現実と夢との邂逅 (Stop the story!) 作:四条院 葵
プロローグ
それは、物語の始まりの日だった。
従姉妹の家で夏休みの初め、ハリポタ最終巻について話し、ちょうど一段落ついたそのとき部屋に女性が入ってきた。
淡い栗色のウェーブをシュシュで纏めた見た目20代、そこそこかわいらしいその女性が。
「華蘭ちゃん!沙都ちゃん!お掃除を手伝って♡」
「ハートを入れるなハートを・・・今年で45のおっ・・・。」
〈ガンッ‼〉母の攻撃
〈グフッウ‼〉沙都頭に40のダメージ
「何か言った♡?」
「いいえ!何もないです母さん・・・。」
精神に20のダメージ
相変わらず見ためとのギャップが激しいなぁ・・。
「了解しました。叔母様。」
内心を隠し私はニッコリと笑った。
2人の任された掃除場は敷地内の蔵だった。
「手伝うのはいいけど、何年くらい掃除してないわけ?」
「さあ・・かれこれ10年くらいは確実にしてないな。」
掛け声を上げながら、中のものを外に出していく。
すべてのものを出し終え一つ一つ埃を払う作業をしているとき、
「沙都!さっきね!興味ある本があったんだけど・・。借りてもいい?」
「最近のでなければ・・・というか物によるな」
どれだ?と仕草で尋ねながら、
華蘭の指の先を見る。
「それかよ!まぁ、いいけど。確か…2年ほど前に親父が買ってきたやつだな。プレミア価格で高かったらしいぞ」
ああそれか・・と目を丸くし答える。
「なんで、叔父様の書斎に置いてないの?」
「置けないんだよ!それ買ったせいで・・・家計に大打撃‼
・・・・・母さんに殺されかけたんだぞ親父が。その時の恐怖がそれを見ると思いだされるから・・・。」
真っ青にしながらガタガタ震える沙都。
「だから置けないんだ。」
「・・・元ヤンの両親持ってて、苦労することあるんだね。」
「ほとんど常識外だがなっ!」
やけっぱちに叫んでいるが、目に雫がたまっているのがわかり切なくなる。
小1時間経過
箱の外の埃も拭き終わり、倉庫の中もすべてきれいにし、目録と箱の中のものをチャックしていく。
中のものをチャックしていると、
「華蘭!ちょっと見てみろよこれ!」
差し出された物を見ると…。
「沙都、それ読めるの?」
古い羊皮紙?だった。
書かれている英文をさし疑問を口にした。
「えっ?読めるって何をだよ!何も書いてないじゃないか。」
はっ?
「羊皮紙ってハリポタっぽいよなぁ・・・と思って見せたのに!!」
って、
「沙都それに書かれている英文見えないわけ?」
「どこに書いてあんだよ!そんなもの。」
普段なら私は夢の見すぎだと自分にあきれる。
しかし、私に見えて、沙都に見えない・・・・。
今回は好奇心に負けた。
「雰囲気のある羊皮紙だね。ちょっと貸して。」
貸してもらい、先ほどとちがい、太陽に透かせてと沙都が見えるよう位置を変えた。
「うっそ!MAJIDE?なんか、うっすらとみえる・・・でも英文に見ないorz。」
「・・・英訳をきくと信じられないと思うよ。
『リンクス・グリフィンドールとぺオン・スリザリンがここに記す。
これは、私たちの生まれ故郷に行くことができる、地図である。
私たちは、ちょっとした実験の手違いでこの世界に来てしまった。
私たちの故郷には、こことは違い魔法が存在する次元である。
もし未知の世界へ行ってもいいともー!!という子孫に?告ぐ。
もし行けたら、私たちは幸せで、周りの人間がウザがられる位幸せな結婚生活を送って、奇想天外な行動で周りを巻き込み、優雅な生活を送ったことを知らせてほしい。
親父たちがつくった、学校ならたぶん私たちのことを知っている関係者が居ると思う。その学校の名は・・・『ホグワーツ魔法魔術学校』である。
ちなみに行くには、合言葉と鍵が必要。この紙の文字は、限られた者つまり確実にあちらに行っても困らない程の能力を保持しているのが条件である。つまり私たちの血筋の者であることが第一、次に英語が話せる者にしか読めないのでご注意を。』」
「マジで?」
沙都はこれでもかというほど目を見開いてその羊皮紙を見つめていた。
「嘘ついてどうするのよ?」
「ってことは華蘭は行けるのに・・・俺はいけないと?」
なんとも声をかけたくなくなるくらい落ち込む姿を見てため息をついた。
『行っても困るだけで、行けないとは一切書いてないし、うっすらとは見えるのよね?』
『英語話せないなら行けても意味ないじぇねーか!!』
悔しがる姿を見せる沙都をため息一つでスルーし、残りを片付けた。
片付け終えても拗ねている沙都を宥め私が、急に居なくなったときの対応と事後処理を依頼し帰った。
『ホグワーツ逝き☆』
私は、紙に書かれていた地図を元に戻し、イギリスに住んでいる父方の親族が有している家を探し当てた。
家と言っても、かなり広く、ひと昔前の貴族が住んでいたカントリーハウスというお屋敷だ。
地図を頼りに進むとそこは、地下室だった。
地下室を実際に見つけると、肩にかけてある鞄をギュッと握った。
「あった・・・。」
緊張のせいか手に汗が出る。
重い物がたくさん入った鞄を持ちなおし、地下室へ足を進める。
暗い階段を降り終えると、途端部屋が明るくなった。
部屋には机と何やら不思議な色をした瓶が並んだ戸棚があった。
机の上に置かれていた羊皮紙を手に取る。
こっちに来てからも沢山研究したのを見ると本当に記述通り科学者タイプらしい。
・・・でも完成はしてない物もあるみたいね。動物の話がわかるようになる薬や魔法などの研究がまだ途中であった。
親切にも材料の棚欄には名前がきっちり記載されている。
移動用の魔法の材料は人数が10人までで、使用できる回数は多分37回?多分って大雑把な。材料なり、平らな場所なりをしっかり準備できればどこでも魔術の使用が可能であることこちらに戻ってくるときには対となる共鳴石を戻る場所に置いておくこと。
共鳴石のある場所に対となる共鳴石は戻る仕組みになっている。ただ、何故だかわからないが、行く時は共鳴石なしに行けるらしい。試しに帰ってみたことがあるらしい。駆け落ちの手前実家には帰れなかったらしいが。考察の欄に魔法界だからか?姿現しの時のように考えた場所にさくっと行けたらしい。
溜息をつきながら羊皮紙に書かれているとおり、戸棚の特殊なチョークで魔法人を描く。
其の際、チョークで書く前に持っていたノートにその図柄を写しずっしりと重くなった鞄に入れた。
魔法陣を床に描き説明通りに、中央へ。共鳴石とやらを鞄に入れ、中央で最後の仕上げにチョークの粉を振りまく。
振りまいた瞬間、光が魔法陣から溢れ出、目の前の光景も地下室とは異なる光景になった。
「…成功?」
正直驚いた。従姉妹の家で偶然見つけた羊皮紙をあてにし、地下室までみつけ魔法陣を描いたのはいいが・・・本当に場所が変わるとは・・・。
周りを見渡すとここは、広くて美しい円形の部屋で、沢山の物音で溢れていた。
壁にはなぜか眠っている肖像画が飾られていて、机の上にはとても不思議で綺麗なものがたくさん置かれていた。
取りあえずどうしよう。
ここがホグワーツなら肖像画に話しかけるのに・・・。
違ったら只の変人だよ!!
もんもんと考えていると、いきなり後ろから声がした。
『おいそこの子供ここで何している?』
驚いた。
いきなり声をかけられたのもそうだが、振り向き相手を見るとなんとあの!
あのっ!セブちゃんそっくりな人物が立っていたのだ。
『おい聞いているのか?見たことがない生徒だがここで何をしている。校長に呼ばれたのか?』
眉間にしわを寄せ、いかにも不機嫌ですって感じをのオーラを流しながら。
『・・・申し訳ございません。私もなぜかいきなり、このような所に。
いきなり周りの様子が変化して気付いたらこちらに。』
コスプレイヤー!!と叫びたいのをこらえ現状の報告をした。
『そんなわけないだろう!ここは姿現しもできないはずだぞ。』
『・・・・すいません。ちょっといいですか?』
だめだ・・・。我慢できない。
『なんだ?』しかめっ面をしながら言うコスプレイヤーもうちょっと、にこやかに話せばいいのに。
『その格好・・・コスプレですか?ちなみに姿現しってなんですか?』
『違うわ!』
即座に切り捨てられたが、こちらから見れば変なコスプレ親父だ。
『コスプレにしかみえませんけど・・?』
胡散臭そうな眼差しで相手を見つめた。
『コスプレではないわ!!』
汗を流しながら、否定を続けるスネイプらしき人物はともかくスルーし、
溜息をはきながらいった。
『まぁ・・・それはどうでもいいですので。』
一拍置き今度はで
「ここがどこで、さっきおっしゃっていた校長先生?は今どちらにいらっしゃいますか?」
セブルスらしき人物はマジマジと華蘭を見つめ、重い溜息をついた。
『嘘か本当か・・・まぁどちらにしろ一応説明しよう。』
直に戻ってくるということ。
日本語で話したというのにこのスル―さ。 ちなみに・・・説明を聞いている間、気づいてしまった恐ろしい事実・・・
最初に気づいたのは手の大きさだった。
次は手首の細さ。
心なしか服も大きく感じる。
小首を傾げ、考え目の前のスネイプ先生?に尋ねてみる。
一応通じなかったら困るので、英語で。
『すいませんが、今私何歳くらいに見えますか?』
『?』
『8歳か7歳くらいに見えるが?ずいぶん大きな服を着ているが・・。』
それがどうかしたのかといぶかしむスネイプ。
やっぱりかぁぁっ!!なんでだよ!ああ神様仏様私は何かわるい行いをしたのでしょうか?
酷いひどい・・・。本当何年縮んでんだよ!
いじいじと落ち込んでいた時、
『セッセブルスや・・・目の前にいる女の子は一体…
いっいやいいんじゃ、セブルスわしはおぬしがロリコンになったと報告して来ても変な眼や差別はせんぞ!』
わ~おちゃめだな・・・。このおじいさん。
『・・・!違います!そんな趣味吾輩にありませんぞ!』
一瞬呆気にとられ次の瞬間全力拒否。
思わず、私はこう言った。
『このおじちゃんに美味しい物あげるからついておいでっていわれたの!!』
満面の笑みでこうのたまう私を思いっきりセブルスものどきは睨み、必死に校長?に弁明しているのをみて私は多少溜飲が下がる思いだった。
仏頂面で子どもに対応して、なおかつそんな趣味呼ばわりされたのに一瞬腹を立ててしまったのだ。
という訳で、駆け落ち物を開催します。
セブルスがロリコンになるかどうかは私の匙かげんにかかってます。
セブルスの明日はどちらでしょう?
駄文ですが、おつきあいくださると嬉しく思います。