厄祭の英雄 -The Legend of the Calamity War-《完結》   作:アグニ会幹部

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鉄血公式サイトの「MS ARCHIVES」にて、第七回「ガンダム・バエル」が公開されましたね。
やはりバエルは格好いい。有澤さんのメカ絵、どことなくオーバリズムが取り入れられつつも、尖っててシャープな感じが好きです。

さあ、バンダイは早くMGバエルを出すんだ(真顔)
私以外にも、全世界百二十億人のアグニ会会員が即買いするであろうからね!


#40 フヴェズルング

 戦闘終了後、謎の組織から鹵獲された機体「ヨッド・ハーミット」は、ヘイムダルのアグニカチームの母艦であるラファイエット級汎用戦艦「ゲーティア」に収容された。

 機体はメカニック班に回され、システムからの情報の吸い上げや解析が行われる。「ガンダム・フォカロル」のティザーアンカーの電流により気絶したパイロットは、阿頼耶識を強制的に外されて捕虜となった。身柄は国際法に基づいて扱われ、尋問等も行われるが、出方次第によっては多少の荒事を免れないだろう。

 

「…そうペラペラと話してくれるモンか?」

「さあ。そもそも、あの女性が核心に触れるようなコトを知っているかも怪しいが…まあ、ひとまずは尋問が終わるのを待つしかないな」

 

 ゲーティアは戦闘後、サハラ連邦共和国軍のダカール基地に寄港した。今はディアス・バクラザンとミズガルズ・ファルクがゲーティアを訪れ、独房の前でアグニカ・カイエルと話している。

 

「――尋問、って…誰がやってるんだ? ヘイムダルに尋問官なんていないだろう?」

「サハラの尋問官に来てもらった。立ち会いはアマディスに任せてる。――あの尋問官、穏便じゃない道具を持ってた気もするんだがな」

「…オイ、拷問は国際法違反だぞ?」

「それはそうだが――そもそもあの女性が国籍を持ってるとも思えないし、正規組織のメンバーでもない場合は、どのように扱おうが国際法違反にはならないからな…」

 

 アグニカはそう言って、溜め息を吐いた。個人的には人権に配慮して穏便に行きたい所なのだが、ヘイムダル――いや、十国としてはあの女性に何としても情報を吐き出させねばならない。例え、多少荒っぽい手を使うコトになったとしても。

 

「ソロモン曰く、最悪の場合は脳みそから直接読み取れるらしいが――やられた奴は確実に廃人化するか死ぬかするらしいから、やりたくはないな」

「…確かに、それは人道的にダメだな。阿頼耶識とかやってる時点で怪しいモンではあるんだが」

「いや、阿頼耶識はアウトだろう。これは世界中が戦争状態、人類存続の瀬戸際だからこそのモノだ。モビルアーマーがいなくなって、世界が平和になった暁には、速やかに淘汰すべき技術と言える」

「――そう言うのはお前に任せるぞ、ミズガルズ。将来は文官として頑張ってくれ」

 

 そう述べて、アグニカは肩を竦めた。アグニカ自身、こういうコトが苦手な自覚はしっかり持っているのである。

 その時、独房の扉が開き、件の尋問官と立ち会っていた「ガンダム・フォカロル」のパイロットであるアマディス・クアークが姿を見せた。

 

「――尋問の方は?」

「終わりました。自白剤を使いましたが」

「…それは、良いんでしょうか?」

「さて、小官は命令通りに仕事を果たしただけですので。では、私はこれよりクリーズ大佐への報告が有ります故」

 

 サハラ軍の尋問官は、そう言って一礼し、去って行った。それを見送ったアグニカとディアス、ミズガルズの注目は、アマディスに集まった。

 

「結果は?」

「大体、ある程度は聞き出せたみたいだぜ。話はブリッジに皆を集めてからで良いか?」

「ああ、それが良い」

 

 

   ◇

 

 

 それから三十分後、ゲーティアのブリッジにはヘイムダルに所属するガンダム・フレームのパイロット一同が揃っていた。アグニカチームとディアスチーム、合計して十一人ものパイロットだ。

 そして、ヘイムダルの本拠地たる海上移動式メガフロート「ヴィーンゴールヴ」と通信が繋げられ、そこには組織のリーダー格であるディヤウス・カイエルとマヴァット・リンレスが映っている。

 

『でーはアマディス君、よーろしーく!』

「分かりました」

 

 それからアマディスは、報告を始めた。

 

 「ヨッド・ハーミット」のパイロットであった捕虜の名は、アマーリア・ウィーデン。

 傭兵組織「フヴェズルング」に所属し、現在はその中でも「ロブ・ダリモア」と言う男の率いるチームの一員である。

 

「『フヴェズルング』…」

『世界的な傭兵組織だな。改元前の大戦の時代から存在している、練度の高い傭兵が数多く所属していると言う奴か』

「はい。そのロブ・ダリモアという男は、アグニカがさっき戦ったモビルスーツ――『マドナッグ・フレーム』一番機『ベルゼビュート』に乗っていたらしい」

 

 ベルゼビュート――地獄の王の一柱として、かの魔王「サタン」と並び称される大悪魔。元々は「バアル・ゼブル」と呼ばれ、カナン神話の最高神「バアル」と同一視されてもいる。

 

「ガンダム・フレームの一番機『バエル』に対し、マドナッグ・フレームの一番機『ベルゼビュート』か…」

「…アグニカ? パクられて不満だったりする?」

「いや、単純に感心した。上手く名付けるモンだなーと」

「あ、そっちかあ」

 

 アグニカとスヴァハの内容が無い会話を傍目にしつつ、ディヤウスは思案する。

 

『マドナッグ・フレーム…見たコトも聞いたコトも無いインナー・フレームだな。マヴァット、お前はどうだ?』

『私ーも聞きー覚ーえは無いーな。開ー発元や生産ー元を調べーてみーる』

『頼む。――で、それだけか?』

「いえ、まだ有ります。奴らの行動理由と目的について」

 

 フヴェズルングの、ロブ・ダリモアのチームは一体何をしていたのか。

 

「彼らの目的は、ステルス機を活用した、()()()()()()()()()()()()()()()です」

「――MAの、誘導だと? そんなコトをして、そのフヴェズルングとか言う組織に、一体何の得が有ると言うんだ?」

「そう、そこだミズガルズ。そこから先は聞き出せなかった――恐らくは、あの女も知らねえコトだ」

 

 つまり、ここから先は推測になる。

 だが――これだけ情報を聞き出せれば、推測もそう難しいコトではないだろう。

 

「――! まさか…」

「ディアス、気付いたのか?」

「ああ。――()()()()()()()()()()()()

「…何の為に?」

「敵国に被害を出させて、国家間のパワーバランスを切り崩す為だ。そうすれば、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ディアスの推測を聞いて、ミズガルズや通信先のディヤウスは、納得したように頷いた。

 

「戦後は、って…まだ、戦いは終わる兆しすら見えてないじゃない! 何でそんな、自分の足を引っ張るような真似を…!?」

『いや、違うぞスヴァハちゃん。兆しは見えてる。

 ――ガンダム・フレームの出現により、人類は攻勢に転じた』

 

 戦時中から戦後のコトを考えるなど、政治家にとっては当然のコトだ。確かに「四大天使」などの不安要素も有るには有るが、他国の権威失墜の為に動き出してもおかしくはない時期になって来ている。

 特に現在の十国は、絶妙なパワーバランスによって均衡が保たれている。この混乱に乗じて他国を少し削り崩しておくだけでも、戦後の国家間の関係は確実に変わって来るのだ。

 

『敵は少ないほど良い。どの国も、可能なら自国を中心として地球圏を統一したいと考えている。そうすれば決闘という表向きのルールの影でゼロサムゲームを続ける必要も無くなり、土台が安定するからな。意気揚々と圏外圏の開発と統治に乗り出せると言う訳だ。

 「十国会議」で世界に平和と友好をアピールし、他国と足並み揃えて平等に…と言えば聞こえは良いが、それでは納得しない者も少なくはないからな』

 

 無論、ここでの意見は単なる推測に過ぎない(恐らくは正しい)が、人類側としても一枚岩ではない。

 現在、十国はMAという共通の敵に対し、一丸となり挑む姿勢こそ整えている。彼らが未だヘイムダルに貴重な予算の多くを割いているコトがその証左だが、基本的に他国は不倶戴天の敵だ。どの国とも友好的な関係を築いている国も有るが、それだって常に利害を一致させた上のモノであるし、それぞれ関係はギリギリの所で調整しなければならない。

 そもそもは改元前の大戦時、無人兵器の台頭により軍事費が爆発的に膨れ上がった為、経済的破綻を防ぐべく国が巨大化して行った結果、現在の十国が在る。巨大化の為の併合は民族や宗教といった要素を度外視してのモノであったし、武力により強制的に併合された地域も少なくない。大国からの独立を望む民族や地域も少なからず存在しており、各国は内外に火種を抱えた状態で、十年近くMAとの戦いを繰り広げているのだ。

 

『確かに、スヴァハちゃんの言うコトは正しい。今は人類同士の内輪もめなどしている場合ではないが――この十年で十国は多かれ少なかれ疲弊し、国力は全体的に落ちて来ている。こういう動きが出てもおかしくない、と思ってはいたが…』

 

 火星独立戦争が開幕するまでの四十年間は、十国が保有する圧倒的武力が抑止力となって、内紛は未然に抑えられていた。反乱を起こしたとしても、国に要求を呑ませるコトは出来ないと分かりきっていたのだ。仮に一地域で独立国となった所で、そんなちっぽけな出来たての国が、他の大国と渡り合っていけるハズも無い。それよりは大国の一地域で在り続けた方が、よほど大きな利益を得られる。

 しかし、十国の国力が落ちると言うコトは、そうさせるだけの抑止力が失われると言うコトだ。もし今が平時であれば、各地で独立運動や革命が起こっているだろう。

 

「今はMAとの種の存続を賭けた大戦の最中で、だからこそ人類は辛うじて団結出来てる…って訳か。どんな皮肉だよ」

「全くだ。人類の脅威たるMAがいるから、人類は人類同士での殺し合いをせずに済んでるってコトだからな…」

 

 先ほど、フヴェズルングの行動目的は他国の権威を貶める為だとディアスは推測した。その場合、十国の内のどこかの国が、裏で糸を引いていると言うコトになる。

 

「独立を目指す民族や地域が、フヴェズルングを操っている可能性は?」

『恐らく、低いだろう。それなら攻撃は一国に集中するハズだ。イングランド、サハラ、アフリカンの三国を同時に攻撃する理由が無い。三国の国境が隣接する地域も無いしな。

 …ただ、フヴェズルングが複数の国の複数の地域から依頼を受けて動いている可能性は有る。除外するには至らない、か』

 

 ひとまず、有り得る推測はこれくらいだろう。

 ただ、問題はもう一つ有る。

 

「なあクソ親父。これから、ヘイムダルはどうするんだ? フヴェズルングに対抗策を講じるのか?」

『そうしたいのはやまやまだが…ああ、とはっきり答えるコトは出来ない。

 ヘイムダルの最優先事項は、あくまでもMAの討伐に有る。十国間の争いに首を突っ込むコトは本分ではないし、それは組織の権限を逸脱する行為だ。一応可能ではあるが、結果として十国からの反発を受ける可能性が有る。それで予算を削られでもすれば、組織の維持や部隊運用に支障を来すからな…』

 

 仮にフヴェズルングが十国の内のどこかから依頼を受けて動いているとしても、ヘイムダルがその繋がりの有無を問うた所で、全ての国が否定するだろう。他国のスパイなどに探りを入れられても、決して露見しないようにはしているハズだ。

 バレたら最後、その国は他の九ヶ国を敵に回すコトになる。秘匿の為に、何人もの仲介人を重ね、場合によっては使い捨ててまでいるのは間違い無い。

 表向きはシロを装わねばならないのだから、ヘイムダルがこの件に首を突っ込んだ所で、大っぴらに報復行動を起こすコトは無い(というか出来ない)だろうが――「MAを殺させる為に出した金が、別のコトに使われていた」となれば、組織の運営に問題が有ると見られ、後に影響するかも知れない。

 

『今回は「MAとの戦闘海域に参加すべく降下した所、降下地点で不審なモノを見かけたので調査した結果、攻撃を受けた為やむを得ず戦闘した」と言う言い訳が通用するが、今後はフヴェズルングの撲滅を目的として動くなら、そうも行かなくなる。

 ――戦場で見たとしても、手を出さないのが賢明だろう。少なくとも、十国から「ヘイムダルにフヴェズルングの討伐を命じる」とでも言われない限りはな』

「そ、んな…見てみぬフリをしろと!?」

『――ああ。こちらとしても十国に掛け合いはするが、何せその中に下手人がいるかも知れないのだ。あまり期待はするな。

 よしんば許可を得た所で、奴らはステルス機を活用しているのだろう? エイハブ・ウェーブも観測出来ないのでは、そもそも発見すら困難だ。今回アグニカのチームに見つかったコトで、向こうもより一層警戒を強化するだろう。

 チーム数も限られているし、チームを分散させるにせよ、安全マージンは常に取らせねばならないからな…正直、フヴェズルングを追うだけの人手も無ければ余裕も無い』

 

 ギリギリの戦いをしているのは、十国だけでなくヘイムダルも同様である。

 戦力は可能な限り集約させつつ、複数のチームを作ろうとした妥協点が、現在のチーム編成である。更に細かく分ける場合も有るには有るが、その場合は十国の軍のガンダム・フレームと合流したりして運用している。ガンダム・フレームの損失は、可能な限り防がねばならない事態なのだ。

 

『MAとの戦いで失うならばともかく、それ以外の目的の為に――など、目も当てられん。以前、MAとの戦闘でアンドロマリウスを失った時も、十国にはたっぷり絞られたからな…』

「――まあ、クソ親父には胃の痛くなる交渉をせいぜい頑張ってもらうとして…今回、謎が明かされただけでも収穫だろう。とりあえず、眼前のMAと戦って行くしか俺達には出来ない」

 

 アグニカの言葉で、ひとまずフヴェズルングについての議論は打ち止めとなった。それからディヤウスはアグニカとディアスに新たな任務について言い渡し、会議は終了された。

 

 

   ◇

 

 

 通信を切り、ディヤウスは眉間を左手で押さえて溜め息を吐いた。

 

「フヴェズルング、か――厄介な奴らだ」

「デーィヤウース。『マドナッグ・フレーム』につーいてーの調べーが終わったーぞ」

 

 そんなディヤウスに、色々と探っていたらしいマヴァットが声を掛けた。ディヤウスは姿勢を戻し、マヴァットに結果を問う。

 

「どうだった?」

「めーぼしい情ー報は何ーも。製ー造国、会ー社、何もー分からーない。観測ーされた記ー録も無い」

 

 つまり、出自は一切不明。

 実機体を鹵獲して解体し、ネジの一本までくまなく調査するならともかく、分かっているのは「マドナッグ・フレーム」を採用しているコトと機体名、パイロットの名前と運用している組織、エイハブ・ウェーブの波長と観測された外見データだけだ。そもそも、観測された記録すら無いと言う。

 

「だが、必ずどこかで造られているハズだ。フレームからMSを造るとなれば、携わった人間も数多くいるだろうが――結果はゼロ、か」

「ああ。これーだけのー情報で、これ以ー上探るーのは無ー理だな」

「…エイハブ・リアクターを動力源としたビーム・サーベルを造る技術を持つ者は限られる。それでもか」

「あーあ。そもそーも、あのビーム・サーベルがリアクターのエネールギーで動ーいてーいるかも分ーからないかーらな。単ーにエネルギーパックを柄に仕込ーんでいるだーけだとしたら、そーれこーそあーりふれーた技術だ」

 

 ナノラミネートアーマーの登場で有用性がほぼ失われたビーム兵器だが、リアクターを動力源としたビーム兵器はMAの多くが所有している。ヘイムダル製のガンダム・フレームの中にも、そう言ったビーム兵器を有する機体が有る。

 そもそもMAやMSが出来る前、無人のモビルプレーンやモビルワーカーが主力兵器として在った頃には、ビーム兵器はほぼ全ての兵器に搭載されていたのだ。ビーム・サーベルもその一つであるので、リアクターを動力源としないビーム兵器は、特筆すべきテクノロジーではない。

 

「クソ、完全に手詰まりか。――アグニカのチームが鹵獲した機体は?」

「ゲーティアで簡ー単にー調査しーた結ー果としーては、ちょーっと強化しーた程度ーのアルカナ・フレームの機体だ。使わーれているー技術も、見たー限りはロディ・フレームやヘキサ・フレームと同ーじレベルらしい」

「そうか…アグニカには、ひとまずヴィーンゴールヴに戻って、鹵獲した機体を置いていけと指示しておいた。こちらでも隅々まで調査しよう」

 

 出来るだけの調査をし、集められるだけの情報は集めねばならない。また、ダメ元で十国と掛け合うコトもしなければならない。

 しばらくは休み無しだな、とディヤウスはもう一度溜め息を吐いた。

 

 

 

 

   ―interlude―

 

 

 世界の何処かに在る暗室――「フヴェズルング」の指導者が佇む部屋に、ロブ・ダリモアと言う男は足を踏み入れた。

 

「帰ったか、ロブ」

 

 ライトは愚か、蝋燭の一本すら灯らない、完全なる闇の部屋。黒いスーツを纏った「ボス」は、夜目すら利かぬ暗黒の中で笑みを浮かべ、ロブ・ダリモアの帰還を歓迎した。

 

「…相変わらず悪趣味な部屋なこッて。灯りくらい付けたらどうなンだァ?」

「生憎、私は光が嫌いでね。光を浴びた瞬間、私は死ぬだろうさ」

「吸血鬼みてェなコト言ってンじゃねェ」

 

 ロブ・ダリモアは、彼が最も信頼を置く男の一人である。確実に任務をこなす忠実な部下。口は悪いが、裏切りなどこの男には有り得ないと、ボスは確信していた。

 

「して――結末は?」

「…任務自体は完遂した。だが、ヘイムダルに発見され――アマーリアが敵に捕まり、俺も『ベルゼビュート』を出さざるを得なくなった」

 

 ロブの報告を聞いて、ボスは笑みを消した。眼前の男がどのような表情をしているかなど、ロブには見えていないが、空気が変わったコトは分かった。

 

「――君らしくない失態だな、ロブ」

「言い訳をする気は無ェ。ただ、ヘイムダルは俺達の予想以上に周到だった。俺を殺すなり焼くなり食うなりしてくれンのは結構だが、アンタも気を付けねェと、いつか足下をすくわれるぜ?」

「忠告はありがたく受け取ろう。君もこれを教訓とし、今後頑張ってくれたまえ」

 

 そう言って、ボスはまた笑みを浮かべたらしかった。一方、ロブは拍子抜けだと感じた。

 

「――そンだけかァ?」

「これだけだよ。君ほどの人材を新たに見つけて来るのは、骨が折れるだろうからね。君にその気が有るなら、今まで通り働き、名誉挽回してほしい」

「…そいつァありがたい申し出だが」

「ああ、お願いするよ。――それに、ヘイムダルに我々をどうこうするコトなど出来ない。例え我々の存在が露見しようとも、()()()に繋がるコトは決して無い。我々はこれまでと変わらず、依頼を果たして行くまでさ」

 

 さて、次の仕事だ――と、ボスは笑みを深めた。

 

 

   ―interlude out―




第四十話「フヴェズルング」をご覧頂き、ありがとうございました。

そして地味に、今回でサハラ連邦共和国編は終了となります。
全然国について掘り下げてねぇだろ、って?
一話目で色々書いたから許してお願い(懇願)

今回は「フヴェズルング」の正体が明らかになりました。
ついでに十国の諸事情やヘイムダルの立ち位置なども一気に言及しましたので、読む気のしない長文の連続ですが、頑張って読み解いて頂ければと…。
また、色々な謎が残ってる現状ですが、これから少しずつ解体して行きますので…ハイ。


《新規設定》
フヴェズルング
・改元前から存在する、由緒正しき傭兵派遣組織。
・如何なる依頼であろうと確実に遂行するプロフェッショナル集団であり、(仕事の危険度を度外視すれば)割とホワイト企業。
・名前の由来は、北欧神話に登場する悪戯好きの神ロキの呼称の一つ「フヴェズルング」。ちなみに、ロキは「神々の黄昏(ラグナロク)」の最終局面に於いて、光神ヘイムダルと相打ちになるとか。


《新規キャラクター》
ロブ・ダリモア
・「フヴェズルング」の一チームのリーダーで、「ベルゼビュート」のパイロット。
・口が悪く、結構容赦が無い性格だが、その仕事ぶりから組織の「ボス」には全幅の信頼を置かれる。口調はぶっちゃけ一方通行(アクセラレータ)を意識してますが、性格とかは全く別物。

アマーリア・ウィーデン
・「フヴェズルング」のメンバーで、「ヨッド・ハーミット」のパイロット。
・密かにロブが好きだったのだが、あっさり見捨てられて若干ヘコんでいる最中。割と不運な人。

ピラール・ハーディング
・「フヴェズルング」のメンバーで、「ダアト」のパイロット。
・ルー語より優れた新言語の使い手。ルビになる英語は調べたり調べてなかったりする。今回出番無いのに、無理やり紹介に押し込んですまない…。

ボス
・「フヴェズルング」のボス。
・いっつも暗い部屋にいるので、組織の方々には怖がられている。有用性が残されていれば、やらかした奴も笑って許してくれる、割と理想的な上司。ちなみに名前はまだ考えていない(オイ)が、ちょっとディアボロ感有るよね。


《今回のまとめ》
・フヴェズルングによるMAの煽動、その裏にチラつく大国の影
・十国もヘイムダルも色々と大変
・MAがいるから人類は内輪もめせず済んでる…?




次回「アラビア王国」
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