二人のビーストテイマー~インフィニティ・モーメント&ホロウ・フラグメントVer~ 作:ほにゃー
「ところで、ここってどこ?」
妖精もといユウキがそう聞いてくる。
「どこって、76層だけど」
「ななじゅうろくそう?」
「アインクラッドだよ。知らないのか?」
「あいんくらっど………ん~、そんな場所、ALOにあったっけ?」
「はっ?ここはSAOだぞ?」
「え!?SAOってあのSAO!?死んだら現実でも本当に死ぬって言う、あのゲーム!?」
どうも様子がおかしい。
「えっとユウキ……だったよね?とりあえず、色々聞きたいことがあるんだけど」
シリカがユウキに近づいて、いくつか質問をする。
「ユウキさ、ALOって言ったよね?それって何なの?」
「VRMMOだよ。僕が今やってるゲーム」
「VRって、まさか、現実じゃまだナーヴギアを販売してるのか?」
「ううん。今は、アミュスフィアって言うナーヴギアの後継機が出来ててるよ。ナーヴギアは、SAOの一件で全て回収されたから」
「じゃあ、ユウキもアミュスフィアでプレイしてるのか?」
「えっと……まぁ、そんな感じかな?」
そこだけ誤魔化すような言い方にちょっと気になったが、余計な詮索はやめておこう。
知られたくないこともあるだろうしな。
「それで、どうしてSAOにいるんだ?」
「そう言えば、なんでだろうね?いつもみたいにALOをしようと思ってログインしたら、急にノイズのようなものが走ったんだ。そして、気が付いたらここにいてさ。僕も何が何だか」
「他のゲームから、SAOに来るなんてあり得るの?」
「どうだろうな……とりあえず、一度キリトさんたちと合流しよう。ユウキ、俺たちは街に帰るから、一緒に来てくれ」
「え?いいの?」
「いいもなにも、当たり前だろ?」
「でも、僕、皆と随分アバターが違うけど……」
そう言って、ユウキは自分の耳を指さす。
ユウキの耳は所謂エルフ耳で、この世界のプレイヤーとかけ離れている。
「そこは、シェイプチェンジのトラップに引っ掛かったとか誤魔化せばバレないだろう。ほら、体術スキルの獲得クエストでも、似たようなのがあっただろ?」
「あ、そっか」
シリカが納得したように手を打つ。
「と言う訳だから、そんなに気にしなくてもいいと思うぞ」
「う、うん……でも、本当にいいのかな?」
なんか妙に行きたがらないな。
遠慮してるのか?
「いいから行くぞ。それに、女の子一人置いて行く訳にも行かないしさ」
「ふぇっ!?」
「ん?どうした?」
「う、ううん!なんでも!」
「なら、行くぞ。逸れるなよ。取り合えず、シリカ、ユウキを頼む。俺は前に出て、道を確保するから」
そう言い、俺は二人の前を歩く。
(女の子扱い………初めてされた………)
(なんかレイン、この子に優しい気がする………)
何故か顔を赤くして無言のユウキと、俺をキツイ目で見てくる無言のシリカを連れて森を抜ける。
ちょうどキリトさんたちも出てきたところで、合流した。
「キリトさん、その人は?」
「噂の緑の妖精。それで、そっちは紫の妖精を見つけたのか?」
「ええ、まあ。妖精って言うより、プレイヤーでしたけど」
そう言って俺はユウキを見る。
「紹介します。ユウキです。なんでもALOって言う他のMMOから来たみたいで」
「え!?ALO!?」
すると、キリトさんの後ろにいた、緑の妖精が声を上げる。
「レイン、今、ALOって言ったか?」
「ええ、言いましたけど……まさか!」
「ああ、こっちも紹介しておこう。彼女はリーファ。同じくALOから来たプレイヤーだ」
「そう言えば、どことなく似たアバターですね」
「でも、どうしてALOのプレイヤーがSAOに?」
「多分、ALOは、SAOと同じ基幹システムを使ってるんだと思う。アバターが引き継げているしな。だから、何らかの原因で、二つのゲームが混線して、ここに来てしまった。それが、俺の考えだ」
キリトさんの推測に納得し、ユウキを見る。
ユウキは、同じゲームから来たリーファさんと話をしている。
まぁ、同じ境遇の人間が居たら、安心するか。
「え!?リーファさんがキリトさんの妹!?」
「ああ。俺もビックリだよ。噂の妖精が妹だったなんて」
街に戻る途中、キリトさんからリーファさんの素性を聞かされ驚いた。
「私も、まさかSAOの中に来るなんて思いもしなかったけどね」
リーファさんも、驚き具合としては同じらしく、困ったような笑みを浮かべ、頬を掻いている。
そうしてる内に、街の中に入る。
「うわー!奇麗な街だね!」
街に着くや否や、ユウキは辺りをきょろきょろと見渡し、燥いでいた。
「ねぇねぇ、レイン!ここ、なんて街なの?」
「《アークソフィア》。ここ76層の主街区だよ」
「主街区って?」
「主街区ってのは―――」
シリカSIDE
《アークソフィア》に着くと、ユウキは珍しいものを見るかのように燥ぎ、興奮していた。
その姿がなんだが子供ぽっくて、あたしは少し微笑ましくなった。
でも、レインの手を握る必要はないんじゃないかな?
レインも!ユウキに手を握られて、デレデレしちゃって!
ユウキは手を繋ぐことを何とも思ってないのか、それとも興奮のあまり気づいてないのか。
どちらにしろ、あたしの心の中は穏やかじゃない。
「あたし………恋人なのにな………」
あたしはそんな二人の後姿を見つめて、そう零した。
シリカSIDE END
レインSIDE
「ん?ねぇ、キリト君。あれ、何かな?」
ユウキに色々説明していると、リーファさんが上空を指さす。
「え?……なんだあれ?」
上を見上げると、上空に穴が開いていた。
と言うより、空間に急に穴が現れた感じだ。
「転移結晶による転移……じゃないよね?」
「ああ、発光の色が違う。それに、あんな上空に転移するなんて………」
キリトさんとアスナさんが上を見上げながらそう言う。
でも、俺は一度この光景を見ている。
シリカもだ。
その光景に、シリカも目を見開いて驚いてる。
そして、ユウナの時と同じように、誰かがその穴から落ちてきた。
「人が!」
「くっ!間に合え!」
キリトさんが走り出し、落ちてきた人を受け止めようとする。
あと僅かで、その人が地面に落ちる。
キリトさんは飛び込むように跳躍し、腕を伸ばす。
「おっと!」
だが、キリトさんの腕はその人を捕まえず、代わりに、偶然下を通りかかったアヤメさんが受け止めた。
「うわあああああっ!!」
キリトさんはそのまま勢いよく転び、そのまま地面を滑って止まる。
「キリト君!?」
「お兄ちゃん!?」
アスナさんとリーファさんが慌てて、キリトさんに駆け寄る。
「えっと……これはどういう状況だ?」
アヤメさんはと言うと、落ちてきた人を抱えたまま、困惑していた。
「空から女の子が降ってくるシチュエーションを体験できるとは思わなったが、これも何かのバグか?」
「よくわからないんですけど………それより、アヤメさん。その人は大丈夫ですか?」
「ああ。大丈夫だろう。そもそも圏内じゃダメージは発生しないしな。それに、気を失ってるみたいだがら、精神的なショックもないだろう」
そう言ってアヤメさんは腕の中にいる人を見る。
「とりあえず、宿屋に連れて行こう。そっちの、噂の妖精たちの話も聞きたいしな」