突然のことだが、俺は転生した。
トラックに轢かれたとか、神様からの謝罪などテンプレ的な出来事には遭遇していない。
目が覚めたら身長が赤子並みになっていて、自分の性別が男から女に変わっていたのだ
転生したことや、女になっていたことは非常に混乱したが、なんとか慣れることができた。
それに転生した世界も自分の住んでいた世界とは違った。
その根拠となったのが『ジェニー』という単位と、『ハンター』という職業の名前。
どうやら、俺は『HUNTER×HUNTER』の世界に転生してしまったようだ。
街の片隅にある孤児院。近所の住民からの評判もよく、今日も子供たちの元気な声が聞こえている。
「・・・・・・。」
その中で一人、周りと遊ばずに木陰で本を読んでいる子がいる。
肩口まで切り揃えた茶髪と、目端がやや吊り上がった黒い瞳が特徴的な気の強そうな少女、その少女の名は
「し~ずはちゃん?」
「ん?」
そんな静葉に声をかけるもう一人の少女がいた。
燃えるような赤髪を三つ編みにして、如何にも活発そうな外見をしている。
「・・・
朱里と呼ばれた少女は人懐っこい笑顔を浮かべながら、問いかけた。
「一緒に遊ぼう?みんなも待ってるよ!」
その言葉を聞いて静葉は少し顔をしかめた。
「・・・ワタシは今忙しいの。また今度ね」
これに関しては事実だ。この世界には「ハンター文字」という作中で頻繫に使われている文字がある。彼女が読んでいる本はその基礎が書かれている本だ。この文字を覚えておけば、この世界の住民とのコミュニケーションも容易になるだろうと静葉は考えていた。
それ聞いた朱里は可愛らしく頬を膨らませる。
「むぅ~!!またそんなこといって~!この前も遊んでくれなっかたじゃん!」
「そう言われても・・・」
元々彼女は高校生だったので、今更子供の遊びに付き合えと言われても無理な話なのだ。かといって、彼女からは何も悪気があるようには思えないのでいつも困っている。
「・・・やっぱり私たちのこと嫌いなの?」
瞳を潤ませながら上目遣いで聞いてくる親友の姿を見て、どうしようもない罪悪感にさいなまれた。
少しの間があり静葉は、はぁと短くため息をつき、渋々読んでいる本を閉じて言った。
「わかったよ。何して遊ぶ?」
「‼ うん!」
朱里は表情を一転させ、花が咲くような笑みを浮かべ、静葉の腕をとって走り出した。
(早くこの生活にも慣れなきゃな・・・)
朱里にひっぱられながら、彼女は心の中でそう思った。
この世界に転生して六年が経った。
正直言ってしんどいです。
だっていくら慣れたといっても女の体だし、みんなで風呂に入る時など目のやり場に困る。こちとら元男子高校生だぞ‼相手が五歳児でもちょっとは気にするわ‼
そんな
それは『HUNTER×HUNTER』の魅力の一つ、「念能力」を習得することだ。
念能力、それは体から生命エネルギー"オーラ"を自在に使いこなす能力のこと。
"纏"、"絶"、"練"、"発"の四大行と、その応用技たる"周"、"陰"、"凝"、"堅"、"円"、"硬"、"流"がある。
この能力を取得するには、オーラが溢れ出す「精孔」を開く必要があのだが、私はこの精孔を開くのに時間がかかり、四大行と応用技を完成させたころには4年の月日がたっていた。
そして今、私はようやく取得した念能力の系統を見分ける「水見式」の準備をしている。
念能力は強化系、変化系、具現化系、特質系、操作系、放出系の六つがある。各系統は円状に並んでおり、隣り合うものほど相性がいいという特徴がある。念能力者はそれを考慮して、自分の系統にあった能力を作るのだ。
水見式のやり方はいたってシンプル。
容器にたっぷり水を入れ、その上に葉っぱなどを乗せ容器に"練"を行ことで、系統によって異なる変化が訪れる。その変化を見て、自身の系統を明確にするのだ。変化は各系統によって違う。強化系なら容器の水の量が変わり、放出系なら水の色が変わるなどがある。
「さぁ、善は急げだ」
遊んでいる子供たちの広場より、少し離れた場所で水見式を試す。呼吸を整え、グラスを包むように"練"をする。
すると、
「うわっ!なんだこれ!」
急に葉が肥大化し始めた。他の系統に見られない変化。どうやら私は特質系のようだ。
「特質系か・・・」
別に不満があるというわけではない。むしろ嬉しい。クロロの"
しかし、安心してはいけない。
特質系だからといって、他の念能力者に必ずしも勝てるというわけではないのだ。念能力者の戦闘は一分一秒を争う世界。ちょっとした油断が命取りになる。
私だって、まだこの世界を楽しみたいし、ハンターにもなりたい。
そんなことを考えていると、広場から落ち着いた声が聞こえた。
「しずはちゃ~ん、どこですか~?お祈りの時間ですよ~」
どうやら、この孤児院の院長が私のことを探しているようだ。
「シスターマリ達も呼んでますよ~」
「今行きまーす!」
能力については後で考えよう。私は返事をしながら、声のする方へ駆けていった。
(やるなら今だな)
大半の人が寝静まった夜、静葉は子供たちが眠っている寝室から抜け出し、"絶"を使いながら人通りが少なくなった広場へ向う。
彼女は各系統の修行を終わらせ、自分の念能力をとうとう作り上げた。今夜は能力を発動させるため広場に行った。昼だと人目が気になるし、能力のことに関して問い詰められるのが嫌なので今が一番丁度よかった。
「大丈夫、大丈夫、きっと成功する」
目的地に着いた時、そう自分に言い聞かせて能力を発動させる。彼女はあれから自分の色々能力を考えた。他の漫画やアニメで登場した技を念で再現しようとした。しかし、どれもしっくりこない。
これじゃない、こんなものじゃだめだ、その思いが頭の中を支配していた。そんな中彼女はふと、ある考えを思いつく。
(他人に作ってもらえばいいじゃん!)
他力本願である。世界中を飛び回り、
彼女はそれに賭けた。
"練"をしたことで静葉の体からオーラが溢れ出す。そのオーラが右手に集まり、形が形成される。一見小さな鳥に見えるが、実際は体が透明で透き通っており、目もなければ体毛もない。そんなガラス細工の鳥ような念獣の頭部には"10"と書かれていた。これこそが静葉の念能力"
"
・特質系、具現化系、操作系、放出系の複合型能力
念能力を作る念能力。この能力に使った"
とり憑つかれた者には何かしら恩恵が一定期間与えられる。頭部の数字が"0"になった時、能力を作り上げ、術者のもとへ帰ってくる。また、この能力には攻撃力がなく、周囲の人間は能力の存在を認識できない。
【制約】
・この能力は一度しか発動できない。
・この能力で攻撃はできない。
・10年経たないと帰ってこない。
・帰ってくるまで念能力の一切が使用できない。
・作れる能力は3つまで。
・この能力が消滅しても"
・能力を発動していることに気ずかれてはならない。
【誓約】
・この能力のことを他人に話すと死亡する。
・能力の発動に気づかれた場合、死亡する。
・自分が転生者であることを話すと死亡する。
・この能力で攻撃を行うと死亡する。
・能力完成後、この能力は消滅する。
念能力には"
「うん、ちゃんと発動してるね」
自分の右手に出現した念獣を撫でながら、能力の具合を確認し、満足げに頷いた。この鳥には感情がないはずだが、心なしか嬉しそうだ。
「しっかり育つんだよ」
そう語り掛け静葉は念獣を夜空に解き放った。小鳥は彼女の手のひらから飛び立つと、その小さな翼を広げ星空の海へと消えていく。彼女はその姿が見えなくなるまで、手を振り続ける。大空を羽ばたくその姿には、幾つもの星が映っておりどこか幻想的だった。
「・・・早く戻らないと」
シスター達を心配させないためにも、足早に寝室へ帰っていった。
とりあえず第一話はこれで終わりです。やっぱり物語を書くのは難しいですね・・・。
感想、批評、誤字報告などお待ちしております。
なぜ十年なのかは第二話で分かります。