SASUKE    作:raikusuki

1 / 1
消してすみませんでしたぁ!!!
納得のいくものを作りたくて…すみません。


終末の谷!!

風が吹いていた。

一人の少年は、終末の谷と呼ばれる場所に着くと、真っ先に背を向けている友の名を呼んだ。

「ナルト!」

それが友の名だ。そして、うずまきナルトはゆっくりと首をこちらに向けた。

額当てをつけていない。それは、木ノ葉を捨てたと同義。

「なに?」

瞳は、昏い。虚無の空間を思わせるかのように。

「お前…なにをしているんだ!」

「は…?」

全く意味が分からない。

そんな雰囲気を醸し出していた。

「木ノ葉に戻ろう!オレたちは仲間だろ!?」

どうか届いてほしい。

そんな一心で叫んだ言葉は、ナルトには届かなかった。

「仲間ぁ?はんっ、オレを散々ドべドべと罵っておいて、そんな甘ちゃんな言葉をよく吐けるな。感心だってばよ」

「…お前…」

「よく考えてみろ。自分の気持ちを。オレを馬鹿にしてたんだろ?皆。サクラちゃんも、カカシ先生も!なあ、サスケ?見え見えなんだよ、お前らの心なんて!本意なんてさ!偽りはどれだけ正義で塗り固めても偽りに過ぎないんだよ!」

必死に、嘲笑うナルト。

もう、無理だ。とサスケは悟った。オレとこいつには既に、越えられない壁がある。今はただ硝子越しに喋っているだけなのだろう。それでは言葉に乗せた魂も跳ね返されるだけ。

なら―。

「オレが壊してやるよ、ウスラトンカチ!お前の骨全部折ってでもな!」

叫び、駆け出して、跳躍する。

ナルトが立つマダラの像に着地すると、サスケは思い切り彼を殴った。

一回バウンドしたもののすぐに体勢を立て直すナルト。

「なあ…みんな、お前の帰りを待ってんだ。心から…どうか、それを」

「分かりたくないね」

サスケの言葉を遮り、ニヤリ、と笑ってナルトは右手にチャクラを集中させた。

(あれは…螺旋丸…)

素早く印を組んで、サスケも左手にチャクラを集中させる。

千鳥だ。

「お前、言ってたよな?オレと戦いたい…って」

「今のお前とじゃあ、なかったんだがな」

通じないもの。

それを通じさせるために、サスケは駆け出した。

とめねばならぬもの。

それを貫き通すために、ナルトは駆け出した。

「〈千鳥〉!」

「〈螺旋丸〉!」

互いの奥義の衝突。

その余波で二人は吹き飛び、一方は滝つぼの中へ。

もう一方は地面に落下した。

「がっ…はあ、はあ…」

チャクラで身を守っていた為に、怪我は防げた。

サスケが落ちた方向を見る。

ボコボコ…と泡が出たかと思うと、ゆっくりとサスケが現れた。

瞳は赤。写輪眼だ。

「…」

立ち上がって、こちらを睨んで来る。涙が出ているかのように思うのは気のせいだろうか。

「ナルト…」

「制止は無駄だぜ、サスケちゃん?忍が涙を流すな…そう言ったのは誰だっけか」

鋭く尖った犬歯を見せ、ニヤリと笑う。

そして、ポケットから額当てを取り出すと、それを自身の額に巻いた。

「ここからはうずまきナルトとうちはサスケじゃない…忍と忍の戦いだ!」

 

 

 

二人が同時に地を蹴る。

ナルトの拳がサスケにはいった。

「ぐふっ!」

苦し気に呻くサスケ。そこにまたナルトの蹴りが顔面に入る。

崖にぶつかり、土煙があがった。

「どうだ?写輪眼で見切れるか?」

「はあ…はあ…」

「ふっ…次で…終わりだ!」

右手には螺旋丸。

タンッ、と水を蹴ってサスケに向かってそれを当てる。

が。

サスケの足がナルトを捉えていた。

「ぐふ!」

水面を流れるように滑って、水しぶきをあげながらもなんとか止まる。そこでサスケの追撃。

「〈火遁。豪火球の術〉!」

巨大な火の球がナルトを襲う。

「っ…〈影分身の術〉!」

印を結んで影分身を置くと、水中へ逃げ込む。

しかし。

「!?」

そこにいたのはサスケ。

「お前を止める!」

その掛け声とともに、拳がナルトの鳩尾へ。

「ぐっ」

さらに顔面、肩、足、わき腹…様々な場所に攻撃が入っていく。

顎を殴られて空気のある場所へ戻った時には、体中がボロボロだった。

「はあっ…はあ」

ペッと血を吐き、フラフラと揺れる足で立ち上がる。

よくよく見てみると、眼が三つ巴になっていた。

なるほど。道理で…。

「見切れるわけだ…オレの攻撃が」

でも、あちらがこちらを連れ戻そうとするのであれば、こちらはあちらを食い止めねばならない。

「しゃーねーな…」

腹を撫でる。

『すまねー、九尾。お前の力を』

『今回だけだ…ワシはあの眼が好かんだけだからな…』

『ああ。恩に着る』

深々と頭を下げ、ナルトは前を見据えた。

「おめーは苦しみを知らねー…そんな甘えん坊にオレはとめられねーってばよ」

ゴウッ、と強大なチャクラが空間を支配した。

水がナルトを避けるかのように弾かれ、強烈な熱風がサスケの肌に焼きつく。

「ッ…!これは…!?」

「さて…行くぜ?」

水面を蹴る。

来るか!と思った瞬間には、後ろ。

背中を蹴られ、吹っ飛ぶ。そして前。

圧倒的実力差で攻撃を加えられていく。

鳩尾。わき腹。

水面にぶつかるように飛ばされるサスケの上空には太陽が見えた。そしてそれを遮るかのようにナルトが現れる。

「お前はオレに勝てねえ。何故なら…」

急いで印を結び、サスケも千鳥を発動する。

体勢を整えて、ナルトが来るであろう方向を予測し、それに従って跳ぶ。

「憎しみが足りねーからだ!!」

ナルトの咆哮。

それと共に螺旋丸と千鳥がぶつかった。

とは言っても。

片や残り少ないチャクラでの千鳥。

片や尾獣最強のチャクラが入った螺旋丸。

もう分かっている。

勝敗は。

「うっ…うおおおおおおおお!」

千鳥が消滅し、サスケの体に直接螺旋丸が刻まれる。

「ぐああああああああ!」

水へ。

深く。

深く。

落ちてゆく。

意識と、共に―。

 

 

 

 

 

 

「はあっ、はあ…」

肩で息をし、尻餅をついた。

何故だろうか。

殺す気でやったのに、サスケを助け出してしまった。

「…」

地面に横たわる、かつてのライバル。

ポツポツ、と体に雨が降りかかった。

「まあ…いいか」

息を吐き、気配がした方向へ顔を向ける。するとそこに、黒い衣を着た男が来た。赤い雲が点々とある模様。

「…ゼツ」

案内人だ。

「終わったみたいだね…」

「ああ。ちょうど…な」

「カカシガコチラヘキテイル。スグニイクゾ」

その言葉にうなずいて、ナルトは闇に向かっていった―。




九尾がナルトに力を貸したのは、サスケが嫌いなだけ。
むちゃくちゃ?知らんがな。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。