昼休みが終わり5時間目も後半に差し掛かった
先生「お題に沿って短歌を作ってみましょう。ラスト七文字を『触手なりけりで』締めてください。書けた人は先生のところに持って来なさい。チェックするのは文法の正しさと、触手を美しく表現できたか。できた者から今日は帰って良し!」
カエデ「先生!しつもーん!」
先生「……?なんですか?茅野さん」
カエデ「今更なんだけどさ、先生の名前なんて言うの?ほかの先生と区別するとき不便だよ」
先生「名前ですか、名乗るような名前はありませんねえ。何なら皆さんで付けてください。今は課題に集中ですよ」
カエデ「はぁーい」
先生「………」
渚「っ!」
(先生の顔の色が…今なら)
渚が席を立った。そして短冊を持ち先生にできた短歌を見せに行く。
先生「おや、もうできましたか渚くん」
フリをしてナイフを短冊で隠していた
クラス「「!!??」」
寺坂「…」ニヤ
渚(昼食の後で僕らが眠たくなる頃に、先生の顔が薄いピンクになるときがある。茅野の質問への反応も少し遅れた。多分先生も一番油断する時間なんだ。)
この進学校で落ちこぼれた僕らは思う。どこかで見返さなきゃ。やれば出来ると親や友達や先生たちを…
『殺ればできると』
渚は先生の前で立ち止まった。二人が対峙してるこの瞬間、クラス全員はその1秒1秒がとても長く感じた。
そして渚が隠していたナイフを素早く取り、先生に向かってその刃を向けた。
常人なら反応が遅れ、止めることが出来る人間はほんの僅かだろう。しかし相手は最高速度マッハ20の化け物。
渚の攻撃をあっさりと止める
渚(認めさせなきゃ…)
先生「言ったでしょう。もっと工夫を…」
渚(
ナイフを止められた渚、しかし渚の作戦はこれだけではなかった。むしろここからが本命。
ナイフを捨て逃げられないように先生に抱き着く
先生「しま……、っ!!」
そしてその渚の首にはグレネードが下げられていた
矢田(あれってまさかさっき寺坂君達からもらっていた…!?)
先生(BB弾グレネード!)
寺坂(特製のな!!もらった!!)
寺坂が持っていたスイッチを押すとグレネードが爆発。爆発音と共に無数のBB弾が飛び散り、先生と渚が吹き飛んだ
寺坂「っしゃぁぁ!やったぜ!!」
村松「百億いただきぃ!」
寺坂「ざまぁ!まさかこいつも自爆テロは予想してなかったろ!」
カエデ「ちょっと寺坂!渚に何持たせたの!」
寺坂「あ?オモチャの手榴弾だよ。ただし火薬を使って威力を上げてる。300発の対先生弾がすんげぇ勢いで飛び散るようにな」
カエデ「なっ!」
矢田「ちょっと!潮田君に何かあったらどうするの!?あんな至近距離で、もし死んじゃったら…!」
倉橋「ちょ、ちょっととーかちゃん、落ち着きなよ…」
矢田「でも!」
寺坂「人間の死ぬ威力じゃねえよ。俺の100億で治療費くらい払ってやらぁ。ん??」
(無傷??火傷1つ負ってねえのか?それになんだこの渚をおおうこの膜は。タコの死体に繋がって)
先生「実は先生、月に1度ほど脱皮します。脱いだ皮を手榴弾に被せて威力を殺した。つまり月イチで使える奥の手です。」
天井に張り付いている先生の声は少し低かった。そして先生の顔色は、顔色を見るまでもなく
『真っ黒、ど怒りだ』
先生「寺坂、吉田、村松、首謀者は君たちだな」
寺坂「え!い、いや!渚が勝手に!」
寺坂が言い訳を言い終える前に先生はマッハ20で教室を飛び出し、街中を一瞬にして回り教室に戻ってきた
そして先生は複数の
寺坂「お、俺らん家の表札!?」
先生「政府との契約ですから、先生は君たちには危害を加えない。が、次また同じ方法で暗殺しに来たら君たち以外に何をするか分かりませんよ。家族や友人、いや、君たち以外を地球ごと消しますかねえ」
5秒で皆悟った。地球の裏でも逃げられないと。どうしても逃げたければ、この先生を殺すしか…
寺坂「な、何なんだよテメエ!!迷惑なんだよ!いきなり来て地球爆破とか暗殺とか!!迷惑な奴に迷惑な殺し方して何が悪いんだよ!!」
先生「迷惑??とんでもない!君たちのアイデア自体はすごく良かった。」
先生はそう言うと真っ黒な顔から機嫌のいい時の朱色の顔に、顔に丸が浮かび上がっていた。
そして渚には二重丸の顔で
先生「特に渚君、君の肉迫までの自然な体運びは100点です。先生は見事に隙を突かれました。」
しかし次は紫のバツが浮かび上がった顔で
先生「しかし寺坂君たちは渚くんを。渚君は自分を大切にしなかった。そんな生徒に暗殺する資格はありません!人に笑顔で胸を張れる暗殺をしましょう。君たち全員はそれができる力を秘めた有能なアサシンだ。ターゲットである先生からのアドバイスです。」
渚(マッハ20で怒られて、うねる触手で褒められた。この異常な教育が僕には嬉しかった。この異常な先生は、僕らの事を正面から見てくれたから。)
教卓に焦げがあるのを見つけた先生はある人の事を思い出していた
??《もしあなたの時間をくれるなら、あの子たちを教えてあげて。なんて素敵な触手。この手なら、きっとあなたは、素敵な…教師に…》
教卓に残った焦げ、それを触手で消す。
先生「さて問題です渚くん、先生は殺される気などみじんも無い。皆さんと3月までエンジョイしてから地球を爆破です。それが嫌なら君たちはどうしますか?」
渚(暗殺なんてした事ないし、僕らには他にすべき事が沢山ある。けど思った)
「その前に、先生を殺します」
(この先生なら、殺意さえ受け止めてくれるって)
先生「なら今殺ってみなさい。殺せた者から帰って良し!!」
僕らは殺し屋。ターゲットは先生
カエデ「殺せない先生、殺せない、殺せん、あ!殺せんせー、は??」
殺せんせーと僕らの暗殺教室。始業のベルが今日も鳴る。
5時間目が終わり、渚が教室を出ようとした時
矢田「潮田くん」
渚「矢田さん?どうしたの?」
矢田「その、ケガとかない?本当に大丈夫なの?」
矢田は手のひらを祈りのように胸で組み心配そうに渚を見る。
渚「大丈夫だよ。心配かけてごめんね」
矢田「ほんとだよ!全くあんな無茶なことして!もし死んじゃってたらどうするの!?」
渚「うっ、ご、ごめんなさい…」
全くの正論に渚は反論も出来ずたじろぐ。
矢田「あ、いや。そのそんなつもりじゃなくて。私も本当は潮田君を止めれたのにそれをしなかったし…」
渚「どういうこと?」
矢田「その、潮田君と寺坂君たちに話を聞いてたの。それが気になってあの時話しかけたんだ。だから私もごめんなさい、止めてあげれなくて…」
まさか謝罪されると思ってもみなかった渚は一瞬呆けたが、そのうちクスリと笑った
矢田「ちょ、ちょっと笑わなくてもいいじゃない」
渚の反応に矢田は納得いかないような不満そうな顔で渚を見つめる
渚「ごめんごめん、やっぱり矢田さんは優しい人なんだなって」
矢田「ふぇ!?そ、そんなことないよ!私はただ渚くんが心配で!」
渚「だからだよ。全然話したこともない僕を心配してくれる矢田さんは本当に優しいよ。ありがとう」
渚は純粋な笑顔でお礼を言う。その顔はとても綺麗な笑顔だった
それはきっと彼の中の大きな悩みが1つ無くなったからだろう
矢田「う、うん…そ、それじゃ私もう帰るねバイバイ!!」
渚「あ、うん。また明日ね」
急いで帰る矢田の顔は、いきなりお礼を言われ、不意を突かれた為か赤くなっていた。
渚はそれには気づいていなかった