最下位から全てを積み重ねた一誠   作:ハラパンダ像

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お久しぶりです。いやいや、ここんところ忙しいもので、休みの日も仕事の疲れで昼まで寝てしまうんですよ。


一誠生還偏
生還


 一誠は地獄で凄まじいまでの修行をくり返して、ついに三大勢力いや神と並ぶ程の能力(ちから)を手に入れた。そして、願い通り一誠は再び現世に生還することができ、彼は生まれ育った駒王町にいた。

 

 

 

 

 

 

 

〈一誠side〉

 

 

 

 

 

 

 

 俺は地獄から生還し、生身の体を実感していた。生きていた頃は当たり前なことだと気にもしなかったが、こうして体があるという事の幸せを感じ取っていた。

 

 肌で空気に触れ自身で呼吸し、体を自由に動かして太陽の日の光にあたる心地の良さを!

 

 

 

(あああー、俺は生きているんだ⋯⋯⋯。)

 

 

 

体がある大切さを実感しつつも町を歩いても、俺の顔を見て驚く人はいないどころか声をかける人もいない。 当然なことだが、鬼灯殿も言っていたけど。

 

 

 

「いいですか? 現世に生還はさせますが、周りの人々の記憶はどうにもなりませんからね!」

 

「どういう事ですか?」

 

 

 

 生還する前に鬼灯殿から言われたが、どうも元主のリアス・グレモリーが俺が死んだことを隠滅する為に、学園や町の人達から俺に関する記憶を抹消したようなのだ。

 

 それを聞いた俺はもう自分には帰る所はないと絶望した。 まあ、蘇ったからといって神滅具も無くなったし、今の俺の能力がどんなものかは今は知らなくていいだろ。

 

 しかし、幸いにもグレモリー眷属(あいつら)とシトリー眷属やアーシアは記憶が、そのままだと聞いた時は正直ホッとした。

 

 折角、復讐しようとしても俺が誰なのか分からないのでは意味がない。でも、鬼灯殿は人がいや鬼がいいな。

 

 

 

「先ずは自身で現世へ行って来てください。 自身の目で観て自分の足で歩み、何がしたいかを考えてください!?」

 

 

 

言ってくれるけどしたい事は、一つでしょ! 

 

 

 

(三大勢力への復讐!)

 

 

 

いっその事、この駒王町ごと消してしまおうとさえ思っていた。

 

自分はこの町で生まれ高校生に成るまで育ったというのに、何故、存在を消されなければならなかったのか? 奴等のことを考えながら歩いていると二人組のチーマに絡まれた。

 

 

 

「ねえねえ~兄ぃ~ちゃん♪ 俺らさぁ~今金無いからさぁ~カンパッしてヨォ~。」

 

「おとなしく財布だけ渡すんな~ら痛いめには合わなくて済むよ~ぉ」

 

 

 

いかにもバカそうな顔をした奴らだったがどのみち死ぬ運命だし、いっそこの場で⋯⋯いや、まてよ! 

 

確か鬼灯殿は『自身の目で観て、自分の足で歩み何がしたいかを考えてください。』と言っておられたが、なんだ何が違うんだ『悪魔や天使、堕天使に復讐したい』それが俺が生還した理由だった筈だが、いや違う人間として生を全うするためじゃないか? そうか! 

 

鬼灯殿はその事に気づかせるために、今までアイツ等のことを考えながら修行していたせいか、すっかり『復讐』しか見えていなかった。そう考えると俺は涙が止まらなかった。

 

 

 

「な なんだよ! いきなり泣いたりなんかして⁉️」

 

「言っておくがな! 泣けばいいわけじゃねぇんだぞぉ~オラー‼️」

 

 

 

二人のチーマは突然、泣いた俺に暴言を放っていたが、もし、こいつ等がいなかったら関係の無い町の人達まで殺していたところたっだ。

 

 

 

「ありがとう⋯……。 君達のおかげで間違いに気づくことが出来たよ。」

 

「「はぁ―――?」」

 

 

 

俺は咄嗟に二人を抱きしめて頬に『チュ~』をした。

 

 

 

チュッ チュッ

 

「な! 何ぃーしやがんだぁー‼️ てめぇー‼️」

 

 

 

チーマ共は俺から放れて手で顔を拭きながら、こっちを向いて怒鳴るが怒る気にも慣れずそれどころか。

 

 

 

「一度しか無い人生だぞ……、お前たち! どう生きるかは勝手だが後悔のないようにな!」

 

「はぁー? 何言ってんだよぉ~お前?」

 

 

 

チーマの一人は頭に『?』を浮かべていたが俺は回れ右で立ち去ったが。

 

 

 

「てっ……てめぇー‼️ ふざけんじゃねぇーぞ‼️」

 

ガシッ!

 

「やめとけ…… ああいう奴には関わらない方がいいって相場が決まってるんだよ……」

 

 

 

マジギレした一人にもう一人が肩を掴んで止めに入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして、しばらく歩くと俺は一軒の定食屋に辿り着いた。そこは中学の頃からよく通っていた馴染の店だったからだ。 生前の俺は何かと幼馴染の鐘御津と比較され、何かある度に何故かこの店によく来る。

 

あの頃はどこにも居場所がなかった所為か、俺には数少ない安住の地でもあった。そう思いながら店のドアを開くと白衣を着た白髪の無愛想なおじさんがいた。

 

 

 

 

 

カチャッ~♪

 

「いらっしゃいやせー⋯」

 

(そうそう⋯⋯ いらっしゃいやせー(・・・)……)

 

 

 

決してきれいな店というわけではなかったが妙に落ち着く場所でもあった。

 

そして、先程の白髪のおじさんこそがこの店の大将である。

 

大将は無愛想で有名だが料理の腕は保証済みだ。 何気なく席に付きテーブルに置かれているメニューを取ると。

 

 

 

「何にしやす?」

 

 

 

大将がコップに水を入れて持って来てくれたが、やはり記憶が消されているため、俺の顔を見ても何のリアクションも無いのは少し寂しかった。

 

でも、俺の思い出は消えていないな。 メニューを観ても分かる思い出の品『カツカレー』それは中学の頃から通い続けた一番の理由だった。

 

その店は学生が『カツカレー』を注文すると大盛サービス1.5倍にしてくれる大将の意気なはからいではあったが、あの頃の俺にはどれだけの支えになったか分からない。

 

 

 

「あの……ご注文は~?」

 

「あ! はいはい⋯、え~と、あれ?」

 

 

 

俺はカツカレーを頼もうとしたら『カツカレー』の下に『カツソバ』という品名が載せられていた。

 

 

 

(以前はこんなメニューは無かったはずだが、いやっていうか⋯【カツやきそば】だろ! しかし、気になるなぁ⋯……。)

 

 

 

悩んだ挙句に出した答えは。

 

 

 

「カツソバを一つ!」

 

 

 

本当は【カツカレー】を頼むつもりだったが、ここは好奇心というか肝要な心で冒険もわるくない気がした。

 

 

 

「…⋯以上で、よろしいですか……?」

 

「あ………、はい。」

 

 

 

大将は心無しか無言で立ち去った。

 

 

 

(……何、今の? え? やっぱりカツカレーの方が良かったかな?)

 

 

 

後になって後悔しつつも、持っていたスマホを取り時間をつぶしていく。そして。

 

 

 

「お待ちどおさまです。」

 

「おー来た来⋯『カツソバです!』ガ―――ン!!」

 

 

 

そこに来たのは丼ぶりに日本蕎麦が盛られトンカツが乗せられたカツソバだった。痛恨、まさかの読み違い。

 

 

 

(何やってんだぁ~俺……思い出に浸って浮かれているから墓穴を掘るんだなぁ………)

 

 

 

自分の愚かさを感じながら箸を取りカツに触れるとサクリッと箸で簡単に割れた。

 

 

 

(なんだ⋯…これ⁉️ カツカレーはこんなに柔らかかったか⋯…?)

 

 

 

そうして、カツの切れ目をよく見ると【しそ】と【梅】が入っていた。しそと梅の愛称は抜群! 肉の臭みを取るという意味もあるが何より蕎麦との組み合わせがいい。

 

 

 

ズゥ―――、ズゥ―――、ズゥ―――。

 

 

 

そうして、気が付くとカツソバを完食していた。

 

 

 

(フゥー、美味かった! 一時はどうなるかと思ったが⋯…、これはこれで満足だな⋯…。まあ⋯…カツカレー⋯…最後の思い出としてアレを食べずに去るのは残念な気がするが⋯…仕方ないか⋯…)

 

 

 

そう思いつつ席を立とうとすると。

 

 

 

「へい、ミニカツカレーお待ち⋯…!」

 

 

 

なんと頼んでもいないのに小さなお茶碗によそられたミニカツカレーが出された。

 

 

 

「え?え? いや、頼んでないけど?」

 

 

 

俺がそう尋ねると大将は言った。

 

 

 

「いやなぁ~儂もよく分らんのだが? 兄ちゃんみたいな常連の客が前にいたような気がしてねぇ~。 中学生の頃からよく(うち)に来て決まってカツカレーを注文するんだよ……その子は! そして、いつもおいしそうに食べるあの顔を見ているとこっちまで元気になるんだ! ………ところがねぇ⋯……最近、まったく姿を見せなくなっているんだぁ~。………まあ、引っ越したか受験とかで忙しいのかもしれないけど、たまには食いに来て欲しいけどね………。 ああ、そのミニカツはサービスだから金はいいよ♪」

 

 

 

そう言って、大将は立ち去るが背中は寂し気だった。

 

俺も出されたミニカツカレーを手に取り口へ運ぶが何故かカツカレーは少ししょっぱかった。 大将の涙の所為か……俺の涙の所為か……は分からなかったが、そして、店を出た俺は覚悟が決めた。

 

 

 

(見ていろよー‼️ 三大勢力共‼️ 俺の人生を狂わせた落とし前はつけてもらうからな———‼️!)

 

 

 

 

 

 

 

〈一誠sideout〉

 

 

 

 

 

それは一誠が三大勢力に強力な復讐心を燃やした瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 




 今回のお話は、会社の客間に置かれていた古本を読んでいたら、書きたくなりました。
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