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悪神日記 その一
転生日記(五年三ヶ月七日目)
突然ながら、俺には前世の記憶がある。
とくに死んだ覚えは無いのだが、気がつけば知らない空間で、知らない金髪の女性に抱かれていた。
それはもう、とんでもなく驚きはしたが、数年たった今では、どうにか現状を把握し、今世を必死に生きている。
摩耗した記憶を補完する意味も含め、これまでの五年をふり返ってみたいと思う。
今生、両親からもらった名前はロキ。
語感が良く、何となくカッコいいので気に入っているのだが、どこかで聞いたことがあるような気がしてならない。
前世のどこかで聞いたことがあっただろうか?
今世の家族構成は五人。
金髪蒼眼美女の母ラウフェイと父ファールバウティ。
ひとつ下のビューレイスト、三つ下のヘルブリンディの二人の弟がいる。
二人ともその手の趣味があるお姉さま方からは喜ばれそうな美男子で、いつも俺の後ろをトコトコ付いてくる。
兄弟が出来たのは初めてだったので、ついつい可愛がってしまう。
前世はもう子供が居てもおかしくないくらいの年齢だったので、弟というよりかは、息子を可愛がる感覚に近いと思う。
ここまで聞けば、ただの美形家族に生れかわっただけであるように聞こえるだろう。
しかし、問題はここからである。
まず、父親が人間じゃない。
常人を遥かに凌駕するその身長。
氷のように蒼白い肌。
ボロ切れを腰巻にする蛮族コーディネート。
どこからどうみても人類に属していないことが明白である。
母さんに聞いたところ、どうやら「霜の巨人」という種族に属しているらしい。
その容貌からして怖そうに見えるが、その巨体を駆使して遊び道具を俺たち三兄弟に提供してくれる育メンである。
まあ、たまにいる強面だけど実はめっちゃ優しい人(蝶○さんみたいな)だと思えばいい。
二つ目の問題はズバリ、生命の危機である。
父親が人間じゃないことでもう察してはいたのだが、母さん曰く、この世界には妖精から、ドラゴン、はては神様までが雑多に暮らしているファンタジーな世界らしい。
当然、五歳児の俺なんかが外を出歩くと化け物の餌になるのが落ちである。
だがやはり何時までも親と暮らすわけにはいかないということで、母さんが権能?の使い方を教えてくれるらしい。
権能とは、個人個人が持っている絶対的な能力のことで、母さんの場合は風を操ったり、植物や動物と会話ができるんだとか。
俺の場合は炎を操るというシンプルなものだが威力は抜群で、試しに家の周囲を散策している時に遭遇したビッグサイズの熊さんに使用したところ、瞬く間に青い炎が体に巻き付くと、瞬く間に体が炭化し、熊は犠牲になった。
正直、自分の権能のエグさに内心引いた。
その後、遠目で見ていた母さんから、使用には、時、場合、場所を考えるよう厳命され、修行がハードになったことはいうまでもない。
どうやら俺には権能を操ったり制御したりする才能があるらしく、修行を始めてから一年たった今では、大抵の化け物には負けないくらいには成長している。
まあ、問答無用で権能を使って燃やすだけなのだが。
そんな頭の悪い戦い方では、権能が通じない場合や、相手が素早い場合困るので、体術の心得がある父さんからいろいろとご教授いただいている。
図体の大きさの違いから、役にたつのかは不明だが、なにもしないよりかはマシだと思いたい。
俺が父さんと修行していると、弟が勝手に混ざってきて、見よう見まねで技術を真似してくる。
結果、弟達の技術も向上しているのは、よい傾向だと思うのだが、お兄ちゃんとしては、遊びたい盛りの四歳児と二歳児が修行に混ざる必要はないと思うのだが・・・・・
などと呟いていると、両親に「お前が言うな」と口を揃えて言われた。
解せぬ。
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