何処までも逃げる。まだまだ追手が来る。
D09の指揮官は依然としてつながらない。やっぱり裏切られたのだろうか。
無駄に巨大にさせられた胸が邪魔して早く走ることが出来ない。
私の弱体化を狙っての改造を施していたのだろうか?
今回襲ってきた連中は所謂人形強奪団の連中だ。
G&Kや関連PMCに配備されているI.O.P製の人形を強奪して貧困層に叩き売る連中だ。
電脳に悪影響を及ぼす機器類も持っているんだろう。
あぁそうだ。私が以前殺した盗賊団と変わりはしない。
人形をただの性処理道具にしか考えてないクソッタレ達だ。
捕まれば最後私の一生なんて決まる。
平成の40年間奴隷契約よりも酷い契約を無理矢理交わされる。
「居たか!」
「いいや、居ない…どこに隠れやがった…」
「なんとしても探し出すぞ。貴重な鉄血ハイエンドだ!」
追手の数は今の所3…もうすぐで撒けそうだ。
「チッ…反応はこの付近なんだが…」
残念、探知機のようなものがあるらしい。
私はどれだけ頑張って逃げても逃げ切れないのかもしれない。
撃ち殺すか…
「別働隊は」
「もうこの付近を包囲し始めてる」
「へ…捕まえたら祭りだな」
「あぁ…あのドスケベボディの味見だな…」
「ごろつき連中も雇った、もうアイツは逃げられねぇぞ…」
物量が違うか…下手な発砲は位置を晒すだけになる。
幸い相手のもってる探知機とやらは精度がそこまで良いわけじゃ無いみたいだ。
万が一に再び暴走した際のセーフティにと対人間に出力リミッターが掛けられて抵抗もままならない。
G&K的にももう私はロストしたと思われてるかもしれない。
かけるとするなら…また放浪になるが隣地区まで徒歩での逃走を図る。
奴らが包囲したと言うことはそれだけの人員を素早く展開する何かがある。
まぁ自動車…ないしそれに準ずる物があるはずだ。
それを強奪できれば後は逃げ切れる…
「くそっ!探知機のバッテリーがきれた!」
「おいおいスペアはねぇのか!」
「この一個しかねぇよ!」
ここまでの不運のツケか転機が巡ってくる。
逃げ切れる…勿論私が奴らに見つからず…もしくは包囲網を突破できればの話だ。
身を屈めているより一気呵成に畳み掛けたほうが良いかもしれない。
相手の総数はわからない。榴弾砲の残弾は一気に殲滅できたとしても限りはある。
MASADAの残弾もそう多くない。牽制射撃なども含めたら…
物量に押し潰されて捕まり奴隷ENDだ。
私はそんなつもりは一切ない。
しばらくしない内に包囲網と思わしき男連中を視認した。
ぎっしりと並んで密林の中を進んでいる…集まっているとどうなるか思い知らせてやる。
"ポンッポンッポンッポンッ"
狙い通りに飛んでいく大口径榴弾。
いきなり鳴り響くこの間抜けた音に気づいたみたいだが。
どう逃れようとも私の誇る瞬間火力、攻撃範囲から逃れることは叶いそうにない。
「ドッカーン…てね」
爆発音でにわかに騒がしくなる後方。
跡形も残らず…いや、手足が幾つか残っているがほぼミンチになった人間の死体。
転がってきた頭は炸裂した鉄片で切り刻まれているが恐怖に染まっている。
もうどうとも思わない。私に手を出したのを後悔したらどうだろうか。
「バイク、しめた。キーも付きっぱなし」
とっととおさらばするだけだ。
隣の地区まで逃げてしまえばもう追ってくることはないだろう。
燃料がそう入っていなく隣地区の勢力下に入った辺りでガス欠になった。
それから食料も無しに放浪することになり…
「………クソッくらえ」
ついに私のエネルギーの底をついた。
いくつも視界の上に浮かび上がる警告メッセージが鬱陶しい。
まぶたが重たくなってきた…こんな幕切れか…
遠くで銃声が聞こえる。流れ弾でそのまま私も殺してくれたら良いのにな…
私の意識はそこで潰えた。
放浪中に活動停止ENDです。
これにてヴィオラちゃん主人公のこの作品は停止いたします。
ご希望があれば他のENDルートも書きますよ?
最後のヤツ?まぁD09のお隣が拾うフラグですよ。ふふ…