厄祭の英雄 -The Legend of the Calamity War-《完結》   作:アグニ会幹部

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前々回の「後書き Ⅱ(第六章〜終章)」の続きで、前回の「断章」の振り返りと、作品の総括となります。

※完全に本編のネタバレとなりますので、本編読了後にお読み頂くコトを強くオススメ致します。


後書き Ⅲ(断章〜総括)

 断章 支配 -The Will to be Suppressed-

 

 章タイトルは副題共々、捻りの無い奴です。

 この断章は本編内にも伏線が張られていて、本作で主軸の一つになってきた地球と火星の関係性に一旦の終止符を打たれる(決着される)話なので、重要と言えば重要なんですが――これを後書きのオマケという扱いにしたのには、理由が三つ有ります。

 

 まず第一に、厄祭戦の話ではないコト。

 最大の理由がこれです。この断章(火星分割編)は厄祭戦の終結を謳った「ヴィーンゴールヴ宣言」後の話となるので、厄祭戦を描くとした本作の趣旨にそぐわない。「厄祭の英雄」の話ではありません。

 

 二つ、読了後の後味が悪い。

 これは私が完成後に最初から最後まで読み通して感じたコトでもありますが、とにかく救いが無い話なんですよね。火星はまず開始時点で詰んでいるので、どう足掻いても服従の未来しか無い。

 物語のラストシーンも、絵面こそ良いですが、エンターテインメント作品としてのカタルシスを成した後のモノではない。どこかモヤっとした感じが残る、そんな終わりになっていると思います。

 

 最後の理由は、以上の二つを踏まえ、出来れば本編と続けざまに読んでほしくなかったというモノ。

 本編がキリ良く終わった以上、その直後にこれを見せるのは憚られたというか。本編は第百話で終わり、それが全て。断章はあくまでも特典(オマケ)だ、と思って頂きたかったのです。

 

 

 とまあ、このような理由から、本編完結から少し間を置いて掲載するのが適当だと判断致しました。

 一応、全文を一話に纏めて、後書きとは独立させていますが。当初は後書きと同じ話数に載せてしまおうと考えていましたが、流石に不親切すぎるかなと思いまして。一つにまとめてしまった方が、作者的にもチェックしやすかったですし。

 

 しかし、オマケだからといって手を抜いたとか、そういうコトは一切ございませんので、こちらの断章にも後書きを付していきたいと思います。

 

 

 

 

 初代セブンスターズによるセブンスターズ会議から、断章は開幕します。

 ここで語られる「マルタ会議」は原作の設定ですが、会議の内容については様々な原作設定とすり合わせた上での作者の推測が多く含まれる、というかほぼ全てがそうです。

 

 「兵器の禁止条約」、原作ではダインスレイヴに関連して言及されています。マルタ会議と結びつけたのは作者の独断ですが、多分これが一番収まりがいいかと。

 禁止条約の具体的内容は、原作だと「ダインスレイヴの使用禁止」くらいしか有りませんでしたが、本作では核兵器もこの条約での禁止兵器に含みました。現存分についてはギャラルホルンが管理する、というのは原作からそうなのだろうと推測可能。

 

 また、原作で戦後ギャラルホルンが禁じたと語られた「人体の機械化」についても、この会議と結びつけました。ギャラルホルンの提案によるモノとしているので、原作設定との整合性は取れてる――ハズ。

 阿頼耶識の根絶が主目的だと書いていますが、原作を見れば分かる通り、こちらは失敗。ギャラルホルン自身、闇市場の存在を知りつつ利用していた(終章参照)ので、自業自得と言えましょう。

 

 関係して、ガンダム・フレームをギャラルホルンがどう見ているかも言及されていますが、この認識は断章の終盤に響いてきますね。

 ギャラルホルンは「ガンダム・バエル」を「錦の御旗」として、己の正当性を主張している組織なので、ギャラルホルンに敵対する者がガンダム・フレームを利用して正当性を主張してくると、色々面倒なコトになるんです。

 

 初代セブンスターズの役職は本編最終話で示した通りですが、この時の会話で元ユーラシア司令のアーイスト・スヴィエートが統制局のトップ、元オセアニア司令のヘーゼル・ブラッグが警察局のトップになっていると読み取れるようになっています。

 ヘイムダルと十国軍を統合したのがギャラルホルンなので、人員は割とそのまま残ってるんですよーと。これが良いコトなのかは、ちょっと分かりませんけれども。

 

 そして、最後がマルタ会議の最重要案件。

 「火星分割統治条約」――条約の名前は適当ですが、原作設定でも「マルタ会議で、四大経済圏は火星を分割統治する条約を定めた」と語られております。マルタ会議がP.D.0002年なのも原作設定通り。

 国境線を引く権利がギャラルホルンに与えられたというコトも、原作設定です。厄祭戦直後のギャラルホルンの影響力が如何に絶大であったか、伺い知れるというモノ。その為にギャラルホルンが大軍を派遣するのも、原作設定に準じています。

 

 

 視点は火星に移り、レヒニータの取り組みと火星を取り巻く現状について、ひとまずの解説。

 

 地球は初めから火星を分割統治する気でいた、ヴィーンゴールヴ宣言に絡んでの約定は全て、様々な条件を後から勝手に追加するつもりでやった――うーん、きたない。まさに外道。

 唯一、地球の悪巧みに気付ける立場だったのはレヒニータですが、終戦宣言でもあるヴィーンゴールヴ宣言を受け入れなかった場合、地球と火星の戦争状態が継続されるので、やがて火星が攻められるというコトは分かりきっていました。そして、火星は火星でゴタゴタしてる上に、ロクな戦力も有していないので、戦って勝てないコトも分かっています。

 なら、地球が譲歩をして来ている間に終戦に同意しておいた方が、火星の為にもなる――と、レヒニータは判断するしかなかったのです。無論、戦争を一刻も早く終わらせねばならないという考えも有りましたが、実利的に考えてもレヒニータがヴィーンゴールヴ宣言に署名するのは最適解にして、唯一地球との戦争を避け、流血を避け得る選択でした。

 

 ヴィーンゴールヴ宣言時点で、レヒニータに自治権の期限を後付けされ、分割されるコトを勝手に決められて、大軍に攻め込まれるコトを予想しろと言うのは流石に酷というモノでしょう。

 もし予想出来ていたとしても、宣言に署名しない訳には行かないので、レヒニータにはどうするコトも出来ません。「火星はギャラルホルンの大軍に攻め込まれ、地球により植民地として分割される」というコトは、厄祭戦終結時に地球に人が生き残っていた時点で確定事項です。

 覆したいのなら、それこそセレドニオがやろうとしたように、厄祭戦時に火星本土を捨てて火星軍の総勢で地球に攻め込み、地球を滅ぼすコトが必要となってきます。そうすると、火星軍が凱旋する頃、火星は人っ子一人住まぬ星と成り果てているので、結局救われはしません。

 

 また、地球にとって火星はコロニー群、金星圏、木星圏への見せしめの場となります。

 火星の反乱分子を一掃するついでに、御主人様である地球に背くとどうなるかを全世界に知らしめるコトで、戦後体制は長らく安定するので。

 

 このように詰みの状況で、レヒニータは色々やりましたが、なかなか上手く行っておらず、火星は火星で絶賛内ゲバ中と。地球との違いは、ギャラルホルン的な存在がいなかったコトで、それが致命的でした。

 格差是正政策、貧困問題の解決はストリートチルドレンだったレヒニータにとっては理想でしたが、何かを解決する為の策が別の問題を生む――誰もが納得する政治なんて出来ませんよね、という。だからみんな、自分にとって都合の良い政治をしてくれる人に投票するし、政治家は有権者にとって都合の良い人間であろうとするのサ。

 

 地球との外交や貿易を上手くやるには火星が一つにまとまる必要が有りますが、みんな好き勝手やっていて、ちっとも言うコトを聞いてくれない。

 地球から(実は期限付きとはいえ)自治権を獲得したにも関わらず、戦時中よりレヒニータの立場は悪くなっています。第五章の最終話で引用した著書の中で、ウィルフレッドがレヒニータの全盛期を戦時中だとしたのには、こういう事情も有るでしょう。

 

 そんな中、この断章の主人公と言っていいクレイグは、レヒニータのいるクリュセに向けて出発。

 断章を見ると、クレイグ本当にカッコいいよ……ってなるよね。まさかここまでカッコいいキャラになるとは、このリハクの目を持ってしてm(ry

 

 

 地球からは、アリアンロッド艦隊を中心とする大艦隊が火星へと出発。

 配下に火星出身者の多いザルムフォート家は試される立場で、当主のシプリアノも複雑な想いを抱えまくっています。数百年後の火星の未来の為に、今の火星を攻める――おかしな状況ですが、この決断のおかげで、原作二期ラストで火星の独立が有るのかもしれない……?

 

 

 そして、タイトルロゴ(?)がドーン!

 映画かな? というノリですが、せっかく一つの章を一話にまとめて載せるとかいう今までやったコトの無いコトをするので、思いついた以上やってみようと。たまには良くない? 良いよね?(遊びましたゆるして)

 

 

 アバン(?)を終えて、レヒニータ登場。これまでも声明などが出ていましたが、断章ではご本人が出るのは初ですね。

 散々説明してきた通り、レヒニータを取り巻く状況はお世辞にも良いとは言えませんが、レヒニータは高潔な革命の乙女なので諦めていません。ただ、こうも上手く行ってないと流石にため息の一つも出る。

 そして、クレイグへの恋煩いは絶賛継続中。レヒニータはクレイグが死んだと認識していますが、それでもですね。やだ、一途……(キュン) 良かったねレヒニータ、クレイグ生きてたよ! 今まさに貴女の方に向かってるよ!

 

 そんなレヒニータの下に、ギャラルホルンの大艦隊と言う更なる困難が到来。

 数十隻の精鋭ばかりの艦隊が攻めに来たらそりゃビビるし、人によっては軽く絶望も覚えるに違いない。くわばらくわばら。

 

 

 一方、ギャラルホルン側は淡々と任務をこなします。全て計画通り((ライト)並みのゲス顔)

 また、ここでさり気なく言われますが、新規機体として「ヘリヤル」「フレック」「シルト・ロディ」が登場。アスモデウス、キマリストルーパーと共に、火星への降下を行っています。

 

 「ヘリヤル」は案を頂いて設定されたモノで、ヴァルキュリア・フレームとゲイレールの間にあたる機体となっています。ゲイレールが「EB-04」なので、きっと「EB-01」「EB-02」「EB-03」も有ったに違いない。

 

 「フレック」はヘキサ・フレームの機体で、見た目としては原作に登場した「フレック・グレイズ」に似通っているモノです。フレック・グレイズを見た時、個人的に頭でっかちなのがヘキサ・フレームと同じだなと思ったので、今回このように設定してみたという感じ。

 

 「シルト・ロディ」もロディ・フレームですが、フレックと同じく原作の「グレイズシルト」を意識して設定しています。こちらは見た目の問題ではなく、単に名前三文字なのが合うかなーと思ったくらいである。

 

 

 ギャラルホルンの通達と襲来により、火星は全土で大混乱。わざわざ一方的に市民が知れるように通達したのは、治安維持組織としてある程度の見せしめを行う必要が有るからですね。

 

 レヒニータの統一政権(現状名ばかりで、他にも幾つか政府が有りますが)は対応を迫られ、レヒニータはケニングとの交渉に臨みます。臨みますが、前述の通りの主張をされ、まるでお話になりません。

 ケニングの口調が最後だけ変わりますが、敬語部分はギャラルホルン(と地球)の主張を代弁したモノで、タメ口の部分はケニング個人の想いです。「血を流したくはない」というのは紛れもない本音ですし、「自分が守った星を攻めたくはない」も本音。ただ、組織の為に――長らくの平和の為に、ギャラルホルンはこうしなければならないと。

 

 レヒニータは「詰み」であるコトを理解し、絶望のドン底へと叩き落とされました。

 彼女はこれまで穏健派として、話し合いと共存を訴えて活動してきた訳ですが、実際には力の差により話し合いなど通用せず、互いを尊重し合う共存ではなく、力を持つ一方がもう一方をねじ伏せる支配だったと。そして、第一章でのセレドニオの言葉がレヒニータに突き刺さる。

 ここのレヒニータの顔を見たい。美しそう……美しそうじゃない? ところでこれ、曇らせに入るんですかね? 曇らせの判定が分からんぞ。

 

 最早、レヒニータに出来るコトは一つ。

 ギャラルホルンに全面降伏し、人々の命が奪われないようにする――人々には受け入れ難いコトでしょうが、それをする為に、レヒニータは会見に臨むと。

 

 

 混乱の中、クレイグもレヒニータがいるクリュセの統一政府官邸に到着。クレイグが民衆に紛れて見守る中、レヒニータは「降伏すべき」と訴えますが、当然バッシングを受けます。

 そんな人々を代表するかのように、火星解放軍(自称)が現れ、デメトリオ・ウォッシュボーンが人々に呼びかけ始めました。彼のコトを私は「頭セレドニオ」と称しているんですが、その呼ばれ方の通り、彼はセレドニオと同じです。地球の搾取の中で家族を奪われ、地球を憎悪し復讐心を燃やしている。第二のセレドニオ、と言っても過言ではない。歴史は繰り返すんやなって……。

 デメトリオ(名前も敢えてセレドニオに似せていたり)はレヒニータを「地球生まれの売国奴」と罵りますが、当然陰謀論で作った真っ赤な嘘です。ただ、「バーンスタイン家は地球と縁がある」「地球の言いなりになろうとしている」辺りは真実なのがタチの悪いところ。事実を混ぜながら嘘をつく、上手い嘘のつき方ですね。

 

 武装勢力である火星解放軍と、クリュセの防衛軍が衝突し、会見場となった官邸前広場は地獄と化しました。結局、何の罪も無い人々が踏みつけられたり撃ち殺されたりしてるぞ……怖っ。

 失意と絶望で動けないレヒニータはクレイグに救けられ、キマリスの乱入で火星解放軍も撤退開始。迎えに来た装甲車にクレイグとレヒニータは飛び乗って、辛くも地獄から生還しましたよと。

 この装甲車の運転手、ワンチャン「レイ」呼びだけで正体バレてる説が有りますが、まあガンダムで物語の途中から出て来る仮面の男の正体バレが光の速さなのはシリーズ伝統芸能なので問題無い。ヴィダールなんて、OPで三秒映っただけで正体バレしてたからね! 喋ってすらいないのに正体がバレるのはネオやブシドー、マスク大尉で視聴者が鍛えられ過ぎた結果なのだろうか……?

 

 そんなクレイグとレヒニータを、クリウスは敢えて見逃していたコトが判明。ちゃんと色々考えた結果とはいえ甘すぎますけど、ボードウィンの男はこれくらいお人好しでも赦されるかなーと。

 

 

 とんだ大波乱の中でしたが、ようやくクレイグとレヒニータは再会を果たしました。

 装甲車を運転するフルフェイスの赤い仮面を被った男はローゲ・サッカと名乗り、二人はナーサティヤさんの下に連れて行かれると。

 

 ローゲ――まあパリスなんですが、彼はテレビの中継映像でクレイグを見かけ、万一レヒニータが危険に陥ったら助けるつもりなのだろうと予想して、装甲車を出したって感じです。そこに思い当たれたのは、クレイグの相棒であるから。長年の経験で大体分かるんです。

 ローゲ・サッカという名前は、(一応)乗機となる「ガンダム・バラム」の武装「ヴァジュラ」から関連して名付けました。インドラ絡みで。

 

 それと、本編内で語れなかったのがアレですが、赤い仮面はどっから持って来たのかについて。

 パリスはナーサティヤの下で治療を受け、動けるようになってからは彼の診療所を手伝うようになりました。そんな中、入院してる子ども達を喜ばせようと思って作ったという感じです。最初はもっとチャチな物だったのに、子ども達と一緒にこだわりを持ってアップデートしていった結果、最終的には金属製フルフェイスでボイスチェンジャーまで内蔵したガチ物になってしまったのさ。やりすぎだよ!

 クレイグに会う時に仮面を着けてた理由は、本編で語られた通り。なお、パリスの死後はナーサティヤさんから子ども達に託されたりしてるかも……って、ゴウバインじゃねぇかこれ!

 

 診療所を訪れたクレイグとレヒニータは、ナーサティヤさんの厚意で匿ってもらえるコトに。本当に良い人だよ……こんな残酷な世界の中だと、こういう優しさが身に染み渡るぜ。

 しかし、ニュースでは火星の現実が語られる。レヒニータが生き残る為には、もう火星の外まで逃げるしかないですが、レヒニータ本人は自分の立場と役割と責任を放り出して逃げるなんて選択はしませんし出来ません。実際、政府官邸まで戻ろうとした訳ですしね。まあ、レヒニータが死ねば火星の人々は殺されずに済むとも限らない(それは人々が大人しくしていた場合に限る)んで、最悪無駄死にになってしまいかねないんですけど。

 ともあれ、レヒニータが逃げようとはしないと理解しているクレイグは、無理矢理にでもレヒニータを連れて逃げると決めています。自分のエゴだとも分かっていますが、クレイグにとってはレヒニータの命が最優先。ヒロインの命は世界より重い、これ主人公の常識。ほぼほぼ告白だよねこれ。

 

 ただ、私の認識を述べさせてもらうとするなら、レヒニータは明確に間違えたり、やらかしたりしてる訳ではありません。むしろ、その時々で最善の選択をしていて、それでもこうなってしまっている。なので、悪いのはレヒニータではなく時代や運命なのではないかと思います。レヒニータは自分のせいだと思っていますが、それは彼女が高潔な「革命の乙女」であるから。一切の責任を転嫁せず、自分で自分の背中を押して困難に立ち向かい、それを乗り越えてきたのがレヒニータという人です。

 しかし、今回の困難はそれこそレヒニータが生まれる前から色々と積み上がって拗れまくったモノが原因なので、レヒニータにとってはどう足掻いても乗り越えられないモノで、どうやっても避けるコトの出来なかった事態と言える。努力して頑張って、その上でどうしようもない理不尽に押し潰されてしまう――だからレヒニータは、第一章の振り返りで書いたように、「失敗()()()()()クーデリア」なんですよね。断章のコトを「救いが無い話」と上述した理由としては、この辺りの理不尽さや無慈悲さが有ります。

 

 

 一方、ギャラルホルンの一員として火星分割作戦に参加するシプリアノは、クリウスから話を聞かされつつ自分の立場と自分の想いの間で揺れ動く。英雄と個人の二面性を有していたアグニカと同じ。

 そんなシプリアノの下にパリスが現れたよ――というシーン。パリスはヘイムダル時代の制服(デザイン的にはギャラルホルンの佐官用軍服と同じ物)を着て、当然ローゲとしての仮面も脱いでいます。服装で一般兵の目を誤魔化し、自分のコトを知るシプリアノのところまで、話を通しに来たという。

 

 なお、ここはパリスの正体を隠す為に会話内容は描写していませんが、簡単に言うと「クレイグとレヒニータを助けたいから協力してくれ」「合図は俺が騒ぎを起こした時な」「レヒニータ変装用の軍服貸して」みたいな感じです。当然、レヒニータの居場所は明かしていません。

 取っ捕まる可能性も勿論有ったので、危険な取引でこそあったんですが、そこはかつての仲間を信じていた。流石に博打すぎるのでは……? と思いますが、パリスはそういう奴なんだ。

 

 

 長い夜が明け、レヒニータは悪夢から目覚める。だから、レヒニータが間違えたせいでこうなったんじゃないって! という感じですが、それでも自分のせいだと思ってしまうのがレヒニータの美しいところ。真面目ですよねぇ。

 そんなレヒニータを慰めるでもなく、あくまでいつも通りに接するクレイグ。気配りが出来てる。

 

 ニュースでは昨晩の被害に加え、火星解放軍がレヒニータの実家に討ち入りし、声明と共に両親を撃ち殺す映像が流されました。ノーカットでどうぞ、というのは大切ですが、人が射殺される瞬間を流すのはマズいんじゃないですかね……。

 また、レヒニータの統一政府が倒れたコトも報道され、レヒニータはこれで本当に何もかもを失ったコトになります。レヒニータ自身に権力への執着は無いですが、こうも立て続けに自分がこれまでやって来たコトの全てを否定されれば、流石に堪えるというモノでしょう。

 

 ローゲはクレイグに火星からの脱出案を提案。

 「どうして協力するのか」というクレイグからの質問への回答は、素直にパリスの本音です。もう一つ、相棒であるクレイグを助けるのは当たり前だ、という理由もありますが。

 そして、クレイグがローゲの正体に勘付いたのはこの時。確信こそ得ていませんが、パリスならこう言うだろうと思い、雰囲気や考え方、体格なども踏まえて「お前パリスだろ」と思っています。パリスが正体を隠す理由が、自分に気負わせない為だろうというコトも察しているので、クレイグは最後まで気付いてるコトを悟らせないようにしましたが。

 

 全てを失ったレヒニータも、クレイグに全て任せるコトにしたと。第五章でもそうですけど、この子は一度覚悟を決めちゃうと強いよね。

 「どうぞ、クレイグの好きにして下さい」というのは、レヒニータからの告白と言って差し支え無かろう。昨晩のクレイグの告白への返事です。末永く爆発してくれ。

 

 

 視点は久々に、宇宙のドワームの方へ。

 ホルヘ・マクニールは原作で言うノブリス・ゴルドンですが、残念ながらこの時代のギャラルホルンに「清濁合わせ飲む」理論は通用しませんでした。秒で処刑台送り確定されてんのホント草。余計なコト言わなきゃ良かったのに……汚いコトばっかしてきたせいで、汚い奴とばかり会ってきて、相手も汚いモンだと思い込んでしまっていたのが運の尽き。

 ドワームの判断も速ければ、フェンリスの行動も速い。おかげでホルヘは逃げるコトすら出来ず、自宅でぬくぬくしてたところを取っ捕まるというね。

 

 火星の世論が対ギャラルホルンに傾く中ですが、フェンリスにもドワームにも焦りや不安はゼロ。MSの数的に負ける要素が無いので。

 それでも「油断するな」「承知した」と言える辺り、隙すら存在しない……勝てる訳がねぇよ、こんな奴らに。

 

 ただ、流石に都市間の地下送電ケーブル管理用通路までは監視出来てなかったので、地の利では僅かですが火星側に有利は残されています。原作と同じ方法で出し抜かれてるギャラルホルンなのでした。

 

 

 そんな訳でとりあえずホルヘは取っ捕まえられ、それと合わせて各地の権力者や反乱分子の一斉逮捕が開始されました。対する火星側も抵抗し、まさに乱世。血生臭すぎるぞこの作品……。

 

 

 とまあ、火星各地が大荒れの中、遂にクレイグとレヒニータ、ローゲの動く時が来ました。

 何気に第一章の時から絡みがあったレヒニータとナーサティヤさんは、ここが一生の別れです。ナーサティヤさんとしては小さかった少女が大人になって、恋を見つけて出て行くとあって、親目線の感動を覚えているコトでしょう。

 また、クレイグとローゲ(パリス)も、ここが一生の別れ。互いに想うところは色々有るでしょうが、二人とも事務的な言葉しか交わしはしませんでしたね。言わずとも分かるモノが有るのです。

 

 二人を見送り、本編中では初めてローゲの正体が判明。パリスはクレイグが「パリスを置いてきてしまった」と思わずに済むよう、正体を隠していましたよと。ナーサティヤさん的には「せっかく生きて再会出来たんだから、もっとちゃんと話しておいた方が」と考えていますが、クレイグとパリスの関係性はこれが良いと思います。

 パリスも死ぬ覚悟(というか死ぬ前提)で出て行くので、ナーサティヤさんに別れを告げました。医者という職業柄、死に行く人を何人も見てきたとはいえ、何度経験しても慣れないモノ。特に若者が、となれば愚痴の一つも吐く。

 

 ちなみに、正直に申し上げるとパリスは第六章で死なせる予定でした。その後にこの断章のプロットを練った結果、パリスが出てくれた方が良い――というか、パリスが必要になったので、実は生き残ったコトにしたと言う経緯が有ったり。

 直接身体が消滅する描写はしてないとはいえ、艦の爆発で宇宙に放り出されて死なないとか、ライナー並みの生命力だぞ……? オルガの対義語になれそうだな、パリスくん。

 

 

 装甲車に乗り込み、クレイグは意味深に一言。

 この言葉の意味するところが何かは、敢えて説明を書かないです。察して下さい。

 

 出発したは良いものの、装甲車は火星解放軍の連中に見つかり、カーチェイスがスタート。まさかガンダムの二次創作でカーチェイスをやるハメになるとは、と思いましたが、そう言えば逆シャアでアムロとシャアが似たようなコトやってた気がする。片方は馬でしたけど。ウマ娘の中でシャアがバブみを感じるのは誰なんだろうか

 アムロと仲良く草原で戯れた後にブン投げられるシャア(2021 ver.)をもうすぐ劇場の大スクリーンで見れるかと思うと、笑いワクワクが止まらねぇぜ。アレだけで閃光のハサウェイ制作陣は信用に値すると思うねぼかァ。

 

 カーチェイスシーン、ドラム缶がこの時代に有るのかとかそんなツッコミは無しでお願いしたい。後、かなりムチャクチャやってるけど、装甲車なので頑丈だからセーフ。多分。

 最終的にはギャラルホルンのMW隊に救われ、離脱成功。良かった良かった。

 

 到着後はしばらく暇なので、クレイグとレヒニータによる日常会話(イチャイチャ?)が展開。断章の数少ない癒しポイントである。

 

 

 パリスは騒ぎを起こすべく、例の物――「ガンダム・バラム」を取りに来ました。まあ、この時点ではどんなMSまでかは明かしていませんが。

 隠し場所はウリエル戦で堕ちた「大舟」の残骸。こういうの良いよね。みんなも好きでしょ?

 

 

 ギャラルホルンのMW隊がクリュセ内の武装勢力(デモ隊)を鎮圧しつつある中、デメトリオはホルヘ経由で闇市場から手に入れ、隠し持っていたMSを出撃させるコトを決断します。

 彼のバックボーンもここで明かされますが、まあ酷いとしか言いようがないね……そりゃ地球を恨んでもしょうがねぇよ。特に妹(名前:ロシータ・ウォッシュボーン)が酷い末路すぎる。デメトリオの年齢(断章の時点で二十九歳)から計算していくと、彼女は死んだ時、十歳前後だったコトになるんだ……。

 なお、彼は火星独立軍時代にMSのパイロットをしていたので、阿頼耶識も施術済みです。セレドニオが死に、火星独立軍が火星防衛軍になってからは軍を辞め、火星解放軍を設立しました。……薄々思ってたけど、火星○○軍多すぎない?

 

 道路を爆破し、デメトリオの乗る「ガンダム・ザガン」が颯爽と登場。

 六十一番機というコトで、イカれた武装を持たせようと考えた結果、装填する弾種により撃ち分け可能な口径五百ミリ(!?)のバズーカとワイヤーブレード×2に行き着いたよ。デメトリオの技量では扱い切れてると言い切れないのが哀しいですが、相当強力な機体になっております。

 機体色の「火星の赤」という表現と背部のウィングユニットは、AGEのガンダムレギルス(MoEのゼハートカラーVer.)を意識しており、長槍ツイントライデントと両肩のブレードは「マギ」での魔装ザガンのイメージです。長槍に関してはアルトロンガンダムのツインビームトライデントみたいだなと思ったので、武装名だけ寄せました。

 

 

 そんな訳で、パリスが起こすまでもなく騒ぎが起きまして、ギャラルホルンも対応を迫られます。――てか、火星解放軍って街中の道路に爆弾仕掛けてたコトになるんだよな……頭おかしいやろアイツら……(ドン引き)

 シプリアノもクレイグ達もパリスが起こした騒ぎだと思っていますが、すぐにデメトリオが演説を始めたコトで、シプリアノは「違う」と気付きましたね。そして、ダンタリオンが出撃し、暴れ回るザガンとの一騎打ちが開始されると。

 

 そこに、パリスの乗る「ガンダム・バラム」も参戦し、三つ巴が完成しました。

 蛇腹剣自体は原作の「レギンレイズ・ジュリア」が装備していて、バラムのも同じような感じです。二機を横薙ぎに狙う描写は「ワールドトリガー」の影浦が使っている「マンティス」を、ほんのちょっとだけ意識しています。バラムは近接戦特化で、ガンダム・フレームらしい機体になっていますが、五十番台なので蛇腹剣やヴァジュラなどの凝った装備をさせてみました。

 なお、バラムは元々ヘイムダルの機体で、第五章以前の戦いで活躍するも撃墜されたMSという設定です。第五章の振り返りの際にも、その辺りの話はちょっと書きましたね。バラム本来のパイロットはパリスチームとは別の、もう一つのチームのリーダーだった少女。本編中ではパリスがさり気なく下の名前だけ呼んでますが、フルネームは「ティナ・リトルトン」で、実はパリスに気が有ったという裏設定だけが存在しております。

 

 ザガンとダンタリオン、そしてバラムによる戦いは拮抗します(実際はダンタリオンが全力を出したらすぐに終わります)が、キマリスの増援からザガンはギャラルホルンのキャンプ地狙いに移行。

 ただ、大空からの攻撃はキマリスに阻止されたコトから、ザガンは「覚醒」を発動させ、大暴れを始めます。デメトリオは当然ザガンとの適性が有るかなんて測ってはいませんので、出来たのは偶然だったりする。しかし、「覚醒」もせずにザガンを抑え込むキマリスとダンタリオン、レベルが違う……。

 最後は相打ちのような形ですが、バラムに決定的な一撃を受けたザガン。ボロボロになってもなお、執念で目的地にたどり着くの怖い……怖くない?

 

 一方、クレイグとレヒニータも目的を遂げようとしていましたが、ザガンから降りてきたデメトリオがレヒニータの前に立ちました。

 ここでレヒニータ自身が言っている通り、レヒニータはこれから先、生き続けるコトで火星が支配され、搾取され続ける様を見せつけられ続けます。悪夢を見るシーンなども有りましたが、あのように一生魘され続けるコトになると思います。レヒニータは逃げるコトしか出来なかった自分を一生赦せないでしょうし、一生後悔し続けるコトになる。

 この場でレヒニータと対峙するデメトリオは、レヒニータにとって自分を責める自分の心の代弁者でもあり、レヒニータが救えなかった、正せなかった者たちでもあります。

 

 そんなデメトリオを撃つのはクレイグであり、レヒニータの手を引くのもクレイグ。もうレヒニータに、何かを変えるだけの力は無いですし、何かを成し得るコトも出来ないのです。

 

 

 ギャラルホルンに剣を向けたパリスは、シプリアノによって拘束されました。

 彼が向かうは処刑台。しかし、パリスを捕縛し処刑したザルムフォート家は、「例えかつての仲間であっても、反乱分子を処刑した」として、ギャラルホルン内の地位を盤石とする。クレイグとレヒニータも助けるコトが出来た。パリスは何一つ思い残すコト無く、その人生を今度こそ終えるコトとなりました。この死に様、作者としては本当にカッコいいと思います。本当にカッコいいよ……。

 実のところ、断章を経てのパリスの結末は全く決めずに書き進めていたので、こうなるべくしてなったのかもしれませんね。

 

 

 そして、断章もラストシーンへ。

 火星分割はギャラルホルンにより完了し、火星は冬の時代――三百年にも及ぶ植民地時代に突入しました。厄祭戦という大きな戦いを経て、変わったモノは数え切れないほど有りますが、その発端となった火星は、結局何も変わらなかったというコトになります。

 

 この後の火星に関する原作設定を簡単に羅列すると、二百年後にはある程度の自治権を獲得するも、厳しい経済協定も有って、実際に出来た政府は地球の傀儡政権でした。更に百年経つと、火星と地球の経済格差から抗議運動が開始され、クーデリア・藍那・バーンスタインが「ノアキスの七月会議」で地球からの経済的独立を訴えます。

 また、アーブラウの蒔苗東護ノ介と火星ハーフメタル輸出規制の撤廃に関して協議するコトで話が纏まり、クーデリアはギャラルホルンの目をかいくぐって地球に向かう為に、CGS(後の鉄華団)に護衛を依頼する――という流れで、原作一話に繋がるコトになると。

 

 二人が身柄を解放されるのは最初はコロニーの予定だったんですが、火星と同じく植民地支配されているコロニーだと、レヒニータが下手な真似出来てしまいそうだったので、地球上に変更しました。

 なお、二人はザルムフォート家のハーフビーク級の中でコンテナから出され、シプリアノの部下達の中に紛れて地球に降りた後、街に解放。シプリアノと一部側近の部下たちは、スーツを着て立場を隠しています(地球でもギャラルホルンは悪く思われている部分が有るので)

 

 

 

 

 クレイグとレヒニータが手を取り合い、一歩を踏み出したところで、断章は終了となります。

 レヒニータは頑張りましたが、結局は何も変わらず、変えられず、何もかもを失ってしまいました。それでも、生きている限り人生は続きますし、時は流れて行くから、生きていくしかない――生きていくコトが出来る、という。

 

 

   ◇

 

 

 以上で、本作の振り返りは全て完了致しました。

 ここから先は「総括」と言うコトで、最後にまとめをやってから、筆を置かせて頂こうと思います。

 

 

 本作は、一言で言ってしまえば「人間讃歌」として書いております。

 前作(鉄メン、リメイク前)においては主題(テーマ)を「愛」だとして、困難に置かれた中での人間の美しさや強さを、信じていられる間に書いておきたかった――というようなコトを書いた気がしますが、本作はそれを案の定信じられなくなった上で書いていたりする。

 ハッキリ申し上げて、本作は読んでて心地良くなる作品ではないと思います。人間の愚かさや醜さ、弱さを多く描いているからです。共通の敵を前にしても団結などしませんし、常に他者を出し抜こうとしていますし、他者を踏みにじり搾取しています。――正直、これでも大分現実よりかはマシだと思うよ、うん。

 しかし、それらも含めての人間讃歌。間違える、良いじゃないですか。完璧な人間なんていないんです。人間の愚かさや醜さ、弱さもより良く生きていきたいと願っているからこそのモノと言えるでしょうし。人間はこれまで戦い続けてきましたし、きっとこれからもそうでしょう。

 でも、人間の歴史は少なくともここまで数千年間続いてきてるので、何とかなります。作者個人の考え方としては「自分は大した奴でも何でもないし、人間は間違える生き物だから、完璧である必要はない。何とかなるよ」みたいな。ありのままで良いんじゃないかなと。この辺りは第八章の最終話、死に際のエイハブの台詞にそのまんま表れています。

 まあ、最近は世間がかなり冷たくて、誰しもが人生ハードモード過ぎると思うんで、こういうコトを言うのがちょっと憚られてしまうようなところも有るんですが。

 

 何も変わらないし、変えられないかもしれない。何かを失くしてしまうかもしれない。

 でも、変わらないでいてくれるモノも有る。何かを得られる時も有る。失くしたり得たり、落ちたり上がったり、希望と絶望は表裏一体で繰り返す。そういうモノだと思います。

 

 まあ、本作はちょっと絶望の方に振れてるんですけど……私はダークな感じが好きなので、そこはまあ作者の性癖が出たとしか言えねぇぜ。

 ついでに言うと、前作同様「愛」もテーマだと言っていいと思いますし、何をテーマだと思うかは読者様方一人一人の解釈で良いんじゃないかと。

 

 

 もう一つ、主題というか気をつけたコトが有りまして、それは「善悪をハッキリさせない」というコトです。

 作者の持論、って大したモノでもないんですが、私は「こっちが善であっちは悪」という視点で物事を考えるコトに意味は無いと考えています。ゾロアスター教のような、善悪二元論が教えの根底に有る宗教の伝承などについて考える時だけは意味が有ると思いますが、それ以外のコトについて善悪をハッキリ決めてしまうコトは出来ない(決めてしまうべきではない)と。

 

 何故なら、視点を変えるだけで善悪は容易くひっくり返るから。

 

 本作で言うと、地球と火星の関係でしょう。地球に住む人からすれば火星は悪、自らは正義となりますが、火星に住む人の視点で見れば地球こそが悪であり、自分たちは正義になる。特に断章などは、どちらにも思惑や理由が有るからこその対立です。ギャラルホルン(地球)とレヒニータ、クレイグやパリスに火星独立軍――視点をどこに置くかで、見え方が全く違ってくると思います。

 勧善懲悪の物語というのは分かりやすくてスカッとするので、エンターテインメントとして古来から人気の有るモノですが、本作は「ガンダム」の二次創作。誰しもが自分なりの正義を持ち、理由や信念を持って行動しています。モヤっとするかもしれませんが、そこが作者なりのこだわりポイント。

 だから、ヘイムダルやギャラルホルンが絶対正義って訳でもないですし、エイハブが絶対悪って訳でもありません。地の文や描き方が完全に中立かと言えばそうとも言えない(主人公が決まっているので)んですが、感情移入の対象を変えて違う立場から物語を見直してみると、新たな発見が有る――ようになってるといいなぁ。なってるようにしたつもりではいます、ハイ。

 

 

 とまあ、ご高説はこの辺りにしておきまして。

 私の二次創作人生においても最長、実に二年以上を費やす作品となりましたが、無事に最後まで走り切るコトが出来て良かったです。まずは一安心。耳元で「これはお前が始めた物語だろ」と囁かれずに済みました。みんなも囁きに行こう!(オイやめろ)

 

 個人的にですが、最善のコトをやり、最高のモノになったと自負しております。やりたかったコトをやりたいようにやりましたので、そういった意味でも非常に満足しております。

 当初の目標通り、バエルとアグニカについてもじっくりバッチリ描くコトが出来ましたので、本作を通じてバエルとアグニカの持つ魅力が少しでも多くの人に伝わったら良いなと思います。

 

 しかし、厄祭戦を書くのはクッソ難しかったですわ……(白目)

 敵が無人機だから意地のぶつかり合い的なバトルがやり辛いし、設定的に機体数もキャラ数も膨大になるし、これ絶対作品にするコト想定してねぇ。エンタメ作品にはあまりにも向いてなさすぎる設定のクセにコストがかかり過ぎるぞ、厄祭戦。

 

 これから先、公式から厄祭戦の物語がお出しされるコトが有るかは分かりませんが、超えられるモンなら超えてみろと言いたい。ところで、アプリゲームとMETAL ROBOT魂のバエルとMGバエルとPGバエルとRGバエルはいつ出ますk(ry

 

 また、本作を書くにあたりましては、多くの方々にお力を貸して頂きました。

 機体案などを送って下さった皆様、アイデアを貸して下さった皆様、何よりも本作をお読み下さった皆様など――私と私の作品に関わって下さった方、全員に深く感謝しています。皆様の力が無ければ、ここまで辿り着くコトは出来なかったでしょう。

 

 ちなみに今のところ、次回作の予定は皆無です。本作を史上最高傑作だと思ってるコトは前述しましたが、それ故に自分の限界も見えたので、もう創作自体から身を引こうかな、と思ったりしなくもないんですが――まあ、もしまたいつかお会い出来る機会がございましたら、その時はよろしくお願い致します。ご贔屓にしてやって下さいませ。

 

 

 それでは、この辺りで失礼致します。

 改めまして、本作に関わって下さった全ての皆様―――本当に、ありがとうございました。

 

 

 

 

A.D.2021 April 20

NToz

 

 

【挿絵表示】

 


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