それではどうぞ!
全国高等学校野球選手権西東京大会 三回戦
府中市民球場
滝宮高等学校 VS 羽丘高等学校
羽丘スターティングメンバー 後攻
監督.片矢
1.中 秋野咲耶 (左打ち)
2.二 舘本正志 (右打ち)
3.一 結城哲人 (右打ち)C
4.捕 咲山大地 (左打ち)
5.左 帯刀悠馬 (右打ち)
6.三 村井豪士 (右打ち)
7.投 我妻矢来 (右打ち)
8.遊 笠元剛 (左打ち)
9.右 田中次郎 (左打ち)
滝宮スターティングメンバー 先攻
監督.宇都美
1.三 室池瀧 (右打ち)C
2.右 近藤剛志(右打ち)
3.投 陳勝宗 (左打ち)
4.一 安西響也(右打ち)
5.遊 吉良優希(右打ち)
6.二 吉良元希(両打ち)
7.左 立野傑 (右打ち)
8.捕 不知火啓(右打ち)
9.中 勝俣駿(左打ち)
審判「整列っ!」
結城「行くぞっ!!」
羽丘サイド『オォォオオ!!』
室池「勝つぞっ!!」
滝沼サイド『シャァアア!!』
気合十分の両チームが真ん中に走っていき整列する。どの面子も投資に満ち溢れていた。互いに次戦に向かうための死闘へと身を投じる覚悟はとうに出来ている。後は結果を残すのみ。
審判「礼ッ!!」
選手一同『お願いしますッ!!』
アンパイアの声が響いた後に両者の雄叫び。勝利への執着を滾らせながら相手の健闘をも祈る。真っ向からの潰し合いに期待を寄せる観客達も拍手を送る。
まず守備につくのは羽丘。マウンドに上がったのは背番号11の我妻矢来だ。一つ息を整えてから投球練習をする姿を滝沼の選手達は目を細めながら観察する。
ズバァァァァーーンンッ!!
ズバァァァァーーンンッ!!
ズバァァァァーーンンッ!!
室池「相手はエース温存で一年の我妻か。投手層の違いを見せつけられるな」
安西「それも中途半端な投手じゃない。球速もあるしコントロールもいい。むしろストレートの重さだけなら成田を超えてるだろ」
不知火「そうだな。しかもスライダーはキレッキレ。正直強豪校のエースを張れるレベルだから気を引き締めていかないと痛い目合うぞ」
陳「……それでも一年だ。余計に気負う必要は無い。必ずボロが出る。そこから崩していけば勝利に近づく」
吉良(兄)(遊)「お。マサがしゃべった。いつも瞑想してる時って話入ってこないのにな」
吉良(弟)(二)「それはマサに失礼だろ」
室池「ま、兎に角。陳の言う通りだ。相手は強敵だが、所詮は一年と二年しかいない新設校だ。ウチが付け入る隙は幾らでもある。初球外のストレート狙っていくぜ」
陳「当然だ」
─────
大地「……(ヤバイな)」
ズバァァァァーーンンッ!!
我妻「……(ヤバイよな)」
ズバァァァァーーンンッッ!!
大地「ボールバック!!(こりゃあヤバイわ)」
ズバァァァァーーンンッッ!!
ザザッ!! シュッ!! ズゴォォォォオォンンッ!
笠元「ナイスコース!!」
我妻「ふぅ……(ヤベェよ。胸の高鳴りが治んねー)」
大地(これヤバイわ。語彙力死ぬぐらいヤバイ)
─────一回表─────
審判「プレイッ!!」
室池(さぁ。ルーキー。来いよ)
大地(……サイン、か。とりあえずは─────)
我妻(ん? いいのか? それで)
大地(あぁ。どうせ─────)
ズバァァァァァァアァァアーーーンンンッッ!!
室池「………………は?」
大地(─────サインなんて意味ないぐらい調子いいからな)
陳(っ?! 初球外のストレートを狙っていた室池が見逃し?!)
我妻(今日はマジでいい感じだわ。指先にボールが引っ付く)
審判「ットライークッッ!!」
室池(ちょっ─────!?)
ズバァァァァァァアーーーンンンッッ!!
審判「ットライークッ!! ツーストライクノーボール!」
陳(2球続けてアウトローにストレート!)
室池(待t─────!? テンポおかしいって─────?!)
ズバァァァァァァアァァアーーーンンンッッ!!
室池「……意味わからんぞ。このバケモンめ」
審判「ットライークッ!! バッタアウトォォォ!!」
観客「外、外ときて最後はインズバッ!! エゲツねぇ!!」
観客「好打者室池!手も足も出ずに三球三振ッ!! ナニモンだアイツッ!!」
─────
蘭「ヤバ……」
友希那「えぇ。ヤバイわ」
リサ「ふ、二人が語彙力皆無になっちゃったよ」
日菜「るるるん☆」
─────
近藤(二年)「我妻の球質はどうでしたか?」
室池「……ヤバイの一言に尽きる。手も足も出なかった。まず一打席だけじゃ攻略不可能だ。無難に見ていった方がいいぞ」
近藤「っ……了解です(室池主将がそこまで言うなんて─────どんな軌道してるんだよ)」
─────
陳「どうだった?」
室池「近藤にも言ったがヤバイだけだ。それ以外は思いつかん」
陳「そうか……どの辺りがヤバイんだ?」
室池「……まずストレートが異常に速い。相当なノビだ。それと横から見たら分かりづらいが打席に立つとタイミングの予測が不可能だ」
陳「それは─────?」
ズバァァァァァァアーーーンンンッッ!!
陳「成る程な。明らかな振り遅れだな」
室池「だろ。これは一点ゲームにしないとダメだ」
陳「ふん。任せろ」
─────
ズバァァァァァァアーーーンンンッッ!!
審判「ットライークッ!! バッタアウトォ!」
近藤(手も足も出なかった……)
大地「ナイスボール!(外と内の使い分け。完璧だな)」
我妻(俺、なんか凄え事になってる)
陳(ストレートに強い室池。コンタクト能力の高い近藤がバットに掠らせることも出来ないとはな。たしかに一点ゲームを展開する必要性がある)
大地(さて。一喜一憂するのもここまでだ。次の打者は細心の注意を払って攻めるぞ)
陳(一点ゲームにすること前提だが、ここで簡単に3人で終わらせるわけにはいかない)
大地(投手なのに嫌な打者だぞ。初球大事に行こう)
陳(ここまで二人の打者に対して擁した球数は僅かに7球。それも全部ストレート。つまりここでスライダーを使ってくる可能性がある)
大地(……スライダー使うか? いや、ストレートで作ったリズムを無闇に切りたくない。ここはインコースにストレートだ)
陳(ここで流れは渡さない。リズムが出てきたこの投手を乗せない。この男が一番自信を持っている球を狙う)
我妻(その目。本気か)
我妻(本気で俺の球を打てると思ってるのか……?)
陳(来る……ッ!)
ワインドアップから大きく足を上げて腰と股関節の回転を加えて地面へと突き下ろす。捻った下半身の力を全て上半身へと送り込んだ。伝播していく力は左腕で壁を作ることでギリギリまで右腕に溜め込む。
陳(っ! 右腕が遅れて─────)
陳は驚愕した。我妻の体に隠れたボールは更に遅れていく。とんでもなく窮屈なフォームだが撓りに撓った腕からボールが放たれる。同じ投手というポジションだからこそ感じる壁だった。
ズバァァァァァァアーーーンンンッッ!!
我妻「─────打てるもんなら打ってみろや」
我妻「そのかわりコッチだって最初からフルスロットルでいくからな」
大地(インコース一杯。構えたところドンピシャかよ。マジで今日の俺座ってるだけでいいやつだ)
空(……凄え)
陳「思ってた以上の投手だな」
大地「ん?」
不敵な笑みを浮かべて大地に声をかける陳。実力差は明確。それでも笑える胆力たるや。舐めてかかると痛い目を見るのは明白だった。
大地「まぁいつもこんな状態だったら尚のこと良かったんですけどね」
陳「そんな事を敵の俺に言ってもいいのか?」
大地「言ったところで関係ないっすよ。捕手としてはワクワクしながらも凄く退屈な試合になりますからね」
大地の言葉は軽い挑発。自分が投手を引っ張る必要もなく自分達を抑えられると慢心にも取れる自信を見せつけた。
陳(……なるほど)
宇都美(……陳)
陳(監督。全力で打ちに行きますよ。このバッテリーを野放しにしていては危険です)
本能で危険を感じた陳。溢れ出るオーラが球場の雰囲気を変えていく。肌がひりつく程の気迫。それを間近で感じ取った大地。しかしやることは変わらない。
大地(……)
我妻(相変わらずの無茶振りだな。いいぜ、乗ってやるよ)
二球目。一球目と同じようにワインドアップからの一投。
ビュゴォォォォオオォオオォオオ……ッッ!!
ガギィィィィン!!
陳「くっ!」
審判「ファールッ!」
これもインコース高めへのストレート。陳は辛うじてバットに当てる。ボールは振り遅れて三塁線の外を弱々しく転がる。結果ファールになる。
これでカウントツーストライクノーボールのバッテリー有利。
陳(インコースを続けてきたか。それも相当な球威だ。このボールを活かすなら外に一球遊ばせてから最後に膝下スライダーで決めに来る!)
大地(アンタの考えは読めてるぜ。なんせ俺も普通ならそうするからな。けど今日の我妻は──)
我妻「ラァッ!!」
ズバァァァァァァアァァアーーーンンンッッ!!
陳「─────っ!?」
我妻「へ……!」
陳(三球インコース勝負!? この場面で!?)
大地「ナイスボール!(───めちゃくちゃ強気に攻めれるから御構い無しだ)」
ワアァァァアァァアァァアァァアッ!!
観客「最後もインズバきたぁ!!」
観客「あのバッテリーどんな神経してんだよ!!」
観客「最後膝下ストレート!! アレは手が出ない!!」
観客「ヤベェ! 我妻矢来!! 古豪滝宮の上位打線から三者連続三振奪ったぞ! コイツマジもんだ!!」
陳「すまん。手が出なかった」
室池「アレはしゃあない。手に負えねぇわ」
近藤「はい。流石に初見で打つのは無理ゲーです」
吉良(兄)「この三人が言うんだから間違いないんだろうけど、どのみち点やらなきゃ問題ないっしょ」
吉良(弟)「相変わらず楽観視しすぎだと思うけど、それには一理あるな」
勝俣「そそ。陳はさっきの打席のことは考えすぎないようにな。もしもの場合はオレらの所打たせてこい。絶対アウトにしてやる」
陳「あぁ。任せた」
不知火「今度は俺たちの番だぜ。いくぞ陳」
陳「必ず抑える」
─────
蘭「さっきの我妻。いつもとはまるで別人だった」
モカ「そだね〜。正直〜、相手が打てるイメージが全く持てなかったね〜」
つぐみ「球速もいつもより出てたよね?」
巴「あぁ。本当に別次元のストレートだった」
ひまり「我妻君ってあんなに足大きく上げてなかった気がするんだけど。気のせいかな?」
リサ「心境の変化だね☆」
あこ「うん! 間違いないね!」
友希那「? 何かあったのかしら?」
リサ「実はね─────」
リサは知る限りの情報をありのまま皆に伝えた。少年と少女の馴れ初めを聞いた少女達は黄色い悲鳴を上げたり上げなかったりとか……。
書いてて思ってる事。一年で144キロでもやり過ぎだと思ってるのに、155キロってありえねぇ!! (今更)
ヒロインは何処から選ぶべき2
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アフグロ
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それ以外は以前の集計結果から選択します