生きてるだけでもうけもん!   作:ロッキード

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うっかり神様が殺しちゃったなんて、普通の人はキレると思うんです。
どうして転生させるのに、衣食住と安定した職業をくれないんですか。


第0話 うっかりでも許さない

私はしがないサラリーマンだ。

安定した職につき、安定した生活をして、普遍的な家庭を築いていた。

といっても、ここまで来るのは苦労した。

安定した職なんて、あまり見つからない上に就職は割と苦労する。

大企業で務めているが高くもなく、低くもない地位にたどり着いた。

 

ある日の帰宅途中の事だった。

空は少しどんよりとしていた事は覚えている。

大きな音と共に意識は消える。

目を覚ますとそこは、いかにも「神様の国」と言うとこだった。

マジで雲の上にあったのか。

そして目の前には1人の女がいる。

見た目的には女神のようだった。

目の前の女は頭を下げてこう言う。

「本当にすまない!」

「え?どういうことですか?なんか、大きな音がしたのは記憶にあるんですが、それと関係あるんですか?」

男は頷く。なんだろう。落し物とかか?

しかし、イマイチ反省の色が見えない女だ。

まぁ、それほどの事ではないから、とやかく言う必要はないだろう。

「音と関係は大きくある。神の雷というのを君の上に落としてしまったんだ。」

専門用語で言われても分かるわけないだろ。

「つまりどういうことなんですか?」

「君は死んでしまったのだ。私のうっかりでな…。すまん。」

は?何を言ってるんだ、この女は。

少しヘラヘラしてるのを見ると、冗談にしか聞こえない。

「はは、冗談はやめてくださいよ。」

「いや、冗談ではない。すまない。」

怒りが込み上げてくる。

こんな事があって溜まるか。

女の胸ぐらを掴み、言う。

「ふざけるな!うっかりで済ますな!お前の不注意なんだろ!俺の人生を返せ!どれだけ苦労してあそこまでたどり着いたと思ってるんだ!

誠意を込めて謝罪しろ!土下座だ!ふざけるな!」

怒りのあまりでこんなことを言ってしまった。

掴んでいた胸ぐらを離す。

女は途端に泣き出す。

1番面倒なタイプだ。

「そこまで言わなくたっていいじゃないか…!うぅ…、私は神様なんだぞ!」

「神ならなんでも許されるのか!?あ?」

理性なんてクソ喰らえだ。

思ったことをここぞとばかりにぶつける。

とりあえず女神とやらを正座させる。

今思ったが、誰かのお説教なんて久しぶりだった。

「まず、こういう場合はどうするか〜とかあるのか?」

女神はモジモジしながら、涙目で答える。

「マニュアルではぁ……別世界に転生とぉ……なってるんです…」

何かに似てると思ったら、客に叱られてる新人バイトだ。

てか、マニュアルあるんだ。誰が作ったんだよ。

「ただ、転生する訳じゃないよな?勿論、こちらの要望も聞いてくれるんだよな?」

「あ、はい。転生特典を付けさせてもらっています。

例えば強力な魔剣とか、ハーレムとか。」

よくある奴な。

でも、正直そんなのは要らない。

最強の勇者的なのになったら、毎日がめんどくさい。

週2日で休める程度の生活で十分なんだ。

魔剣とかチートが許させるなら、ある程度の環境はセーフだろう。

「なら、要望を言ってもいいか?ちょっと多いんだが、そこまで強力なものでもないからな。」

女神がコクリと頷く。

まるでクレーマーと新人バイトだ。

まぁ、近い状態ではあるんだが。

とりあえず俺は要望を言う。

要望はまず、そこそこの金銭だ。

この転生はこのままの年齢で行くらしい。

なら、金銭はそこそこ必要だ。

何があるか分からないし、面倒事も金銭で解決しやすい。

職に就くまでの生活費も欲しいしな。

次に頼んだのはそこそこの武装だ。

どうやら行く世界は、昔ファミコンでやった「ド○クエ」のような所らしい。

だからそこそこの武具を要求した。

いかにもな騎士的なの鎧と兜。

そして、無難な剣だ。

これで何とかなる。あとは弓だ。

子供の頃、アニメとか漫画で憧れて西洋剣術や弓をやった。

大人になってからは、さっぱりだが役に立つかもしれない。

あとは家を頼んだのだが、それは向こうで買ってくれとの事だった。どうやら、その辺は無理らしい。

転生先に降り立つ街は平和でのどかだが、そこそこの城下町だそうで、住み心地は良いそうだ。

最後にこう頼んだ。

「最後は無病息災を頼む。重い病気なんてゴメンだからな。」

女は首を傾げて言う。

「「むびょうそくさい」??なんですか?それ。」

知らないのか。困ったな。

「わかりやすく言うと、病気にならないように健康な体でって事かな?」

女は納得した顔で言う。

「では、そのようなスキルを付与しておきますね!」

これで完璧だ。

とりあえず前世と変わらない人生を送ろう。

チートもハーレムも強さも魔剣も要らない。

こうして、異世界へと旅立つ。

 

目の前が真っ白になっていく。




普通の人はうっかりで殺されたら怒ります。
異世界系の人達はなぜ怒らなかったんでしょう。
きっと、心が寛容かいい人なんですよね。
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