Stand in place!   作:KAMITHUNI

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第18話 これが『格』の違いだ……

─────5回表─────

 

ツーアウトランナー無し ワンストライクノーボール 7番打者

 

??「オラッ!!」

 

シュッ!!

 

ビュオォォオッ!!

 

羽丘1年7番打者「!! (来たっ!! 真ん中高めのストレート!!! 打てるッ!!)」

 

??「おっと! ソイツは“毒付き”だぜ……。存分に喰らいな」

 

ククッ!!

 

羽丘1年7番打者(なっ!? この高さでスライダーッ!? ふざけんな!!)

 

ガギィッ!!

 

??「サードッ!!」

 

花咲川1年三塁手「オーライ! 任せろ!!」

 

パシッ!!

 

羽丘1年7番打者(ハンドリング上手ッ!? そんで、送球までが物凄く速い!!?)

 

花咲川1年三塁手「ホッ!!」

 

シュッ……!!

 

ズバンッ!!

 

花咲川1年一塁手「おけ! ナイス送球ッ!!」

 

塁審「アウトォ!! スリーアウト、チェンジッ!!」

 

??「亜ラァァァァァアアアッ!!!」

 

空(……あの投手、安定感が出てきたな。初回から3回までは、まだエンジンがかかってなかったか? )

 

帯刀(たぶん、初回から3回までは中盤戦と後半戦に活かすためにストレートを多めに投げて、変化球への餌巻きに使ってた……1年とはいえ、余程、ストレートに自信がなければ出来ないリードだな)

 

帯刀(コントロールこそ完璧には程遠いけど、ストライクは取れるぐらいには安定してるし、何より1年であれだけの球威を放る事が出来るなら、変化球も使い勝手がいい)

 

帯刀(……虎金の後の投手が居なかった花咲川にとっては大きな拾い物だ……この夏、延いては来年にも繋がる)

 

帯刀(それに加えて、本来の緻密な作戦で毎試合3点は取れる攻撃力……オフを越えて磨きのかかった走塁力……。総合力の高い良いチームだ)

 

澤野(『曽根山 直樹』……今年の貰い物は一級品だった。最速141km/hの球威ある直球を軸とし、時にクレバーに変化球を交える本格派の右腕。バッティング能力も高く、中学時代は松之山シニアで全国大会に出場経歴を持ち、その潜在能力の高さは虎金が唸る程だ)

 

澤野(確かに、羽丘の我妻も技巧派としての実力は確かだが、此方の曽根山のポテンシャルの高さはホンモノだ……。もはや、『天地コンビ』が出てこない限り、試合は決定付いたも同然だ)

 

澤野(いや、流れも完全に此方が握っている。出てきたところでどうしようもないな。我妻と羽丘のファースト以外のヤル気は完全に削がれている……。これは、もうどうしようもない)

 

─────5回裏も何とか立ち直った我妻が奮闘し、ワンナウト二、三塁のピンチを迎えるも、内野フライ2つで乗り切った。

 

大地「おい……何惨めな試合してんだよ」

 

宗谷「……咲山」

 

大地「まだ試合が終わったわけじゃない。何をシケタ顔浮かべる必要がある……。スタメンマスク被ってるのはテメェなんだぞ? なら、その責務を果たせ」

 

宗谷「……」

 

大地「捕手の役目をなんだと思ってんだ? ただ投手の球を取るだけか? なぁ? 宗谷」

 

金田「おい! 咲山!! その辺に─────」

 

大地「テメェらもだ!! ふざけんな!! こんな試合、見てて反吐が出るッ!!」

 

大地「デンパるからポロポロ落とすッ!! 集中できてないから足が動かないッ!! 相手の投球に呑まれてるからバットが振れないッ!!! そんなもん、何の言い訳にもならねぇんだよッ!!」

 

大地「特に宗谷……! テメェ、さっきの回。完全に我妻が立ち直った時、サインをアイツに任せやがったな!」

 

宗谷「ッ!!」

 

大地「テメェッ!! あの場面で誰が一番シンドかったと思ってんだッ!! テメェはチームの為に何をしたんだッ!! テメェは我妻が被弾したあとにアイツに声掛けしたのかッ!? してねぇよな!! だって、テメェはその後の事なんて、なんも考えてなかったもんなッ!!!」

 

大地「……そんな奴が捕手をやるな。後先考えない無策を遂行するテメェのリードは不快以外の何でもなかった……」

 

大地「下がれ。宗谷……。テメェはここまでだ。少なくとも、今日の試合でテメェが変わる事は無いと分かった」

 

大地「チームの士気を下げる奴はこのグラウンドにはいらねぇ」

 

─────

 

アナウンス『羽丘高校 選手の交代をお知らせします─────』

 

曽根山「あん? なんだッ─────ッ!? へ! 漸く、お出ましかい……」

 

─────

 

空「アイツ、マジで何してんの?」

 

結城「何を考えてるんだ、アイツは……」

 

帯刀「やっぱり、今日のアイツはおかしいって!! なんで、大人しく出来ねぇんだ!! あのバカはぁぁぁあ!!」

 

笠元「悠馬はん!! 落ち着けや!! 気持ちはよぉ〜分かるッ!! でも、バットを振り回すのはアカン!! 危なすぎるやろ!!」

 

─────

 

虎金「……バカですね。こんな試合。捨て試合も同然だし、互いの1年の実力を確かめるだけの試合にワザワザ出てくるなんて、愚策以外のなんでもないっしょ」

 

澤野「あぁ。だが、もしかしたら、それが奴の【本質】であり、『強さ』の根源なのかもな……(……オマエの在り方は、どうやら俺と相容れないようだ)

 

澤野「それでも、奴が出てくるなら、それでいい。これで存分に研究出来る。オマエの弱点、必ず見つけさせてもらうぞ─────咲山 大地」

 

─────

 

香澄「わぁあ!! 見て見て!! 有咲!! 野球だよッ!! 野球の試合がやってるよ!! なんだか『キラキラドキドキ☆』するね!!」

 

有咲「だぁあッ!! うるせぇよ!! わかったから!! 腕を引っ張るなぁあッ!!」

 

香澄「あ!! ウチが今勝ってるんだッ!! 凄い凄いッ!!」

 

有咲「……圧勝じゃねぇか。もうコレは勝ちなんじゃね?」

 

アナウンス『羽丘高校 選手の交代をお知らせします─────』

 

有咲「あ?! な、なんだ? 急に雰囲気が─────」

 

香澄「え!? 何々ッ!?!? どうしたのッ!?」

 

─────

 

アナウンス『羽丘高校 選手の交代をお知らせします─────』

 

片矢(本当は、貴様を使うつもりなんて無かった。だが、宗谷に言ったことは間違いでは無い。奴の代わりになる捕手が1年に居ないウチに、他の代わりになる奴は貴様しかいなかった……。宗谷で試合を作ることは出来ない。なら、貴様はこの流れを変えられるのか?)

 

片矢「貴様の『格』を見せ付けてこい─────」

 

アナウンサー『8番 宗谷くんに変わりまして─────バッター『咲山』くん! 8番 キャッチャー 『咲山』くん!!』

 

曽根山「出てきたな、黄金ルーキーッ!! さぁ、始めようぜ。何方が『最強』の1年なのかをなぁ!!!」

 

大地「─────うるせぇぞ、三下ぁ……」

 

曽根山「ッ!?!? (な、んだ、この、濃密なオーラは……)」

 

曽根山(何処に投げても打たれる未来しか見えねぇ……だ、と?)

 

大地「テメェと俺のどっちが『最強』? んなわけねぇだろうが……」

 

曽根山(クソッ!? こうなったら、インコースで仰け反らす!!)

 

曽根山「ッラァァア!!!」

 

ビュゴォォォォォオッ!!!

 

曽根山(よしっ!!! 完璧な手応えッ!!! しかも、インハイギリギリッ!!! これは打たれな─────)

 

花咲川捕手(ッ!? おまッ!? なんで、それに反応出来て─────!?)

 

大地「テメェは選抜ベスト8のチームに完全試合が出来るのか……? 出来ねぇよ、テメェじゃあ」

 

大地「そもそも、俺とも立ってるステージが違うテメェが、アイツに勝てるわけねぇ……」

 

大地「もう一回、出直してこい。三下……」

 

カキィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーーンンッッ!!!

 

バシュンッッ!!

弾丸ライナーで伸びた打球は外野スタンドを越えて、生い茂る木々に吸い込まれる。

その打球の行方を見失っていたのは、何もグラウンド内にいる選手だけではない。

 

高校屈指の好捕手である澤野も、怪物に化けた虎金も、打撃の才能に長けた結城も、空の球を捕球できる様になった帯刀も、大地を送り出した片矢も……【神童】であり、大地の相棒である空ですらも余りの打球速度に目を追うことが出来ずに見失った。

 

気付いた時には木々に白球が吸い込まれていた。

誰もが誰も、目を見開き、大地がダイヤモンドを回ってるのを見る。

そして、ベースを周り切ってホームベースを踏み終えて、呆然自若とするマウンド上の曽根山に向けて……。

 

大地「─────これが、『格』の違いだ……」

 

完全に非情なる宣告を告げるのだった。

 

 

 

 




次回・大地無双!!

咲山大地
弾道 3→4
ミート A→S
パワー C→A
肩力 A→S

特殊能力:無し→パワーヒッター→アーチスト
球界の頭脳→真・球界の頭脳 チャンスA→勝負師

ヒロインは何処から選ぶべき2

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