「……視線と身体中が痛ぇ」
現在時刻は午前8時半。
どうにか遅刻せずに登校できた模様だ。
ふぅ、危なかった。特に今日遅刻してたら、俺の高校生活はお先真っ暗確定だったからなぁ〜。
流石は元女子校と言うこともあって、クラスの大勢が女子。男子なんて、俺以外に2人いるぐらいだ。
そんな中で遅刻できるほど、俺の神経は図太く無い。
というよりも、周りからの視線がさっきからチクチク刺さってんだよなぁ。
入学式初日という事もあるんだろうけど、なんか周りの騒々しさには、早くも辟易し始めていた。
そんなに男子が珍しいかね? 俺以外の二人にもチョコチョコ視線が行っているようで、男子はソワソワしていた。
うん。よくわかる。俺も気恥ずかしいったらありゃしないからな。
どうやら、このクラスの男子とは仲良くなれそうな気がしなくも無い。
視線が合うと、何方からとも無く頭をぺこりと下げる。
うん、絶対仲良くなろう。
心の中で硬く決意した。
「ねぇ? あの切れ目の子ってカッコよくない?(ヒソヒソ)」
「あ、確かにぃ〜。 なんか、一匹狼って感じでいいよねぇ〜(ヒソヒソ)」
「アタシ、狙っちゃおうかなぁ♡(ヒソヒソ)」
「「「キャァァア♡」」」
「「アイツ殺す!」」
なんか、急に仲良くなれそうだった男子達から睨まれてるんですが……(汗)
あれ? なんで?! 俺、なんかした!? そんな親殺しの犯罪者見るような目で見るような事を俺したっけ!?
そうして居た堪れない空気になった教室内から目を逸らす形で、視線を彷徨わせていると、ガラリと教室の扉が開かれる。
「ふぁぁ……眠っ」
…………は?
「ち、眠いわぁ……めちゃくちゃ眠いわぁ〜。 クソが、昨日夜通しで投げ込みするんじゃなかった。楽しみすぎて、張り切っちまったなぁ! いやぁ、失敗、失敗!」
いや、ふざけんな……待てよ! なんで……!?
「いやぁ、それにしても噂以上に女子ばっかりだな! ユウキ先輩に誘われたからこの高校にしたけど、こりゃあクラスじゃあ居た堪れないかもな! がっはっは!」
ふざけんな! ふざけんなよ!! 俺が何の思いで推薦蹴って迄、この高校選んだと思ってんだよ! クソが! これじゃあ、俺のこの気持ちをどこにぶつけりゃいいんだよ!
そう思った瞬間には既に立ち上がり、奴に向かって叫んでいた。
「おいテメェ! なんでこの高校に来てんだよぉ!!」
「あ? んぅ? ……お前、どっかで……あぁ、思い出したわ。 お前、真中中のキャッチャーだな? なるほど、道理で見覚えあったわけだ。 クソ! 良い拾い物あったなぁ〜。 マジでラッキーだわ!」
「勝手に話を進めんな! 俺の質問に答えやがれぇ! テメェ、まさか全国制覇した癖に推薦蹴ったとかほざくんじゃねぇんだろうな!?」
「うん、そうだ」
「即答かよ! クソッタレェエエエ!」
俺の質疑に即答で頷く。
その答えを聞いた俺は力なく崩れ落ちて四つん這いになる。
視界がボヤける感覚が体全体に襲い掛かるが、それは唇を噛みきって堪える。
若干口が血の味を含んでいるが、それは関係ない。
取り敢えず、言いたい事は沢山あるが、今は一つだけ。
「テメェ! なんでここに来たんだ! 成田 空ぁぁぁあ!!!」
「うぇえ?! ぎ、逆ギレぇええええ!?」
こうして、混沌と化した教室から成田から手を引かれる形で連れ出されたのは言うまでもない。
─────
成田 空。
身長183cm 体重76kgの恵まれた体格と長い手足を器用に折りたたんだ独特のフォームから放たれる最速148km/hのストレートを主体とした本格派投手。 軟式野球出身だが、その野球センスと恵まれた才能故に強豪私立からもお声の掛かる程の逸材。
それが何故、こんな元女子校でマトモな施設が無い高校を選んだのか。
これは一重に、彼の師匠の孫が因果している。
彼は自他共に認める野球バカであり、小さな頃から壁相手に毎日投球練習をしていた。そこでレクチャーしていたのが、彼の師匠である『結城 浩介』だ。
元現役プロ野球選手の彼から受け継いだ投法を授かった成田は、直ぐにその才能を開花させ、後に『結城 浩介』の後継者となる事を誓った。
そして、そんな彼の師匠には孫がいた。名は『結城 哲人』。年は一つ上であり、その孫もセンスの塊だった。特にバッティング能力においては元投手とはいえ、プロ野球選手であった祖父を超える才能を見せていた。
しかし、大した実績を出せないままチームは敗退し、彼は近場の高校を選ぶことにした。それが、この羽丘高校だった。
さらに言えば、成田と結城は浩介関連で仲が良く、主に学校が違っても連絡を取り合うほどだ。
結城は去年から立ち上げた野球部でギリギリ10人だけという状態で、都大会でベスト8へのし上げて、本格的に甲子園を目指す事を決意。
そこで白羽の矢が立ったのが成田 空であり、彼も成り上がり系の漫画が大の好みであり、それに賛同。
そこから現在が、成田空の経緯である。
うん……。
「─────テメェ、バカだな」
「あのさ、試合で一回だけ顔を合わせただけなのに、オレはなんでそんなに真っ直ぐな目でバカにされなきゃならないんだ?」
「いや、どう考えてもバカだろ? このバカ! アホ! 間抜け! お前のカァチャンでべそぉ!」
「ガキかッ! どっちかというと、お前の方がバカだろ! この細目インチキ野郎が!」
「あ! テメェ言ったな!? 俺のアイデンティティーの切れ目君をバカにしたな! あぁ、なんて愚かな奴なんだ! これだからバカは……! どうせ、期末テストとか毎回爆死君だろ!? これだからタッパだけが取り柄の阿保は面倒なんだよ」
「はぁ!? お前、期末テストを引き合いに出すのはセコイぞ! そんなもん野球に関係ないだろうがよぉ!」
─────と言った餓鬼のような喧嘩をしていると。
「……貴方達、屋上で何をしているの?」
はい?
「「…………」」
俺らは視線を後ろへ逸らして、油が切れた機械のようにギギギッと首を横に振った。
まず眼に付いたのは、長く美しい銀髪。
ついで、冷ややかに注がれる金眼。珠のような白肌が艶めかしい長い足から見えていた。
声も透き通り、俺の耳朶に幸せを届ける。
きっと、冷徹な意志で俺らに声をかけたのかもしれないけど、既に彼女の声の虜になっていた俺にはどうでもいい事だった。
「……な、何かしら? 急に黙り込んで」
「あ、す、すいません。 先輩が普通に綺麗で見惚れていました……! 不快に思ったなら、申し訳ありません!!」
「ふぇ……///」
「おまっ!?」
あれ? 俺、なんかおかしい事言ったか? 何故か目の前の銀髪少女は頰を染めて、口をパクパクさせ、成田は頭を抱えて「……お前、やっちまったな」とかいってるし……
頭をフル回転させて、先程の言葉を思い浮かべる。
……ヤバイ。 めさくさヤバイ! どれぐらいヤバいかって? 完全に俺が頭の逝っちゃってるチャラ男に変化してるぐらいヤバい。
「え、あ、あのぉ〜……」
「……な、なにかしら///」
ウボォア(吐血)!!
なんつー破壊力だ! か、カワエエぇええええええッ!!
きっと、俺を客観的に見たら耳朶まで真っ赤になってるであろう。
いや、仕方ねぇって! この人可愛いすぎるって! モジモジしてる姿がギャップ萌えすぎるぅううう!!
普段は物静かそうな先輩。けれど、意外な一面が実はあるっ!
その場面に憧れねぇ男はいないね(断言)!
「……桃色空間繰り広げるなら他所でやれよなぁ。 あと、やっぱりお前の方がバカじゃん!」
「「///」」
────言い返す言葉もねぇな!!
「─────で、結局、貴方達は入学式早々サボって、屋上でいがみ合っていた、と。……二人ともバカじゃない」
「「仰る通りでございます」」
訂正、やっぱり二人ともバカだった。
結城 哲人
弾道 3 右投げ右打ち
ミート S
パワー B
走力 C
肩力 C
守備力 D
捕球 A
特殊能力:勝負師、鉄人、いぶし銀、アベレージ、流し打ち、プルヒッター、チャンスメーカー、メッタ打ち、一球入魂、低玉必打
ヒロインは何処から選ぶべき2
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アフグロ
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