二人のビーストテイマー~インフィニティ・モーメント&ホロウ・フラグメントVer~   作:ほにゃー

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前に投稿していたものを書き直して、最後投稿しました。

後、レインの綴りですが、rainからregnに変えます。

読み方は変わらずレインで、デンマーク語で雨と言う意味になります。


終わらないデスゲーム

「一つ頼みがある」

 

キリトさんが茅場に声を掛けた。

 

「何かな?」

 

「簡単に負けるつもりはないが、もし俺が死んだら、暫くでいい。アスナが自殺できないように計らってほしい」

 

キリトさんの頼みに茅場は意外そうな顔をするが、頷いた。

 

「よかろう、彼女は《セルムブルク》から出られないようにしよう」

 

「キリト君!駄目だよ!そんなの、そんなのってないよ!」

 

アスナさんの悲痛な叫びが聞こえる。

 

「レイン君、君はいいのかね?」

 

茅場の言葉に俺はシリカの方を向く。

 

シリカは不安そうに俺を見ていた。

 

そんなシリカに俺は微笑んだ。

 

それに安心したのかシリカの顔から不安は消えた。

 

「向うで会う約束をしたんです。そんな死んだらなんて話しませんよ」

 

「そうか」

 

茅場は笑い、左手を動かし、不死属性を解除し、十字剣を抜いた。

 

そして、互いに構える。

 

自然と持っている剣に力が籠る。

 

そして、とうとう動き出した。

 

キリトさんが絶叫を上げ、斬り込む。

 

キリトさんの一撃を茅場は十字盾で防ぎ、キリトさんに剣を振り下ろす。

 

それをキリトさんは体を仰け反らせて回避する。

 

そこに、俺が大太刀を振りかぶり斬り込む。

 

それを十字剣で防ぎ、十字盾で攻撃を仕掛けてくる。

 

剣を振った時の力を殺さず、その力を利用して盾の攻撃を躱す。

 

そこにキリトさんが二本の剣での連撃を浴びせる。

 

ソードスキルは全て茅場がデザインしたもの。

 

なら、全ての連続技がどこにどうくるのかも知っている。

 

だから、自分の技量のみで戦うしかない。

 

それにしても、子供とはいえ、二対一で互角に渡り合うとは茅場自身のスペックも凄い。

 

茅場に感心しながらも攻撃の手を止めない。

 

腰を落とし、剣先を茅場に向け、突きを放つ。

 

茅場はそれを躱し、十字盾を下から突き上げ俺の顎にぶつける。

 

「ぐあっ!」

 

その攻撃に俺は吹き飛び、転がる。

 

「レイン!……くそぉぉぉぉ!」

 

そこで、キリトさんがソードスキルを使ってしまった。

 

二刀流最上位剣技《ジ・イクリプス》

 

連続二十七連撃を繰り出す技だ。

 

その時、茅場が笑った。

 

キリトさんは怒りに任せてソードスキルを使ってしまった。

 

もう、止まらない。

 

上下左右から繰り出される斬撃を茅場はいともたやすく防ぎきる。

 

最後の一撃を十字盾で受け流され、キリトさんはソードスキル発動後の硬直に入った。

 

「さらばだ、キリト君」

 

茅場の無慈悲の声が響く。

 

剣を握り走る。

 

だが、間に合わない。

 

キリトさんが死ぬ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、不思議なことが起きた。

 

突如、動きが止ったかの様に、茅場は攻撃の手を止めた。

 

時間にして、一秒あるかないかの時間。

 

だが、それだけで十分だった。

 

既に、茅場を俺の大太刀の間合いに入れ、俺は突きを放つ。

 

茅場を大きく後ろに後退させ、斬りかかる。

 

茅場の顔から徐々に焦りが見え始め、茅場に余裕の文字が無くなっていた。

 

「レイン!スイッチ!」

 

後ろから、硬直が解けたキリトさんが突っ込んでくる。

 

茅場の剣を大きく弾き、後ろに下がる。

 

それと同時に、キリトさんは二刀流で連撃を浴びせる。

 

………おかしい。

 

こうして茅場を圧倒出来ているのはいいが、おかしい。

 

さっきまで、俺とキリトさんの二人掛かりを軽くあしらい、圧倒的な強さを見せていた茅場が、突然押され始めるなんておかし過ぎる。

 

まるで、圧倒されてるっていうより、上手く動けなくなっているって感じだ。

 

だが、今はそんなことは後回しだ。

 

直ぐに俺も加勢加わり、茅場を戦う。

 

そして、俺とキリトさんは同時に、茅場の十字剣と十字盾を弾く

 

守りが崩れた。

 

そして、俺の大太刀とキリトさんの剣が同時に茅場の胸を貫いた。

 

その瞬間だった。

 

ノイズのようなものが、俺たちの周りに走った。

 

そして、次の瞬間には、俺たちの前から茅場の姿は消えていた。

 

「終わ……ったのか?」

 

キリトさんがそう呟くのが聞こえた。

 

正直、本当に倒せたのか自信がない。

 

アバターが砕け散る音は聞こえなかった。

 

でも、本当に聞こえなかったのかと言われると自信がない。

 

倒すことに必死で、聞き逃したのかもしれない。

 

そんなことを考えていると、何かが勢い良く俺に抱き着いてきた。

 

シリカだった。

 

今にも泣きだしそうな表情で、俺を抱きしめていた。

 

「シリカ……」

 

「バカ……心配したんだからね………!」

 

「……悪い。でも、約束は守ったぞ」

 

「そんなの結果だもん」

 

やれやれ、これは機嫌が治るまで時間が掛かりそうだな。

 

「レイン!」

 

すると今度は、アヤメさんが走ってやって来た。

 

「この野郎!無茶しやがって!お前は、どれだけ人に心配かけさせんだよ!」

 

「まぁまぁ、落ち着けって」

 

そんなアヤメさんを落ち着かせたのはアルブスだった。

 

「レイン、言いたいことは色々あるが、とりあえず、お疲れさんだ。よくやったな」

 

「ああ、借りを返してもらうまでは死なないさ」

 

そう言って、アルブスと軽く拳を合わせる。

 

他の攻略組のプレイヤーも、茅場を倒したことに歓声を上げていた。

 

そっか……俺達、本当に勝てたんだな………

 

そう実感していると、ふとクラインさんが、言葉を発した。

 

「……所でよ、俺たちはいつ現実世界に帰れるんだ?」

 

その言葉に、また周りがざわつく。

 

ボスであり、このデスゲームを開始した茅場は倒した。

 

なのに一向に、ログアウトされる気配はない。

 

「まさか、嘘だったのか?」

 

「ヒースクリフ……茅場晶彦は自分を倒せばゲームはクリアされて全プレイヤーが自分を倒せば解放されると間違いなく宣言した。茅場が嘘を言っている様子もなかった」

 

キリトさんの言う通り、茅場がこんな処で嘘をつくような人間とは思えない。

 

それなのにどうして……

 

「おい!76層への扉が開いたぞ!」

 

すると、部屋の奥の様子をうかがっていたエギルさんがそう言ってきた。

 

「キリトさん……どうします?」

 

「………ゲームが終わらない以上、今は先に進むしかなさそうだ。行こう、76層へ」

 

俺たちはその言葉に頷き、76層に続く階段へと向かった…………

 

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