Stand in place!   作:KAMITHUNI

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第14話 振り返り『ありがたさ』

─────羽丘高校 生徒会室─────

 

??「─────それでは、今から成田君と咲山君についての取材を始めます。よろしくお願いします」

 

空「しやーす」

 

大地「空……シャキッとしろ。 態々、遠路遥々すみません。此方こそ宜しくお願い致します。山本さん? で良かったですか?」

 

山本「はい。野球天国の『山本 恵』です。それと、そこまで畏まらなくてかまいませんよ。此方も仕事ですので」

 

空「ほら! 適当でいいんだって!! 大地は難しく考えすぎだぜ!? もっとリラックスしろ『ゴゴゴ……ッ!!』─────ゴホン……それで、取材ってどんな感じで進めていくんですかね?」

 

山本「あ、あはは……仲がよろしいんですね」

 

大地「えぇ、まぁ、色々ありましたからね」

 

山本「そうですか。今日はそこら辺も含めて取材していきましょう! それでは先ず、ズバリ! 『天地コンビ』の結成理由はなんだったんでしょうか!?」

 

大地・空「「天地コンビ?」」

 

山本「あれ? 知りません? 成田君の名前の『空』を『天』に変えて、咲山君の『大地』の『地』の部分をとって、『天地コンビ』。今話題の二人を表すのにピッタリな名称でしょう?」

 

空「それなら、なんで『空地コンビ』にしなかったんだよ! オレの名前を弄る意味を感じられないんですけどぉお!!」

 

大地「それだとテメェ、空き地に見えて、語呂が悪いだろう」

 

山本「ま、そういうことですね。それで? お二人のなり染めを是非とも教えてください!」

 

大地「……なり染めって……言い方がおかしいだろ」

 

大地「まぁ、俺たちがコンビ組み出したのは、高校に入ってからですね。最初は、元々、中学から因縁があって、それのせいで喧嘩出会いみたいなもんでしたけどね」

 

空「だな。あん時の大地は余裕無さげだったなぁ」

 

山本「成る程……因縁とは、軟式野球の全国大会の決勝戦でしたね。あの試合は凄かったですね! 成田君は10回をパーフェクトで投げ抜き、咲山君は成田君の投球に呑まれかけた投手と選手達を鼓舞して、最後の打席では15球の粘りを見せた名勝負!! 私一押しの試合でした!!」

 

大地「詳しいですね。たかが軟式の全国決勝の事がよく出てきましたね?」

 

空「だよな! しかも、間違いねぇし」

 

山本「何を隠そう、私もあの試合を取材しにいってたんですよ!!」

 

山本「その頃から、お二人のファンです!! だから、今回の取材も実は上司に無理言って行かせて貰ってるんですよね……あ! あとでサインください!」

 

大地(この人、見かけによらずガメツイな……)「まぁ、いいですよ……そう言ってもらえると嬉しいですし」

 

空「オレのサインなら幾らでも書きますよ!!」

 

山本「やりぃ!! それじゃあ、ガンガン質問していきますよぉ〜!!」

 

 

─────

 

山本「春季大会はお二人にとって、どういうモノでしたか?」

 

大地「そうですね……お、僕にとって、春季大会は高校初の試合って事だったんで、大変いい経験になりました。最初は高校野球の独特の空気感に戸惑いばかりでしたが、試合をこなしていくうちに身体が馴染んでいくことが出来ました。これを早いうちに経験できたことは大変助かりましたね」

 

山本「その結果が、23打数19安打7HR18打点 打率.826の好成績を生み出したんですね! 素晴らしいです!」

 

大地「ありがとうございます。流石にこの結果は自分でも出来過ぎだと思います。それと、やはり捕手なので、どうしても他校のバッテリーの配球が気になりましたね。僕自身、あまり遊び球を使う組み立てはしないのですが、現代野球においてやはりどうしても必要な場面が必ずあると感じました。これからは、少しアウトコースを意識したリードを組み立てれるように精進したいです」

 

山本「成る程! 素晴らしい向上心です! それで、成田君はどうでしょうか? 私的には初戦の徳修戦での151km/hと完全試合の話が聞いてみたいですね? いいですか?」

 

空「うす。いいですよ……とは言っても、リードは全部大地に任せっきりだったので、話す事はあまり無い気がしますけどね」

 

空「けど、そうですね……初回に三者連続三球三振に打ち取った時はめちゃくちゃ気持ちよかったです!」

 

山本「あぁ! あの徳修の鳴子君を含めた上位打線を力で捩じ伏せた、あの場面ですね! あれには鳥肌が立ちました! 入学したてのルーキーがイキナリ私立強豪相手にですからね!」

 

空「うん。でも、実はその後、大地と監督にボロクソに言われたんですよねー」

 

山本「えぇ!? どうしてですかぁ?! あれだけ素晴らしい投球を見せていたのに、何が不満だったんですか!!」

 

 

空「実は、大地から試合前に1番打者以外はギアを落として、打たせて取るピッチングをするように言われてたんです」

 

空「でも、ボールを握った時に調子が良いのが分かってたので、最初から飛ばしたんですよ! そしたら、大地に怒られまして……あん時の大地は本気で般若が見えました」

 

空「それでも、最後はオレのピッチングを「カッケェ」って褒めてくれて、その時にコイツの役に立ちたいって、もっと期待に応えたいって思えました」

 

山本「へぇ。それが、2回から5回までの打たせて取るピッチングだった訳ですか」

 

大地「えぇ。最初の方は空のムービングファストが暴れてストライク入らなくて、球数が多少嵩張りましたが、3回と4回は完璧に修正して低めにキレるボールが来てたので、そこは良かったと思います」

 

空「へへ……」

 

大地「ただ、それだけに2回の21球は勿体なかったですけどね。あの回が無ければ、もっと楽にリードが出来ましたしね」

 

空「お前、オレを上げたいの? 下げたいの? どっちなの?」

 

大地「どっちでもねぇよ。俺はテメェの総評を話してるだけだ。クソが」

 

空「口悪ッ!?」

 

─────

 

空「それと、151キロでしたっけ? あれは、なんか行けるなぁ〜って思ったんですよ」

 

山本「え? それだけ……ですか?!」

 

空「? えぇ、それだけっすよ……え? なんか、オレまずい事言ったのか!?」

 

大地「まぁ、テメェの感覚は常人とは異なるからな。こうなるのも仕方ねぇって。ま、兎に角、あの時の空は非常に状態が良かったんですよ。その場に蔓延する威圧感というか、佇まいから違うっていうか……なにかをやってくれるのではないかという期待感がありました」

 

大地「捕手として失格かもしれません。根拠なく出した答えなので、あの場で正解だったかはわからないですが、僕は空の『可能性の翼』が羽ばたくのに掛けて、5回からミットを構えていました。そしたら、見事に嬉しい方向に期待を裏切られましたね」

 

山本「そうですか! それが、プロ注目のスラッガーである峰田君に投じた151キロだったというわけでしたか……なんか、思ったよりも割り切り方が凄いですね。アレは監督と相談なしの独断だったんですか?」

 

大地「はい。そうです。空から『行かせてくれ』って言われたんで、話せば止められるのは分かりきっていたので、僕の独断で行かしてもらいました。当然、あとで激昂されましたが……それでも、あの場面はチャレンジして良かったと思います」

 

空「オレは、あの瞬間に自分の中にあった『何か』を越えることが出来たとと思うっす。野球を好きって気持ちを全開にして投げた時の感覚は未だ、指先に残ってますよ! それで再認識しました。オレは『野球』をやっていて良かったって!」

 

─────

 

山本「続いて、花咲川学園との試合ですが、この日は成田君の登板は無かったですね」

 

空「そうっすね。自分では中3日でもいけると思ったんですけど……」

 

大地「そもそも、中学時代のペースが染み付いた身体に100球を超える球数を投げてましたから、相当なダメージが肩肘にあった筈です。当然、怪我をされても困るので、自分と帯刀先輩と監督で話し合って、雪村先輩で行きましょうという話になりました」

 

山本「えぇ、そう言った話は外部でもあったのですが、私達がなによりも驚いたのは、雪村君先発でスタメンマスクを、慣れ親しんだ帯刀君ではなく、咲山君に抜擢したことですね。その辺はどういう風に決めたんでしょうか?」

 

大地「そこは徳修戦での打撃を買ってもらう形ですね。僕、小学生から野球をやってるんですが、それでも捕手以外の守備についたことが無かったんですよね。それで、守備でポカやるぐらいならって監督は言ってましたね」

 

大地「帯刀先輩はとても優秀な捕手なので、今度はキャッチャーとしてそのポジションを奪い取りたいです」

 

山本「熱いですねぇ!! とってもいいです! そして、その起用に応える形での初回に好投手虎金君からのライトへの先制ホームラン。あれは狙っていたんでしょうか?」

 

大地「はい。花咲川の捕手の澤野さんは区内でも指折りの捕手なので、配球通りのリードは組み立ててこないだろうと見解を立てて、インコースに主眼を置いてましたね。狙い通り来てくれて助かりました」

 

山本「そして、守備では初回に少しバタついていた雪村君を助けるバズーカの様な牽制球で魅せましたね! 球場内にまでミットに収まる音が響いていましたよ! あれは当然刺すつもりでしたか?」

 

空「あれは完全に潰すつもりだったよな!! だって、左バッター相手から一塁牽制なんて気をつけてないと出来ないって!」

 

大地「えぇ、空の言う通りですね。あの場面は刺しに行きました。1番の坂山さんは花咲川の中でも俊足を誇る非常に厄介な選手ですので、その鼻っ柱を折ることを念頭に牽制球を投げました。正直、アレは出来過ぎでしたけど」

 

山本「更には5回! ノーアウト一、三塁の場面でのコレまた坂山くんの盗塁を三塁ランナーの司永くんを釘付けにしておいて刺したプレーですが、まさに神懸かりでしたね!!」

 

大地「ま、まぁ、そ、そうです、ね……」

 

山本「? 何かありましたか?」

 

空「あん時の大地って、虎金先輩に三振喰らってかなり機嫌が悪かったんっす。だから感情を曝け出す形で力一杯投げたら、あぁなったらしいです!」

 

山本「え!? そうなんですか!? あれだけ冷静に指示を出していたのに、実はかなり激情でしたか?!」

 

大地「は、はぁ……まぁ、そうです」

 

大地(正直、あん時はとんでもない事を口走ったからな……思い出しかもねぇ)

 

大地「激情に任せてやったことに関しては猛省点ですが、フォークを捕球してから直ぐ送球できた事は自分で自分を褒めてやりたいプレーでしたね」

 

─────

 

山本「そして、好投を続けていた雪村君を助ける最終回のソロホームラン! アレにも痺れるものを感じました! 狙ってましたか!?」

 

大地「いえ、アレはただ無心でバットを振っただけですね。正直、もう一度同じスイングをしろって言われても出来ないです。あの時の虎金さんは普通の状態ではなかったですし、僕自身も無色透明の世界にいるような感じでしたから、本能に任せてスイングしただけです。それが結果、ホームランになっただけで、虎金さんには本当の意味では勝てませんでした。だからこそ、次は狙って打てるようになりたいです」

 

─────

 

山本「最後に、お二人の目標を其々お答えください!」

 

空「オレの目標は当然、甲子園で優勝して、このチームで全国制覇する事っす! そんでもって、オレ自身が世界一の投手になる事が『夢』です!!」

 

大地「……お……もういっか。俺の目標は、『勝つ事です』。何処が相手であろうと、勝ち続ける事にとことん拘って行きたいです。その直線上に全国制覇があるのなら、勿論取ります。そんでもって、最後には必ず『相棒』に並び立てるような世界一の捕手になりたいです!」

 

─────

 

つぐみ「二人とも、お疲れ様〜。取材は無事に終わった?」

 

空「おう! 羽沢も悪いねぇ〜! 生徒会室使わせてもらって、邪魔だったでしょう?」

 

つぐみ「ううん! 大丈夫だよ。仕事ならクラス教室でも出来るし、そんな事よりも2人の取材の方が大切だしね」(ニコッ!)

 

空(つぐエル! 御降臨なされましたッ!!)

 

大地「しょうもない事考えてねぇで、行くぞ空! じゃあね、羽沢さん また、何かあったら言ってくれ。出来るだけ手伝うから」

 

空「お、おい! 大地!! 引っ張んなよ!!痛ぇって!! あ! じゃあな羽沢!! また、暇があったらコーヒー飲みに行くからぁ!!」

 

つぐみ「う、うん……またね」

 

ガラガラピシャン……!

 

つぐみ(はぁ……また、咲山君とお喋りあんまりできなかったなぁ)

 

つぐみ(なんで、こんなにも虚しく感じるんだろう? そもそも接点なんて蘭ちゃんに紹介されて一度ぐらいしかない。正直、顔と名前を覚えられていることに驚いている自分がいるぐらいだもん)

 

つぐみ(でも、彼を見てると、なんでか自分と重ねてしまってほっとけ無くなる。まるで、何かに縋ってるみたいに感じちゃう……)

 

つぐみ(私は、バンドの中でも一番目立たないし、一番下手くそだ。だからこそ、もっと上手くならなきゃってなる。たぶん、咲山君も同じ様な状況に置かれているんだと思う)

 

つぐみ「(だから、大丈夫だよって伝えてあげたい─────って、私、何考えてるんだろ///)あれ? これって─────?」

 

羽沢さんへ

今日は生徒会室を使わせてくれてありがとう( ´ ▽ ` )ノ

羽沢さんとはあまり関わりはないけど、貴女が生徒会にお店の手伝いに一生懸命なのは分かります!

きっと、周りの誰よりも気遣いの出来る貴女だからこそ、もしかしたら、一度会ったぐらいの俺の心配もしてくれているのかもしれませんね(自意識過剰だったらごめんね(>人<;))。

もし、そうなら有り難う。それと、自分の事でも大変なのに、余計な気を遣わせてゴメン。

今はきっと、羽沢さんにとって大切な時期だって事は鈍感ってよく言われる俺でもよく分かる。最近、美竹の奴もバタバタしてるしね。

だから、もし困ったことがあったら言って欲しい。遠慮は要らないしね。

バカだけど、きっと空だって、下手したら羽沢さんと同じクラスにいる我妻だって手を貸してくれるさ。

心配してくれるのは嬉しいし、止めろとは言わないけど、せめて御礼の気持ちとして俺を頼ってほしい。

それじゃあ、生徒会がんばってね^_^!!

 

p.s

こういうのって慣れてないから不備ありまくりだろうけど、許してね(*≧∀≦*)

 

咲山より。

 

つぐみ「……」

 

蘭「つぐ。いる?─────ん? どうしたの? 嬉しそうな顔して……」

 

つぐみ「ん? ううん? なんでもないよ……ッ!!」///

 

蘭「え? でも顔が赤─────「さぁ! 生徒会の仕事も丁度終わったし、練習に行こッ!!///」。う、うん」

 

蘭(つぐの様子がおかしい……何か吹っ切れたような、嬉しそうな顔。なら、いっか)

 

蘭(つぐが……ううん。皆が幸せであれば私はそれで十分。この夕陽のように穏やかであろう)

 

─────

 

友希那「─────それで、ライブには来てもらえるのかしら?」

 

大地「はい、是非行かせて頂きます!! てか、行かせてくださいッ!! お願いしますぅううううッ!!」

 

大地が友希那に土下座!!

一体何が!?

 

……to be continue.




つぐみ描写を出した事ないのに、突然の登場でヒロインを持って行こうとしていた……恐るべし! 大天使つぐエル!!

ヒロインは何処から選ぶべき2

  • アフグロ
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