアグニカと出会うシーンは、昔からやっておきたいと思っていたシーンでした。やれて良かった。
「無事でまた会おう」、レヒニータの言葉はアグニカの想いを代弁するモノです。アグニカはそれを望んでいながら、結局は目的の為に犠牲を積み上げるコトしか出来なかったので、レヒニータはアグニカの目には眩しく見えるコトでしょう。特に、第八章以降の人間性を捨てて「英雄」となったアグニカには。
レヒニータはアグニカの願いの体現でもあるとも言えるキャラクターなので、だからこそ作者は一回くらい直接アグニカと会ってほしかった。会えて本当に良かった。
そんな英雄アグニカの意志を継いだギャラルホルンは、火星をどうして行くか――って、これもGo to 断章じゃねぇか! もうほぼ本編だろオイ!
そして訪れし、決戦の時――「四大天使」ウリエル、火星にご降臨です。
演説はアグニカが担当。決戦前の演説は絶対に必要である(断言)
この時のアグニカが語る言葉は、ヘイムダル代表としての言葉であり、アグニカ個人のモノではありません。「英雄」としての言葉、とも言い換えられます。ミカエル戦、月面最終決戦の際は、個人的なコトもちょっと言っていましたが。
開幕のご挨拶は核ミサイルとダインスレイヴ。
ウリエル側からもダインスレイヴが返ってきて、早速人類側の戦艦が一隻爆散。うーん乱世乱世。
なお、ウリエルの特殊機能「徹底破壊」は一定範囲内の人工物全てを問答無用で破壊対象と認識するモノですが、実際の破壊行動はウリエルが持つ武装のスペックに依存します。特殊機能自体が直接物理的影響力を持つ訳ではないので、ミカエルやラファエルに比べれば、正直そんなに凄くはなかったりする。
まあ分子破壊効果の有る「デストロイ・ビームランス」を装備しているので、理論上破壊出来ないモノなんてないんですけれども。分子構造の無い物体なら、ウリエルにも壊せないんじゃない?(そんなモノは物理的に存在し得ないハズ)
次回予告は何となくネタバレになりそうだった(というか、内容を察されそうだった)ので、敢えて隠してあります。今後、次回タイトルが明かされていない回がちょくちょく有りますが、全て同じ理由。ただ、そのいずれも特殊タグで色を透明にしてるだけなので、文字自体は存在しています。
よって、長押しか左クリックで文字選択をするコトにより、ちゃんと読めるようになります。よろしければご確認下さい。
Episode.67「only one Parent/Child」
個人的に、本作一、二を争うレベルでいたく気に入っているサブタイ。予告編の「親子」を「よし、いつかサブタイに使おう」と思っていたものの、第六章以降はアルファベット縛りとなったので(アルファベット縛りを思いついたのは第四章執筆中の時だった気がするので、連載前から画策してた訳ではなかった)、英語に直す時にこういう形になりました。
マヴァットにとってスヴァハはたった一人の実子(only one Child)であり、スヴァハにとってマヴァットはたった一人の親(only one Parent)です。「Parent/Child」はその二つの意味を読み取ってほしいと思ってこういう表記にしたんですが、同時に/は二人が分断される(=死に別れる)コトも暗示しています。
戦闘はまさにウリエルのワンサイドゲーム。コイツ、マジで強すぎるんじゃねぇかな……でも、まさに格が違うって感じになってるので、作者的には完璧なバランス調整だったと自負しております。前作(鉄メン)から本作になるにあたって、「四大天使」は全機設定を見直し、全体的に強さ(性能)を盛った(ラファエルに至っては完全新規)んですが、上手く行って良かった良かった。
その結果として、本編中では地獄と呼ぶに相応しい惨劇が展開されてしまった。うん、すまんかったと思っているよ。
そんなウリエルはゲーティアに組み付くも、挟み込むようにパリスのサタナキアが突撃したコトにより、一時的に拘束されます。鉄血戦艦の正しい使い方は吶喊(体当たり)であると作者は思い込んでいますが、デザインと原作のダインスレイヴ直撃でロクに壊れない描写、ハンマーヘッドを見る限り、作者の勘違いではないと断言出来るぜ。
パリスに触発された火星軍のバラクーダ級が、サタナキアの反対側からゲーティアを押し上げ、更にウリエルは束縛されます。スペックはイカれてますが、ウリエルの全長は三百メートル弱なので、全長四百メートルのゲーティアに組み付いた状態で戦艦に挟まれれば、動けなくなるのも無理は無い。
そして、マヴァットの決死かつ的確な操作によって、カラドボルグとクラウ・ソラスを同じ場所に受けてしまい、ウリエルは中枢コンピューター部の直上の装甲にダメージを受けました。これが無かったらマジで倒せなかったので、ナイスだマッド。
しかし、ウリエルはそこから戦艦四隻を破壊し、その爆発に巻き込まれてなおも健在。化け物かよコイツ……化け物だったわ。
ゲーティアの爆発と共に四散し、マヴァットは戦死。
最期にスヴァハをアグニカに託して、自身は突破口を切り開いて死ぬ――MA殲滅という使命の為に子ども達を戦場へと送り出した者として、スヴァハのたった一人の親として、成すべきを成した最期と言えるでしょう。
父親の死を目の当たりにしたスヴァハは、悲しみと怒りのままに「覚醒」を使用して、ウリエルへ特攻。冷静さを失っているコトは言うまでもない。
そして、アグニカも―――といったところで、この回は幕引き。今話最後の、
序章〜第二章の台詞が主な予告編における、数少ない例外的な台詞がこれ。初めからこの場面を想定していました。前作に同じような場面がある、という理由も有りますが。
後書きは何も語らず、ただ次回予告のみを添えるだけとさせて頂きました。何を語っても蛇足でしかないと、そう判断しましたので。後書き無し回は第六章以降、戦闘中デフォになっていますが、そういう回は後書きだけでなく、前書きも基本は非常にシンプルなモノにしています。
補足や説明など不要、内容こそ全てよ。
後書き無し回に限らず、「本文の内容が全て」という意識は常に持っているんですが、後書きで補足するコトは結構有りますよね……未熟未熟。
この後書きも上述の考え方的には蛇足そのものなんですが、まあ最後くらい(自戒も込めて)振り返ろうというコトで、作品を完結させる度に毎回やっています。もう半分くらい恒例、というかクセになりつつある。
Episide.68「Arousal」
この回の没サブタイ案は、「覚醒」を表す他の英単語の他に、「King of Demons」が有りました。
訳は「悪魔の王」で、まあバエルのコトです。今後、第八章とかで使う機会有るかもと思ったのと、採用した「Arousal」の方が良いと考えて没られたんですが、結局は使われずに終わったというね。
侵攻を継続するウリエルに、開幕からアガレスが殴りかかります。銃を撃っていない戦い方から、スヴァハが我を忘れているコトが分かるかと。
そして何気なく描写されてますが、ウリエルの頭部に特殊超硬合金製のワイヤーブレードが突き刺さるシーンは重要。何度も何度も打ち付けられた結果でこそあり、簡単ではありませんが、
ついでに、本作における物の硬さ設定は、イメージ的には大体以下の通り。
エイハブ・リアクター>>>>>(越えられない壁)>>>特殊超硬合金(経年劣化前)≧ナノラミネートコート>特殊超硬合金(経年劣化後)≒高硬度レアアロイ≒ナノラミネートアーマー>etc...
なお、特殊超硬合金は経年劣化する、という設定は本作オリジナルのモノですが、これは原作のバエル・ソードが折れる描写と「折れない剣」という設定の矛盾を解消する為に作りました。真っ向から設定と描写に矛盾が有んの、本当にどうかと思うねぼかァ。
時々「バエル・ソードはすっごい丈夫なだけで折れない訳じゃない」という擁護意見をお見かけしますが、プラモの説明書に「折れない剣」とハッキリ書いてある以上、残念ながら無理があると言わざるを得ない……「壊れない素材なんて無いだろ」というそもそも論に対しては、「エイハブ・リアクターは絶対に壊れないって設定なんですが」の一言。
ちなみに「原作でバエルが持ってた剣は、グリムゲルデの剣を仕立て直したバッタモン」と思ってらっしゃる方もいますが、それは100%勘違いだと断言させて頂きます。あくまでデザイナーの鷲尾さんがバエル・ソードをデザインする時に、そういう説明を誰かから受けたというだけの話で、最終的な設定は「アニメに出たバエル・ソードはアグニカが実際に使ってた物」というコトになってるので。
かなり脱線しましたが話を戻して、錯乱したアガレスはウリエルに敵わず、窮地に陥ったところに「覚醒」したバエルが突っ込み――圧倒します。
「覚醒」時のバエルはガンダム・フレーム全一。何とウリエルを吹っ飛ばしている。速度とパワーの合わせ技、本当にカッコいいよ……(恍惚)
他のガンダム・フレームも合わせ、まさしく天使を狩る悪魔の祭典、その催事場と化す「大舟」――本物の悪魔かよコイツら。こうなると、ウリエルのデカい図体が仇になって来ますね。図体のデカさ=的の大きさになっちゃってる。
しかし、ウリエルは往生際がとにかく悪い。
「大舟」(衛星フォボス)の表面をゴロゴロ転がるという慣性の法則とか重力的に怪しそうなムーブをかまし、同時進行のダインスレイヴで戦艦を沈め、フォース・リアクターシステム×2というオーバーパワーをフル活用して「大舟」落下作戦を敢行し始めやがりました。
地球での恐竜絶滅時の隕石が直径十〜十五キロほどと計算されてるので、地球より直径の小さい火星に直径二十三キロのフォボスが落ちたらどうなるか――うーん、具体的には分からないから誰かuniverse sandboxとかでシミュレーションしてくれ(丸投げ)。下手したら地軸歪んだりしそう。
大舟の軌道変更を受け、エメリコは大舟の廃棄と自爆による阻止を選択。判断が早い! なお、自爆には核を使っています。
鉄血世界のMSに単独での大気圏突入能力は存在しないので、自爆する大舟にしがみついたウリエルの追撃は困難。ここぞとばかりにプルーマを放出するウリエル、ここに来て小賢しさがすごい。
しかし、アグニカとクレイグはなおも追撃。
合理的ではない選択、死にに来るような選択にウリエルは混乱してエラーを吐き出します。このエラーはずっと続いてウリエルの思考領域を圧迫し続けるので、これにより判断がコンマ何秒遅れなければアグニカはヤバかった。まさにギリギリの戦い。
バエルを回避不可能な距離まで引きつけて、ウリエルはダインスレイヴを発射するも、バエルはこれを弾頭の先端を叩いて軌道を変えるという荒技で突破し、遂にその剣をウリエルに届かせました。
ここの(火星を下として)上からの突撃は、Gジェネにおけるバエルのモーションを意識しています。ダインスレイヴを弾いているのは……うん、アグニカがヤバいからだとしか……でもアグニカならこれくらいやれる(断言)
かくして、一機目の「四大天使」ウリエル撃破。
大気圏突入からの挿入歌は鈴華ゆう子さんの「戦火の灯火」ですね、間違いない。というか執筆時の作業用BGMがそれだった。あまりにもベストマッチ過ぎて、筆がノリまくった記憶が有りますねぇ!
バエルは爆発を背に宇宙に戻るも、バルバトスは爆発を背に地上へ。ウリエルの残骸が無ければ危なかった。
レヒニータの言葉を思い出して「死ぬ訳にはいかない」となるクレイグ、マジ主人公。アグニカが出ない第五章で主人公するのはともかく、まさかアグニカとバッチリ共闘した後に、ここまで主人公力を発揮するとは思わなかったよ。
Episode.69「Falling Star」
サブタイはフォボスの残骸が大気圏に突入したコトで発生した流星群のコト――なんですが、前書きの「個人的には『堕ちていく星』と訳したい」に表れている通り、もう一つ込めた意味が有りまして、それは今話振り返りの最後に。
開幕はウリエルをサーフボードにして大気圏突破に成功、砂漠に落着して放棄されるバルバトスと、戦場から去るクレイグのシーン。
原作設定では、バルバトスはマルバ・アーケイがCGS創設前後に砂漠から掘り出した(発見した)、となっています。なので、このシーンの存在により、原作に繋がるようになっている訳ですね。
ウリエルの残骸は空中で四散した、問題無い。
一方、アグニカが目覚めたのは戦闘の数日後。
二度の「覚醒」で身体の左側の大半を奪われ、腐り落ちてしまいました。この代償の現れ方は、第四章執筆時には既に決定していたと記憶しています。
スヴァハが部屋に閉じこもっているコトを知り、早速アグニカは彼女の下へ出向く。判断が早い!(称賛)
哀しみを押し殺してスヴァハは明るく振る舞おうとし、笑顔を浮かべますが、それが本当の笑顔でないコトをアグニカは難なく見抜きます。これまでスヴァハは、アグニカの前だと心から笑えていたんですが、だからこそ虚勢に気づかれてしまった。
抑えてきたモノを解かされ、スヴァハは泣き喚き絶叫する――作者的には、書いててとっても辛くなったシーンです。全編通して二番目くらいに。え、一番? そりゃ、第七章のあの別れだよ……。
目の前でただ一人の肉親が死に、自分もアグニカも身体がボロボロになって、基本的には(というか精神的には)「普通の女の子」であるスヴァハが平気でいられるハズは有りません。
アグニカもスヴァハを置いてウリエルの追撃に行き、死にかけて数日間目覚めなかったので、スヴァハは一人きりになってしまうかもという不安と喪失感に苛まれ続けてしまっています。だから、アグニカがそこにいるコトを何度も確かめて、これまで口にするまでもなかった想いを口に出して、どうしようもない心の傷を誤魔化そうとしていると。
そしてこの時、アグニカがスヴァハを守る理由(守りたいと思うのは何故か)も明確になります。
愛。好きだから。
以上ッ! 男が女の為に命を懸けるのに、それ以外の理由は必要ねぇんだよ! 美しい想いだ……いや、本当に美しいよ。
そんな訳でアグスヴァ成就、二人してベッドに倒れ込んでエンダアアアアイャアアアアア――とは言い難いなぁ、と個人的には思う次第。
これまで付かず離れずで、それでも互いに信頼し合っていた二人の関係がこうして進んだのは、不安と喪失感が生まれたから。信頼関係が損なわれ、心の繋がりだけでは不安になったから身体の繋がりで埋め合わせようとし、一時的な快楽で自分を慰め、目を逸らそうとしているに過ぎないとも言えます。
二人は上辺だけの身体的快楽を貪るコトでしか、これまで積み上げて来た信頼を確認し、維持するコトが出来なくなっている。慰め合い――いや、相手と快楽によって自分を慰める行為に尊厳は無く、非常に浅ましいモノだと私には思えてしまいます。
この回のサブタイの個人的な訳「堕ちていく星」とは、アグニカとスヴァハの関係性のコトです。
二人が何年もかけて育んで来た信頼が崩れ、一時の上っ面の悦楽と陳腐な言葉によってしか、相手が想ってくれていると思えなくなった。不安と喪失感に耐えられず、相手の身体を使って自分の身体を慰める行為――そんなモノに縋るしかないほど、弱くなってしまっている。
これを尊いと言えるのか、と問われた時、私は首を横に振るでしょう。そんなところまで堕落してしまった、そうするしかなくなってしまった。尊いモノだった二人の信頼関係が、本能だけの快楽による肉体関係にまで堕ちた――このシーンは、そういう解釈を持って書いていました。
Episode.70「Torch under Fire」
ドワームからウリエル戦の顛末について報告を受け、地球のディヤウスは哀しみながらも、その死を受け止めて受け入れて、受け継ぎます。受け止めきれずに目を逸らし、逃げたスヴァハとは違う。
ただ、このシーンはコーヒーの温度に注目して頂けると、分かるコトが有ると思います。
幕間はこの回の後書きに意訳をつけていますが、ガブリエルとミカエルのやり取り。ミカエルは人間の行動が「感情」に大きく左右されるコトを理解(学習)していて、利用しようとしています。
なお、ミカエルの行動はとにかく人の怒りとか憎しみとかを掻き立てますが、ミカエル的には全て織り込み済みです。ミカエルもあくまで「人類進化」というエイハブの目的に沿うべく、人から「憎むべき悪」と思われるように動いているので。
そして、あわよくば自分も「感情」を得てみたいと考えています。――これが実現されたら、果たしてそれは「道具」と言えるのでしょうか?
ウリエルを撃破し、次なる敵は「四大天使」最強のミカエル。
後期型もいよいよ戦場に現れ、傷つき泣く者達の想いなど露知らず、戦いは更に激しさを増し、苛烈になっていく――世界はどこまでも残酷なのよ。
朝チュンしたアグニカは、スヴァハに戦場から離れるよう言おうとしますが、先読みで拒否されてしまいます。
「スヴァハを守る」とは一体、どういうコトなんでしょうね。彼女を生かす為に彼女の意思をねじ曲げたら、それは「守る」と言えるのか――アグニカは結局、スヴァハの意思を尊重しますが、その結果がどうなったかは……うん……。
でも、スヴァハが戦いに出ずに死ななかったら、アグニカの覚悟が決まらないので、ミカエル戦で詰みます。奇跡的にミカエルをどうにか出来ても、結局その先の最終決戦で詰みオブ詰みなのがねぇ。
最後のレヒニータのシーンは、第一章から続く火星関連の描写(ゴタゴタとも言う)に一旦のケリを付ける為のモノとなっています。
批判に晒されても、レヒニータは火星の人々の命を預かる者として、彼女なりに戦い続ける。明日の為に、喪失も乗り越えて前へと歩を進めるのです。
なお、ここでクレイグがレヒニータの下に戻る、というのも考えたんですが、断章のコトも加味して見送りました。それと、一人でもへこたれずに戦いに臨む――という描写をしたかったので。
こうしたレヒニータの姿は、喪失感に押し潰されたスヴァハや、第八章以降のアグニカとは対照的です。アグニカと同じような想いを持ちながら、全く違う在り方をしているのがレヒニータだと、伝わってくれてたらいいなぁと。
第六章は暴力により想いが蹂躙される章で、そんなモノと人は決して共存出来ない――それがよく現れた章になったと思います。
そして、アグニカとスヴァハの関係に踏み込み、戦いを経て変化する様子を描きました。それらは第七章への前置きであり、アグニカが「英雄」となる運命も示唆されるコトとなりました。
◇
第七章 壊滅 -Lost Jewelry-
問題の第六章に引き続き、超絶大問題の第七章。
何が問題かって、まあ何もかもがだよね。本作最大の鬱ポイント、トラウマ製造機とも言える。そして、その原因のほぼ全てがミカエルに有るのだ。
絶望的な章タイトルと副題の意図は、全七話の振り返りが完了してから述べるとするヨ。
Episode.71「God's Right Angel」
没サブタイ案は「An Angel sitting to the Right of God(神の右に座っている天使)」と「Extraordinary Power(並外れた力)」。いずれもミカエルのコトですが、一つ目は長すぎるので没、二つ目は神々しくないので不採用。結果としてシンプルなモノに落ち着きましたが、インパクトバッチリかつ一目で意味が分かるのでヨシ!
なお、前者は「ソードアート・オンライン アリシゼーション」のサントラに収録された曲「she was sitting under the osmanthus tree」を若干意識しています。てか、これも梶浦さん音楽じゃねぇか……(ただの梶浦さんファン)
開幕は地球に帰還したアグニカとスヴァハ、そのチームメンバーとの会話。
このシーンに限らず、第七章全体に言えるコトですが、天気や情景の描写から、その場の空気や先の展開を演出、示唆しています。第六章や第八章と違い、地球が舞台となっているからこそ出来る表現と言えましょう。やっぱり地球は最高だな!
そして、舞台はアフリカンのヨハネスブルグ。
「四大天使」ミカエルが出現し、まず都市シェルターが頭部ビーム砲によって破られます。なんでナノラミネート加工済の核シェルターをビームで壊せるんですか!? と、もうこの時点でウリエルよりもおかしい。ウリエルはコロニー壊す時、最大火力武器たるダインスレイヴを使ったんだぞ……?
続いて投入されるは「後期型」のMA、アザザエル。人間の頭と脊髄を子機「ディート」で回収してお持ち帰りする、最低最悪のデリバリーサービス。この機体は私が考案した訳ではないんです、と名誉の為に言わせて下さい。案を出した人、頭おかしいよ……(褒め言葉)
んでもって、罪の無い一般ヨハネスブルグ市民の皆様方がえげつないコトになってる。殺しはしてない、というか殺しちゃ意味ないんでね。
アフリカンのMS隊は「ナノラミネートアーマー? 何それ美味しいの?」くらいのノリで放たれたミカエルの拡散ビーム砲に、なす術なく蹂躙されていきます。哀れなり、首都直衛部隊。
一抜け宣言をかましたサンディくんはその光景を「あーあ可哀想に」と見守りますが、そんなサンディが真面目に「正気か」と呟く暴挙――地獄からの全世界生配信で、ベンディルは世界に向け、MAの危機が迫っているコトを発信します。
これによって「MA? シェルター有るんだから関係無いでしょ」と思っていた一般市民の皆様がパニックに陥り、右も左も関係無く「軍はさっさとMAを排除しろ!」という結論に達し、最終的に「ヘイムダルのアグニカとかいう奴が倒してくれるってよ! マジで倒しやがった! 軍はヘイムダルと協力して月攻め落とせ!」で各国の世論が大体統一されるコトとなりました。
――ここまでベンディルは計算した上で、この放送をやってます。自分の死を覚悟し、土壇場でその命を使い捨てるコトでお膳立てする算段を整えるベンディル、マジ曲者。
一方、シャックスはミカエルの「直属機」サンダルフォンにボコされ、ワイヤーブレードに撫でるように吹っ飛ばされ、ベンディルのいる大統領府へ無様に落下するコトとなりました。
サンダルフォンくんがちょっと強すぎたね……なお、ミカエルは「何か飛んで来たから除けた」程度の認識である。何かもう色々とおかしいよ。
「直属機」はサンダルフォンにラファエルのラジエル、ガブリエルのメタトロンと全三種。「四大天使」と合わせて「七大天使」の名になるようにしていますが、実のところ四大天使に足される三天使は教派や聖典によって異なっていたりする。自由か。
サンダルフォン、ラジエル、メタトロンという三柱は七大天使としての有名どころではありません(個々の知名度は割と高いかもです)が、この三柱が選ばれたのはぶっちゃけ「直属機三種と『四大天使』で七大天使になったらカッコよくね?」と思いついた時期が割と遅く、その時点でエノク書や東方正教会などで七大天使として数えられる天使の名を持つMAが、いくつか本編に登場してしまっていたからです。それらと被らないように決めた結果、この三柱になりました。
核で街ごと自爆する決意を固めたベンディルに、それを阻止しようとしてサンディは銃を向ける。
サンディはこの時、最強の力と思っていたシャックスごとコテンパンにやられ、かなり動転しています。セッティングされなければ使えないボタンなんぞを求めたのもその為で、どうせなら「爆発する首輪を解除しろ」って言った方が良かったと思うね。ベンディルがその方法を知ってるかはさておき。
ベンディルは一歩も譲らずボタンを押し、サンディはベンディルを射殺するも、時すでに遅し。そもそも遅かれ早かれ、ベンディルがこの場で死ぬコトは確定しているので、銃にはこの時のベンディルを制止する効果が有りません。その後の地の文から分かる通り、死を恐れて忌避し、生存を絶対条件とするサンディには、自分が死ぬコトを前提としたベンディルの思考が理解出来なかったのです。
逃げ出さんとするシャックスはミカエルの謎の攻撃(という演出をしてますが、ブレード・ビットを使ってます)で撃破され、サンディは即死。力を求め、他者を弄びねじ伏せて来た男が、更に圧倒的な力を持つモノにねじ伏せられる――彼の死に様もまた、因果応報と言えるのではないかと。
核による自爆もミカエルには通用せず、ヨハネスブルグは壊滅しました。第六章のドルトコロニー壊滅と言い、まず「四大天使」は自分がメインの章の一話目に力を見せつけてくれますね。親切だ(白目)
Episode.72「in the Confusion」
大事件が起こって絶賛全世界大混乱の中、毎度お馴染み十国会議のお時間でございます。全員が医薬を飲んでから出席しているコト間違い無し。それでいて表面上は澄まし顔で相手の腹の中を探り合ってるの、マジで草。エンターテインメントだろこれ。
もうこの頃になると、十国会議が無いと安心出来なくなってきた……きてない? きてないですか。あ、ですよねー。
対応を協議した結果、結論は「露払いは自国内に陣取らせたアメリアがやって、その後はよろしくねヘイムダル」である。うーん、合理的過ぎて最早感動すら覚える。最高だよお前ら、愛してるぜ。
ただ、ミカエル相手にはこれが最適解なのも間違い無い。ヘイムダルが戦力を持ちすぎるのはまずい(実際、終章を見ると間違いないなってなる)が、ミカエルがいるのもまずい。その二つの問題を解決する、まさに一石二鳥の策と言う他に無い。
そして、通達を受けたディヤウスは、アグニカにヘイムダルの指揮権の全てを預け、「英雄になれ」と告げます。十国会議により策定された文書すらデジタルなの、時代進んでるね(現実逃避)
ウリエルを撃破したアグニカが、ヘイムダル指導者として全世界にMA討伐を約束し、ミカエルを撃破するコトでひとまず混乱は沈静化して、民衆の支持をバエルとアグニカという象徴に集まる。その状態でアグニカが十国と直接交渉すれば、ガブリエル討伐作戦の実施が見えて来る――以上、ここまで全てディヤウスは想定しています。ベンディルと言いこの時のディヤウスと言い、みんな先見の明が有りすぎる。明日の夜ご飯も分からん私とは大違いだ。
特にディヤウス、お前政治家でもないのに素のスペックの高さでゴリ押すんじゃない。そんなんだから、エイハブさんからも「私に並び得る」って評価されるんだぞオイ。
一応、一週間の猶予が与えられましたが、アグニカにほぼほぼ拒否権はございません。ヘイムダルの目的を果たす為に、もうやるしかないのだ。
ディヤウスが背負っているモノをアグニカに移したり、同じモノを背負わせたりしていく――第三章でも描きましたが、ディヤウスはそんな自分を心の底から嫌悪しつつ、既に覚悟を決めているのでブレるコトは有りません。
この辺り、ディヤウスとアグニカはよく似ていると言えます。ディヤウスが「年取って落ち着いたアグニカ」というコンセプトで作られたキャラだと前述しましたが、それにしても本当に似ている。
Episode.73「Heroic Declaration」
ミカエル戦を目前とし、アグニカは全世界に向けて宣言を発出します。それが「英雄宣言」、英語にして「Heroic Declaration」。
上述の意味に加え、終章のヘイムダル――ギャラルホルンの行動を正当化するモノでもあるので、一つのターニングポイントと言える。まあ、この時点のアグニカは戦後の混乱まで意図して「俺たちが戦争を終わらせる」と言ってる訳ではないですが。
これが出来るのは、ヘイムダルがアリアドネを運用しているからこそですね。社会インフラと化した通信網の掌握が、如何に重要な意味を持つかが伺い知れる。十国の最大の過ちは、造らせたアリアドネをヘイムダルがそのまま監理するコトを容認してしまったコトと言えますが、ヘイムダル無しに満足な管理が出来るかと言うと「NO」なのが……。
全世界への宣言を終えた後、アグニカはヘイムダルの面々だけに正直な自分の願いを告げます。先ほどまでの宣言は「英雄」としての言葉で、この吐露はアグニカ個人としての言葉。
「英雄」アグニカは目的の為に犠牲を払うコトを覚悟していますが、「人間」アグニカはみんなに死んでほしくないと思っています。英雄の望みは戦争の終結で、個人の願いは犠牲を出さないコト。二重人格というほどではないですが、この二つは絶対に相容れず、アグニカが二つの矛盾した想いを抱えているコトは、これ以降の展開に影響していきます。
スヴァハはそんなアグニカの姿を見て寂しさを感じ、大駕はグラシャラボラスの精神汚染で哄笑。
ミカエルの待つハワイ島に向け出発する艦隊と、荒れる波に暗い空――うーん、不穏さしかないね!
Episode.74「Scala-add Floshortus」
久々の登場となるアメリア軍の皆様によるダインスレイヴ絨毯爆撃から、いよいよ作戦開始。
これにより初期型、中期型のザコ集団と備え付けの固定砲台などは根こそぎ叩き潰せたので、やってなかったら勝てなかったかもしれない。まあ、ミカエル的には人類がダインスレイヴ攻撃して来るのも当然予測出来てたので、初っ端から期待してなかったでしょうが。
そんな宇宙からの砲撃にダインスレイヴを撃ち返し、爆弾を積んだ輸送機を一撃で撃墜。イカれてるわ!(ドン引き)
そして明かされる「四大天使」ミカエルの特殊機能、自己進化。パーツの生産はナノマシンでやってます。ラファエルの「万物修復」と同じ原理。
進化と退化は表裏一体なので、完全に+に働くとは言い切れない機能ですが、ミカエルの一番ヤバいところが何かと言われれば、まあ間違い無くこの機能でしょう。単体で種として完結している、準完全存在だ……(碇司令並感)
Episode.75「ALA and hesitation」
ミカエル目指してマウナケアを駆け上がる悪魔達の前に立ちはだかるは、サンダルフォンと――人間の脳と脊髄を制御系に組み込んだ子機「アーラ」。
このアーラとそれを生み出す「シェムハザ」も、案を頂いたモノなので、私のせいじゃないよ! いやもう、案を見た時は「これが人間のやるコトかよォォォッ!!!」って思ったけど、よくよく考えなくてもミカエルは人間じゃなかったのでセーフ。
それを見て怒る者もいれば、戸惑って躊躇いを覚える者もいる。そして、生まれた隙をミカエルは無慈悲にも刈り取りに来ます。
感想で「軍人にも普通に効くのでは?」とご意見を頂き、実際に戦場で敵兵をバッチリ狙って引き金を引いている兵士は半分以下だとかいう話も有りますが、ここの地の文で言う「軍人」はより具体的に言うと「各国のガンダム・フレームのパイロット」のコトです。アーラは確かに軍人にもある程度有効な精神攻撃ですが、ガンダム・フレームを任されるような連中がアーラ如きで隙を晒したりするコトは無い、とミカエルは判断しています。
ミカエルはガンダム・フレーム以外の機体を脅威と見なしていないので、ガンダム・フレームに乗ってる奴に効かない以上、軍相手にはこんな無駄なコトやらないですよという。
明確に躊躇したのはボルフリのグラツィアと、スヴァハ。アグニカはスヴァハを守る為、ワイヤーブレードとブレード・ビットをかいくぐって行きますが――ほんの数秒間に合わず、アガレスはコクピットを貫かれてしまいました。
Episode.76「I loved your smile」
前書きでは敢えて訳を書きませんでしたが、サブタイの訳は「俺は君の笑顔が好きだった」。
他の案としては「farewell(告別)」などが有ったものの、この哀しみが深い過去形入りのサブタイを越えられるモノは無いだろうと。連載初期から、この回のサブタイはこれにしようと決めていました。主題歌とか挿入歌のタイトルに使えそう。
この回は、アグニカとスヴァハの死別。
前作にも有ったシーンなんですが、何度書いても慣れませんね。書いていた時は、心臓をぐっと掴まれるような感覚を味わったコトを覚えています。もしかしたら
なお、前作だと結構喋っておりまして、血の味がするキスをして別れるんですが、本作だとそれよりシンプルなモノになってます。「全身貫かれたら普通はショック死するよな、でも作劇的にそれはな」と冷静に考えて調整した結果、こういう形になりました。思ったより呆気なくなり、だからこそ哀しみが増してしまったよ……。
全身を貫かれたスヴァハは、ほとんど喋るコトも出来ず、それでも笑顔を浮かべ――何かを言って、事切れてしまいました。
この時、スヴァハが何をアグニカに伝えようとしたのか。作者的にはいくつか候補が有りますが、やはりここは読者の皆様の想像にお任せ致します。
何としても守りたかった、守らねばならなかった人を目の前で殺されたアグニカ。彼はこの時、戦う理由も動機も大切な人も己が想いも、全てのモノを失いました。
「スヴァハだったモノ」という表現、残酷ですが的確だと思います。そこに在るのはもう、スヴァハではなく、単なる肉塊に過ぎない――原作でミカが言った「もう、フミタンじゃない」という台詞に通ずるモノが有りますね。
なお、スヴァハのお腹には子どもがいるコトにしようかとも思ったんですが、流石にそれは残酷すぎると結論し、踏みとどまりました。子どもが死ぬというコトは未来が死ぬというコトですが、本作は未来までも否定する作品ではないので。
ただ、アグニカに幸福な未来は無いというコトを表す為に、実は子どもがいたというコトにしても良かったかもしれないとも思いますが。
しかし、何も終わっていません。アグニカにとっては非常に大きなコトでも、戦局全体としては別にそうでもなく、戦いは続いています。
実のところ、スヴァハの死は前回のラストに持ってきて、アグニカの慟哭で〆るというのも考えたんですが、余韻も何も無く戦闘は続いていく構成の方が「人一人の死なんて、戦争の中では特段珍しいコトではない」という感じが出ると思ったので、余韻をブチ壊すかのように戦闘シーンに戻しました。本当にこの辺りは理不尽というか、無慈悲だなーと自分でも思う。
ダインスレイヴに加えてリフレクター・ビットも披露し、ガンダム・フレームも次々と犠牲になっていく。この場にいる奴ら、全員三日月やマクギリスとかより余裕で強いハズなんですがねぇ……。
スパーク・フィールドは書いてるノリで出来た武装ですが、ミカエルはその場で進化して武装増やしたりするのでこれで良い。装甲剥がしても新しくより進化した装甲がくっつくし、ダインスレイヴもリロードしてるし、マジでイカれてやがる。
攻めに行ったのは大駕のグラシャラボラスと、アグニカのバエル。
剣をブン投げてワイヤーブレードを砕き、ミカエルの懐に飛び込んで無数の傷を与え、ビームを一閃の下に斬り裂くバエルくんマジ最強。「流石にビーム両断はやり過ぎか?」と思いつつ、最後には「まあアグニカだし」という結論に達したよ。
Episode.77「Never get it back」
ディヤウスの策略により、全世界への中継が行われる中、ミカエルとバエルの血戦がスタート。
この時のバエルの「覚醒」は、ウリエル戦の時とは比較にならないほど強いです。エヴァで言うと、シンクロ率四百パーセントと無限大くらい違う――んですが、それでもミカエルは「自己進化」により対応してきます。「覚醒」バエルを以てしても、単騎では打倒し得ないのがミカエル。一応本作最強の存在だからね、まあこれくらいはね(白目)
なお、この時のアグニカは自暴自棄に近い。
独白では「皆の犠牲に報いる為に」的なコトを言っていて、確かにそれも有りますが、ここでアグニカが廃人化したり死んだりしたら、ガブリエルどうすんだって話になるので……まあ、冷静でいられる訳が無いので、仕方ないでしょう。
しかし、ガンダム・フレーム全機の奮戦により、ある程度ミカエルは追い詰められますが――マグマを利用し、なおも抗う。ミカエル自身もこれでダメージを負い、致命の一因になるんですけど。
何気に機動力も高いというところを発揮しているミカエルに対し、グラシャラボラスが更に攻める。この時点で大駕はグラシャラボラスに全てを捧げ、第八章のアンドロマリウス戦時のバエルのようになっています。なので、コクピットを潰されようが動き続けると。
これには流石のミカエルも窮地に追い込まれ、それでもグラシャラボラスだけではミカエル撃破には至らず、バエルは半身を失くしながらも剣をコンピューター部に突きますが――小癪にもミカエルは機能停止をギリギリで避ける。小手先の技やめろ、頼むから早く死んでくれ(懇願)
だが、天はミカエルに味方せず。
足場が崩れたコトでミカエルは火口に落ち、遂に撃破されました。
長かった……いや、本当に長かった。全っ然死にやがらなかった、本当に何なんだコイツは。
「自己進化」で機体が大型化してなければ、こうはならなかったでしょう。先ほど「完全に+に働くとは言い切れない」と言ったのは、こういうコトが起こるからです。進化とは退化の裏返し、進化と退化は表裏一体と言える。例えば、海から陸に上がった生物は、エラ呼吸から肺呼吸に呼吸法を変えるコトで陸上での長時間活動能力を手に入れましたが、代わりに水中での長時間活動能力を失いました。――まあ、進化ってそういうモノだよね。
天使の名を冠した機体が、最後の最後に天運に見放される、まさに皮肉。個人的には、これ以上無く相応しい終わり方だと思います。
ミカエルが消えても、グラシャラボラスの「暴走」は止まらず。パイロットの意思は既に無く、止めるには壊すしかない。結果、バエルにより破壊されて終わりますが、寝そべった状態から一撃を以てグラシャラボラスを止めるの、マジでバエル(とアグニカ)の格が違う。
しかし、グラシャラボラス(と大駕)を破壊するというコトは、誰も死んでほしくないという自分の願いを自ら踏みにじる行為です。自分から戦場に招き入れた大駕がこんな姿に成り果て、それを最後に止めたのは自分。スヴァハを失い、自分が戦いに
なお、Episode.75〜77は当時三日連続で更新をかけて、ちょうどクリスマスだったんですよね。クリスマスにこんなモノ見せつけるんじゃない。クリスマスは黙ってポケ戦を……ううっ(嗚咽)
前作だとスヴァハの死と大駕殺しが同じ回に来てたので、それよりはマシな気がしないでもない。
Episode.78「nothingness dream」
開幕からアグニカの見る悪夢。スヴァハは絶対にこんなコト言いませんが、この夢はアグニカの自己嫌悪が現れたモノなのでね。
スヴァハが死んでから、アグニカはずっとこんな夢ばっかり見ています。自分の不甲斐なさ、矛盾、非力さ、そういったモノに怒りと嫌悪感を感じていると。多分、これ以上放っておいたら身体的に衰弱して死ぬか、精神的な限界を迎えて自殺でもしてたんじゃないかと。
そんなアグニカを繋ぎ止め、無理矢理動かすのはディヤウス・カイエル。
ここはアグニカ側、ディヤウス側と若干シーンが重複していますが、それぞれ見方が全然違うので赦されると思いますねハイ。
アグニカがなるべき――否、ならなければならないのは「英雄」です。
人類の為、自分以外の何かの為に己が身を捧げ、人々の願いを叶える存在。なったところでアグニカ個人に良いコトは何一つ有りませんが、正直スヴァハが死んだ以上、どのみちアグニカの幸せはどこにも無いです。そんなモノはこの世に存在しません。
「英雄」としてアグニカは祭り上げられますが、彼にとっては呪いに近いモノでしょう。しかし、それに縋らなければ、アグニカは最早生きていくコトが出来ない。死者に報いるコトが出来ない。
このまま自傷を続けて野垂れ死んだとしても、それは単なる責任の放棄。現実から目を背けて、逃げただけです。しかし、現実から逃げ続けるコトは出来ません。必ずどこかで、向き合わなければならない時が来ます。
行動には責任が伴う。自分のやったコトに責任を持ち、場合によっては責任を取り、責任を果たす。大人であるならば、至極当然のコトです。それが出来ないなら、する気が無いなら何もするな。
アグニカは既に行動しました。まだ成し遂げていない以上、成し遂げるまでアグニカは戦い続けなければなりません。
進撃風に言うなら、「これはお前が始めた物語だろ」ってヤツ。
とまあ、アグニカが「英雄」としての覚悟を決めたところで、第七章は終幕と相成ります。
章タイトルの「壊滅」は、ヨハネスブルグもヘイムダルもアグニカの心も壊滅したよねって意味で、「lost jewelry」は宝石(比喩)が失われるという意味を込めました。この「宝石」はスヴァハであり、アグニカの戦う理由であり、人間性であり――という感じ。これらの他にも、色々な解釈が出来るかと。
なお、これ以降のアグニカは一度たりとも笑っていません。
アグニカが笑わなくなったコトと、口調がちょっと荒っぽくなったコトは、作者的には気をつけて書いた部分でして。気をつけて見て頂けると、アグニカの変化が分かるのではないかなーと思います。
◇
第八章 決戦 -Mourning Rain-
章タイトル、超絶シンプルですね。文字通りの意味です。「追悼の雨」も、まあ割とそのまま。これまで死んで行った者たちの犠牲に報い、未来を切り開く為の決戦なので。
後、ダインスレイヴ一斉射撃が雨に見えなくもないかなーと思って付けた面も有ります。物騒だな。
Episode.79「Ten Countries Conference」
要所要所で開催されていた十国会議も、いよいよこの回が最後になります。最後にしてサブタイに戴かれたという。
開催場所はヴィーンゴールヴ内、後にセブンスターズ会議場となる特設の会議場です。ヘイムダルの本拠地でやるのは、ここが一番安全という理由も有りますが、それだけ世界でのヘイムダルの影響力(存在感)が強まっているというコト。十国会議がやる、となって世論は「月に攻める為の協議をやる」コトを期待している(実際それが一番の開催目的)ので、政治的パフォーマンスの一環としてヘイムダルの本拠地を会場に選んだと。
世論がガブリエルの討伐を望む中、誰がその為の負担を負うかの醜い押し付け合い――となる前に、アグニカが乱入。全軍をガブリエル討伐作戦に出すよう、十国に要求しました。
この辺りのシーンは、原作でマクギリスがセブンスターズ(ネモ・バクラザンとエレク・ファルク)に「全ての地上戦力を私に差し出して頂く」と迫ったシーンを意識しています。まあマクギリスは見事にお断りされ、その後も無様を晒し続ける訳ですが、アグニカはそんな失態を犯しません。時系列的にはアグニカの方が先なので、きっとアグニカの伝記にこの場面が描かれてて、マクギリスはそれを真似したんやろなぁ……って感じになりますな。
ここでアグニカが語る「ガブリエルがガブリエルを造る可能性が有る」というのは、あくまでも推測に過ぎませんが、実際やろうと思えば出来るのが酷い。エイハブはまずウリエルとミカエルを造らせたので、ガブリエル複数機は夢物語に終わったんですけど。ちなみに、この時点だとラファエルも建造途中ですが、アンドロマリウスは完成しています。
最終的に十国全てに約束させ(条約も発効する)、アグニカは退廷。十国首脳陣は珍しく、箸休めタイムですね。別に個人として仲が悪い訳ではない。
しかし、この人たちは人を見る目が結構有る。オセアニアのナーゲン総督は、この時だけで「アグニカが自分の幸せを望んでいない」という、アグニカの歪さを見抜きました。これはまさしくその通り――というより、スヴァハが死んだコトで、アグニカはもう自分の幸せなんてモノはこの世に無い、と諦めています。
Episode.80「tragic decisions」
前回の会議を経て、議場から出て来たアグニカを出迎えるのは、元チームメンバーのアマディス。
友人との会話だというのに、アグニカは笑み一つ浮かべず感情一つ動かさず、淡々と対応します。アグニカがただ、ヘイムダルの使命の為に戦う存在になったというコトを表す描写ですね。
そんな機械的とも言えるアグニカと話し、アマディスは決意を固めました。
MSデッキに顔を出したアグニカは、その場で「エレジファ・システム」について聞かされます。
このシステムは当時の後書きにも書いた通り、ぶっちゃけサイコミュです。ビット兵器(ファンネル)を持つ機体を出す、というのはガンダム・フレームの最終決戦仕様を考えた時に決まったので、それを動かす原理の説明を設定として用意しました。鉄血世界にはエイハブ・ウェーブの問題が有るのでね。
なお、このシステムの「適性」についても語られていますが、裏設定的には適性の有無は宇宙世紀の言葉で言うと、ニュータイプか否かによります。第四章の振り返りでもアグニカは勘が良い、みたいなコトを書いていたりしまして、宇宙世紀みたくカテゴライズされて思想化してたりする訳ではないんですが、他の人よりちょっと勘の良い人がいたりするんです。
まあ、阿頼耶識は「空間認識能力の拡大」というのが一つのウリなので、そういう面では全員適性有りと言えるっちゃ言えるので、訓練すれば阿頼耶識使いは全員が使えます。ただ、訓練してる時間が無いってだけで。
このシーンも、アグニカは事務的なコトしか言ってません。そして、そんなアグニカを支える為に、チームメンバーだったトビーとソロモンも覚悟を決めると。
元チームメンバーは全員アグニカの為に死ぬ覚悟ですが、アグニカからすると目的達成の為にはありがたく、個人的には勘弁してくれという感じ。
十国の同意により、最終決戦が一気に目前へ。
アグニカは火星防衛軍にも声をかけ、艦隊の派遣を約束しています。ここでアグニカが通信してる相手こそ、レヒニータ。
自虐を繰り返しつつ、アグニカは三日月を睨む。
月を三日月ってコトにしたのは何となくです、一応。原作にミカが大気圏突入後に三日月を見上げるシーンが有りますが、この時のアグニカは正反対の気持ちですね。きっと、見え方も違っています。
まあ、厄祭戦で月は霞んだので、そりゃ見え方が違うのは当たり前なんですけど(セルフツッコミ)
最後の幕間はガブリエルとエイハブ。
平仮名込みの二行がエイハブのモノです。
Episode.81「Strategy Meeting」
没タイトルは「We have to choose our Fate(我々は運命を選ばなければならない)」。当初は次回予告もこれで出してたんですが、無駄に長い上に内容とそんなにリンクしてないという理由で、割と直前に差し替えました。
なお、没タイは「Fate/stay night [Heaven's Feel] Ⅱ.lost butterfly」オリジナルサウンドトラック内の曲「you have to choose your future」から取り、もじっています。ぶっちゃけ執筆当時に良いタイトルが思いつかなかった回で、そういう時は作業用BGMにしてるサントラの曲名とかから、それっぽいタイトルを貰うコトが多かったりする。
内容はサブタイ通り、十国の軍トップ+アグニカによる対ガブリエルの作戦会議。
「セブンスターズもここにいた方が良かったんじゃ?」という感想を貰いましたが、多分これ以上人増やしたらカオスになり過ぎるんで……アニメになったら増えても良いと思うよ(適当)
結局、作戦は電撃戦に落ち着きましたが、まあそりゃそうだ――というか、戦力比的にそれしか無いですからね。そのやり方を詰めました、というのかこの作戦会議です。
会議終了後、アグニカは改めてヘイムダルの全員に「全員で勝って凱旋しよう」と呼びかけます。如何なる犠牲を払っても使命を果たす覚悟は既に決まっていますが、こういうコトを言う辺りから、まだ甘さというか、優しさが残ってると分かりますね。
中途半端と言えば中途半端ですが、アグニカはこれで良いんだろうなと思う次第。
Episode.82「Battle for the Future」
出撃準備を整えたアグニカの元に、ディヤウスが訪れます。ディヤウスはアグニカに謝罪しますが、アグニカは呆れて突っぱねると。
「
最後にディヤウスは、MAは暴走したのではなくさせられたのではないか――と、仮説を語ります。
この辺りでディヤウスが語る自律兵器、無人兵器に関する理論には実は参考文献がございまして、ポール・シャーレ氏の「無人の兵団」がそうです。クッソ太くて鈍器に出来そうな本なんですが、普通に役立ちました。こんな使い方してる奴は多分私だけですが、自律型無人兵器にご興味の有る方は是非。
ここで名が挙がるのが、エイハブ・バーラエナ。
メタ的にはラスボスなんで、遂に辿り着いたなという感じ。ディヤウスからすると誰よりも尊敬していた人物なので、思い当たりこそすれ考えたくはないでしょう。
しかし、アグニカはエイハブを「死人だ」と切り捨て、全ての罪と責任を背負って戦うコトを決意します。実際にはご本人が出て来たので、決着をつける為に戦うコトとなる訳ですが。
そしていよいよ、決戦の時。アグニカは「ガンダム・バエルバーデンド」に乗り込み、出撃します。
バエルの最終決戦仕様となりますが、基本的には剣を増やすって形で、イメージを崩さないように気をつけました。漫画版リスペクトでランスとか持たせても良かったかも……? 結果、スヴァハの命を奪ったブレード・ビットと同系統(ほぼ同じ)のブレード・ファンネルを装備するコトになったのは、最低の皮肉と言えよう。ファンネルの本数が八本なのは、バエルの元ネタである悪魔が蜘蛛の身体を持っている(ので、足が八本有る)からです。
「バーデンド(burdened:背負った)」は直前のディヤウスとのシーンからも分かる通り、犠牲や使命などの全てを背負って戦うというアグニカの決意の表れ。この装備の設定は連載前から存在していて、出せた時は「やっとここまで来た」と、本編中のディヤウスとアグニカのような気持ちでいました。
なお、「この装備ならマクギリスはガエリオに勝てたんじゃね?」と思わなくもないですが、バーデンド装備は決戦で全損しており、戦後は素のバエルとして修理されたので、三百年後にはこの装備自体が存在していません。なのでマクギリスくんは……うん、御愁傷様としか言いようがない……。
演説シーンは、原作でマクギリスが「革命は終わっていない!」とかやってたところを意識していたりも。ネタにされまくっていつもの奴と化してますが、時系列的にはこの場面をマクギリスがパクった結果が「バエルのもとに集え!」ってコトになる。本作により、勝手にアグニカごっこぶりが増していくマクギリスであった。
決戦開始の号砲は、ダインスレイヴと核ミサイルによる攻撃――過激過ぎる(満足げ)
しかし、これまで影も形も見せなかった「四大天使」ラファエルの登場により、要塞内部への進入路は確保出来ず。ビーム・バリアービット、出力が明らかにイカれているよね!
ウリエルとミカエルは第四章の時点から陰で動いていましたが、ラファエルは建造時期の都合上、ここでようやく人類の前に姿を見せるコトになりました。ラファエルは個として極まったミカエルとは別種の絶望感を与える機体にしようと思い、ガードとバフを担当するコトになりました。単体での戦闘能力は大したコトないですが、多数の他のMAと共に運用するコトにより、超絶凶悪な機体に仕上がりました。流石に特殊機能「万物修復」はやり過ぎかなと思いましたが、結果的には良いステージギミックになったので一安心というところ。
Episode.83「Heaven's Fear」
当時の前書きに要塞内部の構造図を付けていますが、これに関しては「周囲に書かれてない部分が多いのが気になる」との声を頂きました。
これは完全に説明不足な(というか、本編の展開には関係無いので説明を省いた)ところで、周囲の空間はMAやエイハブ・リアクターの製造プラント、または資源や資材の備蓄庫になっています。作者の判断で勝手に説明を省略して混乱を招いたコトについて、この場にて謝罪致します。
近接戦闘に突入するも、ラファエルの特殊機能が猛威を振るっているコトで、当初の電撃作戦は完全に頓挫。一転し、人類側が最も憂慮していた持久戦を強いられ、全軍が戦闘状態に入ったコトで連携も難しい状態に。
さあどうする――という回ですね。
新規機体が山のように出て、大変申し訳ございませんと言わざるを得ない。もうちょっとペースをさぁ……と、セルフツッコミを入れたいくらいだぜ。
「ガンダム・フォカロルテンペスト」、水中行動能力を捨てて火力を増強した機体。役割的には「ガンダム・サブナック」と被ってしまいましたが、サブナックよりかは装甲が薄めという感じ。
「テンペスト(tempest:嵐)」は頂いた案をそのまま使っています。機体の特性をよく表す名だと思いますね。
「ガンダム・オセマジェスティ」は四脚獣形態への変形機構をオミットし、代わりに特殊なファンネルを二種積んでいます。また、光を放つ能力を持つ「ゴールドクロージングアーマー」が特徴ですね。ファンネルの特性はちょっとややこしい、というか理解し辛い気がしてこれも申し訳無い。ソーラ・システム使える武装だと思って頂ければ、大体オーケーですが。
「マジェスティ(majesty:威光)」も、機体特性を表す名前です。バエルの威光、とかとかかってもいる感じ。
「ガンダム・アンドラスレクイエム」、こちらは全体的に武装を強化しています。安定感というか、ブレなさが有りますね。基本が変わってないので。
「レクイエム(requiem:鎮魂歌)」は機体特性ではなく、トビーの想いが表れた名です。この戦いを最後にする、勝利を死んで行った仲間の魂の慰めとする――そういう想いが有るのだと。
「ガンダム・パイモンビリーフ」は単純に武装を増やしていて、さながら弁慶みたいな見た目になっております。乗ってる奴がこれまで刀一本で頑張って来たチートなので、武装増やせばその分強くなるよね(脳死)
「ビリーフ(belief:信念)」からは、カロムの信念を持って戦い抜くという決意、覚悟を見て取れます。――そろそろお気づきかもしれませんが、最終決戦仕様の機体名はこのように、パイロットの決戦への想いや覚悟が伺える名になっているモノも有ります。全部ではないですが、気にしてみると見えて来るモノが有るかも……?
「ガンダム・アスモデウスベンジェンス」、サブアーム十本で十本の剣を持ってブン回すという、超絶高難度な操縦テクを要求される機体ですね。これ自在に操れるの、何かがおかしいのでは?
「ベンジェンス(vengeance:復讐)」に関して、当時の後書きだと「マクギリスに合うかも?」みたいなコトを書きましたが、ちゃんとフェンリスの心情を踏まえての名前でもあります。冷静沈着で聡明な彼が、決戦に際してこのような名を機体に名付けた訳を考えると、ちょっと複雑な気持ちになるような気がするよ。
「ガンダム・キマリスデストラクション」は、名前こそ違えど原作の「ガンダム・キマリスヴィダール」と同じ装備です。キマヴィダには厄祭戦時に確認されていた装備だという設定が有るので、それを活かした形になりますか。
「デストラクション(destruction:破壊)」は機体特性を表す(というか、キマヴィダから作者が得た印象そのままの)モノですが、全てのMAを破壊するというクリウスの決意も有るかと。
「ガンダム・ベリアルコンセンサス」、当時の後書きでは「一人アリアンロッド艦隊」と称しましたが、いやもうこれに尽きるよネ。個人的には、ファンネル・ミサイルを載せてるのが良いと思います。「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」五月七日劇場公開、見逃すなよ諸君!
「コンセンサス(consensus:総意)」は指揮官機として優秀な装備を持つ、機体特性を反映した名です。カッコいいのを探したらこれになった。
「ガンダム・プルソンアサルト」も、武装を強化しつつ汎用性をちょい上げたみたいな機体。プルソン、エクバとかGジェネとかに出すとしたら、こっちの装備じゃないと使い物にならなさそう。
「アサルト(assault:突撃)」は、ケニングの戦闘スタイルを如実に表していますね。多分、ドワーム辺りが勝手に付けた名前だけど、ケニング自身は「カッコいいな! ヨシ!」くらいに思ってる。
「ガンダム・ヴィネアニヒレート」、とにかく火力と武装を盛りまくってる機体。追加武装の大半が新規バックパックに依存してるのは、良いのか悪いのか。このバックパックは、ジャスティス系のファトゥムみたいなモンを想像すれば大体オッケー。
「アニヒレート(annihilate:殲滅)」は機体特性を表すと共に、ディアスの決意も表す名です。
「ガンダム・アモンサヴァイヴ」は「ナノパワードアーマー」とかいう衝撃を吸収して利用するチート装甲をお持ちになっていらっしゃいますが、こちらは原案をそのまま採用した結果です。もうちょっと活躍させたかったなー、というのが反省点。
「サヴァイヴ(survive:生き残る)」は、ミズガルズの決意です。アグニカ個人の願いである「全員で勝つ」というのにも共通しますね。
対するMA側も直属機二種、後期型二種と本気を出してきていますね。バケモンにはバケモンをぶつけんだよ!
ガブリエル直属機「メタトロン」くんは、装甲を一切着けずに機体表面のほぼ全てがスラスターになっているというチャレンジ精神旺盛な機体。ただ、圧倒的な機動力でナノラミネート装甲メタのヒート武器を使って攻めて来るので、相当厄介なMAでもある。「当たらなければどうというコトはない」精神をとことん突き詰めた結果、対ガンダム・フレーム性能を有する機体に仕上がってしまったよ……。
ラファエル直属機「ラジエル」、ナノラミネートコート製の大盾を有するビーム・バリアービット護衛用の機体です。ナノラミネートコートは基本「四大天使」限定となっているんですが、コイツは数少ない例外。もう一つの例外はアンドロマリウス。
「バラキエル」は子機生産能力に優れ、かつ「スパーク・ランス」とかいう機械メタ武器と機動性でガンダム・フレーム戦もこなせる優秀な子。ちっちゃいウリエルみたいな感じ……?
「マスティマ」、こちら人型のMAです。サイズもMSと同じくらいですが、アンドロマリウス(ガンダム・フレーム)のデータを元に開発されたので、順当と言えば順当。機体色は純白です(確定)
ビーム砲内蔵の剣、案を頂いた当時は「はぇー」くらいに思ってましたが、「蒼穹のファフナー」を見た今だとルガーランスにしか見えない。ルガーランスだなこれ。間違いない。
Episode.84「Stalemate, an Invisible Breakthrough」
サブタイは「Breakthrough」のところだけ、鉄血サントラを意識しています。今後しばらく、このように一部をサントラの曲名から取ったサブタイが続きますが、ぶっちゃけ戦闘が思ったより長くなって思いつかなくなっていったからである。ち、ちゃんと合ってる奴使ってるから!(震え声)
もう一つの理由は「カッコいいから」。鉄血のサントラは良曲揃いだから、みんなも作業用BGMにしようね!
前回に引き続き、膠着状態での持久戦。
今度は十国側に焦点を当てています。第四章ではそれぞれが別々に登場し、ユーラシア編くらいでしか各国が交わるコトが無かったので、こうして第四章でちょっとずつ出て来てた方々が全員揃って共闘してると、最終決戦って感じがするよね。
しかし、後半には火星防衛軍が参戦し、それを合図として全軍が一斉に動き出します。火星防衛軍の参加により、まさしくこの場に人類が持つ全戦力が揃い、人類軍の反撃が始まると。
「人類軍」という表現に嫌な感覚を覚える方は、きっとファフナー履修勢。交戦規定アルファを赦してはならない(戒め)
Episode.85「All-Out War」
サブタイの「All Out」は鉄血サントラからです。二期終盤の戦闘シーンで流れてた曲で、バエル対キマヴィダ、ルプスレクスやグシオンの印象が強い。
幕間は時系列を第81話に戻し、アグニカ+各国軍トップの作戦会議の続きです。アグニカがあの後、何を言ったかという答え合わせ。
十国の軍トップ、揃いも揃って聡明で良かった良かった。使えるモノは何でも使う精神、これが無いとこの時代で軍を率いるなんて無理ですからね。一応一般兵の心境にも配慮してる辺り、マジで有能。
一気に攻めに出た人類側に対し、MA側は後期型の「タブリス」を出撃させます。
名前的にはカヲルくんが思い当たる人が多そうですが、見た目や能力的にはゼロワンのメタルクラスタホッパーが一番近いのではないかと。てか、割とそのまんまな気さえしますね……。
そんなタブリスを排除しつつ突っ込む人類軍でしたが、月面に配されたダインスレイヴが放たれ、まず一度目の大被害。
これも含め、月面ダインスレイヴは三回使われますが、艦隊にとっては非常に痛手となる攻撃です。やはりダインスレイヴが最強だったか……?(まあアグニカとか一部の変態は、弾頭の先端を弾いて軌道変えたりしてますけど)
攻撃を受けて、人類は最前線にガンダム・フレームを始めとする最精鋭部隊を集結させてラファエルの撃破を狙いつつ、艦隊の直衛にもMSを回す作戦に変更。それぞれの死闘が開始されました。
Episode.86「to Fulfill our Responsibilities」
危惧されていたダインスレイヴ二射目が放たれ、艦隊は危機に瀕します。
この回から、ネームドキャラにも死者がどんどん出てきますね。あまりにも呆気なさすぎでは、と思われるかもしれませんが、戦争ってそんなモンだと思うよ……。富野監督リスペクトの一環でもある。
ディヤウスの乗るサロモニスも後期型MA「シャムシャエル」のハッキングを受けますが、ディヤウスのハイスペックぶりが、ここで発揮されます。既存のセキュリティやファイアーウォールを一瞬で突破してくるシャムシャエルに対し、全く新しい防壁を作り続けるコトで侵攻を止める――うん、ちょっと何言ってるか分かんないね。
ところでこのシャムシャエル、ヴンダーに張り付いてシステムを乗っ取ろうとしたエヴァンゲリオンMark.9みたいだな……みたいじゃない? 狙った訳じゃないですけど、やってるコトがほぼ同じなんだよねぇこれ。
追い詰められたサロモニスは特攻を選択。火星防衛軍旗艦、エメリコの指揮するイシディスもサロモニスの前方に出て、ラファエルのビーム・バリアーに真正面から突っ込んで行きます。
戦艦の特攻はVガンダムなどにも有りますが、そのせいかやらかした大人たちがやる印象が強い。なので、ここでもやらかした大人たちがやってます。
イシディスはラジエルもろともビーム・バリアーに突っ込み、ミサイルをラファエル本体に放ちますが、ナノラミネートコートの本体には効かず――ナノラミネート塗料を剥がされたところに頭部ビーム砲の直撃を受け、撃沈に追い込まれました。
続くサロモニスはゲーティアがウリエルにやったように、カラドボルグを至近距離から放とうとするも、ラファエルはワイヤーブレードによって発射器を破壊。ウリエルの反省が活かされている……。
この時、ヨウィスとクマーラの助手組は死亡。ブリッジも攻撃を受け、艦長はダイレクトに真っ二つにされ、ディヤウスは穴から吸い出されます。
ディヤウスは死ぬ瞬間、エイハブのコトを懸想して散ります。この時にディヤウスが思い浮かべるコトについては、エイハブともう一つ、妻(アグニカの母)というのはどうかと思いましたが、本編中でその辺りはほぼ触れてこなかったので没りました。
エイハブがラスボス(諸悪の根源)であるコトを知るコト無く死んで行ったのは、良いのか悪いのか。
また、作者が積極的に被せに行った訳ではないんですが、奇しくもマヴァットと同じ死に方になりましたね。ディヤウスとマヴァットは割と似たようなポジションで、セットで扱っても良いくらいなんですが、最期までリンクしてくるとは。
Episode.87「One Way to the End」
サブタイの「One Way」は鉄血サントラから。ギャラルホルンを追われた俺のBGMです。個人的にはバエルのテーマだと思う(本編で初めて流れたのはキマヴィダ初登場シーンですけど)とともに、鉄血サントラの中で一、二を争うくらい好き。
当時の前書きに「直訳じゃないのは双方のカッコ良さの為」と書きましたが、なんでこんな分かり辛い言い方なんや、と自分でも思ったので、この場にて解説をば。
直訳は「終わりへの一本道」となりますが、これだと作品の雰囲気的に絶望感が出てしまいます。一方、意味として挙げた「終戦への一本道」をそのまま英語に直すと「One Way to the End of War」になり、長くなってしまいます。上手く英語も日本語もカッコよくしようとした結果、意訳を載せることにしましたよ――というコトです。
イシディスとサロモニスの特攻により出来たラファエルの隙を初代セブンスターズが突き、ビーム・バリアービットの内の一機を粉砕。本体にはアグニカチームが肉薄し、ビーム砲とワイヤーブレードを無効化。
そして、バエルが懐に突っ込み、二本の剣を突き立ててラファエルを撃破します。この時のバエルの動きは、エクバシリーズでの特格後派生(通称:アグニカボンバー)を意識していたり。これを見抜いた方は相当コアなエクバプレイヤーか、アグニカみに満ち溢れたバエルガチ勢だけだと思われる。
極めつけにダインスレイヴが降り注ぎ、遂にラファエルは沈黙、ゲートが突破されます。思ったより長くなりましたが、ラファエルも「四大天使」としての格を保ったまま死んでいったと言えよう。
バエルとフォカロル、アンドラスが突入し、残りは要塞入口の防衛と外部のMAの殲滅戦に移行。
ここには、何気なく第四章で踏み込んだアメリア軍のキャラ同士の掛け合いが有ります。本当は本編でしっかりやれれば良かったんですが、その暇が無かったので、ちょっとした会話ですが回収をしています。
要塞内部には、小型MA「ハニエル」が溢れかえっています。中期型ながら、数が多すぎるのでとにかく厄介な奴らですが、バエルが突撃してフォカロルがダインスレイヴを撃つコトで最終ハッチも破壊し、遂にガブリエルと対面。
この時のバエルがやった「剣を機体の前で交差させて突撃」は、エクバシリーズのサブ射です。更に元ネタを辿ると、原作での対キマヴィダ戦。第八章はエクバのモーションを多数取り入れていますが、これはやろうと思ってやった訳ではなく、その時々の動きを考えた時に「エクバのアレやん」と思い、せっかくなので小ネタと言わんばかりに使ってみたって感じです。気づいた人、いるんですかね……?
なお、バエル・ソードの本数を計算しながら見ている方は、前回でメタトロンに一本投げて−1、ラファエルに二本刺して更に−2で、突入時に二本残ってるのはおかしくね? と思われたかもしれません。
こちらに関しては本編中に書く隙が無かったんですが、ラファエル撃破前までに、前回でメタトロンに投げた一本を回収しています。それでギリギリ修復されて復活してきたメタトロンが、バエルを追って要塞に突入しようとしたオセに攻撃していると。
要塞最奥部に到着したバエルとフォカロルを、ガブリエルはダインスレイヴでお出迎え。
出待ちダインスレイヴとか殺意があまりにも高いですが、ガブリエルは戦闘特化ではないので、ウリエルやミカエルを倒して来た奴らとマトモにやり合うのは避けたかったんですね。不意打ちでフォカロルを削れたのは大きいですが、ガブリエル的に一番戦いたくないであろうアグニカには、それすら通じなかったと。
エイハブからは多分「なるべく粘って死ね」くらいしか言われてない。哀れなり中間管理職。
Episode.88「Extermity Battle for Death」
サブタイは鉄血サントラから「Last Extremity」と「Battle for Death」の合わせ技。前者は二期の昭弘対ガラン戦などに流れたBGMで、後者はバルバトスルプス対ハシュマル戦の時のBGMです。
この回は要塞外部の戦いを描いていますね。前回いよいよガブリエル戦! というところで引いたのに、いざ更新されたらこれなのはアレな気もしますが、同時に複数箇所で戦闘が起きてるので赦して。
ハニエルが要塞内部から湧き出て、後期型が艦隊に襲いかかり、戦場が混沌とする中で――MA側はナノミラーチャフを展開し、人類側の動きを止めた上でダインスレイヴを発射。人類側は対処出来ず、これまでの比にならない大損害を被るコトとなってしまいました。
ナノミラーチャフ→ダインスレイヴのコンボが酷すぎて草が枯れる。これどうしようもねぇだろ……ネームドキャラも次々と仕留められ、各国の旗艦も複数が撃沈。なんだこの地獄……(ドン引き)
なお、このクソコンボをやったのはガブリエルではなく、エイハブです。ガブリエルはアグニカ戦で手一杯だったんで。
運良く生き残った者たちは、怒りと哀しみのままに、なおも殲滅戦を展開します。ガブリエルを撃破し、MAを殲滅するまで、撤退は赦されない――そういう作戦ですからね。
Episode.89「Signs of Victory, Scatter Life」
サブタイの「Signs of Victory」は鉄血サントラより。この状況下でこそ、俺が本当に望んでいた世界を手に入れられるかもしれないBGMです。
要塞外部で地獄が顕現する中、要塞内部でもガンダム・フレーム二機で「四大天使」一機を倒さねばならないという地獄になっています。ガブリエルが第二章の建造された当初に比べて強化されているコトと、ガンダム・フレームの機動性を活かしきれない狭い空間というコトも有り、相当厳しい戦い。
「自己進化してない?」と思われるかもしれませんが、ガブリエルは他のMAの製造プラントを使って自身の強化パーツを建造し、換装するコトでアップデートされています。その場で進化するミカエルの方がチートなのは言うまでもない。まあ、アップデート前のガブリエルはデカい「天使長」くらいのしょっぱい性能なので、万一戦闘する事態を想定して自分を強化するくらいは……ねぇ?
アマディスは自分を犠牲にしてアグニカの道を開くコトを決め、「覚醒」するとともにガブリエルに突撃。ガブリエルの注意を引いてフォカロルは四散してしまうものの、その隙にバエルはガブリエルの頭部を破壊し、予測を超える速度で動き、ガブリエルを翻弄します。
この時のアグニカは既に阿頼耶識とガンダム・フレームが辿り着き得る境地に達しており、地の文でも「八感(=『阿頼耶識』)」という表現を使っています。ガブリエルの攻撃の悉くをかいくぐり、武器を犠牲にこそすれ本体はほぼ無傷でガブリエルの撃破に至っている、アグニカの強さはどう考えても異常と言うべきレベルですね。最高だな!
ちなみに、ガブリエルのラストアタックとなる「前転するように縦回転しながらも、左腕の剣を逆手に持ち替え、全速で降下する」動きは、エクバの後格(ピョン格)です。更に元ネタを言うと、原作でイオク様の乗るグレイズのコクピットを狙った時のアクション。マクギリスは仕留め損ないましたが、アグニカはバッチリ仕留めたよ。
一方、要塞内の通路で戦うアンドラスは、アグニカ達のいる最奥部へのハッチが閉じられようとしているのに対し、それを阻止すべくハッチに挟まった結果、コクピットを潰されてしまうと。
大駕にアマディス、そしてトビーは、アグニカの道を切り開く為に死んでいっているという点が共通しています。しかしトビー、死に方がエグい……。
なお、ここのハッチはアグニカとアマディスに壊された物とトビーが挟まった物の二重構造になっていました。閉じさせたのはエイハブ。ガブリエルが撃破されたコトでアンドロマリウスの出撃が必要になり、一対一でアグニカと戦う為の措置です。
ガブリエルを撃破し、生きる目的を全て失ったアグニカは意識を手放す直前まで行きます。阿頼耶識とガンダム・フレームの行き着く先に行き着いた以上、それは自身の全てを悪魔に捧げたというコトなので、迎える結末は死のみ。
しかし、失われた悪魔――アンドロマリウスが現れたコトで、アグニカは意識を取り戻しました。
このガブリエル撃破後、全てが終わったハズのところでアンドロマリウスがゆっくりと現れるシーンは、連載開始前から思い描いていたシーンです。ずっとこれがやりたかった、ここに向けて進んでいたと言っても過言ではない。
無論、最終目標は原作に有った三日月とオルガが「決まった」シーンでしたが、それと同じくらいにこのアンドロマリウス登場シーンは重要視していました。この為に色々仕込みましたからねぇ!
Episode.90「Answer」
突如、バエルとアグニカの前に姿を現した最後のガンダム・フレーム、アンドロマリウス。
それが言葉を発し、その中に宿る者がエイハブ・バーラエナであるコトが明かされる。ハイここ、連載開始前からやりたかったシーンその二ッ!
改めて「ガンダム・アンドロマリウス」について書くと、コイツをラスボスにするというコトは、連載開始前は愚か、作品の初期構想をしていた時から決定していました。
厄祭戦は天使の名を持つ無人兵器、MAとの戦いでありますが、それを造ったのは人類。それに命令を下しているのは、エイハブという人間。なら、人類側の象徴であるMS――ガンダム・フレームをラスボスに据えるコトにより、絵面的に「人間の敵は人間である」と分かりやすく示せるのではないか、と考えました。戦いは同じレベルの者同士の間でしか発生しないからね、人間の敵はいつだって人間さ。
アグニカが乗るバエルは最初のガンダム・フレーム、ならば対を成すラスボス機は最後のガンダム・フレームたるアンドロマリウスこそが相応しいと結論し、こういう形に。色も白と青のバエルに対して黒と赤、実体武器しか持たないバエルに対してビーム兵器も装備、細身の片手剣二刀流であるバエルに対して太身の大剣一刀流、しかも左利き――と、バエルとはあらゆる面で相反するような構成にしています。
四つ目にしたのは何となくですが、おかげでエヴァ初号機に対する第13号機みたいになった。このアンドロマリウスの設定を作ったのは連載開始前、当然シンエヴァ公開前だったので、狙ってやった訳ではないですが。これに限らず、意図せずエヴァっぽくなってる部分はいくつか有りますが、作者は14歳の時にエヴァに出会っている人間なので、きっともう魂のルフランに刻み込まれてるんでしょう。意図したところもちょくちょく有るよ!
なお、アンドロマリウスの強さ(性能)については「四大天使」と比べるとどうなのか、と質問を貰いましたが、アンドロマリウスは基本「ナノラミネート装甲持ち機体に対するメタ機体」として設定しています。出力もトリプル・リアクターシステムにより他のガンダム・フレームとは一線を画すほどのモノですが、「四大天使」とガチでやり合うとどうなるかは――状況次第、としか言いようがない。
アンドロマリウスがこういう装備になったのは、対ガンダム・フレームは勿論のコト、万が一「四大天使」レベルのMAが離反した時のコトも想定しているので、相当良い勝負をするのは間違いないでしょうが、最終的にどうなるかは作者もちょっと分からないです。まあ、アンドロマリウスはエイハブ(の脳)が載っている限り、全MAに対する命令権を持っているんで、ガチバトルにはならないと思われる。
エイハブに関しては、この回で(ほぼ)全てがエイハブにより仕組まれたモノであると判明し、セレドニオやデイミアン以上の諸悪の根源ってコトが明らかになります。
メッチャ色々ペラペラと喋ってくれてますが、十年誰とも喋ってなかったおじいちゃんだからね。そりゃ喋りたくなるよね。後、エイハブさんは普通に親切な良い人なので、基本的に聞かれて答えられるコトなら何でも教えてくれるよ。
しかし、アグニカにとってエイハブの行為が赦し難いモノであるコトに間違いは有りません。
エイハブにアグニカは挑むも、アンドロマリウスはマジで強いのでバエルも防戦一方となり、追い詰められます。まだ「覚醒」というカードを残しているとはいえ、この時点のアグニカを圧倒するのは相当ヤバいぞ……(畏怖)
なお、アンドロマリウスに搭載された「Slaughter System」は、機体の出力制限解除を意図的に引き起こすモノ――と説明していますが、通常の「覚醒」と違って悪魔にやる気が無いので、「覚醒」とは似て非なるモノです。機体の眼が赤くならないのはそのせい。
もう一つ、アンドロマリウスは「四大天使」と同じ中枢制御コンピューターによって動かされています。エイハブは基本喋るだけですが、命令を制御ユニットに下すコトで、ある程度機体を意のままに動かすコトも出来るという感じ。
そして、エイハブが語る行動の目的は「人類の未来の為」でした。
Episode.91「I deny you」
「人類の未来の為」――「英雄」となったアグニカが戦う理由と、全く同じです。
人類史とは戦争の歴史、人類は戦いをやめられない――色んな作品で使い古された意見ですが、結局これ何ですよねぇ。ただ「完成した自律型無人兵器のせいで、人類は自らの手を血で汚すコトすらしなくなった」という点で、より酷くなってはいるかもしれませんが。
なお、エイハブの言う「ヘイムダルは無数の死傷者を出すコトになった。その原因は十国の身勝手な決定にこそ有る」に関しては、「いやお前がMAを世界にバラ撒いたせいだろ」の一言で論破可能。ここツッコミポイント。
「人類は共通の敵を前に団結し、種族間闘争に明け暮れる日々を打破するコトが出来た」もツッコミポイント。本当? 本当にそう思うの??? もしアグニカのポジションに私がいたら、この時点で吹き出してるでしょう。ぐふっ……! まさか、そのような……尊いお考えが、有ったとは……感動……致し、ました……!(アルミン並感)
ちなみに、エイハブはしきりに「人類を進化させる」と言っていますが、方法としては「全人類を機械化してあらゆる環境に適応し、一切争わない存在にする」というモノです。
宇宙世紀的に言えばニュータイプへの人工的な覚醒、でしょうか。全人類強化人間化計画。脳を支配して行動を決定してしまえば、戦争は起きなくなりますし――機械化で宇宙にすら裸のまま出て行けるようになれば、それは水生生物が陸に上がるコトと同じ、紛れもない進化ですからね。要するに全人類が鉄仮面となって、しかも脳波コントロール出来るようになる。ディストピアかな?
だからこそ、ガンダム・バエルとの完全なる一体化を果たしたアグニカ・カイエルは、まさにエイハブの理想の体現だったという訳です。
また、エイハブは「この場に集った兵器の全てを排斥するコトで、人類から戦争の手段を奪う」とも言っていますが、その兵器を動かす人々こそ「団結して種族間闘争を打破した人々」なので、その人たち諸共全ての兵器を破壊するというのは、かなり矛盾した発言と言えます。
エイハブはもう既に正気じゃないので、人類最高の頭脳を持つハズなのに、こんな矛盾にすら気付くコトが出来ていないと。
とまあ、こんな妄言を吐き、これまで死んで行った人々の全てを「必要な犠牲」「本望だろう」と簡単な言葉で片付けてしまったエイハブを、アグニカは全力で否定します。当然、アグニカにとっては何としても否定しなければならない言葉。
あらゆる感情を殺して戦って来たアグニカが、耐えきれずにブチギレ散らかすこのシーンも、連載開始前から構想していたシーンです。「フザケてんじゃねぇッ!!!」を始めとして、この辺りのセリフは予告編にも使ってもらっています。
そしてここのシーン、γナノラミネート・バスターソードとぶつかったコトで、バエル・ソードが折れてるコトに気づいた人はきっといるハズ。
原作で折れたコトに散々文句言っといてテメェもやってんじゃねぇか、と非難されても仕方ないですが、γナノラミネート・バスターソードはクソ太くてデカいのに、それをアグニカが怒りのままに正面からブチ折りに行ったので……作者脳内補正がかかっていて、その上で折れてしまったのよ。テヘペロ♡
豆鉄砲で折られた原作と違って、カッコいい折れ方なのでセーフだと思う。セーフだよね?
なおも理解を求めるエイハブに対し、アグニカはエイハブの本質を見抜く発言をしています。それはエイハブ自身も認識していないコトですが、アグニカはそれも含め、エイハブという男の全てを赦せない。絶対に赦す訳には行かない――というコトで、言葉をいくら交わしても、アグニカとエイハブは絶対に分かり合えません。
では、どうするか。
言うまでもなく、戦って暴力で相手をねじ伏せ、我を通すしかない。
戦いを嫌悪しているエイハブも、結局は戦いによってしか、己が目的を達するコトが出来ないんですよね。これまでもこれからも、エイハブは兵器を使って戦うコトを手段とするしかないのです。
ここまで色々と書いてきましたが、エイハブ・バーラエナという人間が最初から最後まで矛盾(破綻)しまくっている、というコトがお分かり頂けるかと思います。
一方、要塞外部の戦闘は落ち着いたものの、犠牲が出まくってしまっています。
失意と疲弊の中で撤退への準備が進められるも、ソロモンはアグニカ達が残る内部への突入を決断。アンドラスの残骸諸共、温存していた「ソーラ・キャノン」で進入路を切り開き、クリウスのキマリス共々、要塞の最奥部へ。
ここの「ソーラ・キャノン」、当初は「ジーク・アグニカ・キャノン」にする予定だったんですが、シリアスを真っ向から崩すのは良くないと思い、その叫びは没になりました。空気感の方が大事よね。
Episode.92「The Hero of the Calamity War」
バエルとアンドロマリウス、最後の死闘。
「スティング」により脳を焼かれ、アグニカが死亡してなお、バエルは止まらずに戦い続けます。コクピットにビーム・サーベルを突き立てられ、アグニカの肉体が一片残らず蒸発しても、バエルは動き続ける――悪魔かな? 悪魔だったわ。
死闘の果てに、バエル・ソードに中枢制御コンピューター部を貫かれ、アンドロマリウスは敗北。アグニカの命を犠牲としながらも、バエルの勝利となりました。
最後にアグニカが払う犠牲は、自分自身の命であったというコトですね。
この時の剣を逆手に持って正面を突く動きは、エクバで言う前格の初段です。元ネタは……原作でハーフビーク級のブリッジを突く動き、なのかな?
これも狙ってやった訳ではなく、偶然の産物であります。この回のバエルの戦闘は、剣を持っていない為に獣のような動きをしていましたが、やはりラストアタックはバエル・ソードだった。
そして、阿頼耶識とガンダム・フレームが英雄製造機であり、人類の進化を実現するモノであったというコトが語られます。
流石にディヤウスやマヴァットにとっても想定外の代物でしょうが、結果として人機一体の新人類を生み出したコトに変わりはなく、アグニカ・カイエルがそうなったコトに間違いは有りません。
故にこそ、ガンダム・バエルは「アグニカ・カイエルの魂が宿るモビルスーツ」な訳です。
阿頼耶識とガンダム・フレームの本質は原作設定ではありませんが、原作設定を上手く膨らませて、上手く使ってやったという自負が有ります。使い方の性格がかなり悪いですけど、まあ今に始まったコトではないでしょう。私もそろそろ開き直ります。
そんなバエルとアグニカを客観的に見て、エイハブはそれを見るに耐えない醜いモノと感じ、ようやく自らの過ちに気づきました。
彼の原点、最初には一体、何が有ったのでしょうか?
Episode.93「Moon Tears」
サブタイの別案は「Larme de la lune」、日本語訳は採用案と同じく「月の涙」ですが、こちらはフランス語です。予告編ついでに案として貰ったモノなんですが、ここだけフランス語使うのもなぁ、というシンプルな理由で没られました。
この回では、エイハブ・バーラエナについて掘り下げられます。
ここが最も分かりやすいと思うのでここで書きますが、エイハブのキャラコンセプトは「もう一人のアグニカ・カイエル」です。人々の願いや望みを叶え続けたにも関わらず、人類に裏切られ続けたアグニカの末路こそが、エイハブ・バーラエナ。
もしアグニカが戦後も生き残っていたら、エイハブのようになっていたかもしれません。「大切なモノの全てを犠牲にしてMAを殲滅したのに、戦争は終わらなかった」となる訳ですからね。
エイハブの過去を見ると、幼馴染の女性と婚姻するも、戦争で彼女とそのお腹の子は殺され、家族や友人なども全員死んでいます。スヴァハを失ったアグニカと、ピッタリ重なるコトに気付けるかと。
そうしたのは、彼が開発に携わった無人兵器。ここで一度、エイハブは人類に裏切られています。
なお、エイハブがガブリエルのプログラムを短時間で書き換えたり、ディヤウスに尊敬されるようになったのはこの経歴のおかげ。エイハブは元々、ディヤウスと同じ畑の人間だったんですね。
その後、エイハブは天涯孤独ながらも火星テラフォーミングに協力し、成功させます――が、火星は地球の植民地となり、火星の人々が地球に一方的に搾取される構造が出来上がりました。
自らの行いが格差を生み、多くの人々を苦しめた――人類からの、二度目の裏切りです。
そして、彼は資源やエネルギーを奪い合う戦いを終わらせるべく、人生の全てを費やしてエイハブ・リアクターを創ったと。
その結果がどうなったかは、第一章をご覧頂ければ分かる通り――三度、エイハブは人類に裏切られました。
彼はここで今の人類を見限り、団結を促して人類を進化させるコトでしか戦争を根絶する手段が存在しないとの結論に達し、何をしたかは本編の通り。
しかし、彼は一番最初の望みを忘れてしまっていた―――というところ。
新たに突入してきたオセとキマリス。
バエルはキマリスが回収します。原作でバエルと戦ったキマリスがバエルを迎えに来る、エモい気がする……エモくない? 我こういうの好き。
エイハブは月が自爆するコトを告げ、その声を聞いたソロモンはエイハブを連れて行くコトを決意。
ソロモンはソロモンでしか有りませんが、エイハブと共に死ぬコトが彼にとってのケジメ。MA開発に携わった者としての、責任の取り方です。
「私の望みは何だった?」と問うエイハブ。
ソロモンはそれに「皆の笑顔ではないか」と返しますが、これはソロモンの、というよりかはトリテミウスのモノでしょう。頭では覚えていなくても、きっと魂が覚えていたのだろうと思います。
ソロモンの言葉で、エイハブは「私は大した奴でも、何でもなかった」という結論に達しました。人間は間違うモノだし、それを繰り返してしまうモノではあるが、何だかんだ折り合いをつけながら次の世代へと繋げていくモノなのだと。
この辺りは本作の主題、というかテーマが表れている部分でもありますが、詳しくは断章の振り返りの後、最後の「総括」でお話しします。
最後に月は自爆し、MAとの戦いは終了。
ガブリエルが築いた施設は、戦後に残ると色々と面倒なコトになりますので、ここで全損させるのが後の世の為になると言えましょう。
なお、月の裏側にある「ナスル」に残された「イガルク・アリグナク」を使い、月の自爆と共に地球に何かする――という案も有りましたが、結局それは没になりました。「何か」が思いつかなかった、というのが主な要因ですが。
かくして、第八章は終幕です。
MAとの決着を付けると共に、これまでバラまいてきた数々の伏線を一気に回収する場ともなりました。最終決戦に相応しい盛り上がりになったかと。
ハードな展開の連続ではありますが、書いてて一番楽しかった章です。怒涛の伏線回収、エゴとエゴのぶつかり合い、長い間温めてきたアレやコレの吐き出しなど、筆がノる要素しか無かったぜ。
◇
終章 未来 -The Return of Stability-
厄祭戦の本題であるMAとの戦いが終わり、いよいよ後は物語を締めくくるのみ。「起承転結」の「結」にあたる部分です。
章タイトルの「未来」はスパッと決めましたが、副題はなかなかそうは行かず。作品構想初期は「Changing World(変わっていく世界)」としていたんですが、構想を固めていく中で「別に変わる訳ではなくね?」と気付き、最終的には現行のモノに落ち着きました。
Episode.94「War that Never Ends」
MAが倒されても、戦争は終わりませんでした。
残念ながら、人類なんてそんなモンだよねと。戦争が無くなる未来を選ばず、今のままで生き続けるコトを選んだのは人類自身、彼らが祭り上げた「英雄」だった訳ですから。
この回は終章の入りとして、あろうことかセリフすらかなぐり捨てて色々ゴチャゴチャと半年分の世界情勢を簡単に説明しきっています。えぇ……?
大きく分けてアメリアとアラビア、その他って感じになりますね。
アメリアに関しては、原作の四大経済圏を見ると現実のカナダ以北がアーブラウ、アメリカ本土以南がSAUになってるので、真っ二つに分かれるコトは連載当初から予定されていました。原作でアーブラウとSAUは地域紛争までしてるので、まあ仲もよろしくない=比較的最近揉めたのでは、という推測を立て、厄祭戦終了直前となるこの時期に揉めさせて南北戦争という形に。
北側とユーラシアは後にアーブラウとなり、南側とラテンアメリアはSAUとして一緒になるので、介入という形でそれぞれ噛ませています。
また、大まかに行って北側=民主党、南側=共和党という感じで分かれます。二大政党の名前は現実のアメリカと同じにしていますが(新しく考えるのも面倒臭かったし、逆に混乱を招くと判断したので)、本作はフィクションだからね! 現実の団体、組織や個人とは一切関わり無いよ!
アラビアは地域的に元々爆弾を抱えてるようなモンでしたが、モロにそれが爆発して瓦解していったって感じですね。
このアラビア崩壊劇に関しては参考文献が有り(なんでさ)、喬良氏と王湘穂氏の共著「超限戦」がそうです。割と有名な本ですが、ざっくり言うと「現代の戦争は物理電子仮想問わず、あらゆる空間が戦場となり得る」って書いてある代物。個人的には、こういう視点を持つ人物が二十年以上前から中国の人民解放軍にいた、という事実自体が重要な気もしますが。
それはさておき、この本の記述に則りつつ書いたのがアラビアの惨劇。周辺の三国が関わっていますが、彼らはギリギリまで軍を出しておらず、その前に国内を引っかき回しまくってるのがポイント。
なお、便宜上「右翼=保守派」「左翼=改革派」という意図で右だの左だの書いてますが、現実の右翼左翼という表現は元を正すと、フランス革命時の国民議会に行き着きます。
とすると、作品世界の中で右翼がどうの左翼がどうのと言うのは表現として適正なのか、という問題になりますが、語源云々は細かく気にし始めたらキリが無いので、本作では基本的に全て許容しています。ご了承あれ。
この他の国も国内がグチャグチャになっていて、そのカオスぶりは当時のが後書きに付けた世界地図を見ると分かる通り。これでも都市一つ規模の独立とか内乱は省略してるんだよ?(白目)
いやー乱世乱世。お前ら戦い過ぎだ……。
Episode.95「to Inherit the Will」
前回で散々描いた世界の混乱の中、この回ではヘイムダルに視点を戻されます。
ヘイムダルとて、決して余裕が有る状況ではありませんが――アグニカ・カイエルが望んでいた世界はこんなモノではないから、平和な世界を実現させようと決意しました。
その為には、自分たちだけが世界で唯一無二の武装勢力となり、戦争の火種となり得るモノを武力で叩き潰すコトが必要だと結論されます。
原作を知っている方は、それがギャラルホルンの在り方そのものであるとお気づきになられたかと。
「戦争を終わらせる」と宣言した英雄アグニカ・カイエルとその乗機ガンダム・バエルの下、武力を振るう。
アグニカを組織の象徴とし、自分たちの名誉も汚名も全てを背負わせる――アグニカ個人の人間性を知っているからこそ、それが如何に酷なコトかが、初代セブンスターズには分かってしまうんですね。
英雄となったアグニカと同じように、使命の為に個人としての感情や想いを切り捨てるコトが、求められているのです。
Episode.96「Last Sacrifice」
サブタイが「何でこれ?」となるかもしれませんが、これで良いのだよ。最後に犠牲になるのはアグニカ個人と、その良き友人であったセブンスターズら仲間たちであるというコトなので。
本来、このサブタイは第八章で使おうと思っていたのですが、上記の性格のイイ理由により、敢えてここで使ってやろうとなりました。
象徴としてアグニカを使い捨て、手段を問わず世界平和の為に戦うか――戦う者もいれば戦わない者もいて、傍観者となるコトを決めた者もいると。
ウィルフレッドはちょっと特殊な立ち位置になりましたが、戦後は本を書いて出したりする――というのは、第四章と第五章の振り返りの際にちょっと言及しましたね。「アグニカやレヒニータとの絡み無くない?」と思われるかもしれませんが、無いからこそ客観的に書けたんでしょう。
パフォーマンス的にバエルを動かす役になって、その為に阿頼耶識を使ったコトで、バエルの中に残ったアグニカと会話する――なんてのも構想したんですが、最終的には没となりました。「バエルが動くなら、なんでアグニカは出て来ないんだ」と思われかねないコトは避けるのが当然ですし、これ以上アグニカに関して書いても蛇足になると判断してのコトです。
「アグニカは自分の命を犠牲に、MAとの戦いを終わらせた」――この事実だけで充分ではないか、と思いまして。
マルコシアスが金星に向かったのは、一応ウルズハントとの整合性を取ろうとした結果です。
本当に配信されるか知りませんが、もしアプリが配信されてマルコシアス(端白星)関連の設定が出てきた場合、矛盾が生じる可能性は大。ゆるして。
この後の会議で、セブンスターズという名と「七星十字勲章」についてが決定。
七星十字勲章の数でセブンスターズの席次が決まっている、というのは原作設定ですが、勲章の名前的に後世のでっち上げという風にするのが一番適当かなと判断しました。戦時中に勲章の数を数えたりなんて作劇的に面倒でやってらんないですし、名声の為に戦った訳ではない方が良いと判断したので。
Episode.97「lay the Groundwork」
二話分を費やして決意を固めたセブンスターズの面々は、各地の戦友たちに協力を仰ぎに行く――という回。オセアニアとサンスクリット、中連の三国に絞って書きましたが、アメリアやユーラシアなど他のところにも言ってたりする。
こちらも前回の選択と同じ。
協力する者もいれば、国と運命を共にするという者もいると。
戦争を終わらせたいという想いは同じでも、それぞれ考え方の違いにより、協力出来ないところも有る。やむを得ないすれ違いも起きています。
Episode.98「Gjallarhorn」
サブタイは満を持して、って奴ですね。これ以前に第二章の地の文でフライングしたりはしてましたが、いよいよ出来たんやなって感じがする。
スペルは原作に出てる正式な奴を使ってます。その辺りは抜かりないのサ。
前回のラストでオセアニアの議場に凸ったドワーム、それと同時に全世界に向けてカロムとフェンリスが声明を発表します。男女一人ずつ、面倒臭い層にも配慮してますね(適当)
ヘイムダルはギャラルホルンとなり、MAを殲滅する為の組織から、世界秩序を維持する為の暴力装置へと変わります。
まあ、この時期だと世界秩序を新たに構築するっていう段階なんですけれども。何なら断章もその段階。
ギャラルホルンに協力する軍部のクーデターも受け、オセアニアはギャラルホルンの要求を真っ先に受け入れる国となりました。宣言から即刻、大国の一つがギャラルホルンに従ったのは大きい。
そして、宣言から間もなくオセアニア内の反乱分子がギャラルホルンにより一掃されると。
もしかしたら相手方にもガンダム・フレームがいたりしたかもしれませんが、流石に初代セブンスターズ+ダンタリオン相手だとねぇ……。こうして力を示すコトも、ギャラルホルンの悲願の為にはプラス材料になり得ますね。
迷いなくポンポンと事態を進めていく、ギャラルホルンはそれだけ準備していましたし、成し遂げるだけの力も持っているという訳です。
大国の大半は静観を選ぶも、中連が真っ先にNOを突きつけたコトで、早くも二国の軍を取り込んだギャラルホルンは中連と戦うコトとなります。
中連が愚かな選択をしているように見えるかもしれませんが、中連は前回の
Episode.99「Let's get this over with」
中連軍と全面的に戦闘をするギャラルホルン。
そもそもガンダム・フレームの数が違っていてお話にならないんですが、フォルネウスは海というステージの都合上、カロム相手にかなり善戦していますね。互いに「覚醒」を使わない戦いとなりましたが、最後はカロムが勝利を掴みました。セブンスターズ第一席として、恥じない強さを見せつけたと言えるでしょう。
かくして中連に完勝したコトで、静観していた他国もギャラルホルンと戦うのは得策ではないと判断して、「オセアニアとの癒着やめろ(要約)」と言いつつギャラルホルンに従うコトとなりました。
ここまで来るとギャラルホルンは世界最強の戦力を持つ組織になってるので、なおも歯向かう者たちをひねり潰しつつ、基本は平和的な話し合いで合意を形成していきます。戦力を保有してチラつかせながらの話し合い、常套手段かつ当たり前ですね。
こうして地球の意志が統一されたコトで、ようやく終戦宣言どうするという話に。結果、火星のレヒニータに声をかけ、終戦するコトで話をまとめようとなりました。
ここで、火星の状況について語られます。
火星も一筋縄では行かず、対立構造も生まれつつありましたが、レヒニータは頑張ってます。レヒニータさんには、是非ともこのまま頑張ってほしい。
地球は火星への自治権付与をチラつかせ、終戦宣言への合意をレヒニータに求めます。
「え?」と思った方は、本作の雰囲気をよく分かっていらっしゃる。ここは断章への伏線とも言える場所なので、そちらをご確認下さい(自然な誘導)
また、シプリアノが意味深な発言を幾つかしていますが、これもバリバリに断章への伏線。オマケ用の伏線を本編中に張るなよ、と作者には反省を促していきたい所存。すみませんでしたァ!
そして、シプリアノがこれをよく思っていないコトも断章に響いてきます。地球側の主張がどういう意味を持つかを考えると、まあそりゃ火星軍にいたコトが有るシプリアノがよく思う訳無いんですが。
Episode.100「Iron-Blooded Orphans」
最終話をこのサブタイにするというコトは、連載開始前は愚か初期構想時から決定していました。
色々考えたんですが、やはり最後(最初)はこれしかないでしょうと。
まずはギャラルホルンの組織体制について解説。
原作でも聞いたコトの有る用語や名前が多数登場しており、ギャラルホルンが完成していく過程がよく分かるようになっていると思います。なお、各部署や艦隊の関係性は推測や考察が含まれる部分も有りますが、悪しからずご了承下さい。特に月鋼関連――まあ、公式がギャラルホルンの組織図一つ出してないのが悪いんで(断言)
なお、原作で出たスキップジャック級大型戦艦は本作だとここが初出となりますが、デカすぎて厄祭戦時の使い道が思いつかなかったが為の措置です。こんなデカい戦艦、ギャラルホルンの権威の象徴の一つってコトにでもしとかないと――ねぇ……?
しかし、スキップジャック級は八百メートルなので、他シリーズのジュピトリスやラビアンローズ、ピースミリオン、ゴンドワナなどに比べると、大分マシって言うのがね。まあW世界の宇宙戦艦はピースミリオンと言いリーブラと言い、そもそもサイズ感覚がバグってる説は有ると思いますけど。
また、エイハブ・リアクターの建造プラントが太陽圏に有るというのは公式設定です。木星圏の環境でしか造れないとされていた00のGNドライヴとは違い、太陽圏の環境がリアクター建造に必須という設定は確認出来なかったので、単純にセキュリティとかの問題だと思われる。
まあ、太陽まで離れてれば宇宙海賊もいないし、技術目当てで襲うのも難しいですからね。太陽圏と地球圏を往復する、ジュピトリス的なスキップジャック級超えの輸送艦が有るのかも……とか思うと、夢が膨らみます。金星舞台のウルズハントで、その辺りもやってくれたりしないですか?(まずアプリは本当に配信されるのだろうか、とか言ってはいけない)
四大経済圏の構築は、まあ原作の世界地図とかも参考にしつつって感じです。SAUの正式名称「STRATEGIC ALLIANCE UNION」はあまり知られていないし、私もうろ覚えで言うコトは出来ないよ。何度も言うが、英語は苦手なんだ(オイ)
ポイントは火星についての言及。
「『しばらくは』現地での自治が認められる」から、断章で何が起こるかは大体察するコトが出来ようと言うモノ。そもそも「火星分割編」って、最終回の後書きで言っちゃってますけども。
そして、いよいよ「ヴィーンゴールヴ宣言」。
発布日は勝手に三月二日というコトにしていますが、実はアグニカの誕生日であるという裏設定が有ります。なお、他のキャラの誕生日は一切考えてないので、聞かれても答えかねます。物語の展開に必要じゃない設定は基本的に作らないんだ(開き直り)
じゃあ何故アグニカの誕生日だけ設定してるのかと言うと、Gジェネのマイキャラでアグニカを作る時に設定する必要が有ったからですね。ゲーム的な習得スキルを鑑みて設定したんですが、結果として個人的に全アニメ女子キャラ内最推しである間桐桜ちゃんと同じになってしまったという。ただ可愛い後輩ってだけのキャラじゃない桜ちゃんをすこれ。
なお、宣言に記された名前は十三人分と有りますが、これは初代セブンスターズ+四大経済圏代表+火星代表+アグニカとなります。
この宣言で「アグニカ・カイエルはギャラルホルンの創設者である」とされ、後世にもそのように伝えられていきます。アグニカの名の下に正当性を訴えて戦ったのがギャラルホルンなので、そう喧伝するコトは自然と言えましょう。物語の展開と原作設定をちょっと無理矢理すり合わせた(辻褄を合わせた)部分になってしまいますが、これで原作のキャラの発言とは矛盾しないのでセーフ。きっと。
宣言の舞台は「バエルの祭壇」――原作をご存知の方には説明する必要も感じない、例のあの場所でございます。
全世界に散らばるかつての仲間たち、登場人物たちが、この宣言を聞き届けます。作中で、というか鉄血世界で「厄祭戦」という名が使われるのは、この宣言が初めてです。これは公式設定。
かくして、世界は安寧を取り戻し。
「ガンダム・バエル」は閉ざされた祭壇の中で、長い眠りにつくコトとなりました。
最後には何と、マクギリス・ファリドが登場。
「※この後負けます」と注釈を付けるだけで途端にアレに見えますが、このシーンだけ切り取ればカッコいいからね。イケメンだし声も良いからね。一部を切り取って都合良く見せるのは、昔からマスコミもよくやってる伝統芸能。
しかし、本作の内容を経た後だと、マクギリスが負けるのも仕方ないように見えて来る気がする。
誰かの為、未来の為に仲間と共に戦ったアグニカと、自分の為に孤独な王者として戦ったマクギリスでは、その在り方が真反対であると言えます。そんなマクギリスに、バエル(アグニカ)が力を貸す訳が有りませんから。
狙ってやった訳ではないですが、原作の展開を下支えするコトになってる気がしないでもない。
そして、本作のラストシーンは、原作の主人公である三日月・オーガスとオルガ・イツカの始まり。夕方の路地裏で、「ここじゃないどっか」を目指し始めるシーンとなります。
ラストシーンをこのシーンにするというコトは、連載開始時点で決定していました。三百年前の着地点は「ヴィーンゴールヴ宣言」、作品の最後は「誓い」のシーン。本作はこのシーンに繋げる為に、これまで進み続けて来たと言えましょう。
なお、この誓いのシーンはあろうことか原作であまり深掘りされていやがらないので、男を撃つに至る経緯に関しては独自の解釈が含まれます。
原作の描写だと、撃たれた男の周りには金が散らばっています。なので金目当てだったのかも、と思いましたが、二人の始まりがそんな小さい目的なのはアレかなとも思ったので、危うくヒューマンデブリとして売りさばかれるところだったから男を撃ち殺して自由になった。ここから自由に生きる――というコトにしておきました。
原作の一期で取り扱われるヒューマンデブリについて、本作内では特に語っていませんでしたが、終章で闇市場について言及したりと、土台は整えているつもりです。戦後の混乱で発生し、地球とそれ以外の地域での格差がどんどん拡大していくと共に、生まれ出てしまったモノではないか――と、作者はヒューマンデブリ制度の始まりを推測しています。
三日月とオルガのセリフは、原作一話と十九話を参照しました。主に十九話ですね。
地の文で二人の名前を最後まで出さないのがこだわりポイント。彼らの人生、彼らの物語は此処から始まる、というコトを表しているつもりです。
かくして、終章は幕を閉じ、本作は完結。
個人的に物語を畳むのが一番苦手と自負していますが、本作に関しては初めから着地点、締め方を決めていたので、美しく終わったんじゃないかなーと思います。
以上で、物語の振り返りは終了となります。
次回は散々話に出た後書きのオマケこと「断章」を掲載し、その次の回に断章の振り返りと作品の総括を行って、本作の更新を終了致します。
次回「断章 支配 -The Will to be Suppressed-」
明日更新します。