厄祭の英雄 -The Legend of the Calamity War-《完結》   作:アグニ会幹部

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サブタイの意味は「勝利の兆し、散る命」です。


#89 Signs of Victory, Scatter Life

 マザーモビルアーマーにして「四大天使」たる原初の機体、ガブリエルに相対したアグニカ・カイエルは、愛機「ガンダム・バエルバーデンド」のデータベースに登録された、ディヤウス・カイエルにより建造された頃のガブリエルと眼前の機体を照合する。

 デザインに大きな差異は無いが、二枚の翼にはダインスレイヴが新たに内蔵され、当時は一本だった超硬ワイヤーブレードは大型化されると共に、五本にまで増設されている。この分では、装甲材質も他の「四大天使」と同じく、ナノラミネートコートに換装されているだろう。

 

「これは、思ったより骨が折れるか……ッ!?」

 

 ガブリエルの五本のワイヤーブレードが、一斉に動き出す。

 その内の一本を躱すバエルだったが、すぐに二本が一斉に飛来。後退する空間は無い、と感じたアグニカはバエルを回転させつつ黄金の双剣を振らせ、弾き返すと言うよりかは、攻撃のエネルギーを受け流して凌ぐ。

 

 今いる「天使の花園(ヘブンズフィア)」最奥は、想定よりかなり狭い。半球状の空間の直径はガブリエルの全長とほぼ一致しており、高さもガブリエルの全高の二倍程度――つまり、空間の三分の一から半分くらいがガブリエルであり、アグニカ達が使えるのは残りの空間だけ。

 その僅かな空間を、モビルスーツの全高ほどもある超硬大型ワイヤーブレードが「覚醒」中のガンダム・フレームにも匹敵する速度で飛び回り、本体の腕部ヒート・クローや頭部からのビーム、大量の子機(プルーマ)、ダインスレイヴまでもが飛んで来る。圧倒的な機動力を強みとするガンダム・フレームは、相当不利な立ち回りを強いられるコトとなるだろう。

 

「ッ、避けれね――クソ!」

 

 僚機であるアマディス・クアークの駆る「ガンダム・フォカロルテンペスト」は底面にまで高度を下げ、二本のワイヤーブレードを回避するも、すぐに転進して来たワイヤーブレードと底面を埋め尽くすプルーマに挟まれた。ガブリエルによる開幕の一撃で既に中破状態にあるフォカロルは、咄嗟に全身の弾を撃ち放ってプルーマの群の中に穴を開けるが、ワイヤーブレードの攻撃は右肩と左足の装甲を弾き飛ばして行った。

 

「アマディス!」

 

 バエルが全身から計八基のブレード・ファンネルを射出し、フォカロルの援護に差し向けた後、本体も五基のワイヤーブレードを全身のブレードで受け流す形の回避を続ける。

 しかし、八基のブレード・ファンネルの操作に意識を割きつつ、少しでも方向、角度、力加減、タイミングをミスれば致命打になりかねない超硬大型ワイヤーブレード五基による攻撃を捌き続けるのは、三機の「四大天使」を屠って来たアグニカを以てしても至難の業である。

 

「ッ、なっ!?」

 

 直撃を受けた左腕のシールドソードが腕本体を守りきって真っ二つに割れ、右側のスラスターウィングの先端が千切れる。これにより、派遣したブレード・ファンネルの操作が一瞬疎かになり、その隙に二基のブレード・ファンネルが、それぞれワイヤーブレードと腕部ヒート・クローに粉砕された。

 ――やはり、同時に複数のタスクをこなすと言う点では、人類の脳は機械に勝てない。阿頼耶識システムの恩恵で空間認識能力が拡大したところで、こと思考の速度、処理能力において、人類が機械に敵う道理は無いのである。この分野での戦いを強いられた時点で、人間であるアグニカの敗北は必定だ。

 

「アグニカ、俺には構うな! お前はガブリエルを倒すコトだけを考えろ!」

「だが、それでは―――」

「隙は俺が必ず作る! お前のやらなきゃならねぇコトは、俺を守るコトじゃねぇ―――アイツを殺すコトだろうが!!」

 

 フォカロルが折れたバスターオールを捨て、上体を低くし――双眼を、赤日の色に光り輝かせる。

 

「殺せ!! 俺を踏み越えて、終わらせてくれ―――英雄(アグニカ)!!!」

 

 全身から蒼い炎を噴き出させ、両足を踏み込み――音を置き去りとする速度で、ガブリエルに吶喊した。

 それを眼下としたアグニカは、歯を食いしばる。

 

 また、犠牲としなければならない。

 またも大切な仲間を、唯一無二の友人を生贄とし、目的を達するのか。

 何故そうしなければ、そうでなければ成し遂げられないほど、自分は弱いのか。

 

 だが、アグニカは迷うコトだけはしない。

 全てを捨て去り、何を引き換えとしてでもガブリエルを殺し、戦争を終わらせる覚悟は、とうの昔につけている。

 

 

「―――最後だ。来い、バエル!!!」

 

 バエルもまた、全リミッターの解除――「覚醒」を成し、最初のMAにして最後の「四大天使」へと襲いかかった。

 

「オラァアァッ!」

 

 フォカロルは進路に差し込まれたワイヤーブレードに一切の減速無く激突し、そのまま跳ね上げられてガブリエルの後方へと放り出される。しかし、直上で姿勢変更し、右腕を壁面へとぶつけ、バネとしてガブリエルの胴体部へと爆速で滑り込む。

 対するガブリエルは右腕を振り上げ、左腕を支点に機体を浮き上がらせてヒート・クローを横薙ぎに振るい、直下のフォカロルを吹っ飛ばす。フォカロルの左腕が肩から吹き飛び、右腕の前腕が粉砕し、左足は腿、右足は膝下が消し飛んだ。

 

「グがアアアアアァァァッ!!!」

 

 四肢を失ってなお、悪魔は吼える。

 生き残った全身のバーニアを全開にし、フォカロルはガブリエルへと突っ込む。フォカロルは回転してこちらを向き、ビーム砲を展開したガブリエルの頭部に頭突きをかましてビーム砲の砲口に頭部をめり込ませるが、四肢を失って全ての武装を失った現在の状態では、それ以上の追撃は不可能だった。

 ガブリエルのビーム砲が撃ち放たれ、集束もクソも無くビームがあらぬ方向へと拡散されるが、その発射点にいたフォカロルは、いとも容易く溶解させられ―――制御を取り戻し、集束したビームに呑み込まれて、アマディス・クアークと「ガンダム・フォカロル」は四散した。

 

「ッ―――、―――!!!」

 

 まず敵を一機排除したガブリエルは、もう一機も仕留めるべく、頭部を振って放っているビームをサーベルのように壁面を這わせる。

 しかし、そこにバエルの姿は無い。

 

 次の瞬間、ガブリエルの脳天をバエルの三基のブレード・ファンネルが垂直に貫いた。

 

 ビームの集束状態を保てなくなり、ガブリエルの頭部ビーム砲はビームを霧のように撒き散らしながら爆発。ガブリエルの頭部が、内側から粉砕する。

 

「―――ッラァ!!!」

 

 それと同時に、バエルはガブリエルの身体を支える右腕に、二本のバエル・ソードによる斬撃を関節部に仕掛け、一撃を以てフレームごと斬り飛ばしてみせた。

 右腕を半ばから失ったコトでバランスを崩したものの、ガブリエルはすぐに全身の姿勢制御バーニアを吹かせて態勢を立て直し、予測演算を元に五基のワイヤーブレードをバエルの未来位置へと差し向けるが――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 ()()()

 

 

 完全無欠の中枢コンピューターを胴体に有するガブリエルの予測を、バエルは完璧に上回っていた。その速度はまさに物理法則上可能な限界値にまで達しており、パイロットの安全性などは到底保障されない領域である。

 ガブリエルのコンピューターは自らの予測が尽く外れたコトにエラーを吐いたが、それでもバエルを捉え仕留めるべく、毎秒数垓回にも及ぶ演算を繰り返し、唯一速度で対抗出来るであろうワイヤーブレードを機動させる。

 バエルの耐久力を考えれば、ワイヤーブレードを一度でも直撃させるだけで破壊出来る。それに、胴体部の中枢コンピューター部を狙って来る以上、予測はさほど難しくない――ハズなのだ。事実として、全く予測が当たっていない訳でもないのだが――バエルの速度に、ガブリエルの武装スペックでは追い付けない。

 ガブリエルの足元に蔓延るプルーマの群が、バエルの機動の余波や攻撃によって宙を舞い、ガブリエルの質量が大半を占める、半球状の密閉空間の全域へと拡大して行く。それを隠れ蓑として、バエルは縦横無尽に空間内を機動し、ガブリエルに四方八方からの強烈な斬撃を加える。

 

 ――そう。

 狭いが故に回避のしようがないのは、空間の支配者たるガブリエルもまた同じコトだ。

 

 尤も、秘める力を「覚醒」により解放したバエルの前では、例え戦場が宇宙空間のド真ん中だったとしても大差は無かっただろうが。

 ガブリエルは自らに許された最高速度での演算を行い続け、ワイヤーブレードを最高速度で機動させ続けるが―――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

()()

 

 一瞬でも動きを止めれば即座に狩られる、死と隣り合わせの戦場のただ中に在って、アグニカ・カイエルは驚くほど冷静だった。

 彼の感覚は一つの肉体から解き放たれ、空間の全域を把握していた。宙を舞うプルーマ一つ一つの位置、背後から迫るワイヤーブレードの方向と場所、射出したブレード・ファンネルの所在、自分(バエル)が今狭い空間のどの辺りにいて、(ガブリエル)がどう動こうとしているかまで――極限まで研ぎ澄まされたアグニカの八感は、その全てを感じ取っていた。

 対応に思考は必要無い。勝手に身体(バエル)が反応し、勝手に対処してくれる。冴えきった頭脳(アグニカ)が考えるのは、単純な一つの事柄。

 

 どうやって敵の懐に飛び込み、手に握る黄金剣を敵の心臓(コンピューター)に突き立ててやるか。

 

 ただそれだけ。

 彼の八感はガブリエルの隙を決して見逃さず、彼の身体はその隙に対しての反応をコンマ一秒も遅らせるコトは無く、彼の頭脳は答えを既に導き出している。

 

「―――()()だ!」

 

 そして遂に、()()()()が訪れた。

 ガブリエルの頭上を飛んでいたバエルがスラスターウィングを動かし、一転して真下へと落下。半球状の空間の底面に激突する寸前で進行方向を直角に曲げ、頭を下にした天地反対の状態で、ガブリエルの正面から、懐へと真っ直ぐに突っ込んで行く。

 

 ガブリエルもこれには反応し、五基のワイヤーブレードをバエルの進路上に配置する。バエルが動かす二基のブレード・ファンネルがそれぞれ一基ずつのワイヤーブレードに衝突し、相打ちとなりながらも打ち砕いた。

 残り三基の内、二基はバエル本体の振るったバエル・ソードによって受け流され――残り一基が真正面からバエルに迫るも、バエルは右腕のシールドソードを犠牲としてその刃を打ち砕き、伸びたワイヤーに絡みつくような機動でガブリエルへの急速接近をかける。

 かくしてガブリエルの懐に飛び込んだ瞬間、ワイヤーを蹴って上へと跳躍した。直後、ガブリエルが横薙ぎに振るった左腕が、ついさっきまでバエルが沿っていたワイヤーを巻き取る。だが当然、もうその場所にバエルはいない。

 

「ウオオッ!!!」

 

 跳躍したバエルは前転するように縦回転しながらも、左腕の剣を逆手に持ち替え、全速で降下する。

 バエルの握る黄金剣バエル・ソードが、損傷して吹き飛んだ頭部と胴体の接続部に出来た装甲の隙間に、完璧な形で突き刺さり――「()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 勢いは止まらず、ガブリエルの胴体を穿ち抜いたバエル・ソードは、ガブリエル直下の純白の装甲床にまで達し、深々と突き刺さる。ガブリエルの死体はその場に縫い止められ、あまりの速度からか衝撃波が発生し、ガブリエルの二翼が浮き上がるとともに、周囲のプルーマを一気に吹き飛ばした。

 

 「四大天使」ガブリエル。

 あらゆるMAを建造する機能を有した「マザーモビルアーマー」――全ての始まりたる機体は今、英雄アグニカ・カイエルと、ガンダム・バエルの剣の前にひれ伏したのだった。

 

 

   ◇

 

 

 アグニカ達が戦っている「天使の花園(ヘブンズフィア)」最奥部と、月面の入口を直線に繋げる通路では、トビー・メイの乗る「ガンダム・アンドラスレクイエム」が機動していた。

 敵は、通路の壁面に複数察知されたハッチから湧き出し続ける小型のMA、ハニエル。これらを最奥部に到達させない為に、トビーのアンドラスは最奥へと繋がる道を背にし、抗い続けている。

 

「ッ、ハァ……うおああっ!」

 

 弾の尽きたライフル類を放棄し、剣と盾を振るうアンドラスは「覚醒」を使って、ハニエルを蹴散らして行く。たった一機で数百ものMAを相手とし、それでもなお、突破は赦していない。

 自分の背後でどんな戦いが繰り広げられているかなど、トビーには気にする余裕が無い。ただ、自分の役目は一機たりとも此処を通さないコト。アグニカの戦いを、邪魔させる訳には行かないのだ。

 

 かくして、バエルがガブリエルを斬り伏せたのとほぼ同時――こちらにも、変化が起きた。

 

 

「―――な、何だって……!?」

 

 アンドラスの背後で、()()()()()()()()()

 突入時に吹き飛ばされたハッチではない、もう一枚のハッチ――元々、ハッチは二枚存在していたようだ。突入して来た時には既に開かれていて、だからこそ破壊を免れたハッチが、唐突に動いたのである。

 

(ど、どうすれば……!?)

 

 この瞬間、トビーは判断に迷った。

 ハッチが閉じれば、中のアグニカ達が脱出出来なくなる。脱出ルート確保の為には、ハッチが閉じきるコトは何としても阻止しなければならない。

 一方で、ハッチが閉じれば、通路に出現するMAが最奥に侵入し、中のアグニカ達を攻撃するコトは出来なくなる。トビーとしては守りやすくなる。

 

「――ッ、しまった!」

 

 トビーが逡巡した瞬間、眼前の数十から数百にもなるMA達は一斉に動き、最奥部を目指し始めた。

 それを認識すると、トビーも即座にアンドラスを動かす。MAの最奥部への侵入を許し、なおかつ分断されるコトが最悪の状況だ。それだけは避けなければならない。

 損傷しているとは言え、速度ではアンドラスの方がハニエルよりも速い。追い抜きざまに剣撃を繰り出し、複数のハニエルを破壊しながら、アンドラスも最奥部を目指すが、ハッチが閉まる速度はトビーの思った以上のモノだ。

 

「ダメだ、間に合わ――間に合ってくれ!」

 

 剣を投擲して眼前のハニエルを破壊し、アンドラスはハッチへと右腕を伸ばし、差し込む。最奥へ繋がるハッチは閉じられてしまったが、右腕が挟まったコトで、ハッチの接合部には、ほんの僅かな隙間が出来た。

 この隙間は大きい。これが有れば、アグニカなら剣を差し込んで無理矢理にでもハッチをこじ開けて脱出するコトが可能だろう。

 

 だが、アンドラスは右腕を固定されて動けなくなり――その背後からは、無数のハニエルがドリルを回転させながら突撃して来ている。

 

 

「ぐ、ああああああああああ――!!!」

 

 拘束されたアンドラスに、ハニエルが群がり、覆い被さって行く。

 ビームが全身の装甲を溶解し、ドリルがフレームをガリガリと削り取り、胸部に五、六本のドリルが突き立てられた。装甲ごとコクピットが削られて行き、トビーはその度に腕を、足を、腹を――身体を少しずつ、少しずつ少しずつ抉られて、奪われる。

 

「ああ、ああああ、ああああああああああ!!!」

 

 トビーは発狂し、その喉は叫声を放ち続けた。

 やがてその声が途絶える頃には、既にアンドラスは破壊され尽くされていて、扉の密閉を妨げる右腕以外は、原型を留めていなかった。

 

 

   ◇

 

 

「―――ッ、ガ……終わっ、たのか……?」

 

 アグニカが血混じりの息を吐くと同時、射出していたブレード・ファンネルの内、残った三基が本体の下へ帰還した。バエルの紅蓮に輝いていた瞳も、常なる桃色の光を取り戻して行く。

 バエルは深々とガブリエルに突き立てた左手の剣を手放し、その場に佇んで契約者(アグニカ)からの指示を待つ。だが、アグニカはその場からすぐに動くコトが出来なかった。

 

「勝てた、のか―――」

 

 勝った。ガブリエルを撃破するコトが出来た。

 ――またも犠牲を払って、やっとその先で。

 

 最早、此処にいる意味は無い。

 戻らなければならない。外へ、地球へ。

 

(―――戻って、どうなるんだ?

 俺はこれから先、何の為に生きれば良い?)

 

 戦いの中で、多くの仲間を失った。

 戦いの中で、生きる目的(スヴァハ)を失った。

 スヴァハのいない世界で――アグニカ・カイエルは、何の為に生きて行けば良い?

 

 だったら、此処で死んでしまえば良い。

 

 英雄としての存在意義は今、果たし終えた。

 此処でくたばってしまえば、此処でくたばってしまっても――此処でくたばればまた、スヴァハに会えるんじゃないのか。

 

(スヴァハ。俺も今、すぐに―――)

 

 そうして。

 アグニカ・カイエルが、意識を手放しかけ――悪魔(バエル)代償(いのち)を支払おうとした、瞬間。

 

 

 計器が、新たなエイハブ・ウェーブを捉えた。

 

 

 その電子的な通知音で、アグニカの意識は朧気ながら再び世界に引き戻された。アグニカの網膜に、そのエイハブ・ウェーブの固有周波数と、データベースとの照合結果が表示され―――

 

「―――な……!?」

 

 驚愕のあまり、意識が即座に鮮明化された。

 アグニカはその結果として表示された名を信じるコトが出来ず、何度も見返す。しかし、何度見直しても、アグニカの脳は全く同じ名を読み取るばかりである。

 

 その時、空間の壁の一部が割れ――いや、そこに隠されていたハッチが開き、その向こう側から、一つの影が姿を現した。

 

 それには、四肢が有った。

 全身が漆黒の鎧で包まれ、左腕に赤い光の筋を纏わせる巨大な片刃の剣を握り、その柄からは青いケーブルが伸び、左腰のアーマーに繋がれている。右肩からは光で編まれた透けたマントを翻し、背中には全長十メートルは有ると思われる黄金の刃を五振り、背負い込んでいる。

 その機体の頭部には四本のブレードアンテナが配され、双眼(デュアルアイ)が二対――計四つもの瞳が有り、バエルの双眸と全く同じ、桃色の光を宿している。

 

「……アレ、は―――」

 

 その姿を目の当たりとしたアグニカは、息が詰まる思いだった。目を見開き、驚愕の中で呆然と呟いた。

 

 

 

 

「―――ガンダム・フレーム……!?」

 

 

 

 

 

 ASW-G-72 ガンダム・アンドロマリウス。

 

 最後のガンダム・フレームが、最初のガンダム・フレームの前に、その威容を晒した―――




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