Stand in place!   作:KAMITHUNI

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第22話 『合宿』と『試合』と『ライブ』と『覚醒』と…… 前編2

??「……(この時間、この瞬間、この空間……。まさに、僕のベストポジションだ)」

 

??(燃えられるモノは無い。楽しいものだって無い。けれど、鳥の小さな囁きと、生命の息吹である柔風が僕の心を充足させてくれる)

 

??(あ、そういえば……。あのマウンドもこんな感じだったけ?)

 

??(観客とベンチ、そして仲間の声がはっきりと聞こえる筈なのに、耳から流れ出る感覚。ボールを投げるまでのモーション。指先に力を込める瞬間。僕の心はたしかに、充足感が満ちていた)

 

??(決勝は、僕のミスだった。肩の張りが影響して、ボールが行かないし、ストライクを投げられないしで、酷いもんだったなぁ〜。お陰で、ブルペンで見ていたスゥさんに止められたし。決勝は投げられなかった)

 

??(結果はチームの惜敗……。あのときほど、自分を自責した瞬間も無いね……。ただ、今度はねじ伏せるだけ。それでも……)

 

??「もっと、静寂の中でも確かなcantabileを奏でられる“投げ合い”がしたいなぁ〜」

 

??「なぁ? 『君』は……。いや、『君達』は僕と一緒に奏でてくれるかな? ね? 『成田 空』、『咲山 大地』」

 

木更津実業野球部員「おーい!! 『恒星』っ!! 監督とスゥが呼んでんぞー!! どうやら、相手チームがついたみたいだ! 屋上から降りて、グラウンドにこいだってさ!」

 

恒星?「あ、うん。わかったー。今いくよー!」

 

恒星?(ま、どうせその答えは直ぐに出るよね? 僕は僕の旋律を奏でるだけさ……。『萩沼 恒星』としてね)

 

萩沼 恒星(3年) 投手 渾名【巨神】。

 

 

─────木更津実業高校 グラウンドA 午前10:30

 

我妻「……これが、野球部のグラウンド? は、はは……。冗談よせよ。明らかに市民球場だろ? 球速表示付きのバックスクリーン付き? どんな学校だよ。マジで……」

 

帯刀「おい。我妻。ビビるのは分かるけど、驚くのは挨拶してからなー」

 

結城「そうだ。先ずは先方に挨拶のが常識だ、しっかり整列しろ」

 

我妻「す、すいません!(……ヤバイ、空気に呑まれそう)」

 

結城「礼ッ!! お願いしますッッ!!」

 

羽丘全員『お願いしますッッ!!」

 

木更津実業主将「全員! 手を止めろ!!! 礼っ!! お願いしますッッ!!」

 

木更津実業全員『お願いしやすッッッ!!!!』

 

秋野(うわぁ……すごい気迫)

 

笠元(これが、名門の矜持っちゅうことか……。上等やないか)

 

─────

 

先攻・羽丘スターティングメンバー

1.中 秋野咲耶 (左打ち)

2.二 舘本正志 (右打ち)

3.一 結城哲人 (右打ち)

4.捕 咲山大地 (左打ち)

5.三 村井豪士 (右打ち)

6.投 成田空 (右打ち)

7.左 帯刀悠馬 (右打ち)

8.遊 笠元剛 (左打ち)

9.右 田中次郎 (左打ち)

 

 

 

 

後攻・木更津実業スターティングメンバー

1. 捕 杉崎涼夜 (右打ち)

2. 三 金元真也 (左打ち)

3. 遊 木平奏太 (右打ち)

4. 一 東龍太郎 (右打ち)

5. 投 萩沼恒星 (右打ち)

6. 右 山野工 (左打ち)

7. 左 立山勇気 (右打ち)

8. 中 崎野冬夜 (左打ち)

9. 二 木本良平 (右打ち)

 

 

─────

 

リサ「はぁ、はぁ……!! あぁ!! もう、試合始まってるよ!!」

 

紗夜「ふぅ〜……。本当ですね……」

 

あこ「へぇ!! これが野球場なんだ!! なんかカッコいい!!」

 

燐子「ヒィッ……!! 人が、一杯……!!?」

 

友希那「……はぁ、はぁ……それで、状況は?」

 

─────1回裏─────

 

ツーアウトランナー無し。カウントツーストライクツーボール。

 

ズバァァァァァァァァーーーンンッッ!!!

 

《151km/h》

 

ワァァァアァァア!!!

 

審判「ットライークッ!!! バッタアウトォォ!!」

 

観客「おぉ!! コッチも三者連続三振!! しかも、最後はインコース一杯に151キロ!!」

 

観客「萩沼と同じ立ち上がり方!!? やっぱり、【神童】の二つ名は伊達じゃない!!」

 

リサ「凄いじゃん!! 空!! 三者連続三振!」

 

あこ「うんうん!! めっちゃくちゃカッコイイよ!! 最後のズバァンッ!! って、音がここまで聞こえてきたよ!!」

 

紗夜(……。最初から飛ばしてる?)

 

─────

 

大地(……思ったより、粘られた。やはり、萩沼以外の選手も実力だ高い……。変化球を使い過ぎると、後々慣れられると思ったから、初回はストレートを9割配分したけど、2回からはスライダーを使ってかないと厳しいかもしれない。その前に……)

 

大地「秋野先輩、舘本先輩、結城先輩。 萩沼さんの球筋はどうでしたか?」

 

秋野「そうだね……。ちょっと成田に似てると思ったんだけど、全くの別物だね」

 

舘本「……厄介」

 

結城「そうだな。それに尽きる。ストレートの速さ自体は空の方が速く感じるが、そのボール自体の威力は恐らく、空よりも上だ。俺もあの球威に押し負けた」

 

秋野「しかも、ストライクコースには入ってるのに、暴れてくるから予測しづらい。読み打ちが真骨頂の咲山にはちょっとシンドイ相手かもしれないね」

 

大地「そうですか……。取り敢えず、一打席目は様子見の気分で打席に入ります。兎に角、球筋に慣れておかなきゃいけませんからね」

 

─────

 

大地(さて、先輩方には、あぁは言ったけど、正直、空の為に早めに先制点は取っておきたい……。でも、一打席目に打つのは難しいかもしれない……)

 

大地「よろしくお願いします」ペコリ……

 

杉崎「あぁ」

 

萩沼(へぇ〜。結構、雰囲気あるね……。正直、一瞬だけ呑まれたよ)

 

杉崎(コイツが咲山か……。左打ちの強打者。長打だけでなく、外野の前に落とす技術も持つ。何より、コイツは捕手の心理を突いた読心術がピカイチ)

 

杉崎(コイツには初球、縦のスライダーで行こう……。 印象を植え付けさせておくことで、お前のストレートを活かす)

 

萩沼(でも、君って読み打ち特化なんだろ? そんな奴が僕の暴れ球の中でも制御不能な縦のスライダーが打てるのかな? いや、打てるものなら打ってみな!)

 

ビュゴォォォォォォォォオッ!!!

 

大地(ストレートッ!!)

 

カクッ!!!

 

ギュィイイインッッ!!

 

大地(何!? 縦スライダー!? こんなインコース高めから低めのボール球コースに入ってくるだと!? ヤバイ!? バットが止まらない─────ッ!!?)

 

杉崎(よし! これでワンストライクッ!!?)

 

大地「ウラァァァァァァアァアッッッ!!!!!」

 

萩沼「は!? (ちょっ─────!? 嘘でしょ!?)」

 

杉崎(こいつ!!? バットの軌道を変えやがった!? このスイング速度で!?)

 

カキィィィィイィイイィッッッンンッ!!!

 

ガゴンッ!!!!

 

ワァァァァァァァア!!!

 

杉崎「意味わからん……(あれをホームランかよ、身体の構造が違うじゃねぇの?)」

 

萩沼「は、はは……!! 今のに反応するのか!? 君、凄いよ!! 少しは楽しめそうで良かったよ!! 咲山大地ぃ!!」

 

2回表

1ー0

 

 

 

 

 




大地の一撃が萩沼を覚醒させる……!?

ヒロインは何処から選ぶべき2

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