セーブした場所の次の部屋に行くと、白い何かが部屋の真ん中にある。落ち葉の上にあるそれは袋のようにも布のようにも見える。
大きなビニール袋か何かだろうか。先の道は二手に分かれているが、どちらにせよアレをどかさないと進めなさそうだ。
どかしに行こうと一歩踏み出すとソウルが飛び出した。
*FroggitとWhimsunが向かってきた!
また初めてのモンスターがいる。彼の名前はWhimsunというらしい。悲しそうな顔をして小さな羽でFroggitの右上を飛んでいる。Whimsunの名前も最初から黄色だ。
とりあえず悲しそうな顔をしたWhimsunを*慰めるために声をかけた。
*あなたはWhimsunを慰めようとした。
*しかし、初めの一言の半分もいかないうちにWhimsunは泣いて逃げ出した。
逃げ出したというメッセージが出てWhimsunはどこかへ飛んで行ってしまった。
何がいけなかったのだろうか。地下に来てから逃げられたのは初めてだ。
残ったFroggitは攻撃を避けてお世辞を言ってからMERCYした。
*あなたは勝利した!
*0 XP と 2 gold を得た。
戦闘を終えて彼らがいた場所を見るとFroggitのいた場所には 2 gold 落ちていたが、Whimsunがいたところには何もなかった。やはりWhimsunを満足させることができなかったのだろう。
すこし悔しい気持ちになった。
出鼻をくじかれたものの、さっきの戦闘でダメージをくらわなかったためHPはセーブポイントで回復した数値、つまり20のままだ。
ゆっくりと白いものに近付いてみる。すると白いものには顔がついていた。コレもモンスターだったようだ。
*zzzzzzzzzzzzz…
*zzzzzzzzzzzz…
*(もう行ったかな…)
*zzzzzzzzz…
*お化けは寝たふりをして、声に出して「
*押しのける? はい いいえ
選択肢が出た。押しのける以外にも方法があると思うのだが、いつも動けば消えるメッセージが今回に限って消えない。
押しのけるかどうかを選ぶしかないようだ。
仕方がないので押しのけようと白いモンスターに手を触れようとすると効果音と共にソウルが飛び出した。
*Napstablookだ。
お化けが目をうるうるさせてこちらを見つめている。
………?
このモンスターとの戦闘画面になった途端、独特な音楽が流れ始めた。
あたりを見渡してもオーディオ機器は見当たらないが、音は間違いなく自分の鼓膜を震わせている。
不思議な感覚だが嫌ではない。それにこの音楽は何となく目の前の彼にあっていると感じた。
他のモンスターと何か違うのか*調べてみる。
*NAPSTABLOOK -ATK 10 -DEF 10
*このモンスターにユーモアのセンスはないようだ。
この現象のことが分からなかった上に、ひどく辛辣なメッセージが出てきた。
だが自分はこのメッセージが本当のことを描写することを実感し、知っている。…申し訳ない気分になった。
「ああ、ぼくって本当におもしろい。」
彼はそういうと大小さまざまな涙を降らせてきた。多すぎて避けきれない。何粒か当たったが、俗にいう無敵時間のようなものがあるらしく、HPは1粒分しか減らず17になるだけで済んだ。
*Napstablookは宙を見つめている。
なぜ彼が涙を流しているのかはわからないが、きっと悲しんでいるのだろう。
Whimsunを慰めるのには失敗してしまったが今度こそは、と彼の気分を上げさせるために*ナンパしてみることにした。
*あなたはNapstablookに一緒にどこかへ遊びに行こうと誘った。
「でも…きっとがっかりしちゃうよ。」
また彼が涙を降らせてくる。だが気のせいか少し涙の量が減った気がする。今度は避けきることができた。
*Napstablookは一人になりたいと思っている。
涙の量からしてこの方向性で間違ってはいないらしい。
更に気分を上げさせるために今度は直接的に*励ましてみることにした。
*あなたは笑みを浮かべて励ましの言葉を贈ろうとした。
*しかし「がんばれがんばれ、できるできる!絶対できる!やれるって!気持ちの問題だって!そこであきらめるなそこで!Never Give Up!」……。
*謎の大きな励ましの声によってかき消されてしまった。
*この部屋の温度が上がったような気がする。
「へっ…
何が起こったのかわからないけど、今はホントにそんな気分じゃないんだ。
ごめんなさい。」
今回は涙は降って来なかった。その代わり拒絶の言葉がソウルの入った四角に直接出てきたが、触れてもダメージを受けることなくターンが回ってきた。
*Napstablookは少し機嫌が良くなったようだ。
引き続き*励ましを続ける。
*あなたはNapstablookにちょっとしたジョークをかました。
*
*どうしてか?それは
「へっ…へっ…」
またNapstablookは涙を降らせてきたが、今度は目に見えて涙の数が減ってきている。どうやらゴーストジョークはお気に召したらしい。
*励ますとNapstablookの気分が更によくなっていくようだ。
メッセージもNapstablookを励ますのを推奨しているようだ。さらに*励ましてみる。
*
*だってSpir'i'tがSpir'y'tになったりしたら幽霊がまとめて
*
*あなたは励ますためにもう一度ジョークをかました。
「へっ…へっ…へっ…」
*Napstablookはあなたに何か見せたがっている。
「やってみるね…」
Napstablookがまた涙を流し始めたが、今度は降ってくるのではなくNapstablookの頭上に集まっていく。
集まった涙は何かを形作るようにどんどん繋がり大きくなっていき、最後の一粒までチャプンと音をたててつながると何を作っていたのかが分かった。
帽子だ。Napstablookの頭上に固まった涙はなんと帽子の形にとどまっている。
「おしゃれblookって芸なんだ。気に入ってくれたかなぁ…」
*Napstablookは感想を心待ちにしている。
白い帽子と白い彼の体がマッチしていると感じた。シルクハットの形をしているのが特に良い。
*あなたはNapstablookにとても素敵だと伝えた。
「ああ…」
彼がほんの少しだけ声のトーンを上げて感嘆の声を漏らすと今までの音楽が消え、戦闘画面がフェードアウトしていった。
今回は勝利だとかXPだとかgoldだとかのメッセージは出なかった。
あのメッセージは必ず出るものではないようだ。
あいかわらず落ち葉の上に佇んでいるNapstablookが大きな目でこちらを見つめる。
彼はか細い声でそっと口を開いた。
「RUINSには誰もいないからよく来てたんだ…でも、今日は良い人に出会えた…
……。うん、そろそろ散歩に戻ろうかな。すぐにどくよ。」
それだけ言うと彼は落ち葉の上でスゥーッと消えていった。
ナプスタくんへのジョーク2つは即興で考えました。
数十秒で考えたにしてはノックノックジョーク並みにはできたかと自分では思ってます。