バハルス帝国の贄姫   作:藤猫

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感想、評価ありがとうございます。感想いただけましたら嬉しいです。

あんま進まなかった。
次は、ナザリック観光と、守護者と会う感じ。


聖王国の最悪は、捕獲されて、アインズが聖王国にしたことを理解して、姉が弟を化け物って罵倒するルートですね。


籠入

 

 

(・・・・・どうしよう。)

 

リリーはぎゅうぎゅうと固い、骸骨なのだから当たり前なのだが、弟の体を抱きしめながらどれほど経ったか。

ようやく正気に戻って初めて、自分の現状について思い至る。

 

(私、今めちゃくちゃ恥ずかしいことしてないか?)

 

何せ、思い起こせば、自分たち以外の誰かが複数いた気がする。弟に会えたという事実で全ての思考が遠くにいってしまったのだ。仕方が無い。

それはそれとして、非常に羞恥心が高まってくる。

 

(・・・・おーい、悟。あの、離してくれ。)

 

相手のアヴァターのせいなのか、大分開いた身長差によってリリーはその胸に埋もれるような形になっている。

さらさらとして、かつ、どこかふわりとした生地のせいで痛くはないが、だいぶ頬に肋骨の存在を感じている。

 

(つーか、このローブに埋もれてて周りが何も見えん。)

 

リリーは意思表示のためにもがくように体を動かした。そうすると、今まで背中と腰に回っていた弟の手が動いた。ぐんと引っ張り上げられる感覚がした。

リリーを抱きしめるために屈んでいた姿勢を正したのだろう。

抱き上げられて、まるで全てから隠すようにリリーはローブに包まれた。頭を押さえつけられているせいで肋骨の辺りがごりごりと額にこすれる。

 

「・・・アルベド、私は自室に戻る。私が良いと言うまでは誰も来るな。何か、相当の緊急のことがなければ、連絡するのも禁ずる。」

「・・・・賜りました。」

「え、おい、悟!」

 

リリーは状況が理解できずにもがくが、弟はそれを気にすることもなくそのまま王座を去った。

 

 

 

「アルベド!どういうことです!あの人間・・・・」

「ふ。く、くくくくくくく・・・・・」

 

己の主が去った後、デミウルゴスは誰よりも早く、状況を理解しているらしいアルベドに叫んだ。けれど、漏れ出てきたアルベドの笑いに口を閉じた。

守護者達は笑い出したアルベドに困惑の視線を向ける。

 

けれど、アルベドはそんなことなど気にもとめずに、堰を切ったように哄笑があふれ出した。

 

「く、あははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!」

 

アルベドは天を見上げ、そうして目を見開いて、これ以上のことはないと笑った。

 

「ああ、アインズ様!ええ、ええ、あなたこそが至高!運命さえも、世界さえも、あなたに味方をするというのなら!」

それでこそ、我らが主!

 

歓喜に震え、狂ったように笑うアルベドにじれたデミウルゴスが叫ぶ。

 

「アルベド!いい加減にしなさい!あの女が何者か、詳細を!」

「デミウルゴス。」

 

デミウルゴスの言葉にアルベドはドスの利いた声を吐いた。それにデミウルゴスは思わず黙る。

 

「・・・・あの方に無礼を働くことは、誰であろうと赦されないわ。あの方は、アインズ様のお姉様なんだから。」

 

それに守護者達の目に驚愕が浮ぶ。

 

「あ、ね、だと?」

「ええ、私はアインズ様から事前にお話を聞いていたから。」

「ア、 アインズ様の。」

「お、お姉様?」

「人間が?」

「・・・・・ダガ、明ラカニアインズ様ハ彼ノ人ヲ連レテ行カレタ。」

「姉?人間が、姉?」

 

守護者の間に動揺が広まっていく中、黙り込んでいたシャルティアは己の口元を覆った。

 

(姉?)

 

シャルティアは茫然としていた。だって、それはそうだろう。

 

(お姉様が、アインズ様の、姉?)

 

 

 

 

アインズの自室につき、彼はすぐに人払いをした。

リリーはそれにようやく弟と話ができるとほっとした。

けれど、弟は自分の腕の中のぬくもりを確かめように更に強く抱きしめるだけで、何も言わない。

 

「・・・・っおい。」

 

リリーはローブの中でもがくが、まるで逃がさないというように腕の拘束が強くなる。そうして、まるで何かを探るように腕がリリーの体をまさぐり始める。

 

(・・・・いや、お前。)

 

おそらく、そういった意図はないのだろうが。少々手つきが危うすぎる。腰とか、腹というか、女として止めるべき場所がまさぐられる。

あと、痛い。

頬に押しつけられる肋骨がめちゃくちゃに痛い。ごりごりしている。

 

「おい、いい加減にしろよ!」

 

そう言ってもがくと、腹に回った腕の力が強くなる。

それに気が強いリリーの苛立ちは頂点に昇った。

 

「悟。」

 

じたばたと暴れていたローブの中の存在が、ぼそりと低い声を出した。それにアインズが返事をするその前に骨盤に衝撃が走った。

自分を支える腕の存在を良いことに、思いっきりリリーは骨盤を蹴りつけた。それに弟はようやくリリーから手を離した。

よろめいたアインズのローブからずるりと逃げ出したそれは、その場にだんと降り立った。

 

「おい、ごら。」

 

それにアインズはその場にへたり込んでしまう。

ドスの利いたそれに、アインズは姉の方を見た。それをリリーは迎え撃つようににらみ付けた。

 

「てめえ、いい加減にしろよ!肋骨に人の顔押しつけやがって!いてえんだよ!」

 

リリーは己の頬を触れば、明らかに何か凹凸のようなものがあるのがわかる。

押しつけられた肋骨の存在にリリーが呆れたような顔をしていると、ようやくアインズが口を開いた。

 

「うわ、ほんとだ。」

 

それにリリーはイラッとして怒鳴り返す。

 

「ほんとだ、じゃないわ!ごりごりめちゃくちゃ痛かったんだが!?」

「な、そんなに怒んなくてもいいだろ?」

「怒るわ!つーか、説明もなく連れてこられて、人の話も聞きゃしねえでいるんだから!」

「わ、悪かったけど。姉さんだって蹴ることないじゃん!」

「てめえが手を離さねえからだろうが!!」

 

そういって見下ろせば、弟は黙り込む。じっと、自分のことを見たままだ。呆けているのかとリリーは弟と視線を合わせるように膝を抱えて屈み込んだ。

 

「ん?」

 

その短い言葉に弟は自分にうろんな、赤い瞳を輝かせた。不気味な怪物のようなそれではあるけれど、リリーにとっては。弟が不安がっているように思えた。

促すような短いそれは、リリーが弟の言いにくいことを促すときのそれだった。

それに、目の前の骸骨はそうであってくれと信じるように言葉を発した。

 

「本当に、姉さん?」

「ひでえな、悟。お前さんこそずいぶん痩せて。ここまで激やせしたお前を悟だってわかるのは私ぐらいだろ?」

 

混ぜっ返すようにそう言って、にやりとわざと意地悪く笑えば、弟はああと感極まったかのような声を出した。

そうして、すぐに己の額を押さえた。

 

「っくそ。」

「どうした?」

「・・・いいや。それよりも、姉さん。姉さんは、どうしてこっちに?」

 

何か、思った以上の早い切り返しに驚きつつ、リリーも痛みで冷静になった頭で答えた。

 

「いや、どうも生まれ変わったみたいで。」

「は?」

「死んだらいつの間にか赤ん坊になってて。」

「うん?????」

「それで気づいたら皇女になってて。」

「こうじょ?」

「皇帝の娘な。んで、まあ、ちょい冷遇気味で。」

「冷遇・・・・」

「声を低くするな、こええから。でも、同腹の兄が後ろ盾になってくれてな。魔法の力とかも覚醒したから、今まで生きてこれたんだよ。」

 

おそらく見る人間が見れば、切れかけの蛍光灯並みにちかちかしていたアインズはそれに口を開いた。

 

「それで、ここに。」

「まあな。つーか、そういうお前はどうしてここに?おまけに、ギルドまで一緒にさ。そういえば、他の人は?」

 

リリーの言葉に、アインズは黙り込む。それに、リリーは何と無しに察した。そっと、その髑髏に触れた。

それにアインズはぽつりぽつりと話し始めた。

 

「・・・・・ユグドラシル、サ終しちゃって。」

「うん。」

「それで、俺、最後までちゃんと迎えたくて。」

「うん。」

「みんな、入れ替わり、立ち替わり来てくれたんだ!寂しいって言って。ほかのゲームも、誘ってくれて。でも、俺、ユグドラシルで、みんなでやりたくて。」

「うん。」

「王座で、最後を待ってたら。いつの間にか、ここにいた。NPCは生きてて、ここは、ギルドのみんなの場所だから!守ろうと思って。」

「そうか。」

 

リリーは弟のそれに頬に添えていた手を頭に移動させて、つるつるとしたそれを撫でた。

 

「一人で。頑張ったんだな。お前は優しいから、ここの記憶が大事だから。ずっと、守りたかったんだな。」

 

柔らかな姉のそれにアインズは、いいや、鈴木悟は、うんと頷いた。

幼い子どものように、うんと、そう、頷いた。

 

 

 

「・・・・うーん、やっぱりよくわからんな。」

「それを言うなら姉さんの方がそうだろう。」

 

二人は、それこそ無駄にフカフカした絨毯の上にあぐらを掻いて話し合っていた。メイド達が見れば椅子に座ってくれと懇願していただろうが、二人にそんなことは関係ない。

 

そうやって地べたに座って向かい合えば、彼らの実家でそうしていたような気安さにあふれていた。

 

リリーは考える。

弟の話を聞く上では、こちらにやってきてすぐに情報を集めるために、色々としているらしいことは聞いた。

この世界に来てすぐに近くの村が襲われたためにそれを助けたこと。それを足がかりに外の世界を調べ始めたらしい。

現在は、王国にて情報収集をしているとは聞いた。

 

「私も、リスって名前で王国うろついてたから何も言えないなあ。部下の誰かと接触とかしてる?」

「・・・・聞いてないかな。」

「そっか。まあ、接触できて良かったよ。」

 

モモンガは、モモンの存在を姉に伝えられなかった。

それはまあ、仕方が無いだろう。

 

(姉さんに、あんなことをしたって!あんな、キザなことしたって!いや、なんか、すごいアプローチしてたけど。やっぱ、姉さんだから惹かれてて。でも、あの、あの挙動は、あれは。)

 

弟としては、あの挙動を姉に伝えるのはなかなかに勇気がいる。

 

(なんか、俺が姉さんのことがそういう意味で好きみたいな。いや、そりゃ、好きだけど。そう言うんじゃないって言うか。)

 

動揺と、平静をうろうろする弟を不思議そうにリリーは見つめる。

 

「情報って、人に紛れてか?」

「ああ、部下達に色々と情報収集をさせてる。」

「慎重派のお前さんらしいな。なら、王国には人をやってるのか。帝国には?」

「そっちはまだ。」

「そうか。」

 

アインズとしては、ひとまずはナザリックのNPCたちが生きていること、彼らに指示を出して外の情報を調べ回っていることについて話した。

 

モモンのことはちょっとアインズには姉に話す勇気が出なかった。そのため、それに付随する話についてはできなかった。

リリーはリリーで自分の状態についてそこまで話すものではないと考えていて、それ以上に彼女はアインズの話を聞きたかったのだ。

 

己の死体を見つけた話を聞いた。

 

(正直、家に入ろうとした瞬間に襲われたしなあ。玄関に倒れ込んで、相手もなんか言ってたけどなんもおぼえてないし。)

 

二人は、時間も忘れてずっと話をしていた。けれど、それも全部、アインズの、いいや、鈴木悟の嘆きだった。

寂しかった、悲しかった、苦しかった。

骸骨の怪物の姿をした弟は、どこまでも、幼いときの寂しがりの姿のままだった。

だから、リリーは、幼い子どもにするように慰め続けた。

 

二人に必要なのは、現状の情報交換ではなくて、今までの寂しさを語り合う時間だったのだ。

 

 

リリーははあと大きく息を吐いた。ある程度、話も終えた後のことだ。

 

(よ、よかったああああああああああああ!!)

 

何はともあれ、リリーは安心していた。何せ、彼女の目的はこの、ユグドラシルから来ただろうプレイヤーと友好関係を築くことなのだ。

 

(悟なら、ゲームでは結構強い方だし。あと、アイテムも強いの持ってたはずだ。性格も、温和で優しい。兄上との兼ね合いもあるけど、そこら辺は私が頑張ればいい。)

 

肩の荷が下りたかのような心地だった。

それ故に、リリーはその場にごろんと転がった。

 

「姉さん、汚いよ。」

「いいじゃん。なんか、色々と疲れた。ここに来るのだって、どんながいるんだってびびり散らしてたのに。」

「というか、ギルド名で気づかなかった?」

「あのな、私はお前の友人と個々でやってたぐらいだろ?というか、私はお前のとこのギルド名、ナインズ・オウン・ゴールだと思ってたんだよ。」

「いつの話だよ!?はあ、どおりで気づかなかったわけだ。」

「兄上にも、アインズのことを調べろって話題だったのに。やっぱ、ここ、アインズと関係、というか、そのものだったんだな。」

「やっぱり王国の情報って帝国に行ってるの?」

「当たり前だろ。それよりも、お前、この世界の情報ってどれぐらい・・・・」

 

そこまで言ったとき、リリーの腹が盛大に鳴った。

 

「・・・・・お腹減ってるの?」

「そういえば、今日、何も食ってない。」

 

情けないそれにアインズはくすくすと笑った。そうして、立ち上がる。

 

「何か、食べようか。」

「いいの?」

「うん、何か食べたいものがある?」

 

それにリリーは少し考えた後、ぼそりと呟いた。

 

「オムライス。」

「え?」

「オムライスが、食べたい。」

 

小さな言葉に、アインズは、そっかと頷いた。

 

 

 

 

金色のオムレツからほかほかと湯気が出ている。

鼻につく、なんともいえない卵と、バターの匂いがたまらない。

 

「・・・・言われたとおりの、オムライスです。」

「ああ、ありがとう。さっきぶりだね、ユリさん。」

「はい、そうですね。」

「すまんな、あー、ユリ。」

 

リリーは目の前の置かれた完璧なオムライスを前にして少しだけうきうきしてしまった。

とろとろの卵ではなく、あくまで固く焼いたオムライスの上には少なめのケチャップがかかっている。

リリーの好みのものだ。

 

「デザートや食後のお飲み物はどうしましょうか?」

「そうだな、姉さん、食べたいものはあるか?」

「いまのとこはいいかな。というか、変な時間に頼んで悪いね。今、夕方ぐらいか。」

「いえ、そのようなことは。」

 

地下のせいか、時間は殆どわからずにそう言えば、アインズは楽しそうに笑った。

 

「時間なんて気にしなくていいから。食後のコーヒーは、いいや、姉さんは甘い方がいいか。甘い、ミルクティーを頼む。」

「賜りました。」

「ユリさんも、ええっと、僕、でいいのかな?」

「はい。」

「ほら、姉さん、冷める前に食べるといい。」

「うん、じゃあ、遠慮無く。」

 

リリーは色々と肩から荷が下りたために、くうくうと鳴る腹を治めるためにオムライスに手を伸ばした。

腐っても皇女として育ったおかげで叩き込まれたテーブルマナーを披露した。

 

「・・・・すごいな。」

「これでも皇女なんでな。」

 

そう言いつつ、リリーはちらりとユリ・アルファを見た。

 

これでも皇女として育った身だ。メイドに関しての、優秀な条件というものは理解しているはずだ。

 

(すごいな、なんか、こんだけ華やかな見た目で、場に溶け込んでいるというか。うちのメイドさんみたいにあんまり話しかけない方がいいのかな?なんか、悟もいちいち、私が話しかけるの遮るし。)

 

なんてことを考えつつ、リリーはオムライスを口に含んだ。

少し咀嚼した後、リリーはオムライスを飲み込んだ。そうして、すっと手を上げた。

その動作に、ユリは思わずアインズとリリーを交互に見た。

 

「弟よ、申し訳ない。マナーとか度外視して、思いっきりかき込むことは許可して欲しい!」

「うむ、いけ!」

 

気取った風にアインズが笑いながら言えば、リリーはかちゃかちゃと音が立つのも気にせずに、オムライスをかっ込む。

 

「うっま!」

 

アインズは、目をキラキラさせて、頬袋を作ってオムライスをもむもむと食べるのを上機嫌で眺める。

 

「そんなにか?」

 

頬杖を突いてそう聞くアインズに、リリーはこくこくと頷いた。

 

「卵が、濃厚で。バターも、すごい、コクがあって。んく、でも、中のチキンライスも、すごい。なんか、鶏肉、柔らかいし。お米も、甘くて。でも、ケチャップの風味も、すごくて。」

「そっか、おいしいか。」

 

アインズは、これ以上無いほどに、どろどろとした甘い声で、姉が子どものように食事をするのを上機嫌で見つめる。

それにユリが驚いた顔をしていたが、アインズは食事に夢中な姉のことしか視界に入っておらず気がつかなかった。

 

「あー。おなかいっぱーい。」

「おいしかったか?」

「おいしかったあ。こっちに産まれてから食事は楽しみだったけどさあ。ここのは反則、ほんとうに旨い。」

「ふふふふふふ、そうか。料理長のことを褒めてやらないとな。」

 

アインズの自室に置かれた、食事をしていた机にもたれかかるようにリリーは眠りそうな猫のようにだらける。

すでに食器を片付け、部屋を後にしたユリもいないためにリリーは気にもとめずにだらける。

アインズは、そんな無礼さえも気にもとめずに姉の髪を梳るように撫でた。

それにリリーははてりと首を傾げる。

 

自分と弟は、ごくごく普通の姉弟の距離感だった。

物理的な接触を望むのはリリー、といっても弟がやらかした時のヘッドロックなどが殆どなのだが。

髪を、頭を、そんな風に、恋人のように梳いてくることなんてあっただろうか?

 

(あーでも、確かに、髪乾かすのめんどいときやって貰ったこともあったかな?)

 

きっと、こんな奇跡に酔っているのだ。自分だって、このまま、その手に身を委ねたいと思うし。

骨だらけの固い体をずっと抱きしめて、その声を聞いていたい気分なのだ。

 

リリーは、腹が満たされ、気が緩んだせいか。それとも、延々と話していたための疲労感のせいか。

うつらうつらと、眠気が襲ってくる。

 

「姉さん、眠いの?」

「・・・うん。」

「それなら、寝ようか?」

「風呂とか、あと、まだ、互いの情報交換、も。」

「いいよ、時間はたくさんあるんだ。お風呂は、わかさないといけないから、それまで寝て良いよ。」

 

時間がたくさんある。

その言葉に、リリーは嬉しくてたまらなくなって、くすくすと少女のように笑った。

 

「そうかあ。」

「ああ。」

「うん、たくさん話そう。それで、ああ、ご飯も一緒に食べよう、今まで、あと、これから。」

(兄上のことも、紹介して。そうだ、NPCなら、シャルティアとか、デミウルゴスとか、パンドラにも、会いたいなあ。)

 

リリーは、楽しい未来を考えて、淡く微笑みそのまま眠ってしまった。

 

「・・・・・・食事は、難しいなあ。でも、なんとかしようか。」

 

アインズは眠りこけてしまった姉にそう言って、彼女を抱え上げた。そうして、部屋の奥のベッドに横たえる。

 

(・・・・姉さんに、悟呼び止めさせないとなあ。あと、NPCに姉さんのことを通達して、危害を加えたときの対策。護衛に、うん、ユリを付けておこうか。姉さんも気に入ったみたいだし。守護者達に、一度目通りをさせておこうか。それで、反応を見て、姉さんの活動場所を制限して。)

 

つらつらとそこまで考えて、アインズは寝息を立てる姉を見た。そうして、その頬に、骨の手を添える。

 

「・・・・姉さんのために、百合をモチーフにした家具を用意しなくちゃ。」

 

ずっと暮らす場所ならば、好きなものに囲まれて生活したいだろうから。

 

アインズは、赤い瞳を輝かせて、ニタニタと笑った。

 




聖王国の最悪ルート

聖王国で産まれる→王女とかに思い入れと持って女四人で生きていく→ヤルダバオトに捕獲→姉の素性が聞き出される→弟に報告が行き再会→嬉しそうな弟がなした非道に目の前のそれが化け物になりはてたことを理解する。

「お前なんか悟じゃない!」
「化け物め!」
「返せ!私の弟を帰してくれ!」
「姉妹たち(聖王女に思い入れありのため)に何かしてみろ!殺してやる!」

みたいな感じで全力で拒絶されるパターン。

ちなみに、これのルートは三つあって、


姉さんがそんなこと言うはずが無い、偽者めで殺してしまうルート。
姉さんにそんなことを言われてごめんね、全部忘れようかで記憶操作してなかったことにするルート。
姉さん、ごめんなさない、俺が悪かったで更正ルートの三つ。

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