時系列的には本編の物資補給が終わって少しのあたりの未来、つまりこいつらほぼ完全体である。
突貫制作なので許して…
パーティークラッカーは鳴った、作戦開始と同時にU05部隊も行動を開始した。
夜の闇に染まった森林の中に車のヘッドライトが次々と煌めき、S11基地へとつながる主要道路に乗り出していく。
多少硬いミュータントを弾き飛ばしてもびくともしない程度に軽装甲を施されたハンヴィー5台、同じく装甲化されたトラック7台。
合計12台からなる武装車列、外部本隊車列、U05部隊の突撃隊だ。
車列はバッテリー駆動故に静かながら、速度を上げて道路を驀進し、基地の正面ゲートを無理やり破壊して基地内に乗り込んだ。
「こちらU05車両本隊、基地内に突入。これより作戦行動に移る。以後、部隊コードの使用をお願いします」
指揮官排除のための突入部隊が『アルファ』『ブラボー』外周制圧部隊が『チャーリー』『デルタ』航空支援『エコー』『鳳1』『鳳2』
情報統括および指揮補助が『フォックストロット』後方・補給支援隊として『LZ』となっている。
≪了解しました、お願いします。≫
「了解、チャーリーチーム、アウト」
S10基地のシーナとの通信を終えると同時に、上空を見慣れたV-22オスプレイがコンテナを吊るした状態でフライパスする。
≪鳳1より地上部隊へ、これより偵察を開始します≫
≪鳳2、同じく偵察開始します≫
メイド隊のパイロットが操るオスプレイは、大仰に音を立てながら基地上空を旋回して最新の肉眼情報を上げていく。
「彼女たちは優秀です、問題ありません」
「知ってるわ、でもこんな大作戦じゃ不安になるの」
運転席でハンドルを握るメイド長のケイトの言葉にSVT-38はハンヴィーの機銃座に取り付けられた重機関散弾銃『アブザッツ』のスライドを操作する。
そしてすぐさま銃口を建物の中から現れた悪魔に向ける、赤い瞳で死神のような鎌を持った猫背のミイラだ。
悪魔というより死神だな、SVT-38はそんなことを考えながら引き金を引いてスラグ弾を連射した。
誰も何も言わない、だがこれが始まりだ。ハンヴィーやトラックの窓が開き、乗り込む全員の銃口が周囲を睨む。
他の車両にはDShK38重機関銃も搭載されているが、基地内での近距離戦を考え車載されているいくつかはこのアブザッツだ。
「ここが私たちのモガディッシュにならなければいいな」
車の中から伸びた銃口から次々と撃ち出される銃弾に体を抉られ、砂になっていく悪魔たち。
派手に銃火を撃ち鳴らしながら基地内に突入した車列は予定の道を進んでいく。
≪Killter Ichaival tlon≫
少し鬱になっていたときに広域通信に載って聞こえてきたきれいな声、S09基地から派遣されたノアという少女の声だ。
次いでS09Pのオスプレイ『ヒポグリフ』から飛び出した人影が翼を展開して宙を舞い、両手に握った20ミリバルカン砲を構えて撃ちまくり始めた。
それだけではない、周辺から砲声が鳴り響き基地に着弾、正確に悪魔たちを消滅させていく。
そのすがすがしさに気分は少し晴れ…る前に霧散した、何が起きた?
≪あの子はサリエルかなんかですか!?というかこの砲撃は!?≫
≪リホからだ。エコー!事前に言っておいたが変な要塞は撃つなよ!≫
≪あの女社長!!?≫
ワルサーP38の驚きの声が無線機から漏れる。どうやら上空からの偵察映像を見ていたらしい。さらに状況は動く。
≪はぁ!?モハビ・エクスプレス!?なんで!!?≫
≪セキュリトロン!!?え?え?なんで?≫
≪わ、訳が分からんのじゃァ!!≫
M14とコルトM1911、ナガンM1895の困惑した声、車列と少しだけ並走した一輪駆動式の変なロボットを見て目を白黒させる。
笹木一家の話に時たま出ていたアメリカ製のロボット、セキュリトロンだ。
騒がしいが外はもっと騒がしい、かく言うこの大騒ぎの最中もほぼ全員が銃口を外に向けて悪魔たちを撃ちまくりながら進んでいる。
SVT-38もアブザッツの弾倉を新しいものに取り換えて、一発弾と散弾を片っ端から悪魔たちにお見舞いしていく。
最初の弾倉とは違い、今使っているのはスラグ弾とバックショットが交互に入っていて威力と面制圧力をほどほどに両立させているのだ。
多少照準がすれていても散弾が悪魔の体を抉り、爆弾持ちを寄せ付けない。硬い悪魔もスラグの貫通力で強引にあの世へ送る。
「アルファ、ブラボー、準備を。周辺警戒を」
カレンの一言にさっきまで騒いでいた面々が一瞬で黙る、仕事の時間という事だ。
後ろを見ると軽装甲ハンヴィーから身を乗り出して縁に捕まってしがみついている部隊がいる。指揮官排除に向かうアルファチーム『笹木一家』だ。
タクティカルサバイバルスーツを着込み、ヘルメットに暗視ゴーグルを装着してバックパックを背負ったフル装備で見た目はほぼ特殊部隊のそれである。
ナガンM1895はガリルARを背負って双剣を携え、P38は日本刀、M1911はバトルハンマーを持っているのがそれでも様になっていた。
M14と奏太は、見た目はライフルとバックアップのリボルバーなのであまり目立たない。
「アルファ、準備良し」
「3、2、1…」
カレンが無言で車列の速度を少し落とす、同時に笹木一家は車から飛び降りた。
そのままぐるりと前転で衝撃を殺すと立ち上がり、流れるような動作で暗視ゴーグルを作動させ次々と基地の闇の中へ消えていく。
次いで身を乗り出したのはブラボーチーム『SPAR小隊』だ。彼女達もまたカレンの合図を待ち、無言の速度低下と同時に飛び降りる。
リーダーのM16A1を最初に、M4A1、AR15、M4SOPMOD2、HK416が淀みなく降りて建物内に乗り込んでいった。
「両隊の突入を確認、これより目標地点に急行します」
「あぁ、任せる…と言いたいが、まずいな。エコー、援護してくれ」
視線を車両の進行方向に向けるとSTV―38は苦笑いしてしまった。
車両隊をふさぐように、遠くのほうに悪魔の軍勢が見えていた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「見えてるよ、これから始める」
S11地区、S11後方支援基地上空、高度1200メートル。
G11が乗り込む濃緑色の葉巻のような機体を持つ中型双発機『一式陸攻』は飛んでいた。
眼下で行われる常識外れな戦闘と、常識外れな敵を相手に奮戦する味方や仲間たちを偵察スコープ越しに見ていたG11は小さく息を吸って気持ちを落ちつける。
「始めるよ」
「了解」
機長を務めるメイド隊のパイロット、ミルヤはゆっくりと、丁寧に操縦桿を倒して機体を傾け始めた。
機体が振動し、50度ほど機体を傾けて左横っ腹から突き出た長い銃身を地上に向け、速度を落とし、機体を安定させる。
いい腕だ、M3の代わりをするだけある。偵察スコープをしまい、機銃座に取り付けられた光学式長距離スコープを覗きこむ。
視界は良好、角度良し、スコープを覗きこんだまま首筋の外部接続部分に身代わり防壁を入れたアダプター付きケーブルをつなぐ。
電脳に衝撃を感じると同時に、脳裏に接続確認の文字が浮かび、G11は迷わずYESを選んだ。
「戦術データリンク、接続。S09P地区との連動、確認。基地上空計測、確認…システム、オールグリーン。エコーからフォックストロット、お願い」
≪フォックストロットからエコー、データリンク確認。ナデシコの情報を送る、目を回さないでね≫
銃火で煌めく視界に次々と敵味方識別表示が煌めき、一瞬目がくらみそうになるのをG11は覚えた。
仮説司令部でU05のドリーマー『夢子・ロスマン』が監督するU05仮設指揮所を経由して送られてくる情報量は、普段の物とはケタ違いに多くて正確だ。
S11基地の風速、この空からの風速も計測され、敵の総数も数えている。贅沢な戦場だ、情報量、支援、何もかもが正確で精密だ。
今頃は基地で指揮の補助を担当しているフランも目を真ん丸にしているに違いない。
恵まれているな全く、照準を眼下の外周本隊車列前に展開する鎌を持った悪魔たちに向けながらG11は胸の内に沸いた皮肉に思わず笑みが浮かんだ。
「イングラム、スコーピオン、ミルヤ、準備は?」
「イングラム、OK。爆撃しちゃえば楽なのに…」
「ぶーたれないの、これも練習。スコーピオン、こっちもOK、撃ちまくれ!」
「ミルヤ、承知しました。G11様、ご存分に」
喰らえ化け物、G11は苛立ちを銃弾に乗せるつもりで引き金を引く。いつものアサルトライフルとは違う重い銃声が3連。
自分が操る狙撃用に長銃身カスタムがされた20ミリ狙撃機銃から放たれた、20ミリ炸裂弾はぶれることなく鎌を振り上げる悪魔に頭上から降り注ぎほぼ一撃で砂に変える。
高度1200メートルから地球の引力による加速も含めた炸裂弾だ、着弾による衝撃は並大抵の装甲では防げない。
照準を変え、再び射撃。さらに射撃と続けると、あっという間に悪魔たちは数を減らしていった。
敵はどうやらはるか上から撃たれているという認識がないらしい、右往左往してから車列隊に突っ込もうとして次々と撃たれていた。
≪ナイスショット、このまま頼む≫
「了解、いつでも言って。それまでは勝手に撃つから、ほかの部隊にもそういっといて」
基地の物陰に隠れている悪魔たちを手当たり次第に撃ち、本隊車列の進路を確保する。
車列は最初の妨害で止まりこそしたが、その後は周囲で暴れる他の隊やS10基地隊のおかげでひどい妨害はされなかった。
おそらく乗り込んでいったギルヴァやブレイク達のほうが優先度は高いのだろう。その周囲に敵の反応が多い。
派手に車列を組んで突入したのだが、外周本隊の作戦は思いのほか順調だ。
≪こちらアルファチーム、敵が多い。増やしている奴がいるんだが撃てないところにいる、援護してくれ≫
「了解」
アルファチーム、笹木奏太からの支援要請にG11は照準をアルファチームの方へ照準を向ける。
どうやら中庭らしい開けたところで敵の集団と鉢合わせしたようだ、ちょうどP38が鎌の一撃を躱し対化け物用九五式軍刀で悪魔を切り裂いている。
ナガンM1895も双剣と振るい、M14が撃ち殺し、コルトM1911のハンマーが悪魔を真上に殴り飛ばす。
消えつつある大鎌の悪魔の死体も見えるので見た限りでは殺しまくっているようにみえるが、確かに殺したそばから増えているのも見えた。
ちょうど施設の屋根上、笹木一家の見えない位置に陣取って鎌持ちの悪魔や爆弾を持った悪魔を召喚している棺桶持ちの悪魔を見つけた。
四方に四人、次々と悪魔を召喚して笹木一家を足止めしている。即座に照準、発砲して棺桶持ちの悪魔を排除。
2体目に照準、発砲して排除。上から撃たれているのに気づいた二体が逃走を図る、一体は排除。
≪助かった、前進する≫
残り一体は、哀れにも先回りした笹木奏太の目の前に降りてしまった。マチェットで首を貫かれ、至近距離からガリルARで急所を撃ち抜かれて砂となり消えていく。
数が増えなくなり、召喚主が消えた悪魔たちは次々と狩られ、笹木一家は再び建物の中に消えた。
もう安心だろう、とG11が照準を外して新たな目標を探し始めたとき、なぜか広域通信が入った。
≪悪いが地獄は満員だ、お帰り願おう≫
奏太のつぶやきととどめの銃音で広域通信が切れた、どうやら偶然か笹木一家の誰かが悪ふざけしたらしい。
「G11、再装填するからちょっと待って」
ちょうど銃弾が切れた、スコーピオンが新しいベルトリンクを20ミリ狙撃機銃に装填する。
≪こ、こちら鳳1!!対空砲火を視認、対空砲火を視認!!支援してください!!≫
上ずった鳳1の言葉にG11はスコープの倍率を変え、一度基地全体を見渡した。
コンテナを吊り下げたU05のオスプレイ、鳳1が地上から撃ち出される対空砲火らしい奇妙な光弾に見舞われている。
囮として大きなコンテナを吊り下げたまま偵察飛行していた鳳たちはさぞ狙いやすい目標だろう。
その発射地点を見据える、前情報にはない敵だがG11は無線を入れた。
「エコーから各隊へ、敵に対空火器…もとい対空術式を確認、注意して」
U05全部隊からの了解の声が帰ってくる、同時に鳳1を狙うその悪魔を撃ち殺した。
「イングラム、下の様子は?」
「データにないのがいる。本庁テラス、倉庫屋上に対空術式視認…あ、戦術データリンクに上がってない、見えてないのもあるわね」
相手が悪魔なのだからデータ不足なのだろう。
「了解、排除する。イングラム、目視データを上げまくって」
「もうしてる。射角外にも対空術式、狙われると面倒ね。アルファ、ブラボー、そちらで近い奴を排除してください。目標をマークしました」
イングラムの要請に奏太とM16が肯定を返す。
≪デルタからエコーへ、目標地点の様子はどう?≫
「変化なし、というかほぼがら空き」
≪わぉ…じゃぁ、行くわよ!!≫
GOGOGO!!MG34の合図と同時に外周本隊車列は加速、進路上の悪魔をひき潰しながら地上へリポート内に侵入した。
U05外部本隊の車列はヘリポート内の悪魔を撃ち殺し地上へリポートを制圧、次いでその周囲に車を配置して防衛線とする。
ハンヴィーから外部本隊のSVT38、MG34達が次々と飛び降りて撃ち漏らしを制圧し、ヘリポート内の安全を確保する。
チャーリーチームのSVT38、ステンMk2、FN FNC、9A91が倉庫方面に展開し、メイド隊を援護しつつ制圧作戦を展開。
デルタチームのMG34、ゲパードM1、スペクトラM4、IDWは突出し、派手に動いて囮をしながら片っ端から悪魔を殺していく。
ダミーや後方支援に脱出経路や補給線を任せて少数での作戦行動、いつものやり方だ。
周囲の悪魔が外周本隊に気付いて集まり始めているが、その速度はかつて相手にしていた鉄血の進行速度よりは遅い。
≪鳳1、コンテナ投下!≫
≪鳳2、同じく投下!≫
上空をフライパスしたオスプレイ二機から、散々光弾で狙われて焦げ付いたコンテナが落とされる。
何も知らない者から見れば重荷か盾の投棄だ、その中身に入っているものを知らなければ。
コンテナは軽い炸裂音を立てて空中分解、内部に格納されていた即席陣地用の資材を抱えた作業用マンティコアが四つ足を広げて着地した。
作業用マンティコアは作業用アームを唸らせ、背中の資材を一部だけ下ろすとすぐさまヘリポート周辺に防弾壁を田植えのごとく立てていく。
歪曲した凹時の防弾壁にダミー人形たちが配置され、彼女たちの射撃支援で悪魔たちを退けながらヘリポートの周辺を固めていく。
さらにある程度周辺を確保したところで鳳1と鳳2が降下、抱えていた補給物資と装備をすべて吐き出して再び上空へ発った。
U05部隊や、参加している部隊へ補給する武器弾薬などの物資だ。ありふれた物から変わり種までそろえている。
ここまではうまくいっている、そう思っているとイングラムの慌てた声が聞こえた。
「G11!あれを見て!!」
イングラムが示した先、と一人の戦術人形が錯乱して仲間たちに取り押さえられていた。大剣を持った男性もいる。
「デビルメイクライのブレイクとS09Pのヤークトフント?倒れてるのはUSPコンパクトじゃん…何やってんの?」
「わからない、無線を聞いたけどトラブったみたい。急に喚きだしたとか」
彼女は仮設司令部で人がいる前でいきなり薬を使ったらしいちょっと訳ありの人形だ。
現場に居合わせたMG34曰く、上官である向こうのナガンM1895の説明では持病の薬とのことだ。
G11はヤークトフントの口と意識もうろうとしたUSPコンパクトの口の動きを見て、やり取りがなんとなくだが察しがついた。
USPコンパクトのうわ言、声にも出てないかもしれないそれは『食べないで』『殺さないで』と繰り返していた。
彼女は親しい誰かを『食われた』ようだ。最近のU地区ではあまり珍しくはない、ミュータントの攻勢に耐えきれず基地を失った者はそれが原因で再起不能になってしまうことが多いのだ。
彼女もミュータントあるいはE.L.I.Dによって親しい誰かを失ったのだろう。
「PTSD…鬼だね」
彼女を送り込んだ指揮官は知っていたはずだ、そのうえでこの戦場に送り込んだのだから確信犯に違いない。
悪魔も見た目からすれば、知らない者からすればミュータントかE.L.I.Dだ。
その姿を見て連想しないはずがない、自分も話は聞いているがミュータントくらいにしか思っていない。
普段から薬を常用しているなら症状はとても重いはず、こんなところに送り込めば悪化するのは目に見えている。
「まずい、集まってきてるわ。イチイバルが来たけど…」
基地内で暴れていたS09Pのイチイバルが異常を聞きつけてヤークトフントたちの前に降り立った。
あの火力と機動性ならば悪魔をものともせずに味方を助けられるかもしれない。だが確実性はあったほうがいいだろう。
さすがに友軍の危機を見捨てるなんてことはできない。イライラするが、まだ想像の話なのだ。
G11は撤退支援に入ろうとしているイチイバル、ノアの姿を見ながら通信を入れた。
「U05のエコーからイチイバルおよびシュヴァルベへ、返答はいらないから聞いておいて。
うちのがもうすぐランディングゾーンを確保する、援護するからヘリポートに向かって、そこなら安全に着陸できるから」
ノアが何か言いかけていたが無視し、通信を切る。もしここで彼女たちの指揮官が出てくれば、きっと皮肉で答えてしまうだろう。
それはいけない、これはまだ心にしまっておこう。そうだ、指揮官に相談してみようか。
そうしよう、小さくぼやきながらヤークトフントの進路上の悪魔を狙撃して掃除しつつブラボーに無線を繋ぐ。
「エコーからブラボーへ、ヤークトがLZに向かうから少し手伝って。進路が近い」
≪了解、損害は?≫
「…負傷者1、重度の錯乱を視認、たぶんPTSD。悪魔の格好の的かもね」
≪了解…鬼か?≫
「鬼だね」
はっはっは!と冗談っぽく笑い飛ばしてM16A1は通信を切る。分かってるんだな、自分が彼女たちにイラついてるのが。G11は抑えきれない自分の未熟さに反省する。
「G11、言いたかないけど変に拗らせないでよ?」
「…わかってる。エコーからLZ、そっちに最初のお客が行く。ヤークトとイチイバル、それからヘリ、お迎えよろしく」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「了解!聞きましたか、お迎えの準備を急ぎなさい!!」
『承知しました、メイド長!』
鍛え抜かれたメイド節がメイド隊からこだまする、その歴戦の姿にメイド長、ケイトは心が躍る。だが顔には出さない、今は厳しいメイド長として監督する。
U05基地での仕事は危険な仕事だ、戦場に立ったことは一度や二度ではない。この程度は慣れっこだ。
ランディングゾーンは確保した、防衛線の外は地獄絵図だがこのヘリポートは安全だ。
「銃座急げ!悪魔どもが来るぞ!!」
「薬はあっちだ、ヤークトが来る!緑のヤツも用意しろ!!そっちの除染剤も忘れるな!!」
「チャーリーが戻ってきます、イングラムダミー3は誤射に注意してください!!」
「上空にS09Pのシュヴァルベです!誘導急げ!!」
「FNCダミー2が弾切れよ!GOGOGO!!」
物資の箱を展開し、補給や撤退してきた部隊を介抱するヴィクトリアスタイルのメイド服を着込んだメイド隊は未だに意気軒高だ。
ダミーたちも損傷はなく、火力で悪魔たちを寄せ付けないようにして防衛線を守り続けている。
ケイト自身もキメラ製光学式サブマシンガン『ブルズアイ』を握り、近寄ってくる鎌を持った悪魔に応戦しながらLZを走り回る。
ここのトップとはいえただ指示をするだけではない、考えながら体を動かし、やるべきところで自分のやるべきことをする。
自慢の黒髪のストレートをたなびかせ、左目下のほくろに引っかかる汗をぬぐいながら檄を飛ばして戦い続ける。
「うわぁ!」
「ホリー!?」
防衛線で補給作業に当たっていたメイド隊の一人が悲鳴を上げて、仰向けに転がる。運がなかった、即席陣地の壁が悪魔の自爆で壊れたのだ。
バディを務めていたメイドが装備していたキメラ製特殊アサルトライフル『オーガー』でハニカム模様の黄色いシールド張りつつそのメイドを回収する。
防衛線の即席陣地に居たダミー隊は全滅、しかし陣地が壊れたことで敵を打ちやすくなった。ケイトは即座に悪魔たちをけん制しつつメイドに叫ぶ。
「シールドを張り続けなさい!!」
「援護するぞ!!」
補給に戻ってきたSVT-38が援護に加わり、即席陣地を乗り越えようとする黒いローブの悪魔をハチの巣にする。
その横をすり抜けて一体が陣地内に乗り込んだ、赤いローブの素早い悪魔だ。素早く回避行動しながら迫る悪魔で、照準が間に合わない。
ケイトはとっさにその体にブルズアイのタグを撃ち込み、引き金を引いて赤い小粒の誘導弾を浴びせかけて倒す。
なんとかホリーと呼ばれたメイドを担ぎ上げたメイドが安全域に逃げ込む。その向こう側、壊れた陣地の奥に見える建物からこちらを見据える棺桶の悪魔がどこか悩ましげに見えた。
ケイトはSVT-38に目配せすると、彼女はニヒルに笑って銃を構える。棺桶持ちの悪魔は逃げない、見えてないのか、それとも覚悟を持っているか。
「大変恐縮ですが、どうかお引き取りくださいませ」
ケイトはかつて栄華を誇った現基地のリゾートホテルで仕込まれた完璧なカーテシーで一礼し、SVT-38に撃ち抜かれた悪魔を見送った。
あとがき
何とか書き上げたぜ畜生…ふふふ、正直作戦に寄与してるかもわからんね。
とりあえず補給及び撤退経路確保はしましたのでお気軽にどうぞ、いろんなのあるよ!うちの連中も好きなように。
焔薙様、ここで今回での扱いを謝罪させていただきます…すいませんでした(崩壊液土下座)
ユノちゃんたちは良い子だよ!うちの子たちが何も知らないだけだよ!うちが悪いんです、許してください!!
…だってそもそもグリフィンへの好感度低いんだもんこいつら(つまり作者のせい)