最終章 終わりと始まりの日記
高々と自分の中で宣言し、帰り道に日記を買った。絶対面白くなるはず。
2017年11月20日
今日から日記を付けようと思う。この日記には日常にひそむ儚き百合を見つめ密かに楽しみ、記録することで何度でも尊いを感じるためである。単に帰り道で思いついただけだがとりあえずやってみる。毎日はだるいから尊いことがあったときだけ書こうかな。
12月2日
今日の昼ご飯にお互いにあーんしてる鈴鹿さんと阿部さんがいた!!!やっぱ二人仲いいな。尊い。私には一緒に食べる人はいないんだけどね。コミュ障だから誘えない…
12月15日
白子さんたちがいつも通り待ち合わせしてるところが見えたので少しつけてみた。みんな仲良い。素晴らしい。舘さんのガチ感とそれを理解しているであろう白子さんいい組合せだよね。あのグループは妄想が捗る捗る。こういうグループで帰るの憧れる。無理だけど。。。一瞬白子さんにつけたのバレたような気がしたんだけど大丈夫だったかな…….
12月23日
今年最後の学校の日に予定を確認し合うのっていいよね。一緒にでかけたいという気持ちが前面に出ててなんかデートに誘ってる感じがしていい。(私の完全なる妄想)しかも、不器用な子は不器用なりに頑張って誘ってる様子も可愛いし、それをわかりながらいじわるするのも尊い。すばらしい
2018年1月6日
久しぶりの学校。百合小説を漁りまくって尊みを授かってたけどやっぱリアルもとっても尊いな。結末が決まってないからこその儚さとドキドキ感がある。遠藤さんと那須さん今日もずっと一緒だった。しかも、那須さんは手を組もうとしてたし。いやもうあれ付き合ってるでしょ。
1月20日
なんとなく教室に残ってると、三宅さん達がインディアンポーカーを始めてた。ていうか始めてる。金川さんが自分の事「たま」ってよんでるの可愛いな。すごい本田さん負けてるんですけどww弱いw。結局、三宅さんに本田さんが奢るっていうオチか。三宅さん強かったからn。。。。いきなり挨拶されてびっくりしちゃった。私ちゃんと挨拶できてたかな。
2月7日
風の噂で聞いただけだけど、遠藤さん同じ中学の子の前ではちょっと砕けた感じになるらしい。いつもあんな厳格な遠藤さんからは想像もできないけど見てみたい。尊いにおいがプンプンする!!名前はたしか、藤輪ひよりさんだったかな?遠藤さんと那須さんと籐輪さんの三角関係に期待せざるをえないよね
2月26日
家永心愛先輩のシスコン談義を小耳にはさんだ。通りがかりに他の先輩に話してたから聞いてみたんだけどやっぱいいよね。姉妹百合。兄弟姉妹は一番距離の近い他人って言い方もできるし、昔からずっと一緒にいる存在ともとれる。そこにある家族愛と恋愛がごっちゃになっていく感じが。。。純粋な独占欲から美しい支配欲へと変わっていく感じがたまらない。幼い頃のお姉ちゃん甘々もたまらないけど、大きくなって純粋な家族愛ではない何かに目覚めてしまったってシチュエーションとかもう最高だよね。家永先輩がここまでいってるとは断言してないからね!!あくまで私の妄想っていうか好きなシチュ
3月18日
そろそろ、今年度終わり。春休みが入るまで百合を目に焼き付けなきゃ。それにしても、遠藤さんと那須さんずっと一緒だな。目線の合わせ方、手の位置、距離の近さ、どれを見ても実質恋人じゃん。付き合っちゃえばいいのに。那須さんもめっちゃ遠藤さん好き好きオーラだしまくってるもんね。遠藤さんもまんざらでもなさそうだし。キスくらいならやってそうだもんね。那須さんが迫って断り切れない遠藤さんを…..これ以上はダメだ。今日の日記はこれで終わり
4月8日
新たに新入生を迎え、より賑わいを増している情報処理部をのぞきながら尊いを探してると、東さんに不審がられてしまった。気を付けなきゃ。最近暴走気味な気がする。
4月10日
大変なことになった。遠藤さんにこのノートを見られてしまった。風紀委員でもある遠藤さんは先生に報告したらしく私の処置について話し合っているらしい。なんとかこのノートは返してもらったけど、これからどうなっちゃうのかな。
4月11日
次の日、学校行くと学校中が私の噂で持ちきりだった。このノートのことだ。やっぱり、風紀的にもアウトらしくそれなりの処置があるらしい。確かに色々書いてたものを本人に見られるのはいけないことだと思うし、その点は反省しなきゃいけないな。申し訳ない。
4月12日
私の処置が決まった。3か月の謹慎だそうだ。学校の学習状況に置いていかれるのが少し怖かったが、プリントが届けられるようでその辺りは心配しなくて良さそう。さすがにちょっとやりすぎだったな。あとで謝罪文を書いて送ろう。もっとも許してくれるかどうかはわからないけど。
5月19日
遠藤さんから謝罪文の返答がきた。開けるのをちょっとためらったがおくられてきたものを見ないわけにはいかない。手紙を開くと、
『丁寧にありがとうございます。ここまで、事態を大きくしたのは私にも責任の一端があります。しかし、これからあのようなことは決してないようにお願いしますね。それでは学校でお待ちしております。
追記 内容が内容ですがあなたの発想力は目を見張るものです。ノートに閉じ込めておくだけじゃもったいないですよ。』
と文が書かれていた。とにもかくにも、安心の一言だった。ほんとに怒ってなくて良かった。でも、気になるのは最後の一文。確かに閉じ込めてただけなのかもしれない。私の気持ちを、言葉を、
7月8日
明日は登校日。もう、このノートに頼らなくても良さそうだ。もう大丈夫。自分の口で、自分の気持ちを…..
謹慎が明けた最初の登校日。気まずさを乗り越え登校する私に声をかけてくれる一人の女の子がいた。風紀委員の遠藤さんだ。
「木津さん、おはようございます。お久しぶりですね。お元気でしたか?」
「おはようございます!!はい、元気でしたよ!この間読んだ百合小説が良くてですね。。」
「もう、実在する人物であのようなことはもうしていませんですよね?」
「さあ、どうですかね~」
「今度は許しませんよ。いっそのこと燃やして灰にしてしまいましょうか?」
「燃やす!?!うわぁぁああああ」
追いかけられながら呟いた“ありがとう”が届いたかわからないけど遠藤さんがしかめっ面なのに笑っているような気がした。
今ならちゃんと言える。新しい自分の言葉で
木津芽衣物語第二章開幕の瞬間を、今ここに
エピローグ
だまって一人で過ごしていた時と比べ、話す人も増え色んな人と絡むことができた。一人黙々と百合ノート制作してたときが懐かしい。まだ、要注意四天王なんて呼ばれ方されてなかったなあ。今では百合を語れる友達ができて一緒に密かに色んなカプを見守っている。そういえば、遠藤さんに最後にあったのはあの時が最後だな。1か月前の選挙で見事当選し、千枝流学園の生徒会長になってからはバタバタしてて話しかけるタイミングがなかった。思い出に浸っていると、新生徒会の1年生組が走っていくのが見えた。もう、感覚に任せて行ってしまおうか
なんの言葉も持ってなかった私が繋がり始める物語をたとえみんなが忘れようとも私は絶対に忘れない。辛くとも大切な終わってしまった物語と楽しみで未知なこれから始まる物語を両手に抱えながら生徒会室へと向かった。
以上で、分けて投稿する分は終了です。ここまで読んでくれた方に自己満で入れた秘密の文章の見つけ方をお教えします。
プロローグから先頭の文字を繋げて読んでみてください。私の個人的な趣味が分かると思います。
それでは、これで。次回作も近いうちに出せたらいいな....テスト近いんだけど....