三回表
吉良(兄)「おいおい!! そろそろ誰か塁に出ようぜっ!! てかまずバットに当てて前に飛ばそうぜっ!!」
吉良(弟)「僕らが言えた義理ではないんだけどね!?」
室池「タチ! さっきの守備みたいな奇跡をもう一度頼むよ!!」
近藤「タチさん! お願いします!! 偶々でいいんでバットに当ててくださいっ!」
勝俣「ベース上でバット振っとけば当たるかもしれん。取り敢えず偶々でもいいから当てろ」
立野「オマエらの、その俺の扱いなんなの!? クソッタレがっ。そこでおしゃぶり吸って待っとけよー! ゼッテー塁にでてやっから!」
気合の入った7番立野が打席に立つ。
ヒュゴォォォォオオ……ッ!!
カククッ!!
立野「うぇっ!?」
ブンッ!
ズッバァァァァアァアーーーンンッッ!
審判「スゥィングアウトォオオッ!」
バットに掠らせることなく、僅か4球で三振。
ワァァァァァァァァッッ!!
観客「全部外攻めで、最後は伝家の宝刀スライダーで7者連続三振ッ!!」
観客「止まらない奪三振! あのピッチャーヤベェ!!」
蘭「……我妻って、あんな投手だった?」
ひまり「わ、わかんないけど、どう見ても絶好調? だよね?」
巴「飛ばしすぎにも見えるけど、なんかまだ余力を残してるようにも見えるな」
つぐみ「なんだろ。私、疲れてるのかな? 我妻君からオーラみたいなの見えてるんだけど……」
モカ「気のせいじゃないと〜、モカちゃんは思うよ〜。モカちゃんにも見えてるからね〜」
友紀那「大地もリードしがいがあって、嬉しそうね」
リサ「だね☆ さっきの打席でもいい打球(中直)飛ばしてたし、大地の調子も上々ってところかな?」
あこ「くっくっく……流石は我が宿敵の盟友ぞ! あっぱれだ!」
麻弥「日菜さん!! 嬉しいのはわかりますけど、観客席から飛び出さないでください!」
日菜「るるるん♩ 私も出たい〜!」
薫「ははっ。矢来の躍動感は更に増したようだね。儚い」
立野「スライダーマジで消えたんだけどぉ!! しかも途中までストレートと全く同じ軌道だから手を出しちまったじゃんかー!」
近藤「流石はタチさん。僕たちの期待を裏切らない」
吉良(兄)「まぁタチだからな。むしろワザと三振したまである」
吉良(弟)「いや、それはないだろ。タチだぞ? ワザと三振狙ったほうが当たる説が有力だろ」
立野「オマエらの俺の扱いなんなの!? 酷すぎんだろっ! つーか、誰一人として前に飛ばしてないんだから、同類だ同類っ!」
不知火「そうだそうだっ!」
室池「あれ? シラ。戻ってくんの早すぎじゃね?」
吉良(兄)「いつのまに瞬殺されてたんだ……」
不知火「いやぁ〜、面目ねぇ。裏の裏の裏をかかれちった。全球外のスライダーでやられたわ」
近藤「要するにバッテリーの掌で踊らされた挙句、バットに掠らせることも出来ずに無惨に去ってきたということですね? 無能先輩」
不知火「オマエ、先輩に対して辛辣すぎだろ。流石に傷付くぞ」
宇都美「不知火君。早く防具を装着しなさい。それと、皆さんも足早に守備位置へ。勝俣君は既にセンターの守備に就きましたよ」
吉良(弟)「え? ほんとだ。いつのまにか守備になってやがる」
陳「すっと気配消してグラブをとったな」
吉良(兄)「あれ? 結局、あいつ三振したの? じゃあ打者一巡を完璧に?」
近藤「流石にヤバ過ぎでしょ。ありゃあ、将来プロですかね?」
不知火「いやいやまだわからんよ。なんせ、エースじゃないしな」
安西「ま、エースも左の成田で、1年だけどな。そも、あっちは咲山がいる時点で過剰戦力だろ!」
陳「だが焦ることは無い。基本ストレートとスライダーだけの投手。狙い球とコースを絞っていけば、幾らでも付け入る隙はある。それまで、点はやらん」
不知火「へ、頼もし」
室池「そんじゃあ、行くぞォオォオオオオ!!」
滝沼ベンチ『シャァァァァアァアァアッ!!』
─────
笠元「矢来ナイピー!」
結城「ナイスピッチ!」
村井「9者連続とは恐れ入ったぞ。ナイスピッチングだ!」
帯刀「出来過ぎだッ! 馬鹿野郎!」
我妻「あざすっ!」
秋野「調子は良さそうだけど、勝負はここからだからね。調子乗っちゃダメだよ」
舘本「……ガンバ」
我妻「うっす! 気を引き締めていきたいと思います! 次は打席なんで、其方も気合入れていきます!」
田中「そっちは程々でいいからな。点は俺らでとってやるから」
我妻「はいっ!」
大地「ふぅ……。ん?」
防具の暑さから、瞬間的に逃れて溜息をこぼすと、我妻は大地を燦爛とした目で見ていた。
まるで撫でて欲しい犬のような目だった。
我妻「……」
大地「…………まぁ、上々だな。コントロールミスもないし、ストレートもいつも以上にキレてる。スライダーの精度も理想の形に最も近い球になってきてる」
我妻「っ!」
大地「正直、良過ぎて鳥肌全開だわ。二巡目以降も同じ球を投げられるようなら、安心して任せられるような投球内容だし、文句の付け所が無い。ナイスピッチング」
空「だ、大地が、我妻のピッチングを褒めた!?」
雪村「ウソン。めっずらし!」
吉村「俺のピッチングは褒められたことねぇのに!!」
雪村「オマエは怒られて当然だからだろ笑」
空「まぁ、それぐらいに今日の我妻は凄い状態なんでしょうね。正直、今の我妻からマウンドを譲り受けたく無いっすわ」
吉村「そんなこといいながら、呼ばれたら嬉々として向かうくせによく言うぜ」
空「そりゃあ、投手でエースですから。エースですからッ!」
雪村「意地汚ねぇ……。エースをめちゃくちゃ強調してきやがる」
結城「しかも、こっちに背中の番号を見せつけてきてるからな。尚、タチが悪い」
大地「……俺って、そんな褒めて無かったんだな。反省しよ」
滝沼|000 --- ---|0
羽丘|00- --- ---|0
備考:羽丘学園 背番号11 我妻矢来 9者連続三振達成。
その後も、投手戦は続いた。
三回裏、七番我妻からの下位打順を相手に完璧に調理してみせた陳。
この回、二つの三振を奪いながら僅か13球で締めた。
四回表、滝沼の二巡目。
一番室池の打席では、我妻のウィニングショットであるスライダーを軸に、最後はインコース低めで三振を奪い、10者連続三振と会場を盛り上げた。
続く、近藤には前に飛ばされるも、弱々しいセカンドフライで打ち取り、三番陳も外と内の使い分けで翻弄し、スライダーで三振を奪った。
四回終了時点で我妻の奪三振数は11個となった。
四回裏。羽丘も二巡目の打席。
陳は一番秋野に対して、初回のツーシームが頭によぎっているうちにストレート責めでカウントを稼ぎ、最後はインコース膝元へスライダーで空振り三振を奪う。
二番舘本には厳しいコースを投げ込み、広がったゾーンにバシバシ決めていき、結果はサードゴロで打ち取られる。
三番結城を相手にしても、陳は全く動じず、コースを絞らせない投球を披露する。最後はインコースのツーシームを引っ掛けさせて、ショートゴロでスリーアウトを奪う。
五回表。
我妻は四番安西を威力ある直球と切れ味鋭いスライダーを駆使してカウントを稼ぎ、最後はフロントドアのスライダーで見逃し三振を奪うと、続く五番吉良(兄)を初球のインコース直球で詰まらせてショートゴロでツーアウトを取る。
六番吉良(弟)は追い込まれながらも、八球粘った。しかし、最後は外高めの釣り球に中途半端なスイングで空振り三振を喫した。これで、五回までに稼いだ奪三振を13とした。
そして、試合は五回裏の羽丘学園の攻撃に移る。
そう、頼れる四番から始まる打順。
遂に、試合が動く……(かもしれない)。
ヒロインは何処から選ぶべき2
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アフグロ
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