漸雷くんの生活   作:人生脇役

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漸雷くん、翔ぶ

セッション開始。フィールドはさっきと同じ平原。

「………ふふふふふふふ………漸雷強襲型………マントは着てないけど強襲装備型だぁ………」

実はさっきから興奮が押さえきれない。まさか漸雷強襲装備で戦う時がくるとは思わなかった。

『ガールだけどね』

「うるさいやい」

唯はほっといて、ブースターを動かす。

肩のブースター、足のブースターをそれぞれ個別に。しっかり動く。

………よし、ブースター噴射!

ゴッ、とGがかかって体が浮き上がる。

『翔んだ、ク○ラが翔んだ!』

「立てよそこは。………飛んでる、ほんとに」

さっき、地面をローラーダッシュしていたときとはまるで違う景色。

ブースターを吹かして加速するたび、感じる風と、体にかかるG。 

『楽しい?』

「うん」

ほとんど生身で飛ぶって、こんな感じなのか。

『ブースターはセッションの時以外でも使えるらしいよー』

「マジで?」

いいの、それ。まぁ飛べると僕は便利だけどさ。

『武器とかも使えるけど、威力はほとんどないんだって』

「そうなんだ………」

安全対策はきっちりしてるよね、さすがに。

「さぁて」

飛ぶのはいいけど、攻撃もできなきゃね。

右手のライドカノンを構える。

目標は地面の的。

照準を定めて撃ってみると、すこし外れた位置に当たった。

「ん?あー、うん」

もう一度撃ってみて、わかった。

反動で空中姿勢がぶれてるんだ。

ライドカノンは無反動砲みたいだけど、かといって本当に無反動なわけじゃない。そして、エクステンドブースターはそのへんの微調整が難しい。

「まぁ神経磨り減らすよりはマシかな………」

説明書のストーリーだと、スティレット系のほうがマシってレベルだったみたいだし。

それとも何か自動制御があるのかな。漸雷は複座だったような。ひょっとして、僕の疑問にときどき答えてくるアレが制御してるのかな。

………今回は答えてこない。なんでだ?

ブースター制御、っと………。

───ブースター制御、セミオートモード───

お、返ってきた。

セミオートか。僕の姿勢イメージに合わせて角度をオート調整してるってとこかな。

とにかく、反動があるならそれに合わせて撃ったほうがよさそうだ。

宿っているのは僕でも、アタマはメカ。だからか、反動計算などは自分でああだからこうだとかすることもなく、答えが出る。答えがわかるなら、そのとおりにやるだけ。

そう考えながら、反動でのブレを補正して照準して………発射。

今度は照準どおりに弾が飛んで、的を木っ端微塵に吹き飛ばした。

『ブルズアイ!』

「うん、大当たりかな」

飛び回りながらだとこうはいかなそうだけど。

マシンガンならどうだろう?

ライドカノンを地面に置いて、右足のマシンガンを持つ。

軽く動きながら、まずは一発。ダブルバレルガンよりも反動は小さいかな。次、連射。連続して弾が飛んでいき、的とそのまわりが穴だらけになる。

フルオートで撃つとばらけるな。数発づつ、バーストで撃ったほうがよさそう。

『ライー』

「なに?」

急に唯が呼んできた。空中停止。

『バトルパーツ、LEDソード!』

「へぁっ」

上から持ち手が実体化し、落ちてきた。

「わわっ」

慌てて高度を下げつつ、左手でキャッチ。そのまま着地。

「急すぎだって」

『いやぁ、後から送れるのに気づいて試したくてさぁ』

「もう」

僕も好きだけどさ、バトルネットワーク。

「ソード、かー」

送られてきたLEDソードは持ち手だけ。MSGのやつは、刃ごと押し込んでスイッチだったけど…使いづらそう。

「あ」

グリップにスイッチがある。右手に持ち変えてから、入れてみる。

「おおっ」

『この音、ワカってるぅっ』

緑色の光刃が伸びた。ビシュゥン、と音も出る。

「………いい………」

両手で正面に構える。

振り上げて、振り下ろすと、ブォン、と鳴って残像が走る。

「………すき」

横薙ぎ、袈裟斬り、上段斬り。

「はー………これ………すきっ」

すごい。振ってて気持ちいい。

『ぐへへ………浸ってますなぁ………』

「あっ」

唯のこと忘れてた。

『わかる。わかるよ。私も今、すごくFAガールになりたい』

「だよね!?」

『でもこのままライ見てたくもある』

「あぅ」

いったい、どんな浸り方をしてたんだろう、僕。

「………ええぃ、構うもんか、斬るぞっ!」

『やっちまえ!』

轟雷系は、足の方にも動力なさそうなローラーがついてる。*1つまり、ブースターがある今なら。

的を正面に見据える。足を肩幅より広めに、ソードの先を左に向けて構えて、ブースターの向きを整える。

「行くぞっ!」

ゴッ、とブースターで急加速。的に向かって、急接近、右に振り抜く。勢いで回転しつつ滑って、止まる。

『行ったー!すごい!的の上半分が吹き飛んでる!』

「………」

『やっばー!私も振りたい!』

「………………」

『ライ!』

「………………………」

『ライ………?』

「………カ」

『カ?』

「カ・イ・カ・ン………ッ」

『………ライ………いったんやめよっか………』

「えっ」

*1
プラモデルの足裏にもそれっぽいディテールがある。

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