厄祭の英雄 -The Legend of the Calamity War-《完結》 作:アグニ会幹部
毎週ならともかく、いつ更新するか分からない辺りがアレですけれども。
今回、武装がどうなってるのか、設定した私すら良く分からない(オイ)機体が出て来ます。
地の文の戦闘描写もやれるだけやったので、何とか頑張って想像して下さいお願いします(最低の丸投げ)
ディアス・バクラザンが率いるヘイムダルのチームは、イングランド統合連合国の都市「ベルファスト」に到着した。
ベルファストは北アイルランドにある地方都市だが、イングランド軍の地上基地が存在しており、ブリテン島付近で活動する部隊にとって、重要な拠点となっている。M.U.0049年も十二月を迎えたとあって、ベルファストの地でも雪がパラついている。
ディアス達を乗せたナーワル級航空母艦「フィアラル」が基地に入港すると、それをイングランド第二王子ヴィンス・ウォーロックは、快く出迎えた。彼の後ろには、一番の友人にして
「やあやあ、よく来てくれた。今回イングランド軍を指揮する、ヴィンス・ウォーロックだ。一応『ガンダム・カイム』のパイロットもやってるが――とにかく、よろしく頼むぜ」
「ディアス・バクラザンだ。オデッサでの活躍は聞かせて頂いている」
チームリーダーであるディアスは、ヴィンスの差し出した手を握り返した。ディアスの後ろには、ガンダム・フレームを預かるチームのメンバーが四人揃っている。ヴィンスは全員と握手を交わした後、基地の作戦室に五人を招き入れた。
作戦室は一辺四メートルほどの小さな部屋で、中央に大きなコンソールが置かれている。シンプルで最小限の作りだが、参謀が何十人と詰めて軍議を行うには充分と言えるだろう。
「ヴィンス様。彼らが?」
「ああ」
そして、その作戦室では一人の男が待っていた。ヴィンスはディアス達に、彼を紹介する。
「サミュエル・メイザース大尉。『ガンダム・アムドゥスキアス』のパイロットだ」
王子直々に紹介されたサミュエルは、無言のまま軽く頭を下げる。どうやら、口数が多いタイプではないらしい。
「遼真は移動中に紹介したし――今度はそちらの番だな」
「了解した。では、オレも改めて」
咳払いし、ディアスから自己紹介を開始した。
「オレはディアス・バクラザン。チームリーダー兼『ガンダム・ヴィネ』のパイロットだ」
「『ガンダム・アモン』のミズガルズ・ファルク。チームではサブリーダーをしている」
二人の後、残りの三人が続ける。
「バリシア・オリファントさ――『ガンダム・ガミジン』のパイロットをやってる」
「…レスリー・ホルブルック。『ガンダム・ナベリウス』の…パイロット」
「『ガンダム・バティン』、ウィルフレッド・ランドルだ」
以上の五人が、ディアスチームのパイロットである。把握したヴィンスは頷き、コンソールを叩いて作戦図を展開する。
作戦図には、北アイルランドが映し出された。
「今回の作戦は、このベルファストの南方に位置する都市『ダブリン』の防衛だ」
「なして?」
「先月の作戦で、我々人類は奴らの一大作戦を叩き潰した。それと同時に、ヨーロッパ地方におけるモビルアーマーの拠点となっていた『オデッサ』を奪還した。しかしそれ以降、このアイルランド島付近で奴らの動きが活発になりつつある」
「――新たな拠点を得ようとしてる、ってコトか」
「その通りだ。そして、奴らはダブリン付近に集結しつつある。そのコトから、狙いはダブリンだと考えて良いだろう」
ダブリンはアイルランド島最大の都市であり、イングランド統合連合国の首都「ロンドン」があるブリテン島にも程近い。三国同時撃滅作戦を打ち砕かれたコトで、MAは方針転換し、一国ずつ確実に叩き潰す作戦に変更したのかも知れない。
「これよりアイリッシュ海に一個艦隊を展開し、MAの襲撃に備える。最近のMAの傾向からして、こうしておけば、必ず奴らは我々の方へ来る。我々の予想では、三日以内に攻撃が有る」
「…承知した」
「先日チャーリー・デイビス首相がロンドンのド真ん中で殺されたコトで、イングランドは混乱のただ中に有る。奴らに漬け込ませる訳には行かん」
ヘイムダルとヴィンス、遼真は艦隊と行動を共にするが、機体特性上、サミュエルは陸上に配置される。
簡単なミーティングの後、イングランド軍とヘイムダルは早速行動を開始した。
「――そう言えばヴィンス。女王陛下は何か言っておられたか?」
「ん?」
移動しながら、遼真はヴィンスにそう問うた。何故そんなコトを聞くのか、とヴィンスは疑問を抱きながらも、質問には答える。
「『死ぬなよ』だそうだ」
「…デイビス首相については?」
「さてな。兄上曰く、淡白な反応だったらしいが…拳は血が出るほど握られていたと」
チャーリー・デイビスは、優秀な男だった。
イングランド統合連合国は改元前より、ヨーロッパ州に存在する国々との併合を繰り返すコトで成立した。歴史は長く、連合議会は十国の議会の中で、最も古く成立したと言われている。
その歴史上、最も優秀な首相であったとまで称され、エミリアナ女王の信頼も篤かった。先見の明も有り、就任後は有効な政策を打ち出し続けた。彼を失ったコトは、イングランドにとっては勿論、人類にとっても大きな痛手だ。
「こんな時だからこそ、我々が動かねばならない。人類が徹底抗戦の意志を変えるコトは無い、と言うコトは、臨時十国首脳通信会談でも確認された。
――チャーリーの仇は取る。我々が『ミカエル』の存在を知るコトが出来たのは、アイツが死ぬ瞬間に、その名を叫んでくれたからだ。その覚悟は、絶対に無駄にしてはならない。してたまるものか」
犠牲を払いながら、人類は反撃の一手を打ち続けている。これまでMAに殺された人の魂に報いる為にも、戦いは続ける。でなければ、人類には仲良く全滅する未来しか無い。
「規模に於いては以前のオデッサ奪還作戦に及ぶべくもないが、この戦いもMA討滅の一歩となる。何よりも、眼前の敵を打ち倒すコトを考えねばな」
「――ああ、そうだな」
尤も――そう単純には考えられない者も、この世界にはいるのだが。
◇
ダブリン周辺のアイリッシュ海に展開したイングランド統合連合国軍とヘイムダルの艦隊は、接近するエイハブ・ウェーブを捉えた。
「エイハブ・ウェーブ観測!」
「来たか――モビルスーツ隊、全機出撃! 対空砲火準備! カイムは出せるな!?」
旗艦のブリッジで、ヴィンス・ウォーロック司令は指示を出す。その傍らでは、艦長が呆れたようにため息を一つ。
「止めたいのが本音なのですが…どうせ、制止も聞かず行かれるのでしょう?」
「当然だ。戦力を出し惜しんではならん」
そう言い残し、ブリッジを後にしたヴィンスは、愛機である「ガンダム・カイム」の下へ向かった。
一方、ヘイムダル側も戦力を展開しつつある。
「イングランドが動いたか」
「そのようだ――オレ達も行くぞ!」
今回の作戦は、主に海上戦となる。
地上側にダブリンの駐屯戦力を全て回し、それにより手薄となってしまう海上を、ヴィンス直属の部隊とヘイムダルで抑える形である。
「目標、接近! 距離――」
「言われるまでもない、視認した」
その数は、優に五十を超えている。初期型の機体などは最早問題ではなくなりつつあるが、それにしてもかなりのモノだ。
出撃した紅蓮のMS――「ガンダム・カイム」のコクピットで、敵の様相を一通り確認せしめたヴィンスは、艦隊に指示を出す。
ガンダム・カイムは、赤く流麗な装甲が特徴の、五十三番目のガンダム・フレームである。その戦闘スタイルは高機動力を生かした一撃離脱を基本としており、ガンダム・フレーム当初の設計思想に立ち返ったかのような機体だ。
手持ち武装は「カイム・サーベル」と「バックラー」なる円形のシールドと、何の変哲も無い基礎的な物に留まっているが、この機体の主武装はバックパックに存在する。ビームを自由に放出可能な「ビーム・フラッグ」が、象徴たる武装と言える。高機動を実現する大型スラスターも、バックパックに内蔵されている。また、ショートバレルキャノンも二基接続されており、遠距離牽制に使用される。
ビーム・フラッグによりプルーマを一掃し、一気に本体へ斬り込み、撃破後速やかに離脱する。シンプルであるが故に、パイロットの素質を問う機体とも言えるだろう。
「砲撃開始! 抜けて来た機体のみ、MS隊で対応する!」
『全艦、砲撃を開始せよ!』
こちら側の艦隊は、全てで八隻。少々頼りない数だが――参加しているガンダム・フレームは、実に八機にもなり、MS隊も結構な量となる。大体の事態には対応可能だろう、とヴィンスは判断した。
「――第一陣、か」
「だろうな。この程度で終わりとは思えん」
艦砲射撃やMS隊の攻撃によって次々と落とされて行く「サキエル」や「ラメエル」などのMAを眺めながら、ヴィンスと「ガンダム・ゼパル」を駆る遼真・ウェルティ少佐は言った。
「…敵が弱すぎる」
「ディアス?」
「初期型ばかりで、統率も取れていない。この程度でオレ達をどうこう出来るなんて、向こうも思っちゃいねぇだろう」
遼真と同じコトを、ディアス・バクラザンとミズガルズ・ファルクも思っていた。
前回のオデッサ奪還作戦で、MAは痛いしっぺ返しを食らった形になる。その直後、首都ロンドンが有るブリテン島に程近いアイルランド島の最大都市ダブリンへの侵攻にしては、あまりに稚拙だ。一言で言うと、やる気が感じられない。
「消耗戦でもする気か?」
「もしくは、何か切り札が有るか」
ヴィンスと遼真の推測通り、第二陣以降も来るのだろう。前回の作戦でMA側もかなり戦力を消費しただろうが、マザーMA「ガブリエル」在る限り、MAの戦力が尽きるコトは無い。
その時――ディアスは、とあるモノを見た。
ディアスは乗機である「ガンダム・ヴィネ」に指差させ、その方角にミズガルズが視線を向ける。
「…ミズガルズ。アレ、何だと思う?」
「ん?」
指し示された場所は海で、大陸の方角だ。
かなり遠方だが、そこには――MSらしき陰と、大きな水しぶきが見える。
「――エイハブ・ウェーブの反応は無い…レーダーの探知範囲外か?」
「だが、あの大きさは普通じゃないぞ」
顎に手を当てながら、ディアスは僅かに考え――
「ディアス!?」
「指揮は任せる!」
ヴィネは甲板から離れ、艦砲射撃が降り注ぐ戦場へと向かう。とは言え、目標は戦場にひしめくMAではなく――その向こう、謎の水しぶきが上がった地点だ。
『ヘイムダルのガンダムが突撃していきます!』
「何?」
ブリッジから通信を受け、ヴィンスもヴィネへと視線を向ける。確かに一機だけで、艦砲射撃の雨が降り注ぐ海を滑って行っている。
『このままでは、友軍機に艦砲射撃が――』
「構わん、砲撃を続けろ」
艦長の言葉が終わるのを待たず、ヴィンスはそう命令した。艦砲射撃が降り注いでいるのが見えていない訳でもないだろうし、何かしら考えが有っての行動だ、とヴィンスは判断したのである。
「ディアス・バクラザン! 艦砲射撃は止めん、自力で切り抜けろ!」
「優しさが無ぇな――!」
ヴィネは縦横無尽に海面を滑り、後方から飛来するミサイルや主砲攻撃を見事にかわし、通りすがりざまにMAを一機両断して進む。
ガンダム・ヴィネは、巨大な鎖鎌を最も大きな特徴とする四十五番目のガンダム・フレームだ。
大鎖鎌「エインヘリヤル」は全長二十メートル、刃渡り十三メートル、鎖の長さ百メートルというデタラメな代物であり、一瞬でも間違えればあらぬ動きをしてしまう欠陥とさえ言える武器である。この武装をマトモに使うには相当なセンスと熟練を必要とし、満足に使いこなせる者はディアス・バクラザン以外に存在しないと言える。しかし、それ故にMAにすら予測が難しい攻撃を繰り出すコトが可能である。また、四本のサブアームと「ヴェズルフェルニル」なる片手剣を四本装備している。
メチャクチャな機体だが、それ故にパイロットの特性が光る機体と言えなくもない。
「何と」
「良い腕だ」
遼真の驚愕とヴィンスの賞賛などつゆ知らず、ディアスの駆るヴィネは戦闘海域を突破し、問題の海域へと突き進む。
『一機、ガンダム・フレームが近付いて来るわよ』
『へえ、カンの良い奴がいるらしいな。さっさとおさらば――』
「捉えたぞ…!」
ヴィネは巨大な鎖鎌を構え、思い切り振り回し始めた。間違い無く何かがいる。未だにエイハブ・ウェーブは観測されていないが、海中にいるソイツらを、ディアスには視認出来ている。
先端に鉄球がくくりつけられた鎖が、ヴィネの周囲を舞う。そして、それをディアスが大きく振り回そうとした瞬間――
桃色のビームが、ヴィネの眼前に走った。
「チッ…!」
海が蒸発し、白い水蒸気がディアスの視界を埋め尽くす。ディアスは煙幕の中に居続けるのはまずいと判断し、ヴィネに鎖を回収させつつ後退する。
そんなヴィネに、四十メートルを超える巨大なMAが、
「ビーム・サーベルだと!?」
鎌の柄で光の剣――ビーム・サーベルを止めたヴィネのコクピットで、ディアスはそのMAを視認する。
二本の腕、二本の足。頭と胴体も有り、背中からは羽根が生えている。そして、その腕からは――巨大なビーム・サーベルが伸びていた。
MA、アサエル。
悪魔を真似た天使――MSを模倣して造られた、人型のMAである。
「人型の、MA…!?」
驚愕を露わにするディアスの前で、アサエルは胸部ビーム砲を展開し、撃ち放った。横に移動してこれをかわしたヴィネは、速攻で鎌を振るが、アサエルは飛び上がって回避した。
スラスターを吹かせて飛ぶアサエルは、頭部と腰部のビーム砲をヴィネに向けて撃つ。ヴィネはこれを鎖を回転させて弾きつつ、鉄球を振り回してアサエルの背中に衝突させ、アサエルを海面へと叩き付ける。
「――ッ」
しかし、アサエルには特にダメージは入っていないようだ。手応えが無かった。
それどころか、アサエルはヴィネを差し置いて海中を進み、艦隊へと向かっているようだ。
「させるか…!」
ヴィネも転進し、艦隊へと戻り始める。
さっき見えたのは一体何だったんだ、と後ろ髪を引かれる気分になったが、そんなコトを気にかけていられる状況ではなかった。
『――二度と会うコトァ無い。サヨナラだ、ヘイムダルの鎖鎌使いサンよ』
◇
艦隊中央の空母にいるヴィンスも、アサエルとヴィネの戦闘は視認していた。そのアサエルが、絶賛近付いて来ているコトも。
艦砲射撃を悉く回避しながら、アサエルは頭部ビーム砲を展開し、ヴィンスのカイムが甲板に立っている旗艦「リチャード」を照準する。
「アレは無理だな――やるぞ」
ヴィンスがそう指示を出すよりも一瞬早く、ヘイムダルが動いた。
「言われずとも…!」
ミズガルズの操る「ガンダム・アモン」がスナイパーライフル「ヒュルム」を構え、アサエルを狙って撃つ。
ガンダム・アモン。
七番機たるこの機体は、荘厳さを感じさせる紫と赤、金の装飾が特徴的である。しかし、その主武装は「ヒュルム」なるスナイパーライフルであり、宇宙であれば何百キロメートルも先の標的をロックオンするコトすら出来る。また、それとは相反するような大槌「ミョルニル」も装備しており、超遠距離戦から近距離戦にまで対応する機体となっている。
およそ狙撃機体とは思えぬ機体だが、戦場では高い状況適応能力を発揮する、汎用性に優れた機体であると評価出来るだろう。
弾丸は真っ直ぐに、露出したアサエルの頭部ビーム砲へと飛ぶが、弾の到達より、ビーム発射の方が早い。アサエルがビームを放ち、アモンが放った弾丸は蒸発。イングランド艦隊の旗艦「リチャード」へと直進するが――カイムが前へ出て、剣を右手で腰から引き抜いた。
「させんよ」
振り上げた剣を、真下に一閃。
たった一撃で、アサエルのビームは真ん中から斬り裂かれた。
「お見事」
ビームは艦の周囲の海を蒸発させるに留まり、同時に遼真の「ガンダム・ゼパル」が出撃する。ゼパルは海上をホバーで高速移動し、大盾の裏から剣を抜き、アサエルとの距離を詰める。
十六番機、ガンダム・ゼパル。
騎士然とした白銀の装甲が特徴の、王子に仕える騎士たる者が駆るに相応しい機体と言える。その見た目通り防御力が高く、近接戦闘を得意とする。
武装は「アメノハバキリ」と呼ばれる剣と斧の複合武装に、両手剣「ブロードソード」、それを裏側に収められる「大型カイトシールド」と、まさに騎士らしき物で纏められている。更に、武装に電気を通すコトで発熱させる特殊兵装「ソードコア」は、一撃でナノラミネートアーマーを破壊可能で、後のヒート武器の先駆けとなった。
アサエルは接近するゼパルに胸部拡散ビーム砲で応えるが、ゼパルは盾でビームを凌ぎつつ、更に近寄る。対して右腕からビーム・サーベルを発振させたアサエルと、ゼパルが交錯。実体の剣と光剣が衝突する。
「うおおっ!」
スパークが散る中、ゼパルは手首を返し、アサエルの右の二の腕に向けて剣を振る。体重をかけない振り方をされた剣は、装甲に弾かれるだけ――と、アサエルは分析したが。
剣は、アサエルの腕部装甲をいとも容易く斬り裂き、レアアロイのフレームごと腕を落とした。
ゼパルに搭載された特殊機能「ソードコア」により、高圧電流を通された剣が発熱し、熱に弱いナノラミネートアーマーを断ったのである。
アサエルが呻くような音を立て、ゼパルから距離を取る。
「逃がさ、ない…!」
しかし、ゼパルの背後から、レスリー・ホルブルックの「ガンダム・ナベリウス」が襲い掛かる。
ガンダム・ナベリウス。
このガンダム・フレーム二十四番機の最大の特徴は、宿りし悪魔の特性を反映した、顔に見える両肩である。悪魔「ナベリウス」は三頭の猛犬「ケルベロス」ともされ、それ故にこの機体は、こうした形状を取っている。
武装は「ライトヘッド」「レフトヘッド」と呼ばれる、ビーム・ジュッテが付いた小型のハンドガンに、「センターヘッド」なる大型ライフル。これは背部ユニットに備えられており、股下や肩上から前方に構えて使用する。接続アームは長めに造られており、関節の曲がる方向も自在である為、射角は思うがまま。弾速は比較的遅めだが、炸裂弾となっているので一発の威力が高い。
機動力は高いが装甲が薄く、相手の攻撃をかわすコトが前提として設計されている、ガンダム・フレーム特有の機動性をアテにした機体だ。
両肩が顔に見えるコトが特徴の機体は、アサエルの背後に回り込む。そして、両手に持つビーム・ジュッテにより、アサエルの背部ウィングユニットを切断した。
「チェンジッ!」
次はバリシア・オリファントの「ガンダム・ガミジン」だ。
ガンダム・ガミジン。
四番目と早期に造られたガンダム・フレームではあるが、多彩な武装を搭載しているのが特徴だ。
特に「ミズガルオムズ」は右腕に装備された複合武装であり、アサルトナイフ二本とマシンガン、小型ミサイルが一基ずつ。更にスラスターが搭載されている他、二本のナイフは交差させてハサミ状に出来る他、柄にワイヤーが付いているので飛ばすコトも可能。「大口径ハンドガン」に「ユーミル」と、射撃系武装も充分に装備している。また、戦闘状況を予測し、パイロットの脳内信号を加速させて超高速反射を可能とする「MUSTERシステム」を内蔵している。試験的に導入されたモノだが、使用の代償は決して小さくない。脳での処理速度を機体が上回る為にダメージが蓄積され、最終的にパイロットが廃人となるコトが発覚し、後の機体には採用されていない。
武装が豊富で優秀な機体だが、その代償もまた大きい為、搭乗には相応の覚悟が求められる。
アサエルの腰部ビーム砲を難なくかわしたガミジンは、右腕の複合武装「ミズガルオムズ」からアサルトナイフを二本射出し、胸部拡散ビーム砲を破壊。続いてバックパックに接続された「プロトダインスレイヴ」たる「ユーミル」を放つ。
放たれた弾頭はアサエルの頭部を吹き飛ばしたものの、超高熱の後方噴射がガミジンの背後の海を蒸発させた。
「避けろ!」
瞬間、閃光が走り――アサエルの両足が、吹き飛んだ。
海が白い波を立て、衝撃波が宙に浮いたアサエルを後方へと舞い上がらせる。何が起こったのか、アサエルは全く認識出来ていない。
ウィルフレッド・ランドルの「ガンダム・バティン」が、超高速で通り過ぎるついでに、アサエルの腕を剣で切断した。
起きたコトは、ただそれだけのコトである。
ガンダム・バティン。
高機動と重装甲の両立を目標として開発された、十八番目のガンダム・フレームである。
武装はライフルとアサルトナイフに、折り畳み式のレアアロイ製直剣「マルティム・ソード」とシンプルであり、一撃離脱の電撃作戦を想定している。
バティンのスピードは、全ガンダム・フレームの中でも一、二を争うほどだ。アグニカ・カイエルの「ガンダム・バエル」や、クリウス・ボードウィンの「ガンダム・キマリス」と、同格の速度を有している。しかも、通常時であれば恐らく「最速」と呼べるだろう。バティンは音をも置き去りとし、衝撃波すら遅れを取る。
「追い付いたぞ…!」
認識エラーを起こしまくりながら、宙に浮かび上がったアサエルを、ディアス・バクラザンの「ガンダム・ヴィネ」が伸ばした鎖が拘束する。ヴィネは巧みに鎖鎌を操って鎖を引っぱり、自らの下へアサエルを引き寄せる。
鎖に束縛され、頭部を吹き飛ばされたコトでさらけ出されたアサエルの中枢コンピューター部に、鎌の刃が突き刺さった。機能を停止させられると同時に、アサエルは海へと叩き付けられ、重力に引かれて底へと沈んで行く。
「よし」
ヴィネは鎖鎌を回転させ、鎖とその先の鉄球を回収する。敵群が掃討されたコトを確認し、全員が一息吐いた時――
艦隊の背後。
ダブリンの周辺で、爆発が発生した。
第三十二話「暗躍せし者達」をご覧頂き、ありがとうございました。
ちなみに今回、かなり展開に迷いまして。
何かパターン化されて来て、新鮮さが損なわれてあるような気がしていたりも…。
アメリア編とユーラシア編でハッチャケすぎたってのも有りますが。どうしよう…?
《新規機体》
ASW-G-45 ガンダム・ヴィネ
・ヘイムダル、ディアス・バクラザンの機体。
・二十メートル越えの鎖鎌を持つ、扱い辛さ&戦闘イメージのし辛さNo.1の逸材。武装的には一番フザケてる。
ASW-G-07 ガンダム・アモン
・ヘイムダル、ミズガルズ・ファルクの機体。
・案を集めた時、やけに人気だったのは何故なのか未だに分からない。本当に何故なのだろうか?
ASW-G-04 ガンダム・ガミジン
・ヘイムダル、バリシア・オリファントの機体。
・ダインスレイヴの先駆けとなる武装を持つ。複合武装持ちだったりし、四番機の癖に大分ピーキー。
ASW-G-18 ガンダム・バティン
・ヘイムダル、ウィルフレッド・ランドルの機体。
・機動力が極めて高い癖に、実は重装甲。スラスター出力でごり押ししており、わりかし最強なのではと思わされる。
ASW-G-24 ガンダム・ナベリウス
・ヘイムダル、レスリー・ホルブルックの機体。
・両肩が頭のようになっているが、これは悪魔「ナベリウス」の特徴を再現している(ナベリウスはケルベロスとも呼ばれる)
アサエル
・MSを真似て造られたMA。
・サイズ的にはサイコガンダムくらい。MAに対抗する為に造られたMSを真似て造られたMAとかもうこれ分かんねえな…。
《新規キャラクター》
サミュエル・メイザース
・イングランド軍の大尉で、「ガンダム・アムドゥスキアス」のパイロット。
・名前の元ネタは「黄金」の魔術師、サミュエル・リデル・マクレガー・メイザース。強そう。
バリシア・オリファント
・ヘイムダルのパイロット。
・ディアスチーム唯一の華。弟を殺されたコトで、ガンダム・フレームに乗るコトとなった。
レスリー・ホルブルック
・ヘイムダルのパイロット。
・話すのが苦手な為、ゆっくり喋る。台詞に「…」が多めなのはそのせい。
ウィルフレッド・ランドル
・ヘイムダルのパイロット。
・元ジャーナリスト。巻き込まれた結果、ガンダムに乗るコトになってしまった、ちょっと不幸な人。
《今回のまとめ》
・暗躍してる人達が出て来て、ようやく章タイトルの意味が分かってきた気がする
・ヴィネの鎖鎌はどうなってるのかって? それは私が知りたい
・ダブリンの運命や如何に
次回「不可解な謎」