─────4回裏─────
片矢「……(やはり、1年には荷が重かったか? いや、しかし、この先の戦いで必ずコイツらの力が必要な時が来る。現に、自分の立場を理解している我妻はこの状況でもよく投げてる。だが……)」
羽丘B|000 0 - - -|0
花咲B|000 5 - - -|5
ガギィィンッ!!
我妻「ショートッ!!」
羽丘一年遊撃手「ぐっ!! (ヤバイ! 足が、動かな─────ッ!!?)」
ヒュンッ!!
ザンッ!!
羽丘一年遊撃手「しまっ!?」
花咲川ベンチ「抜けたぁぁぁあ!!」
花咲川ベンチ「回れ回れッ!!」
二塁ランナー「当然ッ!!」
羽丘一年左翼手「はぁ!! はぁ!! (早く!!? 早く、チャージをかけて、すぐに送球ッ!! これ以上、失点を許すわけには─────ッ!!)」
バスッ!!
羽丘一年左翼手「あ……!」
花咲川ベンチ「後ろに逸らしたぞぉ!! バッター回れ回れッ!!!」
ザンッ!!
審判「セーフッ!!」
花咲川ベンチ「うっしゃあぁぁあ!! ランニングホームラン!!」
花咲川ベンチ「これで、7点差だぁぁぁあ!!」
澤野「……羽丘の投手。完全に打ち取っているが、周りの守備が完全に足を引っ張っている。このままだと、完全にあの投手が崩れるぞ」
澤野(……だというのに、今日のスタメンマスク……それに、何故ベンチは動こうとしない?)
左翼手(くそッ!! 何やってんだ俺は……!! 我妻が頑張って投げてんのに!! ここで助けられなくて、いつ助けんだよ!!)
遊撃手(集中を切らしたらダメだ!! 今のはオレがしっかりと捕球できていれば、なんとかなった打球だ!! 気を取り戻せ!!)
我妻「ふぅ〜……よし、みんな!! 切り替えるぞ!!」
金田「そうだ!! まだ、攻撃の回は残ってる!! ここを耐え抜いて、次の回に繋がるぞ!!」
宗谷「……」
片矢(ほんとは、ああいった声かけは捕手がするもの……それを、一番、メンタルにきている投手にさせるあたり、奴はもうダメなのかもしれない……)
片矢(厳しい言い方になるかもしれないが、あのような捕手はウチには要らない。正直言って補欠外だ……。自分しか見えていない捕手は捕手ではない。今後、このようなプレーを見せるようなら、奴にチャンスは無い……)
我妻(ふぅ〜……成田に完封するとか言っておいて、蓋を開けてみれば、3回1/3 7失点。高校初デビューとしては大分、辛苦い結果になったな)
我妻(これが、現実。俺の現在位置……)
我妻(監督は何もいってこないって事は、多分、俺に……いや、俺らに経験を積ますため……)
我妻(経験とはいえ、こんな地獄、早く投げ終わりたい。ベッドで枕を濡らしたい……。でも……)
花咲川9番打者(よぉ〜し! 流れは完全にウチだ! ここで、一気に潰し─────)
ズバァァーーンッッ!!
花咲川9番打者「……はぁ?」
花咲川ベンチ「は? なんだ、今のストレート……」
我妻(でも、俺は今日、なんもしてない!! こんな状態でマウンドから降りられる訳ねぇだろ!!)
ズバァァァーーンッッッ!!!
花咲川9番打者(おい待てッ!! お前!! 完全に立ち直るとか意味わかんねぇよ!!? なんで、こんな─────ッ!?!?)
大地(アウトローのストレート……完全に立ち直ったか……)
大地(空と雪村先輩に隠れがちだけど、ブルペンでのボールは間違いなく走ってたし、後は経験だけだった)
片矢(持ってるものは確かなのに、今まで使ってやれなかった。だからこそ、今日の試合はアイツにとってのいい経験になる……。試合でしか得られないモノがある。今日はそれを知れただけで十分だと思ったが……)
空(我妻……お前、凄えよ。正直、オレならこんな場面で投げられる気がしない……はっきり言って、その精神力は異常だぜ)
シュッ!!
花咲川9番打者(ふざけんな!!? アウトコース3つだと!? オレを舐めてんじゃねぇぞ!! こんなもん!! ぶっ飛ばしてやる!!!)
ズッバァァァーーンッッッ!!!
審判「ットライーク!! バッタアウトォオオオ!!!」
花咲川9番打者「な、んだと!!?」
我妻「……これで、ツーアウト」
紗夜「凄いですね。あの投手……あそこまで、割り切って投げれるものなのですか?」
大地「……我妻の中学時代の資料を一度だけ目を通した事がある」
大地「だけど、俺は此処まで『良い投手』だとは思わなかった」
紗夜「『良い投手』……ですか?」
大地「はい。ですが、ここで言う『良い投手』の定義は別に好投手をさしてるわけではないのです」
大地「これは、俺の価値観で誰かに理解されたいという訳ではありません。ただ、俺の中にある『良い投手』は[どんな場面になっても挫けずに、めげないボールを投げる]投手の事を指しています」
大地「我妻の中学時代は、大変酷いものでしたよ。データを見る限り、失点した回からズルズルと引きずって自殺点を繰り出すまでの四死球の量産での自滅……それが我妻っていう投手の悪癖です」
紗夜「今はそうには見えませんが……」
大地「えぇ。アイツに何があったのかはわかりません……ただ、俺はアイツの評価を訂正する必要があるようですね」
紗夜「訂正……ですか?」
大地「アイツ……我妻がリリーフには不向きだという、俺の勝手な見解です。その考えは改めます。アイツは……『我妻矢来』は誰よりも『良い投手』で、とても『リリーフ』向きの『強い投手』です」
ズバァァァァーーンンッッ!!!
審判「ットライークッッ!! バッタアウトォオオオ!!!」
花咲川1番打者「なっ!?(コイツ! 最後は全部インコース!? しかも、前の打者を合わせても全部ストレート!!)」
花咲川1番打者(我妻、コイツどうなってやがる?! なんで、この場面で覚醒できんだよ!?)
澤野(成田空、咲山大地……そして、我妻矢来。今年の羽丘に入ったルーキーは怪物揃いか……。『成田 空』は他の追随を許さない『爆発力』を保有し、『咲山 大地』は多分野に渡って絶対的な『総合力』を示し、『我妻 矢来』は強すぎて異常な『精神力』を見せつける。この3人はモノが違う……)
澤野(まさに、黄金世代だ……)
─────
??「へ! やってくれるねぇ〜。こんだけ苛めても『天地コンビ』出してこねぇのか……余程、あの投手に信頼を寄せてるようだねぇ!! そうでなくちゃ面白くねぇよなぁ!! なぁ!? オマエらヨ!!」
花咲川1年『応ッ!!!』
─────
大地「……先輩、ちょっといいですか?」
紗夜「どうぞ、私の事は気にしないで試合に行ってください」
大地「いいんですか? 俺、かなりワガママ言ってますけど……」
紗夜「えぇ。元々、私が我儘を言って一緒に観戦していただけです。何も、貴方が罪悪感を覚える必要はありませんよ」
紗夜「存分に暴れてきて下さい」
大地「いいんですか? ここ、一応、氷川先輩の学校ですけど……」
紗夜「えぇ。構いませんよ。私が応援しているのは、貴方……『咲山 大地』という男の子だけですよ。だから、なんら問題ありません。これは、貴方の1ファンとして当然の事です」
大地「……先輩、絶対モテますよね? ─────ほんと、俺の言って欲しい事を言ってくれる。まだ出会って、少ししか経ってませんけど、俺は先輩の優しさに触れられて良かったと思います! ありがとう!! 紗夜先輩!!」
紗夜「─────ッ!!!!」
大地「では、いってきます!!」
紗夜「─────」
ガチャン!! タッタッタ……!!
紗夜「─────本当に、その微笑みは反則ですよ///」
次回・『咲山キャノン』、行きますッ!!!!
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アフグロ
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