楽羅來ららちゃんは語りたい   作:那由多 ユラ

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第9話ね語りたい

 

「あいつ、朝っぱらからなにしやがった」

 

白、白、白。

 

私こと絢美加奈が目を覚ますと、辺り一面が白で埋め尽くされていた。

 

原因と思われるららは……

 

「マジごめんなさいなーちゃん。いやもうほんと、この身を自由に犯し尽くしていいのでお説教は勘弁してください」

 

どうしようもなく綺麗な土下座をしていた。

 

「おいらら、何をどうしたらこうなんのか吐きやがれコラァ!」

 

「いえ、えっと、その…」

 

「アァ?」

 

「ちょっと…その…ソシャゲのガチャで大爆死かましましてですね」

 

「ほぅ?」

 

「溶かした額が八桁にまで至りまして…」

 

「はぁ?」

 

「もうこんな世界滅べとか思ったら、ちょっと能力が暴走しちゃいまして…

かろうじて隣のベッドだったなーちゃんは守れたのですが…」

 

「…もうツッコンでいいか」

 

「…どうぞ」

 

「馬鹿だろお前!なんだよ課金額八桁って!八桁つったらあれだろ!?一、十、百、…千万!?やめろよそんなクソゲー!その金どっから出したんだよ!んでもって世界滅ぼしたぁ!?他のバケモン共はどうしたんだよ!世界滅ぶ程度で死ぬのか!?」

 

「いやまぁ、所詮人間なんて世界規模で見れば細菌や微生物と同じようなもの。土や岩と同じ構成物質であり滅亡対象だということでしょう」

 

「ことでしょう。じゃねぇよ!これからどうすんだよ!」

 

「どうするも何も、どうしようも無いでしょう。世界を創り直すにしてもそのためには世界と世界で無い部分の境目を理解し、創らねばなりません。そうしなきゃ穴の空いた風船のようにみるみる縮んでしまいますから。

創れるものに限界がないというだけで私の脳はそこまで万能ではありませんよ。スパコン程度の演算速度すらもなければ記憶力も容量もありません」

 

「いやほんと、どうすんだこれ。地面の材質もよくわからんが食いもんはどうにかなるとして、いやほんと何したらいいんだ?」

 

「仕方がありません。私となーちゃんで『アダムとイブ』と洒落こみましょう」

 

「洒落こまねぇよ。生産性皆無だろうが」

 

「ペニスなら創れますが、なーちゃんはアダムとイブ、どちらをやりたいですか?」

 

「生産性を創るな。今すぐにでもお前を殺りてぇよ」

 

「てぇてぇですか?」

 

「てぇてくねぇよ。…おい待て、てぇてぇてなんだ」

 

「『てぇてぇ』とは、素晴らしい・最高といった意味を持ち、素晴らしすぎてその感情を表現する語彙力を持ち合わせていない際に使用されます。尊いという言葉を訛らせたもので、掻い摘んで言ってしまえば『萌え』の上位互換です」

 

「…おう、とりあえず私の今の感情はそのてぇてぇとは対義語だ」

 

「どうどう、落ち着いてください。どうどう」

 

「馬じゃねぇよ。蹴り飛ばしてやろうか」

 

「なーちゃんのお尻を無知で叩くのもいいですが、どちらかと言うと犬のように顔を埋めたいです」

 

「やめろ。鳥肌が立つ」

 

「鶏が先か卵が先かって話がありますが、今私たちは鶏な訳ですし」

 

「卵も子供も産む気はねぇよ」

 

「では私が孕みます」

 

「単為生殖くらいお前なら出来るんだろうけど子供も面倒も今増やすな。全部片付いたあとに一人で勝手にやってろ」

 

「でも今暇ですし…。子育てなら年単位で暇をつぶせますよ」

 

「お前今すぐ全国のお母さんに焼き土下座してこい」

 

「その全国のお母さん滅びましたけどね」

 

「よし、焼肉しろ」

 

「自分で肉削いで焼きながら謝るって、どんなプレイですか」

 

「真っ先に焼肉を奢るじゃなくて自分を焼肉にするって発想に至るサイコバカを初めて見たよ。全国のお母さんのの並みに狂ってんじゃねぇか」

 

「でもほら、日本には指を切り落として謝る人もいるみたいですし」

 

「終わってんな日本。んな事しても能率落ちるだけじゃねぇか」

 

「そうなりたくないが為に意地でも能率をあげるんです。結果、プラスマイナスゼロというわけですよ」

 

「極道も楽じゃねぇな」

 

「一部が楽するためにその他大勢が身を粉にして働く。そうして出来るのが文明ですよ」

 

「そんな全人類が目を逸らしたくなるような三分クッキング初めて聞いたわ」

 

「何かと差をつけて競い合い落とし合う差別社会。それこそが一番効率よく優れた文明を創る近道です」

 

「その文明を創る人類、今居ないけどな」

 

「そうでしたね。どうします?ジェンガでもしますか?」

 

「らら、お前には緊張感とか危機感とか無いのか?」

 

「現状ありませんよ。なーちゃんがいますから」

 

「お、おう。真顔でそういうこと言うんじゃねぇ」

 

「あ、いまもしかしてなーちゃん照れました?ねぇ照れました?」

 

「ウザイ黙れ。ドミノにするぞ」

 

「抽象的に脅されると怖いですね。いま危機感がピューピュー出てます」

 

「そのまま萎んでろ」

 

「私は水風船ではありませんよ?…さてはなーちゃん、私を人間だと思っていませんね?」

 

「おう、よく分かったな。その通りだよ」

 

「くっ、私の心が傷つきました。これはなーちゃんのお尻に顔を埋めないと立ち上がれません」

 

「尻に敷いてやろうかコラ」

 

「下から舐めまわしますよ?」

 

「人間ウォシュレットやめろ汚い」

 

「……」

 

「……」

 

「なーちゃん」

 

「なんだよ」

 

「暇ですね」

 

「そうだな」

 

「……」

 

「……」

 

「なーちゃん、百億円当たったら何しますか?」

 

「今なら積み重ねてピラミッド作るな。

らら、お前無人島に何か一つ持ってくなら何持ってくよ?」

 

「海底まで潜れる潜水艦か宇宙に行けるロケットですね。まだ見ぬロマンを追いかけます。なーちゃんはどうですか?」

 

「ダイニングキッチン。店開いて人を呼んでやる」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「料理に慣れてきた頃にな、ミキサーをいい感じに止めたらみじん切りに出来ると思ったんだよ」

 

「えぇ」

 

「それ以来玉ねぎベースに味を調整したソースが一週間くらい大ヒットしたんだ」

 

「みじん切りには失敗したんですね」

 

「思い出した頃にはひき肉はダメになってた」

 

「ハンバーグを作ろうとしたんですね」

 

「その時に初めて能力が発動してミキサーが合い挽き肉になった」

 

「じゃあハンバーグ作れたんですね」

 

「ああ。それ以来私はミキサーを信用出来なくなった」

 

「ミキサーもまさかひき肉にされるとは思っていなかったでしょうね」

 

「……」

 

「……」

 

「らら、1回限定で押したら5億円貰えるけど性別が変わるボタン、あったら押すか?」

 

「さぁ、どうでしょうね。創りましょうか?」

 

「いや、いま創られても押さねぇよ」

 

「……」

 

「……」

 

「なーちゃん、人生を72年として、それを1日にすると18歳頃の年齢は朝の6時頃だそうです。

それなのにまだ6時前なのにどうしようもなく暇を持て余してる私たちって、どうなんでしょうね」

 

「夜型なんじゃねぇの?」

 

「なーちゃん、あなた天才ですか」

 

「んな事考える暇あんならこの状況どうにかしてくれ」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「なーちゃん、タヌキってネコ目イヌ科タヌキ属らしいですよ」

「…どれだよ」

 

「タヌキです」

 

「らら、お前暇すぎて脳内図書館で立ち読みしてるだろ」

 

「バレましたか」

「……」

 

「……」

 

「…ワニって、子供のワニが鳴いてると大人のワニが寄って来るらしいですよ」

 

「…リンチか?」

 

「欲しかった反応と違う…。ワニの泣き声ってインベーダーゲームの『キュイン、キュイン』って音に似てるらしいです。

だから、ワニに包囲されたくなかったらワニの傍でインベーダーゲームはしない方が良いそうですよ」

 

「らら、ワニ肉のステーキって食ったことあるか?」

 

「なるほど、なーちゃんにとっては撒き餌のようなものでしたか」

 

「食べ放題だな」

 

「あ、でもそこには電源が無いと思われます」

 

「……」

 

「……」

 

「変なメールに添付されたフォルダを開いて、ウィルス感染してケータイが死んだ事がある」

 

「なーちゃん、意外とおバカだったんですね」

 

「件名が『キャベツが職務放棄しました』だった」

 

「ごめんなさい、多分私もそれ来てたら開きました」

 

「……」

 

「……」

 

「まだ学校に来る前の話なんだが、テレビ点けたら『マシュマロGカップ』とか言ってて、母親の胸を本気でマシュマロだと思った私は服ひん剥いてかぶりついた」

 

「…性欲旺盛な子だったんですね」

 

「そこで食欲旺盛って言わないあたりお前だよな」

 

「……」

 

「……」

 

「暇ですね」

 

「ほんとどうにかしろよ、お前」

 

 





世界が無くても小説は書けます!←多分書けてない
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