プロローグ
小さい頃からの憧れだった千枝流学園。何の変哲もないどこにでもあるような私立の女子校だ。しかし、地元では珍しい華々しい存在に通えることになった私、木津芽衣はいきなり現れた美少女転校生に一目ぼれしちゃって!?!?!
な~んて、ありがちな自己紹介と共にありきたりな百合シチュ妄想してしまった。魔法少女にでもなってその子のために悪魔として世界を作り直すってのもなかなかいいわね。いつも通り何気ない学校の帰り道、相も変わらず自分で百合妄想なんて我ながら引く……まあ、尊いからよしとしよう。なんてったって姫女子で夢女子だもんねっ!(はい、そこ、意味違くね?とか言わない。こまけえこたぁいいんだよ。女の子が好きなんだよそれだけだよ)
でも、もっと尊いシチュはないかな?………あ!そうだ。いいこと思いついた…….
1章 生徒会役員達
学校が終わり、まず向かうところはただ一つ。生徒会室だ。伝統ある千枝流学園の新生徒会が決まって早一か月。風が涼しくなり夏の暑さが中途半端に残る10月を迎え一層身が引き締まる。会計という役割を貰ったからにはやりとげるのが義理だろう。生徒会室が見えてきた。よし、今日も頑張るぞ。
「こんにちは」
生徒会室の扉を開け開口一番に挨拶を済ませる
「藤吉さんこんにちは」
会長から挨拶を頂けた。我が学園の生徒会長、遠藤直はすでに仕事を始めていた。さすが会長だ。感心していると、会長の隣からもう一つの声が聞こえた。
「えるちゃんやっほ~」
那須副会長の明るい声が生徒会室中に響き渡る。やっぱこの子いつも元気だな。適当な挨拶を済ませると自分のいつもの席に座り、周りを見渡す。会長と那須さんと自分以外に誰もいないようだ。1年生メンバーが見当たらない。
生徒会メンバーは先ほど挨拶した2人と私、そして書記の遠藤あん、同じく書記の福田唯香。以上の2年生が3人、1年生が2人の5人での体制なのだが1年生の2人がまだ来ていない。
「1年生遅いですねぇ」
「確か1年生は集会があるらしいけどそろそろ終わると思うわ」
何の気なしに呟いた独り言に会長が答えてくれた。
「「遅れました!!」」
「話をすればなんとやらだね」
さて、ちょうど1年生組が合流したところでお仕事始めますか!!
「会長!!今日は何をしますか!」
やる気満々に尋ねる
「先週も言ったのだけれども、今年度、生徒会で動く大きいイベントは卒業式だけで、期間がまだあるので今日も雑務をお願いします」
「そうですよね….」
こう言っちゃあ、あれだけど少しものたりない気がする。せっかく生徒会に入ったんだからもっと忙しくなると思ってたんだけどな。
「心配しなくても卒業式準備がはじまるととんでもなく忙しくなるから今は通常業務頑張りましょう」
会長からの言葉にもう一度頑張ろうって気持ちになったが、一つ気がかりなことがあった。
「それで、どうして芽衣がここにいるの?」
「ふえっ!?!?」
すっとんきょうな声を上げながらその子はその場に立ち上がる。
「え?バレてたの?」
「当たり前でしょ。ゆいか達と一緒に入ってきてたの見てたんだからね」
「そこで止めない藤吉さんも大概だけれども…」
いやまあ、面白そうだったしいいかなって…てへぺろ。
この子は木津芽衣。私のいとこなんだけど色々と変わってる。ていうかこの子ほんとどこにでもいるな。。
「それで何の用なのよ」
「別に。暇つぶしに来ただけだよ」
いや暇つぶしにくんなよ….って言葉は飲み込み、悪戯に四天王の話を振った。
「そういえば会長、要注意四天王の対策はどうしましょうか」
この千枝流学園は地域の方々にも認められる風紀ある華々しい女子高だ。しかし、中には風紀を乱すものもいる。その中でもより要注意な人物が4人いる。その名も四天王。数々の伝説を残す彼女らは生徒会でも手に負えないほどやばい。そう、やばいのだ。その話を振ったのはもちろんこの木津芽衣がその一角を担っているからだ。
「そうね、要注意四天王は…現行犯で捕まえ課題を倍に。特に木津さんは20倍にしてください。もしくは私が直々に燃やします。」
風紀を重んじる会長は四天王に対してとても厳しい。特に木津さんに対してはヘイトがえぐい。一体なにしたのよ芽衣….
「ちょっと待ってよ会長!!なんで私だけ20倍!?!?」
「うるさいですよ。黙らせるために一度燃やしますか?福田さん手伝いなさい」
「はい、閣下!!」
「なんでそこノリノリ!?そんなに私悪い事した??」
「姉ちゃん、あんも手伝うよ!!」
「ここでは会長と呼びなさいっていつも言ってるでしょ。まあいいわ。あんも一緒にやるわよ。」
「じゃあ、私もっ!!」
え?那須さんも??私以外みんなノッちゃった。私も流れに乗っちゃお。
「芽衣!!これを食らえ!!黒バス青黄合同!!グフフフフフ」
「姉ちゃん、あれなに?」
「あん、見ちゃだめよ。あんにはまだ早いわ…..」
「『黒木のバス』の青間君と黄原君のカップリング、青黄が詰まった一冊。すべての話の展開がずっとドキドキしてもう読むのがしんどい….辛い….とにかく、青黄オタク全員に呼んで欲しい伝説の一冊!!!」
しまった…つい、いつものが出てしまった。
「青黄は地雷なのぉぉぉおおお」
主人公黒木と赤峰のカプ、黒赤が好きな芽衣の逃げていく様子を見ながら下校時間を告げるチャイムが聞こえた。
「お前ら、まだ残ってたのか。さっさと片付けして帰るんだぞ~」
生徒会顧問の田洲岡先生からも言われたし帰る準備するか。
「そろそろ帰りますか。」
「そうね….」
会長は安堵したような笑顔で木津さんを見送りながら帰り支度を進める。
結局、今日は遊んで終わりだったけどこれはこれで楽しかった。こんな日々が続けばいいな。
人もまばらなオレンジ色の帰り道。すでに一日の活動を終えた校舎を背に歩き始める。
始まってまだ1か月。よし、明日も頑張るぞい!!