鈴ノ音異変   作:青木々 春

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どうしても、変化という物には抗えない。

初春の項。

ぴりぴりとした寒さは徐々に外の雪のように溶け、暖かな日差しが部屋に差し込む。

高校二年生での登校も残すところわずかとなり、春休みに差しかかろうとしているこの頃。

皆さまはどうお過ごしだろうか?………え?おれ?俺は…

 

「ほら、お兄ちゃん。早くかたずけちゃって」

 

絶賛妹に倉庫の片付けにこき使われているところだ。

庭に置いてある小さな倉庫。親父がバーベキュー道具や海水浴用具、いわゆるアウトドア用具をしまうのに買った倉庫だが、片付けなんて一度もしねぇ。それどころか上司の趣味に付き合ってキャンプに行くから、寝袋探しとけと言われる始末。許せねぇ…。

 

まぁ上司の趣味に付き合って貴重な休日を潰す社畜ぶりに免じて許してやるが、今度ラーメン奢ってもらおう。

 

そんなこんなで俺と、文句を言いながらも手伝ってくれた小町で倉庫から寝袋を引っ張り出したわけだが、これがいけなかった。無理に引っ張り出したもんだから、色々なものが崩れてきたのだ。見なかったことにしようと倉庫のドアを閉めようとしたが、いろんなものが崩れ落ちすぎてドアすら閉まらない。

そこを母ちゃんに現行犯逮捕で、片付けまでやらされてるって訳だ。

 

あぁ、俺の貴重な休日が…ゲームが…ラーメンが…。

 

先々週の休日は小町の買い物に突きあわされ、一日潰れた。でも久しぶりの小町と買い物だ。たまには付き合ってやるか、とシスコンを発動していると、急に俺の服を買いに行こうとか言い出しやがった。

嫌な予感を感じながらも小町の言うがままに流されると、案の定先週由比ヶ浜に一日中ららぽで振り回される始末。

そして今週こそ家に引きこもるぞー!と思った矢先にこれだ。

 

なんなの?俺妖怪にでも取り憑かれてるの?

 

「くだらないこと考えてないで、早く終わらせるよ」

 

自分の悪運強さに嘆き、天を仰いでいたら、小町に白い目で見られる。

てかくだらないって…最近妹が冷たいんですが。

 

「へいへい……」

 

原因の発端である親父を恨みながら、再度腰を屈ませ片付け始める。

この金具はどの箱に入ってた奴だ…?んでこのテントの部品は…。

 

細かいものから一つずつ片付けて行くと、何かが手に触れる。

 

そんなに大きいものではない。それどころかとても小さいものだ。

その触れたものは日の当たらない暗い倉庫に入っていたからか、手に触れた瞬間ヒヤッとした感覚が伝わってくる。

 

 

──チリーン

 

 

「…………っ」

 

決して、決して大きな音ではない。ただ身体中に響くような音に、一瞬全身が硬直する。

 

「鈴…か」

 

ごく普通の鈴だ。ただサイズは小ぶりで、キーホルダーなんかにぴったりな、そんなサイズだ。

和風を感じさせる赤と白の編み込みの紐がついており、長く倉庫に入っていたとは思えないほど綺麗だ。

 

今一度鈴を拾い上げ、紐の先についている鈴を凝視してみる。

 

紐の編み込みの先。枝分かれするように赤と白の紐が分かれていて、白い紐の方に鈴がついている。

もう一方の赤い紐には何もついていない………というより、赤い紐自体が引き千切られたように切れている。

赤い紐の先にも鈴がついていたのだろうか………。

 

「なにそれ?」

 

鈴を眺めていると、いつのまにか小町が俺の真後ろで倉庫の中を覗き込んでいる。

全く倉庫の前から動かない俺を不思議に思ったのだろう。

 

「鈴が落ちててな。いるか?」

 

答えは分かりきっているが、一応聞いとく。

小町のものの可能性もあるからな。

 

「鈴?ふーん…」

 

じろじろと鈴を見た後、興味をなくしたのか倉庫の中に目をうつす。

 

「綺麗な鈴だけど、いいや。紐が切れちゃってるみたいだし」

 

「そうか…」

 

まぁいらないですよね…。別にキーホルダーとか好きなタイプじゃないからな、小町は。

それに紐も切れちゃってるしな。これはゴミ箱行きかね。

しばらく鈴を眺めてから、なんとなくポケットに鈴をしまい作業に取り掛かる。

 

それにしてもこれ………今日中に終わるのかよ…。

倉庫の中の散らかりようを見て、俺はため息を吐くしかなかった。

 

 

 

──────

────

 

 

 

 

「あなたは……誰?」

 

誰かの声が聞こえた気がした。

いつのまにか俺の意識はどこかに飛んでいて、その声のお陰で意識がはっきりとしてくる。

やけに花粉の匂いが鼻をつつくな…。周りを見渡せば満開の桜で、目の前にはお世辞にも綺麗と言えない神社がある。

 

「…………」

 

見知らぬ土地に、見知らぬ匂い。そんな『初めて』が広がっているこの謎の世界は、それのどれもが美しい。

何処かは知らんし、夢の中かもしれないが、こんなにも美しい風景に俺は嫉妬を隠し切れていなかった。

 

「あなたよ、あなた!」

 

さっきも聞こえた少女の声が、すぐ耳元で聞こえる。

なんだ、幻聴じゃなかったのか。残念だな…せっかく一人でゆっくりこの風景を楽しもうとしていたのに。

 

「ん?あぁ、俺か…………俺は、誰だろうな?」

 

それでも、誰がいようとこの美しい風景に叶うものか。

つい見慣れないその風景にうっとりとする。

 

「なによそれ」

 

不思議そうな目で俺のことを見るだけの彼女すらも、美しく思えてしまう。

なんだろうか、本当にここは不思議な場所だ。

 

「いや、ここは何処だろうって話だ。さっきいた所と随分景色が変わったもんだから」

 

そう、こんな美しい風景見たことがない。一体ここは何処だろう。

きっとその疑問は今から彼女が解決してくれる。

 

「あなた……外来人?そうね、ここは───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん…お兄ちゃん!」

 

「ん…あぁ、小町か」

 

あれ?いつの間にか寝てたのか…。

 

「小町か…じゃないよ!もう夕飯の時間だよ。倉庫の掃除も途中で放棄して…」

 

ブツブツと小町は俺に不満をぶつけながら台所に戻る。

そうだった、片付けの最中にトイレ行ったついででソファに寝っ転がって休憩して…あれ?そこからの記憶がないぞ〜?

なんて、すっとぼけも通用しないか。小町は今まで片付けていたのだろうか…。だったら悪いことしたな。

 

「にしても、変な夢を見たような…」

 

それにソファで寝たからか、身体中痛いしな。

軽く腕を回し、ソファから起き上がる。するとポケットから綺麗な鈴の音が聞こえてくる。

 

あぁ、そういえばポケットにいれたんだったか。

 

ポケットの中を弄って鈴を取り出す。

なんの変哲も無い綺麗な鈴。これ、どうすっかな。捨てるにしてもなぁ。

親父か母ちゃんのかもしれんし、大切なものかもしれない。

どちらにせよ今母ちゃんの親父も家にはいない。確認のしようがないな。

 

俺は再度鈴をポケットに入れて、机の上の携帯に目をやる。

すると平塚先生からメールが来ているのに気付く。

 

っておい、とんでもない量来てんだが…こえぇよ。

 

で、えっとなになに?

 

─────

 

週明けの部活で『お疲れ様会』の打ち合わせをします。必ず来てください。

最近依頼がないからといって部活をサボる癖がついているようですが、今回も面倒くさいなんて理由でサボった日には…………

 

─────

 

いやだからこえぇよ。サボった日にはなんだよ。なにが起こるんだよ。

いやまぁ面倒くさいのは事実なんだけどな?

しかもサボる癖って、あんたのせいで面倒くさいことになったってのに。

 

平塚先生の提案で急遽決まった奉仕部での一年間『お疲れ様会』。

俺と雪ノ下は露骨に嫌そうな顔をして態度で示したが、一人問題児がいた。

 

そう、由比ヶ浜だ。

 

こいつはこの手の話には必ず乗る。なんたってリア充ビッチだからな。

ただいくら由比ヶ浜が平塚先生側についているとしても、所詮は由比ヶ浜だ。

頭数的には俺と雪ノ下。由比ヶ浜と平塚先生で2vs2だが、楽勝だろう。

 

なんて思ったのもつかの間、いつのまにか俺には味方が居なくなっていたのだ!

なにを言っているのかわからねーと思うが(ry

 

あいつ、由比ヶ浜結衣はたしかにこの場においては取るに足らない奴だった。

だがあいつは対雪ノ下に特化しすぎていたのだ。

冷徹で冷酷。まさに雪女である雪ノ下でも、あいつの『やろうよゆきの〜ん』の一言で溶かし尽くしてしまうのだ。

そう、その一言で『し、仕方ないわね…』とか言い出して流れが変わりだす。

そしていつのまにか俺には味方が居ないくなってたって訳だ。

 

なんだよこの悲劇の完全敗北。UC流しても違和感ねぇよ。

 

そんなこんなで奉仕部での『お疲れ様会』の開催は決定された。

本当に、面倒くさいことこの上ないがな。

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

「ヒッキー、なのその鈴?」

 

夕日の差し込む教室。

そろそろ奉仕部もお開きの時間だな…と思っている矢先に、由比ヶ浜が俺の持っている鈴に食いついてきた。

この鈴だが、結局親父でも母ちゃんのものでもなく、持ち主不明のままなのだ。

なんとなく学校まで持ち込んでしまったが、やけに美しいこの鈴は、いくら見ていても飽きない。

 

まるでこの世のものでは無いような洗練されたその美しさは、夕日に反射してキラキラと光っていた。

 

「いや、別に普通の鈴だ」

 

由比ヶ浜の質問に適当に返す。すると由比ヶ浜はそれが気に入らなかったのか、頰を膨らませいかにも私不機嫌ですアピールをしてくる。いや、実際に普通の鈴ですし…嘘はついていない。

すると雪ノ下がパタンと小説を閉じ、こちらを見る。

 

「確かに普通の鈴ね。けれどそれは打ち合わせ中もぼーっと眺めているほどのものなのかしら?」

 

少し嫌味っぽく言ってくる。別にいいだろうが、打ち合わせとか銘打って、途中で脱線しまくって違う話してるし。主に由比ヶ浜と平塚先生が。それに重要なところは聞いてたっつうの。

 

「本当それ!だから何か特別な鈴なのかなーって」

 

まぁ暇つぶしにいじってたが、周りから見ればきになるもんなのか。

 

「別に、さっきも言ったが普通の鈴だ。でもすごい綺麗だろ?だからついな」

 

そう言うと、怪訝そうにこちらを見てくる二人が俺の視界に映る。

なんだよ、変なこと言ったか?

 

「確かに綺麗だと思うけど…」

「そうね、でもそこまでかしら…?」

 

どうもこいつらは俺の鈴の過大評価に引っかかっているらしい。

別におかしいことじゃないだろ。実際今まで見たものの何よりも綺麗だと俺は思ってるし。

もしかしてこの鈴を異常に綺麗だと思ってる奴俺だけだったり?昔小町にもセンスないって言われたしな…。

まじか、ちょっとショックなんだが…。

 

「うーん?そこまでかなぁ?」

「…………」

 

俺が小さなショックを受けている間にも、彼女らは俺の持っている鈴をじっと見つめている。

まだ俺が異常なまでにこの鈴を評価する理由に納得出来てないようだ。

こんなにも綺麗なのにな…………。

 

「まぁともかく、今週の日曜に買い出し行くんだろ?」

 

脱線しまくってた打ち合わせの話の概要を纏めると、二人は驚いた顔で俺の方を見て…

 

「話………聞いてたのね」

 

 

 

 

おいこら。

 

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

日曜日。何故だろうか、4週に渡って俺の休日が潰れているのは…。

4週にってお前、約1ヶ月だぞ。1ヶ月分の休日を俺は失ったんだぞ?もう3月に入っちゃったよ。

そして今日は打ち合わせの時に決めた通り来週、いや、月曜日だから今週行われるお疲れ様会の買い出しに来ているところだ。

 

実際買い出しってなに買うんだよ。一応校内でやるわけだから、買えるもんも限られている。

奉仕部3人で買いに行くもんじゃないだろ…。

 

「見て見てヒッキー!これ可愛くない?」

 

案の定由比ヶ浜は全く関係のないものを手にとっては目を輝かせてるしな。

 

「あーうん。カワイイナー」

 

「反応が適当すぎるし!」

 

いや、だって。今の女子高生が可愛いとか言ってる奴って、どうも分かんないんだよな。

キモカワ?ブサカワ?よく分からんが、完全に矛盾してんだろ。

一回文字に起こして読んでみろよ。本当に意味わかんないから。

 

そして雪ノ下はずっとペットショップから動かねぇし。こいつら真面目にやる気ないだろ。

たまに隣のゲージで犬が吠える度にビクビクしてんのは癒されるがな…。

 

「んで?結局何買うんだよ」

 

「あー、そうそう!飾り付けと、ジュースとお菓子と…」

 

あー、そうそう!って…。こいつは本当に大丈夫か?

それにジュースとお菓子ね…これ校内でやるんだよな?

なに?平塚先生ってそんな権力者だったけ?少なくとも雑用を任されるくらいは下っ端だと思ってたんだが…。

 

「んじゃさっさと買いに行くぞ」

 

「…………」

 

そう言うと、何故か由比ヶ浜にニヤニヤした顔で見られる。

…………んだよ。

 

「なんだその顔、気持ち悪いぞ?」

 

「キモっ…!?ひ、ヒッキーの方がキモいし!」

 

あー、悪かった悪かった。だからそう大声出すな。目立っちゃうから。

顔を真っ赤にしてプンスカしている由比ヶ浜をなだめながら、目的地に向かう。

 

「もう、そうじゃなくて!ヒッキーもちょっとは変わったなって」

 

歩きながら落ち着いた由比ヶ浜が再び俺に話しかけてくる。

 

「あ?どこかだよ」

 

変わったねぇ…。そんなつもりはないがな。

ってか変わりたいとか未だに思ったことないし。

奉仕部に来たばかりの時に雪ノ下に言った言葉。

 

『変わるのも現状からの逃げだろ。』

 

この意見も変わったわけじゃない。嫌気がさすこともあるが、俺は今の俺で満足している。

だいたいその元から持っている性格を捻じ曲げてまで、何かを欲することなんてまずない。

 

「だってさ、こういうの前のヒッキーだったら絶対やらないだろうなーって」

 

前の俺なら絶対やらないね…。

 

「いや、今回だってやりたくねぇよ。ただ強制だから早く終わらせたいだけだ」

 

俺に拒否権なんて全くないしな。拒否なんてしてみろ。きっと俺の腹に鋭いパンチが飛んでくる。

さりげなく言っているが、あれ結構痛いんだよな。

 

「………そっか、そう言うことにしといてあげる!」

 

すると俺の顔を覗き込むようにして、由比ヶ浜はニコッと笑う。

そして彼女は俺に背を向け、何も言わずに立ち止まる。

何か迷っている風な彼女を俺は怪訝そうに見つめる。

 

「いつかさ、こういうの二人でしたいなぁ」

 

顔は見えない。一体どういう心情で、彼女はその言葉を口に出したのだろうか。

そして今俺はどんな心情なのだろうか。どんな顔をしているのだろうか。

ただ少し喜んでいるのは事実だ。きっと由比ヶ浜はこの言葉を口に出すか否か迷っていたのだろう。

ただそれを押し殺すことなく言ってくれた彼女が、なによりも嬉しかった。

 

「約束は………絶対にしないぞ?」

 

それでもできるか分からない約束なんて絶対にしない。その分また俺に重荷がかかってきてしまうから。

きっと俺は約束を果たせない。

そして約束を果たせなかったその時、きっと彼女は俺のことを笑いながら許してくれる。

それがまた大きな重荷になるのだ。罪悪感という大きな重荷に。

 

そして彼女も傷つけてしまう。

 

同時にお互いが傷ついてしまうのだ。

想いっていうのは存外強く、約束なんてものはその想いに繋がる。

もしここで約束してしまったら。きっと彼女は悲しむ。

 

彼女が俺の元を去る時が来たのなら、その時こそは清々しく去れるように、今から作らなくてはいけない。このぬるま湯の関係を。

 

「うん…それでいい」

 

未だ顔を見せずに頷く由比ヶ浜。

しばらく二人の間に沈黙が続くが、いずれ由比ヶ浜はスーパーの方へ走り去って行ってしまった。

 

おいおい、雪ノ下置いて行くなって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、雪ノ下」

 

由比ヶ浜が先に向かってしまったので、仕方なく俺が雪ノ下を呼びに行く。

こいつまだペットショップにいるよ…。

 

「ッ〜…!ひ、比企谷くん。驚かせないでくれないかしら?」

 

いや、驚かせたつもりはなかったんだがな…。

まぁ猫のゲージの前にいるという事は、そこは必然的に犬のゲージは近くだ。

犬が苦手な雪ノ下からしたらほんとうの天国と地獄ってやつだろう。

 

「悪かった。由比ヶ浜がもう行っちまったから呼んだ方がいいと思ってな」

 

一応謝っておく。

 

「そう…、分かったわ。今すぐ行くからちょっと待ってちょうだい」

 

と言いながら再び猫のゲージの前に座りなおす。

おいおい、まだ戯れるつもりかよ…。

仕方ない、雪ノ下がにゃんにゃんしている所をしばらく見つめるか。

 

猫に威嚇されて悲しそうな顔をしている雪ノ下に、猫に甘えられて幸せそうな雪ノ下。

そして犬に吠えられてビクビクしている雪ノ下。

ちゃんと見たことなかったが、こいつこんなに表情変えるんだな…。

 

そうやって観察していると、いずれ雪ノ下は真剣な面持ちになる。

 

「比企谷くん、あなたは私の事を変わったと思うかしら…?」

 

脈絡もなく、弱々しい声。全てが雪ノ下らしくない。

彼女はこちらに目を向ける事なく、その視線はまだ猫に向いている。

 

「私は…多少は変わったと思ってるわ。けれど…その…」

 

彼女の目が泳ぐ。

 

「………」

 

なんとなく、なんとなくだが言いたい事が分かる。

俺からの視点で、彼女は変わった。自分の感性のフィルターで物を見て、自分だけの王国を持っていた彼女は、今や由比ヶ浜の影響なのか、柔軟性が高くなった気がする。

 

「変わったんじゃねぇの?」

 

「そう…よね」

 

俺がそう答えると、彼女は俯くように下を向く。

 

「……ただ」

 

ただ、その彼女彼女の柔軟性は人並みには届かない。

だって彼女の根本は決して変わっていないから。

頑固で負けず嫌いなそんな性格は、一切変わっていないから。

 

「そのキツイ性格は全く変わってないけどな」

 

もし彼女が過去の自分を恥じているなら。

それは自身が成長できている証拠だ。

しかし自分を恥じるという事は、決して彼女の性格が許さない。

なぜなら彼女は昔も今も、自分が正しいと思った選択をしてきたのだから。

 

「………そう。ふふっ、そうね。行きましょうか」

 

「……おう」

 

少し駆け足で雪ノ下はペットショップを出る。

いつのまにか、俺の少し先を行ったところに、由比ヶ浜と雪ノ下が並んでいた。

 




これが投稿されている時私は、新しい学校生活に悲鳴をあげている事でしょう。
一応連載にしてるけど、続くかは分からない。
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