2章 帰宅部活動記録ノート
生徒玄関前集合だったよね。いつも通り。昨日も一昨日も明日も明後日も毎日待ち合わせをしてはいつも通りのみんなと帰るいつも通りの帰り道。また今日も私が一番乗りだ。早く来ないかな。
「おっ、やっぱねるは早いなぁ!」
手持無沙汰に待っていると早速2人目がやってきた。可児京、いつも通りのメンバーの一人だ。
「京が遅いだけだよ。他の子もそろそろ来てもいい頃なのに」
「LHRが長引いてるらしいね」
他愛無い会話を繰り広げながら待っていると、走り寄ってくる人影が見えた。
「ごめん、待った?」
「ううん、今来たとこ。じゃあ行こうか」
「なに遊んでんの…..」
遅れてきたれん子とめぐみがここまで走り寄りいきなり腕を組みながら歩きだしたもんだから面食らってしまった。マジでなにこれ…..
「デートで待ち合わせしているカップルの真似だって。さっき思いついたらしい….」
一緒に来ていた、くみが控えめな可愛らしい声で訂正してくれた。まあ、細かいことは気にしないでおこう。揃ったことだしぼちぼち行くか。
「飽きた」
校門を抜け自分たちの家に向かって歩いていると唐突にれん子がこの一連の流れに飽きたのか腕を組むのをやめた。ほんとこの子らノリで生きてんなぁ。
「どうして!!あの時、ずっと一緒にいるって言ってくれたじゃない!!れん子と離れたくない!!」
一瞬ネタだと思うが、めぐみと幼馴染の私にはわかる。この子、半分くらいガチだ。昔からレズっ気が多少あったが、最近拍車がかかっている気がする。女子高だからしょうがないのかな。まあ、別にいいと思うけどね。当のれん子はくみと京の会話に混ざって話を聞いていない。しょうがないからめぐみと話してやるか。
いつも通り道なりに歩いていると、道沿いにある帰りにいつも入る駄菓子屋が見えてきた。
「今日も行こうよ!!」
「よし、行くか。」
京とれん子に押されて店に入ると、意外な2人がそこにいた。
「愛!クレア!なんでここに??愛達の学校は真逆の方向じゃない?」
「いやぁ、クレアがどうしても駄菓子屋行きたいっていうもんだから連れてきた」
京の中学の時の同級生である針須愛と愛の学校の転校生である九条クレアとは京繋がりで多少交流があった。
「タイヘンですよ!!子供がさわれる位置にタバコがおいてマス!」
「これは、ココアシガレットっていうお菓子なんだよ。食べてみる?」
「タベタイです!!」
愛とクレアの掛け合いは見ていて微笑ましい。さて、私もいつものやつ買うか。私は80円のラムネときなこ棒2本でちょうど100円のセットをいつも買う。100円でこの満足感は素晴らしいし、おやつとしてちょうどいいボリューム。完璧。完成された形。みんな各々自分のものを買い、食べ歩きながらもう一度帰途につく。
ん?あそこにいるのは木津さん?なんでこんなところにいるんだろう。ほんとどこにでもいるなあ。まあ、気にしないでおくか。そろそろ、みんなが分かれる分かれ道だ。
「じゃあ、ここでさよならだね。」
「皆の者、闇にのまれよ」
「あぁ、寂しい。いっそのことねるの家でお泊りしたい」
「えっ、スルー!??!」
「あっ、いいねぇ。やろうよ。5人でお泊り!!」
「じゃ、じゃあ…週末とかは…」
「面白いそうだね。じゃあ、続きはLINEで話そうよ。それじゃあまたね。」
5人が各々思い思い話しながらそれぞれの帰途につく。うん、いつも通り。レズっ気のめぐみも、蘭子好きのれん子も、実は四天王の京も、いつもサポートしてくれるくみも、この私も。
「あっ、一番星だ」
あと何回星を見上げるのだろう。限られた時間の中で私たちのいつも通りはいつも通りに流れていく。