〝キーンコーンカーンコーン〟
今日は、聖子が休んでいるため、ミリカは1人で帰った。
「あ~、今日は、せっかく夏休み前の最後の登校日なのに、
聖子がいないなんて~・・・寂しいし、つまらない」
いつもは聖子と一緒に帰るのが当たり前だったため、
1人で帰る今日がとても味気なかった。
やがて、また家に着いた。
「ただいま~」
「お帰り~」と、いつものように母が言った。
アレ?どうしたの?明日から夏休みなのに、
元気なさそうじゃない?」
「うん。色々あってね」
「そう。まぁ、でも、夏休みは、きっと良い事あるわよ!!」
「そうだね」
そうしてまた、ミリカは、自分の部屋に入った。
一方、母は、
(あの娘、何かあったのかしら?)と思っていた。
ミリカは、自分の部屋に入った後、順子に落書きされた愛読書
「魔法の国と夢見る少女」をカバンから取り出した。
「あ~あ~、大事な本なのに、ホント最悪。それに、何よ。
〝魔法が子供騙し〟なんて・・・は~。夏休み、
おばあちゃん家に行くのは楽しみだけど、他には特別やる事ないし、
良い事なんてあるのかな~・・・?」
3日飛ばして、7月23日(土)。
この日、いよいよ大阪のおばあちゃんの家へ行く日だった。
いつもは忙しい父も、今回の旅行のために2週間の休暇を
取っており、皆、早起きした。
「よ~し!じゃあ、皆、行きますか~!!」
「お~!!」
そうして、新幹線に乗った。
新幹線の中で、皆で駅弁を食べる。
「美味し~い!!」
しばらく時間が経ち、ミリカは、アイスクリームが食べたくなった。
「ねぇ、この新幹線の中の車内販売で、アイスクリーム、
売ってるわよね?私、前の車両に行って買ってくる!!」
「ちょ、ちょっと!!待ちなさい!!待ってれば、
こっちにも回ってくるわよ!!」と母が言う。
父も、同じように、
「そうだぞ!!大人しく待ってなさい!!」と言った。
「やだ~!!今すぐ食べたい!!」
「仕方ない子ね~。じゃあ、買ってきなさい」
「やった~!!」
父は、
「良いのかよ・・・」と、小声でつぶやいた。
「じゃあ、私、前の方の車両に行ってくる!!」
「気をつけてね~!!」
「は~い!!」
ミリカは、いくつか前の車両へ移動した。
自動ドアがいくつも開く。
〝ウイ~ン〟〝ウイ~ン〟
「アイス!アイス!」
すると・・・・・・
「え?何コレ?」
そこは、新幹線とは全く違う、西洋風の、ファンタジー作品にでも
出てきそうな列車だった。
目の前には、銃を持った男達と、その男達にロープで縛りつけられている人質がいた。