U05基地の化け物ハンター   作:イナダ大根

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要は人形たちが数多の化け物と触れ合ったりするのを書きたいだけ。





本編
いつかの記憶「浸食」


これを聞いた誰かへ、これは私からの忠告だ。私は……いや、俺の名前なんてどうでもいい。所属も、もうどうでもいい。

私達は忘れていた、忘れるべきではなかったはずなのに、愚かな戦争ゲームに夢中になって忘れてしまっていた。

これを聞いたなら、人間でも人形でも、鉄血だろうが構わない。俺達の敵は人間でも人形でもないってことを思い出せ!

そして一人でも多く味方を作るんだ、できれば全員に知らせて説得してくれ!

全てはペイラン島から始まっていたんだ、みんなわかっていたはずなんだ、なんで今まで忘れてたんだ。

汚染ですべてが狂い始めてからこれまで何をしてきた、私たちは何を捨てて来た、何を忘れて生きて来た。

ここに汚染はない、グリーンゾーンに汚染はない、でも周りはどうだ?汚染された土地には何が残った?

富裕層も、スラムも、どこもこれに比べたらまだマシだったんだ。俺達は恵まれていたほうだったのに、当たり前になり過ぎちまってたんだ。

俺は当たり前みたいに幸せを享受して、学校に行って、PMCに入って高給取りになった。

でももうそれは過去の事だ、もう基地は壊滅した。指揮下の人形も、部下たちも全員死んだ。喰われちまった。

化け物だ、E.L.I.Dのゾンビ共とも違う、ミュータント、いや、クリーチャー?どうでもいい、化け物にみんな喰われた。

最初に巡回が行方不明になった時から、もうあっという間だった。戦った、いくらかは倒したが数が多すぎた。

それに俺達は鉄血兵とは戦った経験はあっても、化け物との戦いは初めてだった。負け始めてからはあっという間だった。

みんなに悲鳴が耳から離れない、生きたまま食べられていく悲鳴、人間も人形も関係なく食べられた。生きたまま、生きたままだぞ!

戦術人形を失ったことはある、でも、あんなの、あんな死に方はないだろ?声が離れない、眠ることもできない。

化け物どもはもう俺の部屋の前まで来てる、ドアをガリガリひっかいてるんだ。

シェルターなのに、あいつらはどこからともなく入ってきやがった。どこにでもいるんだ、いつだって隣にいたんだ!

もっと真剣に受け取るべきだった、タワーの事件、U08の報告書、ハンターの忠告も、信じておくべきだった。

喰われたくない、いやだ、喰われるくらいなら、まて、聞こえる、そんな、あぁ!窓に!!窓に!!!―――

 

 

 

 

いつかの記憶『浸食』

 

 

 

 

ひどい話だ、私は血塗れのボイスレコーダーから目を離して荒れ果てた部屋の片隅に転がる男の成れの果てに目を向けた。

見慣れたグリフィン&クルーガーの制服は元の色よりも赤黒い血で染まり、体の肉という肉を食い漁られている男性の死体。

死んでから約三日ほどか、殺したのはウォッチャーだとしてもここまできれいにするなら残飯処理係がいるだろう。

全く嫌になる、でかいネズミにゴキブリがうようよ出てくることになるだろうな。

 

「ラッドローチかぁ……」

 

嫌だ、あのでかい奴は大っ嫌いだ。思い出すだけでもおぞましい!背筋が凍る、無いはずの心臓がバクバク言っている感じがして胸が気持ち悪い。

鳥肌が納まらないし、疑似汗腺から冷や汗が溢れて止めたくても止められないしエラー頻発、トラウマだトラウマ!

なんで指揮官たちはあれが平気なんだ。助かってるよ、代わりに蹴飛ばしてくれるからすごい助かるよ。

でも普通に踏みつぶしたり殴ったりできるあの丹力どこから来るんだ?

 

「いかん、いかんいかん」

 

思考がそれた、大仰に独り言と頭を振ってゴキブリを思考から引っぺがす。これ以外と便利。

それにしても窓ね、幻覚でも見てたのか?ここは地下のパニックルームだ、窓なんてないんだけどな。

自殺をほのめかしちゃいたが、傷口を見る限りこれは大量失血によるショック死。喰われたんだな。

かなり暴れたんだろう、ほどほどにきれいに整えられた室内は血塗れで荒れ果てている。

 

「姉さん、なにかあった?」

 

「あぁ、ここの指揮官を見つけたよ。死んでるがな」

 

「まぁそうでしょうね」

 

声を掛けられてパニックルーム入口の方へ眼をやると、愛銃のM4A1を携えた愛しい妹の姿があった。

いつもは左腕に巻いたバンダナを口元に結んで、首にかけっぱなしの多目的ゴーグルをしっかり目につけている。

さては臭い場所に入ったな?人形として嗅覚を断つことはできるが、それをするといざって時に反応鈍るもんな?

 

「帰ったらシャワーを浴びとけよ?まぁ、まだ使えりゃだけどな」

 

「く、臭くなんてない!これはゴミ処理室の中に入ったから!」

 

「変わんねぇよ、中はどうだった?」

 

「生ごみと死体がいくつか、全部食べられてたわ。早く行きましょう、下手に刺激したくない」

 

「OKOK」

 

妹の後についてルームを出て、荒れ果てて電気も消えた廊下を進む。手慣れちゃったねぇ、まぁいつもの事だしな。

 

「ここの指揮官はどんな最後を?」

 

「喚いてた、ご丁寧にレコーダーに遺書を残しててな。後悔しまくってたよ」

 

「そう……」

 

妹は少し辛そうに俯く。気持ちわかる、こんな風に崩壊した基地はいくつも見て来た。

グリフィン、鉄血、正規軍、このU地区に点在していた敵味方問わず、襲撃を免れた基地は少ない。

支部のある主要都市周辺と地区境界線以外は化け物が闊歩する魔境になりかけてる、私たちの基地もどれだけ持つかは未知数だ。

せっかく鉄血の占領圏を奪還しかけてたってのに、完全に横からかっさらわれた形になった。

本部は対策を検討していると聞くけれど、正直期待はしていない。こんなことになった地区をどうするかなんて、良くある話だ。

そもそもこういう事は正規軍の領分のはずなんだ、そろそろPMCから国の手に裁量が渡るはずだ。そうなればきっと容赦はない。

社長や代行官、博士たちがそんなことをするとは思えない。するにしても避難勧告くらい出すし、時間にも猶予を持つはずだ。

でもいうなれば、ここで決断しなくちゃ他の地区も無事じゃすまない状況だ。

 

「もう手に負える段階じゃないのかもな。いや、それはとっくの昔からそうか」

 

妹の口許が固く結ばれて、彼女の手が腰のホルスターに吊るされた円筒形の棒を握る。

 

「どうしようもないのかな」

 

「まだ分からないさ」

 

ここには私たちの思い出がある、それを壊されたくない。でも守り切れる力があるか問われると自信はない。

私達なら戦えるだろうさ、でも味方が少ない。今も焼け石に水の状態だ、私たちが勝っても周りがどんどん脱落してる。孤立したら負ける。それに―――

 

「でも、勝っても元にはもう戻らない気がするよ」

 

「姉さんも思うんだ?」

 

「仮に落ち着いたとしても、もう元の暮らしには戻れないよ。ずっと付き合っていくしかないな」

 

私達は恵まれていた、少なくともこうなる前は平和だった。とどめようのないミュータントの大繁殖も無ければ、生態系汚染も少なかった。

あるとすれば外周から現れるE.L.I.D感染者と汚染された雨、訳の分からない暴走をしている鉄血人形くらい。

感染者は正規軍が相手をしていたし、雨は注意していればよかった、鉄血人形なら鉛玉で歓迎すればいい。

それがどうだ、今の私はゴキブリにさえ怯えている。あのサイズがここ最近は普通に出てくるようになったからなおさらだ。

正直な話、今の私は鉄血ハイエンドよりもゴキブリの方が怖い。

鉛玉で簡単に駆除できるといっても数が数だ、しかもつがいを一組でも残せば自然と繁殖して増え続ける。

それはほかのミュータントにも言える話だから笑えない、指揮官や正規軍はそれをわかってた。

だから正規軍は容赦しないし、指揮官は付き合い方を知っている。

 

「まだ鉄血と撃ち合ってた方が楽だったな、終わり方が少なくとも一つは見えてた」

 

「そうね」

 

全員女で戦術人形な鉄血の方が対処しやすい、生産設備を破壊すれば増えないし資材だって限りがあるんだから。

正規軍が相手をするE.L.I.D感染者も元は人間や野生動物だ、発症して増えることはあっても巣を作って繁殖はしない。

喋っていると目的のシェルター入り口までたどり着いた。妹は分厚い防護シャッターを開けるために操作盤の前に立つ。

電源は生きているようだが、操作盤は暗いままだ。妹は操作盤のスイッチカバーを外す、途端表情を歪めてぼやき始めた。

 

「壊れてる、最新式のくせにアノマリーにやられたのね」

 

「どんなだ?直るか?」

 

「真っ黒に焦げてる、修理なんて無理。そもそも修理部品を探してる暇なんて……」

 

いらいらとぶつくさ言いながら防護シャッターの操作盤を殴る妹に私は笑う。

ここまで来るのにこういうスイッチ類は全部壊れてたからな、最新式が聞いて呆れるってのもわかるよ。

 

「してるわけないだろ?ここに指揮官はいないんだ」

 

「しかたない、手動でやりましょう。私が回すから迎撃準備を」

 

「いいよ、私がやる。構えろ」

 

「解りました」

 

妹は一歩離れた操作盤の陰に隠れると銃口をシャッターの方へ向ける。

私はシャッター横に立つと手動開閉ハンドルの透明な防護カバーを外し、手をかけて回す。

はっきり言ってくそ重いが戦術人形の腕に掛かればこんなの軽い。整備はしっかりしてたらしい、くるくる軽快に回る。

妹は徐々に下から開くシャッターの隙間に銃口を向けて警戒、今のところ敵はないらしく発砲する様子はない。

さっさと開けよう、さっきよりも勢いよく回して一気にシャッターを引き上げてブレーキをかけて止める。意外にも汚いだけの廊下だ。

いや、違う。よく見ると銃の残骸と薬莢が転がっている。それにこれは……げ!?ここまでやるかぁ!?

 

「これ全部食べられてる。ここまで食い尽くされてるとなると」

 

「ローチやラットも大量に、だろうな」

 

背筋に冷たいものを感じて思わず身震いした、妹も同じようで顔は見えないけど真っ青なのはわかる。

分かるぞ、あのでかいゴキブリがウゾウゾ這いまわってこっちに向かってくるなんて想像したくもない。

嫌だな、あの死んだ指揮官がおかしくなるのもわかるぞ。あれは単体だってキツイ!今でもあれだけは駄目なんだ!

 

「ん?」

 

今、カサッて聞こえたぞ?後ろだ、さっき通ってきたシェルターの奥から聞こえた。まさか?

 

「聞いたか?」

 

「はい」

 

恐る恐る、通ってきた廊下の奥に目をやる。奥は暗くてよく見えない、けど、なんかいる!

あ、ちょっと妹よ、ライトは駄目、やめろ、やめておねがい!!照らすなぁァ!

 

「「!!??」」

 

暗闇を照らすと黒だった。いや、床一面にあの見たくもないでかいゴキブリが大きいの小さいの一緒くたに蠢いてやがった!!

一番小さいのでも20センチはある、どうしてそこまで育ったんだ!餌が豊富なのはわかるが限度があるだろ!

気持ち悪い、うねうね動く触覚とかカサカサする脚、おまけにキチキチと声っぽいものまで聞こえる。

しかもどう見ても狙いは私達じゃねぇか!!一匹だけでも気色悪いのに群れだぞ群れ!冗談じゃない、いくら弾があっても足りねぇよ!!

どうする!?手榴弾?無理だ爆発する前に喰われる、焼夷手榴弾?同じだ使えない!火炎瓶、もってきてない!!

盾?無意味だよじ登られる!まずい、一気に襲い掛かってきたら、む、むしゃむしゃにされる!

 

「閉じろ!!」

 

咄嗟に私は向かってくる黒い津波に向けて銃口を向けて引き金を引く。飛び散る血肉と弾ける体、銃声よりもそのぐちゃぐちゃという音の方がよく聞こえるみたいだ!!

1マガジン、30発なんか一気になくなる。だというのに勢いを一瞬置仕留めるだけで精一杯、これだから虫ってやつは!

 

「姉さん!」

 

私は妹が放り投げてきた銃を受け取ってさらにフルオートで薙ぎ払う。狙う必要もないから撃つだけだ、問題ない!

私の言いたいことをわかってくれたのか、妹は乱暴に手動ハンドルのブレーキを外してシャッターを一気に閉めた。

まだだ、まだ来るぞ、妹に銃を返して、自分の銃を拾い上げてからの空の弾倉を抜きつつ廊下を走る。

M16A1、やっぱり無理にでもグレネードくっ付けておけばよかったか?いや火炎放射器?武器庫にあったか?いや、あったな。

 

「来た!ダクト!!」

 

やっぱりかぁぁ!だけど一気に出てこれなきゃ雑魚でしかない。慎重に撃ち殺しながらさっさと進む。

一撃で殺すのは意外と難しい、当たり所が悪いと平気な顔ですり寄ってくるんだこいつら。ダブルタップで胴体を撃ち抜いてやるのが一番だ。

そうだ、焼夷手榴弾をダクトに放り込んでやろう。ビビッてしばらく逃げ惑うはずだ。

 

「姉さん、後ろ!」

 

妹の声で振り向くと、廊下をカサカサ這いまわりながら追って来るゴキブリの群れが見えた。さっきほどではないが見れたもんじゃない。

咄嗟にダクトに投げ込もうと思っていた焼夷手榴弾を群れの手前に投げつける。

妹も同じ考えだったらしい、手榴弾を同じように投げつけたようだ。

一拍置いて手榴弾が炸裂、眩い閃光と轟音、それに混じって火柱が立って廊下を炎で埋め尽くす。

 

「ナイス、これならゴキブリ共もビビッて引っ込むだろうよ」

 

「姉さんが先に動いてくれたから思いついたの」

 

「ははは、ダクトにぶち込むことしか考えてなかったけどな。こりゃこの基地はダメだ」

 

道理で妙に手早く攻略されたわけだ。外の奴に抵抗している隙に足元からゴキブリに齧られて、内と外からあっという間にってことだ。

 

「うん、早く上に出ましょう、指揮官と合流して報告しないと」

 

「おう」

 

最後の判断は指揮官に任せよう、あの人たちなら慣れてるから。やっぱり専門家に頼むのが一番なんだしな。

廊下を抜け、近くの階段を上がる。階段を上がると基地のどこかにある吹き抜けのようだ、激しい戦闘を行ったようでそこかしこに壊れた銃や空薬莢が散乱している。

死体らしい死体はない、全て喰われていてバラバラだ。人間の骨と戦術人形の部品がそこら中に散らばっている。

外から少しだが銃声が聞こえている、どうやら派手にやっているらしい。

 

「上!」

 

咄嗟に後ろにステップを踏む。眼前を通り過ぎていく黒灰色の毛むくじゃらの四つ足、ウォッチャーだ。

距離が近い、銃ではなくナイフに握り替えて逆手で引き抜き体のひねりを加えつつ勢いよくそいつの目に突き刺す。

よし、手ごたえありだ。ダメ押しにさらに奥深く突き刺して確実に息の根を止めてからこいつの体を押し戻すようにして引きはがしつつナイフを引き抜いた。

 

「こいつがここを外から落としたミュータントか、群れなら大群だな」

 

こいつの繁殖力は相応に強い。荒廃した寒冷地に適応したミュータントとはいえ、ここにも適応しつつある。

 

「ゴキブリ共は出会ってすぐにこいつらを避けて地下にまとまってたってところかな?」

 

「指揮官達も来たからよけいに刺激されてたのね」

 

なら表に上がればしばらく奴らは出てこない、足元這いまわれながら戦うとか勘弁してほしい。

でもこれなら簡単だ、私は銃を構え直して廊下の向こうから走り寄ってくるウォッチャーの顔面に弾を撃ち込みながら前へ進む。

妹も同じだ、背後に回り込もうとしたウォッチャーが居たのかダブルタップで銃撃。

こいつらは俊敏だがさっきの黒い奴に比べれば的がデカくて当てやすい、ライフル弾も効果覿面だ。

 

「無線連絡を入れる、警戒お願い」

 

「OK」

 

妹は腰に吊るした古い無線機のスイッチを入れなおし、頭に掛けたヘッドセットのマイクを調節してからスイッチを入れる。

 

「こちら地下潜入班、指揮官、聞こえますか?」

 

≪こちら地上陽動!おそいよ、こっちはかなりきつい!指揮官ならデカ物相手にしてて余裕ないよ!≫

 

「スペクトラ?何が出たの?」

 

≪よりにもよってE.L.I.Dよ、非人間型の異形タイプ。まん丸だけど卑猥な切れ目と触手っていう狂った造形の18禁。

こっちもやばいから早くきてくんない?ウォッチャーだけでもやばいのにガブラスまで来てんの、それも大量に!≫

 

地獄だなおい。絵面もひどいが三つ巴かよ、っていうかE.L.I.Dまで流入してるあたり正規軍ですら機能不全じゃないか!!

このミュータントカーニバル状態じゃ頭数自体いつも不足してる正規軍じゃ荷が重いんだろうが、前みたいな無双っぷりはどうした?

 

「その猥褻物は何体?」

 

≪3、うち2は若個体なんだけど歴戦個体に率いられてる上に戦い慣れしててめちゃ厄介。こっちも加勢したいけど、雑魚がどんどん出てきてキリがない≫

 

歴戦かよ、これは指揮官達もかかりきりか。雑魚を相手にしている余裕はない、ますますきつくなってきたな。

 

「了解。じゃぁ結果だけ、ここに生存者は居ない」

 

≪OK、最悪だけど仕方ない!正面で暴れてるよ!屋上から援護よろしく!!≫

 

「解った。姉さん」

 

「んじゃいくか、正面エントランスから一気に屋上に行く。派手に動いて陽動も兼ねよう」

 

「待って。あれ見て」

 

妹が脇の通路を指さす、よく見ると正面エントランスへの近道に床に緑色の何かが縮んで付着している。

データで見たことがあるクラゲを地上に放り出した状態に赤いコアを押し込んだような感じだ。

こいつは厄介、アメーバだ。軟体系のミュータントでコアをよく狙わないと銃弾が効かない。

そのコアも小さいし肉体が弾の威力を削る上、コア自体も強度がそれなりにあるので弾が滑る。

今はまだ戦闘モードじゃないが、やる気になると肥大化して邪魔なうえに特殊だからまともに相手したくない。

だからこういう時は爆弾で吹っ飛ばすに限る、ポーチから手製プラズマ手榴弾を取り出して導火線を確認。

見た目は粗悪なパイプ爆弾そっくりなソレにジッポライターで火をつけると無造作に転がす。

 

「対ショック!」

 

私が言うが早いか妹は壁際に押し付ける、瞬間廊下の向こうで爆音とバチバチというスパークが響いた。

さっきのは鉄血製プラズマ式狙撃銃用のプラズマ粒子タンクを三つ纏めて起爆信管装置を取り付けただけのお手軽爆弾。

タンクとバッテリーが簡単に調達できて製作も非常に簡単、威力はほどほどだがいくらでも投げれる優れモノ。

 

「よし、行こう」

 

廊下のアメーバの核が砕けて物言わぬ粘液と化しているのを確認してから廊下を素早く駆け抜ける。

残弾はまだそれなりにあるがやはり消費は激しい、ミュータント相手だと現地調達も難しいから減る一方だ。

性懲りもなく顔を出すウォッチャーの顔面をぶち抜きつつ残りのマガジンを確かめる。30連マガジンが残り5、半分切った。

 

「残弾は?」

 

「あと4と14」

 

「5だ」

 

結構長丁場になっちまったしな。対ミュータント用の強化弾とはいえ、ここまででかなり消費してる。

こんなことになるなんて思ってもみなかった、私は空の弾倉をダンプポーチに放り込みながらふとこうなる前の日常を思いだした。

 

「なぁ、こんなことになるなんてお前は考えたことあるか?」

 

「ないよ、ずっと別のこと考えてた」

 

「だよなぁ」

 

しゃべりながら器用にウォッチャーの首をナイフで切り裂く妹、それでもしぶといそいつを足で壁に押し付けて頭に0距離射撃。

いやぁ逞しくなったもんだ、私は何となく考えながら通路の奥から疾駆してくるもう一匹を撃ち殺した。

窓からさらに一匹、頭を蹴り飛ばして体制を崩して床に転がし、そいつの頭をすかさずストンプで踏み潰す。

力任せに踏みつぶして前傾姿勢になった私の背中越しに妹が発砲、廊下の先から来ていたヤツの脳天に二発。

まぁ考えてもしょうがない、これがこの地区の日常なんだからな。

 

≪指揮官より各員、こちらは仕留めた。さっさと終わらせよう≫

 

無線機越しに聞こえる指揮官のいつもと変わらない声、少し訛りのある公用語すらそのままの男だ。

指揮官達も戻ってくる、今日もまたにぎやかに化け物を殺すとしますかね。

 

 

 




あとがき
この度は拙作をご覧いただきありがとうございます。数多の作品を読んで私もやりたくなって、やりました。
今回だけで約3作品からクリーチャーを出張させていただきました。詳しいのは後々紹介したいのでここではご容赦ください。
これからも独断と偏見と作者の好き勝手でいろいろ出したいと思います。
CPにこだわりがあったり指揮官との関係にこだわりがある方もご注意ください、基本的に好き勝手やります。
基本的にイナダ大根がプレイしたことのあるものから出しますので、もし趣味趣向がわかっても見て見ぬふりをしてください、OK?
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