Stand in place!   作:KAMITHUNI

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第11話 まさか……。 前編

─────4/25(土) 国地館高校 第1グラウンド─────

 

8回裏 ノーアウトランナー無し。

 

ツーストライクワンボール

 

─────ズバァァァァァァァーーンッッッ!!

 

審判「す、ストライークッ!! バッターアウトォォ!!」

 

国地館4番打者「は!?(ここで、インズバ!? マジでキチガイだろ!? )」

 

ガヤガヤ……

 

国地館OB1「おいおい、速すぎねぇか!? なんだあのボールは!!」

 

国地館OB2「しかもあの緻密に制球されたインコース高め……あんな奴からどうやって点を……ヒット打つんだよ!」

 

国地館OB3「これが、徳修と八大三校を完全試合で仕留めた怪物ルーキー……『成田 空』か!! 噂に違わぬ豪腕だ!!」

 

6番 ピッチャー 成田空(1年)「……なんか、視線が痛いなぁ」

 

3番 ファースト 結城哲人(2年)「ナイスボールだ空。周りの目は気にするな、その内治るさ」

 

8番 ショート 笠元剛(2年)「せやせや、良いボールは行ってるんやし、打たれたわけやあらへんやろ? 気にせずいつも通りに投げたったらええねん」

 

5番 サード 村井豪士(2年)「うむ! 一つずつ行こう! 成田!」

 

2番 セカンド 舘本正志(2年)「……ナイスボール」

 

1番 センター 秋野咲耶(2年)「ほら! もっとコッチに打たせてきてもいいんだよ!!」

 

9番 ライト 田中次郎(2年)「あぁ、だいぶ暇だ」

 

7番 レフト 帯刀悠馬(2年)「はぁ、外野フライも外野前に落ちるヒットもねぇとか、ホントとち狂う……」

 

4番 キャッチャー 咲山大地(1年)「まぁ、大方先輩達の言う通りだ。テメェは俺のミットにボールを投げ込むことだけ考えるだけでいい! 変に色気出そうとすんな。普通に投げたって、テメェはこの場で『最強』だ。自信持ってけよ! ワンナウトランナーなし!! 奪三振は16だから、そろそろ打たして取らせていきます。先輩方、よろしくお願いします。 シフトは引っ張り警戒で、5番は典型的なプルヒッターです。球足が速いのが来るかもしれませんし、もしかしたらドン溜まってしまうかもしれません。 そこだけは気をつけてください─────」

 

空「わかった! わかったから、そんなに一気に言うな!!」

 

 

羽丘|401 220 11➖|11

国地|000 000 0➖ |0

 

羽丘高校オーダー

1.中 秋野咲耶 (左打ち)

2.二 舘本正志 (右打ち)

3.一 結城哲人 (右打ち)

4.捕 咲山大地 (左打ち)

5.三 村井豪士 (右打ち)

6.投 成田空 (右打ち)

7.左 帯刀悠馬 (右打ち)

8.遊 笠元剛 (左打ち)

9.右 田中次郎 (左打ち)

 

国地館監督(諜報部隊から聞いていた以上にマズイ投手だ。唸りを上げて浮き上がると錯覚させる【神童】ストレートに、チェックゾーンを越えて変化する彼の鋭いスライダーとカットボール。右打者から逃げる様に沈む事で驚異的な威力を誇るSFF。そして、ギアを落とした時に多投されるムービングファストの軌道は予測不可能。時折混ぜられるカーブには視線を釣り上げられ、緩急としてもかなりの効果を発揮する……当然、息をするようにバックドアと✳︎フロントドアを使い分けられる)

 

✳︎フロントドア……インコースのボールコースからストライクコースへと変化する変化球。

 

国地館監督(はっきり言って、攻略不可能。撃墜不可能の神翼だ)

 

ギシリと自前のキャンプ椅子に腰を下ろして、背中を預ける監督に周りの選手たちは少なからず動揺と焦燥にかられる。

こうなった時の監督は非常に機嫌が悪いと評判があり、この後のミーティングで激昂されるのが定番なのだ。

 

国地館5番打者(ヤバイ!! 監督が大分お怒りだ!! せめて、せめてヒットを打たなきゃ!! ストレートに押し負けない様にテンポは早めに振る!!)

 

ガギィン!!

 

審判「ファールッ!! ツーストライクツーボール!!」

 

国地館5番打者(当たる!! 当たるぞ!! タイミングも合ってきたし、よくよく考えたら、コイツの緩急はカーブだけだ! 要するに大きく逸れた球はカーブって事!! いける!! 行けるぞ!!)

 

国地館5番打者「おっしゃぁぁあ!! こいやぁぁぁあ!!!」

 

分かりやすく調子に乗る国地館の5番。

だからこそ、5番なのだと理解してほしい。

狙いを顔に出す打者は二流。そして、二流の考え程、一流は読み取りやすくなる。

 

大地(……じゃあ、高校初お披露目してやろうぜ? 空。分かってると思うけど、この球を使うってことは他の高校にも御披露目するのと同じだ─────高々に宣言しろ! テメェにあるのは本物のストレートだけじゃねぇってな!!)

 

 

空「っ!! へ! そうこなくちゃなぁ〜。行くぜ、大地!!」

 

ワインドアップからの5球目!

いつものように深く踏み込んだ右脚に体重移動を開始し、左脚で地面をしっかり蹴り上げる。

右手は壁にして、左腕を極限までムチのように撓らせる。

そして、球持ちよく遅れてきた腕を0から100へと全開に振り切る!

 

空「ラァッ!!!」

 

シュボッ!!

 

国地館5番打者(おっしゃ! 来た! ストレート─────ッ!?!? おい! 待て!!? 思ったよりボールが来ねぇ─────ッ!! ヤバイ!? バットが止まらねぇ!! これは─────!?)

 

スッ─────

 

ズパァン……ッ!!

 

空「へ! 今のは完璧だぜ!!」

 

大地「ナイスボールッ!!(相変わらず変態ブレーキだな……全く、サイン出した俺まで一瞬騙されちまったよ……!)」

 

審判「ットライークッッ!! バッターアウトォオオオオ!!!」

 

国地間監督「何ッ!? (この場面で始めて“チェンジアップ”だと!? まさか、秘匿していたのか?!)」

 

別に秘匿していたわけではない。

現に中学時代は、ストレートとチェンジアップ主体の本格派だった。

しかし、それではピッチングの幅が心許ない。

基本的な話、左投手は左打者に対して、あまりチェンジアップを使いたがらない。根本的な話、左投手のチェンジアップは若干、左打者の内側に入ってくるボールになり、甘く入れば痛打されやすい危険な球なのだ。

 

逆に、右打者に対して左投手がチェンジアップを投じた場合、アウトコースにさえ決まれば、外に逃げていきながら落ちているボールになるので有効な決め球になり得るのだ。

 

だからこそ、中学時代はスライダーとカーブを覚えて奪三振率を増やした。

 

そして、なぜこの場面でチェンジアップを要求したのか……

 

大地(さぁ、せいぜい悩んでくれよ? 俺たちは軟式上がりだから、資料が少ない。更には空のチームはスコア表が無い。つまり、データがそもそも手元に少ない……そして、春季開けの初めての練習試合で、更には後半も良い場面でこの球を始めて投げ込んできたっていう“情報”が諜報員を通じて他校にも、こう通じるはずだ─────『成田 空はチェンジアップを習得しようとしている』ってね! まだまだ未完成という見解と、もう既に完成しているのでは?という懐疑心が生まれる。これでチェンジアップの脅威性に感づく学校は呑まれていく。そうすれば、試合が始まる前から、今の打者の様になるのは眼に見えている)

 

ズバァァァァーーンッッッ!!!

 

国地館6番打者「グッ!! (外に全部ストレートッ!!! チェンジアップが一球も来なかった!!)」

 

野次馬「おお!! この回、三者連続三振ッ!!! 最後は三球ともアウトコースにストレートだ!! さっきのチェンジアップが頭によぎったなぁ!! てか、アイツ、チェンジアップ使えたのか!?」

 

野次馬「あのチェンジアップとストレートがあれば鬼に金棒もいいところだな!!」

 

野次馬「やっぱ強いぞ!! 成田 空ぁ!!」

 

大地(そうそう、そうしてチェンジアップの事をもっと盛り上げてくれ─────あわよくば、他の球種が然程脅威を感じなくさせる為にな)

 

結局、チェンジアップの残滓を消せなかった国地館は、一塁を踏むこと無く大敗した。

 

 

羽丘|401 220 116|17

国地|000 000 000|0

備考:羽丘高校 成田→完全試合 21奪三振 球数117球

同校 咲山→初4番 5打数4安打3HR8打点 1三振

 

 

─────

 

片矢「……」

 

その日の夜。自宅に帰宅した片矢は、誰も居ないアパートの部屋で今日の試合を振り返る。

 

振り返るも何も、今日の試合の殆どに悪いところはなかった。

思うところがあるとすれば、バッテリーが少しだけ単調なリードをしていたが、それを圧倒する球筋なので然程、危険は感じない。

 

今日は初めて大地を4番に抜擢したが、その起用に答えるかの様に打ちまくっていた。

元々、頭抜けた才能の持ち主だけに、この打撃好調は片矢にとって嬉しい誤算だった。

1年から4番を任せていた結城に申し訳ない気持ちはあったものの、彼は彼なりに思ったところがあったらしい、直ぐに了承して3番に入り、今日も打撃をしっかりと牽引してくれた。

 

最早、空と大地がグラウンドに立つ事を誰も不思議に思ってはいなかった。

それだけ、彼等の実力と人柄が良かったという事だ。

 

片矢(ふ、まだ荒削りの部分もあるが、奴らなら出来るのかもしれないな……)

 

部屋から覗く満月を眺めながら、口端を釣り上げて物思いに耽る。

今宵も酒が上手く飲めそうだ。

 

 

─────

 

リサ「─────え?」

 

リサは大変困惑していた。

今井リサ。Roseliaのベースを務めるオカン気質を含んだギャルッ子である。

スタイル抜群、容姿端麗の彼女は学内でも人気者で、みんなの頼れる今井さんと化してきているらしい。

 

当然、バンド内でも揉め事があっても持ち前の大らかさで何とか切り抜けて来た。それなりの問題をRoseliaは抱えていたが、今やそれを乗り越え急成長を遂げている。

 

そんな彼女が驚く事案が目の前にいる─────否、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大地「─────は、腹がぁぁぁ……減っ、た……(ガクッ)」

 

─────飢えていた。

 

リサ「……は?」

 

─────どうするリサ姉さんッ!!

 

 

 

 




やっちまった感はあるんだ……
でも、どうやってバンドリ勢と絡ませるかわからなかったんだ!!
……すんません! 次からはバンドリの事をもう少し勉強してきます。

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