過去の思い出話風に書いてますが時間軸的にはちょっと前ぐらいの話です。
U05基地臨時指揮所、U01基地の片隅にある倉庫に設置した臨時指揮所の司令部で奏太は収集した証拠品を仲間たちと一緒に見比べながら唸っていた。
どうにもしっくりこない、集められるだけ集めてもらった証拠や資料を見比べているのだがどうにもかみ合わないのだ。
しとしとと降る雨音に気付いた奏太は今まで睨んでいた資料から目を窓の外に向けた。パイプイスとテーブル、ホワイトボードが置かれた雑多で散らかり放題の司令部の窓から顔を出すと空は曇天の雨模様だった。
空から降る雨水は次第に強くなりながら地面と建物を濡らしていき、湿気が室内に入り込み始めると机の上に置きっぱなしだった汚染測定器がかすかに反応しだした。
今日も雨は汚染されているのだろう、奏太が机から離れると開けっ放しにしていた窓を閉めると汚染測定器はすぐに静かになった。
「降ってきちまったか」
このご時世の雨はどこも大なり小なり汚染物質を含んでいて、浴びれば風邪だけでは済まない。
外を歩き回る捜査には支障をきたすし、下水の調査も当分中止になるので有力な証拠はもう手に入らないだろう。
この人類生存可能圏内では外のようにすぐガスマスクがいらないだけマシだが、こうなる前に何か手掛かりを見つけておきたかった。
「間に合うはずないわ、まだ三日しかたってない。そんな簡単に尻尾を出すとは思えないわ」
同じ机に向かっていたM2HBが頬杖をついたまま退屈そうにぼやく。
「もう三日ともいえるぞ、ただのミュータントなら三日も音沙汰なけりゃ尻尾を巻いたとも取れるがこいつはそうじゃない」
「息を潜めてこっちを狙ってるかも?」
お気に入りの合成チョコバーを頬張るFNCに奏太は頷いて肯定する。それを隣で見ていたステンは、零さないようにと言い含めた。
「でもどこからだろ?下水にずっといるとも限らないから…シェルターかな?」
FNCが上げたのはおそらくマンハッタンシティの随所に作られた市民用の避難シェルターの事だ。
マンハッタンシティにELIDが攻め込むような事態に備えて地下深くに作られており、街の随所に分散して建設され緊急時に町から避難できなかった市民のためのシェルターとして活用される。
シェルターは分散されているが地下通路で直近のシェルターと繋がっていて、使用時はすべてのシェルターが一つの避難所として稼働する仕組みになっている。
「新しく作られたっていう避難用シェルターの事か?あそこは人目に付きすぎると思うぞ、できたばかりで工事業者が出入りしてるしレセプション前で警備が固い」
「そっか。やだね、お手上げじゃん…指揮官、休憩しない?疲れちゃったよー」
FNCは机の上にだらんを上半身を伏せて唇を尖らせる、今日は朝からずっと証拠探しでこの部屋に缶詰めだったのだ。
IOP支社での修理で回復したM4A1たちSPAR小隊を筆頭に、随時到着したU05部隊の調査の指示出しもあって奏太自身も疲れを感じている。
補佐を務めてくれたステンとM2HBも同じだろう、奏太は時計を見てから頷いた。
「そうだな、ちょうど3時だし休憩にしよう」
「やった、ティータイムだね!ステン、私紅茶」
「はいはい、皆さん何がいいですか?」
「コーヒー」
「同じで」
ステンが立ち上がり部屋の片隅に置いてあるコーヒーメーカーと電気ケトルの前に行くと、一緒に並べてあった合成品の紅茶やコーヒー粉の入った缶を手にして手慣れた様子で準備していく。
置いてあるのは合成品の安物ばかりだが、U05基地でティータイムに関してはこだわりのあるステンは入れる時にひと工夫して美味しく入れてくれる。
天然ものどころか美味しい合成品も手に入れにくく、基地要員のカフェ経験者もいなかった頃から彼女のティータイムには癒されてきた。
「はい、FNCはストレート、M2さんはブラック、指揮官はミルクと砂糖多め」
こうして一人一人の好みもしっかり把握してくるのも彼女のこだわりの一つだ。本人曰く、知り合いの好みは大体頭に入っているらしい。
FNCは紅茶派で甘い物と一緒に飲むから濃いストレート、M2HBはブラックだがやや薄めで飲みやすいものとのことだ。
自分の前に置かれたコーヒーも合成コーヒーにミルクと砂糖を入れた甘めのもの、普段からの好みだ。ステンにお礼を言ってから一口すするとコーヒーの苦みをミルクのまろやかさと砂糖の甘さが交わった穏やかな味が口に広がる。
不味い合成品を誤魔化すためにミルクと砂糖を入れたものとは段違いだ、こうした腕前はさすがステンといえるだろう。
「相変わらず美味しいわね、粉変えた?」
「あれはいつもの不味いヤツだよ」
M2HBのいつもの問いに奏太もいつものように返す。事実、この部屋に置いてあるコーヒーと紅茶は目覚まし用の不味い合成品だ。
コーヒーはただただ苦くて人工的な味が下に残るし、紅茶も香ばしいというか焦げたような風味があって少し薬っぽい。
人類生存可能圏外で作られている代用コーヒーや紅茶のほうがはるかにマシだ。別物としては飲める味で、価格が安定しないがそこそこである。
それでもこれなのは単純に安く、手に入れやすく、目覚ましにはちょうどいいからに過ぎない。
だからいつも自分は砂糖とミルクを入れて誤魔化す、同じように淹れてもステンのように美味しくならないのは不思議でしょうがない。
淹れるのが下手だと言われればそれまでだ、そう考えたときふと奏太はコーヒーの茶色い液面を見下ろしながら思い出した。
あの店のコーヒーも自分で入れたらまずいのだろうか、と。
◆◆◆◆◆◆
この日受けた依頼はサルベージでアウトーチにある輸送会社の撃墜された輸送機に積まれていた積み荷を見つけて回収することだった。
撃墜された輸送機に積まれていたのはアウトーチのレーダー補修部品で落ちた場所は町から少し遠い市街地、つまり今いるこの場所だ。
崩壊した高層ビルが連なり、廃墟と化した都市。荒れ果てて輝きを失い、風化するに任せているよくあるロケーションだ。
この市街地は放射能汚染が濃い場所で危険なELIDや化け物が多く生息する危険地域であり、今もその脅威にさらされている。
当然ながら空気の汚染も深刻で装備があっても捜索するのも一苦労だ、奏太たちもいつもよりも多くのマスクフィルターと薬を持ち込んできたがそれでも万全ではない。
奏太は荒れ果てた商店街の一角にある2階のテラスでのっしのっしと響く重苦しい足音を聞きながら自分のガスマスクのフィルターを交換しつつ、自分の横で同じようにガリルAR突撃銃を構えてこっそり下の道路の向こうをうかがう琥珀のわき腹を小突きながら問いかけた。
「まだいるか?」
「探し回っとるよ、完全にマークされとる、嫌なのに目をつけられたもんじゃ」
琥珀の返答に奏太もこっそり眼下の街路を見下ろす、瓦礫や車の残骸だらけのそこには大柄でマッシブな姿をした身長二メートルは有る大男が荒い息を吐きながらきょろきょろとあたりを見回しながら堂々と歩道を歩き回っていた。
硬質化して灰色になった肌には所々が角質化して外骨格めいたところがあり、肥大化した筋肉がその下を大きく膨らませている。
『スマッシャー』と呼ばれるELIDの一種で、依頼のさなかに目をつけられてから自分たちをずっと追いかけてきているのだ。
並みの装甲より硬くなった個体がうようよいるのは分かっていたため、同行していたM4A1たちSPAR小隊には待機を命じていたのは正解だった。
結果として依頼品は回収できたのだが、縄張りを荒らされたと感じたスマッシャーたちに追い掛け回されているのだ。
「しつこい奴らだ、縄張りに入ったのがそんなに気に食わなかったか?」
「絶対友達いないタイプだね」
M14自動小銃をいつでも構えられるようにしながらテラスから別の方向を観察していた市代が囁く。化け物にだっているのだ、こういう無駄に自尊心が高い個体が。
もしこれでSPAR小隊を連れてきていたら大騒ぎだっただろう、彼女たちはまだ未熟でこうした逃げ隠れでは気配が漏れすぎる。
スマッシャーくらいならば大した脅威ではないが、問題はこの周囲にはスマッシャーやそれ以上に変異したELIDがうようよしていることだ。
ぞろぞろと大勢で入ればそれだけ目立ちそれに厄介なELIDが引き寄せられて集まってくる、討伐依頼でないのなら戦う意味は薄く今の依頼にも支障をきたす。
何よりここに長居すること自体が間違いだ、この街の汚染はパーク駅などよりもひどいのだから。
「こんな貧相なちんちくりんなんぞ食ってもうまくないだろうにのぅ」
「と、おっしゃる真横のガチムチはどうでしょう?」
依頼の回収品を入れた輸送コンテナを背負い九九式狙撃銃を胸に抱えたサラ、それを聞いたシャンブラー散弾銃を持つ美奈がくすくす笑う。
勘弁してくれよ、奏太は苦笑いして二人に後ろを警戒しろと小突いた。あのごつごつしたマッチョマンに全力で抱擁されるなんて想像するだけで嫌だ。
「よーし、そっぽ向いたぞ。今のうちじゃな」
琥珀の言葉に奏太も今までうろうろしていたスマッシャーが通りから遠ざかっていくのを見て、ゆっくりと立ち上がりテラスから室内を通って下に降りる。
玄関で一度周囲を確認すると、スマッシャーの姿は通りの向こう側で小さく見えるくらいになっていた。
「よし行けるぞ」
後ろについてきている4人に合図すると、素早く外に出て瓦礫の陰に隠れつつスマッシャーかとは逆方向に進んだ。
さっさと市街地を抜けたらアウトーチでレンタルしたBMP-1に乗って帰るだけだが、そこまでの道のりでまた何かと出くわさないとも限らない。
いつものサバイバルスーツにもガスマスクにも傷はないが、フィルターと薬は少し少なくなっている。事前にZe放射能除染剤を打ってあるが、あまり悠長にはしていられない。
どんよりとしていた空はより暗くなり、緑色の光が混じる風が強くなってきた。ガイガーカウンターの針もじりじりと上がってきており、やがて振り切るだろう。
そうなったら自分たちはおしまいだ、死ぬだけならまだしもスマッシャーの仲間入りになるなんて最悪にもほどがある。
奏太は先頭に立って道路の先や屋根に上などをクリアリングしながら進んでいく、いくつかの十字路を通り過ぎてもうじき市街地まで抜けられる道路の手前まで来た時、奏太は通りの向こうにまだスマッシャーがいるのを見つけた。
「別のが来やがった、あの色は5年物か?正面からだ」
「ついてないね」
十字路の向こうを覗き込むと、道路の向こうにのしのしと歩くスマッシャーの姿が見えた。先ほどまでしつこく追ってきていた個体よりも一回り大きく、筋骨隆々でがっちりとした巨体だ。
スマッシャーの体には無数の傷跡があり、そのどれもが治癒した古傷になっていることから歴戦の個体だろう。
「隠れてやり過ごそう」
「ならあの店は入れる、あそこにしよう」
振り返ると美奈がすぐ近くの喫茶店のドアを指差していた、ドアはボロボロだが建物はまだ損傷も少ない。良い案だ、奏太は頷いてスマッシャーの監視をしながら喫茶店の偵察を4人に任せた。
市代と琥珀が先行して窓から中を確認し、内部に危険性がないのを確認すると手招きした。奏太はゆっくりと迫ってくるスマッシャーを観察しつつ、4人が店内に入ったのを確認してから自分も店の中に入る。
店内は当然ながらボロボロで崩れかけたカウンターと、抜けた天井の瓦礫が散乱しており隠れる場所には事欠かない状況だった。
4人は先に隠れたようで姿はない。奏太はドアをゆっくりしめ、窓際にぴったりと張り付いてのっしのっしと歩いてくるスマッシャーの足音で距離を測りながら窓の外をのぞく。
瀟洒な窓枠の向こうに見える緑色の光がちらちら舞う荒れ果てた道路の真ん中で、マッチョなスマッシャーはきょろきょろと周囲を見回していたがすぐに興味を失ったらしくまたのっしのっしと歩き出した。
スマッシャーがこちらに気付いた様子はないが油断は禁物だ、奏太はスマッシャーの姿が店から離れて足音が遠くなるまでじっと待ってからやっと一息ついた。
「行ったぞ、さぁ―――」
行くぞ、と振り返って声をかけようとして言葉を失った。奏太の目に飛び込んできたのはまるで町中の物静かでおしゃれな内装の喫茶店のような店内と、ガスマスクもつけずに目を丸くしている店員とその客たちだったのだ。
喫茶店のカウンター内に鉄血工造のハイエンド戦術人形であるエージェントが二人、配膳中らしいリッパーは男性客にコーヒーを渡そうとしてソーサーを持ったまま固まっている。
UMP45とAK-12がテーブルにだらけたまま目を丸くしており、スオミKP-31と9A91はチェスの駒を手にしたままでこちらを見つめていた。
先に入っていた4人も同じで客と店内を見つめたまま身動き一つしない、あまりに異様な光景に互いに動けないでいた。
市代と琥珀がそれぞれM14自動小銃とガリルAR突撃銃の銃口を下に向けつつもにらみを利かせ、その後ろで対化け物用九五式軍刀をいつでも抜刀できるように構えつつ逃げの姿勢をとるサラとスモークグレネードを握る美奈。
沈黙が店内を支配して時計とお湯の沸騰する音が場を支配する、そのとき奏太は背後で車が通りすぎるような振動を感じて咄嗟に振り向いた。
「ゲッ!?」
窓の外は明らかに一変していて思わず変な声が出た、今までそこにあったはずの核攻撃で荒廃しELIDの巣窟になっていた廃墟ではなく人間が暮らす町に様変わりしていたのだ。
街の外では色とりどりの服を着た人々が行きかい、道路を車が往来していた。しかも全員ガスマスクや防護服の類も着ていない、放射能とコーラップスに汚染されているはずのここでは自殺行為の軽装だった。
思わず店内に目をやり、もう一度店の外へ。外の景色が先ほどと変わらないことを確認してからまず美奈の背中をたたいてから全員に後ろを見ろと教えた。
「のじゃ!?」
琥珀も変な声が出た、振り向いた美奈と市代とサラも言葉をなくす。外を見てからこちらを向いた4人に奏太は問いかけると、見たものは全員同じだった。
OK、これは残留思念が見せる幻覚とかじゃないしアノマリーによるテレポーテーションや遺跡のテレポーターのようなものではない。奏太はすぐにそう感じた。
一体何があったのかはわからないが、とりあえずここはどこだ?奏太は分からないことを思考の片隅に追いやり、カウンター内で興味深げにしている鉄血製ハイエンドのエージェントに似た女性に問いかけた。
「…失礼、お騒がせして申し訳ありませんが質問してもよろしいですか?」
「なんでしょうか?」
「ここはどこでしょうか?」
ゆっくりと警戒させないように慎重な言葉づかいで問いかける。すると彼女は微笑み、気負いなく告げた。
「いらっしゃいませ、喫茶鉄血へようこそ。ご注文は何にいたしましょう?」
◆◆◆◆◆◆
未知との遭遇から数分後、奏太は喫茶鉄血の一角に腰を下ろして行為で提供された資料を手に思わず空を仰いでいた。
「ペイラン島事件もなく、第3次世界大戦もなかった異世界、ねぇ?」
今まで不思議なことには遭遇してきたが、こんな前触れもなく異世界に飛び込んでしまうなんて始めてだ。
この『喫茶鉄血』の店長である鉄血製ハイエンド戦術人形のエージェント、代理人はこの手のことには慣れているらしくこちら側の世界で、世界が変わった年代の新聞を持ってきてくれてそれを教えてくれたのだ。
ペイラン島事件がなく、第3次世界大戦も起きていなかった。鉄血が暴走した事件も軟着陸しているようで、こうして代理人が店を開いているのもその為らしい。
そんな平和な喫茶店に自分たちは戦闘装備一式フルセットでヘルメットにガスマスク姿という出で立ちのまま突入してきたというわけで、どこからどう見てもテロリストそのものだった。
なのにこの喫茶鉄血の人々は驚いただけで、こうして応対してくれている。まったくもって信じられないことの連続だ。
「なんだか何もかも輝いて見えるね。見て?モスクワが絵葉書そのまんま」
美奈が差し出してきたのは、この世界の旅行雑誌で開かれているのはモスクワの特集だった。
それはあまりにもまぶしすぎた。自分が知っているモスクワは核によって崩壊した廃墟だった。地上は汚染され尽くしていて化け物たちが闊歩する世界だ。
生き残った人々はメトロに避難し、時の政府を失ってからは個々の駅でそれぞれ纏まりやがて同盟や派閥を作って争いながらも生き延びてきた。
この世界はすべてがそうなのだろう、かつて巡ってきた世界がそのまま栄華を保っているのだ。
あり得たかもしれない幸せな世界がそこにある、そう考えると奏太はなぜか居辛さを感じてしまった。
「ご理解いただけましたか?」
「えぇ、お騒がせして申し訳ありません。随分と迷惑をかけてしまって」
「いえいえ、こちらとあちらでは違いますから別に気にしてはおりません。その装備も必要なのでしょう?」
朗らかに微笑むのは同席してくれている代理人。こんなことは慣れっこだというのは本当らしい。
彼女は最初の混乱から立ち直ると、まだ事態を呑み込めない自分たちを諭してこの店の事やこういったことについて分かりやすく教えてくれた。
同時に軽い自己紹介もして、自分たちの事も教えた。おそらく向こうからしたら骨董無形だっただろうが、慣れているのは本当らしくすんなり信じてくれた。
「それとあまりかしこまらなくてもよろしいですよ?」
「じゃぁご厚意に甘えて。でも良いのか?こんな怪しい奴らを店で休ませて?」
「慣れました、それに放り出してもいい結果にはならなそうですし」
「…だなぁ」
自分たちの装備を鑑みて奏太は頷く。自分たちの格好はゴルカ4タイプのサバイバルスーツにCIRASボディアーマーを着け、バイザー付きヘルメットにガスマスク、そして銃火器や刀剣類という戦闘装備だ。
今はバックパックなどを下ろし、ヘルメットとガスマスクも脱いで席に座っているがここだけ切り抜けば紛争地帯の景色そのまんまである。
そんな連中を店から放り出したところで、起きるのは新たな混乱と警察沙汰だろう。警察とやりあうつもりはないが、もし捕まったら厄介なことになるのは確実だ。
それに今はまだ以来の途中でアウトーチに届ける荷物も背負っている、つかまって没収されるわけにもいかない。
「ところで何かお飲みになりますか?笹木一家の皆様?」
「え、いやしかし…あ、市代!今持ち合わせは!」
「え、圏内のとキャップとNCRドル…しまった!?」
「世界が変われば金も変わるなんて当たり前ではないか!?」
「げ!?ダーリン!私軍用弾薬とコインしかないよ!?」
「みんなお財布開帳!」
サラの一声で普段使いの財布を取り出して中から手持ちの通貨を取り出す、美奈や琥珀たちも同じように財布から手持ちの通貨を取り出した。
あるのはほとんどが圏内の通貨やグリフィンコインで、あとは少量の軍用5.45ミリ弾、NCRドル、キャップ、リージョンコインが主だ。
FCなどの電子マネーカード類も当然ながら使えない。円札やルーブルもあるがこれは使用している国家や組織が再生産したものである。つまりは文無しだ。
これは参った、ここから帰る方法を探すにしても何かしらお金はかかる。それなのに文無し、家なき子である。
「お代に関してはご心配なく。異世界からのお客様には、そちらの世界のお話をお代としていただいております」
慌てだした自分たちが面白かったのか、くすくすと笑う代理人は席に備え付けられたメニューを手に取って見せてくれた。
どうやら文字は元の世界と同じのようで、わかりやすい説明があるメニューはどれも美味しそうでつい目移りしてしまう。
だがそれだけでなく、驚いたのはこのほとんどが合成品ではなく天然物の材料を使ったものだということだ。
ペイラン島事件も核戦争も起きていないなら、当然の土地の汚染もなくて農地も無事だ。なら流通も戦前と変わらないのだろう。
ここではお金さえあればだれでも天然の食品を手に取れ、しかも汚染を気にしなくていいのだ。
「本当に良いのか?随分と豪華だ…あまり面白くない話ばかりだと思うが」
「かまいません、それにそこまで悩まずともいいと思いますよ?これまでこられた方々も無事に帰られていましたから」
自分たちが悩んでいることに見当がついていたのか代理人は語る。個人差はあれど、こういった来訪者は必ず元の世界に変えれるようになっているらしい。
中には何度もなんとなくでやってくる連中もいるというのだからすごい話だ。
「そういうもんなのか?」
「そういうものです、これまでそうでなかったのは…まぁありますが」
「怖いこと言わんでくれ」
「ふふふ、すみません。大丈夫ですよ、あなたたちの様子だとその例には当てはまらなそうですし」
そうは言うが本人もわかっていないのにどう安心しろというのだろう?奏太は胡乱な瞳を代理人に向ける。
「…こう考えようよダーリン、悩んだって変わらない」
「そりゃまぁ…そうだがな」
「いざとなったらいつもの通りにやればいいでしょ」
言われてみればそうなのかもしれないが…奏太はぐぬぬと言葉にできず言いよどむ。だが美奈の言う通り考えても仕方ないと割り切り、メニューを見て目に留まったものを頼むことにした。
「…ホットコーヒー、みんなは?」
「同じでいいんじゃない?天然コーヒーなんて久しぶりだし」
市代の言う通り天然のコーヒーを飲むのは久しぶりだ。変にいろいろなメニューを考えると決め辛そうだしいいかもしれない。
奏太が3人にそれでいいか問いかけると、それぞれ頷いて賛成の意を示した。
「ではホットコーヒー5つですね、少々お待ちください」
「あ、待ってくれ代理人」
「はい」
「これを受け取ってくれ、お代変わりだ」
やはりタダというのは悪い、奏太はポーチの中からZe放射能除染剤の小瓶をカウンターに戻りかけていた代理人に二つ投げ渡した。
代理人はそれをまじまじと見つめて首を傾げる、いきなり見慣れない薬のようなものを渡されたらそうもなるだろう。
「これは?」
「放射能除染剤だ、もし放射線や放射能を浴びすぎたら使うといい。大丈夫だ、人形にも人間にも効く」
「そんな薬を…高価なモノでしょう?受け取れませんわ」
「いいんだよ、自己満足みたいなもんだ。やっぱりタダでってのは気が引けてな…」
「そうですか。わかりました、お代として頂戴いたします」
「悪い、我儘言っちまって。一日一本だ、それ以上はトイレが近くなるから気を付けてくれ」
不思議なもんだ、どういうわけか話しやすい。奏太はキッチンに入っていく代理人の後姿を見ながら一息つきつつ思った。
今まで敵のエージェントとは何度か戦ってきたが、会話はどうしてもとげとげしい物ばかりだったからそう感じてしまうのだろうか。
「ダーリン?何代理人さんのこと見つめちゃってるの?惚れちゃった?」
「馬鹿言え、俺はお前ら一筋だよ」
「…ハーレムって一筋っていうんでしょうか?」
9A91の小さなつぶやきが奏太は胸に大きなとげが刺さった気がした。やめてくれ、それは俺に効く。仕方ないじゃないか、責任は取らなきゃならないだろ?
あぁでも確かに4人とか考えてみたら色々と可笑しいというかでも慣れちゃったというかもうこいつらじゃなかやだめだしでもたしかに…
「それにしても驚いたのぅ、まさかこんなことになるとは。あの遺跡以来か?」
「テレポートとかはわかるけど異世界に飛ぶとか考えもしなかったよ」
「いや、慣れてるってのもどうなのよ?というか旦那さん大丈夫?目が死んだけど?」
隣の席に移ってきて話を聞いていたUMP45が琥珀と市代に突っ込む。彼女はこの街に展開しているこの世界のグリフィンに所属しているらしい。
この街は向こうでいえばS09地区あたりになるらしく、地区の名前も同じだそうだ。不思議な偶然があるものだ、それともS09とは特異点か何かか?
周りの席にも興味津々といった様子で、偶然店にいた客たちがそれとなく席を変えて集まってきている。
「いつもの事じゃ。ま、すぐ戻るわ。話を戻すが遺跡やアノマリーは理不尽の塊みたいなもんじゃからのぅ、慣れるんじゃよ」
「危ないけどその分リターンありますからね、扱いに困って封印してたりしますけど」
「へぇ、どんなのを見つけたの?」
UMP45の問いに、サラが少し考えてから冗談めかして答えた。
「変なアーティファクトとかもそうですが宇宙船が一番困ってますかね、買い手がつかないんです」
「ははは!そりゃ扱いにも困るわ。でもそんなことして良いの?そういうのは国が管理してると思うけど」
「国が管理してるのなんて数える程度ですよ、戦争で衰退してるし新しく出てきたのもありますから」
「それに私たちが潜るのは大体新しいヤツだし、国の依頼で行くこともあるからね。その過程で手に入れてるから合法よ?」
サラの話に市代が付け加えたが、なお合法とはいえ勝手に国が管理していない遺跡に潜って持ってくることもあるのでグレーも多数ある。
国が管理していない場所は無法地帯なので罪に問われないのだが、難癖をつけてくることはあるので困ったものだ。
「それで重装備なんですね、そんなにそっちの世界ってひどいんですか?」
席の脇に置いたバックパックやガスマスクなどの装備品を興味深げに見ていたスオミの問いに美奈が頷く。
「うん、今回は別の仕事だけどね。さっきまでいたところだってELIDうようよしてたし、外気も汚染されてるから人形だって装備がなきゃ長く持たないよ」
「どんな地獄ですかそれ…」
「それ程でもないよ、場所にもよるけど人類生存可能圏外なんて大体そんなもんだし。スマッシャーだって気を付けてればそんなに怖くないしね」
それから奏太たちはUMP45やスオミ達からされる質問に答え、思い出話を語り始めた。
自分たちの世界で起きたこと、核戦争の後に起きた災厄、自分たちが今まで回ってきた世界の事、面白いことから悲しいことも。
AK-12や9A91は、こちらの世界のモスクワの事を聞くと目を丸くして驚き、そして悲しんでいた。
モスクワは核攻撃で崩壊、メトロに逃げて生き延びた人々は各所の地下鉄駅に街を作り、汚染された地上から物資を集め互いに交易したりして何とか食いつないでいる。
今は外部との交易もできるようになり生活水準は徐々に良くなってきているが、最初に訪れたときは派閥同士の内戦が起きていて危険な状況だった。
「コーラップスの拡散による生存可能圏縮小と経済打撃、それに伴う国家摩擦と第3次世界大戦…ゾッとするわね」
「核戦争なら奏太が詳しいですよ、経験者ですし」
「軍に入ってたわけじゃないがな、それにあくまで個人的主観だ。聞きたいか?なんていえばいいかな…この世界でも核はあるよな?」
「えぇ、もちろんね。ミサイルもあるし、原潜もある」
「それ全部ぶっ放した後に化学兵器も使いまくり、四方八方で互いの都市を民間人もろとも爆撃してた。かつての大都市はほぼ灰塵同然、軍も派手にやって派手に死んでいった。
当然その間に化け物どもは増える、四方八方化け物だらけになっても人間同士で戦争を6年も続けていたよ」
モスクワ、ワシントン、北京、ロンドン、シカゴ、ベルリン、札幌、奏太は旅行雑誌に紹介されていた世界の大都市を次々指差してすべてが攻撃されたと答えた。
ペイラン島事件で汚染を免れた国も都市も人間が自ら破壊して、汚染し尽くしてしまった。
「国は何も思わなかったんですか!?すごい滅茶苦茶なんですが!?」
「引っ込みつかなくなってたんだ、派手にやらかしたせいで汚染されてない無事な土地そのものが少なくなっててそれの取り合いさ。それも一応終わったんだがこれがまた笑える話でね。理由は何だと思う?」
顛末を思い出して呆れた顔をした奏太の突然の問いかけに9A91とAK-12は顔を見合わせる。
「そうね…互いに折り合いがついたから、それか白黒着いたから相手が降伏したのかしら?」
「戦争をやってる場合じゃないと気づいたから、ですか?」
「AK-12、外れ。9A91、当たらずとも遠からず。これ以上やると人類が滅亡するから、だと」
これは軍の高官とのつながりがあった両親のツテで知った話だ、当時は正直に言って呆れてものが言えなかった。
これ以上やったら両方死ぬからからやめただけで、今までのことを反省したとか考えを改めたとかいう話では全くない。
やりたいけどやれない、やっても損する、それだけでやめたのだ。だったらやるなよ、その時は呆れに呆れてそれしか思わなかったものだ。
当然ながら無理やりやめたも同然だったために軋轢と火種ばかりで、すぐに再燃して共倒れになった国も多くあった。
どこの国も国内状況は最悪の一言で一寸先は闇だ。家は破壊され、服は汚れ、食料も乏しく、しかも空からは汚染された雨が降り空気もダメなところがあった。
特に医療と食料状況は最悪どころの話ではなく、備蓄が尽きればにっちもさっちもいかなくなるところが大多数だ。
食料の生産可能な土地も多く汚染され少なくなっていたので再生産しても生き残りすべてを食わせる量ができず、医療はコーラップス感染などの不治の病が蔓延しているのだ。
誰もが生きるために必死になり、見境がなくなり、互いに奪い合うか外に求めて行くのは自明の理であった。それを止める力もないのが多数だった。
生き残った国家同士は条約や協定を結んではいたがそれも当時は疑心暗鬼もありほぼ紙くずも同然、互いに難民を押し付けあうそのさなかで一発の流れ弾で再燃して崩壊するなんてこともあった。
その煽りを食らったのは当然ながら民間人で、難民が恐ろしい数になって医療も何もかもが足りず片っ端から死ぬか化け物になっていくのだから目も当てられない。
「ひどかったよ、国が棄民も同然に設置した難民キャンプで日に日にみんなゾンビみたいになっていくんだ。感染してない人でさえ見分けがつかないひどい顔でな」
それでも最終的に国は損切のようにいろいろ放り投げて今に至った。
「日に日にみんなおかしくなっていくんだ。戦争で人手がなくなって、居住地やキャンプがどんどんと化け物にやられて、悪いほうへ悪いほうへノンストップだ。
昨日の味方が今日の敵、なんて毎日だ。軍の戦争のせいでえらい目にあったことなんて一度や二度じゃねぇ」
「昨日の味方が今日の敵?戦争じゃないのに?…それつまり」
UMP45が何かを悟ったように表情を青ざめる。どうやら勘が鋭いらしい。
「その通りだよ、UMP45。同じ化け物になっちまう奴も大勢いた、なりたくないって叫ぶ奴も大勢いた。それに一線を越えちまう連中も…とめどなく溢れかえってた」
化け物に変異してしまう人間も、同じ人間を襲うほうになった人間も、なんどもなんども、
知り合いを介錯したことなんて一度や二度じゃない。世話になった人も、命の恩人も、親友でさえも、区別はなかった。
今でも悪夢にうなされる、延々と、昔の戦いを繰り返して同じ結末を迎え続ける。いつか自分も同じようになる、そう考えない日はない。
自分でケリをつけようと、何度銃口を自分に突き付けたかわからない。
「それでも国は戦争をやったと…」
「やったやった、派手にやった、そんで人類生存可能圏内でふんぞり返ってる、自分たちがやらかしておいて安全なところに引きこもってるよ。
現実逃避するみたい昔の街すら作って生活してる。今の国土でさえ満足に管理できてねぇからPMCに地方を委託してるのにな」
「狂ってる…」
スオミの言葉は的を射ているだろう。ある時軍の高官が言った言葉と同じだ、誰かも覚えていない軍人は言ったのだ。
「あぁ、みんな狂ってる、敵も、味方も」
話を聞いていた店内の空気がどんよりと暗くなる、一歩間違えればこの世界もそうなるかもしれないとでも考えてしまったのだろうか。
一人で話を黙って聞いていた男性客はすっかりおびえてガタガタ震えている始末だ。自分もその中の一般人Aになった光景でも考えてしまったのだろう。
「…ひどい話ですね」
沈黙を破って代理人の声が店内に響く。気が付けば、湯気の出ているコーヒーカップを4つ乗せたトレーを手にした代理人が戻ってきていた。
「言っただろ?面白くないって、それに私情もマシマシだ」
「いいえ、いい経験になりました。ホットコーヒーです、お待たせしました」
「ありがとう――――これは!?」
笹木一家の面々の前に置かれたコーヒーカップの中になみなみと注がれた純粋な黒い液体、コーヒーの色と香りに奏太は思わず言葉を失った。
こんなきれいなコーヒーは見たことがなかった、香りも豊潤で今まで嗅いできた天然物とはまるで違う新鮮味を感じる。
思わず口の中に唾液があふれ出るのを感じた、香りが鼻をくすぐるたびに脳内で飲みたいという食欲が唸りを上げコーヒーにしか目がいかなくなる。
「え!?何!?みんなどうしたの!?」
ええい外野がうるさい。落ち着け、あわてるな。まずは一口、そう一口だ。奏太は口の中であふれかえる唾液を呑み込み、震えそうな右手を何とか制御してコーヒーカップを手に取り口元にもっていく。
コーヒーの香りがより鮮烈に、より濃厚に感じられる。やはり違う、今まで飲んできた天然物が霞む。
一口、ゆっくりとカップに口をつけて口の中にコーヒーを含む。普段はミルクと砂糖を入れてから飲むコーヒーだが、今はそれがとてももったいなく思えた。
◆◆◆◆◆◆
喫茶鉄血で飲んだコーヒーは絶品だった、それこそ生まれてこの方飲んだことのない美味さのコーヒーだった。
芳醇な香りに豊かな風味、酸味と甘みが混在した複雑だがまったく嫌ではない苦みが口の中いっぱいに広がってまるで飲む宝石のようだった。
あまりのおいしさに全員で無言になり、最初の一杯を全くの無言で飲み干したときには居合わせた全員から心配される始末。
その際、あまりのおいしさにすっかり夢中になってしまったことを告げると笑い話になり、そのあとは面白い話で花を咲かせた。
つかの間の楽しい時間がまるで一瞬だった、結局もう一杯お代わりしてから思い出話に花を咲かせ、途中で見たこともないハイエンド人形がやってきたりと楽しいひと時だった。
長居するのも良くないと思い、お土産までもらって店を出たらそこはあの廃墟の街だったのには面食らった。
元の世界に帰るのには個人差があるというのは聞いていたが、なるべく刺激しないように装備はしてもガスマスクはせずに店を出たものだから危うく窒息死しかけた。
「指揮官?」
「ん?何?」
「いえ、難しい顔してたので…不味かったでしょうか?」
ステンは不安そうに奏太のコーヒーカップを見やる、それを見て奏太は内心で自分を罵った。比べてんじゃねぇよバカ野郎、あっちとこっちじゃ比較するほうが可笑しいんだ。
ペイラン島事件もWW3もないゾンビも化け物もいない平和なあの世界はきっとこっちと比較してはいけない。
考えてみればこの世界の天然物とは戦争を生き残った幸運な株を何とか無事な土地で何とか増やして苦心して育てあげたものだ、あちらの様に良い空気でいい土壌を選んで育ててきたものとは土台から違うのだ。
「悪い、前に飲んだ天然物が不意に浮かんじまった。似てたんだ」
「あ、指揮官ひどーい。天然物と比べちゃダメでしょ」
「悪い悪い」
FNCの言う通り悪いことをした、あの代理人が入れてくれた喫茶鉄血のコーヒーとステンのコーヒーを比べるなんてしてはいけないことなのだ。
材料も年季も何もかも違ういわば別物なのだからどちらに対しても失礼だ。やっぱり疲れてんのかね、奏太は最後の一口を飲み干したカップの底を見つめながら苦笑して思い直す。
そういえば比べるも何も今のステンが入れてくれたブラックコーヒーを飲んだことがなかった、合成品には癖でミルクと砂糖を入れてしまっていたからだ。
「ステン、もう一杯もらえるか?今度はブラックで」
「ブラック?指揮官珍しいね」
「たまにはそういう日もあるさ」
ステンにお代わりを頼むとFNCが意外そうな顔をする。そうだ、こんな日もある。ただそれだけだ。
あり得たかもしれない世界に思いを馳せるのも、きっと今も平穏に営んでいる喫茶鉄血を思い浮かべるのも。
何度も対峙したこちらのエージェントとは比べ物にならないほど穏やかで優しい笑みをした代理人、そんな彼女のダミーであり妹のようなD。
店員として働いていたお馴染みの人形達や、偶然たむろしていた常連客達、唐突に始まった穏やかな休息だったがいい経験だった。
「あぁ…やっぱりまずいな!」
「そういうんだったら外の代用コーヒー買ってきてください!」
「すぐ飲んじまうだろうが」
「もっとです!」
「もっともっと!!」
「お酒も欲しいわね!」
はいはいまた今度な、ニコニコ笑ってねだるステン達に笑いながら奏太は首を振る。そうしながら喫茶鉄血の事をもう一度思い出した。
でもまた行きたいな。今度はこいつらも一緒で、対価になるものを持って堂々と注文できるちゃんとしたお客として。
奏太は自分が入れるよりもずっとおいしくてまずい合成コーヒーをすすりながらそう願った。
あとがき
どうも、遅筆大根です。今回は喫茶鉄血とのコラボでほのぼの…できたかなこれ。
なんというか、こいつら喫茶鉄血に入る道筋がいきなりぶち込む以外考えつかなかったです。
店内コントでやってるように金がないとかいろいろ気づくとどんどん遠くなるんすよこいつら、周りが変だとか感づいたら絶対入らない。
しかも思考回路がドルフロというよりメトロとかFALLOUTの住人寄りなので語らせるととにかく悲惨というね。
うちの場合、モスクワがメトロだったりと原作よりもひどい設定になってるので喫茶鉄血とその世界がまぶしくてしょうがないっす。
ちなみに人選は単純に印象に残ってたキャラと気まぐれです、モブがいたのはなんとなく。