U05基地の化け物ハンター   作:イナダ大根

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資料集買いました、いやはやドルフロってやっぱいろいろ世紀末wしかも結構未来まで触れてるし。
ぶち込めそうなヤツラがどんどんわいてきてたまりません、地獄にするぞー!


第6話・今宵はBBQ(狩人流)

 

≪本当にいいんだね?≫

 

白い照明が私を照らす、体が動かない、まるでベッドに縛り付けられているようだ。

声が聞こえる、ペルシカリア博士の声。私は、なんでここにいるんだっけ?

 

「えぇ、もう私は鉄血に帰らない。それに選択肢なんてない、なら毒食わば皿までよ」

 

≪そう、わかった。今から君のデータをIOPのモノに書き換える、完全に鉄血からは離反することになるわ≫

 

「そうね、でも、それが人形じゃない?」

 

≪あなたは16LABの所属になって、グリフィンに派遣される…本当にそれでいいの?≫

 

「人形だもの」

 

そう、どのみち私は壊れかけた人形、放り出されたら長くない。どこに行っても同じこと。

誰も助けてくれない、お金もない、あるのはこの貴重な体だけ…わかってるくせに。

 

≪…そう、ようこそ、IOP・16LABへ≫

 

「んー…また夢だわ…」

 

気が付けばいつもの病室、さっきのはたぶん私が鉄血の人形じゃなくなったときの夢だと思う。

私はIOP・16LOBの研究個体でグリフィンに派遣されてる人形、ってことになった。珍しい鉄血からの離反人形ってこと。

武装や戦闘に関するプログラムにはプロテクトがかけられてて、非常時じゃないと外せないことになってる以外はあまり変わらない。

正式に決まったから、いつもと違うのは監視のダミー人形はついてくるけど外に出るのを制しない。

今はまだ首に爆弾を付けることになってるけど、それ以外ならもう自由…なんか、実感わかないな。

 

「夢子って、変な名前かしら?」

 

外に出て、自販機でコーラを買ってから近くのベンチに座ってから後ろで立ってるイングラムのダミーに問いかける。ダミーは小さく肩をすくめた。

 

「夢子・ロスマン、なんか実感がないな」

 

口に出してみる。夢子・ロスマン、これが私の新しい名前。こっちでの新しい身分、こっちの人形としての私、か。

ドリーマーを日本語にしてそこから作った名前に、鉄血のロストナンバーを少し変えてロスマン。

安直よね、でもあのササキが私のために作ってくれた。なんでだろ、私たちって少し前まで殺し会ってたわよね。

それなのに、こんなお守りまで持たせて、名前を与えて…何がしたかったのかしら。

 

「はぁ、なんか落ち着かないわね」

 

鉄血人形の私が、今やグリフィンに所属してるってのもそうだけど。こうして基地の片隅でボケっとしてるのも変な感じ。

コーラを一口飲んでから小さくため息をついた、なんだろ、この感じ。

なんとなく、施術前にペルシカ博士から渡されたササキからのお守りを出して指でひもを持って吊るしてみる。

日本の神社とかで売られていたよくある魔除けのお守り、デフォルメされたムカデが刺繍されてる。

紫色でムカデがちょっとファンシーなかわいい系、少しくたびれてるけど。

 

「…あら?」

 

お守りの向こう側、U05基地の滑走路脇に人影が集まってる、そういえば今日はごちそうだから来いって言われたっけ。

行ってみよう。この香りは、肉を焼いているの?BBQって奴かしら?

 

「あ、夢子?今ちょうど始まったところだよ」

 

滑走路のほうに向かって歩いてると向こうからM1911、ミナが重箱を両手にぶら下げて歩いてきた。

 

「あら、あなたは?」

 

「仕事のみんなに差し入れだよ、やっぱり出来立てが一番だからね」

 

「ふーん、そっか」

 

「楽しんでね!今日は豪華だから!!」

 

ルンルン気分でミナは司令部のほうに歩いていく、当直に配るのね。出来立てってことは、やっぱBBQ?

 

「ねーちょっと、これ、なに?」

 

私にはわからない、今こいつらが何を料理してるのかわからない。肉はすごい美味しそう、すごいジューシーで、天然ものそのもの。

滑走路わきにやってきたけど、確かに立食形式のBBQ。ジューシーな肉とか、カニのハサミが焼かれててすごい豪華。

でも、その肉はマジで何の肉なのか教えてくれないかしら?スコーピオンもM16もすっごい微妙な顔して教えてくれないのよ?

 

「おや夢子か、すこーしまっとれ。今、うまいカニ飯が炊けたところじゃ。ほれ」

 

ハンガーの奥から鍋を持ってきたコハクが蓋を開けて中身を見せてくれる。いいにおい、すごくおいしそうな炊き込みご飯だ。

コハクの言う通り、この時代じゃまずみられないカニの身がふんだんに入った白いごはん。で、そのカニはどこから来たのよ?

 

「ステーキが焼けたよ!琥珀、手伝って!」

 

「任せい。今日は良い部位が大量じゃ、食え食え」

 

イチヨが持ってきた皿の上にはおいしそうなステーキ、さっきから網で焼いてたやつ。うん、見た目はすごくおいしそうよ。

でもみんなすっごい顔してるのよ、唖然というか、覚悟決めてるというか、そりゃそうよね、そうよね

どの料理もとってもおいしそうなんだけど…その後ろに山積みのトカゲの頭はなんだぁ!

 

「何の肉だそれは!」

 

「ゲッコーの肉じゃよ?あ、頭は気にする出ない。まだ使うのでな」

 

「それまで食うのか!?」

 

「いやいや、あれは薬の材料に使うんじゃよ。治療ジェルを切らしてたからちょうどいいのじゃ」

 

「な、ぬ…そこのサムライもどき!お前も何焼いてるの!そのでかいカニのハサミはいったい何なんだ!

人間の足が丸ごと入ってそうな鎧みたいな足はなんだぁ!!」

 

「ミレルーク焼きですよ。ん~♪いい焼け具合、こればかりは密輸業者に感謝かな~?」

 

真っ赤になったデカいカニ足のどこに感謝する気だ!?どこがだ!どこがうまそうなんだ気色悪いわ!!?

なんでこんなゲテモノクッキングが始まってるんだ!おい、一体何がどうなってやがる!?

 

「お!来たかロスマン!今日は無礼講だ、存分に食べてくれ!」

 

「サーサーキー!お前も何持ってきやがったァァ!!」

 

「ケバブだ、ステーキとは別の部位のコマ切れを使った串焼きだ。スパイスに手古摺っちまってな」

 

ゲッコーのケバブだと!?この、ジューシーで香辛料たっぷりなスパイシーな香りが…うまそうに見える。

い、いやいやいや!駄目でしょ私、これはミュータントだ!ミュータントの肉を食べるなんて、非常識だ!

 

「ほら、食ってみろ。内地の奴もうまい」

 

「うむうむ、汚染が少ないから可食部位が多いのぅ。いい脂がのっておる」

 

「琥珀のカニ飯も久しぶりねぇ、カニの出汁が染みて美味しい」

 

「甲羅を割ればぷりっぷりの身がギッシリ、塩焼きの醍醐味ってやつですよ」

 

食ってる!?なんか始まってる!!ササキはステーキぱくついてるし、コハクはケバブ食ってる。

イチヨはカニ飯食べてるし、サムライもどきお前は両手で抱えるくらいでかいカニのハサミをワイルドにやってんなぁおい!

 

「お、おっほぉぉぉ!!なに、これがお肉!!?」

 

「く、口の中でお汁が弾けてる!?」

 

「はむはむはむはむはむむ!!」

 

おぉぉぉぉい!!スペクトラ!?ステン!?FNC!!?なんでもう食べちゃってるの?MG34、止めなさいよ!え?何、寧ろ元凶?

 

「ちょっと、どういう状況よこれは!!?」

 

「え、あ、ドリーマー?なんでここに?しかも爆弾付きで?」

 

「今日はごちそうだからって誘われたのよ!」

 

最前列で呆然としていたFALに小声で問いかける。爆弾に関しては別にいい、別に何かする気はない。

それにこれくらい警戒してくれたほうがこっちも気が楽よ、これってある意味安全証明書だし。

でもよ、なんなのこのゲテモノクッキング!?

 

「その、ね?FNC達が興味本位で指揮官に頼んだら…」

 

「こーなっちゃったと?暇な奴らでゲテモノBBQ?」

 

馬鹿か、バカなのか!?ここの指揮官はまともじゃない上にアホなのか!?

 

「バカやってんじゃないわよ!汚染されるわよ!!」

 

「されねぇよ、ちゃんと食える所を使ってる。ミュータントってのは生活環境の変化に適応するために起こした進化みたいなもんだ。

そりゃコーラップスかなんかでひでぇ変化したら食えたもんじゃねぇけど、こいつらはそうじゃない」

 

ほ、ほー?なんかうんちく垂れ流してるけど、だったら説明してもらおうじゃないのよ!

 

「ならどうして食べられるの?」

 

「こいつらの体は汚染に強い、人間じゃやばい所でも生きていける。肉体が汚染物を摂取しても、すぐに排出したり蓄積しにくくできてんの。

内臓類は食事や呼吸で汚染に直撃するからほとんど駄目だけど、体の筋肉とかは意外ときれいなもんなんだ。

汚染に直接触れる表皮は、生活可能区域の汚染はほぼしみこまないよう変異してる。

種類によっては汚染を毒にして蓄積させるタイプもいるが、昔でいうフグと同じ原理で処理さえ間違えなければうまい肉が取れるのもいるぞ」

 

「そこのカニは汚染水まみれじゃない」

 

「水棲だぞ?それも元は外地のもっとやばい川でも平気で棲んでる奴だ。あの程度の水じゃどうってことねぇさ。

あの外骨格は水の汚染に適応するために分厚くなった面もあるからな、コーラップスだってある程度は弾くし。

もちろん他と比べれば危険性がないとは言わないが、そこは調べて、ちゃんと加熱して食べれば問題ない。

心配なら市販の汚染検査キット使ってみな、ほら、まだ調理前の肉は山ほどある。料理も検査してみろ」

 

「やってやろうじゃないの。だれでもいいから持ってるやつ、もってきなさい!」

 

私は決意した、私がみんなを守るんだ、このバカのゲテモノクッキングからみんなを守るんだ!!

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「こんな、こんなこと…うまい」

 

勝った、いや何に勝ったのかわからんけども。ロスマンの奴、ステーキを食いながらなんとも悔しそうだ。

そのステーキはゲッコーの赤身だ、油は少なめだが肉のうまみと歯ごたえ抜群の部位、うまいんだなこれが。

 

「くっ、なんで汚染反応が出ないのよ…うまい」

 

ちゃんと食える部分を切り取ってるから当然だ、誰が汚染されたのなんか食わせるか。

 

「ここをこうして、割ってみますと?」

 

「うわ、本当にギッシリ詰まってるわね…」

 

「ミレルークは力自慢なので大体筋肉がギッシリなの、当たりはずれがないのが魅力ですね」

 

「へぇ…あ、おいし」

 

416がサラからミレルークの殻の割り方…というか砕き方を教わりながら身を頬張ってニコニコしてる。

最初のころはつっけんどんだったが丸くなったな、良きかな良きかな。

ミレルークの殻は焼けばもろくなるが、割り方を間違えると身に殻が混じって喰いづらい。

サラはそこらへんうまいんだよ、パリパリわってもりもり食ってる。

 

「焼くときは塩加減が大事だよ、少ないと味気ないからね。

焼き加減はミディアムとかレアは基本駄目ね、しっかり焼かないとおなか壊しちゃうから」

 

「うまい…なんで、本当にミュータントなの?」

 

「うむむ、鳥っぽいけどそうじゃない。これがゲッコー、肉汁があふれ出てくる」

 

「これに比べたら合成肉はあれだね、ハムだ。それっぽいハム」

 

「あっはっは!そりゃ合成品と比べちゃだめだよ」

 

SVT-38とG11は市代が焼いたステーキを頬張りながらうんうん唸る、うん、やはり飯は最高だな!

久しぶりに食った、ここじゃだいたい合成品ばかりだからな。うまいけどやっぱ…味気ないんだよな。

こうやって近場で狩ってきたり持ってきた奴をこうして食うのがうまいんだ。

みんな楽しめているようで何よりだ、当直連中にも美奈が配膳に行ってるしもういきわたったころだろう。

 

「ま、悪くなかったか…」

 

小さく日本語で独り言ちる。これでおしまいだ、正規軍も対策に出てきたからもう役目はない。

小物は残っちまうだろうけどそれくらいならこいつ等でも対処できる、これで大手を振って帰れるってもんだ。

ウェンディゴが出てきてるのは気がかりだが、こいつ等ならまともに当たろうとは考えないだろ。

あいつらは火に弱いから、火炎放射器で燃やしてやれば始末できるし。ま、あとはなるようにしかならないな。

 

「指揮官!私を買って!!」

 

「いらんわぁ!」

 

「あぁん♡」

 

抱き着いてきたスペクトラの奴をうまく引っぺがして地面に転がす。酒臭い、相当飲んでたな?ほんと懲りない。

買えないと言ってるだろうが、俺は正規指揮官じゃないっての。グリフィンの社員割り無いんだぞ、フルプライス+経験などオプション込々でどんだけすると思ってんだ。

しかも今回の件であれだ、ここの連中対ミュータント戦にも対応可能っていうデカいオプションついたんだぞ?

事が落ち着きゃ軍なり安全保障局なりにスカウトされてもおかしくない、栄転間違いなしだぞ。

 

「指揮官、苦労してるわね?あの子も頑丈よね」

 

「M2、お前もなんか言ってくれ。身が持たない」

 

「えー?じゃあ私もチームに加えてよ?M3と一緒にさ。役に立つよ?あたしが機銃であっちが操縦、アリでしょ?」

 

「チームに加わりたきゃグリフィンをやめるんだな、ハンターになってこい」

 

とはいえ、グリフィンを辞めたらIOPに送り返される可能性が大。そういう契約だろ、確か。

俺が引き取るとか言わないぞ、帰る前に面倒片付けてきたら乗せてやるがな。転職なら大歓迎だ。

 

「よし、言質取ったわよ?隊長」

 

好きもんめ、79式みたいな目をしやがって。

 

「面倒事引っ張ってくんなよ、きっちりきれいにしてから来い」

 

「し、指揮官、反応違くないですかぁ!連れてってください!買って買って買ってぇぇぇ!!」

 

当り前じゃァ!自分で面倒事片付けて転職しようとしてる奴と人の金で面倒事清算しようとしてる奴が同じなわけねぇだろが!

お前俺が金持ちだと勘違いしてねぇか?俺はあいつらのオーナーじゃねぇの!恋人なの!ついでに言うとあいつら立派に自立してるから。

それに今は無駄遣いなんぞしてる暇なんぞないわ、いろいろ入用になるんだから。主に養育費な!

 

「はいはい、スペクトラ、こっちいらっしゃいな」

 

「むごむごむぐぐぐぅぅぅぅぅ!!!」

 

はいはいいってらっしゃい、あとは任せたぞM2。そこの色ボケにガツンと言ってやってくれ…あー疲れた。

あの子、悪い子じゃないんだけどなんかな…というかいっつもあの格好だけど寒くないのか?

 

「指揮官指揮官!これ外地でいつも食べてるの!?」

 

FNCがカニ飯を頬張りながら興奮気味に聞いてきた、こらこらちゃんと食べてから喋りなさい。

 

「本当のカニってこんなのかな!ごはんにも出汁がしみ込んでて、カニがほろほろで!」

 

「そうだな、毎日ってわけじゃねぇけどこういうもんだな。むしろ合成品のほうが少ないか」

 

向こうはここと違ってそこまで合成食品技術は進んでないしな。こういうのか遺伝子組み換え、あとは促成栽培とかか。

米もハウスの促成栽培式でどんどん作ってるし、外でも作れる陸稲タイプも出来は上々だ。

だが生産量じゃかなわない、味はほどほどだがとにかく合成品は量を作れる。

これで困ってるって何なんだ?うちらの一昔前はゴキブリの足を揚げて食ってる時代もあったってのに。

あ、駄菓子とかは合成品か?…いや、あれはオリジナルがそもそも合成品っぽいから違うか。

ミュータントの飼育に家畜化もしてるし、ミュータント植物の交配もやってる、たまに失敗するけど。

朝霞の商店街が懐かしいなぁ、いろいろ売ったり買ったり、この肉も肉屋に持ち込んだらいい値段するだろうな。…思い出したら帰りたくなってきた。

 

「おぉ!まさか、天然物復活!?」

 

「天然物っちゃ天然か、ね?言っとくが戦前の食い物はほとんどねぇぞ」

 

どっちかっていうとその食事をミュータントとかで再現してるって感じか。

鳥の照り焼きをガーグァで作ったり、カニ飯をミレルークで作ったり、ハンバーガーはバラモンとかだし。

イャンクックの照り焼き丼は格別だったな、あとザザミの姿蒸しもやばかった、あれ反則。

 

「お、お寿司、お寿司あったりしますか!」

 

一〇〇式?寿司ね、大将のところかな。朝霞の由緒正しい寿司屋だ、日本で回らないやつしてた職人の本物。

 

「あるっちゃあるが、加熱処理したやつか漬けが基本だぞ。昔みたいに生で行けるのはほとんどない」

 

生食は危険だからな、どうやっても。だから火を通した奴か、生でも醤油漬けや酢漬けが基本だ。

生で行けるのもあるっちゃあるが、基本店には並ばないな。自分で取ってくれば握ってくれるけど。

 

「漬け!お醤油とかにつけるあれですか!!?おぉ!!」

 

トビウオンとかB2マンタレイの寿司はうまかったな、ミュータントだけど魚だし。

あとはツァーリフィッシュの素焼き、茹でシュリンプ、湯がいたスナザメ…あ、食いたくなってきた。

 

「高いですか」

 

「ほどほど」

 

こっちにもあるっちゃあるけどバカみたいに高い高級料理だものな、本物なんだからしかたないけどくそ高い。

朝霞のは高級ではあるけど庶民でも手が届く、見た目は寿司だがネタは別もんだしそこら辺にいるし。

ネタの持ち込み大歓迎だから案外安くつくことも…あ、そうだ。

 

「一〇〇式、ちょっと待ってろ。あと他に寿司っぽいの喰いたい奴、手をあげろ」

 

うむ、うむ、ほぼ全員かよ。よし、いっちょ見様見真似のカニ寿司やったろうか!

まずは合成米に合成酢をかけて酢飯もどきを作る、そんで海苔、海苔っぽいのは実は内地にあったりする。

培養した海藻もどきから作った食用ペーパー。合成の海苔もどき、日系企業が作ったやつだ。

こいつで、酢飯と、ミレルークの身を巻く。で、しょうゆをつけて食うわけだ。まぁつまり、手巻き寿司ってな。

 

「手巻き寿司ですね!」

 

「知ってたか、その通り。さ、食ってみ?」

 

どうかな?いや、顔見りゃわかるな。すごいうまそうだ、良い顔で食ってやがる。

 

「し、指揮官!私も!」

 

FALか、よーし、じゃぁちょいと趣向を凝らそうか?えっと、手ぬぐい…ないか。

 

「M4!そのバンダナ貸してくれ」

 

首をかしげたが、頭に巻くような手ぶりをすると納得していつも二の腕に巻いてるバンダナを投げてきた。

ちょいとパンクな柄だけどまあいいだろ。こいつをハチマキ風にして、と。

 

「あいよ!カニの手巻き!」

 

本場とはいかないが、お寿司屋さん風にな。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

カニの手巻き美味しい、私は指揮官の手巻き寿司を頬張りながら芝生に座って師匠のほっぺをムニムニしてる。

んひひひ?師匠のほっぺって人間みたい、なんでここまで魔改造できるんだろー?

 

「ししょー、おねがいだからいなくならないでよー」

 

「いたたたた、こらこら飲み過ぎじゃぞ。ひっぱるなひっぱるな」

 

飲み過ぎてない、飲み過ぎてないもん、SOPⅡはまだまだいけるのです!そんなこと言う師匠のほっぺをムニムニしてやるー!

 

「師匠が残るっていうまでムニムニをやめないもんね!」

 

「こにゃこにゃ、みゃめいみゃめい、むきゃきゃきゃきゃ!!?」

 

「お、やっぱけっこー大き目ね」

 

あ、背中から師匠の胸の手が!?AR-15が師匠のおっぱい揉んでる。うわぁ、悪い顔、師匠は恥ずかしそうに胸を押さえて後ずさる。

うん、確かに師匠のおっぱい、ほかの同型機よりちょっと大きめだよね。美奈とかサラほどじゃないけど。

 

「にゃ、にゃにするかぁ!」

 

「いや、やっぱり気になってて…また大きくなったんじゃない?」

 

「そんなことないわい」

 

いやいや、おっきいよ?

 

「愛されてるわねぇ…昨日なんか、お外でだっけ?」

 

え?そういえば昨日歩き方がひょこひょこしてたね、お昼時。あれ、でもその時って確か、あ。

 

「んな!?バカな、裏には誰もいなかったはず!!」

 

師匠それカマだよ!ひっかけ!!師匠と指揮官がいなくなったとき一緒にいたもん!ごはん食べてたもん。

ほら凄い悪い顔してる、AR-15の顔が悪い顔になってるよ!

 

「へー、やっぱりしてたんだ?」

 

「…え、AR―15ぉぉぉぉぉぉぉ!!おまえってやつは、おまえってやつはぁぁぁ!!」

 

あーあ、すっかり乗せられちゃって顔真っ赤。師匠、乙女モードだとこれだもんなぁ。

 

「ふふふっ、随分激しかったみたいじゃない?聞いたわよ、妙にひょこひょこしてて、お腹気にしてたって」

 

「あ、あれは、奏太の奴が気を使うから仕方なく…」

 

「へぇ?仕方なく、全部受け止めてひょこひょこしてたのねぇ?アッツいわねぇ怖いものなしじゃない」

 

「…怖いものなしってわけでもないわい」

 

あーあ、師匠むっつりしてそっぽ向いちゃった。

 

「なら一番怖かったのって?」

 

「奏太がとられそうになったときじゃ」

 

盗られそうになった?あの指揮官が?思いもよらない言葉に目を見開く。AR-15もきょとんとしてる、あれ、なんか地雷ふんじゃったかな?

 

「どうせ馴れ初め聞きたかったんじゃろ?少し話してやる。奏太はな、いろいろあってしばらく女とは疎遠じゃった時があるのよ。

仕事で組むこと、交友はあっても手出しはせんかった。わしらとも一緒じゃな、長く旅をしておったが体の付き合いは全くなかった。

こういうのはここ最近、互いに付き合い始めてからじゃよ」

 

「へぇ、今の指揮官からは考えられないな」

 

指揮官と言えば、師匠達4人を尻に敷いたり敷かれたりしている愉快な男って感じだもん。M4も指揮官大好きで、結構想ってる子多いし。

でも師匠たちとは当然ながらそういう関係でもあるわけで、やることはやりまくってる。それはこの基地のだれもが知ってる。

事故がないわけじゃないけど節度自体は守ってるからそれほど文句は出てない。

今回だって結局誰も見てないもんね、してたなって、あとからわかるだけ。

 

「そういう時代もあったんじゃよ、だからなおさら目立ったのじゃ。奴の体から女の香りがした、それだけでとんでもない事よ。そんなこと今まで一度もなかった」

 

「つまり少し治ったか受け入れたかってところか、よかったわね」

 

「良いものか、あの時の匂いは人間の匂いじゃ。それも昔なじみの女の匂いじゃった、頭を殴られた気分じゃったよ」

 

師匠は一口、水を飲んでから吐き捨てるように言った。珍し、相当気に食わなかったみたい。

 

「わしらはその時、まーあれじゃ、互いに悩んどった。市代も、サラも、美奈もみんな好きなのに、奏太を取り合いになりそうでな。

だがその日、あいつが仕事の誘いに来た。その時に香ったんじゃよ、そういう女と男の匂いじゃ。

しかもあいつ、いつもよりも明るくて、吹っ切れたみたいに笑ったんじゃ。あれが怖かった、知らないあいつがいた」

 

その香りが、指揮官の昔馴染みの人のだった、と。そりゃきつい、もう手遅れかもって思うよね。

 

「その日の夜、わしは夢を見た。奏太の家にな、なぜか美空が居った。仕事仲間の、あやつの昔馴染みよ。

わしはそれを庭から見とるんじゃ、美空のおなかが大きくて、奏太が、それを幸せそうに撫でて…!」

 

語尾が上がり、表情に悔しさと悲しさが滲む。こんな顔の師匠見たことがない。

 

「そこで飛び起きたわ、わっぱの様に泣きじゃくりながらな。今思い出しただけでもおぞけが走る、美空は良いやつじゃが、それだけは、許せんかった。

わしらはようやく自分の気持ちに気付いたんじゃ。みんなが好き、奏太も含めてな。別に取り合う必要なかったんじゃよ」

 

つまり、そこでみんなで告白したのか。思い切りのいい。そう考えていると、師匠は頬を染めてにやけながら答えた。

 

「だから、みんなで手籠めにしてやったのじゃ♡」

 

空気が凍った、柄にもなく自分の顔が能面みたいになっていると思った。

AR―15はなぜかワクワクしているのか唇が上向きに反りあがる。

この脳みそピンクはいま何と言った?彼氏に告白したのではなく、彼氏を手籠めにしたと?順序逆じゃないか?

 

「…は?」

 

「あいつは一途でな、こうでもしないと絶対にしり込みするし、変に悩み始めるからな。だから悩む必要なんぞないと、な。

奴の家に4人で押しかけて酒に誘ったんじゃ、それのつまみに一服盛ってな。そんで三日三晩、4人で愛を囁いたのじゃ」

 

え?なに?指揮官って師匠たちにそういうことされたの?え、マジ?

 

「今でも思い出すと…ふふふっ」

 

師匠の表情は完全な女の表情で内股もじもじさせている、指揮官達のことだと大体そう。

師匠、それは俗にいう逆レイプですよね、のどまで出かかった言葉を飲み込んで喉を鳴らす。

 

「押し倒して、興奮させて、腰を落とせばもうわしらのモノよ。最後はあやつも…すごかったのじゃ♡」

 

指揮官、大変だったんだね。突撃してくるスペクトラをいなす指揮官を見ながら両手を合わせた。

 

「奏太、注文いい?」

 

「おん?市代が最後か、へいらっしゃい」

 

「奏太が食べたいな」

 

「は?」

 

次の瞬間、指揮官にツインテールの蛇が巻き付いて唇を奪った。いやマジでそう見えたよ、イチヨが指揮官に絡みついて、うわぁ…なむなむ。

 

「あらあら、ラブラブね」

 

「なぬ、市代め。羨ましいことを、さては酒が入ったな?」

 

たぶん師匠とおんなじこと思ってるよね、M4とかFALとか。9A91は今ものすごい勢いでお酒カパカパ開けてるし。

M4とFALは羨ましそう、偶然一緒にいた一〇〇式が困っておろおろしてる、どんまい!

それにしてもイチヨ、お酒入ると大胆になるね。おぉ、思いっきり舌突っ込んでる。指揮官ワタワタしてるよ。

 

「行かないの?」

 

「こにゃちゅがはにゃしてくれにゃいわぁい」

 

師匠はここ、私が抱いてる。ちっちゃい師匠はこうするとぴったりはまって心地いいんだよね。離すもんか、ほっぺムニムニしてやる。

ムニムニムニムニ、あ、何か聞こえる。ジェットエンジンの音?正規軍の爆撃機?

上を見上げる、うわ、正規軍の爆撃機部隊。一直線に鉄血領域に向けて飛んでいく。

 

「おにゃまぁ、ちゅいにやりゅきじゃぁ。こりぇでひとぉだんりゃくじゃなぁ」

 

「正規軍も本気ね、私たちまで爆撃されないかしら?」

 

「そりゃないじゃりょう…いいかげんにせい」

 

むぅ、師匠に手が払われた。師匠のほっぺは柔らかでいつまでもムニムニしてられるのに。

今頃鉄血の方は地獄だろうな、ここもいつまで持つかわかんないけどさ。弾が無限にあるわけじゃないし。

さて、私も飲むぞ、どんどん飲むぞー!どうなるかなんて考えても無駄、明日は明日の風が吹く、ってねー!

 





あとがき
うちのナガンおばあちゃんは乙女、はいバカ大根です。今回はお食事会、前回の少し後。
ドリーマー改め、夢子・ロスマンが再登場、16LAB所属のU05メンバーとしてちょこちょこ出てくる予定。





ミニ解説

夢子・ロスマン(ドリーマー・ロストナンバー)
U05基地での療養のち、IOP・16LABにて鉄血技術の解析や研究に協力する個体となる。
ペルシカ博士直轄の人形として登録されており、現在はSPAR小隊とともにU05基地に派遣されている。
武装は取り外され、戦闘プログラムにプロテクトをかけられている。
名前は臨時指揮官、笹木奏太が考えたもの。

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