Tether Lego   作:H.I.L.L

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この話はその後すべてのTLprojectの元となる世界観もとい原作です。すべての始まりという意味を込めてエピソード0と名付けました。

※ここからは、読む上での注意です
・拙い文
・処女作
・うすらさむいギャグ
・意味不明
・過度な身内ネタ

これらが含まれる可能性があります。キッツってなった方は悪いことは言いません。ブラウザバック推奨です。それでも見てやるぜ!!って方は僕の作ったありきたりな物語を楽しんで頂けると幸いです。


エピソード0

プロローグ

 

 

小さい頃からの憧れだった千枝流学園。何の変哲もないどこにでもあるような私立の女子校だ。しかし、地元では珍しい華々しい存在に通えることになった私、木津芽衣はいきなり現れた美少女転校生に一目ぼれしちゃって!?!?!

 

な~んて、ありがちな自己紹介と共にありきたりな百合シチュ妄想してしまった。魔法少女にでもなってその子のために悪魔として世界を作り直すってのもなかなかいいわね。いつも通り何気ない学校の帰り道、相も変わらず自分で百合妄想なんて我ながら引く……まあ、尊いからよしとしよう。なんてったって姫女子で夢女子だもんねっ!(はい、そこ、意味違くね?とか言わない。こまけえこたぁいいんだよ。女の子が好きなんだよそれだけだよ)

でも、もっと尊いシチュはないかな?………あ!そうだ。いいこと思いついた…….

 

 

1章 生徒会役員達

 

 

学校が終わり、まず向かうところはただ一つ。生徒会室だ。伝統ある千枝流学園の新生徒会が決まって早一か月。風が涼しくなり夏の暑さが中途半端に残る10月を迎え一層身が引き締まる。会計という役割を貰ったからにはやりとげるのが義理だろう。生徒会室が見えてきた。よし、今日も頑張るぞ。

「こんにちは」

生徒会室の扉を開け開口一番に挨拶を済ませる

「藤吉さんこんにちは」

会長から挨拶を頂けた。我が学園の生徒会長、遠藤直はすでに仕事を始めていた。さすが会長だ。感心していると、会長の隣からもう一つの声が聞こえた。

「えるちゃんやっほ~」

那須副会長の明るい声が生徒会室中に響き渡る。やっぱこの子いつも元気だな。適当な挨拶を済ませると自分のいつもの席に座り、周りを見渡す。会長と那須さんと自分以外に誰もいないようだ。1年生メンバーが見当たらない。

生徒会メンバーは先ほど挨拶した2人と私、そして書記の遠藤あん、同じく書記の福田唯香。以上の2年生が3人、1年生が2人の5人での体制なのだが1年生の2人がまだ来ていない。

「1年生遅いですねぇ」

「確か1年生は集会があるらしいけどそろそろ終わると思うわ」

何の気なしに呟いた独り言に会長が答えてくれた。

「「遅れました!!」」

「話をすればなんとやらだね」

さて、ちょうど1年生組が合流したところでお仕事始めますか!!

「会長!!今日は何をしますか!」

やる気満々に尋ねる

「先週も言ったのだけれども、今年度、生徒会で動く大きいイベントは卒業式だけで、期間がまだあるので今日も雑務をお願いします」

「そうですよね….」

こう言っちゃあ、あれだけど少しものたりない気がする。せっかく生徒会に入ったんだからもっと忙しくなると思ってたんだけどな。

「心配しなくても卒業式準備がはじまるととんでもなく忙しくなるから今は通常業務頑張りましょう」

会長からの言葉にもう一度頑張ろうって気持ちになったが、一つ気がかりなことがあった。

「それで、どうして芽衣がここにいるの?」

「ふえっ!?!?」

すっとんきょうな声を上げながらその子はその場に立ち上がる。

「え?バレてたの?」

「当たり前でしょ。ゆいか達と一緒に入ってきてたの見てたんだからね」

「そこで止めない藤吉さんも大概だけれども…」

いやまあ、面白そうだったしいいかなって…てへぺろ。

この子は木津芽衣。私のいとこなんだけど色々と変わってる。ていうかこの子ほんとどこにでもいるな。。

「それで何の用なのよ」

「別に。暇つぶしに来ただけだよ」

いや暇つぶしにくんなよ….って言葉は飲み込み、悪戯に四天王の話を振った。

「そういえば会長、要注意四天王の対策はどうしましょうか」

この千枝流学園は地域の方々にも認められる風紀ある華々しい女子高だ。しかし、中には風紀を乱すものもいる。その中でもより要注意な人物が4人いる。その名も四天王。数々の伝説を残す彼女らは生徒会でも手に負えないほどやばい。そう、やばいのだ。その話を振ったのはもちろんこの木津芽衣がその一角を担っているからだ。

「そうね、要注意四天王は…現行犯で捕まえ課題を倍に。特に木津さんは20倍にしてください。もしくは私が直々に燃やします。」

風紀を重んじる会長は四天王に対してとても厳しい。特に木津さんに対してはヘイトがえぐい。一体なにしたのよ芽衣….

「ちょっと待ってよ会長!!なんで私だけ20倍!?!?」

「うるさいですよ。黙らせるために一度燃やしますか?福田さん手伝いなさい」

「はい、閣下!!」

「なんでそこノリノリ!?そんなに私悪い事した??」

「姉ちゃん、あんも手伝うよ!!」

「ここでは会長と呼びなさいっていつも言ってるでしょ。まあいいわ。あんも一緒にやるわよ。」

「じゃあ、私もっ!!」

え?那須さんも??私以外みんなノッちゃった。私も流れに乗っちゃお。

「芽衣!!これを食らえ!!黒バス青黄合同!!グフフフフフ」

「姉ちゃん、あれなに?」

「あん、見ちゃだめよ。あんにはまだ早いわ…..」

「『黒木のバス』の青間君と黄原君のカップリング、青黄が詰まった一冊。すべての話の展開がずっとドキドキしてもう読むのがしんどい….辛い….とにかく、青黄オタク全員に呼んで欲しい伝説の一冊!!!」

しまった…つい、いつものが出てしまった。

「青黄は地雷なのぉぉぉおおお」

主人公黒木と赤峰のカプ、黒赤が好きな芽衣の逃げていく様子を見ながら下校時間を告げるチャイムが聞こえた。

「お前ら、まだ残ってたのか。さっさと片付けして帰るんだぞ~」

生徒会顧問の田洲岡先生からも言われたし帰る準備するか。

「そろそろ帰りますか。」

「そうね….」

会長は安堵したような笑顔で木津さんを見送りながら帰り支度を進める。

結局、今日は遊んで終わりだったけどこれはこれで楽しかった。こんな日々が続けばいいな。

人もまばらなオレンジ色の帰り道。すでに一日の活動を終えた校舎を背に歩き始める。

始まってまだ1か月。よし、明日も頑張るぞい!!

 

 

2章 帰宅部活動記録ノート

 

 

生徒玄関前集合だったよね。いつも通り。昨日も一昨日も明日も明後日も毎日待ち合わせをしてはいつも通りのみんなと帰るいつも通りの帰り道。また今日も私が一番乗りだ。早く来ないかな。

「おっ、やっぱねるは早いなぁ!」

手持無沙汰に待っていると早速2人目がやってきた。可児京、いつも通りのメンバーの一人だ。

「京が遅いだけだよ。他の子もそろそろ来てもいい頃なのに」

「LHRが長引いてるらしいね」

他愛無い会話を繰り広げながら待っていると、走り寄ってくる人影が見えた。

「ごめん、待った?」

「ううん、今来たとこ。じゃあ行こうか」

「なに遊んでんの…..」

遅れてきたれん子とめぐみがここまで走り寄りいきなり腕を組みながら歩きだしたもんだから面食らってしまった。マジでなにこれ…..

「デートで待ち合わせしているカップルの真似だって。さっき思いついたらしい….」

一緒に来ていた、くみが控えめな可愛らしい声で訂正してくれた。まあ、細かいことは気にしないでおこう。揃ったことだしぼちぼち行くか。

「飽きた」

校門を抜け自分たちの家に向かって歩いていると唐突にれん子がこの一連の流れに飽きたのか腕を組むのをやめた。ほんとこの子らノリで生きてんなぁ。

「どうして!!あの時、ずっと一緒にいるって言ってくれたじゃない!!れん子と離れたくない!!」

一瞬ネタだと思うが、めぐみと幼馴染の私にはわかる。この子、半分くらいガチだ。昔からレズっ気が多少あったが、最近拍車がかかっている気がする。女子高だからしょうがないのかな。まあ、別にいいと思うけどね。当のれん子はくみと京の会話に混ざって話を聞いていない。しょうがないからめぐみと話してやるか。

いつも通り道なりに歩いていると、道沿いにある帰りにいつも入る駄菓子屋が見えてきた。

「今日も行こうよ!!」

「よし、行くか。」

京とれん子に押されて店に入ると、意外な2人がそこにいた。

「愛!クレア!なんでここに??愛達の学校は真逆の方向じゃない?」

「いやぁ、クレアがどうしても駄菓子屋行きたいっていうもんだから連れてきた」

京の中学の時の同級生である針須愛と愛の学校の転校生である九条クレアとは京繋がりで多少交流があった。

「タイヘンですよ!!子供がさわれる位置にタバコがおいてマス!」

「これは、ココアシガレットっていうお菓子なんだよ。食べてみる?」

「タベタイです!!」

愛とクレアの掛け合いは見ていて微笑ましい。さて、私もいつものやつ買うか。私は80円のラムネときなこ棒2本でちょうど100円のセットをいつも買う。100円でこの満足感は素晴らしいし、おやつとしてちょうどいいボリューム。完璧。完成された形。みんな各々自分のものを買い、食べ歩きながらもう一度帰途につく。

ん?あそこにいるのは木津さん?なんでこんなところにいるんだろう。ほんとどこにでもいるなあ。まあ、気にしないでおくか。そろそろ、みんなが分かれる分かれ道だ。

「じゃあ、ここでさよならだね。」

「皆の者、闇にのまれよ」

「あぁ、寂しい。いっそのことねるの家でお泊りしたい」

「えっ、スルー!??!」

「あっ、いいねぇ。やろうよ。5人でお泊り!!」

「じゃ、じゃあ…週末とかは…」

「面白いそうだね。じゃあ、続きはLINEで話そうよ。それじゃあまたね。」

5人が各々思い思い話しながらそれぞれの帰途につく。うん、いつも通り。レズっ気のめぐみも、蘭子好きのれん子も、実は四天王の京も、いつもサポートしてくれるくみも、この私も。

「あっ、一番星だ」

あと何回星を見上げるのだろう。限られた時間の中で私たちのいつも通りはいつも通りに流れていく。

 

 

3章 ほーかごぐらし

 

 

「はぁ~、終わった終わった~」

本日最後の授業チャイムがなり、ある者は部活に、ある者は生徒会に、ある者は帰途につき散り散りになる教室の一角で一般には知られていない秘密の会合が開かれるのであった」

「いや、こんな公の場でやる秘密の会合があってたまるか」

きいの冗談に適当につっこみながらいつものごとく集まってきているみんなに目を向ける。自分の手元にあるスマホとにらめっこしながらゲームをたのしんでいる。

「あぁあああああ、1グド…….」

「は?なんであそこ抜けるの??」

「りんごはまだましでしょ、りんごは文句言う資格ないから」

私ときい以外の鳴、なの、環は『パンドリ!ガールズパンドバーティ』、通称ガルバの協力ライブをしている。

「せっかくこれだけいるしなんかやろーよ。ほら、いさみも暇そうにしてるでしょ。」

自分が暇だからって私をだしに使わないでよ。確かに暇ではあるけど。

「別にいいけどなにやるの?」

めんどくさそうな返事をする環をスルーして、きいはおもむろにトランプを取り出す。

「このメンバーでインディアンポーカーをします!!」

インディアンポーカー?ポーカーは知ってるけど、インディアンポーカーは初めて聞いたな。

「インディアンポーカーってなに?」

めいの疑問に答えるべく、きいは意気揚々と説明をはじめる。ほんと楽しそうだな。

「インディアンポーカーとは、それぞれ1枚カードを見ないように引いてみんなが見えるようにおでこの前に掲げる。あとは普通にポーカーと同じ。自分が勝てると思えば「勝負」、負けると思えば「降りる」を宣言。今回は賭け金はなしで、単純に勝ったら1ポイント、勝負して負けたら-1ポイントで3ポイント先取で勝ち。最下位の人からジュース奢りでどう?」

「まあ、とにもかくにもやってみなきゃだな。」

「結構面白そうじゃん。」

なんだかんだノリがいいのありがたいな。ルールは大体分かったしやるか。

「じゃあ、さっそく始めようよ」

各々がカードを1枚ずつ手に取りおでこに掲げる。

なのが5、きいが8、環が6、鳴が10。ぱっと見、鳴が一番大きいが自分の数字が分からない以上簡単に降りるのももったいない。少し揺さぶりをかけてみるか。

「きいの数結構大きい。私は降りよっかな。」

さて、鳴はどうするか。

「え?鳴のほうが大きくない?」

ばっか、なの。こう言っちゃったら….

「じゃあ、私勝負する」

ほら~、鳴が勝負しちゃったじゃん。まあ、私の方が小さいことがわかったし降りるか。

「私は降りる」

「じゃあ、私も」

「自分は勝負する~」

「降りる」

なのと鳴だけ勝負して第一回目の話し合いは終了。

案の定、私のカードは6で10には届かなかった。マイナスポイントにならなかっただけましか。

 

現在ポイント きい、環、いさみ0 鳴1 なの-1

 

早速次のゲームを始める。

今回のカードはなのがJ、きいが5、環が3、鳴が3。早くも環が動いた。なのの方を見ながら

「今回はたまの勝ちかな~」

なるほど、そういう狙いか。この環が作った流れに乗るか。

「環が勝つかどうかはわからないけど、なのには勝てそうな気がする。」

さあ、どうする。なの。

「え?マジで??じゃあ降りちゃお」

あれ?簡単に降りてくれた。ちょろい。問題は自分がきいより大きいかどうかなんだよな。ここは勝負するか!!

「よし、勝負する」

「勝負」

「ここは降りる」

各々判断し、勝負を選んだのはは私と鳴ときいの3人になった。結果は私の勝ち。私のカードは8だった。やった!!

「ちょっと!!私勝負してたら勝ってたじゃん!!!」

「ほんと、なの弱すぎwww」

「素直すぎ」

「次は絶対勝ってやる~~」

 

現在ポイント 環、鳴0 いさみ1 きい、なの-1

 

それからもゲームは続き、勝負は大詰め。ポイントが環1 鳴、私2 きい0 なの-3となった。それにしてもなのが弱すぎる。

次のゲームが始まった。

今回のカードはなのが3、きいが6、環が10、鳴が5。問題は初手だ。誰を勝負させ、誰を降りさせるか。自分が勝つためにはそこの見極めが大切だ。お互いがお互いに考察を巡らせ自分に有利な状況を作り上げていく。何度も繰り返してプレイしているため、より高度な心理戦を強いられる。先に動いたのは環だ。環はきいに揺さぶりをかける。

「勝ちたかったら今回は引いた方がいいかもよ~~。」

「あっそ、じゃあ引かないわ。」

まあ、そうなるでしょうね。大きめの数を落とすのはセオリー。ということは最初に狙われた人はその人にとって一番大きい数である可能性が高い。よって引かない方が得。というわけでもない。それを狙ってわざと低い数に揺さぶりをかけるという作戦も取れるのだ。結局そのあたりも色んな人の揺さぶりを聞きながら自分で判断するしかない。そのためにも引かずにしっかり見極めるというのは無難だろう。しかし、今回の場合は環からみても6という数字は高めにあるはずだ。他の数は3とか5なのだから。つまり、この揺さぶりはさっきの話の前者。大きい数を潰すという狙いがあったのかもしれない。ということは、私は少なくとも6よりも下である可能性が高い。これも含めもう少し考えてみよう。

「たまk….」

名前を言い終わる前に、ある危険性に気付いた。私が6より下という可能性がある以上、この場の一番大きい数は環の10である可能性が高い。ここで変に揺さぶりをかけると、環に一番大きい数を持っているということを教えることになってしまう。直接揺さぶりをかけずに自分が小さいと思い込ませる方法はなにかないかな。そうだ。これだ。私は環のおでこに掲げられたカードを横目で見ながら話し始めた。

「環はきいを潰したいだけだよ。信じるかどうかは任せるけど、勝負すると勝てる。こっち側としてもリーチが増えるよりまだマシ。降りちゃダメだよ。」

あえて、2番目に大きい数のきいを推すことで自分は小さいんだと思わせる。これで、乗ってくれれば降りてくれるはずだ。

「たまは降りるよ」

よし、これで私も降りてしまえば無駄な失点をおさえr…..待てよ….もしこれと同じことを最初から環がやってたとしたら?私を降りさせるためにあえて2番目に大きいきいに揺さぶりをかけてたとしたら?私のただの妄想だとしたらせっかくのリーチを逃すことになる。でもこれで俺が6よりも大きかったら?その可能性を見つけてしまったらそれ以外に考えられない。ここは….

「勝負する」

言ってしまった。でも、もうあとは結果を見るだけだ。後悔はない。

最終的に勝負したのは私、きい、鳴の三人。もし鳴が一番大きかったら鳴の勝ちでこのゲームは終わりだ。でも、私もリーチだ。もちろん、私の勝ちの可能性もある。さあ、勝負だ!

3人はおでこに掲げられたカードを同時に表向きで机に置く。きいが6、鳴が5、そして私が、、Q。やった!!!やっぱり、そういうことだったんだ!

「え?たま結構大きかったじゃん!」

「私、環と同じことしてたんだよ!!気付いたのはギリギリだったけどね。」

「なんだよぉ。悔しい!!」

わいわい、みんなでおしゃべりしたところでみんなが忘れてるであろう罰ゲームの話をしよう。

「1位は私で最下位はなのに決まったところで、ジュース奢りターイム!!!」

「忘れてた!!それで、なにが飲みたい?」

「魔剤」

ここぞとばかりに210円もするエナジードリンクを所望した。あ、魔剤っていうのはモンスターエナジーのことね。これ常識だから。

「いさみそれ好きよね」

「いや、いさみだけじゃなくてみんな好きでしょ。たまも好きだし。徹夜に効くんだよね」

わいわいしてると、廊下を歩いていた生物の麦田先生が教室のドアを開ける。

「おいお前ら、もうそろそろ下校時間だから早く帰れよ。木津、お前も早く帰るんだぞ」

え?木津さん?私は先生が目を向けた教室の後ろのドア近辺に目を向けるとそこには静かにひたすら何かを書いてる木津さんの姿があった。びっくりした。ていうか、木津さんどこにでもいるな….それはともかく、麦田先生にも言われたしさっさと帰ろう。

「じゃあ、みんな帰ろっか」

帰り支度を整え、教室を出る。一応あいさつしとこう。

「木津さん、また明日ね。さようなら」

「さっ….さよなら…」

少しキョドった様子で返してくれた。人見知りかな?クラスメイトだしもっと気軽に接してくれると嬉しいんだけどな。

私は教室を後にした。ただ一人、彼女をあとに残して。

 

 

4章 死んだ魚の目睡眠不足デスマーチ部

 

 

最近の千枝流学園には体育会系の部活以外にも文化系の部活も充実している。文芸部、茶道部、美術部、電子工作部、そしてわたしの所属する情報処理部。他にも、何個かあるが有名どころはこんなものだろう。情報処理部は主に情報系の活動をしている。具体的には、度々行われるコンテストで発表されたテーマにそって開発をしたり、この部での活動を通して学んだこと研究したことをみんなの前で発表などをしている。今日もいつも通り、次のコンテストのためにアイディアを練るか。

そのコンテストに出るメンバーである香風恵子、海老名花帆、長江百合で囲む机へ近づく。

「みんな早いね」

「果奈が遅いだけだよ」

「おっ、やっと来たか。早速続き話してくよ」

「イノシシ被害を抑えるためになにg….」

今は、コンテストのテーマであるイノシシ被害をICTを用いてどう対処するかという課題に取り組んでいる。

「イノシシをどう検知して、どう対処するか。そしてその対処をしていく上でどういうシステムを作っていくか」

「赤外線感知ってできるかな?」

「どんなプログラム書けば効率的に伝達できるかなんだよ」

結構、議論は進んできたしちょっと遊びに行っちゃってもいいかな。気分転換にもなるし。

「ねえ、一旦休憩しない?喉乾いたから水買ってくるね」

その場から離れるとすぐに、1年生メンバーのグループが見えた。何かやってるのかな?聞いてみよ

「かりん達はなにしてんの?どっかのコンテストの開発?」

「はい、私たちは近々行われる、高校生自作ゲームコンテストに提出するゲームをチームで作ってるんです」

説明をしている戸田かりんの後ろにはチームメンバーであろう、碇いちえ、佐藤音、込遊祥子、須賀ちよの4人がいた。

「どんなゲーム作ってんの?」

「一般的な2D横スクロールアクションです」

「ガチプロのちよがなんとかしてくれるらしいので問題ないです!!」

「ちょっ、やめてよ。それだったら、音作ってる佐藤の方がガチプロなので」

「祥子は今java頑張ってるもんね~」

「ガチプロになれるよう頑張る!!」

和気あいあいとした空気で楽しそうだ。微笑ましいな。

「かりん、じゃあ私もう行くね。頑張ってね」

「はい、任せてください。いつか追い付いて見せますよ、せ~んぱいっ♡」

少しぞわっとした。私も頑張らないとな。

適当に自販機でジュースを買って、部活をしている部屋に戻ろうとするととても挙動不審に部屋の前をうろうろしている木津さんが見えた。木津さんほんとどこにでもいるよね。話しかけてみよう

「木津さん何やってんの?」

「え?あっ…な…なんでもないです…..」

そう言い残すとそそくさとどこかへ行ってしまった。何だったんだろう?まあいいか。よし、コンテストに向けて頑張っちゃいますか!!止まってなんていられない。今はただ楽しく作り続けるだけ。

 

 

最終章 終わりと始まりの日記

 

 

高々と自分の中で宣言し、帰り道に日記を買った。絶対面白くなるはず。

 

2017年11月20日

今日から日記を付けようと思う。この日記には日常にひそむ儚き百合を見つめ密かに楽しみ、記録することで何度でも尊いを感じるためである。単に帰り道で思いついただけだがとりあえずやってみる。毎日はだるいから尊いことがあったときだけ書こうかな。

 

12月2日

今日の昼ご飯にお互いにあーんしてる鈴鹿さんと阿部さんがいた!!!やっぱ二人仲いいな。尊い。私には一緒に食べる人はいないんだけどね。コミュ障だから誘えない…

 

12月15日

白子さんたちがいつも通り待ち合わせしてるところが見えたので少しつけてみた。みんな仲良い。素晴らしい。舘さんのガチ感とそれを理解しているであろう白子さんいい組合せだよね。あのグループは妄想が捗る捗る。こういうグループで帰るの憧れる。無理だけど。。。一瞬白子さんにつけたのバレたような気がしたんだけど大丈夫だったかな…….

 

12月23日

今年最後の学校の日に予定を確認し合うのっていいよね。一緒にでかけたいという気持ちが前面に出ててなんかデートに誘ってる感じがしていい。(私の完全なる妄想)しかも、不器用な子は不器用なりに頑張って誘ってる様子も可愛いし、それをわかりながらいじわるするのも尊い。すばらしい

 

2018年1月6日

久しぶりの学校。百合小説を漁りまくって尊みを授かってたけどやっぱリアルもとっても尊いな。結末が決まってないからこその儚さとドキドキ感がある。遠藤さんと那須さん今日もずっと一緒だった。しかも、那須さんは手を組もうとしてたし。いやもうあれ付き合ってるでしょ。

 

1月20日

なんとなく教室に残ってると、三宅さん達がインディアンポーカーを始めてた。ていうか始めてる。金川さんが自分の事「たま」ってよんでるの可愛いな。すごい本田さん負けてるんですけどww弱いw。結局、三宅さんに本田さんが奢るっていうオチか。三宅さん強かったからn。。。。いきなり挨拶されてびっくりしちゃった。私ちゃんと挨拶できてたかな。

 

2月7日

風の噂で聞いただけだけど、遠藤さん同じ中学の子の前ではちょっと砕けた感じになるらしい。いつもあんな厳格な遠藤さんからは想像もできないけど見てみたい。尊いにおいがプンプンする!!名前はたしか、藤輪ひよりさんだったかな?遠藤さんと那須さんと籐輪さんの三角関係に期待せざるをえないよね

 

2月26日

家永心愛先輩のシスコン談義を小耳にはさんだ。通りがかりに他の先輩に話してたから聞いてみたんだけどやっぱいいよね。姉妹百合。兄弟姉妹は一番距離の近い他人って言い方もできるし、昔からずっと一緒にいる存在ともとれる。そこにある家族愛と恋愛がごっちゃになっていく感じが。。。純粋な独占欲から美しい支配欲へと変わっていく感じがたまらない。幼い頃のお姉ちゃん甘々もたまらないけど、大きくなって純粋な家族愛ではない何かに目覚めてしまったってシチュエーションとかもう最高だよね。家永先輩がここまでいってるとは断言してないからね!!あくまで私の妄想っていうか好きなシチュ

 

3月18日

そろそろ、今年度終わり。春休みが入るまで百合を目に焼き付けなきゃ。それにしても、遠藤さんと那須さんずっと一緒だな。目線の合わせ方、手の位置、距離の近さ、どれを見ても実質恋人じゃん。付き合っちゃえばいいのに。那須さんもめっちゃ遠藤さん好き好きオーラだしまくってるもんね。遠藤さんもまんざらでもなさそうだし。キスくらいならやってそうだもんね。那須さんが迫って断り切れない遠藤さんを…..これ以上はダメだ。今日の日記はこれで終わり

 

4月8日

 

新たに新入生を迎え、より賑わいを増している情報処理部をのぞきながら尊いを探してると、東さんに不審がられてしまった。気を付けなきゃ。最近暴走気味な気がする。

 

4月10日

大変なことになった。遠藤さんにこのノートを見られてしまった。風紀委員でもある遠藤さんは先生に報告したらしく私の処置について話し合っているらしい。なんとかこのノートは返してもらったけど、これからどうなっちゃうのかな。

 

4月11日

次の日、学校行くと学校中が私の噂で持ちきりだった。このノートのことだ。やっぱり、風紀的にもアウトらしくそれなりの処置があるらしい。確かに色々書いてたものを本人に見られるのはいけないことだと思うし、その点は反省しなきゃいけないな。申し訳ない。

 

4月12日

私の処置が決まった。3か月の謹慎だそうだ。学校の学習状況に置いていかれるのが少し怖かったが、プリントが届けられるようでその辺りは心配しなくて良さそう。さすがにちょっとやりすぎだったな。あとで謝罪文を書いて送ろう。もっとも許してくれるかどうかはわからないけど。

 

5月19日

遠藤さんから謝罪文の返答がきた。開けるのをちょっとためらったがおくられてきたものを見ないわけにはいかない。手紙を開くと、

『丁寧にありがとうございます。ここまで、事態を大きくしたのは私にも責任の一端があります。しかし、これからあのようなことは決してないようにお願いしますね。それでは学校でお待ちしております。

追記 内容が内容ですがあなたの発想力は目を見張るものです。ノートに閉じ込めておくだけじゃもったいないですよ。』

と文が書かれていた。とにもかくにも、安心の一言だった。ほんとに怒ってなくて良かった。でも、気になるのは最後の一文。確かに閉じ込めてただけなのかもしれない。私の気持ちを、言葉を、

 

7月8日

明日は登校日。もう、このノートに頼らなくても良さそうだ。もう大丈夫。自分の口で、自分の気持ちを…..

 

 

謹慎が明けた最初の登校日。気まずさを乗り越え登校する私に声をかけてくれる一人の女の子がいた。風紀委員の遠藤さんだ。

「木津さん、おはようございます。お久しぶりですね。お元気でしたか?」

「おはようございます!!はい、元気でしたよ!この間読んだ百合小説が良くてですね。。」

「もう、実在する人物であのようなことはもうしていませんですよね?」

「さあ、どうですかね~」

「今度は許しませんよ。いっそのこと燃やして灰にしてしまいましょうか?」

「燃やす!?!うわぁぁああああ」

追いかけられながら呟いた“ありがとう”が届いたかわからないけど遠藤さんがしかめっ面なのに笑っているような気がした。

 

 

今ならちゃんと言える。新しい自分の言葉で

木津芽衣物語第二章開幕の瞬間を、今ここに

 

 

エピローグ

 

だまって一人で過ごしていた時と比べ、話す人も増え色んな人と絡むことができた。一人黙々と百合ノート制作してたときが懐かしい。まだ、要注意四天王なんて呼ばれ方されてなかったなあ。今では百合を語れる友達ができて一緒に密かに色んなカプを見守っている。そういえば、遠藤さんに最後にあったのはあの時が最後だな。1か月前の選挙で見事当選し、千枝流学園の生徒会長になってからはバタバタしてて話しかけるタイミングがなかった。思い出に浸っていると、新生徒会の1年生組が走っていくのが見えた。もう、感覚に任せて行ってしまおうか

 

なんの言葉も持ってなかった私が繋がり始める物語をたとえみんなが忘れようとも私は絶対に忘れない。辛くとも大切な終わってしまった物語と楽しみで未知なこれから始まる物語を両手に抱えながら生徒会室へと向かった。

 




ぜんぶ読んだ方も飛ばしてこれを読んでる方もここまで読んで頂きありがとうございます。ここらでタイトルである「Tether Lego」について説明したいと思います。

まず、ツイッターのフォロワーさんをイメージしてるのでTLにまつわる略しかたをしたかったというのと、Tetherが繋ぐ、Legoはおもちゃのレゴという意味で、僕が作った世界、すなわち空間に僕が作った登場人物、すなわちレゴを思い思いに繋げて関連作品をみんなで作りたいという思いがあったからです。

具体的には今回のエピソード0では木津芽衣をターゲットに物語を作りましたが、みなさんのリクエストで籐輪ひよりを題材にしたスポ根物語や白子ねるを題材にしたひたすらゲームするだけの物語を作っていこうという企画です。

みなさんがリクエストすればするほどそのキャラが掘り下げられていき愛着をが沸くと思うんです。今回の話でみなさんはどのキャラを掘り下げたいと思いましたか?みなさんが掘り下げたいキャラとどういう物語を描いてほしいかをツイッターで#TLprojectをつけてツイートしてください。

例 #TLproject 遠藤すぐと那須香菜で濃厚な恋愛物

などです。基本的に出来る限り全部リクエスト答えたいのでNGはないです。バトル物からエロまでバッチこいです!!
正直、まだ書き足りないのでいっぱいリクエストしてこの作品のまだ何もないキャラたちをもっと掘り下げていきましょう!!めちゃくちゃキャラを立たせてまた、色んな企画ができたら楽しそうだなと思います。

それでは今回はここまで。H.I.L.L(ヒル)でした。
 

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