Shuffle more race plus   作:magnumheat

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最近ではtick tack!をやっています。


魔界からの来訪者

季節は流れ、梅雨が明けると、一気に夏が到達する。

今年最後の夏もカンカン照りの中、稟はシア達といつも通り登校する。

 

 

稟「さて、行くか。」

 

土見ラバーズ「はい!」

 

いつも通りスタスタと歩く。親衛隊も居なくなってすっかり静かな登校。だが、今回はいつもと違う。

 

稟「?」

 

稟はふと、視線を感じると、後ろを振り向く。

 

キキョウ「どうしたの、稟?」

 

稟「いや、気のせいかな?」

 

再び歩き始めるが、やはり視線を感じる。

 

稟「んん?」

 

後ろを見るが誰もいない。

 

シア「稟君、何か気になるの?」

 

稟「いやその、誰かに後をつけられてるような気が・・・・。」

 

楓「そ、それって、ストーカーですか?」

 

ネリネ「それは怖いですね。」

 

エーデル「誰かは知りませんが、警戒しなくては。」

 

ロサ「でもまあ、ストーカーって大抵一人だし、この人数ならなんとかなるでしょ。」

 

シア「稟君のためなら何とかするッス!」

 

稟「まあ、とりあえず学校に入ってしまえばやり過ごせるだろ。」

 

一同は急いで学校に向かう。

 

「あっ、気づかれちゃったかな。」

 

この声の主は後日また学園を騒がせる事になる。

 

 

学園に着き、いつもの一日が始まる。今日は魔法を使う授業なのだが、

 

 

教師「えー、今日の魔法の授業ですが、魔界から特別講師の方が来ています。」

 

稟「魔界から特別講師か、ネリネ、何か知ってるか?」

 

ネリネ「いえ、特に何も聞いていないのですが。」

 

麻弓「生憎私も知らないのですよー。」

 

樹「確かに突然だね、だが、俺様の嗅覚によれば、絶世の美女であることは間違いない!!」

 

ロサ「・・・その根拠は?」

 

樹「魔界からこの学園、しかもこの授業に派遣されるとなれば、相当優秀であるのは間違いない、しかも、高い魔力を持つ優秀な人材は、女性が多い事を考えれば!!」

 

エーデル「なるほど、私達獣族とはまた違った嗅覚ですね。」

 

キキョウ「これって嗅覚って言っていいの?」

 

楓「え、ええと、嗅覚というにはいささか問題があるかと。」

 

エーデルの天然ぶりに戸惑う楓。

 

シア「でも、どんな先生なのかは興味あるよね。」

 

教師「それではお入りください。」

 

入ってきたのは、この世にいるとは思えないほどの美しい魔界の女性である。

妖艶な半目の美貌もさる事ながら、スタイルは土見ラバーズ全員と比べても別格のプロポーションだ。

その姿を見た途端、

 

樹「うおぉぉぉ!!」

 

男子「綺麗な先生だー!!」

 

男子「この授業に新しい花が!!」

 

男子達は興奮するやら飛び上がるやら。

 

ネリネ「ア、アイ様!?」

 

アイ「あらネリネちゃん、ごきげんよう。」

 

男子「ええ、リンちゃんのお母さんか!?」

 

男子「リア先生に続いてまた人妻か。」

 

アイ「いえ、こう見えて私は独身です。」

 

その途端、男子のボルテージはさらに爆発的に跳ね上がる。

すかさず樹が我先にと近寄る。

 

樹「アイ先生!!これほどの美しさを持ちながら独身とは、奇跡です!!それで俺様とこうして出会えたのはまさに運命と言えましょう!どうですか、俺様とお付き合いいただけませんか?」

 

男子「おい緑葉、抜け駆けするなよ!!」

 

樹のナンパに男子達の怒号が飛ぶ。

 

麻弓「はぁ、どうしてこうも男は単純なのかしら。」

 

麻弓は自分の胸を見ながら溜息をつく。

 

楓「でも、確かにお綺麗ですよね。」

 

シア「でも、稟君は平気そうだから凄いよね。」

 

キキョウ「アンタ実は色気に免疫あるんじゃないの?」

 

稟「いや、どうだろうな。」

 

男子達の熱い視線を浴びる中、ふと、アイは困ったような表情で口を開く。

 

アイ「あらあら、人間界の男の子にも歓迎されてるわね。でもごめんなさい、私はかつて現魔王の婚約者だったの。言い寄られる事は結構あるけど、フォーべシイ様の事は今でも忘れられないわ。」

 

ロサ「そうなんだ、でもあの魔王様がこんな美人を振るなんて。」

 

ネリネ「お父様はああ見えて実は一途なんです。」

 

稟「まあ、真面目な時は真面目だしな。」

 

このまま話が終わるかと思いきや・・・・・、

 

アイ「というのは、過去の話でね。実は最近好きな人ができたの。」

 

アイは稟に笑顔を向ける。

 

稟「?」

 

ネリネ「ま、まさかアイ様。」

 

アイ「稟君の事を時々魔王様やネリネちゃんから聞いてたんだけど、いざ見てみたら、とてもステキな人ってわかっちゃって♡」

 

樹「・・・・・・。」

 

樹はその場にがっくりと膝を落とす。そして、男子達の目からは血の涙が。

 

稟「・・・・ひょっとして、通学中に感じた気配は。」

 

アイ「うん、私なの♡」

 

麻弓「稟君、もはや神だの悪魔だの関係なくって感じよね。」

 

 

アイ「一夫多妻の神界なら、いいわよね?」

 

アイはふわりとした立ち振る舞いで稟に接近する。

 

シア「いいんじゃないかな?」

 

キキョウ「今更断るもんでもないでしょ?」

 

ロサ「そうね、ここで振ったら多分この人一生独身かもよ。」

 

稟「そ、そうだな、いいのかみんな?」

 

土見ラバーズ一同「はい(うん)!!」

 

アイ「ありがとう、みんなもこれからよろしくね。」

 

こうして、新たなる土見ラバーズが加わる。

 

 

Side下級生

 

「ねえねえ、魔法の授業の特別講師の人、土見先輩の恋人入りしたんだって!」

 

「しかもその先生、魔界トップクラスの大人の女性らしいわよ!」

 

プリムラ「むー、お兄ちゃんったら。」

 

ツボミ「稟おにーさん、大人の女性にもモテるんですね。」

 

Side魔王宅

 

魔王「いや〜、あのアイちゃんまでも落とすとは、稟ちゃんはもはや超人だね。」

 

セージ「さすが稟君。でも、人間界なら年齢的に問題ありだと思うけど。」

 

魔王「なに、稟ちゃんはそんな事気にしないだろう、あっはっはっはっ!!」

 

Sideストレリチア女学院

 

「ねーねー聞いた?魔界からバーベナ学園に来た魔族の先生、土見君に恋しちゃったらしいわよ!」

 

「その先生すっごい大人の魅力満載なんだって!!」

 

桜「・・・もう、しょうがないなあ稟君。」

 

 

Sideブーケット学院

 

亜沙「稟ちゃん、もしかしたら魔王様を超えてるんじゃないの?」

 

カレハ「元魔王様のフィアンセの禁断の新しい恋、まままままぁ!」

 

この噂はあっという間に広がった。

 

 

 


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