3年生との試召戦争に勝利した僕ら2年生は、3年生のA、B、C教室を手に入れた。3年生との試召戦争前の各クラスはAクラスがA教室に、BクラスがB教室に(ただし設備はCクラスレベル)、CクラスがF教室に、DクラスがD教室に、EクラスがC教室に、そして我らがFクラスがE教室にいたので、教室のランクが高いクラス順に設備のいい教室に引っ越しをすることになった。3-AがAクラス、2-AがBクラス、3-BがEクラス、2-BがDクラス、3-Cが我らFクラス、2-CがCクラスという感じ。
というわけでCクラスレベルの設備を手に入れたFクラスなんだけど、この設備に僕らは満足していなかった。俺らの目標はAクラスのシステムデスクだ! もっと高みを目指してやる!! という賞賛すべき心ならいいんだろうけど……
『おい、Cクラスじゃ巨大ディスプレイがねえじゃねえか!!』
『吉井の
『勝ったのは俺らのおかげなのにあんまりだぜ!!』
うちのクラスは欲望に忠実だった。
「やれやれ……。相変わらずじゃな、うちのクラスは」
僕の隣でこうつぶやいたのは、自称男子の美少女、秀吉だ。
「あはは……」
「おや? お主もあやつらのように不満を述べると思ったのじゃが。なにせお主が敵の大将を討ち取ったのじゃし」
秀吉の言う通り、僕は3年主席の髙城先輩を討ち取り2年生に勝利をもたらしたのだけど……
「ほら、女子陣が何か言いそうで怖いからさ……」
「なるほど。お主も苦労しておるのじゃな」
あの試召戦争以来、姫路さんと美波がやけに僕に対して積極的になった。それはとても嬉しいんだけど、逆に少しでもそのような発言をしたら骨が持っていかれる。
「まあ、そういうこと抜きにしても僕はAクラスの設備がほしいけどね」
Aクラスの設備は僕らFクラスにとっての悲願だ。クラス間の試召戦争はこれからもできるし、おそらく僕の悪友はそろそろ動きを見せると思うけど。
「よお、明久。秀吉」
すると、ちょうど僕と秀吉の前に悪友である坂本雄二がやってきた。
「おはよ、雄二」
「おはようじゃ、雄二」
「おう。で、なんの話をしてたんだ?」
「設備についてだよ。雄二も狙ってるでしょ?」
「ああ、当然だ」
「で、雄二よ。Aクラスにはいつ勝負を挑むのじゃ?」
「Aクラス? Aクラスと試召戦争なんて考えてないぞ?」
え、どゆこと? 雄二もAクラスの設備がほしいんじゃないの?
「別にAクラスと戦わなくてもAクラス設備は手に入るからな」
僕の心を察したのか、雄二がそんなことを言ってきた。
「え、でもAクラスに勝たなきゃじゃ」
「お前はこの学年にAクラス設備を使っているクラスが何クラスあるかわかってるのか?」
「なるほど、そういうことか」
秀吉はわかったらしい。え、わかんないんだけど。
「…………雄二、明久にもわかるように説明してやれ」
するといつの間にか僕らの近くにムッツリーニこと土屋康太がいた。
「BクラスもAクラス設備を使っているんだよ」
「あ、そういやそうだった」
さっきも言ったようにBクラスは2-A教室を使っている。じゃあBクラスを狙うというわけか。
「あれ? でもそうしたら雄二は霧島さんとの約束を白紙にできないんじゃ」
「その話は忘れてくれ……。それにそのことなら新しい校則のおかげでパーになった。翔子も認めてくれたしな」
「あ、そうだったんだ」
雄二がAクラスとの試召戦争にこだわっていた理由は、霧島さんとの「私と付き合って」という約束を白紙にして自分から告白するため。雄二の6年間も考えてた告白の内容が楽しみだね。
「…………なぜだか無性にてめぇを殴りてぇ……」
勘するどしこと恐ろしき。
「で、いつBクラスに挑むのじゃ?」
「まだ決めてないが、2、3日後には仕掛ける。根本には3年との時も世話になったからな。徹底的に仕返ししてやらぁ」
2日後、僕らはBクラスに試召戦争を挑み、あっさり勝利することができた。ついにFクラスは念願のAクラス設備を手に入れたのだった。
念願にしちゃあっさりしてるって? しょうがないよ、僕が語りたいのはそこじゃないんだから。僕が語るべき事件は1か月後の12月18日に起きた。