厄祭の英雄 -The Legend of the Calamity War-《完結》   作:アグニ会幹部

14 / 110
また五日経ってんじゃあねぇかどうなってんだァ!?
何が「間を空けず投稿」だフザケやがってよォクソムカつくぜェッ!
「有言実行」しろ『有言実行』ォ!!
クソッ! クソックソクソがァァッ!!!
『とおうるるるるるるるる るるるん』(着信音)
――もしもしィ!? オイ作者(メローネ)ェ!!

(以上をギアッチョもとい岡本信彦の声で脳内再生して下さいませ)


更新が遅れており、誠に申し訳ございません。
前書きで非常にフザケてしまいましたが、本編はシリアスなので許して下さい。
それではどうぞ。


【挿絵表示】

↑Twitterに載せた前作キャラ落書き。
果たしてこの子は本作に存在出来るのか…?


#08 殺戮の大天使

 月面都市「ヴェルンヘル」に向けて侵攻していたモビルアーマー「ガブリエル」は、いよいよヴェルンヘルを、ビーム砲の射程圏内に捉えた。

 

 ―――目標捕捉、射程圏内。砲塔起動。

 

 ガブリエルの頭部に内蔵されたビーム砲がその姿を現し、エイハブ・リアクターより発生した素粒子が活性化と共に圧縮され、光熱を帯びてビーム砲に充填されて行く。

 二本の腕を月面に打ちつけ、二枚の翼を仰々しく広げたガブリエルは、ビーム砲をヴェルンヘルを覆う外壁に照準した。

 

 ―――充填完了。圧縮粒子、解放。

 

 ゴォオオオ、と言う金切り声のような(おぞ)ましい音を響かせて、ガブリエルのビーム砲が放たれた。高熱を帯びた桃色の閃光が、ヴェルンヘルを守る鋼鉄の外壁に突き刺さり――あまりにも呆気なく、瞬く間に溶解させた。

 

「何だ、壁が…!」

「ッ、うわああああああああああああ!!!!」

 

 ビームは外壁を突き破り、月面都市内の建築物を吹き飛ばしながら、反対方向の外壁に衝突して消えた。外壁に空けられた穴から都市内の空気が漏れ出し、警報音が都市内に荒れ狂う暴風の音にかき消される。

 都市内の人々や車などは宙に浮き、直径二十メートルほどの穴を通り抜け、次々と真空の宇宙へとその身体を躍らせていく。

 

「来たか…!」

「厚さ数十メートルの外壁を、ああも容易く…!」

「ッ、もう二百メートルで宇宙港の入口だ! この車が入ると共に閉鎖される、もう少し耐えろ!」

「言われずとも!」

 

 運転手が浮き上がりそうな車体を巧みに操っている為、ディヤウス・カイエルとトリテミウス・カルネシエルを載せた車は、何とか宇宙港にまで辿り着けそうである。ただ、空いた穴に近ければ近いほど、惨劇が広がっているが。

 そして、その穴からガブリエルが頭を覗かせて、都市内の様子を捉える。

 

 ―――(プルーマ)放出。殺戮開始。

 

 ガブリエルの陰から、全長五メートルほどの漆黒の小型兵器「プルーマ」が放出され始めた。実弾式の小型レールガン、近接戦用の格闘クロー、尻尾のような格闘用ドリルを備えたMAの子機とも言える物達が、大量に。

 それらは外壁を這い上がって穴を潜り抜け、都市中に散らばった。そして、ビル内など建築物の内部に小さな身体を生かして入り込み、その中で辛うじて生きていた人間達を殺し始める。

 

「な、何ですかあの黒い奴は!」

天使の翼(プルーマ)――MAの随伴機にして、子機とも言える物だ。MAによって資材が有る限り生産され、本体への資材供給、本体の修復や戦闘補助の役割を担う。

 本来の戦闘での役割は物量による戦場の制圧、のハズだが――どうも、人を殺す為だけに動いているようだな…」

 

 自らが組み上げた設計思想と、実際に動いている物を照らし合わせたコトで、ディヤウスの脳内に一つの推測が立った。

 

(――人を優先的に殺すよう、動いていると言うコトか…?)

 

 だとしたらまずい、とディヤウスは危機感を覚えざるを得なかった。ディヤウスが開発し、エイハブが暴走させたMA――ガブリエルは、ただの完全自律型無人殺戮破壊兵器ではない。

 ガブリエルは「マザーモビルアーマー」だ。言うなれば、全てのMAの母。プルーマだけでなく、MA本体の設計、開発、建造――を行うコトが出来る機体だ。建造には生産プラントを別個に用意する必要が有るが、それは制圧した月面都市「ヴェルンヘル」の跡地でなら充分に可能。

 設計時、自分より高性能な機体は三機しか造れない、と言う制限こそ設けたが――それ以下なら、理論上資材さえ有れば何機でも造るコトが出来る。設計から行う以上、人殺しに特化した機体すら設計し建造するコトが可能なのだ。

 

(まずいな――このままではヴェルンヘルが制圧され、プラントが造られた後で、無尽蔵にMAが建造される。

 それが外界に放たれれば――対抗手段を持たない人類は、一気に絶滅の危機に(ひん)する…!)

 

 我ながら、何と言う物を造ってしまったのだ――と、ディヤウスは己が迂闊さを恥じた。だが、起動してしまった以上、ガブリエルを停止させる手段は無い。

 最早、破壊するしか無い。ビーム砲、ワイヤーブレードによって遠近両方での圧倒的攻撃力を獲得しており、強靭な「ナノラミネートアーマー」で全身を覆い尽くした――正真正銘の化け物を。

 

「――ッ! バカな、これは…!」

 

 ディヤウスとトリテミウスを連れる火星独立軍の兵士が、狼狽する。もうそろそろ宇宙港に入るハズなのに、二人を載せた装甲車は宇宙港の入口から少し離れた場所で止まった。

 何故か。

 

 宇宙港の入口が、人々によって埋め尽くされていたからだ。

 

 叫声、悲鳴を上げながら、吸い出されないように――生き残る為に、必死で宇宙港にまで逃げて来たのである。

 だが、人を殺すようプログラムされたMAが、人々の集う宇宙港を見過ごすハズが無い。

 

「アレは…!!」

「ガブリエルめ、こちらを狙って――!」

 

 穴から見えるガブリエルの頭部からビーム砲が姿を見せ、そこから集束したビームを、宇宙港に向けて吐き出した。一直線にビームは月面都市の上空を駆け、対岸の宇宙港に直撃する。

 

「ッ、ディヤウス!!」

「な―――」

『ぎゃああああああああああああああ――!!!』

 

 トリテミウスがディヤウスを庇うように覆い被さった直後、宇宙港は桃色の閃光に呑み込まれ、そこにいた人々を一瞬で焼き払った。

 放たれたビームは宇宙港の入口を破壊した後は都市の中心に向かい、ヴェルンヘルの中心地を一気に焦土へと変貌させて消えた。

 

 ―――宇宙港、破壊。都市、蹂躙完了。

 ―――殺戮続行。

 

 

   ◇

 

 

「宇宙港が攻撃されました! 宇宙港に群がっていた民衆は消滅! ディヤウス・カイエル、トリテミウス・カルネシエル両名の生存確認は取れていません!」

「監視役の兵士からの連絡は?」

「途絶えています!」

「ガブリエル、現在もプルーマの放出を続行中!」

 

 ガブリエルに視認されない地点に隠匿する、火星独立軍第三艦隊を率いる旗艦であるジェラルドフォード級宇宙戦艦「ハーヴェイ」のブリッジで、第三艦隊司令官エメリコ・ポスルスウェイトは歯軋りした。

 しかし、絶えず情報を求めて口を開く。

 

「宇宙港に有った、脱出用のエンタープライズ級はどうした?」

「ほぼ無傷で健在です! ディヤウス・カイエルとトリテミウス・カルネシエルが到着し次第、ガブリエルに視認されないルートを通って離脱するコトが出来ます!」

「後は、あの二人が戦艦に辿り着けるかどうかに掛かっているか――二、三人でいい、直近の兵士を誘導の為に向かわせろ。せめてモビルワーカーに乗って行け、とも伝えろ」

 

 正直、あの二人の回収が出来るかも怪しくなって来た。兵士をMWに乗せて護衛させた所で、スペック的にはプルーマ一機を止められるかも怪しい。

 もう一つ、手を打つ必要が有る。ガブリエルの注意を引くコトが出来る何かを、ヴェルンヘルに用意する必要が。

 

「…これより、艦隊を動かす。ヴェルンヘルに向かい、ガブリエルの注意を――」

「…お待ち下さい、ポスルスウェイト司令。地球軍の艦隊が、ヴェルンヘルに接近中です!」

「―――何?」

 

 地球軍の映像が、正面モニターに映し出された。エイハブ・ウェーブ影響範囲の向こう側にいる為、映像はかなり荒いが――確かに、三十隻強の地球軍艦隊がヴェルンヘルに向かっているようだ。

 

「あんな所に飛び込むとは、自殺志願者か? だが――好都合だ。命令変更、我々は変わらずここに待機する。

 ガブリエルの意識は、地球軍が引いてくれるだろう」

 

 エメリコは地球軍に感謝すると共に、その蛮勇さに呆れ、彼らの運命を心より憐れんだ。

 

 

   ◇

 

 

 ヴェルンヘルに接近する地球軍艦隊は、エイハブ・ウェーブ影響範囲の外から、ヴェルンヘルの様子を観測していた。

 

「ヴェルンヘルの外壁が破られ、内部にも火が上がっているようです。外壁の穴の近くには、巨大な未確認兵器が陣取っている模様」

「ふむ――やはり、火星の蛮族どもにはこれが限界か。都市一つマトモに統治出来んとは、幼稚園からやり直して欲しいモノだ」

 

 「ユーラシア連邦」から出頭した地球軍連合艦隊司令官のジェフ・オールドマン特務少将は、顎髭をさすりながら、火星独立軍をいつものようにディスる。

 しかし、ジェフは違和感を覚えた。

 

「だが、何をどうすればここまでヴェルンヘルを破壊出来る? あのデカ(ブツ)が関わっているのは間違い無さそうだが――」

 

 ヴェルンヘルの外壁は地球の各都市を守るシェルターほどではないものの、かなり堅牢に造られている。

 破壊しようとするなら核爆弾を使う必要すら有るが、火星独立軍の保有する核爆弾は、二年前の「コロニー落とし作戦」で使い切られているハズだ。地球軍の預かり知らぬ所で、火星独立軍がここまでの破壊をするコトが出来るとは考えにくい。

 それ以前に、ヴェルンヘルは今や、火星独立軍に取って地球圏最大にして最重要の拠点だ。破壊する必要性が存在しないどころか、現状ヴェルンヘルを失って一番困窮するのは、他ならぬ火星独立軍である。

 

 となれば必然的に、この事態は火星独立軍に取っても喜ばしくない事故である可能性が高い。

 

「――デカ物の観測は出来るか?」

「もう少し、近付く必要が有りますが…」

「では、一隻を近付けてデータを取れ。何が起こるかは分からん、無人のモノを向かわせろ」

 

 艦隊を形成する無人の「エンタープライズ級宇宙戦艦」の一隻が、ヴェルンヘルに向けて接近し始めた。それに伴い、ジェフの乗る艦隊旗艦である「ジェラルドフォード級宇宙戦艦」に、観測データが送られて来る。

 そしてそれを解析し得られた情報を、ブリッジのオペレーターが読み上げる。

 

「通信阻害エリアが形成されているコトから、エイハブ・リアクターを積んでいる模様です。黒いMWのような物を生成、放出し、ヴェルンヘル内部の市民を殺戮しています」

「外壁を破壊したと思われる武装は、未だ発見出来ず。月面に残った跡から、あのデカ物はヴェルンヘルから八十キロメートルほど離れた地点より出現したと推察されます」

「一応聞くが、データに該当する機体は?」

「有りません」

 

 要するに――未知。現状データは無いが、ヴェルンヘルの外壁を破壊出来るだけの武装を有した巨大破壊兵器だ、としか分からない。

 

 その時、MA「ガブリエル」の頭部背面から伸ばされた超硬ワイヤーブレードが、ギュルルルル――と音を立てて蠢き始めた。

 

「――! 対象に動きありです!」

「どうした? 委細報告しろ」

「は! 尻尾のような物が、動いて――」

 

 ワイヤーの先に取り付けられた、特殊超硬合金製の黄金の刃に接続された「エイハブ・スラスター」が一際強く噴き出し、接近していたエンタープライズ級宇宙戦艦に向かって突撃した。

 ブレードはエンタープライズ級の船底をいとも容易く貫き、それによってエンジンは誘爆させられ――一瞬の内に爆煙に包まれ、宇宙の藻屑となって消えた。

 

「――エンタープライズ、撃沈…!」

「見れば分かる…! モビルプレーン全機出撃、全砲門解放! 核ミサイル発射用意! 目標、敵性機体!!」

 

 全艦隊から一斉にMPが出撃し、全艦の主砲、ミサイル発射管、対空砲などまでが起動し、照準をガブリエルに向ける。

 「コロニー落下阻止作戦」での教訓から、戦艦もMP部隊も、旗艦ブリッジからのLCSレーザー通信での遠隔操作を採用している。その為、ガブリエルが飛びかかるコトでエイハブ・ウェーブ影響下に入っても戦艦、MPが制御不能になるコトは無い。もっとも、レーザーが阻害されない開けた空間でしか使用出来ない、苦肉の策とも言える対処法だが。

 

 ―――認識。人造宇宙戦艦、後三十一隻。

 ―――生体反応。撃沈。殺戮。

 

 対するガブリエルは身体を百八十度回転させ、後方から接近していた地球軍連合艦隊を正面から観測し――頭部に内蔵された、ビーム砲を充填する。

 

「目標内に、高エネルギー反応! 外壁を打ち破った兵器かと推察されます!」

「回避と同時に、全砲門斉射! 撃墜しろ!!」

 

 核ミサイルを始めとし、艦隊はガブリエルに集中攻撃を仕掛ける。それを意にも介さず、ガブリエルはビームを解放した。

 ミサイルや主砲は光熱の奔流に呑み込まれて消滅し、ビームは艦隊旗艦のジェラルドフォード級に突き刺さった。

 

「うわああああああ!!!」

「何だああああああ!!?」

 

 一瞬でブリッジが焼かれ、艦隊司令官ジェフ・オールドマンは艦が爆発する前に身体を蒸発させられたコトで、宇宙の暗黒の中へと消えていった。

 ビームは戦艦一隻を撃破しただけでは収まらず、凪ぎ払うように艦隊を蹂躙した。ざっと五、六隻を撃沈させた所で、ビームは収束。

 しかし、ガブリエルは排熱の後、再び艦隊に向けて頭部からビームを放った。

 

「地球軍旗艦、轟沈を確認。ガブリエル、艦隊の殲滅に移行」

「地球軍MP部隊、プルーマの群に接触。プルーマ殲滅は絶望的と目されます」

 

 オペレーター達の報告を聞きながら、火星独立軍第三艦隊司令官エメリコ・ポスルスウェイトは、自分の浅慮さを恥じた。

 三十隻からなる大艦隊ですらあの有り様だと言うのに、何故十隻に満たない艦隊で時間稼ぎが出来る、などと判断したのだろうか――と。

 

「後、十分も保たないだろうな。それまでに月を離れられれば良いのだが――ヴェルンヘルのエンタープライズからの連絡は?」

「有りません。ディヤウス・カイエル、トリテミウス・カルネシエル両名の生死すら、確認出来ていません」

 

 チッ、とエメリコは舌打ちせざるを得なかった。急がなければ、ガブリエルが地球軍艦隊を殲滅しきってしまう。

 

「…ヴェルンヘルの緊急設備で、穴が塞がれた模様です。火星独立軍の士官達が、全力で保護対象を捜索中とのこと」

「良し、設備は壊されていなかったか」

 

 今更ながら、ヴェルンヘルに備えられた緊急用の穴を塞ぐ機能が作動したらしい。緊急設備は「トリモチ」と呼ばれるネバついた粘着性の物質を出し、穴にくっつかせて塞ぐモノだ。

 ヴェルンヘルの都市機能を運用する自治組織は、トリモチ射出機を壊されるコトを恐れて、ガブリエルが穴から注意を逸らしたタイミングを狙って穴を塞いだらしい。だが、ガブリエルが再びビームを撃ち込めば、貼りついたトリモチは溶けてしまうだろう。

 それまでに、二人の身柄を確保しなければならない。

 

「捜索を急がせろ」

「は!」




第八話「殺戮の大天使」をご覧頂き、ありがとうございました。

やべえ――今回、何人死んだ…?
月面都市に住んでる人、ほぼほぼ全滅したぞ…?
こわっ…(作者の感想)


《新規キャラクター》
ジェフ・オールドマン
・ユーラシア連邦所属の軍人。少将。
・完全なる出落ちキャラ。ぶっちゃけネームドにした意味、あんまり無い気が(オイ)


《今回のまとめ》
・核にも耐えられる外壁? 何それ美味しいの?
・モビルアーマーの本領発揮。これがプルーマの正しい使い方だ(断言)
・ディヤウスさんとトリテミウスさん、生死不明


次回「月面都市、壊滅」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。