U05基地の化け物ハンター   作:イナダ大根

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引き続きコラボ回、と言ってもうちの方の一場面的なもんですが。
今回はWarboss様作『Fall out girl』の運び屋さんにも少し触れてます、妄想爆発ですけどねw



コラボ番外編2・Operation End of Nightmare 2

進むたびに嫌な空気が濃くなっていく、圏外のように空気が有害なわけではないのに息苦しさを感じるそれにナガンM1895は幾分か辟易していた。

照明が落とされた廊下は暗所が多いが、U05アルファチームの笹木一家は自前の暗視ゴーグルを使って警戒しながらずんずんと進んでいた。

 

「ここか、開けるぞ」

 

目的の場所についた奏太はそれだけ言うとガリルARを肩につるして、ドアのカードリーダーの外枠すれすれにサバイバルナイフを突き立てる。

外で派手に撃ち合っている以上、隠密性を考える必要はなく爆弾で吹き飛ばすほうが早いのは確かだ。

しかし持ち込める爆弾の数には限りがあるし、簡単に開けられるドアをわざわざ吹き飛ばす必要もない。

奏太は音が極力出ないように素早く削るようにして抉り取り、カードリーダーを取り外すと中の配線を露出させた。

そして配線に手を突っ込み、いくつか切断して配線しなおしてから万能充電器のコードを接続してハンドルをキコキコと握る。

想定外の電流と再配線により回線内でショートが発生し、火花が散ると同時にドアが開いた。

ドアを開いた奏太がM29マグナムリボルバーを素早く抜いてドアの向こうに構え、カッティングパイでクリアリングする。

 

「クリア、行こう」

 

M29をホルスターに納め、ガリルARを再び構えて前進する。何も言わずに先頭に立って引っ張っていく姿は逞しくも少し心配になる。

自分の旦那の強さはナガンM1895もよく理解しているし、そう簡単にやられないしやらせないが割り切ることもできない問題だ。

 

「さすがに長物を振り回す、自爆する、棺桶背負ってるじゃ廊下は戦いにくいってか?」

 

廊下を抜けた休憩スペースに出ると鎌を構えた悪魔が3体待ち伏せていた。この程度ならば数の優位もあって苦労はしない。

問題はこの悪魔たちはどこからともなく増援が出てくることだ、棺桶の悪魔がいればその苦労は倍になる。

 

「まったく、こういうやつとはやりあいたくないんじゃが!」

 

「仕方ないでしょう!そういう依頼です!!」

 

悪魔という存在はいるだけで危険だ、わかるものにはわかる気配というかオーラというものを常に発している。

不の感情の塊というべきそれは、人類生存可能圏外で見られるたまり場のそれに比べれば希薄だが気持ちの悪い物には違いない。

もし感覚のチャンネルといえるものが合えば惹かれてしまい、飲まれてしまう。そんな類のものだ。

ずっとそんな奴を相手にしていると気が狂う、そうでなくても感覚が常人と離れすぎて色々見えちゃいけないものが見えすぎることになる。

脳裏に浮かぶ武装したヒッピーのような格好の中年を思い浮かべてしまい、自分はああはなりたくないと心から思った。

 

「よそ見してんな!!」

 

「おっとすまぬ」

 

奏太の警告で我に返ったナガンM1895は悪魔の鎌をスライディングするようにして避ける、やはり悪い空気のせいで集中が途切れてしまう。

いけないけない、ガスマスクつけときゃ良かったか?鎌の悪魔の腕を切り落とし、首を斬り飛ばしながら自戒した。

 

「ダーリン!またあいつ!!」

 

「うわ、あのデカブツまだいるのか…」

 

悪魔たちを斬り払い、廊下の先にあるドアを抜けて階段の踊り場に出るとそこには多く見かける鎌を持った悪魔の上位種の姿があった。

大鎌を持った大柄で逞しい体つきをしており、戦闘能力も高い。すでにこちらは補足されているようで、大鎌の悪魔は獲物を構え威嚇するように唸った。

悪魔特有の気配またはオーラというものか、その唸り声に背筋が凍るような悪寒を覚える。

敵は目の前だが、狭い踊り場とはいえ互いの位置は踊り場の端と端で距離は少しある。周囲は暗く、影も多い。

 

(儂は足じゃな)

 

踊りの影、広さ、配置を即座に頭に叩き込みナガンM1895は、対化け物用九五式軍刀を納刀したP38とアイコンタクトしてからそれぞれ踊り場の暗所に身を寄せる。

銃声が響く、奏太とM14が悪魔に向けて引き金を引いたのだ。さらにそれを援護にしてM1911がハンマーを抱えて突貫する。

5.56ミリと7.62ミリの銃弾は悪魔の体にめり込み、抉って砂を散らすが致命傷には至らない。

奏太とM14の銃撃を受けて悪魔の視線が二人に向き、顔に向けられる銃口に気付いて鎌の柄を上げて銃撃を防ぐ。

その隙にナガンM1895は影を走り抜け、姿勢を低くして悪魔に向けて飛びかかった。

まともには打ち合わない、狙うは悪魔の両足。得意の二刀流で、小柄な体躯を生かして股下を潜り抜けるようにして切り裂く。

次いで別の暗がりから飛び出したP38が詰め寄ってからの一閃、居合による切り上げで悪魔の右腕を切り裂き、保持する力が弱まったところで大鎌を上に蹴り上げる。

P38の蹴りで大鎌は蹴り上げられ、力の入らない悪魔の腕は万歳のように姿勢になった。

 

「おぉぉぉぉりゃぁぁぁ!!」

 

大きく開いた悪魔の胸元、そこにハンマーを抱えたまま最高速度になったM1911のショルダータックルが叩き込まれた。

両足を斬られ、武器をはね上げられてバランスを失った悪魔の体は床に仰向けに叩きつけられる。

咄嗟に受け身を取って起き上がろうとする当たり上位種と言える、だがもうすでに勝負はついている。

起き上がりかけた悪魔の顔面を、ナガンM1895の魔改造リボルバーとP38の拳銃が口を開けていた。

至近距離から撃ち込まれた44口径マグナム弾と9ミリパラベラム弾が悪魔の体を再び地面に縛り付ける。

それでも悪魔はまだ死なないが、二人の銃の弾が切れる事には3人が追撃の用意を終えていた。

その脳天にM1911のハンマーが振り下ろされ、さらに二人と入れ替わった奏太とM14の5.56ミリと7.62ミリも至近距離から撃ち込まれる。

 

(頑丈じゃのぅ…)

 

撃たれたそばから回復していた悪魔はようやく息絶え体を砂に変えていく。その頑丈さにナガンM1895は驚きを通り越して感心した。

頑丈な敵ならばいつものことだが、この悪魔は情報が少なく急所の場所も明確ではない。

急所を撃ち抜くという戦いができないため、文字通り死ぬまで撃つしかない。

この世の生物ではないのだから常識では推し量れないのは分かっていたが、上位種となれば回復力と頑丈さが厄介なくらい強い。

これで大物を殺したのは2体目、強いならばまともに戦わせない形で殺してはいるがきつい状況だ。

 

「だいぶ撃ったな、普段なら大赤字確定じゃ。仕事にならん」

 

弾薬費や装備代はグリフィン持ちとはいえ、普段の感覚からすればとても心臓に悪い。

ナガンM1895は魔改造リボルバーに44口径マグナム弾を補充しながらぼやく。残弾はたっぷりあるが、それは補給をしたからだ。

補給のあてがない普段の仕事や探索であればとっくに立ち枯れしているくらい今回は撃ちまくっている。弾薬はタダではない、装備の修理や武器の補修も金がかかるのだ。

 

「こんな無茶してるんだ、それくらい持ってくれなきゃ割に合わねぇよ」

 

「そうだよ。それに書類仕事と比べたらこっちがマシだしね」

 

「俺を見ながら言うな…」

 

意地悪そうに見つめてニヤニヤするM14のほうを見て、少し不貞腐れた表情をする奏太。

それはそうなのだ、仕事にあぶれないだけマシであるし報酬も割高なのでお得感は確かにあったりする。

やるだけやって成功したけど弾薬費その他もろもろで赤字でした、という心配も少ないいい仕事ではあるのだ。

 

「ほらほら行くよ!まだ仕事終わってない」

 

「ぬぅ…まずはバカを締め上げんことには終わらんか」

 

M14の見つめた先、通ってきた廊下の向こうに追ってきた鎌の悪魔が見える。向こうも必死らしく数が多い、長々とはしていられないようだ。

笹木一家は言葉を交わすことなく、踊り場の扉を閉めて封鎖し、クレイモア地雷を死角に設置する。

足止めではなく突破された合図用なので扉のすぐ横に一発だけだ。

階段を上がり、この基地の指揮官がいる中枢区へとつながる廊下に入るドアの前まで来た。ブラボーチームとの合流地点だ。

中から物音と気配がする、ナガンM1895はすぐに扉の横に身を寄せた。ドアを挟んで向かい側に奏太が配置。

他の3人も二人の後ろに並び、突入の準備を整えてから奏太はドアを強くたたいてから合言葉を問いかけた。

 

「化け物は?」

 

「ノックをしない」

 

U05から派遣された部隊に通じる合言葉だ、どうやらブラボーチームが先についていたらしい。

ドアを開けて中に入ると、頑丈そうなハッチの前でSPAR小隊が有り合わせのバリケードを構築して待ち構えていた。

奥のハッチを開けようと、AR-15がハッチ横のリーダーを取り外して中をいじくっている。

 

「遅かったじゃないか」

 

「早いな、M16。ヤークトは?」

 

「無事に送ったよ、ちょっと驚かれたがな」

 

それはそうだ、この作戦には参加していないはずの部隊と瓜二つが所属する部隊が助けに来れば驚きもするだろう。

人形とは所詮量産品だが、S09基地に逗留する16LABのAR小隊は替えがないオンリーワンだ。

そもそもSPAR小隊自体がイレギュラーな存在なのだから仕方ないだろう。

 

「爆破は?」

 

「思いのほか厚くてな」

 

「そうか。AR-15、行けるか?」

 

「もう少し、さすがに司令部区画に入る入口だからセキュリティーが硬いの」

 

「手伝うか?」

 

「いらない、集中させて」

 

AR-15は取り外したカードリーダーに引っ張り出した配線を繋ぎなおし、ついで壁の中の配線をいじくる。

手の動きに迷いは見えないからあとすこしというのは本当だろう、彼女の中では既に開くまでの道筋ができているのだ。

ドアが開くか先ほど仕掛けたクレイモアが起爆するまではわずかな休憩という事だ。

奏太に目配せすると、彼も小さく頷いてから周囲を見渡して壁に背を持たれた。ナガンM1895も肩の力を抜いて、背伸びをして緊張をほぐすことにした。

 

「まったく、やりにくい…アメリカの新種もこんな感じかのぉ?」

 

「どうだか…アメリカと言えばモハビ・エクスプレス、なんでここに?しかもニューベガスのロボまで引き連れてましたよ?」

 

モハビ・エクスプレスは文字通り、北アメリカ大陸のモハビ砂漠に拠点を置いて展開する配送業者だ。

大きなキャラバンを組まないで小規模の運び屋を主に使い、秘密裏に、確実に荷物を届けることで信頼されている。

モハビ・エクスプレスの運び屋は個性的な人間も多い、一度だけ仕事で同行した運び屋も特徴的な男だった。

旧世界の国旗を背負ったコートを身にまとう偉丈夫、知的で物静かだが何か心の奥で燃やしているような不思議な男だ。

 

「セキュリトロン、しかも改造機も居たな。ベガスも噛んでそうだ」

 

「ぶっ壊れてんじゃないのあれ!普通にしゃべってるだけでもすごいむかつくし!」

 

セキュリトロンの放つ9ミリサブマシンガンの掃射に巻き込まれかけた身として、ぷんすかと怒るM1911の甚だ同意である。

味方のダミーごと悪魔を撃った時は、本当は狂ってるんじゃないかと思ったほどだ。

 

「あっちのロボがいろいろおかしいのはいつものことだがな…」

 

「ニューベガスってところ?」

 

以前思い出話で語ったことを思い出したSOPⅡの言葉に奏太は頷く。モハビ・ウェイストランドのラスベガス跡地にあるニューベガス。

旧アメリカの金持ちが再建した夢の都、戦前の色を濃く残しながら再建された新世界の賭博都市だ。

SOPⅡにはそこのカジノで可もなく不可もなく楽しんだ思い出を語った、結果としては負けであったが。

 

「あぁ、運び屋さん…そういえばワイルダーさんの移動要塞に乗ってましたね、ちらりと見ましたよ」

 

思い出したようにM4が苦笑いする。

 

「どんな奴じゃ」

 

「カウボーイみたいなアーマーで、ガスマスクだったよ?確か」

 

「嘘じゃろ…」

 

SOP2の説明に、モハビ・エクスプレスの運び屋の容姿を容易に想像できたナガンM1895は天を仰いだ。

 

「NCRのレンジャーアーマー…新カリフォルニア共和国も一枚噛んどるのか?」

 

「まさか…どれだけ離れてると思ってるの?どっかから引っ張り出してきた戦前のライオットアーマーじゃない?」

 

あまりNCRと敵対したくないとM14はかぶりを振る。気持ちはわかる、知り合いがいる組織と戦うのは心が痛むのだ。

 

「手に入りやすいのはNCRのじゃろう」

 

「ニューベガス、NCR、モハビ・エクスプレス…まさか、噂の運び屋では?」

 

ピンときたP38の言葉に、ナガンM1895も思い出す。モハビを訪れたときに噂で聞いたモハビ・エクスプレスのとある運び屋の噂だ。

曰く、彼はとある配達中に罠をかけられた。罠をかけたのはどこぞの大物で、運び屋はそいつに至近距離から頭を撃たれた。そこで普通は死ぬ、だが彼は生き返った。

墓から這い出し、さらにモハビ・ウェイストランドを駆け巡って自分を殺そうとした糞野郎に復讐して見せたらしい。

仲良くなったカジノのオーナーが、酒に酔って面白おかしくそんなことを語っていた。

 

「勘弁してくれ…手に負えないぞそれ」

 

噂話をさんざん耳にした奏太は肩をすくめる。その通りだ、例の運び屋がここにいるならば本当に手に負えない。笹木一家総出で掛かっても返り討ちだ。

 

「セキュリトロンの次は追加でNCRレンジャーとパワーアーマーの空中機動歩兵がお目見えもありうるな。

ついでに歩兵隊がぞーろぞろかもな?NCRのサービスライフルはM16系列だ、喜べお前らお仲間と戦争だ」

 

「冗談じゃないわよ、ここからさらに悪化するっての?悪魔、グリフィンの屑、ついでに拗らせ404、もうお腹いっぱいなんだけど」

 

HK416は心底嫌そうにかぶりを振る。一応、モハビ・エクスプレスは味方してくれているがあくまで唐突に表れた第3勢力だ。

いつどこで手の平を返すかわからない、それこそ噂の運び屋ならば予測は不可能だ。

 

「社長さん、大丈夫ですかね?」

 

「そう祈ろう…それしかできない」

 

ナガンM1895も心の底からH&R社の社長の幸運を祈った。運び屋とかかわった人や組織は大なり小なり人生が変わる、とも言われている。

それがいいのか悪いのかは時と場合による、命を助けられるか酷い目に会うかが両極端でいろいろあり過ぎるため評価が安定しないのが噂の運び屋だ。

あの会社には潰れてほしくない、彼女のレールガンはすっかりお気に入りなのだ。

もし何かあったときは売り切れる前にあるだけ買い込んでおこう、と考えていると階下でクレイモアの爆発音が響いた。

先ほどの悪魔がドアを破ってなだれ込んだのだろう、敵はすぐにやってくるはずだ。

 

「来るぞ、まだか?」

 

「あと少し、30秒!」

 

それならばたやすい、ナガンM1895も背負ってきたガリルARをバリケードに据えて構える。

廊下は狭い、その分相手は密集してくるだろう。だがこちらには数のアドバンテージがある。

SPAR小隊4人と笹木一家5人の火力ならば、上位種が来ても短時間ならば火力で釘付けにできる。

その間にハッチをこじ開け、相互援護しながら中に入り込んでハッチを再び閉鎖してしまえばいい。

足音は1つ、不規則ではない、上位種が前に立っているのか。そう考えていると、ドアの向こうから聞き覚えのある男の声がかけられた。

 

「誰か居るんだろ?ブレイクだ、撃たないでくれ」

 

デビルメイクライのブレイクの声である。ありゃ?と乗り込んできただろう悪魔を待ち構えていた全員が首を傾げた。

少し苦笑しつつおどけた様子で廊下に入ってきたのは赤いコートのイカした男、ブレイクだった。

 

「あー…あの悪魔どもは?」

 

「ぶち殺してきた、そんでドア蹴り破ったら散弾が飛んできた」

 

「悪い、あのルートを来るとは思わなかった」

 

まさか悪魔が埋め尽くしていた廊下を真正面から突破してくるとは思いもしなかった。

仕掛けた本人である奏太がばつが悪そうに銃口を下ろすと、ブレイクは肩をすくめる。

 

「構わねぇよ、避けたし。それより調子はどうだい?」

 

「悪い、近づくたびに気味が悪くなる。ドアはもう少しで開くよ」

 

「もう開いたわよ…っていうか、クレイモア避けたの?」

 

びっくりしたけどな、とブレイクが気軽そうに言うと道具をしまっていたAR-15は呆れたように肩をすくめる。

締まらないなぁ、と思いつつもこのほうがまだいいかと思ってしまうナガンM1895であった。

 

 




あとがき
年末調整なんて死ねばいいんだ…はいコラボ第2話。ギルヴァさんやアラマキさんと合流するちょっと前の一場面ですね、突貫制作ですはい。
運び屋とは面識ないけど因縁のあるやつと一度だけ面識あるという設定が生えました、使いっこないだろうけど。
向こうもだいぶ大詰めですし、こっちも風呂敷をたたみましょうか…あと白黒モンブラン様、ブレイクにクレイモアぶち込んでごめんなさい。
ブレイクさんなら避けるでしょ、とか安易に考えました。
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